絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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プレシア回。
娘萌え~♪ってのを表現したかった……。

いつの間にか、お気に入りが100件を超えていた件!
ありがとうございますm(_ _)m感謝感激大感撃!!オチタ!?

踏み台くん名募集中!!
踏み台くんの名前だけでも良いのでくださいませんか?
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ニ七話

プレシア

 

 

 

テスタロッサ家には、居候がいる。

ある日、ひょんなことから家に住み始めた居候だ。

そのチビッ子は、死者蘇生をしたことによる世界の修正の為に家に住まわせて欲しいと願い出る。

当初、私はその子も神崎大悟の様にアリシアかフェイトを狙っているのだと思って警戒していた。その警戒を肯定するように、チビッ子は私と交渉して一人部屋を確保してしまう。

本当なら、私の監視下で生活させる予定だったのに……だ。

しかし、その後で私の警戒は無駄だった事が判明した。

何故なら、チビッ子は普通の……否、とんでもない仕事中毒者だとわかったからだ。

部屋に閉じ籠ったら、2・3日は確実に見ない上に……たまにリビングにいても、ウィンドを数十枚展開してコンソールを叩いているし……極めつけは、部屋から出て数歩の所で力尽きていた。私が買い物から帰って、リビングに繋がる廊下に電気を付けたらチビッ子がうつ伏せに倒れていて……慌てて叩いたり揺すったりしたが、反応らしい反応が無くて死んでいるのかと思ったくらいだ。

実際は、爆睡中だっただけで死んでいた訳ではなかった。

その後、チビッ子が目を覚ますと何も口にしないで部屋に戻ろうとするので夕食に誘ってみたのだが……その時のチビッ子の返事は、今でもハッキリ記憶している。

 

 

「栄養剤で済ますので、構わないでください」

 

 

一瞬、チビッ子の正気を疑ってしまった。

私が知っているチビッ子と、目の前にいるチビッ子の落差が大人と子供くらい違ったからだ。

普通なら、そこは「わーい!」でしょう!?

ハッキリ言って、その発言は年のいった大人の発言である。

それだけ言って、部屋に戻ろうとするチビッ子を無理矢理リビングにのテーブルの前に座らせて、簡単に作った料理を食べさせた。

その時も、「時間が……」とか「こんな事をしている暇が……」とか文句ばかり言っていた様な気がする。

それ以来、朝食時と夕食時は必ず一緒にご飯を食べると約束させた。一日にニ回は顔を見ておかないと、心配で気になってしょうがないと言って説得して。

部屋の中で倒れていないだろうか……とか、身体を壊していないだろうか……とか、様々な事が気になって仕方がない。

でも、私も時空管理局の仕事があるから、毎日チビッ子の様子を見ていられる訳じゃない。そういう時は、アリシアもしくはフェイトにお願いしてチビッ子の世話と様子をコッソリ送って貰っている。

最初の頃は、通信を使ってチビッ子を呼び出し、一緒に食事をしていたのだけど……最近は、主にフェイトに呼びに行って貰っていた。希にアリシア。

理由としては、通信ではたまに出てこない時があるからだ。

だが、フェイトはたまに一人で出てくることがある。

しかも、汗だくになってだ。アリシアも似たような事があるので気になって、チビッ子の部屋を覗いてみた。

正直に言おう。疚しい事をしているのだと思いました。

しかし、部屋に入って直ぐ遺跡のような場所に出てビックリ。話しを聞いてみれば、なんでも空間を歪めて世界のシステムが集約された場所に行けるようにしてあるんだとか。

そこで私は、この世界の魔法に関する根っこの部分を見た。

材質は不明だったけれど、石板のようなモノに全く知らない文字で描かれているにも関わらず、ただソレを見ているだけで大量の知識が流れ込んで来る。しばらく、その知識を得ていたら……いきなり、スッパン!と頭を叩かれた。

何事!?と振り返ると、仁王立ちをして憤怒の表情を浮かべたチビッ子が立っていて、次の瞬間には首根っこを掴まれて部屋から引き摺り出されてしまう。

訳もわからないまま、部屋を叩き出された私は直ぐ様扉を開けた。……まあ、その時のチビッ子の対応は怖かったとだけ告げておこう。

兎に角、あれだけの知識がそこにあるとわかっているのに、それを見ないなんて事は研究者の私にはできなかった。

なのに、チビッ子は決して私にその石板を見せてくれない。

コッソリ忍び込んだりもしたけど、石板そのモノが何処かに隠されてしまった後だった。

だから私は、顔を会わせる度に石板を見せて欲しいと頼み込んだのだが、チビッ子は了承してはくれない。

その内、取り合ってさえもらえなくなった。

こうなったら、強行突破しかない……と、思い掛けた頃……チビッ子が、頑なに石板を見せてくれない理由をフェイトから教えられる。

私が見た知識は、本来なら長い年月を掛けて人類が自らの知恵を使って辿り着かなければならないモノだ。

それを、そこにあるという理由だけで、先見するのは魔法の歴史を築き上げた研究者達に対する冒涜だ……と言われて、私は自分の行おうとしていた行為が恥ずかしくなった。

 

 

……言われてから気付くなんてどうかしている。

 

 

良く考えれば、直ぐにその事に行き着いたはずだ。

なのに、そこに知らない知識があったというだけで周りが見えなくなってしまっていた。私の悪い癖だ……。

反省して、チビッ子に頭を下げる。散々、嫌味を言われたけれど……納得のいく、嫌味だったので甘受した。

その後で、知識を表に出すなよ?と注意を受ける。

そして、私が非番の日……チビッ子に連れられて、チビッ子の部屋の遺跡の奥に私は来ていた。

チビッ子が何を考えているのかわからない。

だけど、あるモノを見せられて私は理解した。

いや、理解させられたというべきだろう。

私が見たモノは、【生命の黙示録】と呼ばれる石板。

それを、見せられた理由も今ならわかる。

私が以前していた研究……生命操作技術の意味を見せる為。

きっと、フェイトに対する私の態度がチビッ子の琴線に引っ掛かっていたのだろう。全く、お節介なんだから……。

そして今、頭を抱えているチビッ子が目の前にいた。

突然、リビングにやって来たチビッ子は真剣な顔でずっと考え事をしている。何をそんなに悩んでいるのか私達にはわからないだろう。それでも、話してくれれば……力に成れなくても少しは楽になるだろうに……。

 

 

「ママ?顔、怖いよ?」

 

 

「はっ!ち、違うのよ!?別に、怒ってる訳じゃないのっ!」

 

 

「フフフ。わかってるよ、母さん……双夜の事だね……」

 

 

アリシアが私を、フェイトはチビッ子に視線を向ける。

アリシアのちょっと潤っとした瞳が、可愛らしくてドキドキしているとフェイトがチビッ子の側に行って声を掛けていた。

 

 

「大丈夫?双夜……」

 

 

「ん?ああ、フェイトちゃんか…………うん。大丈夫といえば大丈夫だけど……」

 

 

心なしか、顔色が悪いような気がする。

まさか、体調不良!?

 

 

「体調不良じゃないよ!ってか、そんなところから見られてたら、気になって考え事に集中できないって!!」

 

 

「あらやだ、ごめんなさいね?」

 

 

「はあ……………………時空管理局め……マジ滅べ!」

 

 

『っ!?』(ギョ!?)

 

 

憎しみに近い声音で、チビッ子が呟くのを聞いてギョッ!?となる。

 

 

「え……そ、双夜?」

 

 

「あ、ゴメン。ちょっと、本音が……」

 

 

「本音!?」

 

 

「次元世界の運の総量って知っているか?」

 

 

「うん?の総量?」

 

 

「ラッキーとかアンラッキーとかの総量だよ……」

 

 

「ああ、運……ね。それが?」

 

 

「んー……時空管理局が、魔法を管理局する為に他世界にまで行って……見回りのようなことをしているのを知ってるだろう?で、無人の世界なら採掘とか人員を派遣して村や町を作ったり……」

 

 

「うん。……してるよ?」

 

 

「そうか………………時空管理局め……マジ滅べ!!」

 

 

なんで、このチビッ子はこんなにも怒っているのだろう。

きっと、【世界】そのものに関係する何かが時空管理局等の行いによって狂っているのだろうけど……もう少し、チビッ子らしくして欲しいと願わずにはいられない。

 

 

「え……えっと……何か、問題?」

 

 

「世界の調整してて、気が付いたんだけど……世界の【運】の総量の一つがメルトダウン(底を貫通)してやがって……しかも、それが特定の場所に集中しているって現状だったから……どうしたものか……って」

 

 

「……今一、わからないんだけど。何が問題なの?」

 

 

「…………世界の安全値が、平均を大きく下回っている。よって、テロや犯罪が多くなりがちになっていた……と言えばわかるかい?」

 

 

「……そういう事にも、精通しているんだ……」

 

 

安全値……なるほど、その総量が平均を下回ると犯罪が増えるのね……でも、それが時空管理局とどう関わるのかしら?

 

 

「時空管理局というよりも、次元航行艦が世界を出入りする度に世界の運の総量が上下してるみたいなんだよね……っていうか、理由は次元空間と次元航行艦にあるんだけど……」

 

 

次元航行艦が、世界を出入りする度に上下している?とは、どういう事なのだろう。チビッ子は、その理由に心当たりがあるみたいだけど。

 

 

「世界と世界を隔てる壁……次元空間はさ、基本的に何もないとされているみたいだけど……一応、魔力の川っていうか……流れが存在するんだよ。で、世界の運等が微量ではあるけど、流出したり流入したりしている訳だ」

 

 

「問題あるの?無いように聞こえるけど……」

 

 

「微量って言ったろ?しかし、次元航行艦は空間に艦が出入りできるだけの穴を開けて出入りしている訳だ。しかも、出入りする間ずっとな?」

 

 

「あ……もしかして……」

 

 

「そう。本来ならば、流出しないレベルでの流出だ。そして、その運は流出させた世界には戻らず別の世界に流れてしまう。じゃあ、問題です!次元世界の中心ってどこ?」

 

 

「……ミッドチルダだよね?」

 

 

「正解!でも、逆を言うとミッドチルダがある世界の【運の総量】は他の世界に比べるとかなり少ないと思うよ?ミッドチルダは、出入りが激しいからね」

 

 

「……………………」

 

 

「でも、それだと……ミッドチルダに他の次元世界の運が大量に流れ込んでいることにもならないかしら?」

 

 

「……うん。でもさ……それは、良い運?悪い運?どっちかな?って、話……」

 

 

チビッ子に言われて、少し考える。だが、良い運にしろ悪い運にしろどうやって見分けろと言うのだろうか?

 

 

「簡単さ。世界から出て行く方々が、良い人なら良い運。入ってくる人が悪い奴なら、悪い運だ。……ほら、類は友を呼ぶって言うだろう?」

 

 

「…………それは……」

 

 

「時空管理局の下っぱは、基本的に正義感溢れる良い奴が多いが……戻って来るときは、犯罪者を連れている事があるから良い運プラス悪い運を連れ帰って来ると考えてみろよ……自ずと答えは出るんじゃないか?」

 

 

「……………………」

 

 

段々、世界の裏事情に精通してきているような気がしてきた。できるなら、こういうのはリンディに任せたい所なのだが……しかし、チビッ子を引き取った時点でその願いは叶わなくなっていたのかもしれない。

言われるまま、私は考えようとした。

だけど、チビッ子の話は考えるまでもなく答えが出てしまう。何故なら、ミッドチルダで起こる事件・テロの年間数を考えればわかりきった事だからだ。

 

 

「つまり、ミッドチルダでは事件やテロが起こって、当たり前だと言いたいのね?」

 

 

「当たり前……ってか、悪いモノは悪い運を呼び寄せやすいってだけさ。それに、何も人だけが悪い運を呼び寄せる訳じゃない。該当するモノが、あるだろう?」

 

 

「…………ロストロギア!?」

 

 

「ピンポーン!大正解!」

 

 

チビッ子が、私を指さし邪悪に笑う。

 

 

「様々な世界を滅ぼした……又は、世界の滅びに立ち合った……悪運の塊だ。アレってさ……人々の出入りレベルよりも、世界を滅ぼすレベルの悪運を纏めて持ち込む分には最高の物体だと思わないか?」

 

 

「……………………」

 

 

その上で、語るのは恐ろしく絶望的な話。

それを聞いたら、思わずにはいられなかった。

『時空管理局……本当に滅べ!』。

否、放って置いても滅びそうだ。

 

 

「色んな世界を巻き込んで……ねぇ?」

 

 

「ーーーーー」

 

 

恐怖心を煽って来るチビッ子。少し、イラッとする。

はあ。チビッ子の事は、この際どうでも良い。

私が考えるは、【次元消滅術式搭載型爆弾】どころの話しではない事だ。段々、時空管理局が他世界を巻き込んで自爆しそうで怖くなって来た。

事件しかり、テロしかりである。

 

 

「まあ、なんとかしてやるよ……大体、そういう事柄に精通しているプロフェッショナルがいるんだから……なんとかなるだろ?具体的には、《ルール・ブレイカー》?とか……」

 

 

力強く笑う反則級の存在が、目の前にいた。

今まで、チビッ子程度にしか思っていなかったこのチビッ子が、急に頼もしく思えてくる。ゲンキンな話だとは思うが、今はこのチビッ子に頼る他ない。

 

 

「なんとか……できるんでしょうね……?」

 

 

「できるとも!問題は、【区切られた世界】だろうね」

 

 

「???」

 

 

「ああ。わからなくても良いよ。世界のシステムなんて、人間が知る範疇レベルを遥かに超えている。完全に、僕等の領分なんで気にしないで♪」

 

 

「そう……なら、任せるわ」

 

 

チビッ子は、ニヤリと笑ってそれを返答とした。

何故、無駄に格好いいのだろう……チビッ子のくせに!

 

 

「それで……今日は、お休みなのかしら……?」

 

 

「……お休み?ああ。精気を養っているって点では、お休み中かな……これから、168時間耐久レースが待っているからなっ!!」

 

 

「耐久レース?って、一週間も眠らないつもりね!?」

 

 

「にゃははは。劣化術式を解除して、ちょっと他の次元世界にも手を伸ばす予定なんで……細々とは、できそうにないので一週間程部屋に篭ります!」

 

 

「……………………」

 

 

誰か……このチビッ子を止めてくれないかしら……。

仕事中毒もここまで来ると、最早病気だ。

168時間耐久レースって……遊びじゃないんだから。

 

 

「まあ、僕よりもえげつない事してる奴はいるから……1ヶ月仮眠のみとか、半年間18時間営業し続けて入院した奴とか……ああ、肉体持ちの最長完徹は二週間が限界だったかな?精神体なら、一年が最長だよ?本当は、もっとできたらしいんだけど……途中で、飽きたんだって……」

 

 

もう、組織事態がキチガイの集まりらしい。

話しを聞けば聞くほど、チビッ子がいた組織の異常性が浮き彫りとなっていく。

 

 

「その組織、一体何をしたいの?」

 

 

「なんでも……かな。元々は、弱者を護る組織だったんだよ。でも、資金集めとか色々と面倒が重なる内に年間極単位……10の48乗レベルの資金が集まる大組織になってるかな?【死の商人】みたいなものさ……」

 

 

「……武器商人なの?」

 

 

「とは言っても、最新技術は売りに出さないんだけどね……」

 

 

「…………?」

 

 

「基本的に、技術は低いモノや型落ちする技術を最新版と言って売りに出してる。既に対策や無効技術のあるものを……ね?」

 

 

「……何故、そんなことを…………?」

 

 

「反乱やテロが、起きたとしても型遅れの技術なら直ぐに対応できるじゃないか……それに、その方が色々都合が良いんだよ。敵は、弱い方が相手にしやすい……だろう?」

 

 

「……………………悪い子達ね」

 

 

「【悪の組織】ですから!」

 

 

胸を張って言い切るチビッ子を見ていると、【悪】という事実に何らかのプライドを持っていることがわかる。

ここまで、徹底されると呆れを通り越して清々しく思えてしまう。

 

 

「とは言え、敵は型落ちする技術と小賢しい手段でこっちの裏を欠いてくるんだけどね……人身売買ができないなら、死体を売り買いして……クローン技術で、量産して玩具にしたりとか……身体は、アンドロイドだけど脳髄だけは人間のを使用。その苦しみを見て愉しんだりとか……全く、キチガイ共め……命を弄ぶ、悪魔の様なアホ共さ……」

 

 

「ーーーーー」

 

 

怒りに震えるチビッ子を見ていて、この子は……この子達は、【悪】を名乗っていても心の底から【悪】ではないのだと理解できた。少なくとも、見も知らずの他人の為に身を削れる子達なのだろう。

 

 

「まあ、一週間耐久レースはやるんだけどね……止めても止まらないよ!?」

 

 

「……お風呂とかは、どうするのかしら?」

 

 

「もちろん、行くよ?ご飯は、一緒できないかもだけど……」

 

 

「双夜の組織って、超実力主義なんだよね?双夜も……色んな資格とか、持ってるのかな?」

 

 

「んー、まあ、つっても僕は、あの組織に所属する予定は無いんだよね。一応、食客扱いになってるけど……ああ、君達の言うところの嘱託魔導師と似たようなモノだと思ってくれたら良い」

 

 

「ふーん。完全な組織の一員って訳じゃ無いんだね?」

 

 

「うん。要するに、スカウトされてたんだよ……今もだけど……能力だけなら、かなりの高レベルなので……」

 

 

「《ルール・ブレイカー》とか……かなり、破格な能力よね……時空管理局も、放って置きそうに無いわぁ……」

 

 

「所属する気も、就職する気も無いけどね!!」

 

 

「しょうがないよ……双夜、今忙しいんだから……」

 

 

 

 

 

『……………………』

 

 

フェイトの発言に、チビッ子と目が合った。

コソコソとチビッ子が私の元に来て、袖を引っ張る。

屈んでみると、チビッ子は内緒話しをするように声を潜めてボソボソと言った。

 

 

「あれ、引き込む気を持ってると解釈した方が良いのかな?」 

 

 

私も、チビッ子につられて声を潜めてしまう。

 

 

「わからないわ……フェイト、天然な所があるから……」

 

 

「忙しく無かったら、どうなってたんだろう?」

 

 

「なんだかんだ言って、試験を受けさせられて気が付いたときには、時空管理局の職員になってた……とかでしょうね」

 

 

「うわぁ……フェイトちゃん、策士……」

 

 

苦笑いするチビッ子と、首を傾げて「?」を撒き散らしているフェイト。ああ……可愛いわぁ……フェイト♡

少し前なら、あの仕草を見ても何も感じなかっただろう。

だけど、ゲノムツリーを見た今の私にはフェイトの一つ一つの仕草がアリシアと同じくらい愛おしい。

それと同時に、罪悪感に苛まれる。ずっと、フェイトは私に甘えようとしていたのに……それを突き放して来た自分の行為に自己嫌悪を覚えていた。

全く、何処かのお節介のせいで調子が狂ってしまう。

 

 

「ああ……二人を並べて、抱き締めて、一緒のベットで寝たいわぁ♡とか、思っておられるみたいですぜ?アリシア姉!」

 

 

「良く報告してくれたわ!フェイト、今日はママのベットに夜這いかけるわよ!?」

 

 

「え……えっと……」

 

 

「はっ!?ちょっと、心を読まないでくれるかしら!?」

 

 

「読んでない、読んでない。ちょっと、【真実の瞳】で心の動きを見てなに考えているかを予測しただけだから!劣化術式のせいで、今の僕に他人の心を読む能力なんて無いよ」

 

 

予測……できるモノなの?

どれだけ、頭が良いっていっても人間の心なんてモノは予測できるなんて思わない。だって、人の心ってかなり複雑にできているのよ?どんなに目に見えていたって、それだけで予測できるなんて考えられない。

例えできるとして、それだけの知識や経験をどうやって積み上げるって言うの?一万年生きていたって、無理でしょう。

 

 

「…………???」

 

 

チビッ子が、首を傾げている。

あら?今のは、読めなかったって事なのかしら……。

もしかして、特定の条件下でしか予測できないとか?

 

 

「あ!……あ……違うわね……」

 

 

今一瞬、思考の誘導をした上で読んでいるのか!?と閃き的に思ったんだけど……そんな誘導、されてない事に気が付いた。

 

 

「……………………」

 

 

ダメね。ちょっとやそっとじゃ、心を読むからくりなんて思い付かないわ。頭を横に振って、一度思考を放棄する。

ふとチビッ子を見れば、足元に魔法陣を展開して魔力光に包まれて行く所だった。

 

 

「!?」

 

 

そして、魔力光が治まるとアリシアぐらいのチビッ子が立っていた。

 

 

「えー!?何、なにそれ?」

 

 

「大人モードです!」

 

 

アリシアが、目の前で行われた魔法に釘付けになっている。

大人モード……というのは、変身魔法制御の事らしい。

「良いな、良いな!」と、チビッ子の周りを萌え萌えアリシアがピョンピョン跳び跳ねている。

ああ……アリシア……良いわ♡

アリシアが、とても羨ましそうにチビッ子を見ていたと思えば、何か覚悟を決めた様な顔をしていた。

きっと、変身魔法制御……チビッ子風にいうと、大人モードの魔法を組むつもりなのだろう。ずっと、フェイトより小さい自分を嫌がって「早く大人に成りたい」と言ってたぐらいだから。その気持ちが、ありありとわかってとても楽しい気持ちになる。だって、今のアリシアは小さくてとても可愛いけど大人に成ったアリシアも見られるのよ!?これ程、楽しい話はないわ!!二倍、楽しめるって事なのよ!?

 

 

「キッチン借りるよ?」

 

 

「ええ……」

 

 

「んん!?あー……萌えモードでしたか……失礼しました」

 

 

「ええ……」

 

 

「では、失礼して……」

 

 

この時の私の頭の中は、アリシアの事でいっぱいでチビッ子の行動には全く興味すら無かった。

その後、チビッ子の作った手料理を食べて第一次料理練習大戦が没発する事になる。

スイーツだったけど……このままじゃイケないと思ってしまう程、美味しかったとだけ記載しておく。

 

 

プライドをへし折られるくらいに。

 




女性の料理プライドブレイク!!ただし、スイーツでへし折ります。

ついでに、【大人モード】も見せてアリシアを煽ってみたり……フェイトちゃんに、コンプレックス持っているはずだから(体型の)必ず、煽られるだろうと予測。

プレシアが、完全な【母親】になるお話しになっていれば、予定通りです。

双夜直伝読心術。誘導しつつ先読みしているだけ。
後は、仕草や瞳から送られてくる情報を読み取っているだけなんだけど……(笑)

次の更新は……28日

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