絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三七一話

Re:

 

 

前回のあらすじ!

俺達を苦しめていた元神が、セイビアさん達の策略で【堕ち神】化する。多分、そのお陰で不知火翼こと『佐藤奏(カナデ)』を助けられたのだと思われるんだけど……今一、信用出来ないというか不明。それを告げに来た飛龍さんの進めで、現場に連れて行かれる事になったのだが……連れて行かれた先で見た元神は、色々と規制される様な姿と化していた。ええ、まるでクトゥルフ系神話のジョゴスっぽい何かとなってたよ。

元神のあの姿は、これまで行った悪行の数々&己が心を反映した姿と化していた。基本的に【堕ち神】は、これまでに行った悪行とそれによって育ってしまった悪心によって姿が変わるとされている。つまり、あの姿はこれまでに行った悪行と蓄積した悪心の結果という事だ。

ぶっちゃけ、俺的にはSAN値直葬な上に元の姿がわからないせいで、アレが本当に俺達を苦しめた神様なのかが判断は付かなかった。

その事もあって、元より困惑と混乱していた俺は当初アレと闘う気が起きない。でも、アレにされた理不尽なまでの悪夢に『カナデ』の方が先にキレて俺にお願いして来たので戦う事にする。

だが、いざとなると宝物庫にある武器では傷一つ付けられないと言われ……更には、彼の【堕ち神】を討伐するには専用の武具を使わなければならないと告げられた。

しかも、その専用の武具っていうのが宝物庫の奥深くに封印していた《ダーティー・ニーズ》というではないか!!それを聞いた瞬間、脳裏を駆け巡るのはソレによってもたらされた暗黒歴史。

ぶっちゃけて言おう。

その瞬間、俺の戦意は奈落の底に落ちた。

何が楽しくて、彼の暗黒歴史を『カナデ』の目の前で再開せねばならないのか……意味不明である。例え、彼の【堕ち神】討伐が『カナデ』立っての願いだったとしても俺は封印された剣を抜く気には成らない。でも、その後に色々あって説得?されてしまった俺は《ダーティー・ニーズ》に宿る精霊と対話する事になる。

問題の対話は、一瞬で終わった。

そして、目覚める。←イマココ

 

「対話じゃねぇだろ、これぇ!!!!」

 

とりあえず、『対話』と言われて長丁場となると思っていたので肩透かしを食らった俺は文句を言うだけ言ってみる。だって、一言二言で終わる会話が『対話』か!?という理不尽に、覚悟を決めて望んだのにあんまりな結末を迎えたからだ。

 

「みつおくん、大丈夫!?」

 

「つか、『力貸して下さい!』『良いよ』で、済んじまったよ!」

 

「ドウドウ、落ち着け!」

 

「あれのどこが、対話なんだ!?」

 

「別に、交渉しろって言われた訳じゃ無いだろう!?」

 

「そりゃ、そうですが……『対話』つー訳だから、色々話とかするんじゃないんですか!?」

 

「ハハハ。生まれたばかりの精霊に、対話が出来るだけの語彙がある訳がないだろう?」

 

生まれたばかりの精霊……つか、疑似人格が邪魔して成長を妨げていただけなんじゃ!?とも思わないでなかったんだが……生まれたばかりの精霊に、俺の魔法や強化をコントロール出来るハズもなく疑似人格付与は苦肉の策だったらしい。そもそも、俺みたいに《神殺し》へ転生して即実践投入されている人材は存在しない。つか、俺が初めての取り組みなんだそうだ。

当然、《神殺し》がデビューするまでには二千年から五千年の修業期間があって……その間に、武具に宿った精霊の成長と《神殺し》の成長が同時進行で行われるという過程があるとのこと。

それを俺は、すっ飛ばした上に即行で神様を殺そうって言うんだから何も足りてない現状は仕方がない。仕方がないんだけど、それでは神様を殺せないってんで成長し切ってない精霊と対話させて少しでも足並みを揃えられる様にしてみよう……ってのが、さっきの『対話』だと言う。

ぶっちゃけ、その話を聞かされた俺は不安以外の何者でも無くなってしまったけどな!!つか、何でそんな話を聞かせやがった!?

 

「大丈夫!俺達が、魔力タンクになってやるから!!」

 

「は!?魔力タンク?」

 

「正確には、セイビアと飛龍と私……秋月愁が、貴方のサポートをさせていただきます。それでも、稼働時間は30分程なので出来うる限り早目に倒し切っていただきたい……」

 

つまり、彼等が言っている事は俺の剣へ自分達も魔力を全力供給するから、駄々漏れの未熟収束で威力不安定だけどそのまま突っ込めという事らしい。それが、今回の彼等が引き起こした事に対する尻拭いとのこと。というか、《神殺し》中位者の魔力によるバックアップを受けられるとか……魔力制御系を、師匠のフレールくんにお願いしたらイケるんじゃね!?

 

「フレールくん!魔力制御、お願い出来ませんか!?もちろん、俺も出来るだけ魔力制御するんでサポートをお願いしたい!!」

 

「え!?ちょ……」

 

言った瞬間、ポムポムと音を立ててフレールくん達が出現。俺の頭や肩に降りて来て、ガッシリとしがみ付いて来た。

 

「OKだそうです!」

 

「フレールくん、居たんだ……」

 

「囮ですから(苦笑)」

 

「囮?……まあ、色々言いたい事はあるけど……行ってこい!!」

 

「はい!!」

 

セイビアさんの了承を得て、俺は《ダーティー・ニーズ》を抜き放ち【堕ち神】と化した元神の元へと突き進んで行く。色々、遠回りをした感や予定と違う事も起きたけど……漸く、俺の覚悟も決まって『決戦の時だぁ!!』って気分になる。それで、《ダーティー・ニーズ》片手に突っ込んで行った訳だが……まあ、なんと言うかその時には大分【堕ち神】はボロボロになっていて見るからに瀕死ッポかった。それでも、俺達の敵(仇?)なので憂さ晴らしくらいはさせて貰おうと柄を握る手に力が入る。

ただ、戦っている途中から明らかに【堕ち神】が疲弊して力落ちして行くんだけど?戦えば、戦う程に弱々しくなって行く。でもそれは、周囲に多くの《神殺し》達が密集して居るからであって《神殺し》の特殊スキルによって神様自体が弱体化しているんだろうと俺は思っていた。

まあ、丸っきり掠りもしていない考察だったけど。

彼の【堕ち神】が弱体化して行った理由は、とある暗躍好きな《神殺し》さんが俺のサポートをしてくれていたからだった。

【堕ち神】との戦闘後、戦場から戻ったら余計な事をしたセイビアさんにクレームを言ってる師匠が居て発覚する話なんだけどね。なんでも、俺の戦闘中……少しズレた空間で、複数の使い魔を使って特殊な陣を展開していたんだそうな。それは、師匠が一万年という時間を掛けて見出だした《神殺し》スキルの魔術的再現だったらしい。

更に、駄目押しで《神殺し》スキルを使い魔全員に分配して其々にスキルとして発現するまで育てさせたという。

結果、スキル《神殺し》×一兆一千百万体分&魔術的スキル《神殺し》の再現で神通力の無害化と神様の無力化を実験していたんだって……そりゃ、呪いしか残らんわ。

つか、鬼畜か!?

神権は、元より剥奪されていて残っているのは僅かな神通力のみ。それも、【堕ち神】化によって理性を奪われ使えなくなった所へ師匠の策が炸裂!!結論、【堕ち神】を構築している【呪い】のみが残って……それも、神通力を含まないからそれ程強力なモノでは無くなっているとか詰んでるとしか言いようがない。

正に、踏んだり蹴ったりである。まあ、そうとは知らない俺は『俺、強い!?俺tueee!?』とか思ってたけど。

超恥ずかしい!!

だって、以前対峙した時は手も足も出なかった相手が弱々になっていたんだぞ!?それだけ、俺が成長したのかなぁ?って思ったりもしたんだ。その思考に対して、超疑問頭で超疑心暗鬼になってたけど……結果は、雑魚で楽々倒せたからな。そりゃ、勘違いしても仕方がない。

つか、口にはしていないけど……新たな黒歴史到来で、頭を抱えるハメになった事だけは間違いない。

ハハハ……クソッ!また俺は、御調子者に!!

それでも俺は、こうして弱体化に弱体化を重ね更に弱体化していた元神を屠る事に成功し友人達の仇を取ったのであった。

そして、神を殺した際発生する【神の呪い】についても影響ーーこの呪いは、一度でも神役を承った者ならば誰でも使用できる権利でーーは全く無く、自分を殺した者と言うよりは自分が殺された瞬間に己に最も近い場所に居た者を呪うといった類いの呪いらしい。それによって、最も近場に居た俺が呪われたハズなんだけど……呪いらしい呪いの影響は、全く現れていなかったりする。

なんでだろうね?これも、師匠の策の影響なのかな?かな?

説明を求めるも、知らぬ存ぜぬで通された。

その上で、一人前の《神殺し》になれた事を祝われて俺は少し複雑な気分になったけど……まだまだ、足りない部分があるので御指導御鞭撻の程を願って置いた。

これにて、俺は師匠と無事合流を果たした事になる。

『俺のハーレム』は、作れなかったけど……オリジナルの『翼』を保護できたので良しとする。惜しくはないぞ?惜しくは!!

色々と、納得の行かない事はあるけれど……後悔はしていないと思う。激戦!とか、最終決戦!!とか予定していたけど……色んな横槍のせいで、有耶無耶感が半端ないけどな!!セイビアさんとか、師匠とか、《神殺し》共全体とか……全然、後悔はしない!納得はしてないけど。

セイビアさん達には、弄ばれた感が半端なく……師匠には、実験台にされた感じがバリバリするけど。

 

「本来であるならば、僕が用意する舞台でタイマンの予定だったんだけど……おかしな話になってたな?」

 

師匠ですら、予想してなかった話に行き着いたらしい。

セイビアさん達が、まさか俺や翼の事で乗り出して来るなんて思いもしなかったからな。あの人達が、関わって来たお陰で行き着く先が、混沌としたカオスになったのは言うまでもない。

 

「あ、でも……翼のオリジナル魂は、確保しましたよ?」

 

「あ、う、ま、それな!」

 

あれ?師匠のこの反応……何故、こんなにも微妙な反応をするんだろう?まるで、大分前から『翼』のオリジナル魂の動向を知っていたかの様な……何かを隠しているかの様な反応だった。

 

「……知ってたんですか!?」

 

「うん?あー……知ってたというか、知らなかったというか?」

 

これまた、師匠らしくないあやふやな発言だな!?

 

「現在、活動しているフレールくんが五兆程居ます」

 

「対して、分割されたとは言え【魔法少女】の世界なぞ億にも届かぬ程度の世界数だからの」

 

「総当たりで、そこそこ早い段階にオリジナル魂へ《R・B(GPS)》を撃ち込む事に成功してました」

 

「そして、兄様が至るであろう世界へ連れて来られる様に色々と暗躍すればOK。元神も、まさか誘導されていたとは思わなかったであろうよ?」

 

いつの間にか湧いた師範代達が、矢継ぎ早に俺の知らない情報を口にして俺を追い詰めて来る。えっと、じゃぁ何か!?俺のやった事って、骨折り損のくたびれ儲けってヤツか!?

 

「それじゃぁ、ネタばらしと行こうか?ぶっちゃけ、神崎くんに掛かってる呪いの解き方は三通り。一つは、神が願った通りにハーレムを形成し神の創ったルートを成就させてやる方法」

 

「二つ、神崎さんが、迷う事なく明確にハーレムや魔法少女への想いを断ち切っていれば……それだけで、その【呪い】から解放されていたでしょう」

 

「三つ目。今回の様な神の介入を跳ね退けるっていうのも悪い方法じゃない。そもそも、【ハーレム】っていう願望はお前を転生させた『神の望み』だ。それを拒絶し、『神の望み』とは真逆のルートに走っていれば勝手に解けていたんだよ?」

 

アッサリ、セイビアさん達が俺の【呪い】解除法を暴露。

まさか、そんな事であの呪いから解放されるとか考えもしなかった。つか、知ってたんなら教えてくれたって良かったじゃないか!?何故、教えてくれなかったし!?まあ、予想は付くけど。

要は、教えられてたら解けなかったパターンですね?わかります。

 

「そして、神崎くんは……【神の望み】を振り切り、己が信念を突き通したお陰で『踏み台の宿命』からも『神の呪い』からも解放されましたとさ。めでたしめでたし」

 

「え!?『踏み台の宿命』からも!?」

 

「おめでとうございます!兄様。ハーレムは、残念でしたね?」

 

「おめでとう!兄様。呪いが解けた今、ハーレムは必要ないからな?それとも、ハーレムを形成してみたかったか?」

 

「止めろ!『カナデ』の前で、男の欲望をブチ撒けるなよ!?」

 

あくまで、俺は呪いを解く為にハーレムを作ろうとしていただけで残念とかそういう感情はないからな!?

いや、マジで!!

そりゃ、憧れのヒロイン達とそういう関係に成りたくはあったが……あくまで、それは【呪いを解く】という目的の為の経過点であってグニョゴニョガニョ(照)。

ああ!!この話、止め!!

 

「それとも、兄様の休暇は終わっていませんのでハーレム休暇でも取られますか?構わないですよ?」

 

「要らん!!」

 

「またまた、痩せ我慢は良くないぞ?兄様」

 

「痩せ我慢でもない!!」

 

「…………みつおくん、ハーレムって……」

 

「違うからな!?俺が望んだ訳じゃないぞ!?あれは、俺達を転生させた神が植え付けた欲望であって俺の純粋な欲望って訳じゃねぇから!!」

 

「必死ですね?兄様。そんなに、ハーレムを否定しなくても……」

 

「原作ヒロイン達でハーレム(通過儀礼)を形成し、その呪い(目的)を解こうとした『クズ』の癖に……言い訳か?兄様」

 

「はっ!?あ、ああ、ああああああああああああああああ!!!」

 

言われてみれば、俺がやろうとしていた行為って……とても、クソッタレな野郎の愚行だった事に気が付いて頭を抱え発狂してしまう。つか、言われるまでその事を考えもしなかったけど……俺の行いはクズ野郎のそれと変わりがなかった。って、どこまで追い詰められていたんだ!?

これで、追い詰められていないとするなら……【ハーレム】を形成するって事は、俺が如何にどうしようもない『クズ』なのかを証明する行為となっていただろう。

それを一瞬で理解した俺は、奇声を発しながら崩れ落ちる。

神に与えられた、【ハーレム】という願望(呪い)を消し去る為としたその行為は確かにクズと罵られても仕方がない愚行。

例え、それが【呪い】だったとしても俺は人道に反する事を平然とやって除けようとした。結果論でしかないとは言え、そんなクズまっしぐらな行為を目的としていたとか……人としてどうなんだ!?と思わずには要られない。

【呪い】を解く為(目的)に、【ハーレム】を形成(手段)するとか……ハハハ。何を考えていたんですかねぇ?

 

「その時点で、兄様が人間のクズなのは否定出来ぬな?」

 

「ですね。兄様が、人としてどうなんだ!?っていう人格の持ち主である事は否定出来ません」

 

「お前等、視野が狭ばっていた奴の心を抉ってやるなよ……」

 

「視野が狭ばっていたとしても、目的の為にハーレム形成とか……最低だと思います」

 

「お前等、推奨してた癖に手の平返しとか止めろよ?……ん?」

 

「手の平なんて、返してませんよ?」

 

「そうだの。Masterが何と言おうと、兄様が女の敵である事は変わらぬ事実だ!浮気野郎!!」

 

「不倫ですね?慰謝料を請求しても良いですか?」

 

「そいつ、【黄金律】ってスキル持ってるぞ?」

 

「「はっ!!」」

 

「そうでした。経済的制裁は、無効でした」

 

「Masterも、だの……」

 

師範代達は、まるで汚物を見るかの様な視線を俺や師匠に向けて来る。俺はスキル、師匠は仕事。経済的制裁は、基本的に無効なんだよな。まあ、俺のは反則ッポイけど……師匠の場合、複数の仕事を掛け持ちしてほぼ同時進行で終わらせる事もあるらしいので入って来るお金が多いとのこと。

経済的制裁は、ほぼ意味がないかと思われる。

 

「ところで、師匠は何してるの?」

 

いつの間にか、セイビアさん達が集まっている方へステテテ!と走って行った師匠はしばらく何かの話し合いをした後……円陣を組んで、奇妙な動きを始めた。つか、いあ!いあ!とか叫びながらクネクネと踊っているんだけど!?

 

「いあいあしてます」

 

「アレって、クトゥルフ系の儀式なんじゃ!?」

 

「いあ!いあ!しているなw」

 

師範代達が、俺のクズっプリに盛り上がっている間に何があったのか……師匠が、セイビアさんと共に『いあ!いあ!』していた。つか、いつから師匠はクトゥルフ系の信者になったんだ!?

 

『いあ! いあ! はすたあ!

 

はすたあ くふあやく ぶるぐとむ

 

ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ

 

あい! あい! はすたあ!』

 

頭をブンブン振って、ノリノリで踊りながら呪文を唱える三人。

師匠、飛龍さん、セイビアさん達の三人は、良く見ると何かを囲んでそんな事をしている様子だった。というか、あの囲まれてるモノってついさっきまで暴れていた【堕ち神】の欠片ではありませんか!?つか、残ってたのかと思っているとビヤーキー出現。

 

「カッッッ…………」

 

「ひぃ!?」

 

「あー……初めて見る方は、大体そんな反応ですよね……」

 

いや、だって、クトゥルフ系の魔物だぞ!?まあ、【堕ち神】を見た後なのでそれ程SAN値チェックに失敗はしないけど。アレを見る前だったら、多分失敗していただろうと思えるレベルのグロさだ。つか、流石【呪い】の専門家達。あのグロさ程度なら、全然普通に接する事が可能とか憧れはしないけど痺れそうだ。

てか、チョイチョイ現れるクトゥルフ系の魔物達は何なんですかねぇ!?まるで、クトゥルフ系の魔物が大ボスとして現れて処されちゃったりするんだろうか!?

 

「あ!」

 

ビヤーキー、あの黒い【呪い】の塊持ってちゃった。

理由は不明だが、師匠達が呼び出したビヤーキーが【堕ち神】の欠片である黒い塊を咥えて持って行ってしまうのを目撃する。

まさか、食したりはしないだろうけど……あの塊の行き先が、とっても気になります!本来であれば、直ぐ様師匠に駆け寄って話を聞き出したりするんだけど……何故か、師匠達は未だにいあ!いあ!していて近付けない。

あるぇ?もしかして、SAN値チェックに失敗しているのか!?いやいや、まさか……師匠達が、SAN値チェック失敗とかあり得ないだろ!?と思ってたら、ある程度しえピタリと止まり……逆再生を見ているかの様に師匠達が逆回りに動き出す。

 

「あつさは、いあ、いあ、うもつぐるぶ、ぬむがろつぐぶ、うもつぐむぶ、うかやうふく、あつさは、あつさは、あい、あい」

 

何言ってるのか、サッパリわからないけど動きは逆なので間違いなく逆再生とかしたら何言ってるのかわかるんだろう。つか、良くあんな事出来るよな?普通は、それなりに訓練しないと出来ないと思うんだけど?なのに、それに付き合えるセイビアさんや飛龍さんも凄いと言わざるを得ない。

もしかすると、師匠がセイビアさん達に付き合っている可能性もあるけど。何がしたいのかは、全くわからなかったのでただ師匠達の寄行を眺めているだけだった。

 

「何、してるんッスかね?師匠は……」

 

「逆再生ですかねぇ?」

 

「逆再生だの……」

 

「逆再生……それに、何の意味が……」

 

「ウム。意味は、あるの。彼処には、セイビアが居るからの」

 

セイビアさんが、居るからってどんな意味があるっていうんだ!?そりゃ、セイビアさんは『混乱』を司る《神殺し》らしいけど。

『混沌』って、訳じゃ無いんだからセイビアさんが居た所で何もnひゃあああ※△#×□!?!!?何か、何か出た!!何か、ヤヴァイの来たーー(Ⅲ△Ⅲ;)ーー!!

直ぐに、視線を外したから良く見てはなかったけど……数十匹の蛇が、一塊となった様な触手がヒョッコリ現れた。ソイツがまた、ウネウネとしたヌルヌルな動きでシャフトしてやがる。見てるだけで、SAN値をゴリゴリ削られる様な気がしたので視線を外したが……何てモノを呼び出してるんですか!?

とりあえず、クトゥルフ系の奴等から離れて欲しかったけど……師匠達は、止める気が無いのか未だ奇妙な動きを続けている。

 

「結局、アレ……何やってるんですか?」

 

「送還だの」

 

「送り還しているんですよ」

 

「何を?」

 

「「悪意」」

 

どっかのクズ神が、何百年と己が内に溜めた呪いレベルの悪意を『混沌』へと送り還しているとのこと。混沌なら、そういう負の感情を送り込んでも色んなモノと混ざって『混沌』というモノにしか成らないから、ああいうモノの処理地としては最適なんだと言う。放置すれば、また厄介な存在に目を付けられて再利用されてしまうかも知れない。なので、ああして混沌に返還するんだそうだ。それを聞いて、俺は超納得した。

 

そりゃ、そうですよね!!

 

そもそも【呪い】とは、他者を憎み怨み積もり積もって憎悪へと至った感情が理性も記憶も薄れ凝り固まった結果生まれるモノである。なのに、元神が積み重ね凝り固めたのは誰かを怨む憎しみでも他者を羨む嫉妬でも無かった。

ヤツが、凝り固めたのは誰かを不幸にしたいと言う『悪意』という名の感情。同じ感情でも、ヤツが育み産み出したのは憎悪とは似て非なる【呪い】だった。

そんな【呪い】が、簡単に浄化し切れるハズもないのは誰でも理解出来る事実。ましてや、俺達を転生させた元神はクトゥルフ系の魔物みたいな姿にまで変貌を遂げた悪行を重ねた悪辣極まりない悪神。そんなヤツを倒せば、残るのは溜めに溜め込んだ【負の連載】によって生じた【呪い】てしかない。それを、浄化する事が容易で無いのは直ぐに理解出来た。それでも、時間を掛ければ浄化は出来ると考えていたが……【混沌】に送還しなければならないレベルだとかは想像すら出来なかったよ。

 

「そんなにも、『カナデ』の返答が堪えたんですかねぇ?」

 

「……兄様。カナデ御姉様は、なんと答えたのですか?」

 

「なんでも、願いを叶えてやると言われて……『お前には、無理だ』と答えたらしいですよ?まあ、生き返らせて貰えない時点で奴の言葉は間違いなく嘘偽りな訳ですが……」

 

「フムフム……成る程の。その結果が、今回の末路か……」

 

「なんというか、気前良く『なんでも』と言った結果としては順当な結末の様にも思えますけど……」

 

「その結果が、絶望という名の悪夢とか……中二病か!?」

 

「「それ、最大のブーメラン(だ)です!!」」

 

【組織】的には、確かにブーメランだよね。

 

「じゃ、お願いします」

 

「嫌ですよ?兄様」

 

「そういうのは、あやつに頼むのが一番であろう……」

 

言って、オルタがステテテと駆け出して行って……飛龍さんを連れて戻って来た。そして、何やらゴニョゴニョと耳打ちをする。

すると、飛龍さんは首を傾げながらもそれを言ってくれた。

 

「なんだか良くわからないけど……ゴホン!狂いし者に断罪を!破滅誘う者に制裁を!我等、《神殺し》の名に掛けて彼のモノ達に絶望という名の悪夢を撒き散らす黒き風!!【組織・ナイトメア】、強きを挫き弱きを救済す【悪】である!!」

 

「うわぁ……」

 

「「これを聞くと、脱退したく(なるな)成りますね」」

 

「以下、同文」

 

「え!?何で、カッコ良いじゃん!?」

 

「「「いやいやいやいや!!」」」

 

ごめんなさい。無理です。全力全開で拒否します!

俺の口は、例え裂けたとしてもそんな恥ずかしい言葉を吐き出したくはない。もし、それを強要されたなら舌を噛み切って自害する事を誓わせて頂きます。ええ、ド派手に吐血し血を撒き散らしながら『カナデ』の腕の中で息絶えて見せる!!

それっくらい、嫌な言葉だ。

最早、ドン引きするしかない俺は師範代達にとあるファイルを手渡されるまで困惑する飛龍さんをからかって遊んでいた。

だって、色んな問題が解決してホッとしていたからな。

 

「という訳で、兄様。こちらのファイルをどうぞ」

 

そう言って、リリィは俺に辞書レベルの報告書を手渡して来たのだった。

 

 

 

 

 




割りとアッサリ終わりましたね?まあ、フラグは建ちましたけど。サクサク終わらせるのは、仕方がないちゃぁ仕方がない事。巻いて巻いてで進めてるからね。
次回は、『翼』オリジナルのこれまでどんな風に過ごしていたかの報告書回だよ!?まあ、言うまでも無いだろうけど不幸を絵に描いた様な人生を過ごして来た『翼』オリジナルの地獄を報告します。作者は不幸を書かせたら胸糞レベルをポン!と作っちゃう人なので注意必要。胸糞案件勃発!?って感じなので、もしかしたら飛ばし読みをオススメするかもです。まあ、読まなくても本編には影響がない様にはしたい所ですね。そして……クックックッ(邪悪)。

そして、【組織】最大ブーメランとは『中二病』の事だよ。そりゃ、飛龍の発言で大体わかっているとは思うけど……【組織】は、中二病の集まりである!!特に、エターナル・エンドは自己中な中二病共の巣と言えるだろう。
フハハハハ!!



裏設定?
セイビアとか飛龍とか愁の本来の役割的な設定。
基本、飛龍が問題を引き寄せたり引き起こしたりします。
トラブル・マイスターというか、トラブルマスターというかそんな感じのキャラクターが飛龍。先ず、コイツが問題というかトラブルを招いてセイビアがシッチャカメッチャカにします(笑)。最終的に、作者が満足した所で愁が『そろそろ、終わらせようか?』とセイビアを脅してセイビアがシッチャカメッチャカにしたトラブルを解決するって言うのが本来の流れ(笑)。因みに、愁はセイビア達の保護者的な立場。押しに弱くて、二人に引き摺り回される役回りだったりもするけど……最終的に止める役割なので、二人のお父さんとか呼ばれてます。まあ、最近はそんな事はしなくなったけどね。セイビアが、結婚して丸くなったので(笑)。
(⌒―⌒)
まあ、満足するまでやると……終息不可なんて事になりますけどね。なので、そこからは削り出しの作業を経て不要な混乱を取っ払って物語を再構築。それで、何とか終息させて終了。不満だらけの物語となります。即ち、没!

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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