絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三三五話 凍真

凍真:

 

 

モンスター倒したら、宝箱が出た。喜び勇んで飛び付いたら、ミミックでそいつを倒したと思ったらまた宝箱が出る。今度こそと飛び付けば、またミミックで……倒すとまた宝箱が出た。

そうなってくると、疑心暗鬼に囚われて放置したくなるのだけど……後ろ髪が引かれた俺は、とりあえず開けて見る事にした。結果、ひたすらミミックと戦闘するハメに(泣)。

だけど、もしかしたら次こそは!と深みにハマった俺は、その日一日中ミミックとの戦闘に明け暮れる事になった。

後で、妖精様にミミックの事を聞いたら呆れた様子で『どこまで、運が無いの?いえ、むしろ運が良い?』と訊かれるが何も答えられませんでした。

そして、今日も宝箱です。因みに、例のダンジョンではありません。迦楼羅が奉納されてるダンジョンでもなくて、別のダンジョンでモンスターを倒した後に出現した宝箱。

これ、ミミックじゃないよね?だが、疑心暗鬼に陥っている俺にはこの宝箱がミミックではないと断言出来るだけの根拠はない。開けるべきか、開けずに放置するか……結局、欲望に負けた俺は宝箱を開けるという選択を取る。

結果……ミミックだった。畜生!!

だがしかし、己の運を省みればミミックを引き当てる確率は高い方だったかも知れない。何はともあれ、又もや一日中ミミックと格闘した俺は凹んだ気分で拠点へと戻って来た。

 

「え?また、ミミックと格闘してたの?」

 

「モンスターを倒したら、宝箱が出るんだ……開けるよな!?」

 

「…………ああ。そういう事か……あのね、モンスターを倒したら確かに宝箱が出るわよ?でも、大半がミミックで倒せばそれなりに良いモノが出るハズなんだけど……」

 

「その後の宝箱も、ミミックなんだ!!」

 

「ああ、うん。やっぱり、そういう勘違いをしてたのね。ストレージ確認した?基本的に、ドロップ品はモンスターを倒した時点で自動的にストレージへ収納されるんだけど……」

 

「……………………」

 

言われてみれば、希に入れたハズの無いアイテムがストレージからチラホラと出て来る事があったけど。だが、まさかそれがモンスターのドロップ品だったなんて考えもしなかったよ!?というか、なんでそれをちゃんと教えて置いてくれないかなぁ!?という訳で、アイテムストレージの中身を良く見てみる事に。

しかし、妖精様までも覗き込んだ確認作業はある意味なんの価値も無かったと言っておこう。俺のLUKが低過ぎて、幾らミミックを倒したとしても得られるレアアイテムは今一の使い難いモノばかり。宝石一つ無い……と、妖精様が嘆いて興味を失ったのか自分のやるべき事へと戻って行った。女の人って、自分の興味を引くモノが無いと急にドライになりますよねー?妖精様も、そんな女性達と変わらぬらしく興味を失った瞬間からドライ対応になった。

もしこれで、欲しいモノがあったら物凄く媚びて来たんだろうなぁ……という結末まで見えたよ(泣)。

そして、翌日も俺はミミックの現れるダンジョンへと来ていた。あの鬼畜ダンジョンをクリアするまで、このダンジョンに来る意味はないんだけど……気分転換を兼ねて、俺はこのダンジョンの探索をしている。まあ、大体は中腹辺りまで潜っては戻るだけの散歩的探索だ。だからと言って、モンスターや罠が弱い訳ではない。そこそこ、強い方に入るレベルのモンスター達がここには出現する。

ステータスが、カンストした俺の敵ではないけどな!

そんなこんなで、中腹辺りまで潜った頃……ヤツが、()()が現れたんだ!つか、なんで彼の有名なゲームのモンスターが現れるっていうんだ!?つか、誰だよ!?こんなヤツを、ここに移植した馬鹿野郎は!?

 

ーーーはぐれ〇タルスライムが現れた。

 

てか、定石通りなら大量のEXPを落とす類いのモンスターだけれど……あのダンジョンをクリアしていない俺には不必要なモンスターだ。なんで、俺の運はこう……都合の悪い方向にフルスロットなんだろう?仕方がないので、俺ははぐれメ〇タルスライムから逃げ出した。

しかし、回り込まれてしまった!?何故だ!?

クソォ!《瞬動術》を駆使して、逃げ続けるがヤツは凄まじいスピードで回り込んで来る。まさかとは思うが、俺がレベル1だから容易いとか思われて要るのだろうか!?

いや、ステータス的には普通に勝てるレベルなんだけど……やっぱり、運か!?

ひたすら、逃げ回っていたけれど終わりは直ぐにやって来た。ダンジョンで、足場が悪く逃げ回り続けるのは無理があった故に足を滑らせて転んだ拍子に腰に装備していた木刀が奴にめり込む。それが、会心の一撃になったらしく俺のレベルは20近くまで上昇する。マジか……これが、またレベル1まで落ちるのかと思うと憂鬱でしかない。

つか、レベル20!!まあ、『はぐれ』だからメタ〇スライム以上にEXPが多いのはわかっていたけど。これは、無イワ。超無イワー。スキルレベルのリセットに続くショッキングネタになった。しかも、偶然が会心の一撃とかどんだけ俺の運はこちらの都合を無視してくれるのだろう!?

もう、俺の心は瀕死ですよ!?

 

「( ゚д゚)はっ!?まさか、ステータス!!」

 

フと、思い付いた事があって慌ててステータスを開いてみたけれど……一度ポッキリの幸運では、《幸運》スキルは付かないモヨウ。残念。だからと言って、ここで『不幸だぁ!』と言っちゃうとフラグになるので『俺、超幸運!!』と叫んでおく。

これで、《不幸》スキルは付かないだろうから問題なし。妖精様の言葉を信じるなら、スキルや称号は何かを成し遂げるか言霊を発し続けるかの二種類なんだそうだ。

だから、『俺、超幸運!!』と叫び続ければスキル《幸運》か称号を得られるかも……という事らしい。なので、何としてもスキル《幸運》が欲しい俺としては『俺、超幸運!!』を叫び続けるしかない。だが、今回は何も会得出来なかった。

 

「ポジティブ……そう、ポジティブに考えるんだ……」

 

スキルは、残念だったが……レベル20。そう、レベル20になったんだ。一時的に、ダンジョン攻略を中止してステータスの向上を時間を掛けて行っても良いハズだ。

拠点と、森の奥地を目指して探索を再開するのも良いだろう。現在の状況から、更にパワーアップしてからの攻略なら彼の鬼畜なダンジョンも迦楼羅が安置されているダンジョンも攻略は簡易になると思われる。サッと、PCを起動して、レベル20の最大ステータス値を確認した。

レベル20の最大値は……二十万。

直ぐに検索で出て来た故に、最大値まで上げた奴(等?)がいたのだろう。もしかすると、多くの脳筋な馬鹿野郎が居たのかも知れない。いや、多分ほぼ全員がレベルに見合ったステータスにしつつ戦い続けて来たのかも知れない。

何となく、【組織】に所属する《神殺し》達は皆ワーカーホリックっぽい。趣味で、予算を食い潰す人材も居ると聞いたし?お休みの制度なんて、ほぼ強制で休養を取らせている様にも見受けられた。彼処では、そうでもしないと無制限に働き続ける奴等が居るんだろう。そうでなくては、ああいう制度がある組織は極めて珍しい。ならば、〇(数字)レベルイコールカンストステータスが【組織】の常識なのだとすれば俺もそれに則ってステータスをカンストさせるべきだろう。

 

「……とすると、ここは戻って時間を掛けステータスをカンストさせるのが正解なんだろう……しかし、ボォとしている間にもっと厄介な奴が現れやがった(苦笑)」

 

見れば、見上げる程の巨大な巨体を持つキングなメタルスライムが現れていた。つか、キングメタルスライムなんて出現するのか……このダンジョンは!?しかも、三体も現れやがりましたよ!?ちょっと、数が多く感じたので逃げ出すと『はぐれ』さんの時と同じ様に回り込まれてしまう。

 

「ちょ!?」

 

▶凍真は、逃げ出した!

 

だが、回り込まれてしまった!

 

▶凍真は、今一度逃げ出した!!

 

だが、新たに二体のキングメタルスライムが現れる。

 

▶凍真は、《瞬動術》で逃げ出した!!!

 

だが、五体のキングメタルスライムの連携に封殺されてしまう。

 

ーーー凍真は、逃げられない!!!!

 

「何故だ!?」

 

キングメタルスライム()の攻撃!!

 

「ちょぉっとぉ!?」

 

▶凍真は、《神速》を発動し逃げ出した。

 

キングメタルスライムは、《神威》を持って凍真を囲んだ!!

 

キングメタルスライム()からは、逃げられない!!!!

 

「それ、魔王だから!!なんで、このダンジョンのメタルスライムはこんなに好戦的なんだ!?」

 

カチッ。戦闘に夢中になっていた俺は、何かのスイッチを踏んでしまう。すると、凄まじいアラーム音がダンジョン内に鳴り響き新たにたくさんのメタル系スライムが現れる。

 

「うぉい!?止めろ!マジ、止めろおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

そして、キングメタルスライム()はギラリと目を赤く輝かせると俺を押し潰さんと迫り狂う。あのトラップは、どうやらモンスタートラップだったみたいだが……何故、メタル系スライムが大量に涌いて来るんだ!?つか、このダンジョンにはメタル系のスライムしか居ないのか!?

 

「うおおおぉぉぉぉぉ!!!?!?!???」

 

最早、スタンピードみたいな状況に俺はなす術なく、辟易としながらメタル系スライムを攻撃する。もう、逃げるなんて選択も出来ず逃げる場所すら無いので敵を倒さざるを得なくなってしまった。メタル系スライムを退治する度、レベルがガンガン上がって行くが……これ、なんの冗談ですか!?こんな事されたら、再度レベルを上げる作業をする際の苦労度がストレスになるだろう!?糞があぁぁぁ!!!!

結局この日、俺のレベルは200まで上がる事になった。

 

「…………詰んだ?」

 

こうして、彼の鬼畜ダンジョンでレベル1に戻る事になる訳だが……振れ幅が大き過ぎて、俺はまたスキルリセットレベルの傷を心に負うのだった。辛いです。まあ、それは……半年以上、先の話だけど。だが、レベルが上がったのに1まで落ちるのは流石にトラウマレベルの衝撃でしかなかった。

 

もう嫌だ、この世界!!

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

「それで、今日はもう外に出ないのね?」

 

「今日はもう、何もしたく無いです……」

 

「そう。なら、ゆっくりお休みなさいな……」

 

そう言って、妖精様は悲しそうに俺を見ていたが……俺は、それを気にしている余裕はなく不貞腐れする様に寝床へと潜り込んだ。

寝よう……今日は、寝てしまおう。目が覚めたら、否応なしにステータスをカンストさせる修行を始めなければならないんだ。

カンストに届かなくても、無心でひたすらに己を苛め抜かねばならないんだから1日くらいサボった所で問題なんてない。

つか、今日潜ったダンジョン……きっと、【鮮血の】さんや双夜さんは関わって無いだろうけど似た様な性格の人が作ったに違いない。でなければ、レベル二百なんてステータスを考えるとそこまでアップするハズがないんだ。

だって、この世界はステータスに見合ったレベルまでしかアップしないハズだろう?なら、一時的にそのステータスへ昇り詰めたと思われるが……一体、どんなトラップだったのか全くわからない。多分、第三者がこれを聞くとインチキなレベルアップだとか言い出しそうだけど……全く、インチキですらないから!

だって、このトラップを設置した人は【鮮血の】さんや双夜さんに続く鬼畜な人なんだよ!?何故なら、ステータスを確認する暇を与えず、強制的にレベルアップなんて鬼畜の所業としな言い様がないじゃないか!?その意図を考えると、『永遠に修行してステータスをひたすらに鍛え続けるが良い』って事なんだ!?

つまり、高レベルアップトラップが設置された強制修行フラグ建設トラップダンジョンだという事だ!!それに、まんまと嵌まった俺は全てのダンジョン攻略を一時ストップしてひたすらステータス値上昇の修行をしなければならない。

 

「最悪だ。ダンジョン製作者の意図が、鬼畜過ぎるんですが……」

 

なんで、《神殺し》という輩はこんなにも後輩をイジメるのが好きなんでしょうね?つか、あのモンスタートラップ以降トラップもモンスターも出現する様子なく奥に進もうとしても行き止まりばかりで最終的に転移トラップで入り口に戻されてしまった。

そして、ダンジョンから出た所で腕輪型PCにメールが届き、何もしてないのにメールが開かれた俺は驚きつつもそれを読む事になる。だからこそ、俺はダンジョン製作者の意図を知る事になった訳なんだが……ここまで、お膳立てされると製作者の性格の悪さを感じずには要られない。

きっと、一時的だろうけど……バフ等で、ステータスを高レベルと相応のステータスにされていたんだろう。

多分、あのモンスター湧きトラップを踏んだ時だ!!あの時に、何らかのバフが掛けられたのだろう。そこへ、高経験値を得られるモンスターを大量に投入して、ほぼ無理矢理モンスターを倒さざるを得ない状況を作り……レベルをひたすらアップさせて高レベルへ強制的に上げさせる。

その後、ダンジョンの外へ放り出しメールを送って己の意図を教え、強制的に修行をせざるを得ない状態へ追い込んだ訳だ。ここまでが、製作者のトラップな訳だが……もう、その底意地の悪さが目に見えるレベルのトラップに俺は辟易とするしか無かった。

 

「悪夢だ……」

 

最強武具を揃えたいのに、先輩《神殺し》の徹底した修行フラグ建設に俺の心は瀕死とならざるを得ない。

そこまで、強くならないとイケない《神殺し》に転生するなんて最悪としか言い様が無いだろう。まあ、転生した以上やりますが……俺は、己の意思で成った訳じゃないんだからこんなにイジメられる覚えはない。そりゃ、【組織】内での修行をサボり捲った訳だけど……ここまでされる覚えは、無いったら無いんだよ!?本当に!!

そんな事を、ツラツラ考えている内にいつの間にか寝ていた俺は妖精様に叩き起こされて、悪夢が始まった事を理解した。

朝風呂して、ラジオ体操モドキしてウォーミングアップを終えた俺は拠点外周マラソンを始める。それを終えたら、朝飯を食ってうさぎ飛びで頂上へ向かう階段を往復。

拠点内に戻って、とりあえず地下へ行って壁を掘る。掘って出た土砂を、袋に詰め担いで外に捨てる。それをひたすら繰り返すだけの日々を永遠と♥。

うん、鬱になりそうだ。とりあえず、そんな修行?の合間にチョクチョク息抜きを盛り込んで頑張ってみる事にした。彫刻とか、探索とか、調合とか、錬金術とか……。スキルレベルも、均等に上げないと色々問題だからな!

全く、面倒臭い。

というか、『器用貧乏』とか付かないよね?下手をしたら、バットステータスになるかも知れないからマジで付かないで欲しい。

これ以上、面倒なモノはノーサンキュウなので四苦八苦くしつつ頑張って回避してみようと試みる。まあ、どれだけの効果があるかはわからないけど……それなりに、遅延するらしい。そこら辺の情報は、腕輪型PCで調べた結果の話なので信用性は高い。

とりあえず、一通りの鍛練を終えて俺は食料を採取する為に拠点から出た。ついでに、体力草や魔力草があれば回収するつもりだ。

出来れば、猪とかも居れば腹一杯肉を食べられるのだが……拠点を出発して一時間。全く、獣と会わないのですが……何で、ですかね?いつもなら、十分程で二三匹は見掛けるハズなのに影も形も見当たらない。まあ、採取が簡単で楽なので構わないけど……こうも、気配も影も見ないと逆に不安になってくる。まさか、スタンピードの前兆ですかね?

一応、全開にした《気配感知》で周囲の様子を伺うが獣一匹すら存在しなかった。余りに、気配すら感じられないので《瞬動術》で真っ直ぐ全力疾走してみる。

もしかしたら、《気配感知》か《索敵》に引っ掛かるだろうと思ったんだけど……丸っきり、居ない!?

 

「何故!?」

 

割りと、奥深くまで来たハズだけど……何にも、居ないんですがどういう事ですか?意味がわからないので、適当にその辺に群生していた体力草や魔力草を採取して元来た道を戻って行く。

折角、こんな奥深くの未知領域まで来たんだ。

気分的には、『手土産くらいは、採取してから帰るさ……』という程度のモノで深い意味はない。

ぶっちゃけ、モッタイナイ精神で『お土産を!!』って気持ちしかなかったんだ。だから、物珍しさで視線を左右に振っていると巨大な蜂の巣を見付けた時にはそりゃ驚いたモノだ。つか、蜂の巣の出入口が洞窟レベルなんですが……蜂人間とか、出て来たりしないよね!?

何となく、怖い物見たさでゆっくりゆっくりその蜂の巣へと近付いて行く。もしかすると、原住民と初のコンタクトか!?みたいな気持ちもあって、普段ならやりそうにないそんな行動を俺は起こしていた。

 

「こ、こんにちは……だ、誰か、居られませんかぁ?」

 

入り口近くの茂みから、洞窟に向かって声を掛ける。もし、対応してくれた人が見た目完全な蜂だったら逃げようと思いつつ、ワクワクしながらちょっと待ってみた。しばらく待ってみると、怯えた様子の擬人化蜂娘が現れたではありませんか!!

 

「ぎっーーーーー!!!!」

 

 

擬人化━(゚∀゚)━来たああぁぁぁ!!!!

 

 

いきなり騒いで、怯えさせるのもアレなので少し漏れたけど……何とか、言いたい事を飲み込んで心の中だけで叫ぶ。

だがしかし、ここからが重要だ。翻訳魔法は、使用済みなので言葉を話せるのなら会話が可能だが……この蜂娘さんは、会話が可能だろうか?

 

「えっと、俺の言葉わかりますか?」

 

「は、はい……な、何の御用でしょうか?」

 

可能だった!それに、可愛い声だ!!

 

「ハチミツ分けて下さい!もちろん、タダでとは言いません。俺の持ってる何かと、物々交換とかどうでしょう?」

 

ちょっと、出だしがストレートになってしまったが相手の反応を見るに先ず先ずの滑り出しと思われる。

だが、もし……こちらから言い出した物々交換で『俺の血肉を食わせろ!』とか言われたら交渉決裂で即戦闘だろう。

そうでなければ、何とかなりそうなので物々交換を試みる。

 

「……………………」

 

「えっと、ダメですか?」

 

「何故、奪わないのですか?」

 

「奪う?……え?アレ?……モンスター?」

 

「えっと、そう言われています……」

 

「…………んー……でも、会話が成立するなら倒す必要無くない?アレ?もしかして、倒すのが普通?」

 

そんな事言われても、今更あの【組織】で見たり聞いたりしたモノを考えるとそこら辺が今一明確化されてなかったよな?つか、診療所にエイリアンモドキが居た時点で今更擬人化くらいでグダグダ言うつもりはない。

むしろ、目の前に居る擬人化蜂娘を普通の人として見ている以上、モンスターだから襲って倒して持ってる宝を奪うとか……無理だろう!?

 

「今更、今更(笑)。話し掛けて、答えが返ってきたなら人だよ。そりゃ、尻尾踏んでブチギレてる獣さんに話し掛けても答えて貰えなかったからなぁ……」

 

いや、マジでブチギレ獣さんは翻訳魔法で通じているハズなのに襲って来たからな。まあ、俺が彼等の尻尾を踏んだのが悪いんだけど。全力で謝っているのに、普通に殺しに来たので対話を諦めて倒したんだよ?というよりも、獣型のモンスターは会話が成立しないので話し掛けても意味は無かった訳だけど。

 

「会話が成立して、物々交換に応じて貰えるなら奪わないよ」

 

「…………では、魔力草から作られるマジックポーションを分けて貰えますか?今、どうしても必要で……」

 

「マジックポーションね?はいはい、これで良い?」

 

言って、アイテムストレージからマジックポーションを取り出し蜂娘さんに手渡した。蜂娘さんは、ちょっと驚いた様子だったけれど差し出したマジックポーションを受け取ってマジマジと眺めている様子。あ。もしかして、鑑定能力でもあるんですかね?

 

「確かに、マジックポーションですね……では、少し待っていて下さい。奥から、ハチミツを取って参りますので……」

 

「はーい♪」

 

ヨッシャァ!ハチミツGETだぜ!これで、妖精様に足蹴にされる事は無いだろう。最近は、甘味が無くてイライラしているみたいだったから……これで、機嫌が上方修正されると思われる。

 

「長かった……ここに来て半年。甘味が無さ過ぎて、妖精様がマジ怖かったんだよ!そろそろ、後ろから刺されるんじゃないかと……」

 

本当に、そんな気配が漂い始めていたので……そんな状況下での甘味発見は、正に幸運といわざるを得ない。ここで、蜂娘さん達と交流を得られれば妖精様との関係ももう少し改善されるだろう。暫し、待つこと数分。何故か、戻って来た蜂娘さんはゾロゾロと武装した仲間を引き連れて俺を取り囲む様に陣をしく。これは、どういう状況ですか!?

 

「えっと……?」

 

ああ。俺、殺されるんですね?わかります。

 

そりゃ、そうか。あの会話からすると、今までモンスター扱いで……平和に暮らして居る所を、強襲され仲間を殺されて何もかも奪われて来た彼女達がそうそう簡単に俺を信じられるハズもないだろう。ぶっちゃけ、こうなるかも知れない可能性はあったんだよね。まあ、信じなきゃ信じて貰えないだろうからモンスターとわかっても攻撃しなかったんだけど……こりゃ、賭けに負けたか?残念無念だな?

まあ、だからと言ってここで攻撃したら何の意味もないので痛いだろうけど……次回に持ち越しですね。

それじゃ、また今度!お疲れ様ッシタ!!

 

 

 

LV 192

HP 9924←(+2331)

MP 13050←(+5498)

TP 2880←(+1020)

SP 6845←(+2355)

STR  5722←(+2899)

VIT  5000←(+1989)

DEX 10774←(+2579)

INT  7813←(+587)

AGI  6519←(+2148)

MND 5000←(+1240)

LUK  56←(+)

CHA  670←(+)

 

スキル技術

《瞬動術Lv7》《身体能力強化Lv9》《伐採Lv6》

《木工加工Lv6》《忍び足Lv8》《気配感知Lv7》

《体術Lv9》《調合Lv7》《細工Lv6》《気配遮断Lv7》

《索敵Lv5》《直感Lv6》《罠感知Lv5》《根性Lv9》

《高速演算Lv5》《解体Lv7》《闘気Lv5》

《夜目Lv4》《聞き耳Lv4》《偽装Lv3》《対(耐)痛覚Lv5》

 

スキル魔法

《魔力操作Lv8》《魔力感知Lv5》《生活魔法Lv9》

《土魔法Lv7》《風魔法Lv8》《錬金術Lv7》

《氷結魔法Lv6》《火魔法Lv5》《闇魔法Lv4》

《幻惑魔法Lv7》《魔力制御Lv6》《並列魔法Lv5》

《回復魔法Lv6》《解毒魔法Lv5》

 

固有   なし

EX   《神速》

称号   《器用貧乏?》

 

 不死の呪い

 不老の呪い

 再生の呪い

 不能の呪い

 

 

 

 

 




凍真は、幸運なのか不幸なのかが微妙ですね。そして、ファンタジーならお馴染みの擬人化したモンスター娘ッス!
凍真の最終目標が、四神との交渉……戦闘ではない!!……なのでこれくらいは自力で交流を得て欲しい所。モンスターとされていた擬人化蜂娘さん達との交流から、四神達との交渉の切っ掛けでも掴んで貰えたらなぁっと思って今回の擬人化蜂娘を登場させてみました。これっくらいは、できないと四神との交渉なんて儚き夢だからな(笑)。頑張れ凍真!!擬人化蜂娘を攻略出来たら、ハーレム確定ですね!だって、働き蜂って男居ないじゃん(笑)。それに気が付いた時、凍真はどんな顔をするんでしょうね(笑)。

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m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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