絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三九二話 #

Re:

 

 

あの後、それとなく翼への気持ちを聞いてみたけど……転生者達の反応は今一だった。というか、翼が転生者だとわかった時点で彼等の興味は外れて今はまた原作ヒロインへと向いている。こういう所を見ると、本当に欲望に忠実なんだなぁ……と思ってしまうが、それがヲタクというモノなので仕方がないと思われた。

それからは、至って普通な時間を過ごしーー転生者共の突撃はあったもののーーついに、例の原作へと突入する。

 

 

 

そ・し・て、師匠と奴との物語が始まるのだ!!

 

 

 

 

 

 

 

ーーって事はなく、俺と師匠は別の平行世界へと《時渡り》したのだった。

 

「原作、突入じゃねぇのかよ!?」

 

「その前に、転生者達が改心したから世界が要らないと判断したんだよ。実際、転生者達(♂)が【魔法少女】の世界で主人公に成れないと悟ったみたいだからな……」

 

しかも、原作ヒロイン達に絡みたくてもDSAAが男女別の競技であったのも影響している。結論、彼等は何をしても成功しない事を悟った……という訳だ。彼の転生が、失敗を前提としている転生である事は事前に教えてあったので自覚も早かった。

その上、彼等は悟った時点で己の特典を一つにするべく師匠の元へ突撃して行ったので問題の解決も早かったのだ。

 

「他にも、もっと居たじゃん!?」

 

「転生者ネットワーク……俗に、掲示板みたいな特典を取って居た方が居まして即行で広まったみたいですよ?」

 

「掲示板の神様特典……」

 

「どこにでも、掲示板住人になりたい奴がいるんだな……」

 

というか、ただ単にダラダラしていたいだけの引き籠りなんじゃ?……きっと、情報収集の一環だったんだろうけど。世界裏の情報を知って、諦めたんじゃねぇの?年齢が低いから、人生のやり直しなんて割りと簡単に出来そうだからな。多分、取り返しが付かないのは無印から参加している転生者だけだと思われる。

つか、転生者だけの専用掲示板とか……そんな、下らない特典を求めたお馬鹿さんが居たんですか!?それはそれで、レアケースだけど……お陰で、師匠とアインハルトの出会いは回避されて立てていた対策は意味を成さないモノとなった。

更に、それ以上の転生者が地獄からのはみ出し者だったのも関係している。特典を持たない上、関わろうにも関われない人達だね。はみ出し者は、原作に関われないから。

そして、俺は未だに師匠にアインハルトの事を告げられて居ないという状態へと陥っている。だって、中々タイミングが合わないんだよ!?それに、どう告白しろと言うんだ!?当人が、その話題を振って来るなら兎も角……何も言われて無いのに、原作ストーリーを語りだしたら不信に思われてしまうだろう!?それによって、師匠がヴィヴィオの将来をどう認識するかにも掛かっている。って訳で、未だにアインハルトの事を告げられない俺が居た。

 

「そして、またしても秘密基地にて翼と二人……」

 

「俺も居るんですけど……」

 

「リリィやオルタも……ね?」

 

「わかってるよ。わかってるけど……師匠が、超シスコンな件!」

 

と言うか、翼や師範代達は兎も角トーマに関してはもう一度時空管理局に潜入してあちらの情報を流して欲しい所。そうすれば、もう少しマシな方針が取れるんだけど……今回に至っては、原作側とのコンタクトが全く取れなかった。

別に、転生者に邪魔された訳でも原作ヒロイン達に敵認識された訳でもない。ただ、出現した場所が悪かったと言うかなんと言うか……時空管理局・本局を貫通しちゃって一部を削ぎ落としちゃっただけなんだけどね。その上、思わぬ出現状況にモタモタしてて原作ヒロイン達に顔を見られた挙げ句、時空管理局から次元指名手配されちゃった♥。

 

「詰んだ……としか、言い様がねぇ……」

 

「というか、本局の施設って破壊出来たんですね」

 

「つーか、貫通した意味がわからねぇよ!?」

 

「ああ、それは……出現位置に真っ先に違和感を覚えたMasterが、空間遮断に匹敵する防御魔法を展開した為ですね!」

 

ついでに、《加速》とか掛けてませんよね?あー……掛けていそうだな?『面白そうだったから……』って理由辺りで。

 

「それと、管理局の防御フィールドをも突き破ってブレーキの代わりにしたのもあるの。途中、方向転換の様な魔法も使っておっての……局のシールドを全て破壊しておったわw」

 

それって……確信犯って事じゃないですか!やだぁー(泣)。

 

「…………笑い事じゃねぇよ!?」

 

「止まるまでの衝撃って、それだったんですね……こりゃ、恨まれてますよ?絶対」

 

間違いなく、再展開に必要な予算的な意味でもな!!

 

「こりゃ、潜入は難しいかもな……師匠以外は」

 

「ですねー。双夜さん以外は!」

 

「咄嗟の判断で、ステルスモードで姿を消したMaster……グッジョブです!!そして、我々を強制転移させて今や行方不明……」

 

「その上、《時渡り》直後はユーリも魔導書の中故の?」

 

なんて、隠蔽っプリ!!それに比べて……まあ、比べちゃぁアレだけど。目の前にいる隠鬼さんは、確か姿を眩ます事に特化した隠密……でしたよね?俺や師匠は、戦うのが専門の戦鬼だけど。

なんで、戦鬼の師匠が姿を隠せたのにコイツは目立ってたんでしょうね?もうちょっと、IQとか上げたらどうですか?

 

「おい、隠密種族。ちょっとは、師匠を見習えよ……」

 

「無理言わないで下さい。あんな化け物と同レベルの判断や魔法行使なんて無謀過ぎですよ!!」

 

「知ってる。言ってみただけだ……」

 

「むしろ、あの人の方が向いてるんじゃないですかねぇ?」

 

「向いてるだろうな。でも、あんな暗殺者は……要らない!!」

 

「以下同文です。気が休まりそうもありませんからね……」

 

「「はぁ……」」

 

まあ、あんな暗殺者が居たら姿を消す云々と言う前に命を刈り取られますけど。普通に、目にも止まらぬ早業でサクサク殺されるのが目に見えている。ええ、死んだ事すら認識出来ないんじゃね?

そんな訳で、適当な無人世界で潜伏中です!!

 

「てな訳で、何する?」

 

「何って……転生者、探しとかじゃ無いんですか?」

 

「それは、既にMasterがやっておられます」

 

「現段階で、八人ほど候補が上がっておるの……」

 

「ハハハ。既に、八人も見付けたんかい!?」

 

転生者なんて、原作ヒロインの周辺を見回せば直ぐ見付かるだろう?ぶっちゃけ、八人くらいどうって事でもないと思うぞ?

まあ、その中にTS(F)した転生者が混ざってるのには驚きだったけれど……コイツは、変態か?つか、監視中にプライベート行為を始めるのは止めてくれませんかね?唐突に画面が真っ暗になって、壊れたんじゃないのかとビビるビビる。備品なんだぞ!?壊れたら、弁償どころの話じゃ無いから。まあ、ブラックアウトした直ぐ後から喘ぎ声が聞こえて来て……成る程と納得したけどな。

いやー、激しかった。しかも、かなり長い時間アンアン言ってて途中に席を外したんだけど……一時間経っても続いてたよ。

 

「とりあえず、現状はわかった。TSした馬鹿が、変態だって事もな……つか、日付が変わっても続いてたんだが……(疲)」

 

「あ、そうそう。兄様よ……Masterからの連絡で、この世界は五分前創造が成された世界である事が判明しておる」

 

「五分前創造?って、世界が五分前に構築された云々のアレか?」

 

「はい。その様ですね……」

 

「へぇ……で?いつから、創造されてたんだ?」

 

それによっちゃぁ、こっちの対応も大分変わって来るからな。

まあ、大まかな方針は変わらないだろうけど……無印が、無改変であるなら人間関係が面倒な事はない分、難易度が跳ね上がっている可能性がある。その為、転生者の無茶が通常より激しくなるからだ。特に、ハーレムを作ろうとする馬鹿は……な。

 

「Masterが言うには、転生者が『三期』と呼んでいる直後辺りか、ヴィヴィ様の物語?が始まる一年前程でしょうか」

 

「成る程。余程、無印から参加する転生者に邪魔でもされたのじゃろうな?それも、ヴィヴィの物語?へ突入出来なくなる事を……のぅ?もしくは、失われてしまったか……だの?」

 

「……おぅ、じーざす……」

 

そうか、『vivid』からの参入ですか。ちょこっと、創造された期間が離れている様な気がしないでもないけど……それ程、気にする感じでも無さそうだな。つか、それよりも師範代達が『ヴィヴィオの物語』って言ってる方が気になるんだけど?俺、その事を師範代や師匠に伝えた覚えがないんだが……凍真経由か?それとも、俺が言ったんだっけ?……ダメだ。思い出せない。

多分、前回の世界での話なんだろうけど……言ったっけ?

だが、知っているのなら話が早いので良しとする。間違いでも無いしな。ただ、ネックとなるのは【何が起こるのか】を知っていてもその何が起こって【どうなるのか】がわからなければ同じだという事。ぶっちゃけ、アインハルトがヴィヴィオとどういう関係を築くのかを師匠に伝えねば成らない。師匠も、『親友』だとわかれば始まりに何を言ったとしても多分大丈夫である事をわかってくれるハズ。なので、師範代に幾つか『vivid』ストーリーを語ってみせたんだけど……全く、師匠に取り次いでくれない(泣)。

 

「何故ですか!?」

 

「「面白そうなので!!」」

 

クソッ!コイツ等を信じた俺が馬鹿みたいじゃ無いか!!

なので、何も知らない師匠がアインハルトに出会った場合の行動がどんなモノになるのかを予想させてみた。すると、師範代達の眉間に皺が寄せられる。しかも、かなり長い時間の沈黙もあった。

ぶっちゃけ、それだけ悩むのなら変な悪戯は思い付かないで欲しい。とは言え、師範代達も他の使い魔達も師匠の影響を強く受けているみたいなのでこれは師匠の責任だと思われる。ただ、師匠の影響を受けているのは間違いないのだけれど……悪戯自体が、彼等の“楽しい”という感情を刺激したって事は間違いなさそうなので、彼等の趣味に発展してる可能性も微レ存。

 

「全く、予想が付きませんね……」

 

「可能性が、高いのは殺害だが……今後の事もある故、いきなり殺される事は無いの。多分、きっと、メイビー……」

 

「どっから、そんなネタを拾って来やがった!?」

 

「早速、使われてしまったんだが……」

 

「凍真よ……貴様か!?」

 

こっちに来てから、暇を持て余している凍真が師範代に教えを強制されていたのは知っている。何せ、幾度か俺に『こんなの修行じゃないよ!?』とか愚痴っていたからな。つか、隠密が戦鬼の修行をやって付いて来られるハズがない。まあ、日本の時代劇の侍と忍者とは違うからな。そりゃ、忍者は侍の二倍は修行をすると何かの話で聞いた事はあるけど……《神殺し》の相手は、【神様】だぞ?スキルで、弱体化するとは言え生半可な修行程度でどうにかなる様な敵じゃないだろう!?

 

「真っ先に思い付くのは、ヴィヴィオを『屠る』と言われて衝動的に殺されるか……手足をもいで、戦えない身体にするかだな」

 

「そう、ですね。衝動的は無いでしょうけど、手足をもぐのはあるかも知れません」

 

「そうだの。カッとはなると思うが、衝動的に殺す事はせぬだろう。じゃが、手足をもぐのはありえるの」

 

「手足をもぎ取られるアインハルト……薄いほn、じゃなかった。転生者共が、大喜びで拉致って監禁して洗脳とか始めそうだ」

 

「薄い本って……『手足をもがれ』ってフレーズで、そんな事を思い付く辺り凍真もそっち側だよな。俺は、思い付かなかったんだが……どうなってんだ!?俺の精神……」

 

師範代達に、洗脳され過ぎて思い付きそうなエ口ネタを思い付かなかったんだけど……もしかして、ヤバい状態なのか!?

 

「洗脳ですか?それとも、アインハルトに興味が無かったんですか?ここは、初心に帰るべきでは!?」

 

「おお!初心か……初心……って、俺は変態じゃねぇよ!?」

 

「あ、ボケた事わかりました?ハハハ、良かったですね」

 

「良かねぇわ!つか、俺の性欲どこいったんだろうな?」

 

「兄様。兄様の性欲は、兄様の中にあります」

 

「それに、先のはMasterの事を考え過ぎていたからでは?」

 

「ちょっと待て、お前等。それは、何か!?俺が、変態だと言っているのかな?言っているのなら、テメェ等の昼食をロシアンルーレットにするからな!?マジで!!」

 

「ハハハ、別にそんなつもりじゃぁ……」

 

「申し訳ありません。兄様」

 

「すまぬ、兄様よ……」

 

二人が、揃って謝罪の言葉を告げるとギョッと驚愕の表情をした凍真が後ろを振り返る。まあ、その気持ちはわからないでもないけど……多分、お前が思ってる理由じゃねぇと思うぞ?

 

「え!?ちょ、裏切られた!!」

 

「OK。凍真には、強制ロシアンルーレットが決定しました!良かったぁ。組織特性のデスソースが手に入ったんだよ~♪」

 

「は、図ったな!?つか、師範代達は知ってたのか!?」

 

「「もちろん!」」

 

情報は、敵を制するってね?こりゃ、秘密基地の通販情報を確認してない凍真が悪いのだろう。師範代達の情報網勝ちだな。という訳で、凍真の昼食には、デスソースが振り掛けられる事が決定しました。しかも、目の前で師範代達に押さえ込まれながらデスソースが塗られて行くのをただ見詰めるだけの作業です。

ハハハ、今日の昼食は肉じゃがだよぉ?

 

「ちょ!?そんなにペタペタしなくても!ああ!!」

 

悲痛な悲鳴が上がっているけど、俺は容赦なく一滴分のデスソースを次から次へとハケで塗っていく。いやー、組織以上にヤバいデスソースをこんなにも乱塗したら凍真が凄い事になりそうだけど……悪戯の一部なので、気にしない!まあ、俺も転生する前に浅上兄妹にやられているのでコレのヤバさは知っているが……気にしない!クックックッ、貴様も俺と同じ目に合うが良い!

かつて(満男として生きていた頃)……とあるキャンプで、真っ赤な(激辛)カレーの中に一滴()入れられていたデスソース。

あの日……俺は、死んだ。つか、『真っ赤』の時点で既にヤバいのにそこへ一滴()デスソースが入れられている事もおかしな話である。そもそも、俺は辛党ではないんだよ。まあ、甘党でも無かったけど。そりゃさ、辛い物を食べた事が無い訳じゃないけど……あれは、そういう話ではないんだ。

ぶっちゃけ、眉間というか嗅覚の粘膜がとても痛かった。

思わず、噴き出しちゃうくらい辛かったよ。その後も、余りの辛さにのたうち回って近くに置いてあった水を飲んだり(無意味)、白ご飯を口に掻き込んだりしたけど治まらなかった。それはもう、涙は出るわ鼻水は垂れ流しだわ踏んだり蹴ったりでさ……後で知った事だけど、ああいう時は水じゃなくて牛乳を飲むと良いらしいよ?という訳で、あの時の俺と同じ状況な凍真は真っ先に冷蔵庫へと走る。それで、凍真が辛味の対策を知っている事がわかったんだけど……冷蔵庫の中に牛乳が一本も無くて、奴は秘密基地の外へと助けを求めて出て行こうとするけど師範代達に邪魔をされていた。というか、昨日通販で買って置いた牛乳はどこ行ったんだろうな?まさかとは思うけど、師範代達が隠しちゃったのかな?ああ、あの顔からして牛乳は隠されている模様。残念だったな?凍真。君はどうやら、その辛味から逃げられないみたいだ。ついでに言うと、ここ無人世界だから外に出ても何もないぞ?

 

「何をしておる?凍真よ……まだ、あんなにもご飯が残っておるではないか?ほれ、早う食うが良い」

 

オルタが、とっても良い笑顔で手に持ったフォークを凍真に押し付けているが奴は嫌がっている。まあ、あれだけデスソースを塗りたくった昼食なんざ食いたくもねぇだろう。カレーだったら、見た目にもわからなかったりするけど……流石に、デスソースまみれの肉じゃがなんて誰も食べたくはない。塗ったのは、俺だけどな!避けようにも、リリィが上から肉じゃがの汁をブッ掛けちゃったので後の祭りである。故に、辛いとわかっていても彼はそれを避ける事が出来ないのであったwまる。

 

「ありぇを全部とか……ひゅりです!!」

 

「頑張れェ~。因みに俺は、一滴も入ったカレーを完食させられたぞ?数日、味覚がおかしかったけど……何とかなるもんだ」

 

「神崎さんは、ギャグキャラなので問題無いでしょうけど……俺は、リアキャラなので食ったら死にます!!」

 

「あ゛?」

 

コイツ……今、何つった?ギャグキャラ?俺が、ギャグキャラだと!?そりゃ、今までを振り返ってみればギャグキャラかも?と一瞬思わなくもなかったけど。だからって、自分はその分類にじゃないとか……俺を舐めてんのか!?舐めているんですね?

ハハハ、ブッ殺すぞ!?OK。テメェがそのつもりなら、俺が現実の厳しさを教えてやるよ。とは言え、俺も凍真もギャグキャラではありません。まあ、【不老不死】である事がギャグキャラに準ずるとするなら俺も凍真もギャグキャラなんだけどね?

とりあえず、凍真を精神的(物理)に殺す。

 

「師範代。その馬鹿を捕まえて、拘束していただけませんか?」

 

「え、ちょ!?うわっ!何をする!?止めrーー」

 

俺の号令に、師範代達の目が一瞬キュピーン!!と光った様な気がしたけど……気にしない。今、俺は馬鹿な事をほざいた凍真を粛清するので忙しいのだ。故に、それ以外の事に気を取られている暇はない!そう、暇はないのだ!俺は凍真が、師範代達から逃げ回っている内に台所からミキサーを持って来て、デスソースが混入された肉じゃがをミキサーに入れてスイッチオン!

ゴガガガ!と、細かく砕かれて行く肉じゃがを見ながら少しずつ肉じゃがの汁を継ぎ足して流動食化を進めた。

そうこうしている内に、師範代達は凍真を押し倒して拘束。

どんなに抵抗しても、師範代達から逃れれるハズもなく……身動き一つ取れなくなった凍真は、両脇をガッチリ掴まれ項垂れる宇宙人(グレイ)の如く絶望した表情でこちらを見上げて来る。だがしかーし!そんな、子犬の様な目で訴え掛けて来ても容赦はしない。問答無用。残酷無比。ってな訳で、俺はスプーンに掬ったそれを凍真の口元に差し出した。だが、奴は顔を背けて拒否の姿勢。

だから、師範代に視線を向けてゴーレム操作で口を開けさせる様に意思を叩き付ける。結果、凍真の馬鹿は体をガクガクと震わせながらソレが如何に辛いかを表現していた。声、出せるのにね?

 

「よし、ジャンジャン行こう!」

 

「ほひー!ひゃくはー!ひひょへなひー!!」

 

「ハハハ。何言ってるか、わからんよ?よし、全部食え!!」

 

言って、俺は次々にデスソースが混入された肉じゃが(流動食)を凍真の口へと流し込んで行った。最後の方は、辛味に慣れた(注:慣れません)のかグッタリと疲れた様子でされるままになっていたけど、これにてお仕置きは終了である。全く、人をギャグキャラ扱いしやがって……次は、デスソースそのものを口に流し込んでやるからな?と固く誓いつつ馬鹿を離してやった。

 

「カハッ……」

 

パタリと、物理法則よろしく倒れ込んだ馬鹿は血反吐を吐きつつピクピクと痙攣している。全く、こんなにも演技派になっちゃって……ガチかも知れないけど。でも、仕方がないよね?お仕置きだったんだから……ねぇ?てな訳で、彼は両腕と両足を掴まれて自室へと連行されて行った。まるで、戦時中の死体処理みたいだ。

つか、彼処までがこのボケ&ツッコミストーリーなのだろう。

 

「全く、大悟君達は今日も元気だね……」

 

「元気って言うか……暇過ぎてやる事がないからな。これなら、転生者を相手にしていた方が楽だったかもな?」

 

「私は、嫌かな?だって、お買い物も儘ならないんだよ?」

 

「……ハハハ、そう言ってやるなよ。アレは、アレで必死なんだから……彼等に取って、自分の望みを叶えるのが今世の目的だからな。ま、俺の望みは……歪められちゃってたんだけどな?」

 

「…………大悟君の望みは何だったの?」

 

「ーーーー悲しい運命に落ちそうになってる人達を俺の手が届く範囲で助けたい……って望み。それが、『ハーレムを作りたい』に歪められてたよ」

 

「……………………」

 

「まあ、どっちも叶わなかったけどな?」

 

何せ、その結果が目の前にある訳で……ぶっちゃけ、かなりの後悔になっている。まあ、相手が神様で俺達の手が出せない状況になっていたからなんだけど……そんなのは言い訳にもならない。

出来る事なら、彼女が彼女であった時に救いたかった。だけど、それは叶わぬ夢で……例え、時間を遡っても叶えられない過去でしかない。どちらにせよ、ヤツが俺達を見逃すハズがないからな。

その望みは、既に師匠達に確認済みだから今更足掻く事はない。

だけど、望まぬ日は無いんだぜ?お前を、本来の明るい元気っ娘のままにしておきたかったっていう俺の我が儘は今も夢想する事もある。だけど、それは望んでも叶うモノじゃ無い。叶うモノじゃ無いから、今のお前を受け入れて未来を模索しているんだ。

 

「俺は、主人公じゃねぇから間に合わなかった。誰一人、助ける事すら出来ぬ未熟者さ……」

 

それでも、いつかは誰かの助けになれると信じている。いや、俺が望むまま……誰かに望まれるままのヒーローに成りたい。あ、どこぞの正義の味方じゃねぇぞ?誰かを笑顔に出来るヒーローに成りたいんだ。まあ、真っ先に笑顔にしたい人は目の前にいるけどな。必ず、心から笑顔に成れる様にしてみせるから……待っていてくれ。そう願いながら、カウンセリングの難しさに頭を抱える日々を過ごすんだろうけど……それは、また別のお話で。

今は、ニヤニヤと厭らしい笑顔を浮かべている師範代達への対応が求められる。別に、二人っきりだったからってエ口い事をしていた訳じゃないぞ!?何、その『二人っきりだったんだからキスの一つくらいは起こっているよね?』的なデバガメ顔は!?起こってねぇよ。冤罪だ!!俺は、そんな節操無しな馬鹿殿に見えるのか!?見える訳がねぇよな!?な!?

ちょっと、不安になったりもしたけど揶揄って来る師範代達を無視して俺は肉じゃがを掻き込んで行く……って、ブハッ!!

 

「辛っ!!おわっ……辛っ!!」

 

コイツ等、俺のにも混入してやがったな!?いつの間に、こんな悪戯を仕掛けてやがったんだ!?……いや、心当たりがあり過ぎる。例えば、凍真の肉じゃがにデスソースを塗っていた時とか……流動食にする為、台所にミキサーを取りに言っている間とか。

クソッ!もっと、警戒するべきだった!!俺が、楽しめているのに師範代達が楽しめないハズがない。それに、翼もそれを見ていたハズだよな?チラッと翼を見れば、サッと視線を外される。

デスヨネー!って、コイツも仕掛人か!?

 

「お前等!!」

 

「アハハハ!引っ掛かった!引っ掛かった!!」

 

「ハハハハ!やーい、間抜けぇ!やーい!」

 

OK、その喧嘩買ってやるよ!!

そう思って、【鮮血の】さん特性の水鉄砲を作って貰ってたんだよね!これは、購入してた訳じゃねぇから師範代達も知らねぇだろう。って訳で、水をフルに充填させてある水鉄砲を《ゲート・オブ・バビロン》から取り出し馬鹿笑いする師範代達に向けて打ち出した。もちろん、デスソース入りである。

 

「死ねえええぇぇぇ!!!!!」

 

「「ぎゃあああぁぁぁ!!!!!」」

 

 

 

 

 




ほい。また、別の平行世界だよん。本当は、時間を短縮してvividに突入すれば良かったんだろうけど……くじ引き『特典箱』から【掲示板】なんてネタが飛び出してしまったので諦めた。まあ、組織の総合掲示板って事にしてしまっても良かったんだけど……ぶっちゃけ、それで情報が広まるなら別に良いって事になった。つか、掲示板能力ってまた微妙な能力ですよねー。半透明のウインドウが、目の前に開いてコメントを書き込むだけの神様特典。情報の共有や意見交換以外では役に立ちそうにないけど……転生者共には、慣れ親しんだモノだろうから問題ないとーー思われる。
そして、掲示板住人が生まれるのであった……。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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