絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
Re:
少し、時間は戻る。
本当なら、ヴィヴィオと一緒に帰宅の路に付いていたハズなんだけど、ウェンディが居てくれたお陰でノーヴェとヴィヴィオの到達地点の論議に花が咲き過ぎた結果の成れの果て。ノーヴェの肩に乗って、勤務?先である救助隊へ行く道すがら唐突に襲撃される場面に遭遇した。と言っても、襲撃されているのはノーヴェであって他人じゃないんだけどね。
『日頃の行いかな?サッサと、先生に成るって言わないから……』
「うるせぇ!そんな事で、こんな事にはならねぇよ!?」
俺の軽口に反応したノーヴェが、突っ込みを入れて来るけど……それ以外に、彼女の日頃の行いなんて知らない事になってるんだよな。
そりゃ、フレールくんを通してなら色々知ってるけど。
「貴女にいくつか伺いたい事と確かめさせて頂きたい事が……」
そして、こっちの話をそっちのけでドンドン進めて行く襲撃者。
あ、コイツ……人の話を聞かない奴だな?全く、見た目からして18歳くらいの女性らしいけど……もう一人分、13歳くらいの影がチラチラしているので見た目と本年齢は違うのかも知れない。
「質問すんなら、バイザー外して名を名乗れ」
街灯の上に立つ、怪しい女。また、女性か!?
もう、いいよ。女性は、間に合ってます!!
「失礼しました。カイザーアーツ正統ハイディ・E・S・イングヴァルト。『覇王』を名乗らせて頂いています」
とりあえず、様子見で。じゃないと、話が進まない様な気がするからね。とは言え、ただ見てるだけなので暇なんだよな。
「噂の通り魔か……」
「否定はしません」
『覇王』?ああ、この子があの『なんちゃって覇王流』の覇王さんか!神崎君が、色々と彼女の事で頭抱えてたっけ?
「伺いたいのは、貴女の知己である『王』達についてです。聖王オリヴィエの複製体と冥府の炎王イクスヴェリア。貴女は、その両方の所在を知っていると……」
『王』……王ねぇ?一応、俺も『王』の付く職業やってましたw。
【魔『王』】っていう、職業だけど……一応、『王』は『王』なんだよね。何なら、俺と死合っちゃいますか?
「知らねぇな。聖王のクローンだの冥王陛下だのなんて連中と知り合いになった覚えはねぇ!あたしが知ってんのは一生懸命生きてるだけの普通の子供達だ」
ヴィヴィオは頑張ってるけど、イクスは寝た切りなので普通の生活が出来る様になるまで数ヶ月掛かるだろうし、闘える様に成るまでいったい何年掛かる事やら……予想すら出来ないよ?等と、検討違いな感想を持つ俺。でも、実際問題……時間の掛かる話である。
それとも、寝た切り少女を殴るつもりなんですかねぇ?
「理解できました。その件については他を当たるとします。では、もう一つ確かめたい事は……貴女の拳と私の拳。いったいどちらが強いのか、です」
『はあん?どっちが、強いか、だぁ!?』
何、言ってんだ……コイツ?馬鹿じゃねぇの?
『強さ』なんてモノは、誰かと競い合うモンでもねぇだろう?
ぶっちゃけ、そんなモンは己との闘いで見い出すんであって誰かにぶつける行為はただの暴力だ。そりゃ、技術を競い合うって言うなら話は別だけど……『力』を誇示したいだけなら、何かの競技で誇示すりゃ良いだけの話だろう?
「防護服と武装をお願いします」
防護服?ああ、バリアジャケットだね?武装は、そのままデバイスかな?というか、また妙な表現をするお嬢さんだねぇ?
そんな感想を抱きながら、地面を蹴ってカバンを投げ捨てるノーヴェからピョンと飛び降りて離れる。そのまま、少し距離を開けて二人の様子を眺める事にした。
因みに、今の俺はにゃんこ姿だ!!
会話は、念話で補っているよん( ・`д・´)+キリッ!
「いらねぇよ」
「そうですか」
「よく見りゃ、まだガキじゃねーか」
そう言うノーヴェも、まだまだ御子様に見えるけどね。
一応、19歳らしいけど……お姉ちゃん(スバル)に甘える女の子だ。
「なんで、こんな事をしてる?」
「……強さを知りたいんです」
「ハッ!馬鹿馬鹿しいーーッ!」
吐き捨てる様に構えを取ったノーヴェは、相手のフイを付いて一気に間合いを詰めると飛び膝蹴りを放つ。それを、咄嗟に腕でガードする覇王っ娘。だが、ノーヴェの攻撃はそれだけに止まらない。
気絶目的の魔力を拳に集めて放つ魔法で追撃をするもそれをも防がれ覇王っ娘を吹き飛ばす。勢いを殺せず、ズザザザッ!と滑って行く覇王っ娘。
『…………フム……』
ありゃ、ダメージは無いなぁ。ノーヴェも、それがわかっているからかちょっと悔しそうな顔でポケットに手を突っ込む。
そこから取り出されたのは、ノーヴェの相棒『ジェットエッジ』。
結局、セットアップする事に成るなら最初からしていれば良いモノを……まあ、デバイスの補助なしじゃノーヴェにはキツイ相手かも知れないな?ちょっと、視線を外して欠伸をしてから戻すとバリアジャケットを纏ったノーヴェが居た。
「ありがとうございます」
「強さを知りたいって正気かよ?」
「正気です。そして、今よりもっと強くなりたい」
「なら、こんな事してねーで真面目に練習するなりプロ格闘家目指すなりしろよ!単なる喧嘩馬鹿ならここでやめとけ。ジムなり道場なりいい所紹介してやっからよ」
「ご厚意、痛み入ります。ですが、私の確かめたい強さはーーー生きる意味は、表舞台にはないんです」
そう言って、覇王っ娘は構えを取りーーーてか、あの構え……良く、神崎がなんちゃって覇王流をやる時に構えるヤツですね?
成る程、彼女の構えを真似してた訳か……即ち、中二病拳か!!
思案顔なノーヴェを他所に、覇王っ娘が一瞬で間合いを詰める。
良い、瞬発力だな?その勢いを利用して突き出されるは手刀。
ノーヴェが、苦しそうに避けたけど……あれ、下手に当たってたら死んでたぞ?まあ、ノーヴェも寸でで回避したみたいだけど。
「ち……ッ!」
そのままの勢いで、相手を通り過ぎて一歩、二歩で反転。
下から、抉り上げる様に拳を振る。
「が……ッ!」
ノーヴェも、慌てた様子で振り返ったけど間に合わず懐に飛び込んだ覇王っ娘に腹パン。それでも、ローラーを使って一時離脱。
仕切り直しだな?
「列強の王達を全て斃しベルカの天地に覇を成すこと。それが、私の成すべき事です」
「寝惚けた事抜かしてんじゃねェよッ!」
覇王っ娘の天然?発言に、反論を始めたノーヴェが間合いを詰めつつ技の応酬を始めた。言葉を投げ掛けながらの殴り合いである。
「昔の王様なんざみんな死んでる!生き残りや末裔達だってみんな普通に生きてんだ!!」
その合間に、ちょくちょく相手を煽る様な事を告げる覇王っ娘。
「弱い王なら、この手でただ屠るまdーーー」
次の瞬間、覇王っ娘が吐いた台詞にノーヴェの怒気が膨れ上がったーーんだけど……気が付いたら、俺の拳が覇王っ娘の顔面に突き刺さっていた。
「ん!?」
「あ!?」
ドサッ。
「……………………」
「……………………」
倒れる覇王っ娘。無言の俺とノーヴェ。
振り返れば、ノーヴェと目が合った。
「…………ゴメ、ン……」
ここは、素直に謝るべき場面!下手に、『殺っちゃった♥』とかやったら別の意味で時間が取られるだけである。特に、乱暴口調ではあるけど……ノーヴェは、真面目な良い子だからな。下手な軽口は、彼女を煽るだけにしか成らない。
「ああ、うん……」
視線を戻せば、気絶している覇王っ娘が地面に横たわっている。
うわぁ……やらかしちゃったよ。横から、ノーヴェの獲物を取った挙げ句に意識まで刈り取っちゃうとか……空回りしますね!!
「どーすりゃ、良いんだろうな?この気持ち……」
「ホント、ゴメンて……つい。手加減はしたよ!?」
まあ、無意識に手が出ちゃったみたいだけどね!
「あ、あ、言い訳をさせて下さい!」
「あー……わかってる。わかってる……(苦笑)」
「『屠る』なんて言っちゃうこの子が悪いんだよ!?あんな事言われたら、つい手が出てもおかしく無いよね?ね!」
「わかってるって……あたしも、カッとなったからよぉ……」
そう、言いながら鼻頭をポリポリ。ウィンドを操作して、何処かに連絡を始めるノーヴェ。多分、彼女の姉となったスバルにでも連絡を取っているのだろう。あ……これ、もしかして通報案件ですか?リンディさんのお説教コース確定か!?クソォ……覇王っ娘が、変な煽り方をしなければやらかす事は無かったのにぃ!!
「兎に角、だ。スバルに連絡したんで、後は任せようぜ……」
「ほーい。じゃ、僕……帰るね?」
「ああ。多分、局の方に行く事になるだろうから……明日の朝、家に来い、な?逃げるんじゃねーぞ?」
「へーい……ヴィヴィオ、見送ったら直ぐ行くね……」
「おう!」
それだけ言って、俺はノーヴェと別れた。
……………………。
高町家に戻って来た俺、そろそろと扉を開けて周囲を見回す。
あれだけ、時間を掛けたんだ。もう、お風呂から上がってちゃんと服を着ているハズ!きっと!!多分……でも、フェイトちゃんだからなぁ。下着姿で、ウロウロしていたりはしないだろうと思うけど……寝る前は、油断できないので困る。
そう言えば、フェイトちゃんは明日の早朝までで一時帰宅だったっけ?ぶっちゃけ、そんなに忙しいならもっとゆっくり出来る機会をちゃんと作れば良いモノを……と言っても、リンディ・ハラオウンやクロノんを見ている限り纏まった休みを取る艦長って居ない。
むしろ、仕事優先でチョクチョク帰って来るフェイトちゃんがイレギュラーなのだった。だからと言って、下手に俺が手伝うと余計に帰って来られなくなるし……先に、大きく成りそうな犯罪の芽を刈り取るとうっかり表沙汰になるハズだった犯罪が表沙汰に成らなかったりするから手の出しようがない。
結局、ケースバイケースで臨機応変に対応するしかないんだよな。
【組織】みたいに、例え表沙汰に成らなかったりしても情報が集まって来るならやりたい放題なのに……まあ、無い物ねだりは駄目駄目なので諦めるけど。そう言えば、転生者の方はどうなって居るのかって?そりゃ、彼等は今……迷走中だったりする。
何故、そうなったかと言うと……やっぱりと言うかなんと言うかストライクアーツの競技が男女別のスポーツだと知って右往左往していた。その上、競技の時期が男女によって違うのも彼等を混乱させるのかも知れないけど……それ故に、女の子達と絡めなくてややこしいい状況に成っていた。
「あ、おかえりー双夜。お風呂、先に行ったよぉー?」
「んー、たらいま?そこの痴女は、ちゃんと服着てるな!」
「普段は、脱がないよ!?」
「そんな事言って……何度、人を恐怖のドン底に叩き落としてくれたんだったかなぁ?」
「あ、あれは……ふ、不可抗力だよ……」
こっそり、リビングを覗き込みフェイトちゃんがちゃんと服を着ているかを確認してからリビングへと入る。リビングに入ると、ヴィヴィオが迎えてくれて少しホッとした。その上で、すかさずフェイトちゃんを弄って遊び奥の台所にいるなのはさんに視線を向ける。案の定、苦笑いしているなのはさん。流石にこの一年で、数十回にも及ぶ俺の恐怖体験を端から見ていた分わかっていらっしゃる様子であった。デスヨネー?小まめに帰って来られるのは良いけど、この度に朝になると寝室から下着姿で現れる事が何度もあったのは御存知の通りなので俺の反応も何時もの事。
故に、フェイトちゃんと俺のやり取りは不毛なモノが多いいけどそれを『何時もの事』として流すなのはさんも大概だったりする。
「双夜、おかえりー。ちゃんと、ノーヴェを送って来てくれた?」
「ノーヴェ?スバルに預けて来たよ?」
「え?スバルに???」
「うん。お姉ちゃん、大好きって言ってた……」
「ふふふ。もう、嘘は駄目だよ?」
「心の声を代弁しただけじゃん。なんなら、スバルの目の前で通訳とかしてやろうかなぁ?」
「あ、それ……ノーヴェが、怒るヤツだ……」
「突っ掛かられても、勝てないというオチに絶望するだけだろ?」
苦笑いするヴィヴィオを横目に、ソファーに座ってウィンドを操作しメールを開ける。確認するのは、使い魔達から送られて来た報告書だ。これが、中々どうして喰えない内容のモノが多い。
「双夜、強いもんねぇ……」
「強いって言うか、搦め手が得意ってだけだよ?」
「むしろ、双夜は卑怯者かもしれませんよ?」
「フフン。何なら、ハメ技でコンボしてやろうか?先ず、搦め手で絡め取って殴る蹴るしながら《幻惑魔法》と《忘却魔法》で意識の隙間を作り《幻覚魔法》で女の子の弱点を突いてひたすら精神的に攻めまくる……とか?」
「ああ、なのはさんが精神後退してたアレですね?」
「ああ、アレかー……」
フェイトちゃんにも仕掛けたけど、割りと良い感じに落ちちゃって抜け出せなくなっちゃったアレな?流石に、ホラーはアカンかったらしい。まあ、なのはさんの方はフェイトちゃんに仕掛けたヤツよりデフォルメっぽくしてあったんだけどな?穴の開いた、シーツを被っている程度のレベル。それを、チョコーっとおどろおどろしくしてみただけだったんだが……まさか、アレだけの被害を出すとか思いはしてなかった。いやー、デイバインバスターの乱射とかw……エース・オブ・エースが、聞いて呆れるレベルのハッチャケっぷりに戦列が乱れて敵も味方もないったらw。
「うっかり、敵も味方も全滅しかけちゃってw」
「アレは、酷い戦いでしたー……」
「うん。イレギュラーな事はないみたいだな……ちょっと、何人かが脱落したくらいで問題無し。じゃ、監視継続っと!」
大ボケ小ボケな会話をしつつ、転生者達の動向を報告書で知った俺はこれからも監視継続を言い渡してウィンドを閉じる。転生者が、どれだけ強力な特典を持っていようが如何なる能力であろうが彼女達と関われない限り意味がない。周りへの被害は、今も尚増え続けているけど……地球の時と違う環境が邪魔するのか、中々こちらにまで被害が及んでいなかった。というか、ヴィヴィオの通うSt.ヒルデ魔法学院へ入学するも魔法理論や実技で躓いて離脱したり、格闘競技で俺TUEEEしようとしても訓練が足りなかったりして挫折したりしている。まあ、特典に胡座を掻いてる様な馬鹿は基本的に篩に掛けられた時点で落とされ努力する者でも中々上位に至れないってのが現状だった。ぶっちゃけ、今一な転生者しか居ないのである。
それもその筈で、魔法世界に生まれたからってなのはさん達の様に色んな事件に巻き込まれ経験を積むなんて事もなく、平穏無事に過ごしていざ戦闘となったら普通に戦えたりしない。そもそも、特典に胡座を掻いてる時点で競技に真剣に取り組んでいる少年少女達に勝てるハズもないだろう?
何の経験もなく、特典があるからと努力もせずのんべりだらりと過ごして来た馬鹿がいきなり最強に成れるハズもなく……結果、転生者同士で足の引っ張り合いをするのが現状だったりする。
「放置で、大丈夫なんですか?」
「まあ、問題ないだろう。つか、特典に振り回されている時点で上位に昇って来る転生者は希だよ」
それに、原作ヒロイン?に突撃しようにもガードが硬くて接触すら出来てないみたいだからな。というか、ジークリンデ・エレミアって子に凸して病院送りになった奴が競技に出られなくなってるんだが……身体も出来ていないのに、
つか、そこまでコミュニケーション能力が高い奴ならヲタク街道をひた走るなんて事はしないと神崎も言ってたからな。お陰様で、警戒してたのに梯子を外された気分で空中分解気味だった。
「地球なら、無警戒で受け入れてくれてたのにな?下手に、魔法犯罪者が居る世界じゃ相手のガードが硬くてコミュ障には辛い現実があるみたいだw」
「大変そうですね……」
「まあ、問題に成りそうな特典は排除済みだからな。歪みも、直接出向くレベルでも無いし……楽なお仕事だよw」
間接的に邪魔はしているけど、その程度で世界を歪められないのであるならば警戒する必要は無いに等しい。だが、俺達が呼ばれた以上なにかしら世界が対応出来ない事態になるのは確実なので鋭利継続で警戒を怠らない方が良いだろう。
「如何にせよ、僕達のやる事は変わらないよ」
「ふふふ。ですね……」
そう、問題が起きたら臨機応変に対応するだけの話である。
……………………
……………………
……………………。
ー湾岸第六警防署ー
翌朝、ちょっと遅れて来てみれば……待合室みたいな場所に、何故かスバル・ナカジマとティアナ・ランスター居て近付いて合流した事を宣言したら苦笑いされた。その後、覇王っ娘と顔を合わせた時に『君を殴って気絶させた者です』と自己紹介したり見た目をにゃんこの姿にしてあの場に居合わせた事を証明したりするハメに。というか、帰って良いですか?(泣)
「なんで、覚えられて無いのよ!?」
「フッ。我の隠密性能が、とても良い仕事をしているみたいだな。まさか、覚えられて無いとかw。ウケルー……(泣)」
「ああ!ちょ、泣かないで、大丈夫だから!!」
相手に覚えられて無かった事に、ちょっとショックを受けた風を装ったらスバルさんまであわあわ状態になってしまった。覇王っ娘も、戸惑っているみたいだし仕返しは十分かなぁ?ただ、ティアナさんやノーヴェの白けた様子はウザかったけどね!!
お前等、今度模擬戦する時は覚えてろよ!?
真っ先に狙ってやるからな!?(私怨)
「ごめんね、ティア。折角の非番なのに……」
「それは、あんたも一緒でしょ……」
「非番なんだ?お疲れ様です」
「「……………………」」
ニコーと、労いの言葉を言えば微妙な顔をされる。
何々?俺のせいで、お疲れなんだと言いたいのかな?もう、それなら癒して上げるのに……ニヤリと、凄みのある笑顔にしてやればスィッと視線を反らされた。おいおい、そんなに俺の興味を引きたいのかね?何なら、なのはさんが泣いちゃうレベルの癒しを差し上げても良いんだぜ?君達も、目を酷使していそうだからな……足裏マッサージが、とても良く効きそうだ。
「しかし、あんたってばベルカの王様とよく知り合うわよねぇ」
「ねー。でも、あの子……アインハルトも色々抱え込んじゃってるみたいだし、このまま放ってはおけないかも……」
「そうね。でも、その前に……あんたの可愛い妹が、ひと肌脱いでくれそうじゃない?」
カウンターで、手続きをしているノーヴェに視線を向けて優しい笑みを浮かべるスバルさん。ティアナさんも、似た様な顔をしているので二人もお節介を焼く気満々だ。
「そう言えば、僕も『王』と言えば王様だしな?」
「そうなの?」
「ふーん……何の王様なんだか……」
「【魔王】ですが、何か?」
「「……………………」」
一泊を置いて、二人は噴き出した。
「プハッ!アハハハ、ハハハハ!魔王!!アハハハ!!」
「アハハハ、ハハハハ!!もう、似合い過ぎよ!!」
いや、笑い過ぎだろう?
なので、燃料を更に投下してみる。
「手下には、管理局の白い悪魔と黄金の死神が居たりします」
「ちょ!それ、本人に言っちゃ駄目よ?気にしてるんだから……」
チッ。継続成らず、か……流石に、敬愛する人達でウケ狙いは駄目だった模様。これが神崎なら、大爆笑継続は確実だったのにな。
「知ってる。希に、そのネタで弄ってるから問題なし。まあ、なのはさんはその後……模擬戦に誘われるけどね……」
「うわぁ……度胸があるというか、無謀と言うべきか……」
「そして、喧嘩を売って精神が後退するんですね?わかります」
なのはさんが、俺に喧嘩を売って来る事は先ず無い。下手に、喧嘩なんてモノを売ろうものならその後に待ち受けている未来は恐怖と混乱の二重苦である事はわかり切っているからな。
「アハハハ……まさか、なのはさんがホラーを苦手にしてるとは思わなかったけど、ね……ってか、スバルも駄目よねw?」
「うぅ……だって、あの不透明さがちょっと……」
「見える様にしてあげようか?」
「止めなさい。全く……」
『ひっ!?』と怯えるスバルさんを見て、ティアナさんが止めに割り入って来る。流石に一度、実際に見える世界を体験させたのであの恐怖は忘れていない模様。ええ、ガチで見せてやりましたともw。浮遊する首が、肉体を探し求めてフヨフヨしている現実を!
どう見ても、ゾンビと変わらない轢き逃げ?死体がフラフラしている日常を体験して彼女達は俺に逆らう事はしない。というか、二度とあんな体験はしたく無いだろう。
「でも、僕が【魔王】である事は間違い無いよ?実際に、暴走してた頃があるし……ねぇ?名実共に、なんだけどなぁ?」
漸く、vividに入って来たぜ!!まあ、無理やりなら一度やっている訳ですが……今回は、自然?に突入出来ましたよ!!って訳で、vividですね!まあ、本文にも書きましたが転生者達は勝手に自滅して行ってます。いやー、よくよく考えたら御都合主義がない限り彼等が原作に関われる可能性がほぼ無かったんですよねぇw。原因は、魔法犯罪者。時空管理局が、取り締まっている彼等のせいでミッドチルダ在住のお嬢さん達が『俺だけが目立ってれば良い!!』の転生者を受け入れる確率ってどれくらいでしょうね?そりゃ、地球ならちょっと変な子供だなぁ?で、済みますけど……日常的に、テロとか起きそうなミッドチルダで頭のおかしい子供を受け入れてくれるのは局員くらいじゃ無いですかね?って結論に至った為。
まあ、地球でもそれは同じなんだけど……ミッドチルダと違って、平和な所は徹底的に平和なんだって事。そりゃ、小さな事件はチョクチョク起きては居ますよ?でも、いきなり建物が爆発したり質量兵器と魔法が交差する世界って自衛がもっとも大事そうですよね!!
それはもう、魔法という人を攻撃出来る能力を持つ人がそこそこ居る世界と……人を攻撃する術が限られている世界じゃあ、価値観が違う訳で……特に、原作のヴィクトーリアを見てても良くわかる。
あの人、過保護なんだよなぁ……シミジミ。周りも、過剰なくらい過保護なんだよ。なので、転生者みたいな変態はそもそも近付けそうに無い。下手に近付こうモノなら、突然発生した存在だと即バレしそうで……ちょっと、近付けなかったりする。そりゃ、出自がちゃんとしてないと近付けもしなさそうだ。つまり、親が居なかろうが孤児だろうがどこで出生が登録されたかがちゃんと記録されていないとおかしな扱いに成りそうだからな。そこら辺が曖昧な転生者は、そもそも御近付きには成れそうにない。
双夜って、IQが250ある癖にやっている事は脳筋のソレw。
まあ、それだけで双夜が超絶面倒臭がりなのがわかるかと思うけど……仕事を趣味にしてるので、今一伝わらないという悪癖があります。でも、双夜は基本面倒臭がりなので力押しで殺れるなら力押しを選択するタイプ。まあ、糞餓鬼がそのまま大人?になった感じの少年……見た目、少年なのに大人?になるの?あー、不老不死の弊害って事で。悪戯大好きな超ひねくれな糞餓鬼をイメージしてくれると有難い。
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。