絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三〇七話 凍真

凍真

 

 

拠点を作り、錬金術というか調合を学び始めてから一ヶ月。時間だけがただ、ダラダラと過ぎている様な気がする禍焔凍真です。

一応、レベルアップの仕方を聞いた訳ですが……中々、レベルが上がらないので詳しく訊いたらステータスを成長させて経験を積めば上がるとのこと。それ、普通は逆なんじゃね!?魔物を倒して、経験値を貯めてレベルアップ。その結果、ステータスが成長するのが当たり前だと思っていたら……この世界では、ステータスを成長させてある一定値に至った上に魔物との戦闘経験を積めばレベルが上がるそうです。なんて、逆パターン!

 

「そして、今は圧倒的に戦闘経験値が足りない……」

 

もう、笑えて来る始末だった。というか、魔物を倒して経験値集めとか基本過ぎる事までやらなきゃレベルアップしないとか……気が付かなかったら、永遠と戦い続けてた事になってるよね!?

いったい、どれだけの時間を費やしてレベルアップを目指していたかと思うとゾッとする。ステータスアップ含めて、普通に隠し要素とかが無理ゲーなんですけど!?等と言った所で仕様が変わる訳も無いので諦める。段々、悟りが開けそうになって来たよ。

とは言え、いつまでも文句ばかり言っていると妖精様にドヤされる可能性があるのでいつもの探索に出掛ける。

探索と言っても、四神探しの旅であるのでキッチリ東西南北を探せば見付かると思うんだよな。なので、今日は気分的に北を目指して進んでいた。北と言えば、間違いなく青龍の領域である。

視線を上げて、北の空を見上げれば遠目に紐の様なモノがチラホラと見えた。多分、あの紐状のモノが青龍なのだろう。喜びはしゃいでいる様な印象を受けるが、あれをもう一度俺の式神として俺の仲間にしなければならない。だが、あれほど楽しそうにはしゃいでいる青龍をどうやって説得しろと!?超、自由を満喫している御様子なんですが!?絶対、無理そうですよね!!でも、やらねばならない。それが、とっても俺の気分を重くしていた。

 

ズルッ!!

 

「あ……」

 

北の空を見上げていた俺は、足元を見ていなかった為いつの間にか崖に足を踏み出していたらしい。空を切った足は、重力から解き放たれてまっ逆さまに落ちて行く。視線を戻せば、割りと高い場所から転落したらしく底は見えなかった。いや、大まかには見えてはいるけど、距離までは把握出来てないって意味で本当に見えていない訳ではない。とは言え、こんな所で足止めされる気はないので持てる力全てを持ってしてなるべく痛い思いはしない様にと足掻く。先ずは、《身体強化》を使って能力を向上。地面に叩き付けられたとしても、ある程度ならなんとかなるハズだ。

ついでに、《風魔法》を使って落ちる速度を軽減する。

まあ、噴射出来る威力と回数は決まっているのでもう少し落ちてから使う頻度を上げると良いだろう。とは言え、こんな初歩的ミスをするなんて妖精様に笑われても仕方がないくらい呆けていたモヨウ。気を引き締めねば。ある程度して、地面をゴロゴロした俺は起き上がり周囲の状況を確認するべく見回した。

一応、落ちて来る際に見える範囲は確認していたので、猛獣の姿はなかったと思われる。だが、状況は刻一刻と変わるモノなので周辺確認は常時行う事なのだとここ半月程で理解した事だ。

当然、《気配感知》も地面に降り立った際に展開してあるので問題ない。レベルが低いので、気が付けないのなら己の未熟のせいであるというのもわかっている。とりあえず、半径50メートル圏内は問題ないモヨウ。ただ、50メートル程度では何の意味も無いんだけどね。それでも、周囲に猛獣が居ないというのは心持ちが軽くなるのでありがたいスキルだったりする。

 

「さて……」

 

落ちて来た崖を見上げれば、ここが地上ではなく谷間である事が判明した。通りで、拠点のある崖以上に高いと思ったハズだ。物理的に高かったんだから、落ちる時間も多少長くなるってもんだろう。というか、谷間から地上まで十数メートルあるかな?

他には……と、周囲を見回せば洞窟と思われる穴が見付かった。

それ以外に、猛獣も何も無いので一応安全な領域なのかもしれない。とりあえず、目の前の崖を上るのは骨が折れそうなので洞窟に潜ってみる事にする。

 

「……ってか、ここ……俺の拠点の反対側なんだよなぁ……」

 

拠点の奥を北に掘り進んで行けば、ここにたどり着けそうだが掘り進める利便性はない。メリットもないので、今後掘り進める事もないだろう。つか、繋げても出入り口は崖のド真ん中。その下は、大地の裂け目の様な『谷』。全く、一ミリたりとも掘り進める気すら起きないな!なんて立地!こんな不便な立地、誰が考えたんだよ!?とりあえず、腕輪型PCを起動して手書きの地図を出し徒歩三十分程の場所に『谷』と『洞窟』の印を書き込む。

 

「くっ……まだ、微妙に白紙状態なんだよな……」

 

出来れば、拠点の周辺状況くらいは書き込んでおきたい所。

チラッと、ポッカリ空いた洞窟に視線を向ける。とても、気になるモノではあるが洞窟探索は一時諦めて拠点周辺の地図を先に作ってしまった方が良いかも知れない。もしかすると、ロッククライミング以外で上に登れる場所があるかも知れないからな。

 

「迷うな……」

 

どっちも、逃げる様なモノではないけど……気になるモノであるのは代わりなかった。結局、散々迷った俺は周辺状況の確認を選ぶ事にする。ほら、地盤固めは大事とか良く言われるからな?

なので、『ひぃこら』言いつつ大地の裂け目から這い出した俺は時計回りに移動を開始する。とりあえず、《大地の裂け目》は長距離に渡っていて……俺が、拠点として使っている岩山の北側半分に渡って広がっていた。深さは、洞窟があった場所と差ほど変わらない感じだ。まだ、半分程しか確認していないからその反対側までどうなっているかはわからないがなんとなく似た様な感じだと思われる。って事は、反対側から拠点へと侵入される恐れは無いって事だ。もし、今居る場所の反対側に上へ登れる場所があるのならば、それを削ってしまえば完全な安全地帯を作れるという事になる。何となく、光明が見えた気がして気分が向上して来た。だから……なのだろう。多分、安全に気が緩んでいたのは。

背後から、近付く危険に反応すら出来ずに襲いかかられ背中を削られた上に、勢いの付いたまま体当たり?というか……蹴られたというか、地面をゴロゴロと転がされて混乱のままに魔法をバラ蒔く。当たりはしないだろうけど、牽制にはなったハズだからその間にナイフを抜いて谷を背後に視線を周囲へと投げる。

すると、左斜め前方に警戒した状態の猛獣を発見。

コイツが、俺を襲った犯人か!?と判断して睨むと『グルルルゥ…』と威嚇された。えぇい!威嚇してんのは、こっちだっつーの!!背中の傷がズキズキしてるけど、差ほど気にならないのでそのまま放置。ナイフを逆手に、猛獣へと向かって行った。

その後は、ナイフを奪った?猛獣の時の巻き返し。

ほぼ、能力が拮抗して泥沼試合となってしまった。てか、猛獣の身体能力が高過ぎだろう!?なんだよ、あんなピョンピョン大地の裂け目を飛び越えられるとか洒落にもならないだろ!?

なので、猛獣が十メートル級の裂け目を飛び越えて行った所で錬金術によって作り上げた回復アイテムを取り出す。

コイツは、飲んでも良し被っても良しの優れもの。安全安心回復薬ハイポーションである。まあ、最初はローポーションにも成らなかったけどな!劣、微、ローポーション、ポーション(劣・微有り)、ハイポーション(以下同文)と言った感じ上がって行くランクがあって……劣ポーションに至っては、『回復した気がする』程度のモノだった。なんだよ!?回復した()()するって!?

回復してないのかよ!?と何度ツッコンだ事か……全く、嫌な思い出だぜ。

ふぅ……と溜め息が出た所で、俺はハイポーションの蓋を開けて飲もうとした。だが、いつの間にか戻って来ていた猛獣に回復アイテムを使う瞬間を妨害される。余りの衝撃に、ハイポーションを手放してしまった俺は……ハイポーションが、戦っている魔物へと吸い込まれる様に落ちて行くのを見送った。

 

パシャ。

 

俺が見ている前で、みるみる内に傷付いた身体を回復させる魔物が微妙にドヤ顔をしている様に見えてイラッと来る。

 

「チクショウ!!」

 

なんだよ!?この不幸なテンプレは!?なんで、こんなにツイテ無いんだよ!?俺の右手は、普通の右手なんだぞ!?同じ『トーマ』だからって、なんでこんなに不幸なんだ!?

思考が混乱するが、猛獣が嬉々として迫って来るので泣く泣く応戦。ショッキングな事が、目の前で起きたというのにそれを引き摺る暇もなく完全に泥沼と化した戦闘を続けたのだった。

 

 

 

……………………。

 

 

「酷い目に遇った……」

 

もう、ショックがデカ過ぎて直ぐには立ち直れそうにない。このまま、拠点に戻ってふて寝したい気分になるが食料を持ち帰らないと妖精様に怒られるので手ぶらでは帰れなかった。まあ、目の前に良いお土産があるので怒られはしないだろうけど。とりあえず、アイテムBOXに猛獣を仕舞って《簡易解体》の項目を押した。

そう、《簡易解体》の項目である!これ、この一ヶ月で気が付いた機能なんだけど……アイテムBOXに、解体前の死体を入れて備え付けの設定機能をONにしておくと任意でお手軽に解体が出来るのである。この機能、先に設定しなければ使えないモノだけれど……設定さえしていれば、フォルダ別に入れられて中に何が入っているのかもわかるという超便利仕様だった。因みに、妖精様はこの事をちゃんと知ってて知らないフリをしていたらしい。

何故、知らないフリをしていたのか!?と妖精様を問い詰めたら、『簡単で便利だけど、己で得た知識は自分を裏切らないわ』という理由で黙っていたモヨウ。多分、最初っからこの事を知っていたら俺は何も学ぼうともしなかったと思われる。そうなれば、INTのステータスは上がらないし、上がっても脳筋ステータスへと成長していただろう。確かに、理解は出来る。だが、納得は出来なかった。器が小さいと言うなかれ、だって仕方がないだろう?グロ耐性もなければ、血の臭いや腐臭にも耐性が無かったんだから。ぶっちゃけ、現代っ子としては避けたい分野だからな!

まあ、アイテムBOXの《簡易解体》は血抜きと皮を剥ぐくらいしか出来ないんだけどね。でも、それだけでもされていると心持ちとても軽くなる。特に、気化する血が少ないので臭いも抑えられるからな!血の臭いは、血液が蒸発(気化)するのも踏まえてのモノだから。気化するモノがなければ、その分だけ臭いはしない。

 

「それに、時間も停止しているから鮮度も保たれる!」

 

まあ、逆を言うとアイテムBOXに突っ込んだ猛獣がほやら温いままっていうデメリットもある。激しい運動をした直後で、アイテムBOXに入れるからな……戦闘が、激しければ激しいかった分だけ気化する血は多くなるのも当然という訳だ。

 

「よし、逃げるか!!」

 

言って、俺は近付いて来る多くの気配から逃げ出した。

ちょっと前から、俺の索敵範囲にチラホラと獣と思われる気配が捉えられていたのだ。それが、なんらかの偵察だという事に気が付くまでちょっと時間が掛かったけど……まだ、大丈夫だと思いたい!つか、包囲されてしまう前にここから離れないと色々ヤバイのでガチ逃げしなければならない。と言うか、もっと早く気が付けよ!?俺!!チョロチョロしているって事は、それなりの規模の猛獣の群れが近くに居たって事だぞ!?

そんな中で、その威力偵察だったのかもしれない猛獣と戦闘になった俺。ほぼ、泥沼試合だったアレを見られたって事はいたぶられフラグが立ったも同然だろう。ぶっちゃけ、包囲殲滅?いたぶられフラグとか誰得だよ!?って話だ。ええ、逃げますよ!?逃げる以外の選択肢なんて存在しない。なので、『谷』に向かって全力で飛び跳ねた。助走が付いてないので、微々たる跳躍だったけれど《風魔法》の《追い風》と《空歩》でなるべく高度を取る作戦だ。MPが尽きるギリギリまで消費して、何とか崖の中腹まで跳躍した俺はそこからロッククライミングの要領で崖を登って行く。

途中、背後を振り返って下を見たら割りと大きな群れだったらしく数匹から数十匹の猛獣が『谷』のあちら側でウロウロしていた。アブねぇ!?下手に、地上ルートで逃げていたら『いたぶられフラグ』を回収していた所だった。

 

「いや、マジで……なんで、こんなに不幸なんだよ!?」

 

何となく、レベルが低いのと自業自得の様な気がしないでもないのでここら辺で切り上げる。よしよし……こっち方面は危険地帯っと。あの規模の猛獣を、討伐しようと思ったら一人でやるには武器が足らない気がする。ナイフじゃなくて、昔俺が使っていた【迦楼羅】くらいあれば良いんだけど。てか、【迦楼羅】なぁ?

もし、【迦楼羅】もこの世界にあるとすればどっかに隠されているんだろうけど……見付けるのには、かなり苦労させられそうだ。

さて、拠点に戻って来た訳だけど。まだ、昼間なんだよな(凹)。

本当なら、拠点の周辺をグルッと一周して洞窟に突撃していたんだけど、猛獣の群れが出たせいでそれも頓挫してしまった。出来れば、直ぐに猛獣の群れがいる場所から反対側を探索しに行きたい所だったけど……今日はもう、そういう気分ではなくなってしまっている。まあ、気分で探索をするのはダメなんだろうけど回復アイテムが液体では今日みたいな事が良く起きそうなので回復アイテムの改良をしようと思う。出来れば、魔法を込めておける《魔法石》みたいなのがあれば上々だろう。

とりあえず、腕輪型PCを起動して思い描いたモノが無いか検索。数秒後、思い描いた通りのモノが出て来て一瞬喜んだけど……《魔晶石》って、何処にあるんですかね?

なので、《魔晶石》を再検索。すると、《魔石》と《水晶》が必要という事がわかる。わかったけれど、これではどっかの鉱山を見付けて掘り進めなければならない。しかし、現時点では手も足も出せない。鉱山無いし、あったとしても間違いなく《水晶》が出ると言える訳じゃないからだ。それに、《魔石》の事もある。《魔石》に至っては、猛獣を倒せば解体で得られるってのがわかるだけで実際に持っている訳じゃない。なので、先程仕留めた猛獣を解体してみる事にした。

 

「ちょっと!こんな所で、解体するんじゃないわよ!?」

 

「血抜きはしてある……」

 

「例え、血抜きがしてあっても生臭くなるのよ!!」

 

「生臭いくらい良いだろう!?すぐだよ、すぐ!」

 

「夜、生臭くて眠れなくても知らないわよ?」

 

「……………………」

 

妖精様が、とても煩いので俺は場所を移動して解体場で解体する事にした。解体場とは、空気が篭る事のない湧き水も少しある人工的な場所だ。耐久度は、開けた場所にしたのてそんなに無いけど拠点とは異なる繋がりなので問題ない。それに、俺もグロいのに耐え切れず吐くから……ちゃんと、そういうのが処理出来る場所じゃないと臭いだけで死ねる!!

サクッと、ナイフを猛獣の胸に突き立てて一気に腹の辺りまで切り裂いて行く。そして、胸肉をガバッと開いたら心臓の近くに黒い小石みたいなモノを見付けた。多分、これが《魔石》だろう。

だが、大きさは小指の先程度のモノで《魔晶石》へと錬金するとしたらある程度の量が必要だ。

 

「《魔石》ランクは、【F】。《魔晶石》に必要な《魔石》は【B】ランクのモノを使用か……」

 

どちらにしても、多少の量が必要なのでそれなりの魔物を数匹倒さなければならないらしい。【F】ランクの魔石なら、数百個必要で【B】ランクの魔石なら数個は必要だって言うんだからたまったもんじゃない。効率的に見れば、【B】ランクの魔石の方が楽々作れる印象を受けるが『猛獣』であの戦闘力である。

まあ、俺の種族が弱いってのもあるけど。アレで、【F】ランクなんだぞ!?俺が、泥沼試合で何とか倒せる猛獣が【F】ランクモンスターなんだ。【B】ランクなんて、【F】ランクの四ランクも上の存在だ。それを数個とか、今の俺では手も足も出ない。

 

「ウフフフ……俺が、雑魚過ぎて辛い……」

 

流石に、『俺TUEEE』なんてやる気はないが弱過ぎるのも困る問題だった。だからと言って、今日明日で強くなれる訳じゃないから普通に戦えるレベルになるまでもうちょっと掛かりそうである。因みに、後でわかる事だけど……拠点周辺の魔物が、実は最低ランクの魔物って訳じゃない事が判明する。実際には、【G】ランクが最低ランクで【F】ランクはレベル5~10の魔物だった。ぶっちゃけると、最低ランクの魔物はゲーム等で良く出て来るゴブリンと呼ばれる緑肌の妖精で猛獣はそれよりも強い分類に入る魔物だ。逆に、雑魚とされるスライムは【D】ランクの魔物で敵を見付けたら飛び掛かって顔にへばり付き口や鼻を塞いで窒息させようとするらしい。かなり素早く、『麻痺』や『睡眠』等の状態異常を使って来るので危険とされていた。なんて、恐ろしい。

ある意味、俺が落ちた場所は一ランク上の領域でパワーレベリング状態だった訳だ。もちろん、妖精様はそれを知っていたにも関わらず黙っていたけど。それにも理由があって、これまでサボって来たツケを強制的に支払わされていたとのこと。

そう言われると、何も言い返せない俺だった。

 

 

 

……………………

 

 

……………………

 

 

……………………。

 

 

その翌日、地上を歩くとかなり危険である事を知った俺は下に降りる事なく岩山の上から地上の様子を伺う事にした。猛獣の身体能力で、登り降り出来る場所を洗い出し潰す為でもある。

割りと、高い岩山なのである程度の足場があれば簡単に登って来られるだろう。よって、水平ではあったけれど十メートルに近い谷間を飛び越えられるそれはかなりの脅威と考えられた。

とりあえず、昨日ロッククライミングで登った地点に戻りゆっくりと拠点へ向かって移動する。もちろん、崖の様子を見ながらなので進む速度は遅い。こんな所を、猛獣に見付かったらカッコウの的だなぁと思いつつ背後から襲って来た衝撃と共に落ちて行った。

 

「フラグ立てた瞬間に回収とか、回避出来るかぁ!!」

 

なんとか、下まで落ちずに崖の中腹辺りで壁に貼り付いた俺は唐突なフラグ回収に憤っていた。つか、なんで思い浮かべた瞬間に回収なんだよ!?フラグは、立ててから時間を置いて発生するモノだろう!?瞬間回収なんて、割に合わないじゃないか!!

ひぃこらと、崖を登り切り俺と一緒に落ちて行った猛獣がどうなったか確認の為に覗き込む。だが、この辺りの岩壁は少し出っ張っているらしく下の方は見えなかった。まあ、見えたとしても地面の染みになった猛獣の姿が見えるだけなので問題ないだろう。下手に生き残っていても、また岩山の上で出会う事はないと思われる。

 

「会わないよね?」

 

登山道を見逃さない限りは、今後岩山で猛獣と出会う事はないと思われる。後は、空を飛んで来る方法だけど……羽も生えていない四つ足が、ここに来る事はないだろうと空を見上げたらハーピィーモドキ(Cランク)が猛獣を掴んで空を飛んでいる光景を見てしまった。だから、なんで面倒臭い事ばかり回収させるんだよ!?

 

「クソォ!《アクセルシューター》!!」

 

その時は、何とかそれで事を済ませたけれど……本格的になんとかしないとヤバイ状況が出来上がりつつあると俺は感じた。なので、その日は慌てて岩山の周囲を確認してマップを作った後対策を練る事に。腕輪型PCを使って、【組織】の掲示板に書き込んでみたらコテハン『戦国』さんや『戦闘狂』さんからアドバイスをいただけた。簡単なモノで、岩山の上部分を尖り山にするか……出来るなら、針山にしておくと問題ないとのこと。

いや、まあ……確かに、それをすれば安全は確保出来るけどさぁ?

滅茶、MPを消費してしまうだろう!?

そんな悲鳴を上げたら、セイビアさんから『お前、そこに何しに行ってんの?』という厳しいツッコミが返って来た。そう言えば、俺ここに修行をする為に来てましたね?そう返したら、『戦国』さんに岩山の外周を訊かれたので答えたらジェットコースターみたいなウォーキングコースを紹介された。

 

「これで、何をしろと!?」

 

《マラソンコースを作って、毎日走る!》

 

《お?心臓破り?良いねぇ(笑)!》

 

あんまりな提案に悲鳴を上げたら、セイビアさん達が魔改造しに来ると言い出したので涙を飲んで作る事になった。クソォ!

なんでコイツ等、こんなにスパルタなんだよ!?と文句を言ったら最近これ以上のスパルタをやらかしている奴がいたらしい。

 

《まあ、双夜なんだけどさ(笑)》

 

《スパルタもスパルタ!俺達ですら、ドン引きのスパルタだったよ!!つか、《神殺し》ですらドン引きするスパルタとか(笑)》

 

なんて言われたら、俺は何も言い返せなかった。というか、このまま行くと俺はベリーベリーハードな奴等の元に突っ込む事になるらしい。そうなる前に、ある程度のハードな体験をさせてから慣らした方が良いだろうという結論に至ったらしい。

 

「………………マジか……」

 

俺の不幸は、ここが終わっても続くらしい。

 

 

 

LV 1→2

HP 3848←(+)

MP 4467←(+)

TP 1400←(+)

SP 1000←(+200)

STR  1094←(+)

VIT  1643←(+137)

DEX 929←(+56)

INT  1262←(+)

AGI  1066←(+113)

MND 730←(+154)

LUK  56←(+)

CHA  670←(+)

 

スキル技術

《瞬動術Lv5》《身体能力強化Lv5》《伐採Lv4》《木工加工Lv3》《忍び足Lv4》《気配感知Lv3》《魔力感知Lv3》《体術Lv2》

《調合Lv5》

スキル魔法

《魔力操作Lv5》《生活魔法Lv5》《土魔法Lv5》《風魔法Lv5》《錬金術Lv3》

固有   なし

EX   《神速》

称号   《器用貧乏?》

 不死の呪い

 不老の呪い

 再生の呪い

 不能の呪い

 

 

 

 

 




禍焔凍真が、某ツンツン頭な不幸少年に匹敵する不幸っプリに磨きが掛かってきた今日この頃。まあ、他人よりかは不幸体質なのは間違いないのでステータスにも反映されているんだけどね?例えば、LUKが一般の人より半分程しかなかったりとか(笑)。そして、当人に取って嫌な感じの事ばかりフラグ回収させられるとか……マジ、やってらんない。その上、アドバイスを求めたらよりハードなクエストを頂いてしまう始末。これも全て、双夜が神崎に色々やらかしているせいですね(笑)。

一般的に、LUKは基本が100で普通なのにトーマは56しかないという事実。残りの44Pはどこ行った!?って感じだけど、これは《神殺し》に転生する前から変わってなかったりする。つまり、コイツは元から不幸体質なんだよ(笑)。まあ、性格がまともなんで能力も普通になるハズだったんだけど……一度目の転生の際に、色々頑張ったせいでこんなステータスにwww。お疲れ様♪。

そして、漸くレベル2です!まさか、あんなシステムになっているなんて誰も予想すらしてなかっただろう!(笑)。
ステータスを一定量上げて、EXPを獲得しないとレベルが上がらないとか無茶してくれる!だが、トーマを普通のRPG世界に入れたらスローライフとかおかしな事になりかねないので諦めた感じだ。やりそうだよな!スローライフ!!

前回、DOG DAY'Sネタを振ったのでDOG DAY'Sルートだと心待ちにしていた人達へ……ごめんなさい。
ちょっと、閑話な凍真ルートが差し込まなきゃならなかったので。一応、一応ね?次回は、多分DOG DAY'Sルートだから!多分ね?

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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