絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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双夜、暗躍中。


三四三話

Re:

 

 

 

さて、復讐というか報復の日々はここら辺にして真面目な話をしよう。《デイバインバスター》で、壁抜きポシャンを回避した後お説教された上に強制的に寝転がされて監視の元で寝る事を強要されたのは言うまでもない。

その事に関する報復は、また後でする事にして今は世界の調整に関する話だ。

ぶっちゃけ、寝ている間に超ヤバい結末を迎える結果になっていた。もう、【真実の瞳】がないと調整出来ないレベルの変化である。現在、【真実の瞳】は休眠状態にあるので起動させるには膨大な魔力を無尽蔵に注いで使用するしか無いのだが……その為に【接続】を使うと、次元振が起きるので色々な問題が浮上するのである。下手に俺の能力が、本局やその他に伝わると面倒なので別の事件を起こしてカモフラージュする必要があるんだが……現状、それをやるには状況的に無理そうだった。だからと言って、これを放置すると世界の危機で……管理局が、とってもウザいです。つか、世界の管理局を名乗るのならこっちの事は放置していて欲しい所なんですが!?なのに、世界の安定と調整を目指す我等を犯罪者として捕まえて世界を滅ぼそうとか止めて欲しい。と言うか、それこそが滅びの一歩手前だと理解しようともしない。完全に、無知者な時空管理局だった。所詮は人間。埒外な事は、目に見えぬと見て見様ともせぬ愚か者。全部、こちらに丸投げで己の目の届く範囲を見て判断をする。

故に、こちらは大忙しだ。【管理者】を名乗るのであれば、埒外にも目を向けて欲しいんだけど?まあ、見えたら見えたで選民意識を持って増長するんだろうけど。

やれやれ。

因みに、【太陽の化身】は《ルール・ブレイカー》に呑ませたので既に存在しない。《ルール・ブレイカー》にくべた時点で、権現が欠けて全く異なるモノに成り下がってしまった。

なので、現在の俺が使える魔力の無尽蔵・無尽蓄・無限大システムはユグドラシルと自分を【接続】する方法しかない。ま、無い物ねだりは仕方がないとして……その【接続】をする為には、管理局が邪魔だっていう話だ。もう、いっそうの事……使い捨てになるけど、どっかの無人世界にロストロギアッポイ『塔』を出現させて使い魔(ビースト)で守りつつ暴走してます!を装って調整を強行した方が良いかも知れない。今の所、世界の根元は問題ないけど……【軛】の方が、ちょっとヤバい。【軛】って言うのは、世界を【内側】に纏めているシステムの事だ。

本来は、牛車を引く牛を繋ぐ為の部分を称するのだが……調度、それに該当する機能だったのでそう呼んでいるとのこと。

それが、外れればこの世界は【内側】から弾き出される事になるだろう。それによって、世界がどうなるかと言うと……《旧・神族》に摂取されるか、上手く行けば【組織】の支配圏に入る事になると思われる。だが、それは“上手く行けば”であって確実性がないので……その案は却下。

時間も、それ程残っては居なさそうなので【接続】を視野に入れて暴走ロストロギアの『塔』を支持する。その為には、俺の身代わりを機動六課に置いてアリバイを作りつつ、俺本体は世界調整の為に現地に急行して準備を整えねばなるまい。先ずは、管理局の次元艦の巡航ルートから外れた未発見の無人世界を探し出す。だけど、それを発見する動力は必要ないので使い魔達からの報告書から抜擢する。

そこに、オーバーテクノロジーで作られた塔をブッ刺し根を張らせ周囲の魔力を吸収しながら力を蓄積するタイプのシステムをブッ込む。そんな計画を、使い魔経由でガンガン送って行くと直ぐに該当する無人世界が紹介された。

そこの確保と、人材派遣の申請をしてにゃんこモードで通気孔に入って行く。その通気孔の先で、アリバイ用の身代わり使い魔に発信器諸とも現装備を渡して《チェンジ・リング》にて跳んだ。今回は、真面目な任務なので使い魔が『次元振』の事をバラす事はない。おふざけで、ヒロインに通報する事もないから安心だ。寧ろ、積極的に隠蔽する方向で全員が結託している。下手をすれば、任務失敗なんて事になりかねないので事が終わるまでは沈黙している事だろう。

言った所で、証拠を残すつもりもないので意味のないブラックボックスを大量に突っ込んだ『作・【鮮血の】』の使えないガラクタを『塔』状にして突き刺した。適当に、内部の空間をねじ曲げてあたかも唐突に亜空間から出現しました的な演出も忘れない。

様は、『次元振』が起こった原因になるモノと装えばなんだって構わないのでガラクタッポイゴミの処分も含めてブッ込んでいく。とても、危険なガラクタも混じっているけど……基本的に、【鮮血の】が作ったガラクタにはブービートラップが仕掛けられているので何となく内容を理解してそのまま流用した場合のみ発動する厄介な悪戯が仕込まれている。その悪戯の中には、人が大量に死ぬモノも含まれていて正規の手順を踏まなかった瞬間起爆するモノもあるらしい。その場合は、間違いなく封印指定の技術になるので誰も使えない調べられないが実行されるだろう。

 

「適当なゴミを突っ込んでおけ……」

 

「ゴミと言っても、ちゃんと起動実験まではされているでしょ?」

 

「その上で、ゴミと称されるモノがいくつか……」

 

起動はしたけど、【鮮血の】が望むレベルでは無かったか起動しなかったモノが大半だ。だけど、【鮮血の】は『失敗は、成功の母』と言って取っておく。だが、取っておくのは良いけど置場所が無くて廊下に放置……なんて事が良くある訳だ。そして、そのまま忘れ去って完全なゴミと化す。それを俺が、『邪魔』と言って回収し訳のわからない方法で捨てて来るというサイクルが出来上がっている。

それが、今回の暴走ロストロギアになるんだから笑える話だ。中身は、間違いなくロストロギア。しかし、内容は失敗作を集めただけのゴミ。中には、ヤバいモノも紛れ込んでいるけど……一見、なんの価値もない回路にしか見えない。

でも、それは間違いではなく……とあるパーツと合わせて使うモノ。だけど、そのパーツは別の平行世界に放置されているので実質使えないパーツでしかないって訳だった。

こういう廃棄方法は、平行世界を行き来出来る者にしか出来ない方法であるので使われたくない道具はパーツ毎に其々の平行世界に放棄していく事にしている。一番、簡単かつ平和な廃棄法であった。

 

「良し、こんなモンだろう……」

 

言って、『塔』の中に作った小さなスペースに入り込んでから【接続】を使い《次元振》が起きるのも構わず魔力を【真実の瞳】に注ぎ込む。【真実の瞳】が起動して、世界の調整の為に仮想インターフェースを展開し因果律経由で世界のバランスパラメーターを視た。ぶっちゃけ、もう少し行動が遅かったら連鎖崩壊していた所だ。久しぶりに、玉がヒュンとする出来事だったとも。

 

「危ねっ!!」

 

つか、魔力を封じられてノーロープバンジーをさせられた時の事を思い出した。あの時と似た、焦燥感というモノを体験させられた想いだ。あの時は、プッチンするかも知れないという恐怖も混ざっていたとは言え今回の玉ヒュンはそれに匹敵するレベルのモノ。久しぶりに、恐怖を味わったと言うべきだろう。

とりあえず、一巡サクッと調整を済ませて一度手を止める。仮想インターフェースを解除して、ウィンドを閉じた後で『塔』の外をフレールくんの目を通して確認した。

その上で、『塔』を亜空間の中に仕舞い表面上の平和を演出する。しばらくして、先駆けと思しき魔導師がヒョッコリと現れた。流石、世界の異常に鋭い時空管理局。

もう、嗅ぎ付けてきやがりましたか!?

しかし、無人世界を一周した後戻って行った。きっと、明確な異常を確認出来なかったから別の世界へ調査に赴く様だ。だが、何れはバレる恐れのある『塔』。世界の調整には、どれだけ素早くやったとしても小一時間は掛かるので見付かるのは時間の問題だ。

 

「ウム。下手な妨害は、自然暴走に見えぬか?」

 

下手な時間稼ぎは、逆に何者かの人為的な介入を思想させられるから手も足も出せない。あくまで、この『塔』の出現は蓄積された魔力の暴走だ。そこに、人為的な介入が連想される様な事は出来ないだろう。流石に、『塔』に近付かれる事は避けたいが……それも、ダメなんだろうなぁ?まあ、防衛機能として【闇の書の闇】モドキを考えてはいるけど……どこにも、ベルカ的な呪術は組み込んでない。うん、あれは【闇の書の闇】モドキであって【闇の書の闇】ではないって事で!ちょっと、形状を変化させて展開される術式を六芒星にすればベルカは連想されないだろう。

なんたって、この世界の魔法陣は三角形と円状のモノしかないからな。ここで、六芒星を出せば新たな魔法として認識される。

それで、俺と連想される事はないだろうし新たな術式を使用した文明があった的な発見になると思われた。ここで、()()()発見にしたらダメだろう?と言いたくなるが……俺が、この世界から去れば別の解釈の元に異なる話になる可能性もある。よって、逆にここでおかしな事をすると原作やヒロイン達に余計な影響をもたらすのでこのまま突き進む事にした。詰まる所、一定期間で現れたり消えたりする『塔』という名のロストロギアを役る。

それで、現れた『塔』に近付く突入部隊は闇モドキで蹴散らして時間を稼ぎ消えるを繰り返す予定だ。適当に、ヒルコみたいなクリーチャーを用意して闇モドキの周囲に飛ばしてやれば適度に時間稼ぎが可能性だろう。管理局の武装隊は、基本的にヒロイン達みたく強敵って訳じゃない。そりゃ、数的な意味合いでは面倒で鬱陶しいだろうけど使い魔の敵ではない。なので、闇モドキで十分お釣りが得られるくらいと想定している。下手をしても、計算上は許容範囲で落ち着くと思われるので俺はこの作戦を立案した。

そして、二度目の調整を始めて30分程経った頃……時空管理局の武装隊が現れて、この『塔』の存在を確認する。最初は、この『塔』の存在に驚いている様子だったけれど気を取り直したのか恐る恐る近付いて来た。そして、ある程度調べた後で入り口らしきモノを確認した彼等はその扉に手を伸ばす。その指が、扉に触れるか触れないかの所で警報をガンガン鳴らし相手の警戒心を上げる。それと同時に、別の世界で使っていた言葉で闇モドキ出撃の警告を告げる。それでも、離れようとしない隊員を確認してから闇モドキを解き放った。結果、『塔』の外で戦闘が始まる。それを確認した後、俺は世界の調整に意識を向けて以降気にしない。

極限の集中力で、ドンドンパラメーターを安定させて30分キッチリで調整を終える。その瞬間、『塔』への魔力供給を開始して『塔』を亜空間へと回収すると同時に闇モドキも活動停止を命令した。その気になれば、魔力が尽きるまで暴れさせる事も出来たんだけど……闇モドキは、ヒルコクリーチャーを盾にして消滅。

ヒルコクリーチャーに噛み付かれて、何も出来なくなった隊員達は消えてしまった闇モドキと『塔』の危険性を確認し、クリーチャーから解放された後に次元艦へと戻って行った。クリーチャーも、闇モドキ消失後60秒程で自動消滅するから放っとけば勝手に消えるモノ。流石にアレを、永遠に活動可能とするのはちょっと良心が痛んだ。見た目的にも、その役割的にも長期間活動させると色々面倒だ。なんたって、分裂して無限増殖するからな。

よって、本体としている闇モドキが消失して60秒後に消える様に設定した。じゃないと、視界全てを埋め尽くすヒルコの群れとか嫌過ぎる。見た目、赤ん坊風で……赤黒い血管が、皮膚の下を這う様に浮かび常にピクピクと脈動し、欠損した手足から筋肉の繊維が千切れ網状に伸びているとか見たくもない。セイビアに連れられて行った、とある場所で無限増殖しているヒルコクリーチャーを思い出していたら気分が悪くなって来る。あの、スライムッポイのに脂肪でブヨブヨしている赤黒い……おぇ(吐)。

 

「潔癖症……うぷっ…………エゴが、酷い…………」

 

忘れよう。今すぐ、忘れよう。というか、アレ絶対セイビアの嫌がらせ的行為だよな!?仕返しに、奥さんへインキュバス送り付けて寝取らせてやろうか!?まあ、既に報復はしているけど……もう少し、報復をしても問題ないよね?

 

『いや、問題しかないからな!?』

 

唐突にウィンドが開いて、セイビアが慌てた様子で文句を言ってくるんだけど……さて、どうしたものか?無言で、文句を言ってくるセイビアを眺めつつコイツもピンク頭の最強女剣士と同類だよね?と思っていると、『違うからな!?』とか『俺は、あんな痴女じゃない』と言って……あ、画面が真紅に。まさか、『痴女』が最強の女剣士の琴線に触れて《次元斬》で斬られたのか!?

 

「なんか、報復済んじゃった……」

 

まだ、何もしていないのにアッサリ惨殺現場でスッキリしてしまったので良しとする。とりあえず、ウィンド端の『×』にタッチしてウィンドを閉じたらまた開いた。

 

『ほ、報復、するん、じゃ、ないぞ!?』

 

「しねぇよ。つか、気が済んだ」

 

『そ、そうか……グフッ……』

 

言って、ウィンドはプツンと閉じた。

 

「フム……」

 

惨殺現場を放置する事になるけど、そんな場面に出くわしたら奥さんビックリするんじゃね?血溜まりがあるだけでも、割りとドッキリするハズだから日常的にバカな奴が沈んでたりするけど……結構、大騒ぎになるんだよなぁ。

それが、愛する人なら尚更大騒ぎしそうなんだが……あ、イチャイチャの為の前振りか!?

 

「セイビアなら、奥さんとイチャイチャしたいが為にそれくらいはやりそうだ。チッ、ウザいヤツ……」

 

全く、これだから愛妻家はちょっとした事をイチャイチャのネタにするんだから。いずれ、俺も静と……んー、ゴミ扱いされそうだ。静は、基本的に照れ屋さんだからな。

血溜まりに沈んでいたら、普通に生ゴミとして家から追い出されそうだ。

 

「うん。無理だな……この案は、ボツで……」

 

基本的に、静が弱っている俺を看病してくれる事はない。逆ならありそうだけど、生活能力がほぼ皆無な静では放置か捨てられるだろう。なんたって、二百年の引き籠りで城の地下と生活空間外の部屋をゴミ溜めにしていた奴だ。

俺があの城を、一体何年掛けて掃除したと思ってやがる!?35歳で出会って、45歳で殺されるまで10年程しか一緒に居なかったが……8年掛かったからな!?

まあ、本格的にそれ一本でやった訳じゃなく日々チョコチョコと片付けた訳だけど……とても、大変だった。俺に生活能力が無かったら、もっと酷い事になっていたと思うぞ?

 

「ルィ爺に感謝!!」

 

マジで、師匠に大感謝。あの人が、ちゃんと俺を育ててくれたからあのゴミ溜めを綺麗に出来たんだと心底思う。

ちゃんと育ててくれてなかったら、もっとヤバい事になっていただろう。だって、普通に魔法薬で出たゴミも混ざってて……ゴミを除けたら、クリーチャーが飛び掛かって来るなんてザラだったからな?

いやー、ビビった!そして、強かった!周辺の魔法薬ゴミを取り込んで、良くわからない進化をしててだなぁ……魔術が効かなかったり、物理が効かなかったりしたから大変だった。もう、二度とあんなクリーチャーを相手にはしたくないと何度思った事か。

で、忘れた頃にまた出現するからメッチャキレてた記憶がある。静を何度、正座させたか数えてはいなかったが……両手足では、足りないレベルで叱った気がした。

思い出したら、切りがない。

だって、『G』が異常進化して超増殖力で魔術効かないとかザラなんだぞ!?俺や学生連中じゃ、ぼぼ壊滅状態で慌てて【紅の】や【魔導師】を呼び出し事に当たったのに解決出来ず、【御先祖様】まで呼んで総当たりをしたんだから。【御先祖様】曰く……『【アレ】が、世の中に出ずに済んで良かった……』とのこと。割りと、本気で世界の危機だったらしい。その後、マジで叱られる静の姿があったが……反省はしてくれなかった。静は、その数ヶ月後に同じ失敗をして下水道から謎のクリーチャーを出現させる。

あの時も、魔術協会と連携して殲滅に当たったけど……結局、警官隊に自衛隊まで導入する事に。滅茶、苦労したんだ。旧兵器まで、持ち出してさ。それに、地下迷宮ヤバし……つか、誰だ!?下水道を地下迷宮にしやがったのは!?おかげで、本体探すのと本体を見付けた後が滅茶苦茶ヤバかったんですが!?

魔術協会の捜索隊は、襲撃されて全滅し……警官隊と自衛隊が、旧兵器を持ち出したけど被害が尋常じゃない。

その上、本体見付けたと思ったら見渡す限りの範囲に卵が……ビッシリ!!あれには、上も下もみんな青くなったね。それらが、一斉に孵化しちゃった時はみんなが泣いたよ……事後処理も大変だった。

後日、静には日本政府から危険な実験で出た魔法薬品等は業者を通して廃棄する様にと通達されて凹んでいた。

業者に支払う金額が、色々と彼女の財産を締め付けてくれたらしく……奴は、再三の注意を諸ともせずに廃棄魔法薬品を下水道へ。ああ、うん……止めよう。段々、腹も立って来たから俺は思い出から脱出した。

 

「ふぅ……あの後の、地球史上初スライム戦もヤバかった」

 

まあ、色々ツッコミ所が満載だけど気にしないでくれたまえ。

掘り下げれば、掘り下げる程ウチの御馬鹿さんが色々やらかしてくれるのでそういう冒険譚には事欠かない。だがしかし、第三者からすると非常に迷惑でとっても困る事柄なので真似はして欲しくはない。悪戯程度で、終わるのであれば幾らでもやるんだがな?

 

だが、ヤツの悪癖は悪戯レベルで終わらないので困る。

 

「アカン。脱出、出来てない。忘れなければ……」

 

と言うか、なんでこんな思い出話になったんだったっけ?

確か、ヒルコの話をしていた様な気がするんだが……フム。

ああ、セイビアの責任だったな。ヤツが、嫁とイチャイチャするからおかしな思考に……全く、手間かけさせんな!何とか、過去の思い出から抜け出した俺はそのまま外の様子に目を向けた。

まあ、実際には壁しかないけれど……要は、フレールくんの目を通して外の状況を確認するだけだ。

外では、管理局の精鋭?達が亜空間に消えて行った『塔』を呆然とした様子で見送って上司に報告した後順次戻って行く。流石に、異常が無くなったら調査を継続出来なくなるから要監視状態で引き上げる事しか出来ないだろう。

つか、二度目の失敗ですね?マトモな上司であれば、次で挽回しろ的な事を言われて休眠し次に備えるんだろうけど……マトモでない上司だと、ペナルティを与えられて休めないんだろうなぁ?もしくは、ヒステリックな感じで散々に嫌味とか言われて士気が下げられるとかそんな感じか?

いずれにしろ、武装隊の様子を見てその辺りの判断をしないと機動六課が乗り込んで来る可能性があるのでオチオチしてられない。

出来れば、一週間は保たせたいんだけど……さて、どこまで持ち堪えられるかわからない。

真面目に、俺の身代わりをしている使い魔に問い合わせればユーリが離反して部が悪い状況にあるとのこと。

 

ちょっと、ユウゥゥゥリイィィィ!?

 

なんで、こういう時だけ身代わりくんを偽物と見破って暴走するかなぁ!?つか、俺が世界の調整をしないとヤバイって事はわかっているだろうに……身代わりが、身代わりだとわかって原作ヒロインズにチクってから調整の事を思い出すの止めてくれませんかねぇ!?前々から、ちゃんと説明しているのに……全く。

そして、諦めるのが早過ぎるぞ使い魔!!そこは、全力で誤魔化す所だろ!?なんで、早々に誤魔化しを諦めてフェードアウトしやがりますかねぇ!?まあ、余計な事を言って居場所がバレない様にしたんだろうけど……ドイツもコイツも余計な事ばかりしやがって!?仕事を増やすんじゃねぇよ!?

使い魔を通して、機動六課の様子を伺えば八神はやてが本局のリンディさんに何か事件が起きていないかを確認している所だった。

リンディさんは、今の所異常は起きてないと言っているのでまだ本局へは報告が上がっていないと見える。

それでも、油断は出来ない。

言葉では、そう言っていても文字では別の報告が行われているかも知れないからな。まあ、自分達も良く使う手なので警戒は必要だ。だからと言って、その言葉を丸呑みにする訳にも行かないので本局の使い魔達を通信室へ移動させて《次元振》関連の報告がないか調べさせる。

だが、《次元振》はそこそこあるにしても『塔』に関する報告書が見当たらない。それらの情報から、今ここに調査に来ている奴等の上司は点数稼ぎしか出来ない無能のモヨウ。もしくは、野心家……己の利点のみを追求するクズかも知れない。だけど、そう決め付けるのは時期早々かも知れないので一度フレールくんを彼等の次元艦へお邪魔させる必要がある。

次の『塔』出現の際に、あちら側へフレールくんを送り込む必要があるモヨウ。流石に、今いる奴がどんな上司なのかを確認するまでは状況的に動き難い。無能であるならば、無能であってくれた方が有り難いが……そうで無かった場合、余計な人達が集まって来る可能性は間違いなくあるだろう。せめて、後三日はこのまま本局には報告しないでいただけると助かるんだけれど。

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

翌日、俺の願いは叶わなかった。

翌朝になって、本局に《次元振》と『塔』についての報告書が上げられる。それによって、慌ただしくリンディさんから八神はやてに情報が伝わった。その結果、機動六課がここに来るとのこと。

 

「無能じゃ無かったモヨウ……」

 

『時期早々でしたね』

 

「まあ、計画は続行だ。止める訳にも行かない」

 

『では、こちらの事がバレているのですから妨害致しますか?』

 

確かに、どっかのお馬鹿娘によって俺の偽物はフェードアウトしている。その為、機動六課にはアリバイ工作人が居ない状態なので『バレている』と断言は出来るが……それを認めてしまうと、負けた気がするので言い張ってみようかと考えていた。

ここに、俺は居ない!別の場所で、別の事をしていた!とリンディさんを通して八神はやてにアプローチして貰うとか?って事は、地球のエイミィさん経由で俺が地球に居ると誤報を流して貰えないかと……やってみる価値はある。

だって、まだ機動六課はここに来て居ないのだから他で俺が見付かったならそっちへ行って貰えるかも知れないじゃないか!例え、淡い希望だったとしても多少の情報操作は可能だろう。

 

「アルカ、今から地球に行ってエイミィさんとコンタクト出来ないか?完全に、俺の思考をトレースした使い魔で……」

 

『成る程、ここには居なかった作戦ですね?わかりました、手配します。ですが、ユーリ様の事は如何いたしましょう?』

 

「放置は、出来ないな……一度、暴露している以上信用は出来ないから……入れ替わりとか、出来ないか?」

 

『それだと、先ず《スキャン》をしなければならないですね……』

 

「あれか……」

 

《スキャン》とは、帯状の魔法陣が三輪現れて複雑に絡みながら上下左右に行き来し相手の情報を読み取るという魔法だ。だが、この帯状の魔法陣が曲者で高出力の魔力で構築されている為に目に見えるレベルで出現するので誤魔化しが効かないのである。

それが、三輪。複雑に絡みながら、上下左右に行き来するが故にユーリが一人で居て尚且つ数秒動かないという条件の元でないと使えない。それさえ通れば、ユーリと瓜二つの使い魔がユーリを演じてくれるのだが……中々、難しそうだ。

 

「もう少し、早くに《スキャン》して置くべきだったな?」

 

『こんな事もあろうかと……ですね?』

 

「ああ……《チェンジ・リング》で拉致って、《スキャン》。即、入れ替えとか出来る?」

 

『難しい、ですね……ユーリ様が、一人でいらっしゃるなら可能かと思いますが……一人でとなると……』

 

「トイレとか?」

 

『あ、そのオチわかります。羞恥心が、天元突破したユーリ様に計画を破壊されてバラされるますね?』

 

「フム。儚き夢であったか……」

 

『いずれにしろ、早急な対応が求められますね』

 

「じゃ、先ずは地球からーーー」

 

こうして、俺の俺達による俺の為の偽装工作が開始されたのだった。

 

 

 

 

 




とりあえず、調整の邪魔をしてくる時空管理局vs双夜の構図。世界の調整をする為には、休眠している【真実の瞳】を無理矢理に叩き起こして一週間で揺らぎを安定させるって任務を全力妨害。世界の調整をしなければ、世界そのものが滅びる可能性があるのに邪魔する時空管理局!って感じの流れにしてみました。理由を知らない時空管理局側が、《次元振》を起こす双夜と対立するのは仕方がない事ではあるが……その理由を知れば、協力してくれるなんて甘い話ではないので、この対立は本当に仕方がない対立です。《次元振》=世界の危機って認識ですもんね?
まさか、放置した方が危険とか思わないですからね。
そして、その原因を作ったのは双夜と来れば犯罪者扱いで対立もやむ無し。だからと言って、大人しくしている双夜ではないのであの手この手で撹乱してくるって流れに(笑)。
さて、どっちが勝つかな?

注意、双夜のヒルコに対しての感想について。
話の文脈から、あの感想をあるぇ?と思った方々へ。
ヒルコってのは、ぶっちゃけると身体障害者の事だと思われる。まさか、神話の時代から存在したのか?と思ったりもしたんだけど……多分、居たんだろう。でなければ、あんな風に神話で紹介される訳もないから存在しただと思われる。だが、それに対する対応の仕方がエゲツない。川に流すって……あれが、本当に親のする事か!?と思わずには居られないが……当時の状況からしたら、ちゃんとした設備もなければ介護ヘルパーなんて職業も無いので苦肉の行動なのだろう。で、双夜もそっち側なので『吐きそうになっている』事がかなりおかしいと言わざるを得ないが……その後に、【潔癖症】と【エゴ】と続いているので全く別のモノが見えていると言って良い。
まあ、簡潔に言うと……【真実の瞳】で、『ヒルコ』の時代背景を見た故の反応だからあれでOK。
あ、回想だからね?まだ、【真実の瞳】は使えないよ?
障害を持たない昔の人の潔癖具合と悪辣なエゴっぷりに吐いてるだけだから。見た目云々ではなく、それに対する人々の行動に吐き気を及ぼしている……って事だ。
実際、『弱者は弱者らしく弱者のままで居ろ……』とかほざいている行政みたいなモノだ。身体障害者が、働きに出るからと支援を切り上げる奴等の傲慢ぷりがイラッとするね。まるで、『生かしてやっているんだから甘んじてろ』って言ってるみたいで……腹立ったわ(怒)。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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