絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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二八三話/凍真を……

???

 

 

時間軸不明/【外側】雲海の宇宙(ソラ)。

 

 

「よう、セイビア」

 

「おう。協力感謝、セトイルド」

 

「お?飛龍も来てるな……」

 

「後は、ザッスくらいか……つか、協力してくれそうな奴が少ないねぇw ま、風紀委員に見付かるとヤバイからなw」

 

『地獄』と呼ばれた戦域からの帰り、セイビア達はとある空域に集まっていた。そこから少し、【内側】に進めば【魔法少女リリカルなのは】と呼ばれる複製世界へと行く事が出来る。

しかし、入界許可を持たない彼等はその空域から【内側】へ近付く事はなかった。『冷やかし』をしている馬鹿が一人居るけれど、他の者達はグッタリと気絶している凍真を眺めながら何かを待っている。因みに、『冷やかし』とは入界許可を持たない者が無許可にも関わらず【内側】の世界へ入ろうと試みる行為の事で、入りそうで入らない行為を繰り返す事を『冷やかし』と言う。現在は、飛龍が出入口付近でそんな戯れを行っていた。

 

「つーかよ。本当に、双夜が【魔王化】するのか?」

 

「するハズだよ?真歴には、そう記載されていたからね……」

 

「真歴……か。読み解ける者は次代への切符を得ると言うが……」

 

「レイは、読み解けなかったから次代には残らないよ?」

 

「もったいない。新たな出会いがあるかもよ?」

 

「悪いけど、レイ以上の女性は見付からないと思うぞ?」

 

「かぁー……のろけるなよ!」

 

「のろけてなんかねぇよ……」

 

「これだから、愛妻家は……」

 

「ロリコンのてぇめぇには言われたくはないね!つか、何だよあのコテハン……【Yesロリーター!タッチ上等!!】なんて、喧嘩売ってんのか!?」

 

「フッ……『ノータッチ』なんて、愚者の戯言だろ?いずれにしても、犯罪は犯罪だろう?それを『ノータッチ』等と言葉を濁して無害を装うなぞ愚かと言わずに何と言えと?」

 

「おま……今、全国の紳士を敵に回したぞ!?」

 

「フン。言いたい奴には、言わせて置けば良いのだよ」

 

「とりあえず、通報はしておくな?」

 

「うぉい!?ヤメロ、またガサ入れされるだろ!?」

 

セイビアと言い争っているのは、『ガク・セトイルド』と呼ばれるロリコンである。間違い(笑)というか冗談?何はともあれ、コテハン【大樹(大兄)】や【果実(弟)】の中兄で零の次元で【始まりの魔法使い】を見付けた元人間である。

彼が【零の次元】に現れた事で眠りに着いていた【始まりの魔法使い】を目覚めさせ、今の【組織】の原形を作り上げた人物だ。元々、幻想界(未紹介)や天界・魔界等を管理する組織を作っていた人物で、三界を固定観念から解放した裏方の英雄である。変態だけど!!そして、最終的に丸っと【始まりの魔法使い】へと【組織】を丸投げした人物でもあった。

『無責任』と非難するなかれ。

彼の役割は、【組織】や【仕組み】を作り上げるまでだ。

それが、ガク・セトイルドと呼ばれる人物の役割である。

 

「てかさ、まさか【組織】で路頭に迷う奴が出ようとはなぁ……」

 

「……それ、間違いなく双夜が『足手まとい』と凍真を突っ返したからなんだろうね。その結果だろう?」

 

「まあ、当人もほぼ強制的にこちら側に組み込まれたからな。監視だけの話だったのに、まさか戦闘まで参加するとは思わなかったみたいだし……」

 

「…………確か、【魔法少女リリカルなのは】ってバトル系の物語だろう?イケると思ったんじゃないか?」

 

「対人なら兎も角、対堕ち神なんてとてもとても無理!!」

 

「これ幸いと、突っ返す双夜も馬鹿だけど……その切っ掛けを作った凍真も馬鹿だよなw!ははは、草生えるわwww!!」

 

「監視だって言われてるのに、戦いに参加するとか馬鹿としか言い様がないな!神崎みたく、可能性を組み込まれた訳じゃあるまいし……対堕ち神なんて、儚き夢よwww!!」

 

基本的に《堕ち神》と相対出来る《神殺し》は、鍛練を続け奥義を身に付けた者に限られる。神崎は、師範代や双夜がそれなりに技術を叩き込んでいるので戦えるけど……凍真に至っては、何の技術も持たない内に戦いを挑んでしまったが故に負けてしまった。しかも、今の凍真には神様転生した時の様な神様特典に値するスキル等が存在しない。当人も、使えなくなった特典に疑問を感じつつも過ごしている状態だった。

神崎の様に、【ギルガメッシュ】と呼ばれた人物の様に何らかのスキルを持つ人物に転生していれば何かしら引き継げただろうけど……凍真は、物語の人物ではなくオリジナルで生まれた人物である。故に、《神殺し》へと転生すれば特典は消失してしまう。

よって、【リリなの】に転生した時よりも弱体化していたのであった。にも関わらず、彼は転生前と同じ様に戦おうとして何も出来なかったという訳だ。

 

「つーかよ……コイツ、監視だけの為に《神殺し》にさせられたんだろう?監視だけなら、戦闘スキルなんて要らないよな?」

 

「ザッス、見も蓋もない事言うなよ……」

 

「ま、普通に要らないんだけどね……」

 

「セイビアまで、正論を言ってやるなよ……」

 

「みんな、残酷だよね!!」

 

「飽きたのか?」

 

「飽きた!!」

 

「……にしても、目覚めないな……」

 

「起こすなよ?絶対、飛び起きるだろうから(笑)」

 

「「「起こさ(ないよ)ねぇよ!?」」」

 

四人は、共に眠る凍真を見て邪悪な笑顔でニヤリと嗤う。

コイツ等もまた、悪戯が大好きな奴等だった。双夜とつるんで、更に他者を驚かせる事に生き甲斐を感じる感性を育ててしまったお馬鹿達である。とは言え、頻度は双夜程ではないけど。

そんな風に、雑談で時間を潰しているとゾワッと背筋を駆け抜ける様な気配を感じて誰もが【リリなの】世界への入り口へ視線を向ける。それと同時に、心臓を鷲掴みする様な怖気と壮絶な程の禍々しい覇気に加えてその場に居ないにも関わらず殺意が場に満ちた。

瞬間、凍真が顔を真っ青に染めて飛び起きる。

 

「うわああぁぁぁ!?何、何!?何コレ!?」

 

「おうおう。ブチギレですよ?」

 

「何時もながら、凄まじい気配だよね!」

 

「くっ……この気配、魔王が復活したのか!?」

 

「何のロープレやねんって!?」

 

「魔王復活の時、勇者は!?ってロープレ(笑)」

 

「むしろ、『奴か!?( ・`д・´)+キリッ』じゃね?」

 

「もしくは、『おぉ……我等が【神】よ……』とか?」

 

「は!?ナニ、コレ……メッチャ、体が震えてるんですけど!?」

 

「それだと、土下座だな!」

 

「フム。土下座だな!!」

 

「さあ、土下座をするのだ!!」

 

「ちょ、何で俺が土下座をする事に!?」

 

「言い出しっぺだからな!やれ、ザッス!!」

 

「お前が、言ったんだろう?」

 

怯え、震える凍真を放置して本来であれば解説をしている人達が何やらお馬鹿を言ったザッスに土下座を強要している図があった。双夜の【魔王化】初体験者と、慣れてしまったお馬鹿さん達のコントは続く。と言っても、強要に飽きた飛龍は凍真の前にしゃがみ込んで首を傾げてたりするのだが……解説を始める様子はない。まあ、そもそも飛龍はそういうキャラでもないので仕方がない。

それ故、その場は正に混乱の極みにあった。

 

ギュウイィィィン!ギュウイィィィン!!

 

「お?」

 

「ん?」

 

「ふぁ?」

 

「にゅ?」

 

「「「出撃命令!?」」」

 

「ソウニャか!?」

 

「え?え?え?え?なに!?何!?何!?何!?」

 

其々の持つ、腕輪モドキ上に小さなウィンドが開いて出撃命令の文字が踊る。それを見た彼等は、漸くその状況を理解して【リリなの】世界の方に視線を向けた。だが、誰も動こうとはしない。

 

「出撃命令とかww!!」

 

「俺等、其々の世界に散ってるこの状況で【魔王】を相手にしろとwwww!?超ウケるんですけどwww」

 

「ナニソレ、どんな無理ゲーwww!?」

 

「ヤッベー!草生えるwww!!」

 

「【組織】も無茶を言うwww!俺等に死ね!だってwww!」

 

「「「「無いワーwwwww」」」」

 

手を左右に振って、大笑いを始めるセイビア達。現状の【組織】では、まともな戦力は集まらないし……もし、【魔王化】した双夜と殺り合えばどうなるかなどわかり切った結論でしかない。

故に、彼等は動かない。それは、【組織】に所属する者達でも同じだろう。それだけ、【組織】戦力は分散していた。

 

「ま、放置で大丈夫だ。直ぐに、正気に戻る……」

 

「それも、真歴にあるのか?」

 

「そもそも、真歴にある情報では双夜が本気で目覚めるのはもっと先だからな。目覚めれば、【組織】では止められんよ……」

 

「【魔女】も、復活するしなぁ……」

 

「デスヨネーwww」

 

「【魔王】と【魔女】が揃えば、俺等に勝ち目なんて存在しない。それは、《旧・神族》でも同じ事……俺等は、ただ黙って見てれば良いんだよ。【終演の魔法使い】が、全てを終わらせてくれるさ……」

 

「…………つか、見てるだけじゃマズイだろ?被害は、最小限に抑えねば知的生命体に未来がない……」

 

「それはそれ。これはこれ」

 

「セトイルドも、()()のか?」

 

「まさか……残らねぇよ。俺の成すべき事は終わっている。

種は撒いた……後は、芽が芽吹くのを見ているだけだ」

 

「其々の役目を、未来の為に……ウォーティーは、残るだろうな……彼女は、()()とは別口だし……」

 

「……と。【魔王化】終了みたいだぜ?」

 

ホンの数分間の間のみの【魔王化】だったらしく、唐突に周囲を支配していた気配が消える。それと同時に、腕輪から発せられていた非常通知音が消えた。

 

「さて、トーマ?今のが、如月双夜の【魔王化】だ。覚えておけよ?お前は、さっきのを直接的な位置で見て?感じて?【組織】に報告するのがお役目だ」

 

「まあ、こちらで感知出来れば迎撃には行けるんだけどな。あー……兆候とかが、あれば事前に報告するんだぞ?あ、これは双夜に関する資料な?ちゃんと、目を通しておけよ?」

 

「へ?は?え???」

 

状況が把握仕切れないのか、凍真の様子からは混乱しているだけの様で今一伝わっているのか判らない。それでも、資料(紙の束)は無理矢理凍真の腕に押し付けられるかの様に渡された。

 

「てか、それ()渡すの?」

 

「普通は、もっと前じゃね?」

 

「文句は、【始まりの】に言え!奴の不手際だ」

 

「うわー……責任転嫁ですか!?まあ、端末で調べられる事なんだけどさ。有名な話だし……胸糞だけど」

 

「胸糞だよな。双夜の世界って、どうしてあんな事になったんだか……つか、科学方面に進化してればもう少しマシだったハズなのにな?」

 

「言うな。力に飢えた馬鹿が多かったんだろ……」

 

「力ねぇ。そんなもん、あった所で意味も無いだろう?」

 

「実際、持ってる俺等がひたすら戦い続けてるしなぁ……」

 

「のんびりまったりスローライフが一番だな!!」

 

「ははは。人の夢は、儚いと書くんだよ……スローライフしたい(超願望)。滅茶、のんびりしたい……」

 

「ヤメロ!マジ、ヤメロ!!段々、黒くネバネバになるから!!」

 

「でも、のんびりまったりスローライフは総意だからな?」

 

「まあ、女は別意見なんだけど……」

 

「奴等は、のんびりまったり働きたい派だからな」

 

「生活必須。そこそこ稼いで、のんびりまったりとか……」

 

「その癖、あれこれ欲しいと欲望いっぱいだ……」

 

「働けと?爛れた生活とかしてみたい……」

 

「俺等に休みは無い!!」

 

「ヤだなーw働きたく無いなぁwww」

 

「その点、独り身は良いぞぅ?自分だけの生活費で済むからにゃ!!独り身な自由最高(笑)!!」

 

「「「なんか、イラッと来るんですけど……」」」

 

「飛龍は、放って置いて。話を戻すぞ?」

 

「とりあえず、それに目を通せ。凍真」

 

「目を通すだけでなく、内容も覚えるんだぞ?」

 

「特に、人物写真は頭に叩き込め!超必須事項だから!!」

 

「あ、はい。えっと……」

 

矢継ぎ早に言われて、そこそこ混乱しつつも真面目に渡された資料に目を通す。そこには、如月双夜に関する情報が事細かに記載されていた。ぶっちゃけ、読み進める毎にイライラやムカムカが凍真の心中を占める。そして、凍真の目が据わり始めた。

 

「まあ、アイツの人生ってイライラするよな!」

 

「ムカムカもしますね……」

 

「親、殺したい!!」

 

「子供の幸せをブチ壊す親とか……有り得ないんですけど?」

 

「マジ、消えて欲しい。つか、時間転移で暗殺して来て良い?」

 

「ヤメレ。それはそれで、双夜が【魔王化】するから……」

 

「何故!?」

 

「殺すなら、親だけじゃなく親類全員な?」

 

「え……そっちも!?」

 

「ヤな一族だな……」

 

「複製世界で、数パターン試したけど……奴の【魔王化】は、中々に止まらんかった……いや、もう、マジで……」

 

「「「マジか……」」」

 

「つか、やったのか!?」

 

「やった。【始まりの魔法使い】まで参加しての大改竄になったけど……全く全然、上手く行かなかった……」

 

「ひぇっ……(恐)」

 

どこまでも、全力全開で【魔王化】まっしぐらな運命を持つ双夜だった。結局の所、双夜が【魔王化】しない未来という時間軸が双夜自身により改竄された世界以外存在しないのである。

収束する歴史……特異点からの解放となる行為に該当する攻略法は存在しない。そもそもが、そうなる事が前提としてある特異点であるが故にそれを異なる未来へと導くには()()()()()()()()()程度では代償にもならない。それもまた、代償の一つではあるだろうが……双夜が捧げた、()()()()()()()()()()()()()()には届かないだろう。

 

「なら、双夜はどうやって……」

 

「発想の転換だよ。蓄積された、自身の内にあるモノを代償に捧げて《代償対価の魔法》を使用したんだ」

 

「何を?」

 

「【絶望】だよ……」

 

「「「は!?【絶望】!?」」」

 

そう、双夜の【内側】に内包されていた数多の『如月双夜』が保有する【絶望】を対価に《代償対価の魔法》は発動されたのである。まさか、()()()()()()で特異点を消滅させるなんて……例え、思い付いても誰も実行する事はない。

だが、如月双夜は躊躇する事なくそれを実行に移した。

 

「普通に、マイナスの力だからな……プラスになるハズもないと思うのが当たり前だ。だが、アイツは()()()()()()()にその()()()()()()を使ったんだ」

 

それによって、()()()()()()()()()()()()()

その結末へと、進むハズだった運命が失われた事によりたった一つだけ……いや、たった一つの世界しか救えなかったという訳だ。

 

「いやいやいや。それ、かなり凄い事やらかしてますよ!?」

 

「判ってるよ。特異点の消去なんて、《旧・神族》が喜びそうな事……誰にも言うなよ?」

 

「「「言えるか!?」」」

 

口が裂けても、誰彼構わず言える訳がない。

特異点の消去……そんな事は、絶対に有り得てはイケない事だ。

その結末に至るが故に、生じた全ての事象を否定する様な行為が可能だなんて事が在る訳がない。それでは、【運命】そのものを否定する事になる。その為に重ねられた行為も、それを積み上げた歴史も『何もかもが無意味である』等と告げる事も情報として残す事も許されない。

 

「運命の改竄とか、因果の逆転なんてまだ可愛いよ。アカシックレコードを改竄する野郎が出て来るなんてな(笑)!!」

 

「【世界の記憶】……それを、改竄するって事は歴史を書き替える行為に等しい。そりゃ、《時間転移》で過去から現代に至るまでの歴史を変える事は出来るよ?でも、未来から過去の一部出来事を改竄するなんて出来るハズがないんだよね……」

 

「むしろ、過去から終着点である未来を改竄?」

 

「いずれにしても、無茶苦茶な行為をやらかした事だけは理解できた。全く、無茶しやがって……」

 

「滝の逆流とか、時間の逆行とか?」

 

「レベル的には……それ、低いからな?」

 

「巨大な隕石が落ちて来た!!しかし、被害0……みたいな?」

 

「くっ……また、微妙な……」

 

「掠りもしてないのに、その理不尽さだけが該当している感じがヤバい!!掠りもしてないけどな!!」

 

「確かに、理不尽極まりないよな……」

 

「フェイ、余り引っ掻き回すな……」

 

「はーい♪」

 

セイビアが、飛龍を止めて混乱するセトイルド達を諌める。

双夜の行った理不尽(話)は、一旦棚の上に上げて凍真の読み進めを促した。その上で、セイビアはショルダーバッグを持ち出し凍真の頭の上へと置く。

 

「これは、餞別だ。所謂、『収納ボックス』と呼ばれる物品だと思ってくれて構わない。君の任務が終われば、自動的に俺の元へと戻るから、その後があるのなら自力で頑張ってくれ。中身の方は、固形栄養食品と空間拡張がされたテントだ」

 

「飲み物はないから、現地調達でよろしくね!!」

 

「嵩張るからな。後は、サバイバルナイフとかが入ってる」

 

「オ〇フォールは!?」

 

「オカズも必要だぞ?」

 

「要らねぇよ!?要らないだろ!?」

 

「あ、はい、要りません」

 

「え?我慢出来るの!?【組織】では、超充実してたんだから辛いよ!?欲望を吐き出す道具は必需品だよ!?」

 

「あ、や、大丈夫です……(引)」

 

「というか、収納ボックスw」

 

「前時代の産物が、未だにあるって事実ww」

 

「アイテムBOXとかじゃ無いんだ……」

 

「時間停止系の能力は無い!」

 

「まあ、収納ボックスだし?」

 

「所詮は、収納ボックスだからな……」

 

「ぶっちゃけ、程度の良い収納ボックスだから!!」

 

「時間停止のは、アイテムボックスとか無限BOXとか〇〇ストレージとか呼ばれる物」

 

「あー……ま、『袋』よりかはマシ?」

 

「大きな袋?www」

 

「まあ、あれよりかは上等かな?」

 

「食料は、出来るだけ早く消費してくれ……」

 

「それなりに、日持ちはするだろうけど……入れ替えるのは必須」

 

「資金は、頑張れ!」

 

「それって、監視対象に頭下げろって事ですよね?」

 

「「「皆まで言うなwww」」」

 

「応援はしておく。ただ、応援しか出来ない……」

 

「奴は、頑固だぞ?」

 

「じゃ、覚悟が決まったらあの出っ張ってる板の先に行け」

 

言われて、凍真がセイビア達の指し示す先に視線を向ける。

 

指し示されたそれを、正確に理解して顔をひきつらせた。

それは、どう見ても何度確認しても幅の狭い飛び込み台の先端というか……海賊船等で捕虜となった者を海に突き落とす際に使われる飛び込み?(処刑台?)台だ。正式名称不明。

 

「えっと……処刑されるんでしょうか?」

 

「ま、アレを見たらそう思うよな!」

 

「というか、それ以外に見えないですよね!」

 

「ただの、おふざけな産物ですが……」

 

「なんとかなるよ?」

 

「おふざけなんですね……他意はないんですよね!?」

 

「「「ない!(うん!)」」」

 

という訳で、おっかなビックリその処刑台?モドキの先端へと凍真は歩いて行った。ただ、方向的には【リリなの】世界への入り口が頭上にあるのだけれど。

 

「では、準備は良いか?」

 

「まあ……問題はないですが……」

 

「では……重力解放!!」

 

セイビアの合図と共に、処刑台の板が引っ張られる様に下へと下がり反対側がシーソーの様に持ち上がる。それを見た凍真は、結末が予想できたのか真っ青な顔を白く染めて停止の言葉を述べようとする。しかし、時は既に遅く……声が出た時には、ぴょ~んと飛び上がった飛龍が悪戯っ子全開の笑顔で持ち上がっていた板の端を全力で踏み抜いていた。結果は、言うまでもなく反対側の端に立っていた凍真は頭上に向かって弾き飛ばされた後だった。

 

「ギャアアアァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 




これで、漸くトーマが合流……出来るのかな?もしくは、行方不明?まあ、多分……活動資金集めにアルバイトを転々とする事になると思われるけど。故に『アルバイト頑張れ!!』とだけ言っておこうwwwつーか、無事に合流出来るのかねぇ?一応、【リリなの】の世界に入界出来る許可(セイビアが取った)はあるだろうけど……合流はまた、別の話だからなぁ。運が良ければ、会えるだろう……と思われる。あるぇ?凍真って、運良かったっけ?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

双夜と【鮮血の】のMS(モビルスーツ)遊び!
まあ、そこそこ盛り上がる遊びなんだけど……【鮮血の】には別のルールがあったり。それが、以下のルール!

うっかり、双夜の乗るMSを撃沈すると……最悪の【魔王】が解き放たれる!!

よって、如何に双夜の乗るMSを撃沈させずに行動不能にするかゲーム!となる。割りと、無理ゲー(笑)。因みに、【鮮血の】は科学者なのでMSを撃沈されると行動不能になる。
他にも、事細かなルールは在るけど……要は、相手を撃沈すれば勝ちのお遊びです。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれる方々に感謝を……

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