絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三九八話

Re:

 

 

一週間後。

ーアラル港湾埠頭・廃倉庫区画ー

 

今日は、ヴィヴィオと覇王っ娘が再戦する日。

俺は、来るつもりは無かったんだけど……ナカジマファミリーに拉致られて、何故かこんな所に連れて来られた。まあ、それは良いとして……この一週間、更なる成長を求め頑張ったヴィヴィオが覇王っ娘と拳を交え戦っている。因みに、俺は手伝っていない。

話相手や護衛だけで、格闘訓練も戦術教導もしてない。

 

「良い感じッスね……」

 

「ぶっちゃけ、覇王っ娘は九歳の時も今みたいに戦えたのかねぇ?つか、相手を弱いと決め付けるくらいなんだ……余程、強かったんだろうなぁ……」

 

「…………お隣が、とっても不穏なんッスけど?(ウェンディ)」

 

「まあ、無理矢理連れて来られたから不機嫌ってのもあるんでしょ?というか、九歳じゃまだ訓練中なんじゃ……(ティアナ)」

 

「いやー、同じスタートラインに立っても無いのに『私、強いから弱い奴とはつるまねぇよ?』とか……舐めてるよね!」

 

「これ、不機嫌通り越して怒ってるんじゃない?(スバル)」

 

と言うか、問答無用でこんな所に連れて来られたら普通にキレててもおかしくは無いだろう!?そりゃ、ヴィヴィオの結末には多大な興味はあるけど……こんな所まで、主張する気は無かった。

ただ、連れて来られた以上はヴィヴィオの成長をしかと見て行くつもりだけど……俺が、拉致られて行く様をなのはさんに見送られたのが解せぬ。これ、先に話を通してあったって事だよな?

つまり、俺はなのはさんに売られたって事だ。散々、イジメたからってこんな報復の仕方はないだろう!?こうして、憎しみの連鎖は続いて行くのだった。覚えてろよ!?

 

「今度の小旅行……覚えてろよ!?テメェ等……」

 

「あー……今度の小旅行、ちょっと予定が……」

 

「あー、私も……バイトが、あるッス!」

 

ギリッと、歯を噛み締めつつ睨んでいたら全員が視線を逸らし其々の予定を口にする。というか、テメェ等……スケジュール表を見ずに良く当日の予定がわかるよな?余程、良い記録媒体を積んでいるんだな?ハードは、残念極まりないって言うのに。

 

「いずれにしろ、なのはさんを含め……この仕返しは必ず!」

 

「アハハハ……不味いッスよ!?このままじゃ、殺されるッス!」

 

「ウェンディが、ソーヤを連れて行こうなんて言い出すから……」

 

「ちょ!?なんで、私のせいになってるんッスか!?言い出しっぺは…………誰ッスか!?」

 

「わ、私じゃないよ!?(ディエチ)」

 

「「私も違います……(双子)」」

 

双子が否定した瞬間、チンクの方に向かった視線は最終的にノーヴェへと送られる。だが、レフリーをやってるノーヴェには通じず……結局、巡りめぐって俺の元へと戻って来て様だ。

 

「そう言えば、僕の死合いはこの後なんだってね?」

 

「そうッスよ?なんッスか、怖じけ付いたとか?」

 

「果たして、僕の出る幕はあるのだろうか?」

 

「どういう意味?」

 

「何、覇王っ娘がヴィヴィオに満足したら……僕の出る幕は無いだろうなぁ……って話」

 

「でも、彼方から申し出て来たんですよ?」

 

「だからと言って、僕が絶対出なきゃならないなんてルールは無いハズだ。そりゃ、戦闘は好きだけど……イジメになるなら僕は引くよ?」

 

「うわっ!私達の時は、あんなにイジメるのに良く言うッス!」

 

「そっちは、別腹。戦闘能力の高い奴の悲鳴は、格別だよね?」

 

「「「「「ひぃ!?」」」」」

 

ニヤリと、邪悪な笑みを浮かべつつそんな事を宣って見せればその場に居た全員がドン引きする。いやー、ホント……戦闘能力の高い戦闘機人の悲鳴は格別だなぁw。次は、エース・オブ・エースの悲鳴とか聞いてみたい所。今日は、自宅でホラー三昧かな?

 

「何はともあれ、僕の出番は無いと思うぞ?」

 

覇王っ娘が、満足しようがしまいが関係なく俺の出番は無いと断言できる。つか、覇王っ娘が求めているのは好敵手であって戦争でも死合いでも無い事が判明したからだ。それに……覇王っ娘の懐に飛び込んで行ったヴィヴィオをガードで止めて、爪先から練り上げたエネルギーを四肢を通して最高の一撃へと変換する。

 

「あ……!」

 

「ーーー一本!そこまで!」

 

「陛下!」

 

「ヴィヴィオ!!」

 

間合いが、掴み切れて無かったのかかすっただけだったけど……顎に一撃が入りましたね。上手く入っていれば、脳震盪でKO出来たかも知れないけど……この後の試合が流れたのは間違いない。

まあ、無理に試合を続行しても周囲が許さないだろうし……な?

じゃ、俺の用事も済ませてしまいますかねぇ?

覇王っ娘の強打で、フッ飛んで行ったヴィヴィオを追ってナカジマファミリーが走って行く。俺はそれを見送りつつ、その場に立ち止まっている訳だが……。

 

ーーードスッ!!

 

次の瞬間、俺の胸から血に濡れた鋭い刃が生えて来た。

 

「くひひひ!モブの分際で、俺の女を侍らしているからこんな目に合うんだよ!」

 

「え!?……ひっ、きゃああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「なっ!?」

 

「ちょ、何をしてーーー」

 

いやー、鋭い刃で背後から一撃とか……普通に、凶行に走る転生者ってサイコパスとか言われる狂人だよね?良くぞ、こんな人格持ちが平和な世の中に紛れ込んでたなぁ。ただ、無理矢理原作に関わりに来たんだろうけど……これじゃあ、絡む前に排除されませんか?それも、原作ヒロイン達に問答無用で犯罪者として逮捕されるんじゃね!?まあ、そういう関わり合いは留置場行き確定なんだけど。

そこまで、考えても無いか?

唐突な凶行に、フラッとよろめいて片膝を付く。

心臓をヤられた事による酸欠が主な原因だろう。

 

「雑魚がぁ!ケヒヒ。主人公である俺を差し置いて、自分だけ原作ヒロインとイチャイチャしようなんて百万年はえーんだよ!!」

 

更に、背後に居る転生者が手に持った剣を振り上げ何度も何度も動かない俺に向けて武器を振り下ろす。その度に、周囲から悲鳴と怒声が聞こえて来るけど転生者は止める気は無いらしい。

 

「ヒャハハハハ!やっぱ、俺が最強だ!!これで、俺の勝利はゆるがない!!さぁて、どれにしようかなぁ?」

 

ついに、俯せに倒されて俺が動かなくなったのを確認すると馬鹿は品定めをするかの様にヴィヴィオ達に視線を向けて勝利の余韻に浸る。その視線は、まるで人形を見定めているかの様だ。

 

「ヒヒヒヒ。良いなぁ、良いなぁ。みんな、とても綺麗だよぉ?ああ……これが、全部俺のモノになるなんて……」

 

その言葉は、目の前に居る者を見ていないかの様な……そんな印象を受ける。だが、それ以上に人を人と思わぬその発言に俺は苛立ちを覚えていた。転生者の中には、人を人と思わぬ者が居ると神崎に聞いていたけど……こういう奴の事を、言うんだろうな。

 

「とりあえず、手足をもいで俺の言う事に従順に従う様にしないとなぁ?まあ、神様特典がある以上……俺が勝つのは、当たり前なんだけど!!」

 

ドン!と、地面を蹴って奴は近くに居たコロナに接敵する。

真っ先に、弱い者から狙うクズ野郎の意図に心の底から怒りが込み上げるけど、今はそれ以上にーーー貫かれた胸が、痛かった。

 

ガッ!!

 

振り下ろされた刃が、コロナに届く少し前に滑り込む様に割って入った俺の腕を斬り付ける。だが、少し皮膚の表面をなぞっただけで大きな怪我にも成らない。

 

ーー我皇流秘技・金剛。

 

己の肉体を、鋼の様に硬くして相手の攻撃を受け止める技。

実際には、己の氣を身に纏い《見切り》と《受け流し》を極限まで極める事である程度の衝撃を緩和する技法。筋肉の硬化は、オマケみたいなモノだ。ほぼ、《受け流し》の応用である。

 

「はあ!?おいおい、テメェはさっき殺したハズだろう!?何、起き上がって俺の邪魔をしてやがるんだよ!?ああ!?」

 

だから、お前の様な未熟者の刃程度では俺の皮膚に傷を付けるので精一杯だと言っている。高々、【神】によってちょっと強くなれる能力を貰ったからと言って調子に乗り過ぎだ。そんなもん、何百年もの研鑽に比べたら微々たる上減でしかないと言うのに。

 

「ちぃいいぃぃぃ!モブの分際で、主人公の俺様に楯突くとはいい度胸だ!その思い上がり、その身を持って後悔するがいい!!」

 

言って、痛々しい馬鹿はそれはそれは嬉しそうに剣を長大な光の刃に変えて振り下ろして来た。だが、ぶっちゃけ隙だらけでその気が無くても余裕で避けられるレベル。しかも、トロい上にド素人そのものな動きであたかも避けて下さいと言わんばかりの攻撃?だ。

つか、転生者ってみんなこんな感じなのかなぁ?だったら、神崎くんで十分お釣りが来るよね?はぁ……交代してくれないかなぁ?普通に、疲れるんですけど?まあ、だからと言って負ける俺じゃないけどね。はいはい、馬鹿の相手は疲れるけどその手にしている武器の攻撃力は本物だろう。故に、敵の持ってる武器を奪う!その前に、現在使っている技の紹介を。まず、既に《神威》が発動中だ。

そこに、其々に対応する極意を突っ込んで左の拳を握って穿ち放つ。狙うは、武器を持つ右手。その中心を!

 

ーーー無限流・《空虚》。

 

ほら、当たった瞬間についでで《瞬動術》もオマケで付けてやるよ?豪華だろ?ボッ、パッ!と空気を切り裂く音がして馬鹿の振るった腕ごと光の剣を弾き飛ばす。まあ、弾かれた方は鍛えてもいない肉体で音速にも届く衝撃を受け止め切れずに木端微塵となってしまっているけど……気にしない!

 

「ヒャハハハハハハ…………は?」

 

振るい切った……と、思っていたのに視界に映る光景が想像していたモノと異なる事に疑問の声を上げるクズ。まあ、それ以上を認識させる気は無いので一歩二歩と進んで……ただ、練り上げたエネルギーを拳に乗せて穿ち放つ。穿つ技は、《鍛針功》。

惑星の回転エネルギーをその身で受け取り、円運動として肉体を構築する魔力を加速させる。それを足裏から、力を蓄積しつつ肉体上部へ加速させて右腕へと集約。集約された回転力は氣によって針の様に鍛えられ……円運動から、タイミングを合わせて直線運動になった拳と共に敵に叩き込んだ。

 

「覇王、真・断空拳!!!!!」

 

本当は、『なんちゃって』とか『見よう見真似』とか言っても良かったけど……威力的に、覇王っ娘以上のモノになるのは目に見えている。だから、【真】なんて付けて言ってみましたw。まあ、そんなモンを喰らった馬鹿の末路なんて言うまでもなく……汚物を巻き散らしながら、周囲に飛び散りバラバラに。そのせいで、コロナとリオが悲鳴を上げながら気絶。ヴィヴィオは、最初から気絶していたので被害は無いけど……コロナとリオには、カウンセリングが必要かも?後で、謝らないとな。

 

「…………はっ!!ーー先に、殺しに来たのはアイツなんだから正当防衛が適用されるよね!?」

 

「過剰防衛よ!!!ってか、最初に言う事がそれぇ!?」

 

ゴフッ……と、血反吐を吐きながらフラフラとティアナの元に進みガシッと肩を掴んで死に掛けをアピール。ドバドバと、血を流して見せつつそんな事を宣ってみたw。ツッコミが返って来たけど、状況的にそれ所じゃないと判断されたのかみんな大慌てで救急車を呼んだり……各所に連絡を取ったりしている。

にゃははは!こんな状況じゃぁ、覇王っ娘との試合なんて完全に有耶無耶ですよね!?それに、俺は大怪我状態なので暫くは試合を申し込まれる事もないだろうし……逃げ切って見せたぜ!?

 

「あ……もう、無理ポ?」

 

「ちょぉ!?メデイーック!!救急車、はよぉ!!!」

 

ティアナを掴んだまま、限界に達した俺はそのままゆっくり周囲の者を巻き込みつつブッ倒れる。こう、ティアナにのし掛かり己の血で相手を染め上げる様な感じでw倒れた俺。まあ、この後……ワラワラと集まって来た使い魔達によって助かるんだけどね?

ただ、血に濡れたティアナだけが濡れ損だったと言っておこう。

 

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

ーミッドチルダ北部・聖王医療院ー

 

「もう、ソーヤは……色々、無茶し過ぎだよぉ……」

 

「にゃははは。頑丈さだけは、折り紙付きだからそんなに心配しなくても大丈夫だよ?それに、この入院だって念の為っていう名目だからねぇ?」

 

あの後、使い魔達の治療が終わって直ぐ検査入院と称して局の監視者と共に放り込まれた病院。今は、一応監視の目はあるものの一般のお見舞いとかが考慮されて関係者なら……と、ヴィヴィオ達との面会を許された。大人しくしている分には、危険のない施設なので問題はないとーーー思ってたんだけどなぁ?まあ、フェイトちゃんの抜き打ち恐怖体験が無いだけまだマシだろう。

 

「だからと言って、真夜中にシーツを被って出歩くのはおかしいですからね!?と言うか、見付けた看護婦に『ウラメシヤァ~』とか言いつつ追い掛けるのもダメです!!」

 

「ソーヤ、そんな事してたんだ……」

 

現在、この病室にはお見舞いに来ているヴィヴィオと俺の監視をしているシスターシャッハだけが居る。

他にも、色々来る奴は居るけど……今は、この二人だけだ。

そして、現在……俺のやった悪戯が、シャッハの口からヴィヴィオに告げ口されてる所。いやー、教会系列の病院だから普通に撃退するモンだと思ってたんだけど……普通に逃げるから興が乗ってしまって今に至る。ホントに、物理でオバケも撃退する脳筋ばかりかと思ってたんだけどなぁ?まさか、普通にビビって逃げ出すシスターが居るとは思わなかったよ。ベルカの騎士とか、シスターはもっとシグナム寄りだと認識してたんだけど……今回の事で、それが誤解だとわかった。

 

「流石に、シスター全員がシャ姉やシグナムみたいな脳筋とは限らないもんな?今回の事で、普通のシスターと脳筋シスターが居る事がわかったよw」

 

「どうやら、貴方は一度死んでみないとわからない様ですね?」

 

「にゃははは。ほら、直ぐ暴力に訴えれば何でも許されると思ってる脳筋シスターが居るみたいだぞ?」

 

「あははは……はぁ……」

 

ヴィヴィオを挟んで、ニコやかに睨み合う俺とシャッハ。

まあ、それはそれとして……俺の罪状について話そう。

前にティアナが、お見舞いに来た時に俺のやらかした木端微塵事件について局の結論を聞かせてくれた。一応、要観察処分という事になっているそうだ。そもそも、先に俺の胸を貫いたのが木端微塵になった相手で……俺は、凶行に走る相手を制圧しようとしただけで殺す気は無かったという事になった。その根拠となったのが、凶行に走る馬鹿からコロナを身を呈して庇った故である。

更に、大量の出血もあった事で意識が朦朧としており力加減を間違った可能性があると認められたらしい。いやー、色々無茶ッポイ話が混じっているけど……何人かの、デバイスに記録されていた映像が決め手になったという話なので裁判官も頭を悩ませたに違いない。例えば、背後から胸を貫かれても生きてるおかしな子供とか?出血大量でありながら、とんでもない威力の攻撃を可能とするとか……理外の遥か右斜め上を走る、とんでもない化け物が居る事に誰もが唖然としていたらしい。

 

「観察処分ではあるけれど、お咎め無しってのは有り難い話だよなぁ?胸貫かれて生きてるし、大量の出血がありながら拳一つで相手を木端微塵にする子供だけど。脅威以外の何者でもないハズなんだけど……なぁ?」

 

「あははは……はぁ……」

 

「わかっていても、手が出せない相手はいるモノです……」

 

「下手に突っ込もうモノなら、前回の《修復魔法》に関する話まで突っ込まれそうだもんなぁ?」

 

それに、あの時周囲には局の関係者や教会の関係者がわんさか居たハズなので下手に犯罪者として裁くと色んな所から叩かれ兼ねないんだよな。執務官が居て、騎士も居た訳だから……その最中での凶行を許した挙げ句、護るべき一般人を被害者が守って制圧までしようとした訳だから。その間、執務官と騎士は何やってたんだよ!?と突っ込まれると何の言い訳も出来ないので無罪放免という結論に落ち着いた。組織の体面とか、世間体的の判断。

 

「ヴィヴィオの介抱をしてました……なんて、言えないモンなぁ?しかも、瀕死の重傷者をある程度動ける様に治療出来る魔法まで出てきたとあっちゃぁ……」

 

病院が必要無くなるってんで、それも公然の秘密という事になった。ま、知ってるのは局と教会の上層部くらいだけど。

 

「いやー、《修復魔法》にしろ《治療魔法》にしろ表に出せないモノが多すぎるよなぁ?」

 

この世界の魔法では、表面的な回復は出来ても内面的な治療は出来ないのが現状。そこに、内面的な治療が出来る魔法が出現したら……そりゃ、気になって仕方がないって話だ。

 

「それを、貴方が言いますか!?」

 

「言うとも!とは言え、中々大変な話になりましたよね?」

 

「ホントだよぉ……あの後、大変だったんだからね!?」

 

「覇王っ娘は、何て言ってた?僕の、覇王・真・断空拳について」

 

「目が覚めたら、ソーヤが誰なのかとか……色々、質問責めにされたんだよ!?それなのに……見よう見真似とか……」

 

「にゃははは!そうか、そうか。そりゃ、大混乱だっただろうな?しかも、自分以上の威力で相手を木端微塵にする一撃だもんなぁ……覇王っ娘の慌てっプリが目に浮かぶよw」

 

「笑い事じゃ無いんだけど……」

 

そう言って、大きな溜め息を吐くヴィヴィオ。そんなに溜め息ばかり吐いてると幸せが逃げ出してしまうぞ?まあ、その原因たる俺が大人しくしていれば良いんだろうけど……無理な話なので、諦めてw。つか、病室で大人しくなんてしてられないよ!!

 

「まあまあ。それで、今度のオフトレーニングは覇王っ娘も参加するんだって?一応、僕も参加する予定だけど……局員わんさか居るし、問題ねぇよな?」

 

「…………まあ、大丈夫でしょう」

 

シスターシャッハに視線を向ければ、大きな溜め息を吐きながら了承する姿が見れた。シスターシャッハには、本当に苦労を掛ける。今度、適当に作った差し入れでもしておかないとイケないたろう。下手に、拘りを入れると麻薬レベルの料理が出来上がるからな。

自重は、大事だ。料理以外の自重はしないけど!!

 

「え!?アインハルトさんが!?」

 

「あれ?ノーヴェに聞いてねぇ?あー……サプライズにする予定だったのか。ノーヴェには、悪い事をしちまったな……」

 

どうやら、ヴィヴィオは今度のオフトレに覇王っ娘が来る事を知らなかった模様。まあ、俺も知らない事になってるけど……そろそろ、俺には特殊な情報網がある事を開示しないとイケないからな。これを切っ掛けに、周知させてみるか?

 

「あー……でも、当日が楽しみになったよ!」

 

「知らなかった演技は止めとけよ?ヴィヴィは、大根役者だから直ぐバレるし覇王っ娘にも失礼だ」

 

「うぅ……が、頑張るもん……」

 

「まあ、失礼に成らない程度に頑張れ。で、この後はイクスの所にお見舞いに行くのか?」

 

「うん!」

 

とりあえず、俺が大人しく?しているかを確認出来ただろうから話を切り上げてヴィヴィオに帰る様に促す。ぶっちゃけ、学校帰りに寄っているだけだろうから引き留め過ぎてもイケない。

 

「そうか。同じ施設内だからと言って、油断するなよ?」

 

「大丈夫だよ。オットーやディードも居るし……」

 

「OK。脅かしに行くから覚悟しとけよ?」

 

「来なくて良いよ!?ってか、シャッハさん達に迷惑掛けちゃ駄目だよ!?」

 

そう言って、ヴィヴィオは鞄を手に取り病室を出て行った。

それを見送り、静かになった病室で読み掛けの本を手に取る。

 

「良かったのですか?悪戯で済ませて……」

 

「必要以上に、心配を掛ける必要は無いだろう?つか、《修復魔法》の時もそうだったけど……今度は、《治療魔法》に首ったけですか……あの組織は、ホント色々してくれますよね」

 

結局の所、俺の有用性を再確認した局員が再度俺を拐おうとして破滅しただけの話である。その時に、血塗れな俺を見たシスターが悲鳴を上げて走り出した。なので、その後を追い掛けたら他のシスターと合流したんで、そぉと背後に忍び寄って驚かしたらビビって『ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ!!』と全員で悲鳴を上げただけの話。

それを、シーツを被って出歩いたって事にしただけである。

ホントに、一丸岩じゃない組織は何をやらかしてくれるかわかり易くて堪らない。お陰で、オフトレに参加予定だったアリちゃが参加出来なくなって補佐のすずかもアリちゃに付き合うとのこと。

 

「とりあえず、報復はして置いたから次に襲撃してくる奴は別の奴だと思っててくれ……」

 

「カリムには、話を通して置きましょう……」

 

「悪いね。迷惑を掛けっぱなしで……まさか、こんなにも目立つ事になろうとは……」

 

「構いません。犯罪を未然に防げるのですから、皆も遣り甲斐があるでしょうし……」

 

「そんなモンか?」

 

「そんなモンです」

 

そう、言われて俺は事件の事は気にならなくなった。

さて、今回襲撃して来た自称主人公くんの素性をおさらいして行こうか?彼は、行方不明になっていた地獄落ちの転生者だったよ。

地獄落ちって事は、転生特典持ちではないって事なんだけど……そんな彼が、特典を持っていた理由は間抜けな(神の)娯楽転生者を殺して奪ったモノらしい。あの光の剣みたいなモノが、その特典アイテムだった模様。それを得て、良い気になった自分が転生系の主人公なんじゃね?と増長し暴走していた訳だ。その結果、短期間の間に三桁に届く数の罪を犯している事が判明している。と言うか、特典アイテムを手にしてからの奴の行動は余りにもお粗末過ぎて目に余るモノが多い。

因みに、地獄落ち転生者の記憶&記録がある理由は……娯楽転生と地獄落ち転生者の出生に関係する。娯楽転生者は、その出生が突発的なモノが多いけど、地獄落ち転生者はちゃんとした誕生経路を通ってこの世界に生まれて来るので人々の記憶や記録から消える事はない。そもそも、突発的発生者である者と正規経路から誕生した生命体とでは世界からの認識が違い過ぎる。ぶっちゃけ、突発的発生者(娯楽転生者)は神々の気まぐれでこの世に落とされ適当に出生を挟まれるだけの存在でしかない。それに比べて、正規の手続きをして正規の経路から誕生する地獄落ちの転生者では、どう考えたって突発的に発生する娯楽転生者と違う扱いになるのは理解出来るだろう?故に、娯楽転生者が死んだ場合は人々の記憶や記録から完全に消滅するけど……地獄落ち転生者の場合は、人々の記憶や記録から消滅する事はないという事だ。

彼等が、人々の記憶や記録から消滅する場合は別の力が働いた時にのみって事である。例えば、事象例は限りなく少ないけれど……神の不都合な事を行い消されたなんて事もあった見たいだよ?

 

いやはや、怖いねぇ。

 

 

 

 

 




ふふふ、ふふ、ふっふっふっ、ふふ、くっ、殺せっ!!
生殺しは、キツイ。一瞬だけ寝落ち。一行だけ、消える。
同じ文を何十回書き直させるつもりだ!?駄目だ。これ以上は、全消しに成りそうだ……寝よう。で、保存を忘れるんですね?知ってる。チクショウ!!!

『急転直下』……これ以外に、この回を語る言葉無し!
ちょぉーっと前までは、のんびりまったりモードだったのに急に殺伐とした悪玉転生者が乱入してくるこの物語。日常と非日常を混在させて読み手を驚かせようとする作者の意図がモロバレですねw。
それで、直ぐに日常へ戻って行くんでしょ?って思われるんだろうなぁw。これが、浮き沈みが激しいと言われる由縁なんだろうけど……止めないよ!?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

余り、どうでも良くない話。

……そう言えば、双夜はユーリをどうする気なんでしょうね?
色々、やらかしているッポイけど……静と合流したら、ポイ捨て?
うわぁ……超やりそう。双夜のそういう所、作者は一番信用できないですね。静が、ユーリを見て『浮気か?』と訊ねたら即ポイ捨てしそう。大団円を求めるなら、静が大人になっている事を願いたいけど……身体は大人。心は???。予定なし!!マジか……!?
双夜物語の結末が、余りにもあんまりなモノになったから救いとして差し込み双夜覚醒!!ルール・ブレイカー無制限使用!!とかやりたくなっただけだからなぁ……w。
ぱ、パラレルワールドって事で……言葉を濁させて頂きたい!!



ーーーという、冗談はさておき……ポイ捨て?ポイ捨てかなぁ?

ホント、双夜のそういう所だけは……マジ!作者は信用できません。
設定組んだの作者ですから……最悪、神崎に丸投げ?もしくは、封印ですかねぇ?でも、未来に居なかったんだよなぁ……神崎は居たけど、ユーリは出て来なかったからな?んー……まあ、可能性があるとしたらウォーティーが回収してるとか?別の人の手に渡ってるとかありそう。とは言え、そこまで持つかどうかで言うと……無理じゃね?って感想の方が先に立つ。だって、双夜が三万歳になった頃に合流ッスよ?今でさえ、一万四千歳だって言うのに後一万六千年共に居られるとか……どんなに魔改造したって無理そう。
元が、元だからな。風化して、ボロボロになっているイメージだな。

フム……………(考え中)……………皇家の船に成ってそうだ。
翌々考えたら、普通に皇家の船のメインコンピューター扱いの樹に融合させられてそうw。書物状態じゃ、延命無理だと判断したら別の何かにブッ込むのが【鮮血の】だからな。ほぼ、間違いなくユーリが問題になったとしたら【鮮血の】に相談するだろうから、ユーリは最終的に皇家の船に融合させられてそうです!!

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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