絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四一〇話

Re:

 

 

転生者のネタバレの通り、ヴィヴィオとミウラの試合はヴィヴィオが負けてミウラが勝利を納めた。それと、その後に行われたリオとハリーの試合はハリーが苦戦して辛勝。こっちは、ネタバレされて無かったのでちょっと驚いたけど……ハリーさん、幼女虐待ですかぁw?クックックッ、俺の友人を虐待したんだ……もちろん、殺り返されても仕方がないよな?w。

例えば、トイレの花子さんとかどうよ?にゃははは、トイレに行けなくなるんじゃね?まあ、時間があれば……だけどね。

まあ、それは兎も角として次に迎えるのはジークリンデ・エレミアvsアインハルト・ストラトスの試合。もう、ぶっちゃけ……ヴィヴィオ達チビッ子組の試合が終わってるので見る気も無いんだけれど。仲間付き合いで、ヴィヴィオ達がその試合を見に行くという事なので俺も参加する事になった。ただ、ヴィヴィオ達の試合の観戦が出来なくて覇王っ娘の観戦が出来るって何か作為的なモノを感じるのだけれど。何なんで、ですかねぇ?何で、こういう時だけ奴等は大人しくなるのかな?暴れてくれて構わないんだよ?そうすれば、覇王っ娘の試合なんて見なくて済むのに。

それに、最初からこれっくらいの暴走ならヴィヴィオ達の試合も観戦出来たハズなんだけど……そう、前日に問い質したら土下座で見送りされた。だからさぁ、なんでそう言う時だけ君達は揃って行動出来るのかな?俺は、とても不思議だよ?何はともあれ、本日はヴィヴィオ達と共に覇王っ娘の試合を観戦します。

 

「双夜は……最近、忙しかったんですよね?」

 

「問題しか起こさない、問題児に絡まれていたからな」

 

「…………転生者、ですよね?」

 

ニコやかに話し掛けて来るのは、ずっと放置していたユーリで今はとても怒気を纏ってメッチャ怒っていた。ヤバイなぁ。メッチャ怒ってる……流石に、放置し過ぎたか?はぁ、面倒臭いなぁ。

 

「そうそう、質量兵器で脅してくる奴もいたぞ?」

 

「へぇ……そうなんや?」

 

「うん。核兵器とか、持ち出された時は……もう、どうしたもんかと思ったけど……何とかなったからw」

 

「ちょい待ち!核兵器?核兵器って言うたか!?」

 

怒るユーリが怖くて、ついうっかりおかしな事を口走ったらはやてが食い付いて来た。しまった!核兵器なんて言ったら、はやてでなくても食い付いて来ますよね!隣を見れば、なのはさんやフェイトちゃんにヴィヴィオ達も不安顔だった。

 

「放射能物質を浄化魔法で浄化して無害化したから大丈夫だよ。あ、この話はオフレコでよろしく。下手したら、また本局の上層部が動くだろうからねぇ……」

 

「…………そやな。てか、放射能物質を無害化出来る浄化魔法があるんか!?メッチャ、気になるわぁ……」

 

「そうかぁ?僕的には、ただの水をアルコールにする魔法があるって聞いてメッチャ研究したけど……錬金術の類いだったオチに『無駄金はたいた』って嘆いたけどな……」

 

「ただの水をアルコール……」

 

「でも、それならーー」

 

「普通に、億単位のお金が消えましたが……何か?」

 

「おぉう……本気度が、すごい……」

 

フェイトちゃんが、何かを言おうとしたので金額教えたら笑顔のまま固まり、金額を聞いたはやてが頭を抱えてポツリと呟いた。

流石に、呆れ顔だったなのはさんも金額聞いたら何も言えなくなった模様。いやいや、新規で魔法を開発するとなったら普通に億単位のお金が平気で消し飛んで行くからな?まあ、錬金術でも似た様なモノだけれど……生産系の活動は、本当に金食い虫だから。

つーか、ただの水をアルコールに変化させれるなんて最高じゃん!それでなくても、アルコールの使い道は多岐に渡ると言うのに……その癖、純度の高いアルコールの製造はヤバいくらい電気を使うって言うのに、魔法で片手間に出来るならそうするに決まっている。

まあ、錬金術の類いでアルコールが作れるならと手を出したらあれもこれもと手を出し過ぎて、今では深みに嵌まったおバカさんの一人ですが何か?深淵を覗き込んで、深淵の住人と目が合った気分だよ。お陰で、予定していた持ち金を全部使っちゃって『趣味☆仕事』とのたまりつつ荒稼ぎ中だ。

いやぁーうん、それもこれも全て【組織】が悪い。何で、あんな便利なモノを教えてくれるかなぁ?魔術師にそんなモン教えたら、嵌まるに決まっているだろう!?同時に、目減りする貯蓄。

最後には、燃え尽きて俺の貯蓄はカンストしてしまった。

それ以降は、お金は稼げるだけ稼ぎ続ける様にしている。

ホント、『金は天下の回り物』とは良く言ったモノだ。

 

「なんや、叩いたら幾らでもホコリが出て来そうやな!?」

 

「おw。はやては、チャレンジャーだな?そんなに、胃に穴を作りたいのか?OK。胃潰瘍にしてやるよ?」

 

「…………やっぱ、ええわ……」

 

「そんな事言わずに、僕と一緒に血反吐吐こうぜ?そして、この苦労とストレスを分かち合おうじゃないかw」

 

「止めよ。訊きとうのうなったわ……」

 

「にゃはは。流石に、五百人超の転生者がヴィヴィオ達美少女を狙っているなんて僕も言いたく無いからなぁ……」

 

「五百人、超……って、言うとるやないか!?」

 

「おぉっと、いやー……ハハハ。もちろん、ワザとだw!!」

 

「うぉい!?そうやって、チョイチョイ情報出すん止めてぇや!」

 

「知りたいんだろ?なら、喜べば良いんじゃね?」

 

「喜べるか!?そんな事言いよったら、ヴィヴィオ達が不安がるで?エエんか?」

 

「いや……もう、調きょuじゃなかった。矯せiでもない……処r……うーん。にゃはは。もう、大丈夫だからw」

 

「なんやろ……メッチャ、不穏な単語が聞こえたんやけど……」

 

「大丈夫、大丈夫。OK、OK。問題なしだw」

 

ちょこっと、情報を出して適当に誤魔化して置く。

これで、色々気になって神崎ん所にでも凸ってくれれば俺の仕事が減って楽になるというモノ。流石に、ねぇ?長々と説明するのも面倒なので、丸投げ出来る分は丸投げして行こう。

因みに、なのはさん達が今ここに居るのは俺のせいだったりする。

いやー、ナンバーズの監視を散々巻き過ぎたせいで責任者代表と実働部隊隊長が揃い組になってしまったのである。一応、ナンバーズも事情を知っている人達ではあったんだけど。不安要素があったので、流石に転生者達に会わせる訳にも行かず彼等の元に連れて行けなかった。なので、移動の際には毎回撒いていたらついに本腰を入れて来たと言う訳だ。だから、原作的には問題だけど……やむ無し、なのである。ホント、申し訳ありません。

さてさて、適当に会話を楽しんでいるといつの間にか覇王っ娘とチャンピオンの試合時間が迫っていた。もう、こんな時間かぁと思っているとヴィヴィオ達が観覧席から立ち上がって通路へと集まっている。すると、何故か観覧席ゲートの方からミウラがやって来た。合流すると、何やら話し合ってからリングの方へと身を向ける。

いや、身を向けるというより手摺から身を乗り出し……、

 

「せーのッ!」

 

「「「「アインハルトさーん!ファイトーーーーッ!」」」」

 

と覇王っ娘に声援を贈る。見れば、リングへと続く通路から覇王っ娘やノーヴェ達が出て来た所だった。それを確認して、ヴィヴィオ達に視線を向けると注目を集め過ぎたからか顔を赤くしてテヘペロをしている。うむ、恥ずかしいなら止めとけば良いモノを。

そうして、覇王っ娘とチャンピオンの試合は開始された。

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

ヴィヴィオ達が、覇王っ娘の試合を見て一喜一憂しているのを横目に俺はこの試合が最後まで行われる事を願っている。何故なら、この試合が始まってからというモノ……空間が、軋む感じがして嫌な予感がビシビシ肌を刺して来るからだ。嫌だなぁ、この感じ。

絶対、ヤバい事になるじゃ無いですか!それに、試合が進むにつれて覇王っ娘から暗い情念の様なモノを感じる。

あー……これは、予想通りの結果に行き着きそうだな?

 

『テステス。はやて、聞こえるか?』

 

『……なんや?いきなり、念話やなんて……』

 

『あーうん。申し訳無いんやけど、この試合……途中で、割り込んだら不味いかなぁ?』

 

『は?何言うとんねん!?』

 

『ああ、うん。わかってるんだけど……今、この会場……空間が軋んでるで?暗い情念に誘われて、【外】から干渉を受けてるみたいなんだよなぁ……』

 

『空間が軋む?どういう事や!?』

 

『《旧・神族》とかなら良いんだけど……こりゃ、もっとヤバいモノが干渉してきてるなぁ……っと?』

 

フムフム、今のはヤバかった。空間が軋んで、割れ掛けたんですけど!?とりあえず、皹は入らなかったので何とか回避した模様。

 

『ヤバいモンってなんや!?』

 

『まあ、放置しても良いけど……その場合は、覇王っ娘とチャンピオンは諦めてくれ……』

 

『なっ!?諦めるって、どういう意味や!?』

 

『そりゃ、死ぬって事だよ』

 

なのはさんと、ファイトちゃんの手を掴んで念話に割り込ませる。

ただし、こちらからの一方通行にしてあちらからの応答を拒否に設定。返答を出来るのは、はやてだけにして説明を続ける。

 

『長い年月を経て、ひたすら煮込み続けられた【呪い】は身に浴びるだけで即死する【毒】となる。今、ここに干渉している存在はそんな感じの化け物だ。下手したら、世界が終わるレベルの【呪い】だ。ぶっちゃけ、まともな魔法は通じない』

 

通じるとすれば、俺の内に封じられたアーティーファクト【聖浄の光(クレッセント・ノヴァ)】くらいなモノであろう。それによって、浄化され続けた魔力と俺が生まれながらに持つ属性くらいなモノ。

 

『人命を優先しろと言うなら、この試合は後で仕切り直しして貰うしか無いだろうな。あ……また、たわんだ』

 

『たわんだ!?たわんだって何がや!?』

 

『この会場の空間が、強大な圧力を受けて波打ってるんだよ。その影響で空間が軋んだりたわんだりしている訳だ』

 

視線を無意味に上へと上げて行くと、その圧力が掛けられていると思われる中心を見付ける事に成功した。うわぁ……リングの直上に出現するつもりなんですね?確実に、覇王っ娘とチャンピオンを殺しに来てますねw。インターミドルチャンピオンシップの会場が、屋内で天井があるが故に空間の歪みがモロわかる様になっていた。

お陰で、その中心を知る事ができた訳ですが……スゲッ、屋根を支える骨子がグニャグニャしてる様に見える。

 

『既に、秒読み段階だったか……許可を貰ってからと思ったが、そんな暇は与えてくれなさそうだ。悪ぃ。この試合、中断させるぜ?でもって、本気出すから……ああ。次元振とか色々あるだろうけど、空間を引き裂いたりはしないから世界が滅びる心配はしなくて良いよ?』

 

『ちょぉ!?』

 

それだけ告げて、俺はその場から離脱した。

いやー、ごめんよ?ホント、申し訳ない。でも、俺の記憶が残る事は無いだろうから安心して欲しい。俺が本気を出した事も、TV放送で《古き落ち神》vs《神殺し》のバトルが流れたとしても誰かの記憶に残らない様にするから……大丈夫、大丈夫。

そんな事を思いながら、歪みの中心を元に結界やら防壁やらを展開していく。今は未だ、本格的に展開はしていないけど……それでも、他の人がリング近くへ近付く事は出来なくさせて頂いた。

さて、ドンドン術式を展開していきましょうかねぇ?

 

ズンッ!

 

ーー最初は、空間が軋んだりたわんだりする程度の衝撃だった。

 

結界、防壁、障壁、耐性、空間隔離、浄化、属性付与、強化術式と、空間遮断には届かないレベルでリング周辺を術式で囲む様に展開して行った。リング下の床には、空間遮断を含む防御壁を展開しつつ展開した結界やら防壁&障壁等を衛生軌道上にまで延ばして行く。イメージ的には、細長い試験管を想像してくれれば良い。

そうなる様に、術式は組んである。まあ、リンカーコアによって出力が抑えられているので必要とされる魔力量には届かないんだけれど。今は、薄くても構わないので準備だけは終らせた。

 

ズシンッ!!

 

ーーでも、今に至っては疎い人間でも感じられる程度には大きな衝撃となって空間を揺るがせている。

 

つい先程、ヴィヴィオ達が覇王っ娘に声援を贈っていた手摺によじ登りフと背後を振り返った。すると、何故か泣きそうな顔をしたなのはさんが視界に入り少し首を傾げる。やっぱり、わかる者にはわかるんだ。まあ、これだけ【外】からの干渉が与える影響が大きければ隠しようもないか?

 

ズッ、ドン!!

 

ーー更に大きく、空間そのものが揺るがされる。流石にもう、誰も彼もがこの振動の元をザワメキながら探し始めていた。

 

「リンカーコア、排出……」

 

足元に、ピンクに輝くミッド式の魔法陣が展開されて俺の胸元からなのはママの複製リンカーコアがゆっくりと排出される。それを見て、もう一度なのはさんに視線を向けると驚いた様なちょっと嬉しそうな顔をしていた。流石、【母親】。自分を真似られて、嬉しく思わない【母】は鋳ないか?それが、俺を封印しているモノだと知れば尚嬉しいのかも知れない。排出されたそれを、優しく祈る様に手で包み込み……覚悟を持って砕く。

 

ダンッ!ビキッ!!

 

ーーついに、空間に皹が入る音が鳴り響いた。

 

「ーー……コア、ブレイク!!」

 

砕け散るリンカーコアの音が、自棄に大きく響いて周囲の人々を驚愕の表情にして固まらせる。それは、赤の他人だけでなく俺を知るチビッ子達や引率のミカヤも含まれていた。リンカーコアが砕けた瞬間、足元のピンクの魔力光に輝くミッド式の魔法陣も消滅し、代わりに青白く輝く俺本来の魔力光にて頭上と足元に新たな魔法陣が展開される。それらは、とても細かく複雑な幾何学模様を描き誰も彼もの目に深く焼き付く。

 

「魔力、解放!モードチェンジ、通常モードより戦闘モードに移行。全力全開。弾け飛べ、《ソニック・ボム》!!」

 

そう、告げてリングの方向へ手を突き出すと覇王っ娘とチャンピオンの目の前が爆発して周囲の人々諸共壁際まで弾き飛ばす。と同時にバキンッ!という音が響き、ベチャッ!と先程まで覇王っ娘やチャンピオンが居た場所に漆黒の【泥】が落ちて来た。

 

「ひぇ!?間一髪!?」

 

本当に、一瞬でも遅れていたらあの【泥】が覇王っ娘やチャンピオンの真上に落ちていた様な状況に……ホッとすると同時に、ゾッとした寒気を背筋に感じる。ヤバかった。間一髪だった!!

 

「術式解放!フル展開!!」

 

それまで、待機状態だった術式をアクティベートしF2観覧席の手摺に沿う様に防御術式を展開した。ついでに、俺を中心に上下に挟む様に展開されていた魔法陣が……頭上は降下。足元は、上昇し交差して通り過ぎた後には俺を幼児から少年へと変化させた。

つーか、リングを中心に場外部分も巻き込んでそこそこ広い空間を確保した訳ですが……ちょっと、手狭かも?まあ、空間隔離するから観覧席や壁際に影響をもたらす事は無いけれど……【泥】が暴れて、結界から溢れた場合はヤバいかも知れない。とりあえず、隔離防壁結界のコントロールを使い魔達に委譲して維持と再生・再施行をお願いする。

 

「本体召喚!魔力、完全掌握。僕が、本体と融合して結界内に入ったら空間そのものを隔離。その後の維持と再構築はよろしく」

 

足元の魔法陣から、外側の【船】のブリッジにあった【柩】がゆっくりとせり上がって来る。それと同時に、目の前にウィンドが開いて六百のカウンターが現れ……【柩】が完全に出現した時点で、カウントがスタート。

 

「端末体の破棄を実行」

 

現在の肉体を破棄して、一瞬の暗転後【柩】の肉体へと意識が移った。端末体はそのまま、使い魔へと譲渡されて結界の維持と再構築の為にその魔力を全て供給するので消滅するまで少しのタイムラグが発生する。その間に、本体へと移った俺が意識を取り戻し切れてしまった魔力供給のパスを再度繋いで再供給開始。

 

ーー《神威》発動。魔力解放&完全掌握。本体の封印解除を実行。

 

封印解除によって、本体が【柩】の外へと排出される。その際に、【柩】の蓋を固定していた四つの巨大なビスがボンッ!ボンッ!!と大きな音を立てて弾き飛びつつ自動送還されていく。

本体が、【柩】の外へ完全露出した所で【柩】の送還を実行。

【俺】自身は、肉体が【柩】の外へ出た所で目を開いて一気に結界内へと躍り出た。結界内部に入った瞬間に翼を広げ、それを推進力へと変換し突撃。これだけで、30秒程が経っていた。

もしかすると、かなりのタイムロスになったかも知れない。

そう思ったけれど、気を取り直して前に視線を向ければ……【泥】は、その存在全てを世界の内側へ潜り込ませ終わり漆黒の球体に変化していた。そして、俺を認識した瞬間に【泥】を無数の触手に変えて突き出して来る。回避行動をという思考と、無駄だからこのまま突撃しよう!という思考が発生するが枝分かれしつつ向かって来る触手の動きを見て回避行動は諦めた。

この手のタイプは、どれだけ時間を掛けて回避行動をしても避け切れるモノではない。むしろ、回避行動をすると時間だけが消費されて何の手も打つ事が出来ず六百秒が過ぎて世界の終わりとなるだけなので突撃する。手足や頭がモゲ様とも、この身は魔力さえ有れば再生する高エネルギー体。

戦術を変更しつつ、どれだけムチャであろうとも突撃し続ける事にした。それに俺の魔力は、《古き堕ち神》に取って取り込めばただダメージを与えるだけの猛毒!!

 

ーーアーティーファクト【聖なる浄化の光】によって、浄化と清めを受け続けた【呪い払い】であるが故。取り込めるモノなら、取り込んでみろ!!

 

本来であるなら、その身に取り込んで自身を強化したり修復したりするリソースの元とするのだろうけど、取り込めばダメージにしか成らない俺の魔力では狂っているとされる《堕ち神》でも取り込んだりしない。むしろ、俺の手足を切り落としながらこちらの魔力を削り切るつもりの様だ。それ故か、《堕ち神》が繰り出す攻撃の激しさは苛烈を極めた。こちらも、何とかダメージを与え様と突撃を繰り返すが当たらなかったり回避されたりと中々に難しい。

これは、ちょっと根本的な戦術を変更せざるを得ない模様。

先程は、多少の修正で終らせたけど……想定していた戦術は、即時破棄する事にした。つか、無理!当たらない。

 

ーー連絡。使い魔へ、意思通信。結界内上空に、魔法式《グングニル》スタンバイ。ついでに、リングの中央にアイテムBOXから念動力で取り出した一メートル程度の棒を突き刺した。

 

更に、【外】に待機中のウォーティーにメール。

 

()()で押し出したいから、合図を送ったら【孔】開けてくれない?』

 

使い魔経由で、ウォーティーにメールして貰い魔力をバラ撒く。

戦闘中なので、返信は受け取れないから伝わったモノとして戦闘に集中する。つか、戦闘と言っても魔力をバラ撒いて手足や頭をブチブチ千切られるだけのお仕事だけど。

まあ、あちらから俺に触って来てくれるのだから浄化と清めの力は浸透していると思われる。ただ、当たっているのが触手だから本体まで浸透しているかと言うと疑問に思わざるを得ない。

一応、俺を穿った後も本体とは繋がっていて、切り離される等の対応は取られていないけど……本体まで、届いているかは不明だ。

なので、【呪い】を削っては居るようだけどそれは微々たるモノだと判断して置こう。それに対して、俺の魔力はというと……一応、頭や手足を構築する魔力を調整してはいるけれど彼方さんよりかは多いと言わざるを得ない。どれだけ、調整していても特に頭を構築する魔力はそれ相応の魔力を消費する事になるのでちょっと不利だった。ただ、術式等の構築には支障がないので問題無いんだけどね?という訳で、会場の天井付近にある照明前に《堕ち神》を捕まえる為の封印柱を構築する事に成功。これで、《堕ち神》をあの封印付近に移動させれば自動的に絡め取る事が出来るだろう。まあ、それが可能かどうかはちょっと難しいけれど。

とりあえず、それだけの為に己の手足に術式を仕込んで《堕ち神》本体近くを掴んだ拍子に上空へ向かって跳ぶ様にしてみた所……《堕ち神》が、驚いた様にぐにゃぐにゃと蠢いた。その一瞬の動揺を突いて、リング下に潜り込ませていた元俺の手足を起爆する。

フヨフヨと浮いていたから、その程度で吹き飛ぶとは思って無かったけれど……予想した以上に、《堕ち神》の動揺が酷い。というか、たった120秒程の間にほぼ床一面レベルの手足を千切られた俺としてはこれくらいの反撃など微々たるモノなんですけど!?

というか、反撃がある等と思っていなかったのか、《堕ち神》は酷くお怒りの御様子。

 

ーーえ?マジで、想定してなかった!?

 

魔力爆発に、ポーンと封印柱の近くにまで飛ばされてぐにゃぐにゃと蠢いていた《堕ち神》はドバンッ!と弾ける様に分散し俺に殺到する。てか、そんな攻撃が可能とか……そこそこ驚いたけど、封印柱に絡め取りたかった故に回避行動を実行しつつ上へ飛ぶ。

 

ーーつか、まさかのブチギレ!?生きた心地がしないんでs、あーーーーー!?

 

封印柱まで、届かなかったけれど俺自身は《堕ち神》に弾き飛ばされて天井を突き破り【外】へと追い出されてしまう。だが、その天井を目隠しに使って大量の浄化術式込みの魔力弾を生成して穿ち放った。そして、それ等と共に突っ込んで行く。流石の《堕ち神》も、封印柱の存在は知っているらしく俺を会場の外へと追いやった後、そのまま隔離空間の境界に近付いて俺の結界を攻撃し始めていた。だけど、浄化術式が込められた魔力弾が近付いて来ると直ぐ様その場から離脱して回避行動を取る。

それと同時に、目眩ましと嫌がらせの意味を込めて天井を攻撃し瓦礫の山へと変化させた。更に、浄化術式の魔法も隠せて一石三鳥である。因みに、封印柱には傷一つ付けてはいない。というか、瓦礫程度で傷付くくらいなら【封印柱】としては役に立たないからw。だって、歴代の《堕ち神》を抑えて来たとんでも術式だぜ?

ちょっと、瓦礫が当たったからって傷なんて付くハズもない。

 

ーーへぇ、流石の《堕ち神》も浄化術式には触れたくない?

 

なら、床一面にバラ撒かれた俺の手足に浄化術式を構築させて待機状態にしておく。すると、それに気が付いたのか《堕ち神》は先程まで浮遊していた場所よりも高い位置に移動して床から一定の距離を空けて降りる事を避ける様になった。

 

「……………………」

 

しかも、一定の高さから上には昇って来ようともしないのである。こりゃ、封印柱の効果もバレている様だな?まあ、知らなくてもヤバいと言う事は本能で察して来るのが《古き堕ち神》の特徴ではあるけど。ああ、【全知】の影響らしいって話だ。

 

 

 

 

 




ちょっと長くなったので、二分割。なんで、話の切りが良い所で分割したので最後はちょっとおかしな終わり方になってます。ですが、仕様です。気にしないで下さい。

因みに、結界の外では……最初こそ、クレームの嵐だったのに超常戦闘が始まったら皆黙ってしまいました。まあ、双夜の動きは見えてないけど《堕ち神》は一所に常駐して双夜を迎撃いるのでただ見てる分には凄まじい魔法数と激しい攻撃にそこそこ興奮している模様。まあ、双夜の手足が千切られても次から次へと生えて来るから気にも留めない……ああ。いや、観覧者からは双夜から光る魔力?みたいなモノがポロポロバラ撒かれて行く様子しか見えないんだったねw。それはそうとして、双夜がそこそこ自分の戦術に他人を巻き込んで組み込んでいる辺り双夜もそれなりに自己中なんですよね。
つか、返信が来ないからと言って双夜が不安になったりはしないのも相手が《堕ち神》で世界の内側に入って来ているから無視は出来ないっていう前提があるんですよね。そうで無ければ、他人を自分の計画に巻き込んだりはしないと思われるんだけど、ね?



怖い話しを聞いたり見たりしていると……家が、パキ!とか……物音がドコッ!とか……人の気配を感じたりする。だが、気にしない。
ちょっと、ビクッ!?とするけど……それだけ(笑)。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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