絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四〇九話

Re:

 

 

転生者に、ネタバレされた。

 

今度、ヴィヴィオとミウラの試合があるんだけど……ヴィヴィオは、負けるんだそうだ。その話を聞いた時、うっかりネタバレをしてくれた転生者を血祭りに上げてしまった。この後、どんな顔をしてヴィヴィオに会えば良いんだろう?マジで、扱いに困る情報だったので絶賛思案中である。転生者達は、円状に集まって何やら話し合いをしているみたいだけど……ネタバレをするかしないかで意見が別れている模様。何を相談してるのかな?

 

ーー術式展開。《結界》。

ーー空間隔離開始。《属性》ループ。

 

「もう、皆ってば!そんなに走りたいの?」

 

そう言って、輪になって話し合いをしている彼等にニッコリ笑顔を向ける。すると、何故か怯えているけど……死ね。

 

ーー使い魔召喚。魔力充填、《ビースト》モードEX。

 

「大丈夫。ちょっと、ワンワンに追い回されるだけだから!」

 

ただし、俺の魔力によって巨大化したビーストに追い回されるだけだ。ええ、それはもう最初の頃の神崎が体験したレベルを遥かに越えるリアル三角ワンワン(テンダロスの猟犬)レベルに追い回されてくれ。俺の影から、三・四メートルのクトゥルフ系SAN値直葬なグロい犬が現れる。すると、転生者全員が真っ青になってジリジリと後退し始めた。俺は、ニンヤリ笑いけしかけた。

 

『『『ギャアアアァァァァ!!!』』』

 

ついでに、玉虫色のジョゴスも呼んで適当に転生者達を追い回してくれる様にお願いしてみる。結果、俺の本気料理三回分で引き受けてくれた。ほほぉ?クトゥルフ系ビーストすら、虜に出来ちゃう訳ですか?もしかすると、依存性があるのかも知れないけど二つ返事でOKを出す。クトゥルフ系ビースト達は、仲が悪いとされているけど……それは、人間の思想であって真実ではない。

まあ、あの関係性は宗教的な話ではなく政治的な関係性なのでぶっちゃけ気にしなくても問題はない。そもそも、同系主神に使えている奴等だ。仲が、悪い訳が無かった。

 

ーーSAN値直葬と言われてるクトゥルフ系ビーストだけど?

 

それって、グロ苦手な人に寄るんじゃね?そりゃ、多少はズッシリとした圧を感じたりはするけどまだ問題無さそうだ。それに、グロが駄目なら視覚を閉じちゃえば良いだけだし?とは言え、空間把握系のスキルが無ければ逃げられないんだけどね。目を開けて、クトゥルフ系ビーストを見て悲鳴を上げながら逃げ回る馬鹿共を見ていれば、そんな上等なスキルが無いのはわかり切っているので諦める。君達は、とても面倒臭い奴等だったよ?お疲れ様。

 

「ビースト!見せしめに一人、san値直葬してやれ!!」

 

「ちょおぉぉぉ!?」

 

「前回は、『良い子』にしてやったが今回は廃人になって貰うぞ!?さあ、殺れぇ!テンダロスの猟犬!!」

 

「全力疾走おおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

『『『ホイ、ヤッ、サー!!』』』

 

「余裕そうだな?《スピードブースト》、フルブースト!!」

 

『『『ギャアアアァァァァ!!!』』』

 

ビーストの数も増やし、スピードアップのバフも掛けて放置する。

最初に、転生者を追い回せと命じてあるのでビースト達は嬉々として馬鹿共を追い回してくれた。それを、ボゥーっと眺めて居ると神崎がフラフラとやって来て、昨日の【始まりの魔法使い】との話の内容を訪ねて来たのを受けて講義する気になる。

 

「神崎は、《堕ち神》の最終形態が予想出来るか?」

 

「……《堕ち神》の最終形態ですか?」

 

「そうだ。《堕ち神》の最終形態だ」

 

「…………【アンリマユ】ッスね。『この世、全ての悪であれ』と願われて聖杯を呪いの【泥】に変えた存在が居たッス」

 

「…………それも、何かの物語の知識か?はぁ、人間ってのは想像力豊かだな。でも、正解だ。《堕ち神》の最終形態は【泥】となる。ついでに言うと、煮詰め続けた【呪い】だからドロドロに融けて不形生物状になるからスライムという意見もある」

 

「ああ!ジョゴスッスね!!」

 

何故、そこでクトゥルフ系ビーストが例えとして出て来るのか意味がわからない。そんなに、クトゥルフ系ビーストを呼び出して欲しいのか?呼べって言うなら、幾らでも呼んでやるぞ?

 

「あ、要らないです。呼ばないで下さい!!」

 

「チッ……」

 

しまった。どうやら、顔に出てしまった模様。これなら、何も言わずに呼べば楽しい時間となったハズなんだがな。いやはや、残念だよ。それは兎も角、【泥】についての説明だったな?

 

「前にも言ったけど、【呪い】をドロドロになるまで煮詰めてそこにとある存在の肉片を入れたら転生者を《堕ち神》にする特効薬が出来ると言っただろう?」

 

「そんな話、されましたか!?というか、そんな特効薬があるんですか!?」

 

「おぉ。触っただけで、狂気に囚われた《堕ち神》が出現するぞ?ハハハ。それはもう、ただその【泥】に触れるだけで《堕ち神》になるんで誰も使わないけどなw」

 

「駄目じゃん……」

 

「いやいや、《堕ち神》を量産するには良い方法だよ?」

 

ただ、狂気に囚われるんで正気には戻せなくなるんだけどね。

以前、どこかの世界で一度《堕ち神化》した転生者を正気に戻して再利用するなんて頭のおかしい事をやらかした馬鹿共が居たけど、それが一切出来なくなるので《神殺し》的には推奨される方法だったりする。だって、面倒臭いじゃん。一度、堕ちた奴を正気だった状態に戻して転生させるよりも大量に転生させた奴等にソレを触れさせて《堕ち神化》させる方が楽で良い。対応する方は、大変だけど……まあ、今は俺がやる訳じゃないから後者推奨。

 

「というか、一つ実験をしたくなるけどね……」

 

「実験?ですか……」

 

「『きゃるーん♪』な状態と化した君を相手にするとしたら《堕ち神》は怯むのだろうか!?っていう実験……」

 

「…止めろ下さい!!つか、俺の精神が死にます!!」

 

「一瞬、考えたな?それで、怯むなら良いかも……と!」

 

「考えてねぇよ!訳のわからん事を言い出した師匠に一瞬頭が真っ白になっただけだよ!!つか、俺を変態にしようとすんな!!」

 

「えー……良い方法だと思ったんだけどなぁ……」

 

「良い方法じゃねぇよ!?なら、師匠がやってから言って下さい」

 

「やるとしても、少女化してやるだけなんだけど……?」

 

「チクショウ!!」

 

手札は、多いから君が望む結果には成らないよw。

まあ、流石に『きゃるーん♪』とは言いたくないけど……でも、やるとなったら俺は真剣に成り切るんだろうなぁ。下手に羞恥心で躊躇したりすると、演技としてソレをするにしても出来なくなるので思い切りが必要だ。魔法少女なんて、お酒でも飲んで無ければやる事なんて無いからね。あ、そう言えば【お酒】だ!最近、お酒飲んで無かったや。とは言え、お店は未成年飲酒禁止なので売ってもくれない……だが、料理酒なら高町家の台所にあるだろうから家に帰ってから酒盛りでもやろうかな?

 

「ねぇねぇ、神崎!僕と契約して、魔法少女になってみない?」

 

「……なんで、その台詞を言い出すんですか!?」

 

「??? 何で?魔法少女と言えば、契約は必須だろ?」

 

「…………OK。それ、誰が言ってたんですか?」

 

「んー?大魔導師だけど?」

 

「大魔導師って、誰だよ!?」

 

「ガク・セトイルド。またの名をイッエース!ロリーター♪タッチ上等!!だけど……?」

 

「ア、イ、ツ、かぁ!!」

 

何やら、神崎が顔を真っ赤にして怒って居るんだけど?何故、そんなに怒るのかは俺にはわからない。でも、それ故に契約云々が何かしらのネタである事を察した。そうか、アレってネタだったんだ。何のネタかは、わからないけど……常習犯共では、俺がネタを拒否る様になってしまったから別の奴に頼んで仕込んだ模様。

まさか、そこまで俺にネタを教え込もうとしているとは思ってもおらず、偶々それを知っていた奴の反応で判明するとは思っても見なかったよ。さて、どう報復してやろうものか……。

 

「まあ、兎も角……お前は、転生者が【堕ち神化】しない様に見張って居ると良い。どうなるかは不明だけど、暗い情念を持った奴の元に現れるタイプだろうから何も考えさせない様にすると良い。考える暇が無けりゃ問題はない」

 

そう、転生者の方はそれで問題から解放されるけど……ぶっちゃけ、今は転生者よりもヤバい奴が原作に一人居る。最悪、試合中断させて多くの人々が居る所で、俺の本体を呼び出しガチモードの俺が手加減無しで戦う様を魅せる事となるだろう。その後は、考えるまでもなく……色んな所の監視下に置かれて、見張られつつ世界の調整をし終われば解放されるという日々が待っている。

断言しよう。今みたいな、中途半端の自由は無いと思われる。

 

「あーもう、面倒臭っ!嗚呼、ホント面倒臭い!」

 

「師匠。いきなり、頭を抱えて愚痴らないで下さい」

 

「うるせぇ!自由の無い、未来が見えてるから辛いんだ!!」

 

「えっと……それは、転生者達の、ですか?」

 

「僕の、未来が、だよ!!」

 

このままでは、本当に俺の自由が奪われ拘束される日々が待ち受けかねない。何か、対策を立てないと後が無くなってしまう。

それに、そんな監視下で世界の調整が長々と出来るハズも無いので時間が掛かるだろう。つまり、この世界から解放されない事になる。そこまで考えて、俺はそんな窮屈な日々を送れるか!と頭を抱えた。今まで、アレだけ自由を謳歌して来た者がここに来てその自由を奪われる状況へと落ち様ものならストレスで禿げるだろう。

だが、そんな所に落ちて堪るか!という反抗心がムクムクと盛り上がりギャーギャー喚いてうるさい。

ぶっちゃけ、監視者の元に使い魔を送り込み自分は自由を謳歌すれば良いのだけれど……それをすると、何処かの真面目な局員が五月蝿そうだった。事情を知っていても、何やかんやと理由を付けて寄って来そうだ。まあ、幾つか対応策はあるものの……世界の根源を見せるとかは考えられない。むしろ、下手に身代わりとかを立てたら余計に突っ込んで来そうな人物が二人程居るんだよなぁ……これまでの事を考えても、大人しくしてても間違いなく騒ぎ出す輩が、な?

クソォ、手の内を見せ過ぎた!!

世界の調整が終わらない限り、俺がこの世界から解放される事は無いので監視が付いたら面倒この上なくなるのは言うまでもない。

その上、手の内を晒しているから大人しくしていると逆に疑われる始末だろう。そんな状況が、目を閉じるだけでアリアリと浮かんで来るので大人しくするのは駄目だ。だからと言って、監視者を構い過ぎると調整が出来ない。いっその事、監視者そのモノを黙らせてみるか?それで、不可侵条約的な契約を結んで監視者を派遣されない様にしてみるとか?いや、それじゃぁ管理局の上層部が納得しない。むしろ、嬉々として邪魔しに来るだろう。

一旦、【外】に出られれば話は変わって来るんだけど……それも、出来そうに無いから困っている。嗚呼、ホント面倒臭いなぁ。

だからと言って、【泥】を排除しなければ滅びるのはこの魔法少女の世界だ。下手をすると、平行世界も纏めて滅ぼされる可能性が高い。ああんもう!なんで、【泥】なんだよ!?【泥】でさえ無ければ、少し放置しても許されたのに!!

 

「……どれくらい、拘束されそうですか?」

 

「この世界である限り、ずっと……だよ!!」

 

嗚呼、面倒臭い。とても、面倒臭い。

 

これなら、姿を眩ましてどっかに引き籠りたいくらいに面倒臭い。

でも、それが出来るならばこんなに困っては居なかった。

ぶっちゃけ、姿を眩ますなんて行為は今回に限って出来ない。

だって、これだけ多くの転生者が居る以上、それを管理する存在が必要だ。神崎に任せても良いのだけれど……多分、神崎一人では管理仕切れない。テオルグ達の協力があったとしても、ほぼ不可能だろうという判断しか下せない。

何故なら、次に新しく現れるであろう転生者は神崎達だけで対応するのは無理だろうからである。これまでの傾向を見るに、あちらも手探りではあるものの少しずつエスカレートしている様子が見て取れたからだ。特に、神様特典と呼ばれるモノが無害なモノから実害のあるモノへと変化しているからな?この間には、核兵器なんてモノを持ち出した馬鹿が出る始末。あの時は、どっかの誰かさんが考案した対応策を使って無害化したけど、それを神崎に求めるのは不可能に近い。神崎では、放射能物質を無害化する魔法とか使えないからなぁ……つか、それを使う為には【鮮血の】から科学知識を学ばねばならない。その為、ちょこぉっと【鮮血の】に苦手意識を持っている者にはそこそこ苦痛に成りかねないのだ。まあ、植え付けたのは俺なんだけど、ねw。

 

「あ、そうだ!本体が、召喚出来るんじゃん!!」

 

なら、話は簡単だ。本体と共に、【外】へ出てしまえば良い。

本体を《召喚》出来るなら……当然、本体を元の場所へ《送還》するまでがセットだ。ならば、本体の《送還》ついでに俺も【外】へと出ちゃえば良いのだ。ぶっちゃけ、本体を戻す場所は【外】にある【船】のブリッジにある【柩】だ。端末体を出さずに、そのまま本体の中に居れば自動的に【外】へと排出される事になる。

【外】に出てしまえば、後はこっちのモノだ。【内側】に居る人々の記憶が失われ、人間関係もリセットされるのだからこっちの手の内は誰の記憶にも残らない。出会わなければ、世界の調整をこっそり出来て自由かつマッタリと悠々自適に楽しめる!!

 

「ヨッシャー!明るい未来が見えて来た!!」

 

「何故でしょう?とても、嫌な予感が湧いて来るのですが……」

 

「お主もか?先程まで、Masterが苦悩されていた時までは何でも無かったのだがの……唐突に明るくなったと思えば、背筋が……」

 

「何故かしら……私も、とてもゾワゾワするのだけれど?」

 

「翼も?何だろう、引き籠りたくなって来た……」

 

「お?風邪か?なら、今日はもう帰っても良いぞ?」

 

「「「「いや、師匠(貴方)(Master)のせいだよ!!」」」」

 

「そうか。なら、何時も通りだな?」

 

本当に、何時も通りで笑いが込み上げて来る。ついつい、神崎曰く邪悪な笑顔なるモノが顔を歪ませて行くけど……ストレスフリー最高!!ニヤニヤしていると、訝しげな神崎達が俺を胡散臭そうに見詰めていた。多分、その考えは正解だぞ?俺が【外】に出たら、全ての問題が神崎達に擦り付けられるからなw。故に、その未来を本能が直感的に察知して背筋に伝えているのだと思われる。

だからと言って、その未来を変えてやる理由は無い。全ては、俺が自由に活動する為に!!大丈夫。調整が終わったら、速攻でこの世界から退去するからそれまで我慢していてくれたまえ!!

 

「あ、そうだ。神崎に、報告があったんだった……」

 

「なんすか?師匠が、俺に報告?」

 

「ニャハハハ。そんなに、怯えるなよ。ちょっとした、報告を受けたからその伝言さ。浅上兄妹を回収したって話があっただろう?あれの続報さ……」

 

「あ、他の奴等も回収されたんですか!?」

 

「いや、本体データは回収したんだが……それを使った複製体が、他にも居たらしくてな?その回収がされたって話だ」

 

「…………え゛……浅上兄妹が、増えたんですか!?」

 

うわぁ、とても嫌そうな顔をしてくれますねw。

 

でも、神崎の言う通り同一人物が複数人いるという状況が生まれているのは事実なので否定はしない。それ以上に、面倒事が増えて【組織】の方はてんてこ舞い状態だけど。だって、複数人だよ?

流出データが、コピーされて更に回されている可能性まで出て来た訳だ。その全てを回収しなければ成らないなんて面倒以外の何物でもない。でもまあ、ロック・ウォーの話ではそこまで問題視しなくても大丈夫らしい。何でかはわからないけど、放置でもOKなんだそうだ。それを聞いて、回収班にはロック・ウォー以外にも関わっている奴が居るのだろうと思われる。

そっち方面の専門家と言われれば、幾人か思い当たる奴が数人居るけど……はて、誰だ!?まあ、間違いないのはカルヲとかセルシノ辺りだけど?運系の能力者なら、確率変動のルイヴォトス?失せ物探しのカルヴトーレ?もしくは、拾い物や収集家系の奴等か……うん、わからん。それは兎も角、俺的には浅上兄妹以外の幼馴染みぃズが回収されていない事が気になっている。

だって、他にもたくさんいるハズなのにその他の幼馴染み達の話が出ないというのはおかしい事でしかない。ワザと、伏せられているのかと思うレベルで!ワザと伏せて無いとすると、普通にサルベージされてないって事になるんだけど……サボってる?

 

「催促メール出して置こう……」

 

催促メール……大量送信しておくか?大量に送信して置けば、みんな気合いを入れて頑張ってくれそうだもんな?ついでに、エールも含めて置けば気力アップで元気に頑張ってくれるんじゃね?

そんな訳で、ランダムで応援&催促メールを数百パターン程送り続ける。最後の方になると、面倒になって来て適当に空白交じりの文で流してたら逆ギレ通信が入ってメッチャ怒鳴られた。

 

『うるせぇ!!何、迷惑メールを送って来とんじゃ!?』

 

「迷惑メールじゃねぇ!ただの、応援メールだ!!」

 

『迷惑メールだろ!?普通に、迷惑メールだよ!!』

 

「とりあえず、サルベージまだぁ?」

 

『まだだよ!サボっても無いからな!?』

 

「じゃ、何人分まで回収されてるのぉ?」

 

『…………伏せてもねぇよ。つか、浅上兄妹のデータは実働部隊が回収して来たんだからな!?サルベージ部隊が回収した訳じゃねぇからな!?』

 

「あれ?そうなんだ。成る程、だからあんなに速かったのか……」

 

『そうだよ。通報元に駆け付けたら、調度目の前で浅上兄妹を転生させ様としている場面で現行犯だったんだよ!!』

 

「ハハハ、マジか!そりゃ、回収出来るわw」

 

そりゃ、最速で回収出来ますね。しかも、その状況では複製も再流出もする暇は無かっただろうから曾孫コピーみたいなモノも無さそうだ。詰まる所、浅上兄妹のデータは幸運にも複製される事無く回収されたって訳か……ホント、ラッキー!でも、そうなると他の奴等のデータ回収が無いって言うのも納得の行く結末だ。

浅上データが、実働部隊によって回収されたのであるならば通常のサルベージで時間が掛かっても仕方がないと言わざるを得ない。

となれば、これ以上サルベージ部隊に発破を掛けても意味は無いという事だ。なーんだ。無駄な行為であったか……複製、乱数展開。無差別送信!ただし、【組織】の施設のみに限られる。

 

「もっと、実りのある報告が聞きたかったよ……」

 

ポチッとな?

 

『ちょぉ!?何してやがるんですか!?大量のメールを流し込まないでくれません!?ぎゃあああぁぁぁ!!シスt』

 

唐突に、ブツッ!という音と共にウィンドが真っ黒になる。

 

「ふぅ……」

 

どうやら、【組織】のシステムを一時的にダウンさせる事に成功した様だ。いやー、使い魔と連動して一斉に百万通以上のメール送信は【組織】のシステムでも処理仕切れないらしい。実際には、百万どころか一千万以上のメールが届いているだろうけどw。

 

「やっぱり、量子コンピューターと言えども動画メールの一斉送信は堪えるらしい。容量的には、TB級の動画だからな?」

 

しかも、超高画質の神崎くん『きゃるーん♪』動画で【組織】のシステムをここまで追い詰められるんだ。最新の暗黒歴史なら、もっとイケるかも知れない。あ、動画の着信即自動プレイスタートを完備して置かなきゃw。とりあえず、ついでだったのでサーバーもダウンさせて【鮮血の】に謝罪メールを送っておく。

直ぐに、クレームメールが来てたけど知った事ではない。

 

『ごぉら゛ああああ!?何してくれとんじゃボゲェ!?』

 

「サルベージ、よろ!!」

 

『はぁ?サルベージ!?それ、システム落としする理由に成らないよね!?ん?んん!?あれ?何、これ……ちょ、お前、今、何処に居るの!?ちょ、メーデメーデ!!【泥】出現!!お前、絶対、無茶するなよ!?絶対だからな!?』

 

「はいはい、切りまーす!」

 

ブツン!と、速攻で【鮮血の】との通信をカットする。まさか、通信で【泥】の存在に気が付くとかどんだけ【鮮血の】の【真実の瞳】は強力なのか……逆に驚いたわ!!というか、アレが通常運用される【真実の瞳】か……なんて、恐ろしい。

普通に、ドン引き案件なんだけれど!?

 

「…………ヤバイなぁ……」

 

アイツ、周囲の仲間集めてここに来るんじゃねぇだろうな!?

それをされると、色々な面倒事が浮上して来るんですけど?

つか、調整内容が増える!!でも、奴が仲間を集めるにしても例の事案でこっちに来られる人員は少ないハズ。それが、救いと言えば救いだけど……これ、不味い事になったんじゃね?

 

「面倒臭いなぁ……」

 

変な所からの通信で、色々と面倒臭い事に成りつつあるけど。

まあ、何とかなるだろう自業自得だ!と諦める。というか、【鮮血の】の【真実の瞳】を侮り過ぎたのが敗因か?まさか、通信越しに『視た』だけで【泥】の存在に気が付くとかありえない。

まあ、それだけ俺の【真実の瞳】が劣化しているのだとわかって少しホッとする。まあ、わかっていても正規の【瞳】に戦々恐々とせざるを得ない。というか、【泥】の脅威度よ……最凶過ぎw。

 

「つーか、マジ面倒臭い。あー、面倒臭い」

 

これが、強制力(笑)というヤツか!!嫌な強制力(笑)だな!?

とりあえず、【鮮血の】にはこの件に【始まりの魔法使い】が絡んで居る事をメールで伝えてーー見ないだろうけどーー【始まりの魔法使い】には、【鮮血の】に知られた事をメールしておく。

 

「ま、見ないだろうけどな!!」

 

どちらも、一つの事に集中すると周りが見えなくなるタイプの奴だから周りが支えてくれるだろうけど。まあ、現状では集められるだけ集めても規定量には足りないだろうから大丈夫、かな?

殆どの奴は、みんな持って行かれた世界の方へ駆り出されて居るからなぁ……直ぐには、来られないだろう。それに、ちゃんと保険も掛けてあるし?アイツ等が来るまでには、決着が付いていると思われる。というか、【泥】相手に何も対策無くして挑むハズが無いだろう!?そんな事、わかり切っているハズなのに、な?

それに、多少のムチャは必要経費だよ?必要経費。何事も、多少の代償は必要なのだよ?全ては、『等価交換の法則に則って』。

例え、その代償が【俺】の【ナニカ】だったとしてもそれは仕方がない事。そうでなければ、誰も【神】なんて存在に牙を剥こうなんて考えないさ。まあ、【神】と言っても狂気に呑まれた存在で、ありとあらゆる【呪い】を撒き散らす最悪の存在ではあるけれど。

でも、絶望に囚われ……今尚、苦しみ続ける哀れな存在に救いを与えるのが我等が使命。永き時を苦しみ続けたんだ。そろそろ、解放してやらねば『等価交換』の法則から外れてしまう。

だからと言って、無罪には成らないんだけどね(苦笑)。そりゃ、贖罪は必要だよ?狂っていたとは言え、彼が犯した罪は……重い。

でも、だからこそ……『狂いし者に断罪を、破滅誘う者に制裁を……我ら、《神殺し》の名に賭けて』!

 

さて、それじゃぁ……一つの絶望を払いに行こうか?

 

 

 

 

 




さぁて、【泥】戦、行ってみようか?ドブ臭程度なら、なんとか我慢出来そうだけど……生物(ナマモノ)臭だったら、死ねる!!濃厚な鉄錆び臭とか、濃縮された磯の香りとか……地獄ッスね!!そこに、男臭とか汗の匂いとか混じると終わります。ウプッ……!!
海から這い寄る者……(磯臭い)とか、山から這い寄る者……(血生臭い)とかが、ワラワラやって来るんだぜ?マジで死ねる!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

作者のどうでもいい話。口裂け女。

最近、作者が嵌まっているのは『怖い話』。
YouTubeで、視聴者に語り口調とアニメーションで聞かせるタイプのモノ……に嵌まっている。その中に、『口裂け女』って話があった。まあ、昔から良く聞く都市伝説的な怪談だな。ぶっちゃけ、怖くもなんとも無いんだけど……概要だけは、説明して置こうかな?
見た目は、髪が長く赤いレインコートみたいな服を着たマスクをしてる女。出会ったら、『私、キレイ?』と聞かれる普通のヤツ。
そこで、『キレイだ』と答えるとマスクを外して『これでも?』と訊いて口が裂けているのを見せて驚かして来るっていう話だ。
まあ、ここで普通の奴なら悲鳴なり逃げ出すなりするんだろうけど……最近は、こんな奴が現れたらしい。
『お姉さん、この後……暇?』
口が裂けているのを確認した後にナンパして来たのである。

因みに作者は、ギャグネタで男のアレが超膨張して大きく成り過ぎてしまった○根を見せ『貴女の様な女を待っていた!』とラブホでメチャクチャS○Xをした。って話を見た事があるけど……今回のは、その亜種みたいな話w(ネタバレ)。

口裂け女と遭遇してしまったその男は、モンスター娘に性的に興奮するという性癖を覚醒させてしまった男だった。余りにも、モンスター娘に恋い焦がれていた彼は、その時余り正気では無かったらしい。そんな男の前に現れた口裂け女……ハッw。これぞ正しく、飛んで火に入る夏の虫、である。そりゃ、男も口裂け女を見た瞬間は震え上がったのだが……良く良く考えると、口裂け女ってモンスター娘なんじゃね?という閃きに近い発想に頭の先から爪先まで雷撃を食らったかの様な衝撃に震えたと言う。その後、男の行動は速かった。口裂け女をナンパして、ササッと女のプロポーションを確認する。それなりに良いプロポーション!顔は、口が裂けているのでわからないがその存在自体は超ドストライク!!
戸惑う女にグイグイ行く男。『連絡先交換しねぇ?』
あの手この手で、矢継ぎ早に質問を重ねて……デートにこぎ着けた!
そして、後に語る。『それが、今の嫁です』。

っていう話を思い付いたよw。モン娘大好きって性癖なら、口裂け女もイケるんじゃね?いや、マジでw。モンスターは居ないけど、妖怪ならワンちゃんありそうだよね!!朝、目が覚めた時にちょっと驚くかも知れないけどwww。
(正気度:低 狂気度:高 SAN値直葬中)

ぶっちゃけ、お岩さんでも良いぞ?鬼灯の冷徹で、美化されていたとしても日本古代の病んデレって話だからなぁ。流石に、メルヘン系の病んデレは厳しいけど……美人が怨念で闇堕ち化け物化くらいならイケる可能性がある。モンスター居ないなら、妖怪や怪談で妥協すべきだと思わないかい?

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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