絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三一九話

双夜

 

 

 

☆O☆HA☆NA☆CHI☆から、解放されて辟易とした俺はユーリを引き摺りながら歩く。ユーリは、もう俺から離れないぞ!という意思を体全部で表し腰の辺りにしがみ付いたかと思うと動かなくなった。まあ、ユーリは良いとして……《重力軽減》……蒼天の書のリインフォースは本の状態で俺の頭にくっ付いている。もう、レイジングハートとバルディッシュだけでも良いんだけど……面倒を見る約束なので仕方がない。そろそろ、リインフォースに関しては本来の持ち主に返したい所だけど……それも、上手く行きそうになかった。出来れば、夜天の書を失って蒼天の書を作る前の八神はやてに渡せれば良いんだけど……中々、タイミングが合わないでいる。

そろそろ、諦めてバルディッシュやクラールヴィントも魔改造してしまうべきなのかも知れない。本人達も、レイジングハートの壊れ性能っプリに感化されて魔改造を望む声が大きくなって来ているし、利便性を求めるなら確かに魔改造は必須事項だろう。

でも……ぶっちゃけ、レイジングハートの汎用性は折り紙付きだし、バルディッシュやクラールヴィントを魔改造してもレイジングハート以上のデバイスになる訳でもない。ハッキリ言って、レイジングハートの登録魔法と俺の戦闘スタイルがガッチリ相性抜群なのでもう他のデバイスは必要無いかなぁ?と思い始めているのもあった。

なので、バルディッシュ達はそこそこで放置していたのだが……最近は特に、煩くなって来たので使うかどうかはさて置き魔改造してしまった方が良いかも知れない。つか、レイジングハートが近・中距離から遠距離のオールレンジタイプ。バルディッシュが、近距離専門の近接特化タイプ。クラールヴィントは、完全に支援一択の補助タイプ……ほら、どうにもこうにもじゃん。そりゃ、クラールヴィントは支援で結界とかの展開に使えるけど……バルディッシュに至っては、俺がレイジングハートを《A.C.S.D.》の機能で槍扱いを始めちゃったから接近特化が要らなくなるという状況に。

 

「さて、本当にどうしたモノか……」

 

ガッチガチに、近接戦闘特化に魔改造しても構わないがそれだと汎用性を失っちゃう事になるし、何より要らないモノを増やす結果に成りかねない。なので、もう少し熟考してからでも遅くはないと思うんだけどなぁ……本人は、超やる気だけど。とりあえず、機能の拡張だけはしてもう少し考える事とする。急いで、魔改造をしたとしても必要な時に必要な形に成らなければ意味はない。そういう方向で説得して、機能のヴァージョンアップだけをして魔改造は見送りにする事にしよう。多分、バルディッシュの魔改造は今の所その時じゃ無いのだと思う。という訳で、クラールヴィントを支援・補助型に魔改造する事になった。元の機能からすると、数十倍に跳ね上がる計算だけどクラールヴィントの場合、情報処理能力を格段に上昇させるだけで十分だと思われる。そこへ、俺の作った術式や既存の支援術式を記録して魔改造とした。本当は、もう少しヤヴァ気な方向性へと押し込めたのだけれど……触れ幅を、ある程度確保して起きたかったのでそんな感じになった。所謂、汎用性の向上だ。

 

「あ……」

 

クラールヴィントで、ADSSに出たらデバイスの機能関係なく己の実力のみで戦えるんじゃね!?等とも思ったが、今更である。

もし、次があった時にでもやれれば十分なのでその時にでも試す事としよう。まあ、次の軸でもADSSが舞台になるのならほぼ間違いなく使う事になるだろうからな(確定)。とりあえず、今しなければならない事は転生者の捜索でありADSSに参加する事ではない。

なので、使い魔達が集めて来た情報を展開して次の問題児を探す事にした。つか、現在てこの世界軸に転生している問題児達は今回のADSS参加でほぼ一掃してしまっているので余程の事(転生被害)じゃないと目立ってくれない。普通に暮らしている転生者に至っては、使い魔の捜索で見付ける事はほぼ不可能になるので今の所()()()転生者はいない様子だった。

 

「審議。隠れ転生者は居るか?」

 

未だに沈黙している【真実の瞳】に、無理矢理魔力を通して隠れ転生者が居るかどうかを問う。これで、【真実の瞳】が応えなければこの世界軸に残る問題児は全員何とかした事になる訳だ。

 

「フム。無し……と。審議、今居る転生者に問題児は居るか?」

 

もし、この審議で秘匿された者や未だ確認出来ていないモノがあれば視界が赤く視える。それが無ければ、この世界軸の問題は解決した事になるのだが……ここで、『この世界の問題はあるか?』と問うとほぼ確実に真っ赤となるのでそれは絶対問わない。ぶっちゃけ、大なり小なり既存する世界には問題が生じるモノなのでそういう問い方をすると真っ赤染まる。問題のない世界等、夢物語だった。

 

「…………ウム。問題無し……と」

 

そうなってくると、どっかの格闘馬鹿との約束を反故にしても良くなって来る訳だ。世界は、調整する程に歪められてもいないし《堕ち神》を出す程までに貶められた魂もない。ちょっと、自滅した馬鹿共も気になるが自業自得で彼等も納得済みの様なので関わる必要もない。ただ、意思確認は必要だろうけど……積極的に、人生を修正してやるつもりもないので放置する。意思確認は、夢を魅せて行えば良いので問題でもなかった。だから、ユーリを腰に装着したままテクテクと歩みミッド郊外にあるとある一軒家の前に来る必要性はない。だが、無意識でもここへと足が向いた。今は、平日の昼間なので誰も居ない事はわかっているが……それでも、気になるモノは気になるモノだ。感傷だとは、判っていた。だけど、一通り眺めて気が済んだので戻ろうとしたら首筋に魔力刃を向けられて『動かないで!』と制止の命を投げ掛けられる。

 

「あるぇ?フェイトちゃん、艦長のお仕事はどうしたの?」

 

「黙って……デバイスを捨てて、ゆっくりこっちを向きなさい……」

 

名前と共に、ここにいる理由を聞いたら刃に力が籠った。転生者よ……やっぱり、このコミュニケーションは間違ってると思うぞ?

なので、フェイトちゃんの意表を突く様な事を聞いてみる。

 

「記憶喪失の子は、ちゃんと保護してくれた?」

 

「え!?」

 

「一応、能力封印はしたけど……そのついでに、記憶も消しといたから。ああ、彼は君の迷惑な幼馴染み達と同類だから面倒になったら留置場にブチ込むと良いよ?」

 

「…………何故、貴方がそれを……」

 

余計に警戒されたけど、伝えなければならない事は伝えて置くべきだろう。まあ、俺の信用性は全く一切ないけどな(笑)。

 

「君に彼を保護させたのは、僕だからねぇ……ま、色々あるんだ。そう、色々。うわっ、便利な言葉(笑)」

 

「……………………」

 

「ま、信じる信じないは任せるよ。さて……」

 

言って、一歩前へ進んだ。当然、首筋に刃を宛てられているのでそれが深く食い込みその状態から体を捻った事によって俺の首が裂ける。それでも、意を介した様子もなく前へと進み振り返れば真っ青に顔を青冷めたフェイトちゃんの心配した様子が見えた。

 

「な、何を……」

 

「問題ないよ。僕も、ヴィヴィオと同じだから……」

 

「え!?」

 

「……生態兵器って事だよ」

 

ちょっと、凄みを持たせて低い声音で告げれば直ぐにフェイトちゃんは仕事用の顔になってこっちを睨む。まあ、睨まれた所で怖くもないから気にはしない。首筋から、噴き出していた血も止まり傷口が塞がっている様子も確認したみたいなので俺は胸ポケから紙切れを出してフェイトちゃんに突き出した。

 

「これは?」

 

「君達が見逃した施設の住所?ヴィヴィオのクローンが、量産されてた場所。さっさと受け取って……それで、俺の仕事も終わるから……後は、とある孤児院への橋渡しかな?」

 

「…………孤児院?」

 

「ヴィヴィオのクローン体が、二体程保護されてる場所だよ」

 

「え!?」

 

「こっちで、保護して預けて置いた。フェイトちゃんの名前で、受け取る事を確約してあるから迎えに行ってあげてね?」

 

「えぇ!?」

 

「まさか、ヴィヴィオだけを保護して彼女達は放置するの?」

 

「そ、そんなこと!」

 

「じゃ、頼んだよ?」

 

言って、紙切れをフェイトちゃんに押し付け俺はユーリを引き摺りつつその場から立ち去ろうとする。だが、フェイトちゃんが慌てて俺の肩を掴んで来た。いやー、ここは見送る所でしょ?

つか、ヴィヴィオのクローン体達も本当にただ見付けただけなので詳しく聞かれても答えられないんですけど?ついでに言うと、そのクローン体達は朽果てた施設の一番奥でギリギリ動いている設備で生かされていたのを使い魔達が拾って来て俺に預けただけのモノ。ちょっと、治療を施してみたら持ち直したので孤児院に預けたんだけど……放置されて、最終的には目覚める事なく朽ち果てるだけの子供達だったハズなので問題はないハズだ。しかも、JS事件後にヴィヴィオ本人の細胞から培養された子供達なのでジェイル・スカリエッティとは何ら関係ない。やらかしたのは、局の高官だろう。

 

「大丈夫だよ。放棄された施設から、救出した子達だから……彼女達を作った馬鹿は既に失脚した後だと思うよ?」

 

「…………どういう意味!?」

 

「え?ああ。彼女達は、JS事件とは関係ない所でヴィヴィオの細胞からクローニングされた子達だよ。で、それをやらかした馬鹿は時空管理局の奴で大分前に失脚した馬鹿だろうって話?」

 

面倒だったけれど、彼女達を保護させる為には仕方がないので判っている事を話す。まあ、それで彼女が俺を解放してくれるかはわからないけどな。十中八九、解放してくれなさそうだ。

 

「……そこの所、詳しく聞きたいんだけど?」

 

「僕も、詳しい訳じゃないよ?ただ、そういう施設を見付けてデータを見たから関係者に通報して託そうとしただけだし……」

 

「記憶喪失の彼は?」

 

おっと……そっちもですか?

 

「そっちは、第97管理外世界【地球】で監禁されていたから保護したんだけど……トラウマが、アレ過ぎて歪んでたんでたから思い出だけ封じて君達の通り道に置いただけだ。聖祥に上がる前に変態女に捕まって監禁されていたみたいだから……」

 

「何故、私達に?」

 

「記憶を封じる前、君達の事を言ってたからだけど?ああ、彼が幼稚園児の頃から君達を知っていた理由は知らないよ?でも、君達に関わりたい。その為には、犠牲は問わない。すずかやアリサの名前も出してたから事件を起こす前に記憶を封じて君達に渡しただけの事。わからないのなら、他の幼馴染み達に聞きなよ」

 

「…………そう。わかった」

 

「じゃ、そういう事で……」

 

「でも、それとこれは別の話……ね?」

 

いや、『ね?』と言われても俺には何の事だかわからないんですが?ああ、やはり逃がす気はないって事らしい。だが、善良な一s……ロストロギアに、ここまで敵対の意を表されると抵抗したくなって来る。拡張した、デバイスの性能確認の為にちょっと遊んでみようか?って気になってしまった。なので、冗談半分で呟いてみる。

 

「…………死神に捕まった。これから、魔王の元に引き渡されるみたいだ……」

 

「ちょ!?止めて……っていうか、そういうのは何処から……」

 

「普通に調べても、調べなくても出て来るし……有名人は辛いね?しかも、美人で出来る女と来たもんだ。悪人でも、見逃せないよ?」

 

「そんな……出来る女なんて……」

 

「え?美人を通り越して、そこに食い付くの!?ああ。言われ慣れてるからそっちに食い付いたか……ま、良いや。バルディッシュ!セットアップ!!」

 

《Yes,sir.Set up.》

 

「え!?えぇ!?」

 

驚くフェイトちゃんの目の前で、同じデバイスを構えピンクの魔力光で雷変換無しの魔力刃を構える。性能は、フェイトちゃんのバルディッシュの数十倍。さて、戦闘経験でフェイトちゃんが俺を上回れるかどうか……一丁、試してみますかねぇ?カートリッジを二本使用して、バルディッシュをザンバーモードに変化させる。最終的には、小太刀二刀流で固定する予定だけど……バルディッシュだけは、可変式のままにして斧・大剣・小太刀二刀流で使ってレイジングハートと差別化を図っても良いかも知れない。

 

「行っくよー?」

 

適当に()()()をしたら、終わる予定のストリートファイトのつもりだが……相手は、執務官で現時空艦の艦長であるフェイト・T・ハラオウン。絶対、『はい、終わり』では終わらせてくれないだろうけど……全力で、逃げに徹せれば逃げ切れない相手ではない。ただ、腰にしがみついているユーリが不安材料ではあるけど。

 

《Sonic Move!!》

 

バルディッシュの魔法と共に、《瞬動術》を用いて間合いを殺す。唐突な動きに、一瞬驚いた様子のフェイトちゃんだったけれどギリギリ刃を逸らして転がる様に逃げ切った。

 

「あ、因みに僕の使う魔法はなのはさんのだから!なのはさんに、フェイトちゃんのスピードが合体したって感じの戦い方だからね?」

 

「えぇ!?」

 

「重層甲移動砲台プラス超速軽量機動。それを掛け合わせた、汎用性超速移動砲台!それが、僕の戦い方だ!!」

 

言って、地面を蹴るのと同時にフェイトちゃんに肉薄する。

《ソニックムーブ》を使っているので、ほぼ一瞬で間合いは消えて至近距離での剣激が始まった。ぶっちゃけ、砲撃魔法を使うと周囲への被害が半端ないので砲撃魔法はまだ使えない。なんとか、フェイトちゃんを空へ誘って下から上へと撃つ以外に砲撃魔法は使えないのだが……ちょっと、フェイトちゃん?なんで、シューター系の魔法を多様してくるのかな?まあ、なんとか捌いてはいるけど……上から下へ撃つのは感心しないよ?ガキン!と、鍔迫り合いになった時に指摘してみたら慌てた様子で周囲を見回していたけど……この執務官、艦長やってる間に市街地での戦闘方法忘れたりしたんじゃ無いだろうな!?

 

「なのはさんに言って、鍛え直して貰ったら?」

 

「うぅ……ちょっと、うっかりしてただけだよ!?」

 

「はぁ……これが、世に『出来る女』とか言われている者の実態か……とんだ、期待ハズレだ」

 

「うぅ……酷い……」

 

「ストリートファイトを挑んだ僕が言うのもなんだけど、市街地での戦闘で周囲への被害考えずにブッパなす執務官がどこにいんのさ……あ、ここに居たか」

 

「うぅぅ~~~~!!」

 

フェイトちゃんは、涙目でこっちを睨んでいるけど……最早、最初に感じた『出来る女』ッポサは完全に散無していた。これだと、どこにでも居そうなドジっ子ちゃんである。

 

「はぁ……」

 

「ぜ、絶対捕まえるからね!?」

 

「ああ、うん……ガンバレー……」

 

「うぅ……馬鹿にして!!」

 

「だって、なぁ?」

 

落ち着いた、大人の女性になったかと思っていたけど……それは、見せ掛けだけで『化けの皮』が剥がれたフェイトちゃんは癇癪を起こした子供の様にガムシャラに突っ込んで来る様になった。

まあ、俺を捕まえて『無かった』事にしたいんだろうけど……早々、簡単に捕まってやる気はないので空へと逃げる。縦横無尽に逃げる俺を追って、フェイトちゃんは同じく《Sonic Move》で追い掛けて来るけど、そもそも俺のバルディッシュとフェイトちゃんのバルディッシュでは情報処理速度が違うのでこっちの方が速い。

 

「やはり、術式の処理速度がスピードの違いか?」

 

多分、それもあるのだろうけど……一番は、()()()()()()()術式との組み合わせがモノを言っているのだと思われる。謂わば、力によるゴリ押しではなく【理】による後押しだ。この世界の魔法は、未だ単一系の術式が多い故に多種多様な術式を組み込む《神殺し》の魔法とは重ね掛けの複重数もかけ離れていた。それ故に、バインド一つ取っても《法則魔法》なんてモノを組み込む余地はなく拘束度合いや力付くなんていう荒業が普通に通っている訳だ。

だが、《神殺し》の使う魔法は【理】に【理】を重ねて回す《神言》の魔法。

力でゴリ押す魔法と違い、最高の潤滑油で回転速度を上げた歯車の如く……【理】を回す流練な魔法だった。

逃げる様に、それでいて希に剣を叩き付け合う戦いをしつつ使い魔が指し示す目的地に向かって飛ぶ。目的地は、彼の【魔王】と名高き白い悪魔の居城。即ち、空戦魔導師が集う戦技教導官がいる地上管理局の膝元である。さて、そろそろ派手に暴れている俺達を抑える為に雑魚ではあるが現役の空戦魔導師達が集まって来る頃合いだ。

 

「フェイトちゃんとのデートを邪魔される訳にも行かないよね?」

 

なので、()()()()を駆使してとある魔法を隠しつつ集束を開始する。まあ、言うまでもないけどどっかの誰かさんが考えた知恵と戦術最後の切り札だ。彼の世界では、結局公式戦では使えなかったけれど……人の恋路を邪魔する馬鹿は、ブレイカー魔法に吹き飛ばされてしまえば良い。馬じゃないけど、威力だけは折り紙付きである。フェイトちゃんを見れば、本部に連絡を入れているのが丸わかりで、彼等が誰の要請で出撃して来たのかも良くわかった。よって、フェイトちゃんと二度目の鍔迫り合いに持ち込んだ際に告げる。

 

「無粋だな。フェイトちゃんとの、逢瀬の時を邪魔立てしようとは……ちょっと、お仕置きが必要かな?」

 

「おうせ?」

 

「…………デートの事だよ?」

 

「で、デデデデデデデート!?」

 

あるぇ?どっかの幼馴染み君達に、色々と面倒な感じで付き纏われた経験があるハズなんだけど……そういうのを、全く一切感じさせない純真さで顔を真っ赤にしたフェイトちゃんが慌てた様子でアワアワしていた。それとも、こういうデートがあるってこと事態を知らなかったのかな?俺の場合は、静がツンデレだった事もあってデート一つに誘うのも一苦労で模擬戦を言い訳に逢瀬の時を作ったモノだったけれど?そうか、そうか……よし、からかってやろう!

 

「とりあえず、見目麗しい女性にはちょっかいを掛けて見るのが男の性みたいなモノでね。普通に誘って、あしらわれるぐらいなら過激な方法で誘った方が応じて貰える確率は高いんだよ?そして、フェイトちゃんはまんまと応じちゃった人(笑)」

 

「えぇ!?でも、こんな……過激……」

 

正に、『ガーン!!』と言いた風なフェイトちゃんがちょっと落ち込みながら剣を振るう辺り戦闘終了とはならないらしい。ある意味、完全に嵌まっているパターンなんだけど……本人は、気が付いていなさそうだった。ここで、断るとしたら戦闘終了なんだけど……そうか、付き合ってくれるのか?なら、怒られる時は一蓮托生だね?

ギィン!と、鍔迫り合いに持ち込んでいた剣を弾きフェイトちゃんをバインドで捕らえると反転して剣を空戦魔導師達が飛んで来る方向に向ける。

 

「援軍、呼んだみたいだけど……ごめんね?」

 

そう言って、俺は一本の帯状の魔方陣を展開した。

 

「《集え!星の輝きぃいいいぃぃぃぃ》!!!!!」

 

「Σ( ゚д゚)ハッ!!?ちょ、待っ……駄目ぇええぇぇぇぇ!!!!」

 

フェイトちゃんの叫びを背中で受け止めつつ、かき集めていた魔力を解放して一気に集束させて行く。あっという間に集束したそれを、空戦魔導師達がいる方向に向けて穿ち放った。

 

「《スターライトブレイカー》!!!!!!」

 

ピンクの魔力光を纏った、多分空戦魔導師達に取ってはトラウマになっているかも知れない魔法を放ち……しばらくは、ほぼ間違いなく戦闘不能になるだろう一撃を叩き込んで露払いとした。まあ、結果だけを言えば都市にギリギリ掛からない辺りで起爆したけど、衝撃までは緩和されずガラスが割れる等の被害が拡大したモヨウ。

とりあえず、使い魔達に救援の支援を頼んで俺はちょっと怒り始めているフェイトちゃんの相手に戻った。というか、今の《スターライトブレイカー》でフェイトちゃんの次に厄介な人を呼び寄せてしまった感じになる。つまりは、空戦魔導師高町一等空尉とヴォルケンリッターのヴィータを、だ。ヴィータは、おまけみたく感じたけれど油断は?……余裕綽々ですね。

 

「地上管理局空戦魔導師戦技教導官高町一等空尉です。ちょっと、お話聞かせてくれるかな?」

 

「同じく三等空尉だ。たくっ、メチャクチャ暴れやがってなにやってるんだ!?」

 

「フェイトちゃんと、過激なデート?」

 

「「デート!?」」

 

「まあ、良いや。釣り上げたかった人達は釣れた訳だし……」

 

「ああん!?って事は、私等に用があったって事か?」

 

「まあ、そうだね。フェイトちゃんには、ヴィヴィオのクローンを頼んだので問題ないけど……遺伝子情報の取り扱いにはもうちょっと注意してくれないと悲劇は広がるだけだよ?だから、レイジングハート!バルディッシュ、ダブルセットアップ!!」

 

バルディッシュを基準に、レイジングハートとクラールヴィントを再展開してセットアップを完了させる。結果、バリアジャケットが黒を基準にした高町一等空尉と似た様なモノに変化して一部に緑の刺繍みたいなのが入ったモノとなる。レイジングハートは、他のビットと一緒に独立型となった。

 

「《ブラスターOne》」

 

一部魔力を解放して、独立型のレイジングハートから《ディバインバスター》を放ちバルディッシュはザンバーモードのまま叩き付ける様にフェイトちゃんへと振るう。バインドは、解除しておいた。

 

「《Accel Shooter!!》」

 

シューター系の魔法で、ヴィータを牽制しつつ相手が混乱している内にティアナの鉄鋼魔力弾モドキで横合いから顔面を殴り飛ばした。

それによって、ヴィータがかなり怒っているけど……昔みたいにブチ切れになる事なく文句を言いながら向かってくるのを横目にビットに魔力障壁を展開して《ソニックムーブ》を付与しておく。

 

「行っけぇえぇ!!」

 

ビットによる、高速オールレンジ攻撃にヴィータが良いのを叩き込まれているけど無視するみたいだ。と、牽制のシューターと砲撃魔法が迫って来たので回避して俺の周囲に展開した《ディバインバスター》で迎撃した。

 

「あ!やべー、魔力切れだぁ……リンカーコア、排出。コアブレイク!!リンカーコア、精製。シンクロイン!!」

 

目の前で、己のリンカーコアを取り出し握り潰したのを見て全員が硬直。その後、リンカーコア作ったのを見て口を開き己の内に取り込んだ辺りで驚愕の叫びが聞こえた。

 

「な、なななな、な、なんだそりゃ!?」

 

「えー……ちょっと、リンカーコアの魔力を補充しただけじゃないか……つか、このリンカーコアはなのはさんのリンカーコアのコピーだから僕のリンカーコアじゃないよ(笑)」

 

「どどどどどういう事ぉ!?」

 

「僕は、普通の魔導師とは違うモノだよ。故に、生態ロストロギア!生きた兵器。その名も、『魔導兵器』!!さあ、仕切り直しだ!!」

 

 

 

 

 




フェイトちゃんに遭遇!不審者認定くらう(笑)。まあ、腰に女の子が抱き付いてて引き摺り歩いていたら普通に不審者だよね!今回は、こういう接触からの?からかいネタです。そして、ちょっと駆け足。何がしたいのか!?と聞かれたら、バルディッシュの慣らし運転。それに、原作人物を絡めただけのお話。この世界軸でのやるべき事は大体やったので【古き神な《堕ち神》】戦の殺伐?さを緩和する為の回だと思ってくれたまえ!まあ、ただ単に興が乗っただけのお話である。(ぶっちゃけた!!)とりあえず、続く!

あ、因みに双夜の言う『魔導兵器』っていうのは【始まりの魔法使い】の事じゃないから。前にも、あとがき辺りで双夜がハンデまみれの人生を送ってた的な話を書いたと思うけど……そのハンデを、モロトモしない生活をしていたって話の続き。双夜の骨とか筋肉ってさ、虐待生活でもう滅茶苦茶にされてたって設定なんだよね。目も見えなくなっていたし、中身に至っても通常生活にまで色々支障をきたすレベルの障害持ち。なのに、戦闘までこなすチーターだったのには訳がある。まあ、骨は強化魔法の重ね掛けという感じで骨自体に魔法陣刻んで強化。まともなくっ付き方をしてなかった骨は一度砕いて治療魔法で治し強化魔法を刻んで更に上から強化魔法で包んであった訳よ。筋肉に至っては、断裂してたり千切れてたりしたんだけど……強化の呪詛を練り込んだ苦い薬湯や薬膳料理を食べさせて細胞を強化魔法薬漬けにしてたモヨウ。更に、目には盗撮術式を刻んでダイレクトに視える様にしてたし、神経に脳髄にと障害が残る場所は徹底的に強化してあったから……ある意味、人工的に造られた人造魔導兵器かな?だけど、それを可能にしていたのは双夜が生まれた時から持ち得た膨大な魔力のお陰。そして、双夜を生かし続けた【命の精霊】のお陰だ。魔力だけじゃ、途中で死んでるからねぇ……呪詛食った辺りで(笑)。こんな感じだったんで、人造魔導兵器と呼ばれていたんだよ。だから、神造魔導兵器の【始まりの魔法使い】とは別物だよ?

次回、惰性からの本命!そして、あとがき~オマケである!!

最近、肩凝りに悩まされている。肩凝り……マジ、唐突に来た!!本当に、唐突に来たんだよ!?それまで、ゲームとか小説読んでたりとかで肩凝りになるなんて事は無かったのにある日突然肩凝りに!!しかも、超激痛で寝起きなんて起き上がるのにえらい時間が掛かってヒィヒィ言ってた(笑)。今は、ちょっと違和感を感じる程度で済んでるけど親に相談してサロンパス貼って貰うまでマジ洒落にならんかったんだ!!年取ると、色々ガタが来るって言うけど……マジな話だったんだなぁ……って、今しみじみ思っているよ。
皆も、気を付けた方が良いよ?若い間は問題無くても、年取ると唐突に来るから(笑)。いや、マジで!!

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m(_ _)m

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いつも、読んでくれてありがとうございます。

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