絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四一三話

神崎:

 

 

漸く、幼馴染みの有栖川と遠藤の回収が出来るのか!?と思ってたら、ちょっとした横槍で俺の暗黒歴史がパワーアップして公開された。この場に、翼が居ない事がせめての救いだったけど。

良かったぁ!まだ、紫天の書から出されていなくて!!

その後、幾つかの質疑応答をした師匠は俺に二人の面倒を見る様に言うと用事が出来たと何処かへ行ってしまった。だから、俺は二人と旧友を暖める事にする。ついでに、師範代達にお願いして翼も呼んで貰って二人を紹介してみた。

 

「一応、俺……鈴木満男の幼馴染みで、佐藤奏の幼馴染みでもある有栖川と遠藤だ。わかるか?」

 

「え?佐藤、奏?え、マジ!?不知火は、()()カナっちなのか!?……おぉ!やったじゃん!満男、今、最高だな!!」

 

「え?なになに、不知火ってば()()佐藤奏なのか!?マジで!?こんな偶然、あって良いのかよ!?」

 

「…………ごめんなさい。わからないわ……」

 

「そうか……いや、良いんだ。気に病むな」

 

流石に、生前の記憶もあやふやに成っているらしいから他の幼馴染みズに会ったからと言って記憶が戻る様な奇跡が起こるハズもなく翼は困惑した様子で二人を見ている。そんな中、二人は気にした様子も無く自分の紹介を続けていた。お気楽者め。

 

「え!?何だ何だ、カナっちは記憶喪失かなにかか?俺……じゃなかった、僕だよ僕!見た目がアレなんで、わからないかも知れないけど……八代葵だよ!?」

 

「ふぁ!?お前、八代だったのか!?」

 

ここに来て明かされる、衝撃的な事実に俺は驚きを隠せなかった。

つーか、遠藤蒼炎が八代葵!?マジで!?てか、名前変えてるんじゃねぇよ!?ああ、いや……アオイからソウエンに変化しただけか。アオだから蒼……あんま、代わり映えしねぇなぁ(苦笑)。

因みに俺は、この二人が誰なのかを師匠には聞いていなかった。

何故、聞かなかったかと言うと……自力で、思い出したかったからなんだけれど。全く、誰かまではわからなかったよ。

 

「俺、俺……オレオレ詐欺じゃねぇぞ!?」

 

誰も、『詐欺か!?』と言ってないのにノリボケか?で、ノリでツッコめば良いのか……判断出来ない。

 

「俺は、藤山雪。男なのに、雪原の雪でユキっちとか呼ばれてた。女みたいな名前で、メッチャ嫌だったから今は有栖川零と名乗ってる!!」

 

「藤山!ああ、だから葵と一緒に居たのか……生前から、二人とも名前が女みたいだからって仲が良かったもんなぁ?」

 

顔は、普通に青年って感じなのに名前だけで苦労して来た奴の典型がコイツ等である。だが、今は生前の面影はなく美青年と美少年風なので名前が元のままだったら怪しかったかも知れない。

 

「葵と雪だからな……女々しいって、弄られてウザかった」

 

「まあ、僕は『葵』って名前は好きだったんだけど文字が女友達ッポイって言われてたから……だから、今はわかりやすい蒼炎にしてやったぜ!名字は、転生するから一新してみた!」

 

「そういやぁ、あの文字だけで女みたいとからかわれていたな?俺は、気にもしなかったけど……」

 

「まあ、気にしない奴は普通に接してくれていたけど。気にする奴は、メッチャウザかったから……似た様なのにしたんだ。後、見れば男とわかる文字にしてみた!」

 

「あー……わかるわぁ。俺も、見た目がダサかったから丸っと変えたしなぁ。つか、二人なら俺が満男だと気が付いたんじゃないか?てか、気が付いて居そうな感じなんだが……」

 

昔っから、人を見る目があった二人なら気が付いていそうなんだけれど……さっきの反応から、俺が満男だって気が付いて居なかった雰囲気だ。まさかと思うけど、あの根暗だと思われて居たのか!?もし、そうなら俺……超ショックなんですけど!?

 

「あー、気が付かなかったっていうか……」

 

「それ所じゃ、無かったんだよね(苦笑)」

 

「???」

 

「浅上兄妹に、弱味握られてて……」

 

「あー……まあ、あの二人は生前から名字以外は変わって無かったもんなぁ。そっかぁ……生前の弱味出されちゃったかぁ……」

 

あの二人の前では、生前の面影が在ろうが無かろうが関係なくフィーリングだけで言い当てそう(知り合いに限る)だもんな?そりゃ、周囲を気にしていられませんわw。因みに、あの二人が師匠の所属する【組織】に居ると教えてやったら有栖川達はメッチャ動揺していた。まあ、気持ちはわからないでも無いけど……【組織】の拡散率は、超高そうだもんなぁ(他人事)。俺も、アイドル動画版の『きゃるーん♪』を拡散されたら死ねるけど他人事になると見てて愉しくなる。ただ、俺自身も生前のアレコレを持ち出されたら何も出来なくなるから沈黙しておくけど。でも、それはそれ。これはこれ、だったりする。

 

「そう言えば、師匠から借りてたISってどうなった?ほら、最初の世界で貸し与えられていただろう?」

 

「…………ああ。アレかぁ……あの次の転生後に、消えて無くなったけど?つーか、師匠さんなら知ってるんじゃね?」

 

そりゃ、貸し出しをした張本人だからな。だが、貸し出したISが戻って来たとは聞いていない。いや、師匠の事だから回収しているかも知れないけど。それに、俺へ一々報告する必要は無い事だからスルーされているのかも知れない。

てか、その手の報告書って無かったかな?そう思い、調べていたら師範代達が普通にファイルを手渡して来るので問題なく回収されてた模様。一応、確認の為に報告書に目を通すと……何故か、《旧・神族》の文字が見えた。

 

「んん!?」

 

「どうした?」

 

「師範代、まさかアレを奪取されたんですか!?」

 

「え゛!?」

 

確か、アレはそれなりに高い技術で作られたモノだったハズだ。

それを、《旧・神族》に奪われたとなれば【組織】や【鮮血の】さんからするとかなりの痛手だろう。もし、師匠がそれを目的としていたならば話は別だけどそうで無いのなら……ヤバい。

 

「問題ありません。遠藤様方に預けていたアレ等は、確かに《旧・神族》の手に渡りましたが……既に使い物にならなくなっています」

 

は?使い物にならなくなってる!?

 

「何故なら、【鮮血の】が仕掛けておったトラップに引っ掛かっておったからの。彼奴は、自分の作ったモノには必ずそういうトラップを仕掛けておる。故に、問題は発生しておらぬよ……」

 

えっ……と?【鮮血の】さんてば、なんでそんな事してるんですか!?壊れた時とか、一々トラップを解除して直してるって事ですよね?面倒じゃ無いんですか!?

 

「むしろ、《旧・神族》の方が大きな痛手を受けたとも言えますね。それを得た事で、我々の手の者が彼の者達の内に入り込んだのですから……お陰様で、色々と有益な情報が得られているそうですよ?ふふふ……」

 

「えっ……と?」

 

何やら、不穏な雰囲気が師範代達から漏れ出ているんだけど……何故だろう?何故、そこまで《旧・神族》の内情に詳しんですか?

そう言えば、《旧・神族》の方が痛手を受けた?こちらの手の者が、彼等の内側に入り込んだとはどういう意味ですか?そこまで考えて俺は、幼馴染みの二人が使っているデバイスを再度見上げる。ハッキリ言って、シンプルにデカい。ただ、原作と違って幾分かは生身の部分が露出しているし大きさも三メートル程に抑えられている。巨大ロボットでは無いし、身体全体を覆うアーマーでもない。どっちかというと、原作MSの特徴を引き継いだ全く別の機体とも言える。まあ、そもそもがMSでもアーマーでもなくイン〇ィニット・スト〇トスという別作者が生み出した物語に出てくる兵器になっていた。中途半端ではあるけれど、ほぼオリジナルと言って良い様な状態だ。それ故に、見た目こそ大まかに件の作品かと思わされるが……別物語の機種にされてしまっているが故にオリジナルデバイスとなってしまっていた。

ぶっちゃけ、同人作品と言えるかも知れない。知れないんだけど、スパ○ボ大戦○GのとあるMSとインフ○ニット・スト○トスを合体させた魔法少女世界のデバイス……って、どうなんでしょう?

三作品の合作と言えば、聞こえは良いけど……色々、拗らせ過ぎていませんかねぇ?まあ、俺も他人の事を言えないけど。

アルトとヴァイスを、示し合わせたかの様に特典として得たのにもそれなりの理由があったのも聞いている。

俺が聞いた話では、同時期に複製されて同時に白銀の世界で神様と出会ったという。それを聞いた時は、珍しいパターンだなぁ……と思ったモノだが、今考えてみるとただのやっつけ仕事の様にも聞こえる。多分、幼馴染み達を転生させるのに当たって後半へと続く内に面倒になったんだと思われ。つまりは、必要とされたのが前半に転生させられた奴等で、後半の奴は存在だけが目的とされたのだろう。ヤツの元々の計画が、どんなモノだったのかはわからないけど……幼馴染みズの存在が必須で、メインとなる奴等で何かしらの揺さぶりを掛けるのが目的だったと思われる。

だが、師匠が介入して更に俺が《神殺し》へと転生した事で計画は頓挫。修正も出来ずに、神権を消失。神界を追い出されて、逃亡生活になったモノだから嫌がらせくらいしか出来なくなったんだと思われる。

 

「師匠って、割りとえげつない事してるよなぁ……」

 

わかってた事だけど、改めて考えると他人の都合なんて完全無視で突き進んで行く様な感じだ。その癖、一度懐に入れた(改心した)らちゃんと面倒を見てくれるおかしな人である。ただ、わからない事も多いけどね。例えば、【鮮血の】さん達と仲が良い様に見えるのに突き放したり受け入れたりとチグハグな事をする所とか……持ちつ持たれつな使い魔ですら拒絶している事があった。

まあ、フレールくんやビーストにはそんな態度を見せる事はないみたいだけれど。人型の使い魔には、希に拒絶している様な雰囲気を感じるのだ。別に、師匠の『信者』だからと嫌がっている風ではなく他人だから嫌!みたいな気配というか『感じ』がする。

要は、師匠が自分以外を信用ていない様な感じなのだ。その代わり、絶大な信頼はしているっていうか……裏切られる事はないけど自分は裏切るよ?的な、良くわからない身の寄せ方をしている。

そりゃ、そういう物語を幾度となく読んだ事はあるから頭ではわかっているつもりだったとは思うけど……実際に目にするのは初めてだ。だからこそ、その違和感に気が付けたんだろうけど。

それを実際に目にするまでは、なんかよそよそしい感じだな?くらいにしか思って居なかった。そりゃ、全部の使い魔に師匠がそういう態度を取っ手いる訳じゃないけれど、たまに見知らぬ使い魔が居ると師匠はよそよそしい対応をするのである。あー、何と言うかよそよそしい使い魔には命令口調で親しい使い魔にはお願い口調を使う。だから、師範代達になんでああいう対応なのかを聞いてみたら意外な答えが返って来た。

 

「あれは、新規建造されたシステム・アガシオンの子達ですね」

 

「フッ。Masterの微妙な態度を事細かに気付けるとは、兄様もMaster信者の道をシッカリ歩んでおったのだの?」

 

「うわっ……急に、知りたくなくなったんだけど!?」

 

「ウムウム。兄様は、Masterが大好きなのだな!」

 

「……聞いてねぇな、コイツ……」

 

「まあまあ。ですが、パッと見た程度ではわからない程小さな変化だったハズです。それに気が付いたという事は、それなりにMasterの事を気にしておられたのでしょう?」

 

「……まあ、そうだな。だが、俺は信者には成らんからな!?」

 

「ああ、大丈夫だ。信者になる為には、信者試験に合格せねばならぬからな。それに、最低でも数人の者に認めて貰わねば信者にはなれぬよ」

 

「試験なんてあるのかよ!?その上、複数人に認めて貰わなきゃならないとか……どんだけ!?」

 

というか、そういう小ネタはもう少しチョビチョビ出せよ!?ツッコミが、追い付かねぇだろう!?後、俺は信者になんてなる気はねぇよ。メリットも無さそうだしな!てか、メリットがあったとしても試験を受けたりはしないからその分厚い紙束は引っ込めろ!!つか、予習もしねぇからその辞書もいらねぇ!!

 

「ふふふ、仔猫みたいですね?兄様」

 

「そんなに、怯えるでない。まあ、試験用紙は信者試験のモノだがそれ以外は魔法関係の教本じゃからの?」

 

「兄様は、とても良い反応をしてくれますからからかいやすくて楽しいです。これからも、拗ねずに素直に育って下さいね?」

 

「ウッザ!てか、それ拗れるヤツじゃね!?」

 

「大丈夫です!拗れたら、Masterがなんとかしてくれますから!」

 

「うわっ、メッチャ他人事な上に丸投げだ……」

 

その上、尻拭いするのは師匠と来た。最早、自分達で収める気がないとも取れる発言は師匠への報告書にでも書いておくべきだろう。まあ、だからと言って師範代達が改心するとも思えないけど。

 

「とりあえず、そちらの御二人には我々と共に来て頂きますね?もちろん、衣食住の方はこちらで用意しますので……」

 

「えっと、拒否権とかありますか?」

 

「…………まあ、拒否されても構いませんが……」

 

有栖川の嫌そうな顔と質問に、ニッコリ笑顔で少し固まっていたリリィは更なるキラキラ笑顔で良くわからない事を言い出す。

 

「浅上兄妹は、『拒否権は無い!』とおっしゃられてましたよ?」

 

「「…………oh……」」

 

「何故、浅上兄妹?」

 

悲壮感にも似た、真っ青な表情を浮かべゆっくりorzの体制へ落ちて行く二人を横目に、俺は少し気になったので転生条件を聞いてみる。それによって、コイツ等を転生させた奴の真意を詠み解こうと言うのだ。希にではあるけど、そういう条件の中に組み込まれていたりするからな。

 

「つか、今回の転生条件ってなんだった?」

 

「今回?今回は、神様にも会ってねぇよ」

 

「お陰様で、この世界に丸裸で放り出されて幼い頃からサバイバル生活だよ!まあ、魔法とデバイスがあったからそれ程困ってはいないけどな!」

 

「なんだ、そりゃ……てか、神様に会ってないのかよ!?」

 

「ああ、何故か白銀の空間にも呼び出されなかったよ?」

 

前の時は、十分なお金と衣食住の保証があったけど……まさか、神様に会って居なくて白銀の空間にも呼び出されていないとは、ね。もし、大金があるのならちょこっと分けてくれない?という、下心満載の問いだったけれど……駄目か。

 

「てか、転生したのに何が悲しくてサバイバル生活なんざせにゃならんのか……意味がわからない」

 

まあ、普通でない事は確かだな。ただ、『転生』って意味では間違いではないのだけれど。なんたって、人間関係のリセットと記憶の消去。人生のやり直しが、『転生』の醍醐味みたいなモノだからな。全く、間違いという訳ではないから賛同は出来ない。

 

「ホント、俺達に一体なにをさせたいんだか……」

 

それ以上に、土下座状態でキリッとキメ顔で答えるコイツらは何がしたいんだろう。まさか、ウケを狙っている!?いや、もし狙っていてもそんなネタに走っては思い切り滑るだけだぞ?

まあ、そんなネタに走ったとしても笑いは取れないと思うけど……俺は、二人を質問責めにして聞き出したい事は聞けたので大体満足した。情報からして、基本的な事はある程度判明したけれど……だが、黒幕が誰なのかはわかっていない。

 

「兄様、兄様。Masterが、やったとは思わないのですか?」

 

「師匠が?有栖川達を、転生させたって?ハハハ、そういう冗談は冗談でも口にしない方が良いと思うぞ?」

 

何、言ってるのかなぁ?師匠が、そんな事をするハズが無いだろう?例え師匠が、余りにも遅い【組織】のサルベージに痺れを切らし、何らかの方法で二人がこの世に現れる可能性を引き当てたとしても俺は師匠を信じている。そもそも、二人を転生させるにしても元となるデータが無ければ転生させれないだろう?

 

「おっと、Masterに対する絶大な信頼が心に痛い……」

 

「ですが、Masterからは説得と説明をする様にと言われてますし……ここは、心を鬼にして説明するべきだと愚考します」

 

「兄様。Masterが、【組織】のサルベージに痺れを切らしての?《ルール・ブレイカー》で、この世界に可能性と言う種を撒いたのじゃ。それ故、二人はこの世界に転生し現在に至っておる」

 

「例え、そうだったとしてもデータのない存在を引き寄せたり引き出したりするなんて事は出来るんですか?」

 

「…………データなら、ありますよ?」

 

「え!?有栖川達のデータが、ある!?えっと、サルベージで引き上げたんですかねぇ!?」

 

「いやいや、【鮮血の】が開発した兵器を二人に貸し出す際に取った二人のデータが普通にあったりするのです」

 

「まあ、この二人だけしか無かったりするんだがの?」

 

「あー、そう言えば最新型ではないけれど……そこそこ使える世代の機体を、其々の機体に変えて渡してましたね」

 

言われて見れば、二人の乗る機体は初期のプロトタイプ型だった。だから、最初の世界で師匠は二人にアルトアイゼン・リーゼとライン・ヴァイスリッターを其々貸し出したんだけど。その際に取った、二人のデータが前の秘密基地に保管されていたらしい。

それを使って、今回この世界へと《時渡り》した際にフレールくん達を呼び出すのと同時に二人を現界させたのだと師範代は言う。

 

「ふーん……ソウ、ダッタノカー……」

 

「信じていませんね?ですが、これは紛れもない事実なのでMasterが二人を転生?させたのは間違いないです!ただ、アレが『転生』と言えるかはわかりませんが……」

 

「ああ。因みに、二人はまだ人間だからの?別に、《神殺し》に転生させた訳では無いから我々の使命に付き合う必要はない」

 

「ただ、後で御二人は【組織】に保護される事になるでしょうけ「え!?嫌だけど……」

 

「「……………………」」

 

「そりゃ、弱味を握っている奴が待ち構えている場所に行く馬鹿は居ないよな?ハハハ、浅上兄妹が恐い((((;゜Д゜)))」

 

「そ、そんな事は……あるかなぁ?」

 

デスヨネー。ここで、下手に『問題ない』的な事を口走ったら普通に拉致られそうだもんな?わかるよ。でも、師範代達が問答無用になった時は諦めてね?逃げても良いけど、《神殺し》vs転生者では逃げられる距離など高が知れている。インフ○ニット・スト○トスを使ったとしても、彼等から逃げられるとは保証出来ないので好きにさせよう。ガンバレー(他人事)。

 

「フレールくんと師範代達のコンビネーションで、どこまで逃げても追い詰められる地獄を体験してみたいんだな?」

 

「偵察用の情報収集使い魔と汎用系の人間型使い魔……」

 

「少しも休めないエンドレス鬼ごっことか……誰得?」

 

「頑張っ!俺は、無料で宿泊出来る三食修行付きの秘密基地で君達の捕獲を待っているよ。お疲れ様~」

 

「完全に他人事だな。しかも、三食昼寝付きじゃなくて三食修行付きなのかよ!?つか、まだ強くなる気か!?」

 

「え?俺、まだまだ雑魚だよ?」

 

「は?神崎が、まだまだ雑魚……」

 

「ふぁ!?お前、何を目指しているんだ!?」

 

「単独で、神様をブッ殺せる様には成りたい。それと、俺達を転生させた神を操っていた存在を見付け出し断罪する予定」

 

「OK。訳がわからん、詳しく話せ!」

 

「てか、僕等を転生させた神の後ろに黒幕が居たの?つか、意味がわからないので説明を求めても良いかな?」

 

とりあえず、目先の目的としている目標を告げたら普通に釣れた二人。まあ、最終目標は師匠の隣に並ぶ事だけど……それだと、余りにも途方の無い漠然とした目標になってしまうので、それなりに現実的な目標を建てたらそうなっただけなんだけど。なので、今現在わかっている事だけを二人に説明してみた。

 

 

 

 

…………省略…………。

 

 

 

 

「フム……成る程な。確かに、記録だけを見ればそういう事に成りそうだけれど……でも、この記録だけでは証拠不十分だぞ?」

 

「というか、さ。神々の勢力図なんて、在る方が不思議なんだけど!?どれも、一緒じゃないの?」

 

「《旧・神族》に《神殺し》……そして、第三勢力・平和派と第四勢力・保守派に第五勢力・強硬派ってなんですかねぇ?」

 

「其々の派閥ですね。それと、《神殺し》と強硬派は別の勢力ですので一緒に為されない様にお願いします」

 

「《神殺し》は、狂気や破滅を撒き散らすモノを断罪するのが目的の【組織】だが……強硬派は、《旧・神族》寄りの自分達さえ良ければ何でもOKという輩だ」

 

「あ、そっちか。成る程なぁ……」

 

「って事は、第三と第四は《神殺し》寄りなのか?」

 

「いえ、平和派は中庸。保守派は、何れにも属さない派閥です」

 

「なんじゃそりゃ……平和派が中庸なのはわかるけど、保守派が無所属ってどういう事!?」

 

「保守派は、貧乏でもなければ富豪という訳でもない方々の集まりだの。現状、幸せでも不幸でも無いから我知らぬ顔をしておる一派じゃ。まあ、天秤が傾けば変わるかも知れぬが……」

 

えっと?つまり、平和を求める勢力と現状維持を望む一派が居る訳だな?強硬派は、権力者や金持ちの集まりで今以上に己達の暴利を貪ろうとしている……と?で、《旧・神族》は知的生命体を自分の玩具にしたい派で?《神殺し》は、秩序と安定を求めて日夜戦っているって訳だ。一応、其々の派閥がどういったモノかはわかったけど……平和派は、どんな人達が集まった派閥なのかな?

 

「平和派、ですか?えっと……」

 

平和派の構成員について話を聞けば、何故か言い淀まれたんですけど……どういう事!?なんで、メンバーの話を聞いただけで言い淀むんですかねぇ?何か、問題ある方々なんですか?

 

「問題が、あると言えばある方々ですね。Master風に言うなれば、平和ボケしたメルヘンな方々ですね」

 

あー……何となくわかったわ。つまり、何の能力も権力も持たないけど夢だけはガッチリ見ているッポイ人達って事だ。多分、どこの勢力に取っても目の上のたんこぶ的な存在なんだろう。

いつの世の中にも、存在自体がはた迷惑な奴はそこそこ多い。

 

「なんだろう?巨大なブーメランが飛んで来る様だ……」

 

「ハハハ。はた迷惑な奴です……」

 

「《旧・神族》と平和派が、一番厄介そうな気配がする。まあ、その争い事に巻き込まれたくもないし、秘密基地でまったりしていたいから見なかった事にしてしまいたい」

 

「無理だぞ?兄様。彼の者達は、無視していてもいつの間にか現れていて邪魔だてして来るんだそうだ」

 

平和派は、どれだけ無視していてもいつの間にか湧いて自分達の主張を声高にして来るんだそうだ。しかも、《堕ち神》等の戦闘には現れない癖に戦闘のないいがみ合いには必ず出席して来るので、彼等が現れると《旧・神族》側はそそくさと逃げて行く。

そりゃ、言葉の通じない狂った平和主義なんぞ相手にしたくは無いだろうさ。《旧・神族》側が立ち去った後には、無言で《神殺し》達を見詰める集団になるらしい。《神殺し》は、下手に絡もうモノなら魂そのものを消滅させる存在だから、あちらも絡み辛いとのこと。まあ、その気持ちはわからないでも無いけど……自分達の主張は、どんな相手にもして欲しい所だ。ただ、それをやると色んな所から目を付けられてしまうから自分達の手が届く範囲で主張を繰り返しているらしい。

 

「無理のない主張……?いやいや、《旧・神族》に主張してる時点で大問題でしょう!?どこが、無理のない主張なんだか……」

 

「それが、そうでも無いんですよ……」

 

「彼の者達がしている主張は、新参者にはウケが良いのだよ。故に、古くからいる少数の《旧・神族》達には目の上のたんこぶになっているのだ。故、強くも言えぬ様だの?」

 

「強く言えない?」

 

「ウム。下手に強く言って、派閥から脱退されると《旧・神族》も困るからのぉ……折角、好条件で引き入れたのに逃げられては元も子もあるまい」

 

「因みに、逃げられて困るのは勢力的な権威が失われるからですね。一人で主張し威嚇してもショボいですから……」

 

そう言って、ニッコリ笑うリリィ。それ以上言われなくても、その先に続く言葉は安易に想像が出来た。つまりは、少数で主張するより団体で主張した方が効果が高いって事だな。嫌な話である。

つか、それ……【始まりの魔法使い】でも、言える事なんですかねぇ?

 

 

 

 

 




ちょっとした、勢力図を紹介しました。まあ、一番大きい所だけだけど……細々とした勢力まで上げてたらキリが無いので代表的な勢力を上げてみました!まあ、ここまで出したのなら細かい所も紹介してやりたかったんですけど……段々、少数派的な主張になるので良いかと思いまして辞めました。それに、面倒な主張の所もあるので説明するだけで終わりそう……だから、今は投げ捨てでOK。大まかなら、この五大勢力で十分だし、なぁ?

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m(_ _)m

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いつも、読んでくれてありがとうございます。

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