絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

393 / 591
三七〇話

Re:

 

 

 

突然、現れた飛龍さん。

急いでいるのか、捲し立てる様な一方的でマシンガントークなソレでは意味がわからなかった。なので、一旦落ち着いて貰ってジックリ話を聞いた所……俺達幼馴染みズを、転生させた元神様を飛龍さん達が補足して拘束したそうだ。そこまでは、良かったんだけど……飛龍さんを落ち着かせるのと同時に、『カナデ』も落ち着いて現状を理解したらしく下から俺の顎を撃ち抜くアッパーが来た。落ち着いた事により、『俺に抱き留められている』という現状をしっかりと理解して羞恥心が天元突破したという事らしかったが……だからと言って、殴る事はないと思われる。つか、そんな『翼』の嫌な性質を引き継がないで欲しかった。

その後、放す放さないの押し問答の末に『満男』が『カナデ』を説得して俺が『翼』を説得し切って何とか落ち着いて貰う事に成功する。その上で、俺は『カナデ』と逃げ出さない約束をさせてこの場に留まって貰える事となった。

それを、見ていた飛龍さんは大爆笑。

 

「アッハッハッハッ(笑)!!」

 

まあ、そのお陰なのか飛龍さんは落ち着いた様子で『カナデ』に回復魔法と洗浄魔法に修復魔法を使ってササッと身なりを整えてくれた。正に、一家に一人は欲しい万能洗濯機!是非、そのスキルで真っ当に働いて欲しいモノだが……【組織】には、この程度の魔法使える人は五万といるとのこと。

人を駄目にする魔法持ちとかw。

 

「俺も、覚えなきゃなぁ……」

 

「ガンバ!!」

 

とりあえず、『翼』の手を握って逃げられない様にしておく。

その後は、現状説明の続きを聞いて……セイビアさんが、混乱属性で怒りと憎悪を煽って俺達を転生させた元神様を【堕ち神】に“ダした”という話を聞く。だが、『ダした』というのが飛龍さん達の方言だったらしく全く意味がわからない。なので、更に突っ込んで『“ダした”』という意味を確認してみた。

 

「落としたんだよ。無理矢理、元神様を【堕ち神】にしたんだ」

 

「【堕ち神】って、無理矢理に出来るんですか?」

 

「もちろん。だって、【堕ち神】って憎悪と呪いの塊なんだよ?なら、怒らせて憎悪を抱かせてやれば【堕ち神】に堕ちるよ?」

 

キョトンとした様子で、悪びれもしない飛龍さんは無邪気な顔でサクサク答えてくれる。その様子から、本気で悪い事をしたという意識が無いんだという事がわかったので……マジですか!?という感想を思い浮かべる程度に納めた。

まあ、性質的に【堕ち神】は憎しみや怒りに似た感情が振りキレた事で起きる現象……理解は出来る話ではある。

でも、それを利用して強制的に【堕ち神】化させるとか狂気の沙汰だ。そりゃ、俺もイレギュラーな転生者を【堕ち神】へと誘った事は何度もあるけど……意図して、【堕ち神】へ落とした記憶はない。ほとんど、相手が勝手に勘違いして暴走し……その果てに、【堕ち神】へと堕ちて行ったけれど。それを意図的にするとか、鬼畜か!?とか思いつつ……その後も話を聞いて行くと、時系列が滅茶苦茶だったので要領を得なかったけれど何とか纏める事に成功した。その結果、師匠が色々とやからし捲っていた事が判明する。

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

事の始まりは、師匠が俺が生まれた第一世界で『翼』に《ルール・ブレイカー》を刺し込んだ事に起因していた。実は、アレによって『翼』の中に封印されていた『カナデ』を解放する事になる。

実際には、『翼』の位置情報を得る為に刺した《ルール・ブレイカー》でうっかり『カナデ』の魂を封印していた神通力をプチッと破壊しちゃったんだそうだ。それに神様が、慌てて『オリジナルの魂(翼)』を回収。

しかし、中途半端に壊れた封印は直す事も再封印するにも手が付けられない状態……ぶっちゃけ、現状維持で騙し騙し『翼』を繕わねば連鎖的に俺達に仕込んだギミックが崩壊する可能性もあったらしい。特に、俺の『ハーレムが欲しい』という願望がかなりヤバかったそうだ。

しかも、インスタント・ソウルを更にインスタント・ソウル(劣)にした挙げ句そんな壊れ掛けの魂を《神殺し》に転生させるとか正気を疑う行為を行い……それを補完する為に、インスタント・ソウルを融合するとか元神様の想定を越える無茶をやらかし捲り。この暴挙に、元神様はかなりビビって俺に干渉すら出来ないレベルにまで至ったとのこと。それ以外にも、師匠がやらかした事のオンパレードを聞かされたが何がどうヤバイのかはわからなかったけど……飛龍さんの反応からして、とんでもない内容をギリギリを攻め捲っていたらしい。

最近では、俺のオリジナルを説得して契約を行い俺に憑依融合を実行。普通は、どっちかが消滅する可能性すらあったのに《ルール・ブレイカー》でどっちも消滅する事なく融合出来る様にしちゃうとか……劣化物であるハズの俺をメインにして、『カナデ』を揺さぶらせて叩き起こさせるとかやっていたらしい。

なんでも、『オリジナルなんだから、インスタントよりかは頑丈なのでOK!』とか正気を疑うレベルの発言がポロポロ出ていたとのこと。途中、飛龍さんの表情が青くなったり白くなったりとコロコロ変わっていたからガチでヤバい事をさせられていた事が判明した瞬間だった。

つか、この青年が白目を剥き震えてるのはアカン奴でしょ!?

俺でもわかる。

この人は、【組織】でもそれなりにハッチャケている底辺の人だ!!そんな人が、白目を剥いて震えて怯えるレベルとかヤバ過ぎでは無いですか!?途中から、かなり白熱して来たらしく元の目的を忘れて師匠がどんだけヤバい事をしていたのかを力説。こっちが、理解出来てないとわかると更に詳しく教えて来るので、段々自分を取り巻く状況がわかってヒヤヒヤし始めた。

つか、あの邪神様ってば俺でなんて実験を繰り返していやがるんですかね!?ヤヴァイっしょ!?これ、かなりヤヴァイっしょ!?下手したら、俺も『翼』も消滅レベルの話じゃ無いッスよね!?バックアップ無しのぶっつけ本番とか……マジで!?

久々に、金〇がヒュンとする恐怖を味わった気分である。

つか、縮み上がったわ!!

 

「コワッ!メッチャ、コワッ!!」

 

「だよね!だよね!!双夜のやる事って、基本無茶な事が多いんだよ!?それなのに、この成功率!超、怖い!!」

 

「つか、やっちゃぁイケないレベルの話ですよね!?」

 

「だよねー。まあ、双夜本人もそっち系の実験体だったけど……アレは、ちゃんと本人に説明して理解を促し了承してからの実験だったから問題なかったけど。神崎君のは、そこら辺ブッ跳ばしての実験だからアウトなんじゃないかなぁ?」

 

「ハハハ、てか……【組織】って、そんな感じのヤヴァイ所だったんですね?退役しようかなぁ……」

 

「え!?いやいや、少し待とうか!?」

 

「でも、人体実験とかやるんですよね?」

 

「双夜の場合は、【魔王】だった事もあったからで……全員を全員、人体実験の題材にしている訳じゃないよ!?」

 

その後も、色々言い訳染みた言葉と言い回しで煙に巻こうとする飛龍さんによって詳しい説明が行われたけど……基本的にこういうのに向いていないのか、ポロポロと墓穴を掘って行くだけとなり俺は退役を真剣に考える結論へと至る。つか、元からわかっていた事ではあったけれど……【組織】が、超ヤベェ所だった。

とりあえず、俺の今後の方針は師匠との合流と契約の進行だ。

それさえ終えれば、俺はこの悪夢から解放されるという事なので『カナデ』の()()が決まれば俺は晴れて解放されるって事となるだろう。というか、『カナデ』は『翼』と同一の存在なのでもしかすると次代へと転生したいと言い出すのかも知れない。

そうなれば、俺は晴れて自由の身だ。次代を目指すも良し、アルバイト戦士になって働くも良し……果ては、消滅するも良しだ。

もしかしたら、別の意義を見出だして異なる方向へ進むかも知れない。まあ、そこら辺は将来的な所もあるから今の俺に決められるモノではないだろう。そんな訳で、将来的な事は後回しにして飛龍さんを見た。

 

「フム……」

 

そういえば、なんでこの人はここに居るのだろう?

確か、俺に何かしらの用があって来たハズなんだけど……マシンガントークで、意味がわからなかったから落ち着いて貰ったんだった。さて、あれからかなりの時間が経っているけど色々と大丈夫なのだろうか?

つか、何しに来たんだ!?マジで。

ふと、我に帰った俺は冷静に飛龍さんがここに来た理由を考える様になる。だからと言って、その理由を聞く事はしない。何故かはわからないけど、聞くのが憚れる程に嫌な予感がしたからだ。

来た当初、彼はとても慌てている様子だったからその内第二第三の彼が現れるのは考えるまでもない。それに、折角『カナデ』と再会出来たのに短い間でも離れるのは嫌だ!という『満男』の意思をバリバリ感じるのでスルーする事にした。

 

「それって、貴方が慌てていた事と何か関係があるのかしら?……そもそも、何をしに来たの?」

 

だが、そこら辺の事情を知らない『カナデ』?(『翼』?)が少し首を傾げた状態で飛龍さんにここへ来た理由を問う。

 

「ちょ、『カナデ』さん!?本題に戻しちゃ駄目ッスよ!?」

 

「はっ!そうだった!!神崎君、ボクと一緒に来て欲しい!!」

 

「折角、また巡り会えたのに……離れるのは嫌だ!!……と、満男が言ってるんですが……」

 

「…………二重人格?」

 

「いやいや。何て言うか、まだ『満男』の部分と『俺』の部分があるって言うか……完全に融合できてない感じ?」

 

「そう……そうね。私も、みつおくん達と似た様な感じかな?でも、みつおくん……じゃない貴方はーー」

 

「神崎大悟だ。神崎でも、大悟でも構わないよ?」

 

「じゃ、神崎君ね?神崎君には、行かなきゃイケない役目があるんでしょ?だったら、行かなきゃ駄目だよ?」

 

「つってもなぁ……飛龍さん、何で俺は呼ばれて居るんですかねぇ?理由は、まだ聞いてませんでしたよね?」

 

「だ・か・ら、君達を転生させた神様を【堕ち神】にしてやったから神崎君に討伐して欲しいんだよ!!」

 

「は!?」

 

この人、今なんつった!?『俺達を転生させた神を、【堕ち神】にしてやったから俺に討伐して欲しい』だぁ!?

この暴挙に、俺も『カナデ』も絶句して顔を青くしつつ無言で俯くしか出来なかったよ。別に、俺達を転生させた神様を擁護する気は微塵も無いけど……だからと言って、『【堕ち神】にしちゃった!テヘペロ☆』とかされるとは考えてもいなかった。そういう意味で、沈黙してしまった訳だが……内心が複雑過ぎて言葉が出ないのもある。

 

「何?君達を苦しめた張本人だよ!?自らの手で、倒したいとは思わないの!?」

 

「そりゃ、いずれは倒すつもりではありましたよ!?ですが、それは【堕ち神】となった奴ではなく……普通に、元神としての奴とであって……ちょっと、複雑な気分です……」

 

「そんなのどうでも良いよ。ボクが聞きたいのは、やるの?やらないの?って事だけだから……で、やるの?やらないの?」

 

「……………………」

 

そんな事を、唐突に突き付けられても困惑するだけで直ぐには決められそうにない。というか、それを殺るのは師匠と共にと思ってたから混乱しているって言う方が正しいだろう。だが、俺達を苦しめた張本人を倒したいと思う気持ちはある。俺だけでなく、『カナデ』や他の友人達を無理矢理転生させて不幸になっていく姿をニタニタ見ていた糞野郎だからな。俺のこの手で、殺せるモノなら殺したいと思うのは普通の事だろう。

 

「……みつおくん。みつおくんは、アレを殺せるんだよね?」

 

「あ?ああ。俺は、《神殺し》に転生したからな……」

 

困惑している所に、思わぬ所から質問が来た。だから、混乱しつつもその『カナデ』に答えると……普段は、元気いっぱいでありながらも大人しい『カナデ』が声を荒上げて訴えて来る。

 

「だったら……殺して!今すぐ、アレを殺して!!」

 

「か、『カナデ』!?」

 

「アイツのせいで、『私』がどれたけ苦しい思いをしたか……『みつお』くんにはわかる!?どれだけ辛い日々を送って来たか想像出来る!?あんな……あんな日々を続けるくらいなら、死んだ方がマシだったのにーーー」

 

死んでも、アレから逃れられない地獄を『カナデ』は送って来たのだと、俺はその悲鳴に似た叫びで察せさせられた。俺は、そんな彼女の様子を見ながらそんな人生を考え想像する。

逃げる事も叶わず、死ねば次の地獄が待っているだけの日々。心優しい彼女を、追い詰めるだけ追い詰めて地獄に突き落とす……最悪とも言える行為を、アレがし続けたのは容易に想像出来た。

彼女では、与えられた能力で人を殺す事は簡単でも実行に移すのは不可能だろう。弱い人間を盾に、追い込み追い詰められれば捕まるしか出来なかったと思われる。

例え、追い詰められ過ぎて手を出したのだとしてもあの糞野郎がそれを責めないハズがないから『カナデ』が殺人を犯している可能性は極めて低い。

最後の一線を……それだけは、彼女には越えられなかったんだと『満男』も訴えて来る。俺よりも、『カナデ』に詳しい『満男』が殺ってないと言うのなら……それは、間違いはないのだろう。それ以上に、『翼』がこんなにも取り乱す姿を見せられて俺は……その事の方が心苦しかった。

 

「わかった……飛龍さん。まだ、殺るかどうかの覚悟は決まりませんが彼女も連れて行って貰えるという条件付きならOKです」

 

「うん。彼女の事は、気にしなくても良いよ。ボク達が、必ず護るからね。それに、彼女もアレがちゃんと消えて行く様を見たいだろうし……その気持ちも、わからないでも無いから……」

 

どこか、陰りのある様子でそう言った彼は快く俺の提案を呑み込んでくれた。俺的には、彼女と離れ離れになりたくないという極めて個人的な気持ちで連れて行きたいと言っただけなのだが……まさか、そんな風に取られるとは考えもしなかった為少し狼狽える事になったけど、良しとする。だがしかし、心優しい『カナデ』が『殺して!』と訴える程になるまで、糞野郎は一体どんな地獄を『カナデ』に見せたというのか!?ここまで、取り乱す『カナデ』に『満男』が凄く狼狽えているのだが……!?

何はともあれ、俺達は飛龍さんの誘導で【堕ち神】へと成った元神殺しに行く事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてーーー。

 

 

現場に直接転移した俺達が見たモノは、数多の《神殺し》達が大挙して呪いを撒き散らす【堕ち神】に挑んで行くという場面だった。今までに、見た事もない多くの《神殺し》が堕ちて呪いの塊と化した元神に攻撃を仕掛け続ける戦場で……それでも尚、猛威を振るう【堕ち神】を退け浄化する戦いが行われている。

 

「……………………うぷっ!」

 

「……………………うぅっ!」

 

これが、《神殺し》の戦いかぁ……と感動したのもあったが、その直後に吐き気を催す事となる。何故なら、問題の【堕ち神】を直視した瞬間に色々と胃の内から込み上げて来るモノがあったからだ。つーか、言うまでもない事だが俺がSAN値チェックに失敗した事を悟った。まあ、それは隣に居る『カナデ』も失敗していたみたいなのでお互い様だろう。

とは言え……アレは、ヤヴァイ。ガチで、ヤヴァイ!!

以前、遭遇した時はもう少しまともな姿をしていた気もしたんだが……現在の見た目が、【堕ち神】化した影響なのかクトゥルフ系のスライムみたいになっていた。ほら、居るだろう?グチャグチャな触手スライムみたいなヤツだよ……名前は、何て言ったかなぁ?あ、ジョゴスだ!ジョゴス!!あんな感じの化け物だ。

いや、アレより酷いかも知れない。つか、元が人型だったのに今では面影すらなく……腐って液状化した上に、呪いの霞みが纏わり付いて真っ黒に染まり所々赤黒い肉片モドキがチラホラ見える。

 

「つか、アレと戦えと!?マジで!?」

 

つい、アレと戦わなければならないのかと『カナデ』に視線を向けたら彼女も口を押さえてかなり無理そうな様子で首を振っている。それが、殺れという意味なのかはどうなのかはわからなかったが……流石の俺も、アレを殴るのはちょっと嫌だ。

 

「うわぁ……凄いねぇw?因みに、アレの姿があんななのはこれまでの行いの結果だ。まあ、それだけ悪質な事をやらかし続けていたんだろうからねぇ?」

 

ジョゴス化する様な事をやらかし続けていた元神とか……どんなヤヴァイ事を!?と思ったけど、その被害者である『カナデ』を見て納得。そうして、色々と自分達がされた事を思い出し色々と反芻していると段々と腹が立って来た。まあ、俺の中にいる『満男君』もその現状を俺の反芻で知ってブチギレしていたのもある。

結果、俺も参戦する気になったのでエクスカリバーを取り出したら……飛龍さんが、その武器ではダメージすら与えられないから【組織】から支給された武器じゃないとと言われて絶句。

脳裏を過ったのは、アレを手にして『きゃるーん♪』とかジョゴスの隣で踊っている俺の姿。オリジナルの目の前で、『きゃるーん♪』とかやった日には普通に死ねる。【内】に居る『満男君』も、俺の記憶を覗き見て全力拒否。その武具を持ち出すのは嫌だけど、アレに対する怨み辛みがあったので素手で戦う事にした。

魔力纏えば、何とかなると思っていたけど……慌てたセイビアさんに止められる。首根っこを掴まれて引き摺られ元居た場所へ。

 

「何やってんの!?【堕ち神】を素手で殴ろうとか、呪われるぞ!?つか、その片鱗に触った凍真が立たなくなったの……知らないのか!?」

 

「は?立たなくって、アイツ立って歩いていたぞ?」

 

「あ、足腰じゃなくて……」

 

「ーーーーー」(青)

 

言葉を濁すセイビアさんに、俺はその意味を察した。

つか、アイツ……そんな呪いに掛かっていやがったのか!?

てか、アレを触ると呪われたりするの!?余り見たくはないけど、今一度ジョゴスモドキに視線を向けて……まあ、アレならそうなっても仕方がないと思い直す。そうか、アレ触ったら呪われたりするのか?その上、専用の武具が必要とか……それが、あんな頭悪い武具とか最悪過ぎる。

頭を抱えて、フラッとよろめいたが何とか踏み留まり《ダーティー・ニーズ》を宝物庫から取り出した。

 

「お?殺るのか……?」

 

「というか、まだ疑似人格と和解してなかったの?」

 

セイビアさんが、ワクワクとした顔で問題の《ダーティー・ニーズ》を覗き込んで来たので怨念にも似た気分で睨み上げ様としたら別の方向から知らない女性の声が聞こえた。振り返れば、セイビアさんが件の女性からドン引きしていてその様子を飛龍さんがニタニタと気持ち悪い笑顔で見ている。良くわからないけど、三人の関係性はそれだけで知れたので黙っていた。というか、この女性……今、なんつった!?疑似人格と和解!?

 

「意味が、わからないんですけど!?」

 

「全く、この男共は……あのね?本来、初心者には初心者用の武具を渡すの。だけど、貴方と来たらいきなり《神殺し》用の専用武具を申請して来たから親和性を持たせる為に疑似人格を付けたのよ。そもそも、いきなり新人が《神殺し》の武具を持ったってすぐに戦えれる様になる訳がないんだから段階を持って能力を解放する類いのモノが必要だったの……」

 

なのに、どっかの馬鹿がおかしな調整をした挙げ句、持ち手である新人にトラウマを植え付けて武具を使えない様にしてしまったのだと『ラミス』と名乗った女性は説明した。つか、以前にも『ラミス』と名乗った女性と顔を付き合わせたけど……そんな説明されて無いんですけど!?

 

「てか、アンタ等……新人で、遊んでんじゃないわよ!?変なトラウマ植え付けるし、私の偽物使って訳のわからない嘘を吹き込んでいるみたいだし?どーするのよ!?冗談じゃ済まないわよ!」

 

「いやいや、双夜も公認の事だしさ……大丈夫かなぁって……」

 

「大丈夫じゃないから、使われて無いんじゃない!?というか、双夜が公認!?それ、絶対アンタ達の受け取り方違いとかじゃないの!?ってか、昔にもあったわよね!?」

 

「うっ……え、えっと……」

 

「私は、仕事として受けた依頼はちゃんとする質なの。修理してから、一度も使っては無いんでしょ?だったら、【私】が居る目の前で使ってみて?もし、不都合な事になってたらその場で直して見せるから!!」

 

そう、ハッキリと言われたのでセイビアさんに視線を向けると光の速さで目を逸らされた。おいおい、この人達……『ラミス』さんの言う通り、またおかしな調整を加えているんじゃねぇだろうな!?そう、思ってみたりもしたが制作者が目の前に居るって事で俺は《ダーティー・ニーズ》を抜いてみる事にした。

結果、俺は『きゃるーん♪』という状態にはならず……それどころか、《ダーティー・ニーズ》が疑似人格を廃止して本来の人格で対応。つか、日本人形風の幽霊が出現した!!

 

「ぎゃあああぁぁぁぁ!?!?」

 

「ちょっと!武具の精霊まで、知らなかったの!?」

 

「せ、精霊!?」

 

「アンタ等……そう、わかったわ。この件は、ウォーティーに報告するからね?後で、泣き喚いても知らないから☆!」

 

「サーセン!」

 

セイビアさん、土下座。おい(怒)!!

 

「ごめんなさい!!」

 

セイビアさんに釣られて、飛龍さんも土下座した。

 

「もう、遅いわよ!兎に角、神崎君はその子と対話をして協力して貰いなさいな(怒)。それと、ウチの身内が悪戯したみたいで悪かったわね。他にも、関わっている馬鹿がいるだろうから然るべき処置をすると約束するわ!!」

 

そう言って、ラミスさんは戦列へと戻って行った。

つか、あの人……セイビアさんにベタ惚れで、事ある毎にストーキングしている女性じゃ無かったか!?なのに、あんなにまともとか……この件で、どんだけ偏見で片寄った意見に洗脳されていたのかを思い知る一件となった。

まあ、実際にはその偏見の方が真実で……この時は、戦列にウォーティアさんが居たので己の悪戯を解除して逃れ様としているだけの見苦しい言い訳だったりする。

後でバレて、件のウォーティーさんにこっぴどく叱られたとのこと。全く、【組織】にはロクな奴が居ねぇ。

因みに、セイビアさん達が謝っていたのはただの条件反射なだけで事実無根という話だった。

つか、条件反射で謝るとか……どんだけ、厄介事を引き起こしているんだよ!?と、思わずには要られなかった。

という訳で、突如《ダーティー・ニーズ》に宿る精霊との対話を強制された俺は……目の前で、【堕ち神】戦が行われているっていうのに呑気に意識を遠退けていたのだった!!

 

 

 

 

 

 

ふうぅぅぅぅ……パタリ。

 

 

 

 

 




女なんて、所詮は身勝手なモノなんだよ……って話だよな(笑)。つか、神崎君が、超混乱&超困惑している話ですねw。ハーレム作りに行って、『翼』オリジナルを助け出せたかと思えば……今度は、元凶退治。展開が、速過ぎる上に予定が思いっ切り狂ってアワアワしている感じ?
正に、『濃厚過ぎる1日』でしょうね。ここまで、立て続けにイベントが連続したら感情が処理仕切れないかと思われ。頑張れぇw!

因みに、『カナデ』と『翼』が同一人物で……『満男』くんと『神崎』も同一存在です。でも、複数扱いになっているから二人程人数が多くなっている様に書いているかも知れないので一応告げて置きます。というか、融合失敗とかではないので気にしないで下さい。完全融合するまで、ちょっと時間が掛かっているだけの話なだけです。
なので、『翼』が『カナデ』に侵食を受けている訳ではなく神崎君の意識に『満男君』が混在しているが故に『翼』を『カナデ』と呼び続けている訳です。心情的な話で。
まあ、劣化した魂よりもオリジナルの魂の方が強いからですね。我が強いので、乗っ取ったとか上書きしている様に見えるかも知れませんが気にしないで☆。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

VRゲーム考察
AGIの恐怖。あるあるな話なんだけど、ステータスで一番上がると厄介な代物に成りかねないヤツが『AGI』だ!!何でかと言うと……STRは力?(攻撃力)。VITは体力?(防御力)。
DEXは器用?(命中&回避率)。LUKは運?じゃないですか。
だけど、AGIだけは速さ?(回避&速度)に分類されるんですよね。そう、問題になるのは【速度】だ!!
ぶっちゃけ、TVを見てアバターを操りボタンを連打するだけのゲームでならそんなに気にならない【速度】。
でも、実際にゲーム内のアバターに意識を移してアバターの目で見る世界は……きっと、とても恐ろしいモノとなると思われる。特にチート(ステータスパラメーターを弄る類い)とか使う馬鹿共は普通に岩や木にぶつかって染みになってるんじゃ無いかなぁ?いきなり『AGI999(最大値)』とか、ジェット機の先端に括り付けられてマッハで飛ばれる様なモノだろう?そんな状況で、目の前に障害物が出て来たら反応出来るんだろうか?マッハで、森に突っ込む様な話だぞ?避けられるか!?無理難題過ぎるwつか、始まりの町から外に出られるかも怪しいぞ(笑)。
ゲームにログインして、一歩を踏み出した瞬間多くの人々を跳ね飛ばしながら壁にメリ込んでいそうだ(笑)。立ち上がるのも、よろめくのも何をしても超速度でビッタンビッタンとあっちこっちに叩き付けられている様子が目に浮かぶ。ある意味、安全圏の恐怖ですね(笑)。
ぶっちゃけ、補佐用のスキルとか色々な技術やフィルターが必要になりそうだ。思い付くスキルでなら、集中とか神速とかが上げられるけど……一番必要なのは、『慣れ』じゃねぇかなぁ?と作者は思っている。
つまり、日々の積み重ねを経て『AGI999』は、使える様になるんだと考察している。それをいきなりやったら、マジでジェットコースターの先端か……ジェット機の先端に括り付けられてマッハの可能性が高い。他のステータスは、まだ弄っても問題無さそうだけど……『AGI』だけは、チーターの落とし穴に成っていそうだ(笑)(笑)。通常で、それだったとしたら戦闘では足を引っ張るだけのステータスに成りそう(笑)。以上、VRゲーム考察でした(笑)。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。