絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三二九話 SAO

神崎:

 

 

シノンの趣味武器ヘカートの件で、アインクラッドを往復していた時の話だけど……アルン外滞在の転生者に会った。

出会った瞬間、奴は俺を自分の同類だと思ったらしく馴れ馴れしい感じで話し掛けて来たんだが……会話らしい会話は、何故か成立しないんだよ?これが(笑)。一方的に言い合いをして、何となく会話した様な満足感を得た様子で去っていく転生者。あれは、間違いなく未だ制圧していない側の転生者だろう。

所謂、【敵】というヤツだ。それにしては、何というか……俺も昔は、あんなのだったのかもと思うと恥ずかし過ぎて悶絶してしまいそうである。顔合わせした時は、相手の話に合わせないととか色々考えたのに『情報交換』から始まって適当に知ってる事を言い合っただけだったのだが……え!?これでOKなの!?って言いたくなる様な言い合いで別れる事に。あれが、『コミュ障』なんて言われる障害持ちとの会話?か……何となく、未解放エリアの状況が手に取る様にわかる気がするよ。自分こそがリーダーだとか、ハーレム王に俺はなる!だとか自分を中心に添えた脳内ワールドを展開して周囲は俺に合わせろとか言っているんだろう。先ず、間違いなく連携なんて全くないバラバラの軍隊なんだな。だが、レベルだけは高いアホゥ共の集まりとか……最悪である。

まあ、アルンの転生者も似たようなモノなのでどっこいどっこいだが……アルンの転生者は、ある程度まとまりが出来て来た様にも思えるので良しとする。と言うか、ハプシエル無双でなんとなく一体感モドキが出て来たよな?皆、ハードゲイ・ディープキス被害者という今一わかりたくもない一体感ではあるけれど。

今尚、被害が拡大しているって事だからアルンに滞在する奴は転生者が多い。何と言うか、そういう奴等は怖いもの見たさ?というべき心情でアルンに留まる傾向が強い。

そして、被害に遇うと他の被害者達と出店の酒屋で盛り上がるのである。それが、一貫した流れだって言うんだから恐ろしい。

 

「なんで、アルンには変態しか居ないんだろうな?」

 

現在、アルンに滞在中の俺は風呂上がりに白ワインの冷温酒を一杯飲んで一休みしている。その隣では、白ワインが喉に来たと喉を押さえる凍真が同じく一休みしていた。

 

「ほぼ、転生者だけの集団ですからね……もしくは、腐に犯された汚腐れ様でしょうか?」

 

「オクサレサマ?」

 

凍真が、またおかしな事を言い出す。腕輪型PCを使いこなしているのはわかったが、そこから得た知識をポンポン出してくるのはちょっと止めて欲しい。たまに、わからない事を口にするので最近はとても困る事が多い大悟です。まあ、役に立つ知識を持っているのは希にありがたいんだけどさぁ……ちょっと黙れ。

 

「掲示板で、拾って来た造語です。汚いの【汚】と腐ってるの【腐れ】に様を添えて【汚腐れ様】です」

 

「BLって、【汚腐れ様】ではないだろう?」

 

「脳ミソが、腐乱しているって意味で【汚腐れ】なので違いはないかと……」

 

「んー……それも、どうかと思うんだが……んん!?」

 

「どうしました?」

 

「いや、タイムリーだなぁっと……」

 

「何がです?」

 

「第一神様特典【シナリオ作成】。脳内で思い描いたシナリオを現実に反映できる能力。そこへ、腐女子IN!転生者が、BLワールドを展開しているんだが助ける必要ある?だってさ」

 

「それはまた……タイムリーな話題ですね……」

 

「ああ、うん。転生者が、イケメンや男の娘に生まれた事を後悔する世界って……なんだろう?」

 

「転生被害に、なるんですかね?」

 

「歪みは、発生してなくて原作に影響はないが……転生者達が、毎日腐女子の脳内ワールドに引き摺り込まれて男同士で愛を囁いているらしいぞ?」

 

「…………死にたくなります」

 

「ちょっと、ギルガメッシュに相談してくるわ……」

 

「そして、他の転生者達も集まって来るんですね?わかります」

 

どんな意見が出るかはさておき、こんな面白話を拡散しないでどうするんだって話である。つか、多分誰も助ける必要はないと断言するだろうけど……一応、相談するフリはしておくべきだろう。それに、そろそろ問題も生じているだろうからその話も聞かないといけないくらいだ。

 

「というか、最近の問題と言えば唐突に意識を失うアレとかじゃ無いですかね?」

 

「ああ、回復魔法が効かないっていう突発性意識混濁か?」

 

「ええ。多分、その話が出ると思いますよ?」

 

最近、SAO原作組や転生者が唐突に意識を失うという事件が多発しているらしい。目覚めた後も、気だるいとか体の芯が重いという様な症状があり救護院で療養生活を強いられている。しかも、回復魔法が一切効果無いので新手の病気ではないかと噂されていた。よって、現在は原因究明の為に【組織】の人達が出張っているとのこと。科学者と魔法使いと格闘家に剣士しか居ないけど、それなりの知識人なので原因を見付けてくれるかも知れないという事だった。

 

「医者スキルが、全くないメンバーだよな!?」

 

「唯一、科学者の【鮮血の】さんが近い職業ですが……専門外だとか言ってましたよ?」

 

「まあ、【真実の瞳】持ちだから何とかなるんじゃね?」

 

と言ってみたものの、専門家でもわからない病気だったら御手上げだ。なので、凍真の腕輪型PCから掲示板に接続して貰って【組織】に助けを求めてみた。すると、【鮮血の】さんに任せるか、彼が御手上げしてからもう一度連絡する様に言われる。あるぇ?もしかして、【鮮血の】さんって【組織】から信頼されてるの!?微妙な顔で、凍真を見たら苦笑いされる。

 

「診断結果を待てって……」

 

「今一、信用ならないんだけど……」

 

「腐っても、【組織】表の代表ですからなんとか出来るのでは?」

 

「そんな、お気楽な感じで良いのか?」

 

とりあえず、【鮮血の】さんの診断結果を聞いてから行動する様に言われたのでそっちを聞いてから動く事になった。とはいえ、一抹の言い知れぬ不安があるのも事実なんで俺達は診療所にも行く事にする。先に、馬鹿共が集まる『虎の巻』へと向かった。

 

 

 

……………………。

 

 

 

例によって、おバカなヲタクによるヲタクだけの楽園へとたどり着いた俺達は唖然とした様子でその建物を見上げる。前回、ここに来た時はもっと普通の建物だったハズなんだが……現在は、ヲタクの楽園!!!って雰囲気が、バリバリ出た建物へと変わり果てていた。と言うか、仁王像の如く入り口の両脇に特大フィギュアが立ちポーズを取っているのは如何なる理由か!?

 

「ヲタクの世界ですね……」

 

「アイツ等は、何を目指しているのだろう……」

 

何はともあれ、そんな違和感しかない門番がいる入り口に入って中を見回すと奥の方に酒場兼『ヲタクの華』と名付けられた喫茶店が見受けられる。躊躇なく、そこに入るとヲタク共が大騒ぎをしている状況へ放り込まれる事となった。

とりあえず、近くにいたヲタクにギルガメッシュの居場所を聞いたら奥の奥にある事務所に居ると教えられる。何故、酒場に事務所が!?とツッコミたくなったが……ヤツの趣味として、気にしない事にした。下手にツッコミを入れると、際限なくツッコミを入れなければならなくなる恐れがあるからだ。兎に角、馬鹿騒ぎをしている馬鹿共を掻き分けて事務所へと進む。奥へと入ると、あれだけ騒いでいるのに何も聞こえなくなった。

 

「防音かよ……」

 

「凄いですね。魔法でしょうか?」

 

「魔法だ。ようこそ、『ヲタクの華』へ……歓迎しますよ?」

 

「よぉ。ギルガメッシュ……【鮮血の】さんの相手は、大変だったか?」

 

「ひぃ!?」

 

俺が、【鮮血の】さんの話題を出した瞬間……顔を真っ青にしたギルガメッシュが、頭を抱えて怯える様子で机の下へと潜り込む。

まさか、そこまでのトラウマになっていようとは考えもしなかったが……そうか、そうなるレベルで連れ回されたのか(泣)。

 

「すまん。もう、言わないから落ち着け……」

 

「恐るべしは、赤い髪の悪魔か……」

 

暫くして、落ち着いたギルガメッシュは顔を青いままにしつつも俺の訪問を喜んでくれて近況の報告をしてくれる。この世界に戻って来て、アルン入り口で会った時はそれほどでも無かったのにあの人の名前を聞いただけでこの反応とは……本当にとんでも無いなぁ。あのチビッ子悪魔は。

 

「それで、今日はどうしたんだ?」

 

「あ、ああ。他の世界にいる、使い魔からの報告でちょっと多くの転生者に判断を仰ぎたい案件が出来てな……」

 

「多くの転生者にか?」

 

「ああ。第一神様特典【シナリオ作成】。脳内で思い描いたシナリオを現実に反映できる能力。そこへ、腐女子がINして……イケメンな転生者や男の娘な転生者が、BLワールドを展開しているんだが……助けた方が良いと思うか?」

 

「……………………」

 

話を聞いたギルガメッシュは、青い顔を蒼白に変えて言葉を失っている様子だった。あるぇ!?もしかして、俺の感性……師匠の影響で、おかしくなっちゃってんのか!?

 

「…………えっと、原作や登場人物には影響無いんだよな?」

 

「無いな。世界の歪みにもなってない」

 

「ああ……成る程。世界の歪みになってないから、BLワールドに引き摺り込まれた奴等を救うかどうか悩むのか……わかりました。では、酒場に居る者達にも聞いてみましょう」

 

という訳で、ギルガメッシュは馬鹿騒ぎをしていた転生者とその他の者達に呼び掛けて俺の疑問を問うてくれた。結果、あれだけ騒いでいたのにピタッと沈黙した彼等はとても顔色が良ろしく無くなっていた。むしろ、青系一色なんだが……やっぱり、俺がおかしくなっているのだろうか!?

 

「世界的に問題ないなら良いんじゃない?」

 

「腐女子が、恐ろしい事を言ってる……」

 

「むしろ、自分等も見学に行きたいんじゃね?」

 

「そうね。煎餅とお茶持って、見学に行きたいわ……」

 

「貴腐人が、何かを言ってます……」

 

「助けてやれよ……」

 

「因みに、どんなイケメン?つか、イケメンに生まれたのを後悔するレベルか……最悪だな」

 

「つか、自業自得だろ?助ける必要あるのか?」

 

「イケメンや男の娘に転生しなきゃ良かった訳だろ?自業自得じゃん。助ける必要なしだな!」

 

「爆ぜろ(笑)」

 

「ざまぁ(笑)」

 

「リア充、氏ね(笑)」

 

「てか、二次元に転生……俺等と同類じゃん(笑)」

 

「二次元が、転生して三次元化www。趣味じゃねぇな(笑)」

 

「ここも、そうだけどな……」

 

「一生涯ゲーム人生!アニメ、漫画、ライトノベル!我が人生に悔いはなし!!」

 

「大往生かよ(笑)」

 

「自業自得」

 

「助け不要」

 

「乙(笑)」

 

「爆散して良し!」

 

「逝け。お突き合いwww」

 

「自分が堕ちた訳じゃないからOK」

 

「BLウマウマ(笑)」

 

「何か、九割が必要無しって言ってるんだが……」

 

「あー、まあ……自業自得なので、不要なんじゃないか?」

 

酒場に居た、ほぼ九割の転生者達が『不要』と答える事態になった。君等も、大変キラキラしたイケメンで男の娘なんだが……そこは、棚に上げるらしい。成る程、自己判断でイケメン(男の娘)に転生したのは己自身なのだからそこは誇りある自己責任って事で助けは不要という判断になるらしい。

 

因みに……。

 

「その能力者が、この世界に来たら?」

 

『『『『『『『『『『逃げる!!!!』』』』』』』』』』

 

「だ、そうだwww」

 

「はぁ……」

 

結論が出たので、その話題は一旦打ち切って最近の問題を聞いてみた。目立つのは、報告されるので出来れば聞いた事の無いモノが好ましいのだが……そこまでの贅沢は、言わない。

 

「問題……ですか……」

 

「つっても、そんな大きな問題はないと思うけど?」

 

「あ、あれとかどうよ?」

 

「あれ?」

 

「唐突に、ブッ倒れるっていうアレだよ」

 

「ああ。そういえば、最近……唐突に意識を失う狩人が居るらしいですね。狩りの途中で、パタリと倒れてモンスターに美味しくいただかれる人が……」

 

美味しくいただかれるのか!?マジで!?

 

あれ、そんなに深刻な問題だったのか!?

 

「ああ。転生者に、SAO関係者、NPCは聞いた事ないな……」

 

「転生者や、SAO関係者だけか?」

 

「そう。良くわからないけど、ホント唐突に意識を失うみたいよ?聞いた話だけど、いきなり意識が暗転するんだって」

 

「目眩を感じたりする人もいるらしいですよ?」

 

「目眩!?脱水症状とか?」

 

「風邪……は、掛かるかわかりませんが……病気ですかね?」

 

「そこは、なんとも……専門家でもないしなぁ……」

 

「例のあの人が、動いているらしいですが……結果は、まだ聞いてません。むしろ、会いたく無いです!!」

 

キッパリと、【鮮血の】さんを拒絶するギルガメッシュ。だが、そういう事を言っているとヒョッコリ現れるのがあの人のクオリティ。隠密行動で、忍び込んではいまいな!?キョロキョロしていると、周辺の転生者達も周囲を探し始める始末。

やっぱり、唐突に現れるあの悪魔は共通の畏怖対象らしい。

 

「居ない、みたいだな……」

 

「止めろ。フラグになる」

 

「呼んだ?とか言って、出て来たらどうするんだよ!?」

 

「呼んだ?」

 

「「「「「ヒィ(ノД`)ノ!?」」」」」

 

「冗談だよ(笑)」

 

「止めてやれよ……つか、本当に居るのか?鉄」

 

「フッ……【鮮血の】さんは居ないが、俺は朝帰りさ!!」

 

「ああ、スナック帰りか……今度は、どれだけ貢いだんだ?」

 

「…………な、なんの事かな……」

 

「フレールくんは、優秀でなぁ……」

 

「汚いぞ!?使い魔を使うなんて!?」

 

「気になったんだ。悪りぃ(笑)」

 

鉄が、『呼んだ?』と現れた時は物凄く殺気立つ奴等が居たのにネタバラしした瞬間ニンマリと同情的な表情に崩してヲタク達は虚勢を張った者を受け入れる。そういう所、嫌いじゃないけど……ちったぁ、祝福してやろうとは思わんのだろうか?

まあ、人の事は口が裂けても言えないけど。

 

「ま、俺には最悪『翼』が居るからなぁ……」

 

『『『死ね!!』』』

 

『『『裏切り者!!』』』

 

『『『おい!【結社】の奴等を呼んで来い!!!』』』

 

「ソサエティ……って、そんなモン出来たんだ?」

 

「裏切り者を、闇討ちで滅ぼす奴等の総称だ!結束は強いぞ?」

 

「ふーん……所で、双夜さんからメールが来たんだけど……」

 

「師匠から!?なんて!?」

 

「惑星を結界で囲んで、可燃性の高い粉塵を満たす。火を付けたらどうなると思う?だって……」

 

「粉塵爆発するんじゃね?」

 

「なんで、そういう発想になるんだ!?つか、爆発しないんじゃね?粉塵っつたって、風で飛ぶだろ?」

 

「惑星規模の粉塵爆発だぞ!?可燃性の高い粉塵だったら、爆発するんじゃないか!?」

 

様々な憶測が飛び交うが、みんな超規模粉塵爆発のネタに掛かりっきりにはならない。先のイケメンBLネタで、盛り上がっている者も居れば俺の発言に殺気立っている者もいる。そんな感じに、散発してきた辺りで人形の使い魔から通信が入った。

コイツ等、俺達転生者で遊んでいるんじゃ無いだろうなぁ!?

 

『弟子様!お突き合いが始まりましたよ!?肉体言語です!!』

 

「要らん!そんな報告は、スライムに食わせてしまえ!!」

 

『そうですか?では、本題です。転生者及び、SAO関係者が唐突に倒れる件ですが……過労だそうです!』

 

『『『『『『『『『『は!?』』』』』』』』』』

 

この瞬間、全員の心が一つになったと俺は自信を持って言い切れる。だが、唐突に意識を失い倒れるって案件がまさかの過労とは……そう言えば、コイツ等がちゃんと休んでいる姿を見たのは最初の救護院でだけで、以降お休みを取っている話も姿も無かった様に思えるのはどうしてだろう?

 

「お前等、ゲームのアバター感覚で余り休んで無いのか!?」

 

「あー……言われてみたら、休み取った事ないなぁ……」

 

「世界が変わったり、周囲に流されて忙しかったのもあります」

 

『【鮮血の】様からのお知らせです!疲労は、回復魔法では解消できないとのこと。理由は、外的要因ではなく内的要因であるが故に。補足としまして、外的要因とは外部から与えられた原因で体が不調になる事を差します。逆に内的要因は、己が内から生じるモノでありこれには純粋に時間で解消する他無いとのこと』

 

「だって、よ。お前等、ローテーション組んで一週間ずつ休め!」

 

「仕事するな宣言(笑)」

 

「じゃ、倒れるか?」

 

「……しっかり、休ませていただきます。伝令は、必要ですか?」

 

『必要無いです!既に、各所に伝令が走ってます!』

 

「では、第一陣を決めるか……」

 

ギルガメッシュの号令で、先程まで騒いでいた転生者達がザッと班に別れて話し合いを開始する。こういう時の結束は、相当なモノなのになんで戦いの時はあんなにバラバラなんだろうな?

 

「特に、体力を使う者を優先的に……それと、漫画家もですよ?」

 

「そんなっ!?新作が……」

 

「栄養ドリンクをこの手に!!」

 

「【鮮血の】さんに作って貰え」

 

「死んできます!」

 

栄養ドリンクを求めた馬鹿が、【鮮血の】さんの名を聞いて敬礼をするなり『ヲタクの華』から走り出て行った。自殺宣言までしているので、放って置く訳にも行かず傍に居た奴等が慌てて追い掛けて行く。自殺つっても、死に戻りがあるので意味は無いんだけど……それでも、仲間が死のうとしているのを放置する訳にも行かない。ホント、仲間思いの良い奴等だよ。ま、出会いがあんなので無ければ他の妖精達にも受け入れられていただろうに。

 

「ちょ!?誰か、奴を止めろ!!」

 

「まてぇー!」

 

「早まるなぁ!」

 

「クソッ!アイツ、検証班か!?」

 

「はぇー……でも、発言が漫画家だったぞ!?」

 

「混沌と化して来ましたね……」

 

「いつもの事だろう?」

 

「これを、いつもの事と称せるとは……」

 

その様子から、【鮮血の】さんがどんな事をしてどんな風に過ごしているのか良くわかる光景だった。余程、絡まれる事が多いんだな転生者達は……そして、何かしらの実験材料か人体実験に使われているモヨウ。可哀想と思う反面、それで罪を償え等とも思うので仕方なく俺が【鮮血の】さんか【守護者】さんにお願いして間を取り持つ事になる。つか、鉄や凍真では何故か【鮮血の】さんに怯えるので必然的に仲介業務が俺に回って来るのだ。

 

「さて、突然意識消失事件は馬鹿共の体調管理不足だとわかったから程良く休ませるとして……それ以外の問題はあるか?」

 

「フィールドから戻って来ると、激痛が走る件!!」

 

「それ、戦闘中はアドレナリンがドバドバ出てるから気にならないだけで冷静になると痛みがブリ返すって話じゃ無かったか?それに、最近は《痛覚耐性》のスキルが生えて大丈夫になったんだろ?」

 

「ありゃ、御存じでしたか……では、死に戻りした奴にPTSDの症状がみられるってのは御存じで!?」

 

「そりゃ、初耳だが……戦え無くなったのか?」

 

「いえ、負けなきゃ良いんだよ!の精神で毎日突撃してます」

 

「つか、SAO関係者に精神科医が居たんじゃ無いのか!?」

 

「あー……転生者に、関わりたく無いそうで……」

 

「それこそ、自業自得では?あ、何なら【鮮血の】さーーー」

 

「自力で何とかします!!」

 

ちょっと、紹介してやろうとしただけなのに言い切る前に断られてしまった。【鮮血の】さん、やり過ぎみたいですよ!?

 

 

 

 

 




リアルワールドとなった、SAOモドキ世界でゲーム時代のアバターよろしく遊び回っていた転生者&SAO関係者はめでたく過労になってしまいましたとさ。まあ、世界が常に変化して行く中では仕方がない事ではあるんだろうけど……『それにしたって、自分の体調の変化とかわからないモノかね?』と思うかもだけど、これだけ問題やシステム消失による障害が多発すると訳わからん事になっててもおかしくないから(笑)。故に、それが疲労から来るモノだとは誰も疑問に思わなかった訳よ。それに、中高生が過労レベルの疲労の有無を理解出来るとは思わない。そりゃ、クラインやエギルなら過労レベルな疲労とかわかりそうだけど。
それに、ゲーム感覚が抜けきらない奴等も居るからそれが疲労から来るモノだなんて思いもしなかったんだろう。
そして、それを見抜くのは【鮮血の】しか居ないのでこの流れは普通。つか、【鮮血の】は医学にも精通してます。科学者と言ってるけど、ヤツは科学全般に強いので色々知ってるし作りまくってるから何処までが専門分野なのかわからないキャラクターでもある。
因みに、【鮮血の】が倒したとされる【神】は時空神と呼ばれる存在。つか、ヤツが転送装置の失敗で時間を超える際に偶然ぶつかって殺しちゃった存在なので当人は大分後になってからそれを知る事になるんだよね。というか、グリーン・ブラッドとの戦いで気にしている暇が無かったというのが現実。無意識に、知識を求める辺り徹底してるけど【鮮血の】はそんな感じのキャラだ。

因みに、死滅ドラゴンに関して。
レベル五千万のドラゴンに攻撃されると死に戻りが出来ないと前回のSAO関連で記載しましたが……アレは、直接攻撃じゃないと死にません。ブレスで、凪ぎ払われた奴等は復活します(笑)。あ、これデフォルトじゃないですよ?レベル一千万を超えた辺りで生えたスキルですから(笑)。これも、転生被害と言えるかも知れません。

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m(_ _)m

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