絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四一一話

Re:

 

 

上……というか、会場の天井があった近くにある【封印柱】。

【封印柱】の形は、【怒り】を表すマークの様な形をした四つの柱が四方に浮かんでいるだけのモノ。標的が近付くと、触手?鎖?を出して相手を捕まえ対象を封じる様に閉じる仕様になっていた。

そうやって、抑え込まれた《堕ち神》はとても楽に?……ああ。いや、楽では無いけど【封印柱】に抑えられていれば動けなくなるので見習いでも倒せる様になる。それ故に、それなりに多様される【封印柱】だが特定の条件下で無ければ使えないからだ。

なんせ、封印柱は閉じられた空間という条件でしか使えない。

今の様に、空間を隔離して試験管の様な結界を作り出し封印柱がある場所へと《堕ち神》を追い詰める事で抑え込もうとしている

っていう状況でしか使えないからだ。そりゃ、この場にたくさんの《神殺し》が居て所狭しと封印柱を《堕ち神》中心に球状展開したのならその場限りでは無いんだろうけど。だが、そこまでするメリットは無いので基本的に封印柱は一つから六つくらいまでしか使われない。後は、封印柱のある空域に《堕ち神》を押し込んで捕まえタコ殴りにするのである。

次に、我々を隔離している空間隔離&防壁の数々についてだけど。こっちは、外界との空間を隔離するのが主な目的となったモノで、それ故に外側からでもこちらの状況を確認する事は出来ても干渉する事は出来ないモノだった。まあ、隠してしまっても構わなかったのだけれど、何となく見えなくしてしまうと後々色んな面倒事が起こる様な気がしたので内側の様子が見える様に可視化されている。まあ、主な目的である外界からの干渉が行われなければそれでOKなんだけど……それは同時に、内側からの干渉も出来ない事も意味していた。それだけ、《堕ち神》という存在が恐れられているという証拠であろう。故に、『逃げられない』&『干渉できない』が前提とされている結界術式だ。早々、簡単に壊されるとあの苦労は何だったの?って話になるので指摘はしないで欲しい。とは言え、内側から干渉出来ないハズの隔離結界は何故か属性の影響を受けるらしく結界に触れている魔力や属性を取り込む性質がある。まあ、結界を動かしている魔力は元は俺の魔力だから吸収しても不思議では無いんだけど。流石に、属性までもとなると首を傾げずには要られない。ただ、俺の属性が属性なので然程こちらの不利にはならないんだけど……意味不明過ぎて怖い。理由が、わからないモノ程怖い話は無いからな?そんなこんなで、結界までも聖&浄化属性を持ってしまったが故に《堕ち神》の動きは結界の中央付近だけとなる。

行動制限まで……恐過ぎだ。

大量の攻撃魔法をバラ撒きながら、一定距離を近付いたり弾かれたりしていると……段々、活動時間がヤバい事になっていた。というか、知恵と戦術はあるんだけれど最後の切り札となるモノが無いので決め手に掛けているんだ。それがわかっているけど……中々、踏ん切りが付かないというかとっても泥臭い戦いになるからというかシドロモドロ。とりあえず、状況の設置は完了した。

 

ーー嗚呼……面倒臭い。

 

「………………というか」

 

コイツ等、なんだろう?【魔導兵器】なんてモノを設計し、【始まりの魔法使い】をあんな化け物に作り替えたのは!?それが、今や【呪い】を吐き出すだけの【泥】とか……ウケるw。

悪いな?神様。アンタ達が、何を思ってそんなモンを造ったのか俺にはコレッぽっちも理解出来ないけど……今は、アンタ等が設計した【魔導兵器】は別のコンセプトの元に全く異なる兵器へと変化しつつあるんだぜ?例えば、単独で《古き堕ち神》を屠れるレベルの化け物を生み出すーーとか、な?その為に、俺に加えられたとある概念がアンタみたいな【呪い】を遥かに凌駕しつつある。

つか、俺に取ってはアンタが抱く絶望も……力になるんだよ!

 

『stand by ready?』

 

『問題ありません』

 

ーーそうかい。問題無いんかい!!

 

じゃ、最終フェイズを実行しますかね!?残り時間も、迫って来ているしなぁ!?と言っても五分以上あるけれど。これ以上、遊んでいてもアレがこの世界から出て行く事は無さそうだからな。

因みに、【魔王】モードは使えない。属性が、闇ではなく怨念とか憎悪とかに変化するので使えないんだよw。下手にそんなモンをぶつけると、余計に《堕ち神》がパワーアップしてしまいそうだから【魔王】モードは使えないんだ。

 

「術式、解放ぉ!出力、最大!!」

 

今の今まで、待機状態で貯めに溜め続けた術式をバラ撒いて行く。

ソレ等は、魔力弾に変わって《堕ち神》へと殺到して行った。

それと同時に、千切られてバラ撒かれていた手足だった魔力も悠々自適に浮遊していた《堕ち神》に殺到して行く。

それによって、今まで俺に対して意識を向けていた《堕ち神》が慌てた様に向かい来る魔法の迎撃に回りこちらから意識を外す。

だが、その程度で俺が許すハズが無いだろう?

 

「120秒。後、よろしく!」

 

言って、俺も共に殺到する魔力弾に混じって突撃した。

まあ、結果は余り良いモノでは無かったけれど。

つーか、普通に迎撃された挙げ句にリングの端辺りに吹き飛ばされたけどな。瓦礫を荒らしながら、突っ込んだ俺はスタンバっていた浄化術式に魔力を流して起動させる。それによって、追撃こそ免れたけど……本当に打つ手が無くなった。つか、流石にこれだけ魔力を消費すると再生していた手足も中々追い付かなくなる。とは言え、封印柱近くに展開した魔法陣からの攻撃の手数をこれ以上弱める訳には行かないから魔力の回復は諦めて、リング中央にある鉄の棒の元に跳んだ。とりあえず、ソレを前にして『あ、腕無ーやw』なんて笑い話にも成らない事を思いながら、口を空けて頭を床と平行にしつつ半ば瓦礫に埋もれていたソレを咥えた。ガリッ!と、咥えたソレと共に歯を食い縛り粘膜経由で魔力を込めるとソレは一振りの槍に変化して輝き始める。ソレを咥えたまま、上を見上げれば《堕ち神》は封印柱が触手?鎖?を広げないギリギリの所まで昇り、下から来る浄化魔法の波動に嫌がっている様子だった。

ここまでは、計画通り……むしろ、計画通り過ぎて逆に不安になるレベル。まあ、十中八九罠なのはわかっているけど……それでもヤらざるを得なかったりするんだなぁ。はぁ、面倒臭い。

だから、更に嫌がらせをするべく己の内より呼び出すは【聖なる浄化】のアーティーファクト。

それを、己が中央から吐き出して足元に落ちる前に蹴り上げる。

瞬間、蹴り上げられたその球体は唐突に輝きを放ちながら形を変えた。それも、大きく広がる木枠のカラクリ板の如く。

 

『【クレッセント・ノヴァ】!!』

 

口が、塞がっていたとしても俺には別にその真名を告げる方法がある。故に、口に槍を咥えていてもちゃんとした発音で言葉を紡ぐ事が出来るんだ。それによって、俺はアーティーファクトの名を告げて発動させる。それによって、結界の内側は【クレッセント・ノヴァ】の魔力で満たされる。すると、その魔力に反応するかの様に結界からも【クレッセント・ノヴァ】と同等の浄化の光が溢れだした。これにより、更に行き場を無くした《堕ち神》はグニャグニャと針鼠の様な形に成ったりして暴れ、慌てた様子で封印柱の方へと動き出す。それにより、封印柱が起動して《堕ち神》を捕まえ様と触手?というか鎖?の様な【手】を伸ばし始める。だが、《堕ち神》はその【手】を迎撃しつつその場から逃げ様ともがいていた。

 

『《グングニール》照射!』

 

ここで、漸く衛生軌道上に待機させてあった魔法式の《グングニール》を照射して結界内の魔力()()を高めて行く。と、同時に咥えていた槍の矛先を上に向け飛行魔法で追い駆ける。

 

『《ニーベルヴァレスティ》!!』

 

真名も告げて、下からの魔力()()も跳ね上げてやった。

俺が用意した策は、以下のモノ。

結界……周囲から発せられる浄化の波動。

下から迫り来るアーティーファクトの光。

それに追い縋る恐ろしいまでの【神槍】の気配。

上に控えるは、己を封じる【封印】の魔の手。

その遥か先には、【神槍】に匹敵するレベルの魔法。

そして、結界の内側を満たす膨大な魔力である。

これで、考えられる戦術は【神槍】と魔法式【神槍】での挟み撃ち。だが、俺はそれを切り札とは考えていなかった。

つか、【神槍】での挟撃は失敗が前提となるカモフラージュ。

本命は、全く別のモノでしかない。時間は、後30秒。それまでに、《堕ち神》を【封印柱】に押し込んで捕まえなければならない。

その内、《ニーベルヴァレスティ》がアーティーファクトに追い付いてアーティーファクトを下から押し進むという状況となった。

これによって、《堕ち神》が逃げれるスペースは封印柱を越えた更に向こう側だけとなる。例え、魔法式《グングニール》が当たった所であの【泥】にまで進化?した《堕ち神》を倒せるとは思っていない。むしろ、そっちは本命じゃないんだ。

捕まれッ!と念じたのが悪かったのかスルリと封印柱の【手】をすり抜けた《堕ち神》が封印柱よりも向こう側へと逃げて行く。

失敗したーーーと思った瞬間。

 

ーーもう、仕方がないわね。

 

という、呆れ声が聞こえて……引き摺り戻された《堕ち神》が、封印柱の触手に絡め取られガッチリ挟み込まれるのを俺は見た。

まあ、言うまでもなく誰がヤったかなんて考えるまでも無いけれど……サンキュー、ウォーティー。

まさか、あの手厳しいウォーティーが手助けしてくれるとは思って居なかった。けれど、これは嬉しい誤算になるのだろうか?

そう、頭の端で思っていたら封印柱を真横から切り裂く様な光が見えて次の瞬間には暗転。次に気が付いた時には、俺は世界の【外側】に吐き出されていた。まあ、それが俺の立てていた戦術だったりした訳ですが……ここ、どこ?

 

「???」

 

自分のいる座標がわからず、辺りをキョロキョロ慌てているとシャキーン!と闇を切り裂く様な強い光が上の方に感じた。ハッ!?として、その光が差す方を見上げるとそれはウォーティーの専用武具【セレスティア】の光である事がわかる。まあ、判別出来たんだけど……その光は、《古き堕ち神》である【泥】を消し飛ばしつつ何故か俺をも巻き込んで全てを浄化仕切ってくれたらしい。

なので、目が覚めたのは【船】の中でウォーティーが去った後だった。

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

「酷い目にあった……」

 

まさか、感謝の念を抱いたら《堕ち神》諸とも【セレスティア】で吹き飛ばされるとか……誰が気付けよう。もう二度と、ウォーティーに依頼なんて出さないと心に固く誓って俺は再度神崎が待つ世界に降り立った。まあ、この世界で残っている仕事と言えば世界の調整程度のモノなので、原作に関わる人々に会う事も無いんだが……迷惑を掛けたのは事実なので、その後のお話をしよう。

とりあえず、大会の方だけど……俺の乱入が、無かった事になって試合はそのまま続行されたという事になっていた。それによって、覇王っ娘は敗戦を記して……チャンピオンは、本戦へ出場が決まって他のランカー達と共に鍛練に励んでいる模様。ただ、その試合の後にはやてが介入して本局の無限書庫に行く事になったのは理由が不明。まあ、みんな仲良くしている様なので構わないけどね。

つーか、歴史関係の人々が次々にヴィヴィオの周りに集まって来るのは確かに気になるけど……これが、転生者の言う所の【原作】だと言うのであれば深く考える必要は無いと言える。

まあ、不安の芽は早々に摘む事をオススメするけどね。さしあたっては、新たな転生者とか……だな?つーか、本当にリソースを消費仕切るつもりらしい。だがしかし、【始まりの魔法使い】に頼んでいたモノが用意出来たとの事なので、それも今後は控えられる事になるだろう。それでもし、似た様な事が続くのならこの世界に関わる全ての神々を断罪してしまえば事は済む。

なので、問題無しと言えば問題は無かった。

事後処理案件は、山程あるけどね?【泥】の出現によって、《堕ち神》化した転生者の処理とか、その後遺症とか本当にやる事は山の様に残っている。一応、治療してみたら症状が鎮火したのである程度の治療をして経過を診る予定だ。ま、この世界に居る間だけだけどね。それ以上となると、俺達の旅路に連れて行くという事になるから面倒臭くなる。なので、そこそこやって放置する予定だ。

その他への影響もあるのか、経過観察しなければ成らないし、なぁ?いやー、やる事が多くてはやて達に会いに行けない。

会う必要は無いけど、色々面倒事を押し付けているから挨拶だけはしておかないと不味いんだよ。それでなくても、神崎君経由で色々注文とかやってるから。つーか、そろそろこっちから会いに行かないと突撃されてしまいそうだし?だからと言って、逃げ出したりすると今診てる患者とか丸投げする事にも繋がりかねんからなぁ……それで、新たな被害者を出したら目も当てられない。

必要な事なんだよ。そう、必要な事……何だろうけど、時間がモッタイナイ!今は、世界の調整に構けて引き込もっていたいんだ!

そんな事を、考えていたせいだろうか……秘密基地に、八神はやてが突撃して来て俺の引き籠り計画は頓挫した。

 

「…………やってくれよったなぁ!?」

 

もう、誰の記憶にも残っていないのだから見逃して欲しいんだけど!?それに、こうして記憶を戻されたらあの戦術がどんなモノだったのか説明しなきゃ成らなくなるじゃない。もう、神崎君ってばもう少し抑えてくれても良かったんだよ?と睨めば視線を外された。全く、女に弱いなんて弱点晒して君大丈夫なの?

結局、俺はあの後どうなったのかという事後報告を八神はやてにする事になってしまった。本当は、のらりくらりと話を誤魔化す事も出来ず説明させられてしまう。

 

「…………と、言う訳だったんだ」

 

「……まだ、何も聞いてないんやけど?」

 

「……僕の職業は知ってるだろ?察して……」

 

「確かに、《神殺し》やって言う話は聞いとるよ?でもな、それとこれとは別の話やねん。あの後、何事も無かった様に試合は続くし……私等は、訳わからへん状況でなんや有耶無耶にされてまうし……説明くらいあっても許されるんやないか!?」

 

「忘れてれば良かったモノを……」

 

「思い出したんや、しっかり説明してや?」

 

「へー、へー」

 

という訳で、あの黒い不形物が元神様で【呪い】やら怨念やらでぐちゃぐちゃに煮詰まった結果の成れの果てである事。

それを、魔力圧で【外】へと吐き出した事等を説明した。

そもそも、液状と化した存在を世界の【外】に弾き出す作業はかなり難易度が高い。ぶっちゃけ、普通の方法では追い出す処か倒すのも一苦労になる所だった訳だ。そこで、【魔力圧】という現象を使って世界から『噴き出した』のである。

簡単に説明すると、空気鉄砲みたいな状況を作り出し内部圧力を高めた上で容器に亀裂を入れた……っていう話。要は、あの試験管状の結界が空気鉄砲みたいな状況を作り出していたんだ。

それの内部で、徹底的に魔力をバラ撒いて魔力濃度を上げ……それを魔法式の《グングニール》で上から押さえ付けたって訳。

その為に、結界内の魔力圧力が上昇し、【外側】からウォーティーが空間を切り裂いた為に《堕ち神》諸とも吐き出されてしまった。これが、あの時行われた戦術の全てである。

まあ、良い所は全てウォーティーに持って行かれたけど。

 

「ーーーって、感じかなぁ?」

 

「ふーん。ホンなら、もうこの世界が危険に晒される事は無いんやね?残っとんのは、転生者だけやな?」

 

「まあ、危機的状況は過ぎ去ったかなぁ?……色んな意味で」

 

真の意味合いでは、状況的に大部分の問題は無いと言って良いだろう。リソース問題も、何とかなった訳だし……まあ、残りカスがあるけどアレは些細な話だから気にしない。ぶっちゃけて言うと《古き堕ち神》の再利用はそこそこ何とか出来た。まあ、等価交換を原則とした代償対価の魔法で絶望や怨念を対価に【泥】の元となった【神】を代償にして反転。それによって、生じたエネルギーをリソースに変換するだけの簡単なお仕事だった。

ただ、それを目の前で懇切丁寧に説明しつつ録画して提出したのにウォーティーからは『意味不明』の返事しかなかったりする。

まあ、絶望や怨念を対価にした上に元となった【神】を更に代償として捧げているから等価交換とは言えなくなっている様に見えるし、後にエネルギーしか残ってないのも今までの常識からしておかしいと言えるから仕方がない。だけど、絶望や怨念を対価にしているとは言え全部を引っ括めてエネルギー認識していなければちょっと難しい解釈となるだろう。というか、負のエネルギーを【神】という代償で正のエネルギーにしているだけに過ぎないんだよね。それを、リソース変換して世界に還元したら完了?

元より、等価交換を原則とした【代償対価の魔法】は形の無いあやふやなモノをナニカわからない存在と交換しているんだから意味不明な行為でしか無いんだよ。それなのに、どいつもこいつも【代償対価の魔法】を()()()()()()を別の何かに変換する便利な魔法扱いしているからおかしな話になる。アレは、別に正だろうと負だろうと関係なく変換する魔法なんだ。

ぶっちゃけ、【代償対価の魔法】で逆パターンをやった事があるのかねぇ?もし、やった事があるのなら直ぐに理解出来たと思うんだけど……やってないんだろうなぁ(呆)。

アレは、やった奴だけが知ってる常識なんだけど……ヤらない奴は、一生知らない事実だったりする。まあ、する奴は少ないけどね。

だって、やる意味が無いからな。ハッピーになる為の儀式を逆パターンとか、誰得?ヤったけどさ……俺は、ヤったけどさ(ヤケクソ)!!何て言うか、目の前で努力の結晶が無駄になる現場を見せられた気分だったよ。例えるなら、超高級品の装飾品を原材料に戻したら元に戻せなくなったってオチ。

それを、装飾品に出来る技術者が居なかったら永遠に素材のまま。

つまり、対価か代償の部分に技術とか時間とか加工が嵌まったんだと思われる。公式に当て嵌めるとしたら、対価に技術。代償に、それを作った時間&加工?。イコール、宝石と貴金属となった様だ。素材は手に入るけど、元には戻せないってオチに絶望したよ。

一応、そこそこ値の張った装飾品だったんだけど……それが、おじゃんになった。まあ、俺の義父ーーつまりは、雫さんの旦那イコール御先祖様がくれたモノだったんだけどーーが卒業祝いに寄越してくれた記念品だったんだけど。ああ、いずれ売り捌く予定のモノだったんだよ?だけど、アレ以上に【組織】の技術で作られた装飾品の方がレベル高かったので売っても二束三文程度にすら成らなかったんだ。なので、逆パターンに捧げたんだけど……そういう結末に終わったって、話さ。ホント、役に立たないよ。

え?義父だった、御先祖様が嫌いなのかって?もちろん、大嫌いいだったよ?だって、アイツ……雫さんを泣かしたし!!

しかも、学院の理事長の癖に生徒である雫さんを抱いた癖に日向が生まれた事すら知らなかったんだぜ!?あのボケが、日向(33)を知ったのは俺(35)が学院に入学してからの事。その癖、雫さんや日向を放置して散々苦労させておきながら知った後は、あたかも昔から一緒に居たかの様にシレッと家族団らんに交ざって来やがってマジウザかった。え、何様!?腹立つ事、この上無かったけど……そもそも、このボケが雫さんの事や日向の事を知らなかったのは俺を東京スカイツリーから投げた奴のせいだったそうだ。

だが、一度はその手に雫さんを受け入れた癖に教員(理事長)と生徒って事で距離を置いた事は事実なので言い訳にしか成らない。というか、もっと探せよ!?何、適当な仕事して放置していやがるんだ!?子供作ったら、大人の責任ってヤツを取らなきゃ駄目だろう?これだから、天然セレブの史上最強様は……以下略(この後、一時間は愚痴になった)。

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

うっかり、闇が溢れてしまったけど何が言いたいかと言うと《堕ち神》をリソース変換出来たよ!っていう事だね!!

それによって、この世界の延命には成功した。というか、予想以上にリソースが確保出来たんだけど?これ、どっかの神様がやった特許詐欺レベルじゃね?アレ、最初は普通の事故だったハズなのに住人の保護と返還を求めたけど、どの世界も住人を返さなかった結果……技術&知識の無許可流用という事で、リソースを使用料として徹底的に搾取した世界があった。それによって、他世界を滅ぼしたりその世界の神様を自殺に追い込んだりしたらしい。

まあ、神様が自殺出来るかは不明だけど。

とりあえず、この世界のリソースがその搾取世界の最大値レベルに匹敵している。確か、あの世界はたった70年程で超近代化したけど……これ、その時以上に発展するのか!?ヤバくね?

 

「ちょっと、写メしてウォーティーに確認した方が良いか……」

 

バシャッと一枚SSにして、メールで送ってみたら……ウォーティーが、慌てた感じで返信して来た。内容は、『え!?そんなに!?』的な驚いた様子の文面。フム、ウォーティーでも驚くレベルか……ちょっと、回収して置いた方が良いかも知れない。

 

『回収した方が良い?』

 

『回収しなさい!』

 

『バランスブレイカー?』

 

『五分の四は、回収しなさい!』

 

『五分の四!?因みに、この世界の主要都市の画像がこちら!(ミッドチルダ&次元航行艦の画像添付)』

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

『十分の九回収で良いわ!』

 

暫しの時間を置いて、来たメールには回収量が増えていた。

五分の四回収が、現在では十分の九回収だよ!?添付画像送る前と、送った後で反応が違うのはわかるけどこれじゃない感。

 

『九割回収!?手数料ですか!?』

 

『私、地球の管理神とは違うわ!』

 

あ!言っちゃったよ、この人w。折角、伏せてたのにバラしちゃうし……まあ、良いけど。しかも、飛ばされた人達って江戸時代くらいの人々で、その当時あった技術&知識が他世界に流出したんだったよね。現在から、四百年程前と言えば千六百年代、慶長の頃……様々な職種の人々が、異世界に転移したらしい。ただし、色んな世界にバラバラで転移……そして、何故か味噌が流出してたそうな。

何故、味噌!?醤油は!?刀の作り方とか、農工法とかそっちが流出したんじゃ無いのか!?なのに、それだけで滅ぼされた世界や自殺させられた神々が憐れ過ぎる件。

 

『味噌で、滅んだ世界。味噌で、自殺した神』

 

『……事実だけに、ツッコメないわよ!?』

 

『食は、万里どころか世界を越える』

 

『食文化を発展させたかったのよね……。それは、わかるんだけど保護と返還願いが出てるのに無視した方も悪いわよ?』

 

『まあ、な。でも、アレ……最終的に神託である事ない事メチャクチャしたんだっけ?【米】は、人間の食べ物じゃない!とかw』

 

『結局、最終結論が「異世界人は受け入れない」って結末になったって話だったわね。リソース保全の為に……』

 

その癖、娯楽の為には己の身を削るレベルでリソースを使いまくっているけど。その上、異界人を受け入れない癖に異世界をフルコピーして異界人を転生させるなんて事を繰り返すアホ共の愚行が今一理解不能だ。何はともあれ、リソースの回収を約束して最後の質問をメールした。

 

『回収したリソースは、どうしたら良い?』

 

『そう、ね…………そのまま、貴方が持っててくれないかしら?』

 

『は?回収は出来るけど、維持は出来ないぞ!?』

 

『大丈夫、大丈夫。早々簡単に散無する事は無いから!』

 

そう、軽く言われたけど俺は不安だった。

なので、回収したリソースは【始まりの魔法使い】へと預ける事になる。【始まりの魔法使い】にリソースの取り扱いに聞いた所、やはりウォーティーの軽く簡単な取り扱い方は推奨されていないそうだった。全く、適当何だから……はぁ。

 

 

 

 

 




フム。中々、難しい戦闘になっちゃったなぁw。本当は、もう少し奮闘して良い感じの戦闘になる予定だったんだけど……戦術の問題で、こうなりましたw。通常の魔力散布では、普通に魔力圧力云々は無理だと思ったので手足をモギモギついでに頭もモギモギ。
大量の魔力をブチ撒けて、上と下から魔法&アーティーファクトで押し付けて圧力上昇させてる訳ではないからね!?魔法&アーティーファクトに使われている魔力で押し潰してるだけだから!

リソース特許&手数料、リソース保全、インスタント・ソウル、転生と来たら、まあ察して貰えるかな?突出して、世界が発展している場合……何らかの不正が行われたか正当な鬼畜行為があったと思った方が良い。例えば、この話では……地球のある世界の管理者が、他世界へと落ちてしまった自世界住人の回収を他世界に依頼していたにも関わらず、他世界は自世界の発展の為に保護した事を報告せず誘拐した……という前提があります。その結果、世界品評会の場で『これ、ウチの技術ですよね?ほら、○○年前に落ちたウチの子を保護してたじゃ無いですかぁw』みたいな感じで特許の導入と手数料&慰謝料を請求する事に成功し、自世界の発展を一気にやった結果……突出するって事となった。まあ、その際に同じ事が起きない様に対策として徹底的かつ鬼畜レベルでリソースを搾り上げたんじゃ無いかな?で、世界の運営に支障をきたした世界が幾つか……更には、滅びた世界もあったりして他世界を管理している神々がもう二度と他世界人を使った発展を思い付かない様にしたんだよ。
その結果生まれたのが、インスタント・ソウル。他世界人その者を呼び出すと、手数料&慰謝料で身を滅ぼすから物語の世界へ転生させて娯楽にした……っていうのがこの物語の根幹。まあ、要は抜け道的なシステムの穴を突いた訳だ。この物語の世界に、自世界の住人を転生させて戻す際に幾つかの特典を与えて置けば……ほら、あたかも地球人が異世界に転生した様に見えて本質は自世界の住人を取り戻したってだけのお話にwww。

…………なんつーか、適当なストーリーを上げてたらそれなりに真実ッポイ話になっちゃいましたよ!?特に、最後の方なんて完全に抜け穴ッポイじゃないですか!?
自世界住人を物語の世界へ転生。
そこへ、インスタント・ソウルで生み出された地球人を転生させて交流を持たせる。で、異世界の知識を吸収させた自世界住人を自分の世界へ転生させればあら不思議!!
簡単に、他世界の技術が手に入りましたよ?と。
ありえそうだなぁ?
これなら、手数料だけで済みそうだし?
まあ、不正行為だから断罪対象だけどwww。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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