絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三七八話

双夜:

 

 

俺は、神崎に残酷な命を課した。

いずれ、別れる事になる運命だからと彼女を依存させるな等と命じる。まあ、互いに互いを尊重し合って愛情を育めとか理想ではあるが実現は不可能だろう。ぶっちゃけ、【愛】なんてモノは人の数だけあるのだ。どれ一つを持っても、同じモノはないと断言できる代物でしかない。それなのに、本当に残酷で無慈悲な課題を与えたものである。本来であるならば、普通に幼馴染みラブロマンスをするだけで彼等は心通わせれる立場にあった。だが、結局それはどっかの糞馬鹿の割り込みで叶わぬ夢と成り果てたが……俺達の介入により、今一度の機会を得てしまった訳だ。

 

「報告します。翼オリジナルの魂を確認した所、巧妙に隠されてはいましたがこちらの予想通りである事が判明しました」

 

「そうか。わかった……」

 

予想通り、彼の者が『例のカタログ』で得られた魂である事が判明したそうだ。つまり、悪神が違法に手に入れた魂を『例のカタログ』で得た肉体に宿したが思った以上に面白くなかった。でも、その理由に思い至って人間が住まう世界へ転生させる事にする。

そうする事で、下界の感情溢れる人間に触れ違法に手に入れた魂が人間らしい感情を得て悪神を楽しませてくれると確信した。賛否両論はあるが、多分それで間違いはないと思われる。ま、推測でしかないけどね。それによって、生まれたのが【佐藤奏】という人間だ。幼いながら、普遍的なカリスマを有し多くの人に愛された存在。幼馴染みである、鈴木満男を始めとする不特定多数の麒麟児を集め……下手をすれば、歴史の収束点と化していたかも知れないレベルのイレギュラーだった。というか、神崎を含め幼馴染み達を調べたら割りと洒落に成らないレベルで有能な人材が集まってたよ(笑)。全員、こちら側に引き込んでも良いレベルで。

それによって、悪神に取ってなのか悪神の思惑から大きく外れたのかはわからないが……【佐藤奏】という存在を律するに支障を来したと考えられる。でなければ、検査入院で死亡とか意味不明過ぎるだろ?アレは、【佐藤奏】が悪神の手に余るまで成長する前に手を打ったのだ。というか、【佐藤奏】の周囲に集まった人材を恐れたと思われる。

 

「つか、《リベルト・イーター》……」

 

別名『回収屋』。まさか、そんな存在まで近付いて来たとあればどうしようもないな。【佐藤奏】の周りに集まった者の中に、違法に再利用された魂を回収する存在が紛れていたのである。

元より、【佐藤奏】の魂は悪神が違法に手に入れた魂だ。それ故、彼女の存在に気が付いた何者かが違法に転生させられた魂を回収させる為に送り込んだらしい。現在、確認の為にその何者かを探しては居るけど……まだ、見付かっては居ない。割りと、古い記録だったからな。もしかすると、【組織】に属する存在かも知れないので本人確認が出来るまでは報告は来ないと思われる。

 

「回りくどい事をする奴だから、中々見付からないだろうな……」

 

普通に、回収して欲しかった。だが、《リベルト・イーター》を送り込む様な存在だ。自分の事を隠蔽したかったのだとしたら、早々には見付からないと思われる。というか、ちょっとまともな手段ではあり得ない。だって、《リベルト・イーター》だぞ!?

《リベルト・イーター》!!普通は、もう少し簡単な別の手を使うだろ!?なんで、《リベルト・イーター》なんだ!?

下手をすれば、回収した魂が食われるかも知れない存在を送り込むとか意味不明過ぎる。むしろ、悪神に魂を売り付けた奴が発覚を恐れて送り込んだと言われた方が納得できる話だ。

しかし、【佐藤奏】の魂は普通の何処にでも居そうな人間の魂でしかない。これが、どっかの世界で英雄になった者の魂とかであれば話は別なんだけど。【組織】の方も、その事を踏まえてなのか魂の精密検査を三回も行っている。だが、その全てに置いて【佐藤奏】の魂は何処にでもある普通の魂と結論付けられていた。

だが、一部の者達が【佐藤奏】のカリスマ性を例に上げて何かしらの隠蔽工作がされているのではないかと騒いでいるらしい。

【真実の瞳】でも、見抜けない隠蔽工作とか……本当にあるのか疑わしい限りではあるが、完全に欺けない訳ではないので警戒は必要だと思われる。

 

「というか、ここまで【佐藤奏】の魂を悪神に売った輩が見付からないのはおかしいんだよねぇ……《旧・神族》が、関わっていたりするのかねぇ?」

 

もし……仮定として、《旧・神族》が【佐藤奏】の魂に関わっていたとするならどういった経緯が見えて来るのか、と想定してみる。当然、その結末は余りよろしくないモノとするなら?

【佐藤奏】の元魂は、悪神に譲られた当初……人形の様だった。これは、悪神がまともだった頃に交遊のあった複数の神々だった者から得た証言である。ぶっちゃけ、尋問した者がかなり脅したらしいので確実性は高い。ただ、悪神が悪神になった時期があやふやだったりするので何時から狂っていたのかはわからない。

 

「いや、待て……何故、あやふやなのだ?」

 

彼の神が、悪神と成ったのは何時だ?

彼の神が、【佐藤奏】の元となった魂を手に入れたのは?

そもそも、彼の【カタログ】が出回り始めたのは?

それらの前提が、違っているとしたら……因果の逆転か?

善良だった神が、悪神となる前に【佐藤奏】の元魂を手に入れたとするならどうだ?悪神を悪神にした原因が、【佐藤奏】の魂だった……いや、彼女の元となった魂に掛けられていた【呪い】だったとするなら?それだと、話は大きく変化する。

もし、【佐藤奏】の元魂が悪神を悪神へと変化させる切っ掛けだったとするなら悪神も被害者となるだろう。断罪された今となっては、確かめ様のない話ではあるけど【悪神】を作る計画があったとすると?話は、もっとややっこしくかつ大きくなるぞ!?

 

「だが、あり得ない事ではない」

 

《旧・神族》ならば、協力者を増やすという名目でそれをやりかねない。ついでに、【堕ち神】を増やす元も作っていそうだ。

いや、元々は【堕ち神】作りの一貫だった?その過程で、協力者となり得る悪神が生まれ……それを良しとした結果、彼の神の様な者が生まれたとしたならば?

 

「……そうか。全く、面倒な……」

 

とりあえず、その可能性が大となったので掲示板を通して【組織】へと報告する。報告と言えども、未だ確証もない仮定の話として議題報告となるが……その内、暇を持て余している奴等のいずれかが解明してくれるだろう。

そんな事を考えながら、掲示板に書き込んでいると検証大スキーな奴等が現れてそのまま加速して行った。すまぬ。まさか、検証スキーが出現するとは思っても無かったんだ。すまぬ、許せ。掲示板のページが、かなりのスピードで埋まって行くのだが……はい、炎上ですね。わかります。

そして、【組織】の情報を管理する部署も爆発的に動き出しましたとさ。使い魔経由の報告で、マッタリモードだった情報部が急に忙しくなったと話が回って来た。すまぬ。燃料が、ニトロ系の燃料だった様だ。その次の瞬間には、原因を突き止めた奴等からのクレームが大量のメールとして送られて来た。すまぬ、許せ。

はい、休暇返上だな?ホント、申し訳ない。

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

ちょっとした、思い付きで検証班を動かすモノではないと反省した俺は、この際だからと適当に思い付いたあり得そうな事を掲示板にガッツリ書き込んで置いた。ええ、クレーム倍増だ(笑)。

大丈夫、これ以上は増やさないからと返信メールの大量送信をし終えて漸く一息付く。何にせよ、俺の思い付いた事が本当であれ間違いであれ俺は俺が抱えている問題の方が大事だった。

神崎が、どんな結末をみい出すかはわからないけどそれが依存であれ清く正しい恋愛であれ受け入れる予定だ。依存と化した場合でも、リセットはしない予定ではあるが……不知火翼の転生は、予定通り貢献ポイントが貯まった時点で行われる。これは、当人が知ろうが知るまいが申請なしで行われる事なので事前申告とかもない。流石にそれは、神崎が可哀想なので貢献ポイントが貯まり切る前の事前説明はしてやるつもりではあるけど……本来は、その説明すらなく、ある日強制的に存在そのものが消失して行くといったモノだったりする。ええ、それはもう……談笑してたら、唐突に姿が見えなくなってしまった!なんて感じの出来事になりますね?その事について、文句を言われても本人が元々それを望んでいた願いな上に、貢献ポイントを貯め切った事による事象なのでこちらにクレームを入れられても困るだけである。というか、あり得ないとは思うけど……まさか、俺が『貢献ポイントが貯まりましたよ。転生しますか?』なんて話を持って行くと思われてたりするのだろうか?ナイナイ。そんな、丁寧な仕事をする訳がないだろう!?そういう、丁寧な仕事は世界の調整だけでOK。

そもそも、世界というモノは永遠と続いて行くモノなんだからこちらの仕事が終わった所でそれを宣言して去るなんて事をする訳がない。そりゃ、相手がそれ相応の存在であるなら仕方ないけど。

例えば、なにょはママとかアリちゃとかすじゅかママとか。

そうでないのなら、基本的に何も言わず去るだけである。

どうせ、相手の記憶に残る訳でもないんだから気にしても意味がない。故に、俺はお世話になった者以外に別れを告げる事はなかった。それも、遠回しだったり直接だったりとあやふやだ。

ぶっちゃけ、()()会えるよ(笑)程度の別れでしかないのである。実際、再調整の為に訪れる事もあるのだ。

そりゃ、『バイバイ』程度で済ませるモノでしかない。

ただ、まあ……絶望の輪廻を繰り返している保護者達とは、同じ世界で会う事はないだろうけど。無反応な『核』を眺めつつ、上書きもしくは次の世界へ移動する際を狙うしかないのかな?と大きな溜め息を吐いた。一応、アリちゃとすじゅかの二人とは“誓いの約束”を行っているのでタイミングさえ合えば回収は可能だ。

そう、タイミングさえ合えば……ねぇ?《神殺し》の契約だと、引きが強過ぎて解放する時に問題となる事があるし……だけど、“約束”程度では引きが弱過ぎるし“誓約”でも今一な感じ。

そりゃ、《神殺し》でなくても他者を縛る制約は数多くある。

それを拘束の強さ順に並べると、契約(強)>誓約(中)>約定(小)の順になる訳だ。まあ、これ等以外にも他者を縛る約束はたくさんある訳だけど。大まかに分けて、大体はこの三種と言えるだろう。

その中でも、『誓い』と『約定』はかなり低い位置に分類されているし……それに、《神殺し》としてではなく『魔術師』としての自分と約束させただけに過ぎないのでそれ程の拘束力は無い。

一応、それでも怖かったので【群大の魔術師】としてアリちゃ達と誓い約束し合った訳なんだけど……巡り遇わないんだなぁ。

強制力なんてモノが発生する程、強力な縛りって訳じゃないから……同世界に居るか、アリちゃ達が別の世界から俺のいる世界へ向かって来ない限りは回収出来ない。もう、いっその事……策でも、張り巡らせちゃおうかな?それに、他の保護者達とも再会しなければならないし……まだまだ、問題は山積みだ。

 

「…………それじゃ、神崎。そろそろ、お仕事に行こうか?」

 

「え!?何が、『それじゃ』なんッスか!?」

 

「ははは。もー、わかってる癖にぃ……焦らしプレイ?」

 

「なんも、焦らしてねぇよ!?」

 

「それで、一つ確認したいんだけど……」

 

「……人の話を聞いて下さい」

 

「不知火翼を、僕達の旅路に連れて行くかなんだけど……どうする?連れて行く?それとも、拉致る?」

 

「それだと、選択肢にならないじゃないッスか!?」

 

「えー?連れて行くのと拉致るのでは大きく違うよ?」

 

「いやいやいや、どっちも同じですって!つか、連れて行くんッスか?あ、いや……別に良いッスけど?」

 

「おや?良いのかい?監視付きの原作ヒロイン攻略とか?」

 

「しませんて……つか、やらせるつもりか!?」

 

「チッ」

 

全く、勘が良くなりやがって……とは言え、オリジナルと融合した不知火翼をSAOモドキ世界に置いて行くのは不安がある。まあ、連れ回すにしても不安はあるんだけど。そもそも、掲示板でも指摘された通り《神殺し》の見習いを一人で行動させている俺にも問題はある。だけど、教育のほとんどを使い魔に任せてる上に護りもそれなりに固めているので早々危険な事にはならない。

そりゃ、《旧・神族》が直接手を出して来たら話は別だけど……俺の守護下にある《神殺し》見習い程度、見逃せぬのであれば己が資質を問われるであろうよ。だから、基本的に手出しはされないだろうと放置していた。下手に手を出して、その命を刈り取られては堪ったものじゃないだろうからね?ほら、良く言うだろう?『藪を突いて蛇を出す』ってw。まあ、俺の場合は『藪を突いたら【魔王】が出た』だけど。HAHAHA!最悪だwwwww。

 

「とりあえず、不知火翼は連れて行くから。テオルグ(オルタ)とラヴォルフ(リリィ)は、神崎を扱きつつ彼女の面倒も見て上げて」

 

「「Yes.my Master!!」」

 

「え?マジッスか!?」

 

「二人も、神崎に付けておく必要はないだろう?君の御守りは、一人でも十分だと思うけど?ああ、疑似ハーレムでウハウハか?」

 

「いえ、そうではなく……武術と座学は、別々だったので……」

 

そう言えば、座学をラヴォルフが……武力をテオルグに任せていたんだった。とは言え、座学中に敵が襲撃してくるなんてシチュエーションが早々起きるハズもなく……起きた所で、テオルグが護衛状態になっているので全然問題にもならない。

 

「一人増えた所で、問題もないよな?」

 

「もちろんです。My Load」

 

「……兎も角、そう言う事だから神崎も覚悟しておくんだね」

 

「それは、良いのですが……師匠に一つ、訊ねたい事が……」

 

「訊ねたい事?」

 

「髪の毛の色を地毛から変化させる魔法薬とかありませんかね?」

 

「「欲望が駄々漏れ(だ)です!兄様」」

 

唐突に、何を言い出すかと思えば……そして、テオルグ達の言葉から大体の目的を推測する。きっと、このアホゥは不知火翼の髪色をカタログにあった金髪碧眼モドキに変えたいと思っているのだろう。それが、どれだけ相手を侮辱する行為なのかわかっているのだろうか?とは言え、現在の不知火翼の状態をかんば見るにコイツの欲望がそのまま適応されつつあるのもまた事実。というか、コイツ……己の欲望を叶えたいが為に、不知火翼に起きている変化に気が付いていないらしい。不知火翼は、オリジナルと融合した時点から肉体的に大きく変化を始めている。元より、悪神がそう設定していたのか……悪神の好みなのかはわからない。

わからないが、髪の色や瞳の色が少しずつではあるが元色と異なる色へと変わって行っているのだ。例えば、髪の生え際が白くなってたりとか……目の瞳孔周りが、白く輪に成っているとか。事細かに言えば、それなりの変化が見られている。このまま行けば、髪は金髪か銀髪へ。瞳は、青い瞳か別の色へと変化するだろう。

 

「あるにはあるが……作らねぇし、与えねぇぞ?」

 

「そ、そこを何とか……」

 

「断る。錬金術は、習ったんだろう?なら、自分で作れ」(微笑)

 

なんて、そんな風に突き放したが彼の魔法薬は錬金術だけでは出来なかったりする。確か、錬金術で材料を作る事は出来るがそれらを合わせるには《魔法調合》というスキルが要るハズだ。もしくは、《合成錬金》だったか?いずれにしろ、神崎にはまだまだ習得できない技術である。

 

「くっ…………あ!秘密基地!秘密基地を回収して、鉄達のギルドの近くに設置し直して下さいよ!!」

 

「ん?秘密基地?また、話が跳んだなぁ?」

 

「超不便だったんッスよ!シノンったら、へカートをバカスカ撃つんで弾がすぐ無くなるんッス。で、俺が秘密基地に取りに行ってたんッスけど……面倒なんで、10階層にある俺達のギルドホームに設置し直して下さい!」

 

「フム……そんなにバカスカ撃つのか?」

 

「ストレス発散に、割りと撃つみたいで無くなる事が多いんッスよ。で、スリ寄って来るのは良いんですけど……自分では、行かないみたいで……」

 

「そのまま、回収してしまえば解決するんじゃぁ……」

 

「鉄にも、部屋を与えてたじゃないッスか。アイツの私物とか、別の世界に捨てるんッスか!?」

 

「……【鮮血の】が居るんだから、【鮮血の】に頼めば良かったんじゃないか?まあ、魔法ハウスも持って来たから銃弾くらい幾らでも作れる様になるけど……」

 

「魔法ハウス?」

 

魔法ハウスとは、【組織】所属の《神殺し》とは別の下端というか配下というか……何と言えば、適切なんだろうなぁ?うーん……《神殺し》達が、《旧・神族》の企て阻止に専念出来る様に補佐する人外達が居る。その補佐する人外達が、丹精を込めて作り出したモノが魔法でコンパクトに畳み小さくした家……それが、魔法ハウスだ。まあ、家と言っても設備は秘密基地と遜色なくへカートの整備と弾丸の補充くらいなら問題なく出来るだろう。

 

「ああ、それなら秘密基地に連れ込むよりかは問題ないと思うよ?端末も無いし、転生者が引き籠って楽しいモノは無いからね」

 

「端末とか、無いんですか?」

 

「無いねぇ……武器を生産するシステムも無いし?あるのは、異端技術と異端な魔法を自動で使ってくれる施設くらい?」

 

「何ッスか!?その異端技術や異端魔法って……」

 

「特殊な魔道具が、設置されてる施設?《リペア(修復)》とか、《コピー(複製)》とかそんな感じの魔道具かな?」

 

《リペア》なら、へカートが真っ二つにへし折れていても直せるだろうし……《コピー》なら、最初に増やしたい弾丸を一つ固定の位置に設置しておけば幾らでも複製は可能だろう。まあ、シノンに使い方を説明しておかないといけないけどね。使うのは、シノンや鉄くらいーー若干、すずかとか有り得そうだけどーーだろうから使用上の注意点を言っておけば良いと思われる。流石に、人間を複製しようとする馬鹿は居ないだろうけど……可能性がある限りは、ちゃんと注意点として告げておかなければならないだろう。ぶっちゃけ、《コピー》は人間も複製出来る。出来るけど、同族嫌悪ってのがかなりの確率で発生するので複製された人間とオリジナルが殺し合いをして……どっちが勝ったか、わからなくなる時があるんだよね。複製体は、自分がオリジナルだと思ってるから『自分がオリジナルだ!』と主張してくるし……その癖、うっかりオリジナルだと信じてしまうと数年後には殺人鬼となって虐殺の限りを尽くすので注意が必要だ。前に、ふざけたどっかの馬鹿が秘密裏に俺を複製してて最悪の殺人鬼が生まれる。

あの時は、【魔王】だった俺を封じ込めるのと同じ戦力では足りずオリジナルである俺を投入して終息させたけど……酷い戦いだった。どうやら俺は、基本的に一定値以上の力を使わずに戦うみたいである。神崎風に言うと、無意識に縛りプレイみたいな戦い方をしているらしいのだが……複製体は、普通に全能力を駆使して戦っていた。なので、彼の複製体との戦いはそれはもうとても残酷かつ無慈悲な戦闘になっていたそうだ。まあ、最終的に複製体が自滅して終了したけど……俺の力は、加減なしで使い続けると自らを傷付け自滅して行くタイプの能力らしい。

まあ、普段から全力なんて出さないからそんなモノだとは思わずに使っていられたんだけど……複製体のせいで、知らんでも良い事を知ってしまった感じだ。とは言え、無茶な戦い方を選択しない限りは問題無いみたいなので放置しているけど。試してみたら、精神体であっても自壊して行くので物理方面を強化するだけに留めてる。武術を極めるとか、武器を新調するとか……まあ、俺が扱う武具は多岐に渡るけど。刀(剣種)、薙刀(槍種)、和弓(弓種)、重火器(銃種)、暗器含む様々な武具等といった感じだ。他には、【鮮血の】達科学班が手掛けるオーバーテクノロジー品とかだな。

中には、超大型戦艦も含まれる。LL次元航行艦級のビットみたいな機能がある訳じゃないけど……そういうのも含まれるんだよ。

ま、何はともあれ……《コピー》の注意点は、しっかり引き継いで置かないと色々面倒だ。生きてる生物はダメだけど、死体なら問題無いのでラグーラビット(肉)量産とかならOKとしておこう。

 

「とりあえず、ギルドホームに重ねる感じで魔法ハウスを展開しておくよ。それなら、外観はそのままで施設だけが増えるから」

 

「じゃぁ、シノン達を呼んで来ますね?」

 

言って、ギルドメンバーへ魔法ハウスの注意を説明してから第22層にある秘密基地を回収。途中、面倒なラフコフの徘徊モンスターを23階層分まで殲滅して安全を確保しておいた。

徘徊ラフコフモンスターは、第55階層にしか湧かないとの事なので殲滅してしまえば問題は解決する。ただ、迷宮入り口に徘徊ラフコフモンスターが出入り出来ない様にする結界を展開しなければならないけど……それは、守護者にお任せだ。

 

「ここから見れば、一目瞭然だな……」

 

「ひぇ……うわ、高ーい……」

 

()()()だったので、空中要塞アインクラッドの外淵からアルブヘイムを見下ろして見た。すると、拡張されつつあるアルブヘイムを眺める事が出来る。出来るんだけど……ほぼ、地平線辺りまで大地に視界を侵食されているのでどんな改編が行われたのか一目で知る事が出来る訳だ。前は、世界樹の横に浮かぶアインクラッドの外枠辺りからは海が見えたんだけど……最早、大地しか見えない。辛うじて……いや、地平線が白く見えるだけであれは海ではないな。うん、海?何それ、美味しいの?状態である。

 

「とりあえず、30階層までは綺麗にしておこうか?」

 

「え!?俺と師匠の二人で、ですか!?」

 

「ははは。使い魔による、人海戦術を使うに決まってるだろう?後は、鉄達に任せるさ……」

 

「あ、はい。了解です!」

 

とりあえず、有言実行という事で少ないけど百体程の近衛使い魔を出してローラー作戦とする。武器は、暗器系で行くとしてラフコフの殺人鬼達がどれだけ戦えるかを計ってみよう。

 

「今回は、見落としとか不許可だから根こそぎお願いね?」

 

『『『Yes.my Master!!』』』

 

「じゃ、神崎。僕は、小太刀二刀流で行くけど……君は、《ダーティー・ニーズ》で殺るんだよ?」

 

「えっと……疑似人格に戻ってるんですg「ヤれ!」……はい」

 

大丈夫。その内、『満男君』とやった暗黒歴史・改を思い出して悶絶する事になるから。そうすれば、これから起こるであろう新しい悪夢なんて吹き飛ぶよ?それはさておき、約1割程を下階層へ派遣して俺達は上階層を目指す。神崎と俺が先行するので、取りこぼしを処理してくれる事を願って行ってみようか?

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

「神崎、一言だけ良いか?」

 

「あ、師匠。俺も、言いたい事があります!」

 

「「同じ顔ぶれが、多すぎる!!」」

 

というか、同一人物らしき者同士で殺し合いをしているんですが……同族嫌悪は、わかるにしてもウザッ過ぎるんですが!?

 

「双子とかなら、まだわかるが……同一人物が、二人以上とか気持ち悪いわ!!!!」

 

「Pohが二人とか、普通にトラウマだよっ!!」

 

 

 

 

 




りべるといーたー(舌足らずな感じ)とか、良くわからない当て字や音感の語呂が良いだけの言葉が多いですが……気にしないで下さい。古い、ネタだったんだよ。ぶっちゃけると黒歴史って奴ですね。そして、掲示板に憶測を表示すると運が良ければ検証班が現れます。ええ、下手な憶測や推測に予想は奴等の餌食に……。検証班が来ると、憶測班やその他の奴等も湧くので『障る神に祟りなし』ですね。
たまに、『餌を与えないで下さい』の注意喚起もありますよ?(笑)

そして、自分達の事を棚上げにした同一人物『気持ち悪い』の発言。言っても、魂をそのままに肉体を交換してる【組織】のキチガイ共と比べるとどうというレベルでは無いけどね。同じ顔なのが嫌な奴等は、肉体を適当に創って魂を入れ換えます。双夜の『気持ち悪い』発言は、そこまでして同じ場所に居ようとする連中へのクレーム発言ですね。【組織】のキチガイ共は、見た目を変える為だけに肉体を交換したりするので、まあ……アレだ。うん。(濁し)
それでも、双夜から見たら似た者同士なんだよなぁ……真実の瞳の弊害みたいなモノ。

でも、ぶっちゃけ……イケメン&美女・美少女オンリーは、別の意味で気持ち悪いです。美的感覚が、ズレるんで。
傾国って訳じゃねぇーけど……見てるだけで、マジ段々気持ち悪くなるよ?あー……余り口にするとアンチ扱いされたりしたりするけど。作者的に個人差が今一判別できない……同じコスチュームを着てるアイドルグループとか、似たり寄ったりのメイクで遠目で見たら皆一緒のアレはキツイ。
てか、アレを判別出来るファンの人がスゲー。どうやって、個人を判別してるんだか……特殊訓練とかしてるのかねぇ?いや、マジで。スゲー人達だよ?アイドルグループより、ファンの特殊能力が凄いと思う。同じ髪型で、同じコスチュームなグループは見た目が麗しくても万華鏡を永遠に見てるみたいでしんどい。感覚がズレて行くんだよ。頭空っぽにして、誰が誰と認識しない様に見てると(遠くから眺めてる感じ)マジで気持ち悪くなります。まあ、作者はアイドルの名前とか覚えない人だからかも知れないけどね。
興味も無い上に、特徴が掴めなくて万華鏡状態に陥るともう駄目だぁ……ってなります。そして、拒否反応。因みに、スポーツ選手も苦手です。そりゃ、外国の人が混じってるチームは楽で良いですが……同じ衣服に身を包んでるので判別が付かなくなります。野球とか、こう……選手交代とか先攻後攻の入れ替わりでゴチャゴチャに入り乱れられるともう訳わからん。サッカーなんて、選手がボールの元にワラワラと集まって来たりするとこんらがります。


誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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