絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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原作で、一つ気になっていることがあります。

【エレミアの真髄】
アレって、アレな時も発動するの?
恋人と愛し合う時、うっかり発動して相手を柘榴みたくしちゃわないよね?

私、すっっっごく気になります!!!

祝:お気に入り数70突破!!:祝
とても、嬉しい!(o^-^o)


十八話

なのは

 

 

 

「ねぇ……双夜知らない?」

 

 

優しい微笑みを浮かべながら、優雅にティーカップを口元に運ぶ私達の親友が目の前のソファーに座っている。

ただ、それだけなのに今はすずかちゃんがすっごく怖い。

同じ場所にいるだけなのに、足下から冷ややかな空気が這い上がって来るようだった。

 

 

「私も最近、顔を会わせてないかな?ずっと、すずかちゃんの所にいるんだと思ってたんだけど……」

 

 

「私は、なのはちゃんの所にいるんだと思ってたよ?」

 

 

チラッと、パスするつもりで視線をフェイトちゃんに向ける。その意を汲んで、フェイトちゃんはコクリと頷いた。

 

 

「い、一応、双夜が行きそうな場所(食料店廃棄コース)は見て回ってるけど……最近は、見掛けないよ。大悟は?」

 

 

フェイトちゃんは、怯えながらもそう言って神崎君に話題をパスする。この場に神崎君がいるのは、管理局繋がり。

管理局のお仕事で、リンディさんやクロノ君に用事があったらしい。

 

 

「師匠?そういえば、最近見ないッスね……きっと、使い魔に呼ばれて次元を渡ってるんじゃないッスか?」

 

 

双夜を知っていそうな方々には、予め話を聞いて来たらしい。それでも、双夜の行方は知れず……最終的に、フェイトちゃん家であるハラオウン家に行き着いたという。

 

 

「えっと、それですずかは私達にどうして欲しいのかな?」

 

 

「もちろん、双夜を探して欲しいの……ーーーで」

 

 

なんだろう?今、聞き取れない言葉があった様な気がする。しかし、すずかちゃんは普通にしているし、フェイトちゃんも真っ青な顔で震えていた。どこもおかしくないのに、どうして……こう、鳥肌がたっているのだろうか?

 

 

「……探すとしても、手懸かりとかあるかなぁ?」

 

 

「あるじゃない……フレールくん」

 

 

ポン!と音と共に現れたのは、双夜の使い魔のフレールくん。「きゅ!!」と可愛らしく鳴くその姿は、デフォルメされた蜥蜴。もしくは、謎生物。

 

 

「……それで?フレールくんは、お話できないよね?」

 

 

「もう、なのはちゃんは……フレールくん、テオルグさん呼んでくれるかな?」

 

 

「きゅ?きゅきゅ!!」

 

 

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ~ン!!テオルグ、ただいま参上いたしました!!」

 

 

「なんで、そんなテンション?」

 

 

「ダメだよ?なのはちゃん、そこはスルーするところだから」

 

 

「ええっ!?放置プレイ?」

 

「プッ(笑)「ああ!?」……きゅ?」

 

 

「あ、そうなんだ……」

 

 

すずかちゃんのダメ出しに、テオルグさんが落ち込んでしまった。しかし、直ぐに立ち直って私達の話を聞いてくれる。

 

 

「えっと?マスターが、いなくなった……ですか?」

 

 

「なにか、知らない?」

 

 

「こちらには、何も……飲食店廃棄コース巡りでもしているんじゃないですか?」

 

 

テオルグさんも、双夜の行方を知らないらしい。

 

 

「あ、そっちはもう探したよ!」

 

 

「じゃあ、下水道とか?ゴ……ゲフン、ゲフンッ!黒いヤツ捕獲してるとか……」

 

 

『……………………』

 

 

その場に、沈黙と微妙な空気が流れる。

テオルグさんが、Gを直名で言いかけて黒いヤツと言い直したからだけど……言いたい事は、すっごくわかるんだけど。それでも、私達にとってその話題は避けて欲しい。

 

 

「後は、悪戯前準備中かもですね……」

 

 

「他の使い魔達から、双夜に関する情報とかないの?」

 

 

「今のところ、そういう通達はありませんね……」

 

 

使い魔である、テオルグさんが知らないとなると……今、双夜はどこにいるのだろうか……。

 

 

「【次元消滅術式搭載型爆弾】を見付けたとかは?」

 

 

「それは、あり得ません。それならば、全員に情報が伝達されるはずですから……それに、もっと大騒ぎになっているはずですよ?」

 

 

「そう…………そだね……」

 

 

「双夜の居場所、わかる方法はないの?」

 

 

「……マスターの側に、フレールくんが居れば……わかると思いますよ?ただ、こちらの音声を届けたりすることはできないんですけどね……」

 

 

「それで、構わないよ。お願いできるかな?」

 

 

「あ、はい。お任せください!」

 

 

テオルグさんが、ひょいと立ち上がってウィンドとコンソールを空中に展開する。これなら、割りとアッサリ双夜を見付けられそうだ。

 

 

「……言っておきますが、真っ暗だったら何処かなんてわかりませんからね?場所が特定できるのは、マスターだけの特権なので……我々が、マスターの居場所を感知することは不可能です。まあ、それでも見付け出すことは可能なんですけどね」

 

 

テオルグさんは、苦笑いをしながらコンソールを流れるように操作していた。

 

 

「どうするの?」

 

 

「使い魔全員で、捜索するんですよ。一応、今使い魔のコントロール権限は側近のアルカリアさんが持ってますので、それを使って捜索します」

 

 

すずかちゃんの問い掛けに、アッサリ答えたテオルグさんは何処か自慢げで楽しそうだった。

 

 

「我々、使い魔の中にはスペシャリストもいますので、色々やりたい放題できるんです。捜索・捜査・諜報やらなんやら……そして、マスターの能力で敵はおろか味方の弱味まで握れます!!」

 

 

何でこの子達は、すぐ犯罪方面に走るのだろうか?

それさえなければ、すっごく良い子達なんだけど。

 

 

「はい。繋がりました!では、ウィンドに映しますので少々お待ちを………………」

 

 

私達から少し離れた空中に、大きめのウィンドが出現する。

そして、フレールくんの目から見た光景が映し出された。

 

 

「…………真っ暗だね……」

 

 

「うん。やっぱり、下水道かな?」

 

 

『…………………………があっ!!』

 

 

何処かの下水道なんだろうと結論付けようとした時、何か鈍い音と共に液体を壁に叩き付けた様な音と同時に、悲鳴のような声が真っ暗な映像から聞こえた。

更に、眩い程の光と拘束された人のシルエットが浮かび上がり、ゆっくりと暗闇に消えていく。

 

 

「え……何、コレ……」

 

 

『いつまで、黙っているつもりだい?』

 

 

男の声が聞こえる。

 

 

『……がはっ!!』

 

 

今度は、シュランッ!と金属音が聞こえて、また鈍い音と共に液体を壁に叩き付けた様な音が悲鳴と同時に聞こえた。眩い程の光と、小さなシルエット。

 

 

『もう、痛い思いはしたくないだろう?』

 

 

誰の声かはわからないけど、直感的にコイツが元凶なのはわかった。

 

 

『……ギアッ!!』

 

 

また、金属音と鈍い音と液体の音と悲鳴。

眩い光と誰かの影。

それが、誰の影なのか私にはもうわかっていた。

ただ、それを頭が理解してくれない。

 

 

『さあ、不老不死に至る秘密を吐け!化け物がぁ!!』

 

 

『……へっ、誰が語るギャッ!!』

 

 

 

ーープツン。

 

 

 

金属音と鈍い音と液体の音と悲鳴。

また、眩い光と双夜のシルエットがウィンドに映る。

 

 

「レイジングハート……」

《standby ready……set up!》

 

 

頭が真っ白だった。

つい、自分の愛機の名を呼ぶ。

それだけで、私は戦闘体勢に至る。

 

 

「え!?ちょ、な、なのは!?」

 

 

「セイバー……」

《standby ready……set up!》

 

 

神崎君も、セットアップしてテオルグさんの元へ。

 

 

「ええっ!?ちょ、だ、大悟!?」

 

 

「緊急事態発令。全軍に通達。マスターが、拷問を受けています。探し出して、制裁を!!敵は、不明。不老不死になりたいとかぬかしているので、死にたいアホと認定。惨殺対象とします。スペシャリストに伝達。マスターを探し出して救出を……敵は殲滅してください……」

 

 

「ええっ!?ちょ、テオルグ!?」

 

 

フェイトちゃんが、何かを言っているけど……私の耳には、何も入ってこない。

 

 

「ちょっと、クズを殺してくるわ……」

 

 

その意見には、賛成だ。

 

 

「あ、私も行くよ。神崎君……」

 

 

彼の後を追うように、私もテオルグさんの元へと移動する。

 

 

「あ、あのね、二人とも……」

 

 

「私も行くね……」

 

 

「ひぃ!?」

 

 

すずかちゃんも、私達と一緒に行くつもりみたいだ。

ゆっくりと、私達の元に歩いて来る。

 

 

「……って、何だコレ!?何をやっているんだ!?二人とも!!こんなところで、セットアップして……」

 

 

クロノ君が、リビングに入って来て何か怒鳴っている。

 

 

「あ、クロノか……ちょっとこれから、クズを殺してくるわ……」 

 

 

「コッ!?何を言っているんだ!?正気か!?」

 

 

「私達は、正気だよ?」

 

 

「ひぃ!?」

 

 

クロノ君が、私を見て悲鳴をあげる。もう、酷いなぁクロノ君は……それじゃあ、私が怪物みたいじゃない。

 

 

「か、神崎、君も少し冷静になれ!!」

 

 

『…………がはっ!!』

 

 

「!?何だ……!!」

 

 

ウィンドから、眩い光と双夜のシルエットが映し出されている。それをクロノ君は、しばらく見ていて青冷めていた。

 

 

「原因は、コレ、か!?」

 

 

『さあ!我々の未来と崇高たる覇権の為にっ!答えろ!!不老不死に至る、その秘密をっ!!!』

 

 

「……………………バカなっ!!」

 

 

「ど、どうしよう!?クロノっ!!」

 

 

慌てているフェイトちゃんが、クロノ君にすがるようにしがみついて泣き崩れた。

 

 

「騒々しいわね……どうし、た……の!?」

 

 

リンディ提督が、制服のままリビングに入ってくる。

そして、この惨状を見て固まった。

 

 

『こちら、アルカリア。状況は、把握した。【次元消滅術式搭載型爆弾】の対処を一時凍結。全軍に通達、マスターの捜索を最優先とし、敵兵力の殲滅を命じる!!』

 

 

『了解!!!』

 

 

「え?え……え……?な、何があったの!?」

 

 

「かあ……艦長、どうやら双夜が捕まって拷問をーー」

 

 

『イガァッ!!』

 

 

まだ、双夜の悲鳴が聞こえる。

 

 

「テオルグくん、双夜の居場所……まだ、わからないの?」

 

 

「今は、時間をください。最低でも、2時間あれば何とかなります……何処の世界かさえわかれば、いくらでも手の打ち用はありますから!」

 

 

「テオルグくん、一時間でお願いね?」

 

 

「あ、はい。…………ヤバイ。すすかさんが、恐ろしくて素に戻ってしまった……」

 

 

テオルグさんが、微妙な影を引いて落ち込んでいる。

 

 

「大丈夫。ここには、心強い執務官が二人もいるんだもの……すぐに、双夜を助け出して連れて帰って来るよ!!」

 

 

「え、えっと……なのは、さん?」

 

 

「なんですか?リンディ提督……」

 

 

何故か、困惑気味のリンディ提督。

どうしたのだろうか……いつもの気迫がない。

 

 

「と、とりあえず、落ち着きましょう!!」

 

 

「私は、落ち着いてますよ?ええ……それはもう、頭が真っ白になるくらい……」

 

 

「全然、落ち着いてないからね!?なのは、ちょっと、落ち着こう!!」

 

 

涙目のフェイトちゃんが、私の両肩に手を置いて前後に揺すってくる。ちょっと、フェイトちゃんが可愛いので少しだけ身を任せておいた。

 

 

「ん?メール……」

 

 

「もう、フェイトちゃんてば……私、ちゃんと落ち着いてるよ?直ぐにでも、SLB撃てるし……ほら、ブラスターワン!」

《Blaster Fast!!》

 

 

足下に魔法陣を展開し、魔力を解放する。

 

 

「ひぃ!?な、なのは?こんなところで、SLB撃たないよね?」

 

 

「げぇっ!!」

 

 

「にゃはははは。流石に、そんなことしないよ!もうぉ、変なこと言わないでよね?」

 

 

「そうだよ。ふふふ。おかしなフェイトちゃん……くすくす……」 

 

 

「本当に?本当だよ!?二人とも、正気に戻ってね!?」

 

 

「Mayday Mayday!!こちら、テオルグ!アルカリアさん、応答願います!!」

 

 

『……どうした?』

 

 

「今から送るメールに、目を通してくださいっ!!送信っ!」 

 

 

『ん?メール?』

 

 

何か、テオルグさん達が騒がしくなる。

もしかして、双夜の居場所が判明したのだろうか?

 

 

「双夜……私の可愛い双夜……双ニャ……ハァハァ、カワイイヨ……ソウニャタン……双ニャ……ワタシのソウニャタン……」

 

 

「ん?ひいぃぃ!?」←正気に戻た。

 

 

あ、アレ、すずかちゃんだよね?

何か、黒くて赤いナニカになってしまっている元すずかちゃんがそこにいた。

 

 

『ちょ、これ本当?冗談じゃ……』

 

 

「冗談でしたら、どれ程良かったか……」

 

 

『何でワザワザ地雷を踏みに来るんだ……』

 

 

「あ、なのは?落ち着いた?」

 

 

「え、えっと……フェイトちゃん、どうしたの?」

 

 

「ああ……良かったぁ。いつものなのはだ……」

 

 

何故か、ヘナヘナと座り込んでしまうフェイトちゃん。

支え切れずに、一緒に座り込む事になってしまった。

 

 

「兎に角、双夜の事は私達に任せて?絶対、見付けて来るからっ!!」

 

 

フェイトちゃんが、真剣な瞳で見上げて来る。

それで、私は思い出す。双夜が、何者かに捕まって拷問を受けているということを。

 

 

「ダメだよ、フェイトちゃん。双夜は、私の子供なんだから……私も助けに行くよ!」

 

 

「なのは……うん。一緒に、双夜を助けよう!」

 

 

「あー、再確認している所悪いんだが……」

 

 

「何?クロノ君……」

 

 

「後、一週間程で世界が滅びる可能性があるんだろう?だったら、このまま放って置いても大丈夫何じゃないか?」

 

 

「く、クロノ!?」

 

 

クロノ君の意見を聞いた私は、自分の耳を疑った。

まさか、クロノ君が双夜の放置を考えているなんて思わなかったからだ。

 

 

「クロノ君!?……それ、どういう意味?」

 

 

「どうもこうもない。それでなくても、彼には煮え湯を飲まされているんだ。ここで、動かなくてもその内世界が消滅して僕等は消滅。彼は四週間前に戻る……こんな理不尽はないだろう?彼だけは生き延びて、僕等は消えてしまうんだ……」

 

 

だから、放って置いても問題ないとクロノ君は言う。

クロノ君からしたら、双夜は理不尽な存在だろう。

翌々考えてみれば、クロノ君は双夜に散々翻弄されてきた人の一人だ。クロノ君からしたら、双夜の行動は意味不明だっただろうし、ずっと双夜の我が儘に苛立ってもいた。

護りたいモノを護れなくて、護れるモノを切り捨てろと言われ……クロノ君は、諦めてしまったのだろう。

だけど、ここで動かなかったら私は双夜の母親として失格だと思う。

 

 

「わかった。クロノ君は、なにもしないで良いよ……」

 

 

「なのは?」

 

 

「でも、私は行くよ。だって、私は双夜のお母さんだから……双夜を守りに行くよ!!」

 

 

「何もしなくても、助かる存在を君は助けに行くと言うのか!?アイツは、この世界を見捨てたんだぞ!?」

 

 

「見捨ててなんか無い!!なら、どうして使い魔達を引き上げさせてないの!?どうして、ずっと【次元消滅術式搭載型爆弾】を捜索しているの!?」

 

 

「…………そ、それは……」

 

 

「見捨てて無いからじゃないの!?できるなら、滅びる事がわかっているこの世界を諦めたく無いからじゃないのっ!?だから、私も双夜を助けるの!!今、助けなかったら私……私は、双夜のお母さん失格になっちゃう!!」

 

 

「……………………」

 

 

クロノ君は、無言で俯いていた。

私は、振り返るとテオルグさんの元へ急ぐ。

さっき、騒がしかったから双夜が見付かったのだと思う。

 

 

「双夜、見付かったの!?」

 

 

「え?あ……いえ……その…………ちょっと、厄介な事態に成っていまして……助けるよりも、停めないとマズイかもです……」

 

 

『…………停める???』

 

 

すずかちゃん以外が、首を傾げた。

すずかちゃんは、未だに黒く赤く淀んでいる。

いや、むしろ悪化している様にも見えた。

 

 

「ウフフ……ソウニャタン……ハァハァ……ソウニャタン……ペロペロシタイナァ…………一緒ニ、オ風呂入って……ペロペロ……ペロペロ……キャ♪」

 

 

「……………………」

 

 

アレ、誰だろう?

最早、気が動転しているとは言えない存在がそこにいた。

TAKE3では、双夜をアレ(すずかちゃん)に会わせないようにしないと……双夜の貞操が、危険な気がする。

 

 

「どういう事なの?テオルグさん!!」

 

 

私は、極力アレを見ない様にしながらテオルグさんに話の続きを求めた。

 

 

「あー……その、マスターを拉致したのは……時空管理局の高官みたいですね。マスターも、それを知ってて捕まった……いえ、着いていったみたいです……」

 

 

「待て!……知ってて、着いていっただって!?」

 

 

「はい……」

 

 

双夜が、『知ってて』着いていった?

それを聞いて、何がどうなっているのか私にはサッパリわからなかった。双夜は、拷問を受けることをわかっていたのに着いていったのだろうか……。

 

 

「つまり、拷問を受けることがわかっていたのに……着いていったって事か!?」

 

 

テオルグさんが、呆れた様な……諦めた様な微妙な、顔をする。どこか、疲れているのは気のせいだろうか……。

 

 

「いえ、拷問は知らなかったと思いますよ?ただ、管理局の回し者だという事だけを知っていたんじゃないでしょうか?」

 

 

「そうか……なら、なぜ着いていったんだ!?」

 

 

「興味本意じゃないですかね?」

 

 

「ああ、神崎さんも正気に戻ったんですね……」

 

 

「流石に、アレを見たらなぁ……」

 

 

『……………………』

 

 

全員が、一度は『ソレ』を見て納得し……極力見ない様に視線を外す。

 

 

「師匠には、そういうところがあるから……」

 

 

「恐い物見たさというか……奈落の淵を覗き込む様な……ですね。多分、そんなところでしょう……」

 

 

「それで?厄介な事態って、何だ?」

 

 

「あ、はい。……その……マスターには、【聖なる浄化の光】ですら浄化しきれない“心の闇”があります」

 

 

「あれ?話、飛んだ?」

 

 

「いえ、前提から入りましたから。【聖なる浄化の光】に関しては神崎さんが詳しいです」

 

 

テオルグさんは、首を振って否定する。

前提ということは、まず知っておかないといけないことなのだろう。

双夜の“心の闇”……普段の様子からは、そんな素振りは無かったように思える。

 

 

「【聖なる浄化の光】って、アレだろう?どんな極悪人でも、たちどころに《良い子》にしてしまうというアーティファクト……」

 

 

「何だそれは!?そんなモノを持っているのか!?」

 

 

「いやいや、持っているんじゃない。魂の中に融合しているんだそうだ!!取り出しは、事実上不可能だよ」

 

 

【聖なる浄化の光】かぁ……どんな極悪人も《良い子》にできるなんて凄いロストロギアだなぁ……ん?あれ?

 

 

「でも、双夜は……」

 

 

「はい。悪戯好きの悪い子ですね。おかしいと思いませんでしたか?神崎さん。そんなアーティファクトが魂と融合しているのなら、マスターも同じ様に《良い子》でなければおかしい……と。ですが、マスターは悪人のままで……《良い子》とは程遠い。まあ……結論から言うと、マスターの“心の闇”はとても浄化できるモノではないのです。元々、マスターは【魔王】と呼ばれ恐れられていました。これは、アダ名等ではありません。ましてや、比喩でも揶揄でも無く……事実上の話です。それを止めたのが、【あの組織】の方々でした」

 

 

「…………【魔王】……」

 

 

「数多くの世界を滅ぼし……平行世界並列世界を股にかけて暴れ回る暴君。怒りと憎しみと絶望の【魔王】。ただ、ただ、悲しみの果てに歪んだ怪物です。それを止めて、【聖なる浄化の光】を使いマスターに正気を取り戻させた彼等にいくら感謝しても仕切れません。まあ……マスターは、彼等を余り良く思ってはいないんですけどね……」

 

 

「そう……なの?」

 

 

「ええ」

 

 

テオルグさんが、何故か困り顔で苦笑いした。

 

 

「???」

 




すずかママ恐怖フラグ回収!!

いつの間にか、捕まって拷問受けて助かる双夜。
クロノ君の、「放って置け」発言が間違いではなかった件。そして、時空管理局の危機没発。
わざわざ、地雷踏みに来なくても良いのに……。

漸く、双夜の過去を語ることができる。
また、横に反れそうになったけど……軌道修正に軌道修正を掛けてなんとか本筋に……。大変だった!!

前回のあとがきで、一部違うことを言ってました。
この話の根幹に関して……神を殺したいのもあるのですが、それは『ついで』ですね。目的の一つではあります。

因みに作者は、外国の神様は否定的です。が、日本の八百万の神々は大好きです!!『千と○尋』の大根様とか!!
良いですよね……大根様……(*´∇`*)。
人間ッポクて人間臭いのに、神様扱いなところとかが気に入ってます!!

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m(_ _)m

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