絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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模擬戦とポイズンクッキング始まるよー♪
ずっと、やるやる言いながら放置しちゃってたネタだよー♪
(爆笑)一段落着いたので、載せ(・`ω・)つ□

名募集中!!
名前だけでも良いのでくださいませんか?
サブ登場人物の名前も募集中です!


番外編 模擬戦とPK

???

 

 

『さあ、この時がやって参りました!!出場選手の気合いも十分っ!!負ければ地獄。勝っても地獄のこの勝負!!実況はご存知、テオルグとぉ……』

 

『初めまして、ヴォルグと申します!』

 

『が、お送りいたしまぁーすっ!!』

 

 

実況席で、俺の使い魔達がはしゃいでいる。

俺はその実況席の隣で、グルグルに縄で巻かれて放置されていた。戦闘準備をしていたところを、80人近い使い魔によって押さえられてしまったのだ。猿ぐつわをされて、言葉も口にできないので文句すら言えない。

 

ーークソッ!バトルジャンキー共がっ!!

 

心の中で、幾ら悪態を付いても気は晴れない。

まあ、あそこで手料理を作っている人に視線を向ければ、ある程度は溜飲を下げることができるけど……。

視線の先で、鼻歌を歌いながら鍋を掻き回しているシャマル先生の姿が確認できる。先生を中心に、真っ青な顔をしたなのはママ達の姿。なんで、俺はこんなところで足止めを食っているのだろうか……。

 

今すぐ、先生の隣でマジカル☆クッキングをしたいっ!!

 

魔力強化を、顎と歯を中心に掛ける。

ぎぎ……ぎぎぎ……と猿ぐつわをブツッブツッと噛みきり、縄を解いてシャマル先生の元へ行く。ヒョイ、と覗けば、紫色の液体を混ぜているところだった。

 

 

「シャマル先生、何作ってるの?」

 

 

「もちろん、カレーですよ?」

 

 

カレーと来たか。紫色の液体なんだが……まあ、いい。

俺は、大人モードで隣に用意(使い魔が用意した)されているキッチンに行き、シャマル先生以上にパンチ力(見た目)のある料理の作成に入る。地獄絵図にしてやろう。

自分が捕まっていた方を見れば、更に数人の姿が確認できた。浅上兄妹と不知火と月詠と霧島と三桜が捕まっている。

有栖川と遠藤……神崎と黒龍が、転生者側から出場するみたいだ。後の方々は、味見役らしい。

浅上兄妹が、泣き叫んでいる。シャマル先生の料理が、完成に近付けば近付く程……未来の光景が、目に浮かび恐怖が天元突破状態になってしまっているらしい。

とりあえず、マジカル☆クッキングでシャマル先生と同等以上の料理を作りつつ……真面目に、美味しい料理も作る。

その仕込みを、開始した。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

『それでは、第一試合……踏み台・神崎君とぉ、貫き有栖川君との試合だあ!!』

 

『神崎君が、若冠落ち込んでいるようですが……問答無用で、始めて貰いましょう!!』

 

『第一ラウンド……Ready‥Fight!!』

 

 

先手は、有栖川が取った。

ブーストに火を入れて、一気に神崎に近付く。

どうやって、非殺傷設定にしているのかは知らないが、リボルビング・ステークが神崎の腹に叩き込まれてズガンッ!!と火薬が炸裂する。防いだのか、神崎は二、三歩だけ後退し……何もない空間から、黄金に輝く剣を取り出して有栖川に斬りかかった。かつて、踏み台・霧島戦で如月双夜が使用した武器……聖剣エクスカリバーである。

神崎的には、その輝きに不満があるらしいのだが……切れ味や剣の質的には、最上級の武器と化していた。

ギィンッ!と、有栖川のリボルビング・ステークと聖剣がかち合う。

そのまま、つばぜり合いになり両者一歩も引かない。

しかし、有栖川のショルダーがカパッと開いて大量のベアリング弾が打ち出される。

 

 

「ジョーカー…切らせて貰ったッ!」

 

 

「クソッ!」

 

 

神崎が、後退しながら何かを投げ出し真名を告げる。

 

 

「アイギス!!」

 

 

半透明の六角板が大量に出現し重なって神崎を護る。

ベアリング弾は、一部を除いて大多数がアイギスによって防がれた。

 

 

「クッ……」

 

 

神崎の背後から、大量の武器が出現した。

以前、如月双夜が「それでは、実力なんて付かないだろう?」と切り捨てた戦法である。

それには、神崎も納得し…ずっと封印していた慢心戦法だ。

神崎が、パチン!と指を鳴らせば……大量の武器が有栖川目掛けて打ち出される。流石の有栖川もこれだけは防げないらしく、後退しその場から逃げ出した。ただし、無傷とは行かずISの機体に剣が何本か刺さっている。

 

 

『のっけから、凄まじい攻防ですっ!!』

 

『神崎さんは、左腕を負傷!有栖川さんは、機体の右腕と左足に裂傷!背後のブーストに至っては一部機能不全を起こしていそうです!!』

 

 

睨み合いは短く、双方が間合いを詰めて己の獲物を振り抜く。ただ、ひたすらに相手を倒す一撃を……である。

その後、激しい近接戦闘が続き……結果だけを言うなら、有栖川が勝った。描写をしない理由?泥沼試合になったからだ。

だが、満身創痍状態で次の戦闘までに回復する可能性は低い。まあ、そこは如月双夜の出番である。

ある程度の科学知識と技術を持ち(暇だった)、リンカーコアの修復はもちろん魔力の回復だってできる万能存在だ。

割りと簡単に治して(直して)貰って、有栖川はかなりビビっていた。

そして、踏み台・神崎は如月双夜のバインドで拘束され……シャマル先生に預けられた所である。

泣き叫ぶ神崎を他所に、スプーンいっぱいにすくわれたお米と紫色の液体が神崎の口元に寄せられた。

口を閉じて、首を横に振る神崎。最早、涙目である。

だが、シャマル先生の笑顔と共に告げられる「あーん」の一言は絶望の一コマ。その光景だけなら、男の子のロマンの一つだったろうに……たった一点、違うだけで天国にも地獄にもなるとは誰も思いはしなかっただろう。

神崎は、如月双夜に身体を乗っ取られ「あーん」をさせられた。結果、とんでもな味に悶絶し、暴れるだけ暴れて……今や、瀕死の状態でビクンッ!ビクンッ!している。

その光景は、観客席にまで放送されて見ていた者を恐怖のドン底に引き摺り落としていた。

 

 

『それでは、第二試合……遠藤君vs八神ヴィータ!!』

 

 

『負けたら、地獄……勝てば、天国か地獄のこの試合……残酷過ぎます……』

 

『前日にマスター、皆にスイーツ配ってましたよ?』

 

『ええ。この試合の優勝者に、豪華スイーツフルコースを振る舞うとか言って参加者を募集していましたからね……』

 

『今は、誰もかもが顔を真っ青にして殺気立ってますけど……負けたら、シャマル先生の手料理を食べなければならないですからねぇ……必死なんでしょう!』 

 

『見てください、八神ヴィータ選手のあの形相。決死の覚悟って感じですよー?』

 

 

「うっせー!!はやく、始めやがれっ!!」

 

 

『とか、言ってますが……』

 

『残飯処理すんの俺らなんだから、ちったー寿命伸ばさせろや!?』

 

 

テオルグのドスの入った一言に、会場がしーんと静まり返った。会場全体に、微妙な空気が充満する。

 

 

「……………………すまねぇ……」

 

 

『問答無用で、強制試食が待ってますので……ちょっとだけ、話聞いてくださいねー?』

 

 

「うん、わかった……」

 

 

八神ヴィータの目から、滝の様な涙がダバーと溢れ出てくる。きっと、自分達と違い強制参加である所が泣けてきたのだろう。八神ヴィータは、気を取り直して『勝てば良いのだ』と開き直った。

 

 

『対する遠藤選手は、スピードと遠距離攻撃が得意なヴァイ○リッターだ。ヴィータ選手の苦手な相手かも知れません!』

 

『では、頑張っていただきましょう!……Ready‥Fight!』

 

 

始まってすぐ、遠藤が後方へと後退し一定の距離を保ちつつ遠距離の攻撃を心掛けている。対して、ヴィータは距離を詰めようとするが……中々、詰めきれない。

 

 

「クソッ!アイゼン!!」

《Schwalbe Fliegen!》

 

 

ヴィータの指の間に鉄球が出現する。

合計3つの鉄球を空中に浮かべて、ハンマーで打ち出して行く。だが、一発一発鉄球は撃ち落とされ遠藤まで届かない。

 

 

『遠藤選手、まさかの単純戦闘によりヴィータ選手を蹴落としに行ったぁ!!』

 

『ヴィータ選手!これは、苦しいッ!!』

 

 

時間が経つにつれ、ヴィータの戦況が苦しくなっていく。

 

 

『これは、真面目に勝ちに行ってますよ?』

 

『ええ。面白味も何もない……自分の命を護る戦い方です!女性の為に自分を犠牲にする気持ちは無いんですか!?』

 

『鬼畜!悪魔!人でなしぃー!!』

 

 

実況席から、罵声が飛び交うなか遠藤の攻撃は留まらず、結果だけ言うなれば……何の変鉄もない戦術により、ヴィータは負けてしまった。

 

 

「い、嫌だああああ!!」

 

 

如月双夜のバインドに拘束されたヴィータが、シャマル先生の元へと引き摺られて行く。

嬉々として、死刑執行人を引き受けた如月双夜が最高に邪悪な笑顔でシャマル先生の元へと進む。

泣き叫ぶヴィータの表情は、シャマル先生に近付く程……青く……蒼く……蒼白へと変化していく。

そして、スプーンにすくわれたお米と碧色に輝くルーがゆーっくりとヴィータの口元に運ばれ、シャマル先生の「あーん」が始まる。

 

 

「さあ、ヴィータちゃん……あーん……」

 

 

「やめっモガッ!??!!!!?!?!!?」

 

 

うっかり、口を開けて拒否ろうとしたところへ突っ込まれ、ヴィータは硬直した。それも一瞬で、口を押さえて悶絶し……暴れて転がり回った後……ピクッピクッと動かなくなる。

 

 

『さあ、第三試合へ行きましょう!!』

 

『次の対戦相手は……御存じ、管理局の若きエースにして……金色の死神フェイト・テスタロッタ選手!!御相手は……』

 

『同じく、管理局の切り札!歩くロストロギアこと八神はやて選手だあ!!』

 

『八神はやて選手は、配られたスイーツに料理人としてのプライドを木っ端微塵に砕かれ更なる高みへの道を開くために参加されましたが……今は、死に物狂いの表情ですねー♪』

 

『フェイト選手は、純粋に美味しいモノを食べたいだけの参加者です!まあ、こっちも似たような表情ですが……』

 

『さあ!シャマル先生の手料理を食べるのはどっちだ!?』

 

『行ってみようか?Ready‥Fight!!』

 

 

「行くよ!バルデイッシュ!真・ソニックフォーム!!」

 

 

「なぁ!?いきなりやなんて、卑怯やでフェイトちゃん!!」

 

 

『ユニゾン無しの八神選手……考えるまでもなく、死刑場行きじゃないですか?』

 

『ですよねー♪』

 

 

あっという間に、間合いを詰められて切り刻まれて八神はやては撃沈した。戦闘にすらならず、試合は終了。

 

 

『さあ、三人目の被害者は……八神はやてだあ!!』

 

『マスターに嬉々として引き摺られていきます!!』

 

 

実況席の二人は、時間稼ぎができなかったからか八神はやてが処刑台に連れられて行くのを実況している。

如月双夜のバインドで、拘束されながらも全力で逃げ出そうと足掻く八神はやて。しかし、反転フィールド術式がそれを邪魔してバインドを破壊することも抜け出す事もてきず、処刑台……シャマル先生の元へと運ばれた。

 

 

「じゃあ、今回は僕が食べさせてあげるね?はい、あーん……」

 

 

バインドで、完全拘束された八神はやての口元に如月双夜がピンクのルーだけのソレを……うっかりとか言いながら鼻の中へ。

 

 

「うぎゃあああああ!!?」

 

 

「あー、ごめん、ごめん。もう一回……あーん……」

 

 

今度は、お米とピンクのルーを口の中へ……。

 

 

「おごごごぉぉおああああぁぁ…………」

 

 

八神はやては、散々悶絶し首を掻きむしりながら白目を剥いて気を失った。その凄惨たる光景に、会場は無言と化す。

 

 

『なんて、酷い……いや、惨い……』

 

『…………女性として、この顔は……放送禁止でしょ!?』

 

『き、気を取り直して……次の試合はっ!!』

 

『八神シグナム選手とぉ……』

 

『遊び人黒龍選手だあ!!』

 

 

使い魔二人のテンションが、フルバーストしている。

気を取り直すと言うより、気合いを入れて実況しているのだ。

 

 

『二人の戦闘スタイルは、剣一本!!シグナム選手は片手剣ですが、黒龍選手は両手剣です!!』

 

『そして、二人共近接戦闘の強者と来たら……』

 

『超期待の試合です!!先程は、ショボい結果になりましたが……今回は、期待してもらって構いません!!』

 

『なんたって、本命の試合ですからねぇ!!』

 

『今までの試合が、前菜なら……この試合は、主菜!!』

 

『期待で、胸がいっぱいですよー?』

 

『時間を掛けてお願いします!!』

 

『長引けば、長引くほど……我々は嬉しいので、1時間程お願いしますッ!!では、始めて貰いましょう!!』

 

 

本音が、駄々漏れだった。

 

 

『Get Ready‥Fight!!』

 

 

その掛け声と共に、両者の剣が激突する。

二人の待ちきれない!と言うような戦い振りに、会場が湧く。ここにいる殆どが、アースラの武装隊や乗組員だ。

だから、出場選手の大半を知っているし仲も悪くない。

それが、全力でぶつかっているんだ。

湧かないはずがなかった。

一合、二合と続いて、黒龍の大振りがシグナムを引き剥がす。その間にも、シューターが形成されて二人の間を飛び交った。着弾して爆発。二人の視界が奪われる。

爆煙を振り払い、シグナムが黒龍との間合いを詰めていく。

シグナムの下から上への切り払いを、黒龍の左からの刃で弾きシグナムの腹を蹴って一歩放れる。

次の一撃を、黒龍は場所を入れ替わる事で回避した。

 

 

「クックックッ……強いな……君は……」

 

 

「フン!倒すッ!!」

 

 

言葉はいらないとばかりに、黒龍が剣を振るう。

それを受け止めて、シグナムはニヤリと笑った。

 

 

「名は?」

 

 

「……黒龍巽!」

 

 

「そうか……黒龍か……覚えておこう!」

 

 

そう言ってシグナムは、カートリッジを一発ガションとロードして黒龍を押し切った。

 

 

「レヴァンティン!!」

《Sturmwinde!》

 

 

シグナムが、衝撃波を打ち出す。

 

 

「カリバーン!!」

《Invisible Air!!》

 

 

衝撃波を、風の壁で打ち消す。

そのまま、黒龍は突撃する。

風の壁を展開しながら、音速を超えるスピードで駆け抜けた。背後からブースターの如く、風を噴射することで更なる加速を掛ける。

 

 

「くっ……」

 

 

間合いが、離れる。

黒龍もすぐには止まれず、剣を地面に突き立ててブレーキを掛ける。それでも、彼は止まれなかった。

攻撃の変わりに、バレットをばら蒔いてシグナムに向けて放つ。しかし、間を打つ為に撃ったそれはシグナムには当たらない。勢いが納まり、シグナムが向かってくるのを確認した黒龍は、剣を構えて待ち構える。

 

 

「レヴァンティン!!」

《Schlange Beiben!》

 

 

シグナムの剣が連結刃となって、黒龍を囲もうと伸びる。

受けに回っていたのが災いした。先程の突撃のダメージもあって、すぐには動けなかったのだ。

黒龍は、苦虫を潰した様に顔を歪めて防御体勢をとる。

 

 

「ぅおおおおぉぉぉぉぉ……!」

《Schlange Beiben Angriff!!》

 

 

「はあああああぁぁぁぁぁ!!」

 

 

両者が交差する。爆発が起きて、爆煙が状況を覆い隠す。

だが、それも一瞬で……シグナムの攻撃で、吹き飛ばされる黒龍が噴煙の中から飛び出して来た。

空中で体勢を立て直し、地面を滑るように着地する黒龍。

見上げれば、剣を鞘に納刀して構えるシグナムが見える。

 

 

「まだ、行けるな?カリバーン!!」

《Yes Sir!》

 

 

「残りライフは少ないけど……やるぞ!!」

 

 

剣を構えて、魔力の集束に入る。

 

 

《Excalibyr!!》

 

 

黄金の光が、黒龍が持つ剣に向かって集束していく。

魔力素を食い潰す様に剣に集束する光が、周囲を黄金に照らしている。黒龍が、剣を頭上に掲げ彼は大振りの構え。

集束する魔力量に、シグナムがニヤリと笑い柄を握る手に力を入れる。

 

 

「行くぞっ!!飛竜……」

 

 

「エクス……」

 

 

黒龍は、剣を水平にかつぐ様に一歩前に踏み込む。

 

 

「……一閃っ!!!」

 

 

動いたのはシグナムが先だった。シグナムの鞘から、連結刃が飛び出して黒龍に向かって行く。

 

 

「……カリバー!!!!」

 

 

後からではあったが……黒龍が振り下ろした剣から、溢れるように光の濁流がシグナムに向かう。

飛竜一閃を呑み込み、ついでシグナムが光の濁流に呑まれて行く。黒龍がニヤリと笑う。

会場全体から、勝負は決した……と、思われたが、騎士甲冑の半分を失ったシグナムが黒龍の真横に現れ、最後の一振りを一閃。黒龍は、残っていたライフを全損して勝負はシグナムの勝利で終わった。

 

 

『おおっ!!シグナム選手っ!あの一撃をしのいだ!?』

 

『黒龍選手っ!勝ったと思ったのに……残念っ!!』

 

 

黒龍は、ライフは零になっていたが余力があったらしく……逃げ出した。

 

 

『なんとぉ!?黒龍選手、逃げ出したぁ!!』

 

『しかーし!我等が、マスターからは逃げられないッ!!』

 

 

邪悪な笑顔で、如月双夜が黒龍を追いかけて行く。

《Invisible Air》で、黒龍が姿をも消して逃げていくが……【真実の瞳】の前では、そんな小細工が通用するはずもなく、数分後にはバインドでグルグル巻きにされた黒龍がシャマル先生の元へと連れられて行くのだった。

 

 

「嫌あー……ま、まだ、死にたく無いんだぁ!!」

 

 

「うーふーふーふぅ……僕から逃げようなんて……100万年早いんだよぉ……!!」

 

 

「後生ですから……お、御許しを……」

 

 

「例外は、認めないっ!」

 

 

「イヤァーーー!!」

 

 

そして、青色に輝くルーが黒龍の口元へと運ばれた。

目に涙を溜めて、首を横に振る。

 

 

「鼻に流し込もうぜ!」

 

 

「んんーーー!!?」

 

 

如月双夜の発言に、黒龍が真っ青な顔で首を振って嫌がっている。それを、ニヤニヤとした邪悪な笑顔で見下ろす如月双夜。とっても、愉しそうである。

 

 

「とは言え……時間も無いから、人体操作で……」

 

 

ゴーレム操作の応用で、如月双夜が黒龍の口を開けさせる。そこへ、青色に輝くルーが流し込まれて行く。

 

 

「あ!逃げ出したペナルティも……」

 

 

そう言って、悶絶する黒龍にお玉ですくった青色に輝くルーが更に流し込まれて行った。

 

 

「ぐおがあああぁぁぁ!!?!?!!?」

 

 

凄まじい雄叫びと共に、最早見れたものでは無くなった彼がダラダラと半開きになった口から、残りと一度飲み込んだルーを嘔吐している。

 

 

「うわぁ……セイバーの姿で、あれはないわー……」

 

 

状況席の隣で、不知火達がそんな事を呟いている。

そう、黒龍巽はFateのセイバーの姿そのままなのだ。

彼の特典は……。

1,努力すれば割りとどうにかなる程度の能力

(遊ぶ気満々です!!)

2,創作系に現存する全才能

(とりあえず、あるって程度で!)

3,Fateのセイバーの全能力

(危険に巻き込まれた時の保険程度に!)

である。

故にシグナムと対等に戦え、一歩及ばなかったが……それに、匹敵するほどの戦士となっていた訳だ。

兎に角、彼は負けシグナムは次の対戦へと進む。

 

 

『さて、次の試合は……有栖川選手と遠藤選手の対戦だぁ!!まさかの同機勝負!!』

 

『近接戦闘タイプと遠距離戦闘タイプの戦いだぁ!!』

 

『機体の性能は……マスターの見立てだと、ほぼ同等とのこと……タイプが違うだけだと言われました!!』

 

『えっと……近接型が、パワーと防御特化。遠距離型が、スピードと間合い特化のようですね!!』

 

『じゃあ、一発当たったら遠距離型は落ちちゃいませんか?』 

 

『だからのスピードだろ?』

 

『『マスター、これどうなんですか?』』

 

 

「うっさい!!この戦闘馬鹿ぁ!!」

 

 

生声なのに、会場全体に響く如月双夜の声。

なんて、発声量。

耳元で、叫ばれない様にしないと危険である。

 

 

『たくっ!』

 

 

フレール君から、マイクを受け取り怒った様な声で溜め息を吐く。

 

 

『あー、問題ねーよ!両機共、特化機って事以外はあんま変わらねぇから……近接型は、機体が重いせいかブースターがかなり強化されているし……遠距離も切り札さえ切れば、パワーも上がるだろう?ま、肉体が持つかは……知らんが……』

 

『との事です!!』

 

『では、始めて貰いましょう!!Ready‥Fight!!』

 

 

近接型の左腕に設置された三連砲のマシンキャノンが火をはく。遠距離型が、それを避け砲頭を近接型に向けたが……近接型は、既にそこにいなかった。

遠藤が、はっ!?とした顔で上を見上げれば……まさに今、近接型の有栖川がヘルメット?に付いている角を輝かせて降下してくるところだった。

それを遠藤がギリギリ回避して銃口を向けようとした時、有栖川の機体のショルダーがカパッと開く。

 

 

「獲った!!」

 

 

「くっ!!」

 

 

吐き出されるベアリング弾に被弾しつつも、上空へと逃げる遠藤。あれだけの急上昇状態から、砲撃魔法を連射するのはそこそこの技術が必要なのに……それを当てに行く辺り、かなりの訓練を重ねているようだった。

 

 

「ワォーンと一発!!」

 

 

射線が安定したところで、有栖川に直線砲撃が打ち込まれる。元から、それを予想していた有栖川は、避けつつも前へと踏み込んで行く。

 

 

『ロボット戦も中々……』

 

『熱い戦いですね!!』

 

 

左腕のマシンキャノンで、相手を牽制しつつ隙あらば一気に間合いを詰めてリボルビング・ステークで一撃を入れようと、回避行動を取りつつ近付いていく有栖川。

対して、余り距離を離すと簡単に避けられてしまうが故に、中距離で砲撃を余儀なくされている遠藤。それでも、有栖川を近付けないように位置を確認しつつ、慎重に戦況を整えようとする遠藤。

 

 

『両者、相手の手の内がわかっているからこその攻防!!』

 

『中々、決め手に届かない!!』

 

『時間を掛けると掛けるだけ、その後の罰ゲームはえぐいものになるんですけどねー♪……ああ!シャマル先生の料理がそろそろレベルアップしますよぉ?』

 

 

相手の恐怖を煽って、戦況を進めようとする如月双夜。

中々に、エグい方法を持ち出してくる。

 

 

『ああっと!!鍋の中身が、段々虹色にぃ!!』

 

『虹色ぉ!?なんで、虹色なんですか!?』

 

『うわっ!?か、輝いていますよ!?それ、本当に料理ですか!?』

 

『『『ーーーーー』』』

 

 

会場の視線が、一時的にキッチンスペースへと向けられる。

そこでは、シャマル先生が虹色に輝く鍋を掻き回していた。

 

 

『さて、あの虹色の液体は誰の腹に納まると言うのでしょうか!?有栖川選手か……遠藤選手か……いずれにしても、楽しみですねー!!♪』

 

『『楽しくねぇーよ!!』』

 

 

実況席から激しいツッコミを受けた如月双夜が、その虹色に輝く液体を半分程貰って……自身のキッチンにドン!と置いた。

 

 

『では、マジカル☆クッキングの始まりだよ☆♪』

 

 

そして、取りかかるは罰ゲーム用の決勝戦敗者に贈る最高のどk……じゃなかった、双夜特製スイーツ。

シャマル先生のアレを使用する辺り、ヤバイものしか作れなさそうな気がするが……状況は、戦闘を続けている選手の方へと戻って行く。

 

 

『実況席と観客が余所見をしている間に、両者のライフが半分になっていたぁ!!』

 

『ビデオで確認しましたところ、有栖川選手が捨て身で間合いを詰めて……遠藤選手は、カウンターで反撃したとの事です!!』

 

『ナイスファイトです!!有栖川選手っ!!』

 

『その調子で、マスターもプチッ!!と倒してくれませんかねぇ?』

 

『あははは。無理に決まっているでしょう?』

 

『デスヨネー♪』

 

 

有栖川が、顔を真っ赤にして怒りながら戦っている。

それに気が付いた遠藤は、反対に顔が真っ青だった。

 

 

「お前、正気か!?」

 

 

「……正気だとも!!」

 

 

「手伝わないからなっ!?」

 

 

「……獲った!!」

 

 

遠藤の動きが止まったのを勝機とみた有栖川が、ブースターに火を入れた。それを見た遠藤は、ギョッとした顔になったが距離を離そうと後退する。が、その後退は結界の壁により妨害されてしまう。

 

 

「っ!な、何ぃ!?」

 

 

「貰ったぁ!!」

 

 

有栖川の右腕に設置された、リボルビング・ステークが遠藤の機体を抉る。それを見逃さなかった有栖川が、ズガンッ!ズガンッ!と連続で火薬を炸裂させた。それにより、遠藤のライフがガリガリ削られて一気に零となってしまう。

 

 

『勝者!有栖川ぁ!!』

 

『遠藤選手、結界に引っ掛かって逃げ切れずっ!!残念で仕方ありません!!』

 

『もっと、時間稼げぇ!!』

 

『ちょ、テオルグさん、本音が駄々漏れです!!』

 

『失礼しました……』

 

『まあ、時間を稼ぐと稼ぐだけパワーアップするんだけどな……料理が。ほら、シャマル先生が追加で別の料理を作り始めたぞ?この様子だと、量も増えるみたいだぞ?』

 

『ぐはぁ!!?』

 

『こ、これは……マズイですよ!?』

 

『では、サクサクと進めましょう!!次の対戦は、ヴォルケンリッターが将……八神シグナムっ!!』

 

『管理局の若きエース!金色の死神、フェイト・テスタロッサァだぁ!!』

 

 

「まさか、この様な形で勝敗をすることになろうとはな……」

 

 

「……だけど、負けないよ!!」

 

 

「もちろんだ!!」

 

 

『両者の気合いも十分の様ですね!では、始めて貰いましょうっ!!Ready‥Fight!!』

 

 

シグナムのレヴァンティンと、フェイト・テスタロッサのハーケンセイバーが重なる。カートリッジが多用されて、二人の攻撃が激化していく。

最初から、飛ばし続ける二人だが……カートリッジが使われるその度に、目覚めた八神はやてが青冷めていた。

八神はやての隣には、ある程スイーツを度作り終えた如月双夜。ニヤニヤしながら、八神はやての隣でぼそぼそと煽っているらしい。

勝敗の結果は、シグナムが勝利したとだけ言っておこう。

ただ、如月双夜の隣でorzの状態で号泣している八神はやてを見れば、大体何があったかは察してくれると思う。

 

 

「まさかの泥沼試合とは……お疲れ様、八神はやて……」

 

 

「お、鬼か!?鬼なんか!?」

 

 

「高々、76万円を求めただけだろうが……僕の知り合いで、なのはママの友達だから……割引いてカートリッジ魔力チャージ代350円にしてやったんだから……問題無いだろうが?」

 

 

「……せやけど、もうちょっとまけてくれへんか!?」

 

 

「2千発チャージしただけだろう?」

 

 

「せやったら、シグナムのだけでお願いできへんか!?」

 

 

「シグナムだけ……じゃあ、残りはリンディさんに請求しておくか……」

 

 

「ほっ……」

 

 

八神はやてが、胸を押さえて安堵している。

その隣で、不満気な顔をしている如月双夜が、舌打ちしながらキッチンの方へと戻って行く。まさか、八神はやてを弄る為だけに隣に行っていたとは……使い魔達も言えない。

 

 

『では、気を取り直して……シグナム選手と有栖川選手の決勝戦を始めたいと思います!!』

 

『ぶっちゃけ、これサクッとは終わりそうに無いですね……』

 

『終わってほしい……』

 

『無理そうですよ?テオルグさん、諦めて共に走馬灯を見て死にましょう!』

 

『止めてぇ!!希望は、最後まで捨てちゃダメなんだ!!』

 

『大丈夫ですよ。我等は、死にませんし……』

 

『料理全部食わないと終わらないんだぞ!?』

 

『ただ、一口二口で意識が飛んで……別の使い魔が、引き受けるだけじゃないですか!!』

 

『じゃ、最終決戦!!Get Ready‥Fight!!』

 

 

「おおおおお!!」

 

 

「はああああ!!」

 

 

リボルビング・ステークとレヴァンティンが、ほぼ同時に交差して叩き付けられる。ブースターに火が入って、シグナムを押し始めた。とは言え、ただパワーがあるだけではシグナムは倒せない。力を流すように、シグナムが有栖川を受け流しその背後へと回り込む。

 

 

「レヴァンティン!!」

《Load Cardridge!》

 

 

カション!カション!とカートリッジが二発ロードされる。

シグナムが繰り出した袈裟斬りに有栖川は、更にブースターにパワーを入れて駆け抜けた。多少、掠りはしたが戦闘に支障は無さそうだ。

 

 

「くっ……」

 

 

「まさか、避けられるとはな……」

 

 

ギラギラとした眼で、有栖川を見ているシグナム。

 

 

「はっ……次は、獲りに行くぞ!!」

 

 

「良いだろう。次は、外さん!!」

 

 

二人が構える。

左腕のマシンキャノンで牽制しつつ、隙をみて近付きリボルビング・ステークを打ち込もうとする有栖川に……対して、魔法と剣技を使って有栖川を叩き斬ろうとするシグナム。

二人の攻防は、激しく重い。鍔迫り合いになれば、忘れた頃にショルダーのスクエア・クレイモアでシグナムのライフを削って行く。苦い顔で、間合いを離し《Sturm Falken》で有栖川を穿つ。ベアリング弾と矢が当たって、爆発する。

爆煙で、視界が塞がれてしまうが……それすら利用して、有栖川が間合いを詰めに行く。

だが、それはシグナムも同じだ。

二人の攻撃が、煙塵の中で激突し……煙塵が晴れて行く。

手の内は、これまでの戦闘でわかってしまっているので、中々決め手に繋がらない。

 

 

「…………」

 

 

有栖川は、チラッと残りのライフポイントを見て行けるか行けないかを考える。DSAAのルール上、ライフポイントが零になると戦えなくなる。

そうなる前に、相討ち覚悟で突撃した方が良いような気がしてきた。相討ちになれば、如月双夜の事だ……間違いなく双方にアレを食わせるだろう。そうなれば、痛み分けになる。

だが、有栖川はシグナムに勝ってみたかった。

相討ち覚悟で、突撃してあわよくば討ち取ってやろうと算段を立てる。

 

 

「分が悪いが……できない賭けじゃない!」

 

 

対して、シグナムの考えはシンプルで、有栖川に近付いて斬るというもののみ。結果は、付いて来るものだし……何より、強者と戦えるだけで彼女は嬉しかった。

 

 

「来るか!!」

 

 

マシンキャノンを撃ちながら、フルブースターで加速を掛けていく。ヘルメット?に装着されているヒートホーンが輝いて、真っ直ぐシグナムへと突っ込んで行った。

対して、シグナムは防御体勢をとっている。有栖川を真っ正面から受ける体勢だ。

有栖川のショルダーが開いて、大量のベアリング弾が吐き出される。シグナムが一瞬怯んだが、ニヤリと悪人顔で口の端をつり上げレヴァンティンを振り下ろす。

ホーンとレヴァンティンが、鍔迫り合いに持ち込まれたが有栖川の両腕は健在。直ぐにリボルビング・ステークが、シグナムの腹に打ち込まれて何度も火薬が炸裂する。

 

 

「おおおおお!!」

 

 

「くぅあああああ!!」

 

 

気合い一閃。

シグナムの一撃が、有栖川を袈裟斬りにする。

両者は、弾き飛ばされて判定待ち。本来なら、直ぐにでも追撃に向かうのだろうが……動けない。

シグナムは、腹部を押さえ片膝を地面に付けていて……有栖川は、シグナムの袈裟斬りで左側の肩部のショルダーと胸部が破損していた。両者が睨み合う中、勝負の行方は……。

 

 

『……判定出ましたァ!!勝者、有栖川零選手っ!!ISのダメージがライフポイントに加算されないのが幸いしたようです!!』

 

『ISのダメージは深刻ですが……人体に対してのダメージが、軽微だったのが勝敗を分ける結果になったもよう!』

 

 

シグナムにピンクのバインドが、巻き付いて行く。

誰も彼もが、はっ!とした表情で如月双夜を見る。

ニンマリ、と笑う悪魔がそこにいた。

そんな、如月双夜を見てゾッとした寒気を覚える。

 

 

「じゃ、戦闘狂……覚悟は良いかい?」

 

 

「……覚悟は、している……」

 

 

「じゃ、はい!」

 

 

何故か、如月双夜は自分のキッチンから美味しそうなスイーツをシグナムに差し出した。

 

 

『えっと……普通のスイーツ……ですよね……?』

 

『普通に見えますが……何ですかね?邪悪な雰囲気が滲み出ているような気が…………』

 

 

シグナムは、実況席の話しを聞かないまま如月双夜から美味しそうなスイーツを受け取り、スプーン一すくいを口に入れた。

 

 

「……………………ゴブフッ!!!!」

 

 

本能的に吐き出そうとしたそれを、無理矢理口を押さえて阻止しようとするシグナム。

 

 

「とりあえず、それ、全部食べてね?」

 

 

「はあ……はあ……い、良いだろう……」

 

 

両膝を付いて、荒々しい息を吐きながら今にも倒れそうなシグナムが、震える手でなんの変鉄もないスイーツをスプーンですくい口に放り込む。顔色が、青を通り越して蒼白になっているが……如月双夜が手を加えたスイーツを、目の敵のように睨みつつ……それでも口へと運んでいく。

 

 

「うぐっ……」

 

 

吐き出しそうになる、ソレを手で押さえて飲み込んで行く。

口だけでなく、鼻からも色々なモノが出ているが誰も指摘しない。いつもの凛々しい女騎士からしたら、かけ離れた姿である。

 

 

「……はあ……はあ……くっ…………」

 

 

最終的に完食できなかったとしても、如月双夜にはソレを完食させる方法がある。ゴーレム操作の応用で、シグナムを操作して完食させればいいのだ。

 

 

「さて……有栖川?優勝した君には、二つの選択肢を与えよう。僕に挑戦する権利を得るか……スイーツフルコースを食べる権利を得るか……選ぶが良い…………」

 

 

「スイーツで!!」

 

 

「さよか……まあ、その機体じゃあ……仕方ないかぁ……」

 

 

即答する有栖川。シグナムのアレを見ていれば、誰だってそう答えただろう。故に、自分の命を護りに行った彼を誰が攻められようか。

その選択肢を聞いて、呆れる事もなく如月双夜はアッサリ身を引いた。

 

 

『え?格納庫にある、アルト○イゼン・リーゼは……?どうするつもりなんですか!?』

 

 

「え?……リーゼ……!?」

 

 

実況席から、そんな呟きが有栖川の耳に入る。

 

 

『確か、マスターが作れる範囲内の技術で組まれたIS……第19世代型をアルト○イゼン・リーゼに改装し、強化した特化機……』

 

『肥やしにされるんですね!』

 

 

「なにそれ!?第19世代型!?乗りたいに決まっているだろう!?あ……くっ…………」

 

 

ここで、有栖川が罠であるかもしれないと邪推する。

だが、それ以上に型落ちしているが……“第19世代型”と“リーゼ”の誘惑は強かった様だ。

 

 

『パワー的には、今有栖川選手が乗っているISの約5,8倍。ブースターや装甲は普通の合金を使っていますが……第19世代型に恥じない機体に仕上がっていますよぉ?』

 

 

「うぐっ……」

 

 

『そして、第21世代型で改装したライン・ヴァイスリッターもありますよ?スピードと武装パワーと射程だけなら……多分、右に出るものも無いんじゃ無いかなぁ?』

 

 

「え!?マジ!!?」

 

 

遠藤も反応する。

※第19世代型……【鮮血の】がスーパーロボットを元に造ったパワーと装甲特化の機体。最大出力が、原子力の約6倍のキチガイ仕様。

※第21世代型……マ○ロス系を元にリアルロボットをモチューフに造った精密射程の安定特化型機体。超遠距離を目的に作られた逸品。ソレに如月双夜のスピードブースターを組み込んだ機体。

ついでに、【鮮血の】超長距離精密射撃可能特製ライフル装備……弾速/秒間毎200万㌔。光の速さを目的とした、安定のキチガイ仕様である。

 

 

「あれは、試合云々に関わらず、渡す予定の装備だよ……」

 

 

「「ま、マジッスか!?」」

 

 

『正気ですか!?』

 

 

「正気だよ?それに、シャマル先生の手料理ぐらいで吊り合わないだろう?そっちは、別口で対価を貰うさ……」

 

 

「「ーーーーー」」

 

 

ガーン……!!と、擬音が聞こえて来そうな……そんな表情の二人が棒立ちになっていた。

 

 

「有栖川にしろ……遠藤にしろ……今更、どれ程の鍛練を積んだ処でこの機体をモノにするのは不可能に近い。パワーを最大にして、飛ぶことは愚か機体性能に振り回されるだけの人形程度と成り果てるだろう……」

 

 

「「……………………」」

 

 

如月双夜の言葉に、無言で答える二人。

 

 

「段階を置いて、リミッターを付けても半分にも至るまい。自堕落に、ただ遊び呆ける為に転生した己の愚かさを悔やむが良い……と、言ったところで反省の「は」の字も得られないだろう。合体技ですら、成功率半分にも至らない奴等が倍以上のパワーがある機体に乗った処で、赤ん坊に爆弾のスイッチを渡す程度の話し……」

 

 

「「……………………」」

 

 

段々、二人の目に涙が溜まっていく。

目覚めた神崎達が、「ひでー……」とか「惨い……」とか口々に言っている。だが、如月双夜はお構いなしに二人の評価を口にし続けていた。

 

 

「使いこなせない……というのが、僕の結論だ。だからと言って、今の戦力では一般の兵装にすら勝てずに殺されるのが目に見えている。故に、僕の技術を君達に託すつもりだ。君達の死後、僕の元に戻って来るように特殊な術式も組み込んであるから問題はないだろう……が、神崎同様心配事はたくさんある!」

 

 

「「………………っ……」」

 

 

ポロポロと涙を流しながら、二人は声を殺して泣き始めていた。更には、自分にまで飛び火した神崎がショックを受けてorzの状態へ。

 

 

「君達が言うところの、第三期。それまで、君達が生き残っていられるかは……僕にもわからない。神崎には、聖剣エクスカリバーを……君達には、リーゼとラインを……黒龍や月詠……霧島には、布石を与えておくから……なのはママ達を助けてやってほしい……きっと、このままでは世界は破滅してしまうだろうからな……」

 

 

「「………………な、何で……でしゅか……」」

 

 

微妙に、幼児後退しているようにも思えるが……無視する。

 

 

「この世界の存続を、否定するアホがいるからだよ。君達は、ソレを回避する為の布石になって貰う。多分、僕は別の事で動けないだろうから……君達で、何とかして貰わなければならなくなるだろう……その為の力だ。当然、受けてくれるよな?僕の依頼を……」

 

 

「「……………………」」

 

 

無言の二人。

きっと、リーゼとラインを受け取る事によるリスクを考えているのだろう。原作には、関わりたくないけど……諸々の事情が、彼等を原作に関わらせようと動いている。

それが、嫌なのだ。まるで、自分達が誰かのコマになってしまうのが……。

 

 

「…………僕さぁ、閻魔大魔王と懇意なんだよね……」

 

 

「「???」」

 

 

「君達が死んだ際は、地獄で最も辛い所に落とすように言っておくね?……そうだな、一該年程でどうよ?」

 

 

「「ぜひ、ヤらせてください!!!」」

 

 

如月双夜が、受けなかったリスクの方を上乗せしたら、割りと簡単に二人は受けた。誰だって、嫌なことはしたくない。

それが、死後の話しなら尚更である。

自分達の意識が、どれ程残るかはわからないが……如月双夜なら、100%意識を残すことは容易いだろうと思い至った結論だった。

 

 

「じゃあ、有栖川は彼処にあるスイーツを食べてこいよ……僕の力作だよ?」

 

 

「では、お言葉に甘えさせて頂きます!!」

 

 

有栖川が、如月双夜のキッチンに向かっていく。

因みに、シャマル先生の手料理は既にフレールくん達が、残飯処理係の使い魔達に配り終えているので問題なし。

見た目は、普通の美味しそうなスイーツ。

されど、口に入れれば地獄の味がするシャマル先生特製ポイズンクッキングである。ただし、時間差で大ダメージを受ける仕様になっているので直ぐには効果ない。

まあ、美味しくすることは可能だが……如月双夜的に面白く無いので、マジカル☆クッキング(低)でそこそこ食えるモノとなっていた。

 

 

「「「ぐふぉあっ!!」」」

 

 

バタッ!バタッ!と、使い魔達が倒れて行く。

それを横目で見ながら、有栖川はウマウマ言いながらスイーツフルコースを食べている。

使い魔達に、冷たく蔑んだ瞳で睨まれながら食べる格上スイーツは最高だった様だ。

その後、このばか騒ぎは解散となり有栖川と遠藤がリーゼとラインを如月双夜から受け取って……楽しそうに、早々に乗っていた。だが……いつも通りの感覚で、うっかりフルスロットルで動かしてあまりのパワーに気を失っていた。

 

 

「君は本当に……馬鹿だろう?」

 

 

気が付き目を覚ませば、如月双夜に罵声を浴びせかけられるわ……他の転生者に、アホアホ言われるわ……踏んだり蹴ったりの有栖川だった。

リーゼとラインは、如月双夜の調整を受けて有栖川達でも普通に使えるレベルまでリミッターを掛けられ、有栖川達には特別な訓練メニューを組まれる事となる。

神崎のエクスカリバーは、既に空っぽだった中身にキチガイ概念武装を組み込まれているのでこれ以上の魔改造はされない。霧島白亜には、様々な神剣聖剣魔剣妖刀の中身を記憶領域に刻み込み“本物”を教え込む。

不知火達他の転生者には、失われた特典効果の補強を。

その上で、体を鍛える様に薦めた。

原作に関わるにしろ、関わらないにしろ……転生者である以上、何らかの危険性があると説得して、更には未来で起きた事件と結末を伝え三期に備える様に告げる。

 

 

「それで?貴方は、どうするつもり?」

 

 

「アリシア・テスタロッサの蘇生によって歪められた世界の基礎構成の調整をしつつ……使い魔を使って、アホ共の捜索・確保……必要なら、殺害かなぁ?」

 

 

「はあ……いつも通りッスね……」

 

 

「嫌な、いつも通りなんだなぁ……」

 

 




段々、パワーアップするシャマル先生の料理が怖すぎる。(笑)因みにカットされた台詞がある。
双夜が、シャマル先生の料理が虹色云々言った後。
シャ:「本当、綺麗ですよねー」
武装隊員:「えっ!?美味しそうが基準じゃ無いんだ……」
武装A:「料理の綺麗基準は危険だぞ!?」
武装B:「毒だ!それはもう、毒でしかない!!」
(省略:毒の話題で話が反れた)なんてことが……。

とりあえず、シグナムと有栖川が書きたかった。
と、言っておこう!
騎士だけど、騎士でなくなるシグナムがっ!!
黒龍に関しては、自業自得なのでお玉でドボドボと流し込んで見ました。如月双夜が鬼畜と化してて、書きやすかったW
神崎(踏み台)・ヴィータ・はやて・黒龍が初戦敗退。
因みに黒龍のエクスカリバーは、集束魔法です。
だから、避けられたって設定(笑)
使い魔達は、基本的に機械音痴です。バトルジャンキーですので……一応、機械に強い使い魔もいますよ?この時は、アルカリアの方を手伝ってますけどね!!
遠藤・フェイトが、ニ戦目で敗退。
遠藤とフェイトちゃんのポイズン食いが描かれていないのは……虹色に輝く、最早料理なのか不明の物体Xのせいとだけ言っておきます。ぶっちゃけ、書いたんだけど……自主規制しました。(笑)特にフェイトちゃんが……哀れ過ぎた。(泣)
流石に物体Xで、溺れさせてはいけない……。

〇ボツ話。
吹っ飛んだ物体Xの鍋がフェイトちゃんの頭をスッポリと覆う。突然の事に、誰もが動けないでいる中如月双夜だけがフェイトちゃんに駆け寄って行く。
「あははははは!!」
頭を物体Xの入った鍋に突っ込んだフェイトちゃんを指差して大笑いする如月双夜が、それでも鍋を取り払おうと手を伸ばす。しかし、天から降り注ぐ紫電の雷によって阻まれた。
プレシア・テスタロッサである。これ以上、娘に変なことをされない為の行為であったが、それが裏目に出た結果である。衝撃にぶっ飛ばされたフェイトが、地面に鍋を強く叩き付ける。ゴワァン!!と凄まじい音が鳴り響いて、フェイトちゃんがピクピクしている。そのすぐ後、フェイトちゃんが暴れ出した。衝撃で、物体Xを大量に飲み込んでしまった結果である。心配したアリシアが、漸くフェイトちゃんの元へとたどり着き、フェイトちゃんの頭を覆う鍋を取り払った。
だが、それが悪夢の始まりである。取り払らわれた鍋から出てきたフェイトちゃんは、完全に蒼白な顔で……あまりの顔色にアリシアがフェイトの顔を覗き込んだ瞬間、フェイトちゃんがアリシアの顔目掛けて物体Xを吐き出した。
オエエエッ!!と勢い良く吐き出された物体Xはアリシアに直撃!その光景に、会場は騒然。口を押さえて、トイレに駆け込む二次被害が続出した。そして、プレシアが慌ててアリシアに駆け寄り三次被害に会う。もはや、模擬戦会場は吐瀉物会場と化してしまった。

この後、どうやっても戦闘に戻れず、泣く泣くボツ話となりましたとさ。めでたしめでたし……。因みに、被害は五次まで行きましたwwwwまさかのゲロイン誕生の瞬間。
しかし、リンディさんまでゲロイン化しちゃったので止めました。え?原因?遠藤が、オクスタンランチャーで鍋を狙って外したのが原因です。

そして、八神家は……全滅した。だってぇ……シグナム勝ったら、まず間違いなくスイーツをはやてに譲りそうだったので……。それは、双夜が絶対許しそうにない結末なので有栖川が勝ちました。

そして、ISの件ですが……19世代と21世代ですね……。
スーパー○ボット大戦系から、色々パクって作り上げられた……とだけ語っておきます。ここら辺は、違う話になりそうなので……趣味話は、強制カットです!!

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m(_ _)m

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