絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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二七五話

Re:

 

 

さて、前回俺は翼に慰めて貰った訳ですが……これは、その後のお話となります。まあ、ぶっちゃけると秘密基地の支援がないサバイバル生活と言った所ですかね?いやー、マジのサバイバルとかガチで大変でした(笑)。文明の力が欲しい神崎です。

 

 

サバイバル生活一日目。

 

気が付いたら、ドップリと日が暮れてました。

 

「夜になりましたね……兄様」

 

「えっと、秘密基地は……」

 

「Masterが、持っているが?兄様」

 

デスヨネー。わかっていた事だが、こうもハッキリ断言されると堪えるモノがあったりする。そして、師匠は今暴徒と化した《堕ち神》を何とかするべく奔走している状態だ。秘密基地を俺達に届ける為だけに、持ち場を離れるなんて事は出来ないだろう。

 

「……あ!フレールくん経由で、送って貰えたりは?」

 

名案!だと思って、それを師範代達に聞いては見たが……

 

「「無理ですね」」

 

と、にべもなく断られてしまった。

流石の師匠でも、戦闘中に秘密基地を取り出してフレールくんに渡し指示を出すなんて事は出来ないらしい。まあ、実際にはそんなハズもなくて……ヌクヌクと秘密基地生活に慣れ切った俺に、サバイバル生活の経験を積ませる為と師範代達が図っただけの話だった。言われてみれば、ずっと秘密基地生活で自堕落な生活をしてましたもんね?師匠と共に居たら、食に困る事も、住居に困る事も、衣服に困る事もないですもんね?

 

「マジッスか!?」

 

という訳で、俺は急遽土魔法で拠点となる家を造る事になった。

腕に付けてあった、ナノマテリアルPCの建築アプリを使って拠点の強度とか色々を計算させて何とか拠点モドキを造り上げる。とは言え、素人が造ったそれは何とか形にはなっているモノの今にも崩れそうな状態だ。なので、俺はソレに錬金魔法を使って金属に変えて見せた。まあ、そこで魔力Emptyで倒れちゃった訳だけど。もしかして、大きく造り過ぎたのかねぇ?でも、俺、翼、リリィ、オルタ、セイバーの部屋は必須だし、風呂やトイレは絶対に必要だったからな!?あ、水はどうしよう!?それに、薪を持ち込んで火を起こすなら煙を外に出す仕組みが必要だ!!他にも、色々と足りないモノが多くて俺は頭を抱える事になった。

 

「兄様は、頑張りました!」

 

「ウム。良くぞ頑張ったぞ?兄様」

 

「出来れば、もう少し快適な空間であれば……いえ、贅沢は言わないわ。これまでが、おかしかったんだから……」

 

「……………………」

 

とりあえず、皆は其々の文句を口にせず俺が造った拠点に入って行く。後で、アプリを確認してその後も色々改良して行くしかないなぁ……と思いつつ、その日は何も食わずに眠った。

 

 

サバイバル生活二日目。

 

「熱い!!」

 

真っ暗な部屋の中で目を覚ました俺は、起き抜けにそんな言葉を叫んでいた。つーか、何だ!?この暑さは!?

とりあえず、切実にエアコンが欲しい神崎大悟です。

熱帯雨林な世界で、ギラギラと照り付ける太陽が金属と化した拠点を熱して凄まじい熱い物体へと変化させていた。

耐震強度を求めたが故に、まさかこんな落とし穴があったなんて!?と嘆きつつ、『さて、どうしたものか……』と首を捻る。

ぶっちゃけ、これでは快適な生活なんて出来はしないだろう。

しかも、何故か寄って来る大量の虫、虫、虫!!ここには、光源なんてねーだろうがよ!?と怒鳴るも、虫嫌いな翼達が遠巻きに様子を伺っているので俺が始末しなけれならなかった。

つか、師範代達は大丈夫だろう!?

とりあえず、これが終わったら井戸を掘って水源を確保して……井戸が駄目だった場合は、何処か川か溜め池のある場所へ。その後は、食料を探して……後なんだっけ?ま、まあ、大体はこれくらいか?師匠が戻って来るまでの対応なので、多分それくらいで大丈夫だと俺は考えていた。

 

「という訳で、はい。兄様」

 

そう言って、テオルグ師範が手渡してくれたモノがナイフ一本。

これで、何をしろと言うんですかね?この人は……まあ、予想は付きましたけど。

 

「これも、何かの試練です。ちょっと、本格的ですがサバイバル訓練と参りましょう。兄様」

 

「マジッスか!?」

 

「ええ。ですが、先ずはこの拠点の魔改造から進めると良いと思いますよ?これでは、ちょっと拠点と使うには問題があり過ぎです」

 

「まあ、それはわかりますが……」

 

そんな事言われても、素人な俺にはどうしたら良いかわからないんですけど。それに、食料を探す必要もあるので拠点だけに時間を割く訳にも行かない。

 

「今日は、我等が食料調達に行くが……明日からは、兄様が調達するが良い。それと、土魔法に詳しい使い魔を呼んでおいた」

 

「つー訳で、土魔法のスペシャリストのモグラだ」

 

テオルグ……オルタが、その人物に視線を向けて紹介を始めると、腕を組み仁王立ちする少年が前に出て来た。ただし、前にズズイっと進み出たのではなく地面の方が動いて押し出された形だ。

スゲー。魔法版の動く床である(笑)。

 

「モグラ……土竜、ですか?」

 

「いや、普通にカタカナでモグラです」

 

「それと、こちらは水魔法のスペシャリストで……」

 

「スイゲンだ。性別は、女だぞ?」

 

「いや、見りゃわかります」

 

まあ、名前だけ聞いたら男の使い魔だと勘違いするかもですが、見た目ツインテールで師匠レベルのチビッ子なので勘違いする事もない。というか、土魔法のスペシャリストはわかりますがなんで水魔法のスペシャリストも居るんですかね?

 

「とりあえず、水の確保をするか?」

 

「井戸ッスね?わかってますよ……」

 

「まあ、その前にこの拠点の解除をお願いします」

 

「え!?再利用しないんですか!?」

 

「しません。というか、出来ません」

 

再利用出来ないとは、なんぞや?もしかして、俺の造った拠点は失敗作って事なんですかね?まあ、素人が造った拠点なのでプロから見たら不出来な物体に見えるのかもしれない。

 

「とりあえず、最初に作るのは井戸からですね」

 

「井戸からなんですか?」

 

「はい。サバイバルでは、先ず水の確保が優先です」

 

その知識は、流石の引き籠りでも知っている事なのでモグラさんが言うままに俺は拠点に掛けた錬金魔法を解除した。それと同時に、崩れ落ちる拠点。やはり、錬金魔法で金属にして置いて良かったみたいだった。

 

「やはり、水分が不足気味でしたね。もしかして、拠点にしようとした際に水分を抜きましたか?」

 

「え?あ、はい。多分?」

 

「ある程度は、湿っていても良いんですよ?その方が、中が涼しくなりますし……それに、壁、床、天井に該当する部分だけを金属にするだけで十分に強度が得られます」

 

「あ、はい。えっと、柱とか?」

 

「いえいえ……『箱家』って、御存知ありません?」

 

「えっと……聞いた事ないですね」

 

「細かく、ブロックとして完成させた箱を積み上げるだけの簡易に出来る建築物の事ですよ。廊下は廊下という箱で、部屋は部屋という箱を。それらを纏めて積み上げるだけで、家が出来るんです。強度もそれなりにありますよ?」

 

大体の大きさが、ある程度決められていてそれ以上のモノは造れないらしいけれど、その規定さえ守られていればどんな家でも造れるらしい。それ等は、三センチ程の太さの棒状の柱に通されボルト等で固定するんだそうだ。なので、家の地盤に耐震技術を組み込んだら一定間隔の棒を埋め込みそれに沿って箱を設置したらそれ等を覆う様に外装を被せボルトで固定するとのこと。

 

「箱と箱の間に、衝撃吸収材をハマせれば良い感じに密封されるので虫等の被害もありません」

 

「はあ……」

 

牛乳パックで作る、玩具の家みたいなモノですかね?

まあ、牛乳パックを三角形にした時の耐久力は半端ないのでそれと似た様なモノなのだろうと理解する。そうか……箱家かぁ。

 

「それから、拠点は地面の下に作りましょう。拠点の上は、岩山で……小さな洞窟の奥から、続く様に造るのです」

 

「そうすれば、ある程度は涼しいですからね?」

 

「そうそう。それに、維持に必要な魔力も最小限で済みます」

 

「一番、手っ取り早いのは日陰の岩山を使う事です。中腹辺りから、小さな穴を掘り進めてその先に拠点を造るのです。多少、湿度が高目になりますが地中なので涼しいですよ?」

 

昔の氷室みたいなモノが、頭の中に浮かぶ。

多分、似て非なるモノだろうけど大きく外れてはいないハズだ。

それに、今朝のあの暑さを思い浮かべればその意見は妥当だと言わざるを得ない。あれが、毎日はちょっと……。

 

「わかりました。御指導、御鞭撻、よろしくお願いします」

 

という訳で、その後は拠点に出来そうな岩山を探してウロウロ。

場所を決めたら、日陰になる部分に穴を開けて壁を綺麗に整備。

耐久性能を強化しつつ、掘り進めて涼しくなって来た辺りで住居区を作り上げた。それも、聞いてた通りに細かく箱を設置するイメージで。そこそこ、大きめの部屋が幾つか造られる。

というか、コンセプトがドラゴンに乗られても壊れない設計なのでその耐久力は半端でないレベル。その後、拠点の出入口付近と内部に井戸を設置して終了。排水やら何やらは、使い魔の方々がやってくれて幾つかの指導と説明を受けた。

ぶっちゃけ、外の井戸と内部の井戸は使い方が異なるモノである。

外の井戸は、生活で使われる井戸。

中の井戸は、氷とか拠点内部を冷やす為の井戸という。

 

「拠点を冷やすんですか?」

 

「ええ。ちょっとした、電力も得られるんですよ?」

 

「電力!?発電的な?」

 

「はい。発電的な!」

 

フと、頭を過ったのは【鮮血の】さんのドヤ顔。

多分、あの人が何か造ったんだと思われる。

 

「あ、はい。了解です」

 

「何でしょう……今、とてつもない誤解があった様な気がします」

 

「多分、あの方の被害を受けた事があるのでしょう……」

 

「では、聞かない方が良いですね」

 

「ええ。最悪、愚痴大会に発展すると考えられます」

 

という訳で、『例のあの人』の愚痴大会は回避された。

その後も、幾つかの注意点と井戸の使い方を伝授された俺だったが……使い魔による井戸の使い方が凄まじい件。つーか、そんな使い方が!?なんて感じであった。井戸って、水を汲み上げるだけのモノじゃ無かったんですね!!驚きです。

 

 

サバイバル生活三日目。

 

朝、目が覚めて少し肌寒い空気に震えつつ拠点の外に出たら……リリィとオルタが、セイバーの見ている前でジェ〇イの騎士ゴッコをしていた。ブォン、ブォンと、振り回されるライトセイバー?がそれなりの鋭利な角度で交差する。でもこれ、本来やりそうなのは師匠と【鮮血の】さんですよね?なんで、この二人がやってるんですかね?そう、思いつつも楽しく遊んでいる所を邪魔するのもアレなので横をスルーして手に持っていたナイフをベルトに括り付ける。今日は、食料調達の担当なので適当に地面を転がって臭いを消しながら入念に準備を開始。だが、何が気に食わなかったのかリリィとオルタがライトセイバー?で奇襲を掛けて来た。

 

「「チェストォォォォ!!」」

 

「ひぃ、いぃぃぃ!?」

 

背後から迫る、高温の刃に気が付いてその場から無様に転がり逃げれば、更なる追い討ちに地面を殴って反動を使って距離を開ける。そのまま、転がり逃げて俺は森の中へと飛び込んだ。

 

「チッ……」

 

「なんばするっとですか!?」

 

流石に、森の中までへは追い掛けて来ないけど開けた場所に陣取って周囲をキョロキョロウロウロする師範代達。追い掛けて来ない理由は、ライトセイバー?で森が焼けるのを警戒しているからだ。だが、師範代達を見る限りそんな事すら頭に無いようで振り回されるライトセイバー?がブォン、ブォンと唸りを上げていた。ええい、ツッコミ待ちでもしてたって言うのか!?それを、スルーされて逆ギレ!?ウザイ。とっても、師範代達がウザいです。

とりあえず、理由が不明過ぎるのでこのままフェードアウトして食べ物を探して来た方が良いだろうと思い気配を殺して下がる。何がしたいのか良くわからないが、ろくでもない事を考えていそうだ。等と考えながら、息を潜め目を凝らし獲物を追う。

そして、ちょっと大き目の蜥蜴をGETした。GETしたんだけど……これ、ドラゴンの幼生体とかじゃないですよね?俺の体くらいあるんですけど!?ワニ?ワニなのか!?ま、まあ、食べごたえはありそうなので良いけど、茶色だし羽も生えてないからフリードって訳でもなさそう。とりあえず、血抜きの為に水場を探していると川を見付けたのでその辺の竹モドキを切り適当に錬成した釘等で簾の様に固定して罠とした。それを川に突っ込んで、蔦で編んだ網を罠の先に設置しておく。伝統的な、鮎の仕掛け取りである。

しかし、川の流れが速過ぎて罠は壊れて流されて行く。それを見送って、イラッ(怒)とした俺は問答無用で土魔法を駆使して罠を再度造り上げた。今度は、蔦なんて使わずにちょっと太目な針金を使って編んだ籠を罠の先に設置する。これで、川の流れで壊される異なく罠に打ち上げられた魚はみんな蔦網の中へと御案内されるだろう。今日は、割りと豪勢な晩飯になりそうだ。

 

「ふは、ふはは、ははは!!」←大人気なし。

 

原作を守りつつ、俺は狩りを続ける。

でも、地球があんな事になってしまったので未来は大きく変わってしまうかもしれない。故に、ヴォルテールに突撃しても大丈夫かも知れないが……流石に、あの大きさは食べ切れ無さそうなのでパスした。つか、師匠なら食いそうだよな?あ、《ゲート・オブ・バビロン》に突っ込めば良いのか……じゃ、行く?行った方が良い?そうすれば、キャロが村から追い出される未来も無くなる?

でもその場合、転生者がアルザスにホイホイやって来そうだ。

ワニサイズな蜥蜴を、木に括り付けて首を切り落とし血抜きをしつつヴォルテール襲撃を計画する。最悪、俺がヴォルテールと契約しちまえば良い訳だし何とかなるかもしれない。とは言え、これ以上足手まといとなる人材を増やすと……師匠と共に居られなくなりそうなのでとても悩ましい。翼は、俺が守るとしてもセイバーは守り切る自信が無かった。一人なら……一人くらいなら、まだ何とか守れるが複数を守る事になると俺ではまだ実力が足りない。だが、セイバーの契約者は俺なので彼女の面倒を見るのは俺しかいないのである。そりゃ、師範代達に協力を求める事は出来るかもしれないけれど……絶対、軟弱者扱いされるのは間違いない。

 

「とりあえず、そろそろ戻っても大丈夫かな?」

 

あれから、数時間は経っているのでそろそろ戻っても大丈夫な気がすると思われる。とは言え、あの人達が何を求めているかはわからないので正面から当たって砕けるしかないだろう。

 

「砕けちゃダメなんだけどなぁ……」

 

大きな溜め息を吐き出して、宝物庫に蜥蜴と魚の入った針金網を放り込んで俺は拠点に戻る事にした。ちょっと、恐怖でドキドキしているけれど……まあ、何とかなるだろう。

 

ブォン!ザシュ!!

……ズズ、ズズズ、ズズズズゥーーズズン……ン!!!

 

目の前の大木が斜めに切り捨てられ、倒れた大木の先にはライトセイバー?を振り抜いた状態で残心するオルタの姿があった。

 

「見付けましたよ?兄様」

 

「ひぃ!?」

 

「私達に、声すら掛けずに出掛けた報い……もちろん、受けていただけますね?」

 

「俺は、何も見ていない!!」

 

「フフ、フフフフ……放置された私達が、どれだけ恥ずかしかったか兄様にわかりすか!?」

 

「俺のせいじゃねぇだろう!?」

 

「人誅!!」

 

おおよそ、ライトセイバー?を振り回す音ではない風切り音を唸らせながらオルタは八つ当たりの如く襲い掛かって来た。

 

「だあああああ!!滑ったのは、自己責任だろ!?」

 

「うるしゃいっ!!死ねぇえぇぇぇ!!」

 

「くっそ、傍迷惑だ!!」

 

とりあえず、言えるだけの文句は言ったけれど、その後リリィと合流された結果……俺は、フルボッコにされて晩飯を抜かれるのだった。なんつー、理不尽!!

 

 

サバイバル生活四日目。

 

昨日は、コッソリ夜食を差し入れてくれた翼のお陰(点数稼ぎ?)でひもじい思いを回避出来た俺はまた狩りへと出ていた。

前回の失敗を元に、昨夜作った焼き肉を冷し《ゲート・オブ・バビロン》で保存したビーフジャーキーをハミハミ息を潜めて獲物を待っている。まあ、本来ならこんな事をしつつの狩りなんて邪道なんだけど。でも、小腹を満たしておかないと昨日みたく御飯を抜かれ兼ねないので仕方がない。気配察知や、周囲警戒のスキル全開でジッと獲物を待つが今日は蜥蜴すら見当たらない。今日は不作か?と思いつつ、場所を変えて待ちの姿勢。最悪、昨日と同じく川に網を設置してきたので獲物をGET出来なくても食事にありつくのは可能だった。ああ、横取り防止の鉄格子も設置してきたからな!?昨日と違い、罠を設置した川に大量の鳥が集まって来ていたから鉄格子で俺の獲物を横取り出来ない様にした訳だ。

 

「お?」

 

シメシメ、獲物がノコノコ近付いて来てくれたぜ!!

ヒャッハー!!と駆け寄り、一撃で仕留め様としたら後から後から蜥蜴の大群が現れて追い回される結末に。『ギャー!!』と悲鳴を上げて逃げ出した俺は獲物を一匹も仕留められずにスゴスゴ負け犬の如く尻尾を丸め網だけを回収して拠点に戻る。

ところが、戻った拠点で待っていたのは多種多様に並べられた食物の数々。師範代達の弁では、毒と食用を見分ける訓練らしいが翼やセイバーの様子を見る限り前日の仕返しが色濃い。

 

「えっと……翼達は?」

 

「もう、やりました!!」

 

何故、翼達への質問をリリィが答えるのか……全部が全部、食えない食物ではないのだろうけどヤバい気配がバリバリである。まあ、予知能力に匹敵する超直感持ちのセイバーが毒を引くはずもないので心配はしないが……俺の場合、んん!?あれ?もしかしてわかるかもしれない。俺の直感は、目の前に迫る危機に対する感知でしかないと思っていたが、どうやら食物選びにも適応する能力のモヨウ。もしくは、目の前で師範代達がニマニマとしているからそれが俺の直感を刺激しているのかも知れないけれど。そのお陰で、毒かそうじゃないモノがわかるのは有難い。

 

「クックックックッ……これと、これと、これだ!!」

 

ヒョイヒョイと、毒とそうでないモノを仕分けして見せるとオルタ達はつまらなさそうに口を尖らせた。そうして、何とか危機を脱した後で二度三度暗殺され掛かるもなんとか生還する。

つーか、迷いなく仕分けして見せたからって態と毒を仕込んだスープを飲ませ様としてくるんじゃねーよ!?それを回避したら、今度は力尽くで来やがった。俺をオルタが抑え、マウントポジションをGETしたリリィが様々な毒をミックスしたポイズン・ブレンドを無理矢理口に押し込もうとしたり……ふざけんな!!

 

「お疲れ様……」

 

「助けろよ!?」

 

「無駄な抵抗をするからよ……」

 

「無駄!?無駄じゃねぇよ!?」

 

「不老不死なんでしょう?」

 

「それでも、痛みや苦しみは回避したいじゃん!?」

 

「まあ……そうよね……」

 

「…………なんか、言われた?」

 

「言われてないわ。でも、足手まといは嫌なの……」

 

「仕方がないさ。相手が、《堕ち神》じゃぁ……」

 

「それでも!……それでも、共に戦う事くらいは出来る……って、思っていたわ。でも、あんなーーー」

 

「流石に、アレは俺でも何も出来ないよ……」

 

一対一ならまだしも、複数の《堕ち神》相手にどうしろと!?

例え俺が、師匠と同等であったとしてもアレを一人で何とか出来る自信はない。

 

「今、地球はどうなっているのかしらね?」

 

「知りたいですか?姉様」

 

「そうね……知りたいわ」

 

「では、説明します。まずは、今回の《堕ち神》についてなんですが……現状を見るに、()()()()()していた様に思えます。そもそも《堕ち神》とは、古き神々が様々な理由で闇堕ちした存在の事を言い……これまでは、世界を滅ぼすモノとしか説明してませんでした。しかし、現状を説明するに至りそれでは説明不足となる恐れがあるので追加情報として報告します」

 

「え?アレ、世界を浸食するの!?」

 

「ええ。ジワジワではありますが……」

 

「現在、Masterは《堕ち神》の処理と共に浄化も同時進行で行っている。だが、浸食状況がおもばしくなく割りと危機的状況だ」

 

「ああ、助けに行く事はできませんよ?邪魔になりますので……」

 

「我々なら、何とかなるが……兄様達では、足手まといにしかならんだろうな。とは言え、生半可な使い魔では太刀打ち出来ん」

 

「使い魔でも?」

 

「最低でも、フルネーム持ちくらいであろうな……」

 

「「フルネーム?」」

 

「我等は、名前の文字数で強さが決まる」

 

「ですので、フルネーム持ちは異常な強さを持ってますよ?」

 

「故に、現在は『フォーゲスト』一族がサポートに入っている」

 

「『フォーゲスト』?」

 

「五人いる、フルネーム持ちの使い魔だ」

 

「他にも、フルネーム持ちの使い魔が?」

 

「フルネーム持ちの使い魔は、まだ50体程しか居らんよ」

 

「なので、まだまだ時間が掛かると思います」

 

「そう……それで?ジワジワ浸食された世界はどうなるの?」

 

「話は戻します。浸食された世界は、《堕ち神》の領地となります。世界と言っても、次元そのものが浸食され切るには数百年の時間が掛かりますので今回は惑星単位程度で済みました。ですが、そこに住まう命をも浸食するので今回は生物単位での起爆が確認されました」

 

「は?え?何それ、どういう事!?」

 

「……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心を強く持って下さいね?主人公及びヒロインが、《堕ち神》化しました」

 

 

 

 

 




主人公&ヒロインの《堕ち神》化です!!まあ、魔砲を向けられるよりも精神的なダメージはあります。元々、《堕ち神》ってのは書いてあるよりエッグいモノでした。それにオブラートとか色々付けてソフトに書いてます。まあ、その内剥がれるかと思いますが。一番厄介なのは、古き神々の《堕ち神》です。あれの設定から、使えるとしたら古代ベルカ辺りじゃないですかね?ベルカを管理する神が《堕ち神》になったからベルカが戦乱時代に陥った……って感じになると思われ。まあ、古い神でない分……戦乱程度なら、まだマシと思える作者が居る。最悪、世界vs人類なんて戦いもあったからねぇ。人間vs人間なら、まだマシなレベルだよ?世界とvsした人類なんて、法則崩壊であっという間に滅んじゃったからねぇ。火一つ着けれない状況に陥ってたから世界vsはマジでエグかった。

とりあえず、足手まとい組がアルザスでサバイバル生活です!!いやー、楽しそうですよねぇ(笑)。
ああ、双夜側の話は次回で。なので、神崎君の修行風景を楽しんでいただければと思ったのです。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

もしも、作者が転生するとして……。
銀髪巨乳とか銀髪貧乳とかに転生させられたら……
多分、こういうと思われます。
「おぉ……神よ。やはり、汝は我の敵だったのだな……」
と。見る分には良いんだ。見る分には。だが、自分がそうなるのは神を殺したくなる程憎々しく思うだろう。

ああ、因みに作者が嫌っている神様ってのは『全知全能』とか『唯一絶対神』とかであって複数いる場合は除く。
其々の専門神ならば、全然大丈夫だったりします。まあ、日本の『八百万の神々』思想が元なので仕方がないっちゃぁ仕方がない。単一の神って、胡散臭くて嫌です。本当に全てを司れんの?とか、本当に救ってくれんの?とか、何もかもの事柄を後ろから糸引っ張ってる黒幕的な?そういう胡散臭さが全力で嫌ですね。
それなら、いっぱい居る方が許せます。そっちの方が、まだマシというか……人間的で、ちゃんと理解してくれてそうじゃないですか?単一神だと、人間の事をちゃんと理解してくれてなさそうで嫌なんですよね。
人間が、一生懸命祈っても『唯一』で『全知全能』な『神』ならば【一人で足りている】訳だか救われそうにない。だって、『全知全能』ってのはそういう事だよね?
故に、唯一絶対な全知全能神の言い分は昔っから決まっている。即ち、『ウザいから、私に関わるな』だ。ほら、『唯一絶対神』なんてモノに嫌悪以外の感情なんて湧かなくなっただろう?

それと、『全知全能故に一人で足りている』と『ウザいから、私に関わるな』の一文は奈須きのこ先生のDDDに書いてあった一文です。それまでは、ただの嫌悪だけだったんだけど……あれのおかげで、超納得!嫌悪の理由がわかって、超スッキリ!な気分になったね(笑)。

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m(_ _)m

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いつも、読んでくれる方々に感謝を……

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