絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
双夜:
「結論から告げよう。アルトリア・ペンドラゴン、君は《インスタント・ソウル》だ。真新しい魂に、人格と記憶と経験を複製した
「……………………」
「即ち、君が命を落とせば露と消える運命という訳だな。生と死の狭間で、運命を変える為に聖杯を求めた者……されど、未来ある少年によって諭され聖杯を諦め、本来辿るべき時間へと戻る途中で複製されたんだと見た。つまり、本物の君は過去に戻り聖剣を湖の乙女に返しているという訳だ。ハッキリ言おう、衛宮士郎の事は忘れろ。二度と会えぬ者だ。君は、帰る場所を失った英雄だ」
「…………それは……」
「僕の【真実の瞳】は、時に残酷過ぎるくらい残酷でね……君の未来は、存在し得ないとハッキリ見えてしまっている。自害しても、今の君が本来ある君に統合される事もない」
そう告げると、アルトリア・ペンドラゴンはショックを受けた様子で目を見開き硬直していた。しばらくして、乱れ混乱する感情を消化するかの様に目を閉じていたが、次に目を開けた時には表面的にだけは感情を隠してしまう。
はてさて、現在俺がアルトリア・ペンドラゴンと二者面談をやっているのは神崎から彼女が《インスタント・ソウル》なのかを訊ねられたからだ。あの馬鹿と来たら、確証も無い内からアルトリア・ペンドラゴンが居る目の前で《インスタント・ソウル》の事を言い出すから俺はとても焦った。
ぶっちゃけ、そういうデリケートな話は調べを終えて結論が出てから告げなければならないモノ。なのに、あの馬鹿と来たら……事もあろうに、当人の目の前で言い出そうとするのだから困る。
正に、油断も隙もないとはこの事か!
これが、転生者や妖精ならばもっと簡単にバラすんだけど……アルトリア・ペンドラゴンについては、同じ対応は出来なかったりする。だって、彼女は【エクスカリバー】という力を持っているから。そんなモノを持って、《堕ち神》に成られたりでもしたら困る。例え、その【エクスカリバー】が偽物だったりしても、だ。
妖精や転生者なら、《堕ち神》化しても簡単に処理してしまえるから良いが……流石に彼女を止めるには、街一つは覚悟しなければならないだろう。
それに、彼女は聖杯戦争に参加する時と同じ様に
ぶっちゃけ、聖剣エクスカリバーを振り回す《堕ち神》と殺り合わなければならなくなるのって最悪じゃないか。どんだけ、被害が出ると思ってんだよ!?下手したら、街一つじゃ足りないんだぞ!?その上、彼女を創るに当たってこの世界には厄介なシステムが持ち込まれていた。一応、世界の調整時にこちらが用意したシステムに置き換えられる様にはしているけど、ヤバいモノである事に変わりはない。そして、彼女は、
「僕の目の前で、嘘や偽りは述べられないよ?全部、看破出来るからね?だからという訳じゃないけど、君の自由にすれば良いよ。このまま、衛宮士郎を忘れるも良し。忘れずに、一生を過ごすのも良しだ。それは、君の心で君の自由。僕は、忘れた方が良いと言ったけれど……それで、君が君で無くなると言うのなら忘れなくても良いと僕は思う。ぶっちゃけ、早々簡単に割り切れるモノでも無いだろうし……特に、惚れた腫れたの問題はねぇ?」
事は、慎重に慎重を重ねて会談をする必要に迫られた。
なので、俺の執務室に連れ込んで時間を掛けて理解出来るまで説明し、理解出来たとしたところでバッサリと切り捨てる。
「ああ、それと……今の君は、《旧・神族》という悪辣な存在が造った兵器みたいなモノだから、下手に負の感情を抱くと《堕ち神》っていう理性なき怪物に成りうるよ?対応するには、僕等みたいな《神殺し》が必要だからね?」
「……………………失礼します」
そう言って、アルトリア・ペンドラゴンは俺の執務室から出て行った。その後ろ姿を見送って、俺はちょっと話過ぎたと反省する。
一度に色々教えたから、彼女は自分の中の常識と今得た情報で混乱しているのだろう。それ以上に、自分の人格や記憶がそんな風に使われていたという衝撃の方が大きかった様だ。最終的に、茫然自失みたいな状態でフラフラと出て行ったので護衛にフレールくんを付けておいた。一応、忠告はしておいたのでこれで爆発して《堕ち神》化したとしても容赦なく斬り捨てられる。
「さて、僕は僕の仕事をしてしまうか……」
アルトリア・ペンドラゴンへの用事は終わったので、俺は俺の仕事に向かうべく執務室を出る。執務室の鍵を掛けて、広間を素通りし誰もいない事を確認した後、秘密基地を後にした。
最近は、結構な人が来てお風呂とか使うので完全に出払うなんて事は希だったけれど……今日は、本当に誰も居ないらしい。
「神崎は、畑。土弄りが好きだね。翼は、スイルベーン。まだ、復興中だもんな。頑張れ、ラストスパート。鉄は、キリト達と攻略。ドラゴン居たけど、レベル二千万じゃなかった?何だこりゃ?」
出入口の伝言板を見上げれば、この秘密基地に住んでる住人の予定が書かれている。神崎は、最近お気に入りの畑仕事へ。翼は、ラストスパートへと突入したスイルベーンへ復興のお手伝いに。鉄は、キリト達と階層攻略という名の捜索に出ていた。
そして、俺はというと日課となりつつある大富豪クエストへ向かうのである。因みに、他の【組織】メンバーは……守護者・すずかとギルド本部で内職。内職?って、何だ?まあ、良いや……頑張ってくれ。初(巫女服)は、里希の護衛。里希は、ケット・シー領の首都へお出掛け中。きっと、ショッピングとか買い物でもしているのだろう。そのついでで……防衛戦?初と里希で?転生者相手にどんな、過剰戦力だよ!?と思わないでも無かったが、それは喧嘩を売った馬鹿の責任なので見なかった事にする。
そして、最後に【鮮血の】だが……『行方不明』としか書いてなかった。そこはかとなく、不安な気持ちが湧き上がって来るが……それに釣られて探しに行くとバカを見るのでスルー。ま、どこかで世界観を無視した事をやらかしているのは間違いないのでフレールくんを飛ばしてその状況だけは確認しておく。必要とあれば、超長距離からの砲撃で吹き飛ばすから今は放置の方針で。
「…と言うか、伝言板に『行方不明』とか書くなよ……」
やりたい事は、解らないでもないけれど…読む方は、ただ『イラッ!ムカッ!』とするだけなので止めて欲しい。何はともあれ、みんな出払っているみたいなので俺も『大富豪クエスト』とだけ書いてアインクラッド第十階層にある大富豪邸へと向かった。
……………………
……………………
……………………。
「新たなクエストが、解放された……」
何時もの様に、大富豪クエストを受けていた俺はちょっとレアな肉等を落とす魔物が出現する場所で、血塗れのラグーラビットを放置する等という暴挙に出ていた。元々、そこで何かをすれば良いのは【真実の瞳】効果で判ってはいたんだが……今一、要領が掴めずにいたので放置していたのだ。だけど、撒き餌の事を思い出したので適当に植物等を置いて様子を見ていた。しかし、何も得られない上に大富豪の好感度が下がるのでなるべく使いたくない方法だった。しかし、興味津々だった俺は今回クエスト外でゲットしたラグーラビットを使ってちょっとした罠を張ることに。
その結果、予想以上の大物が掛かり倒してみたら虹色に輝く三ツ星卵をゲットしてしまう。それを、大富豪へと渡したら好感度が一気に十万越えになってしまった訳だ(笑)。
それによって、新たなクエストが受けられる様になった。
だが、そのクエストを受ける前にタイムアップでまた明日となる。
残念ではあったが、渋々大富豪邸を後にするが……クックックッ、新たなクエストという心踊る道にワクワク感が隠せない。
多分、きっと、俺はこのクエストの真実へと向かっている!!と思いたい。例の『凄い武器』は、肩透かしで終わってしまったけれど……まだ、宝玉と大富豪クエストの謎は残ったままだ。
武器の方は、ギルドの共通アイテムボックスに放置したが同時に造った宝玉の方は持っている。これに関しては、全く何もわかってはいないからな。流石の【真実の瞳】でも、これに関しては全く……そりゃ、本体と《接続》して全力全開の【真実の瞳】を使えばわからなくもないけれど。流石に、そこまでして知りたいとも思わないので地道に手探りで探し続けなければならない。
「とりあえず、新たなクエストは喜ぶべきだろう」
普通では、魔物やモンスターを倒すだけでも一苦労なのだからその辺りを気にしなくて良い俺はもっと突っ込んだ事が出来るハズだ。兎も角、安全マージンを取りつつ大富豪の好感度を上げて行くしか無いだろう。ちょっと、早く終わってしまったのでまたアインクラッドの第一階層から昇れる所まで駆け抜ける事にする。
だが、流石にリポップしていないボスをリポップするまで待つ気はないのでスルーしつつ駆け抜けた。多分、スルーした階層のボスは転生者達が殺った階層だろう。最近になって、チートツールに頼らない転生者がチームを組んでアインクラッド攻略に挑んでいるらしいからな。まあ、アルン在住の転生者だけだけど。
そのせいか、アルンにいる一部の転生者が上から下まで黒装備でウロウロするのが見掛けられている。何でも、アニメで『黒の剣士』と呼ばれた格好イイキャラクターがいたそうな。その時は、へぇと思ったけれど……その後で、原作人物達に聞いたらキリトの事だという事がわかった。キリトも、超反応してたしな。
ぶっちゃけ、それってただの中二病じゃん。
「お?『黒の剣士』じゃん」
「え?」
ちょっと、考え事をしながら視界に入ってくる魔物やモンスターを倒していると、噂の『黒の剣士』が現れた。うーん、時間感覚がおかしい気もするけど……まあ、こんなもんだろうと納得して階層を確認。フム?55階層ですか。やっぱ、時間おかしい?
「あ。師匠さん、来たんですか……」
「ノルマ、終わったからな。何、55階層のボス戦?手伝おうか?」
「手伝うって……瞬殺するの間違いじゃ……」
「僕、元々は付与系の魔法師だよ?補助なら、任せてよ(笑)」
ええ、それはもう……『神殺し』さえ、可能にする補助を付与出来る魔法師ですよ。等と、じふんを売り込んでみた。
「…………どうする?」
「えっと、行けるなら行っちまったら良いんじゃないか?」
「つーか、体制を整える為に戻る予定だったんだけど……」
「神崎さんと翼ちゃんを呼んで、装備とかも諸々……だよね?」
「広範囲回復魔法も使えるよ?補助や付与魔法も使えるよ?」
「そんで、戦えて強い……って、どんな万能存在だよ!?」
「というか、今はクリスハイトもいるから回復とかは要らないかな?それに、シノンの武装も恐ろしいモノになってるし……」
「ウフフフ……へカート最高♪」
「「「……………………」」」
「前には、出る予定はないよー?後方支援オンリーで。でも、危なくなったらなんとかはするかも……」
「なんとかって、どんな?」
「そうだなぁ……瞬間回復に、瞬間蘇生、なんでもごされ(笑)」
魔法に関しては、ゲーム時代のシステムやルールがそのままになっているからシステム外のを除いて微妙な感じになっている。
その微妙さが無くなると言えば、全員が顰めっ面になった。
「でも、攻略の記憶が無くなるんだよな?」
「もしくは、別の記憶で補完される……だな」
「別の記憶って、どんなのだ?」
「んー……昔、大規模魔法を人前で使ったら巨大UFOが出現したって事になってた(笑)。そういう、補完だったかな?」
「へぇ……それは、面白い」
「面白くない!!……常識内にして貰えないかな?」
『『『まあまあ』』』
クリスハイトを諌め、アスナが怒るとみんながドウドウと抑えに行く。常識人に取っては、ファンタジーな補正は拒否反応が出るモヨウ。とは言え、ファンタジーで常識を問われても困る。
「大丈夫、大丈夫。他の妖精に助けて貰ったっていう記憶に置き換えられるんじゃないかな?言っても、《神殺し》の良識人が世界を調整した訳だし……女装巫女とか、里希や僕は希羅派の良識人だからねぇ。まあ、ハッチャケ組が一人混じってたけど……」
とは言うものの、奴は科学方面の法則担当なのでファンタジー系の事柄にはノータッチ。まあ、法則関連で何かやらかしている可能性はあるけれど……この世界は、ファンタジー世界なので問題ないと思われる。
「後は、妖精魔法とか使えるよ?」
「「「妖精魔法!?」」」
「種族は、妖精じゃないけど……ちょっと、昔妖精の石板を解読した経験があって……俗称・悪戯魔法が使えるんだ(笑)」
「「「悪戯、魔法……」」」
「女の人の胸を、大きくしたり小さくしたり……大人が子供に、子供が大人に……とか?後は、ケモ耳が生えたり?」
「なんの役にたつのよ!?」
「……可愛くなれるよ?」
「……………………」
「正に、『悪戯』な訳だな?」
「対人戦では、大混乱だけどな(笑)」
「撹乱用魔法か!?」
「対人戦くらいにしか、使えないみたいだけど……」
「じゃ、今度の妖精解放戦で使ってみるか?敵も味方も、大混乱必至だな!!」
「「「止めい!!」」」
「つーか、巨人に《リヴゥフロー》使ったら縮むんじゃね?」
「ハッ!?戦闘が、楽になる!?」
「子供になる魔法だからな……背の低いユウキに好評価!?」
「良いねぇ!一緒に行こう!!」
「つーか、フロアボスが弱体化するんじゃ……」
「効果は、24時間続きます!!」
「ヒデェ……そんなに掛からねぇよ!?」
「ま、一丁やってみるか?」
「だな。一度、見てみない事には何とも言えないから……通常モンスターで試してみるか?」
「んじゃ、行くか!」
という訳で、妖精魔法を通常のモンスターで試してみる事になった。結論だけ言うと、全員が絶句してモンスターイジメをやって終了。やっぱり、手伝わないで良いと解雇された。
「まさか、あそこまで恐ろしい結果になるとは……」
「成体が、幼体になって雑魚化するとか……デタラメ過ぎる」
「最早、戦闘じゃなくてイジメだったよ……」
「ボスが、ああなると攻略とは言えないのでパスで……」
「そっか。じゃ、攻略陣集めて頑張ってくれ……」
「妖精魔法……恐ろしい魔法だった……」
「本来は、君達が使う魔法なんだけどな?」
「ーーーーー妖精だけに……」
「「「はいはい!!」」」
スルーされるキリト。ガンバ!!
「あ。そう言えば、大富豪の好感度が十万を越えて新たなクエストが受けられる様になったよ!まだ、どんなのかはわからないけれど……良いアイテムがあったら、また横流しするね!!」
「横流し……そう聞くと、悪い事をしている気分になるなぁ……」
「実際、苦労せずにエギルが大儲けしてるからな……」
「おいおい、人聞きの悪い事言わないでくれよ……」
「でも、大儲けは否定しないんだろ?」
「……………………」
「「「悪い大人だ……」」」
「うるさいぞ!」
「それにしても、好感度十万かぁ……頑張ったな?」
「そこまで上げないとイケないクエストとか、どんなクエストなんでしょうね?ちょっと、興味があるかなぁ?」
「もう少し、モンスターが弱けりゃ参加するんだけどよぉ……」
「硬かったですもんねぇ……」
「クアァ……」凹
「それを、バターみたいに斬るコイツもチートよね……」
「武器じゃなくて、技術とか魔法剣のお陰なんだけどな……」
空間遮断に匹敵する、防御魔法を付与して斬ってるだけなんだけど……彼等からすると、チートになるらしい。というか、御先祖様ならガチの空間遮断でもっとヤバい事してたけどな。例えば、人間の手術を空間遮断刃でやらかすとか。『切れ味抜群だぜ!』なんて言われても、命を扱う状況でそんな恐ろしい行為……誰も真似できねーよ!?下手したら、患者を殺しかねないんだぞ!!
なんて事もあって、俺は敵に対してでしか空間遮断系が使えなかったりする。
「いずれにしろ、師匠さんが攻略に参加するのは無しで」
「残念無念……と、スイルベーンに行くならアイテムとお金、持ってて貰える?今のところ、下界に降りる予定ないしさぁ……」
「良いけど……俺等が、使っちまうとか思わねぇのか?」
「……使い切れるモンなら、使い切ってみろや?復興待ちの妖精達に、袋叩きにされるのはクラインだけだぜ?」
「復興待ちというか、復興中の妖精領ってサラマンダーにインプにウンディーネ領だよね?クラインさん、生き残れるかなぁ?」
「誤情報流してみるか?スゲー数、集まりそうだぜ?」
「ひぃ!?……あ、やっぱ、止めとくわ……」
「つーか、今回は九億ユルドあるから使い切れねーよ(笑)」
「「「「「「キューオク!!!」」」」」」
「って訳で、九億九千九百九十九万ユルド……任せたぜ!」
「おぉ……ま、任されたぜ……」
震える手で、キリトがそれを受け取るのを見守ってニヤニヤと悪い笑みを向ける。この程度の金額で震えてちゃ、程度が知れるってもんだ。アイテムに至っては、食料系オンリーなのでリーファ達にも手伝って貰って数人で運んで貰う。
「つーか、アイテムストレージ以外からも出て来るとは思わなかった。てか、それ、なんですか?」
「アイテムBOXだ。空間無限大で、時間も止まる優れモノ。クエスト前に、ストレージからBOXに全部ブチ込んで……繰り返すだけで、楽々大量食材ゲットだぜ!モチ、僕が創った!」
「マジかって、ラグーラビットが十匹入ってるんですけど……」
「ああ、それな。別口で、捕まえた奴だから返せ……」
「別口で、S級食材を乱獲って……欲しいんですけど……」
「つっても、フレールくんが探して捕まえただけの乱獲だけどな。便利だぞ?フレールくんは。ちょっとした攻撃も出来るしな」
「マジか……便利だな、フレールくん……」
「とりあえず、半分は返せ。後の半分は、くれてやるから」
「「「マジで!?師匠さん、太っ腹!!!」」」
「「「アザース!!!」」」
まあ、困ってもないのでラグーラビット五匹をキリト達に渡し、残りは大富豪クエストで使うのでストレージに突っ込んでおいた。
「料理は、アスナが担当するのか?」
「はい!っていうか、アスナさんくらいしか料理出来ないんですよ。私は、食べるの専門なんで……」
「くっ……」
「うぅ……」
リーファのカミングアウトに、リズベットとシリカが悔しそうに反応する。それだけで、この場のカーストが見える気がした。
ついでに、キリトの恋人がアスナである理由も理解する。
胃を掴まれた男に、成す術はないのだろう。
「成る程……」
「そう言えば、師匠さんも料理スキル上位でしたよね?」
「限界突破スキル持ちだから、料理スキルレベル60の怪物だけどな。なんなら、僕が作ろうか?アスナの料理が、不味く感じる様になるかもよ?」
「「「やっぱ、良いです……」」」
「冗談だ。でも、中毒化するからパスで……」
「ちゅ、中毒化はするのか!?」
「美味しい料理って、中毒になるんですね……」
「それ、ヤバいモンが入ってるんじゃ……」
「入れてねーよ。でも、昇天する程の美味しさになるらしい」
「昇天……」
「正に、天に召される旨さなんだとよ……実際、死者が出たし……な?特に欲深い人間は、ガチで昇天する」
「それって……【クレッセント・ノヴァ】の影響なんじゃ……」
「それだと、良い子になるだけだろが……」
「…………マジで、昇天する料理なのか……」
副次効果のある料理程、ヤバい結末が起こる可能性が高かったりするので錬金術含む料理は作ってはイケない事になっている。
特に、昇天系の付加魔法が掛かってる料理はガチでヤバい《死の料理》扱いだ。その辺りは、一度【鮮血の】辺りで試したので間違いない。あの時は、大魔導師が出張って来る大騒ぎになったので法律で禁止されてしまった。その後、【鮮血の】に中毒症状も出て二重封印されたので作ってない。
「大魔導師にも、悪戯で食わせて大目玉くらった上……一時期、【組織】の中枢をストップさせて機能停止させたから【組織】の連中は僕の作るモノは食わないんだよなぁ……」
「料理一つで、機能停止とか……それ、マジで『料理』!?」
その後、報復で妖精魔法乱舞もやらかしてるから俺の『料理』に関して【組織】は全力封印で対応してくる。ちょっと、【鮮血の】に頼まれて生産工場の一ラインを占拠しただけなのに酷い話だ。
アレは、【鮮血の】がライン買い占めを忘れて市場に流れた結果だったのに(笑)。そして、その後で《旧・神族》達も巻き添えにしたりした。正確には、【組織】に入り込んでいたスパイを見付けたので……ソイツが使っていた、技術や物品を《旧・神族》に流すルートに紛れ込ませてみた訳だけど。紛れ込ませたのは、見た目ウィ〇ーインゼリーモドキで、中身は俺の本気で作った手料理。
まあ、それも後で大目玉をくらう理由になったんだけど。
結果的に、ホンの一瞬平和な時間が流れたのはいうまでもない。
本当に、一瞬だけだったけど……まさか、半世紀も何も起こらないなんて事になるとは思いもしてなかった。
まあ、そんな事があったんだよw。それが、俺の作った料理が原因なのかはわからないけど……奴等が、何もして来ないなんて事が本当にあった。アレには、大魔導師も唖然としていたよ?もう一回殺ろうとしたら、スパイの方が先に捕まったけどな(笑)。
「つーか……もう、師匠さんが《旧・神族》の料理人になれば良いと思うのは俺だけか!?」
「超平和的処置で、何とかなるんじゃね?」
それは、俺も【組織】が許さないよ。
セイバー・オルタに続いて、インスタント・ソウルだったというオチ。結果、危険極まりない怪物が生まれる可能性が出て来ました!!聖剣エクスカリバーを振り回す《堕ち神》とか激ヤバです!まあ、このセイバーはきっと実験体なんじゃ無いですかね?でも、SAOモドキ世界に落とされているって事は失敗作なんだと思われ。この世界は、廃棄処理場扱いの世界なので転生者も比較的マトモなのが居たりする。もしくは、《堕ち神》化しにくいけど悪辣な性質の馬鹿やアホゥが落ちる場所です。そこに、SAOやALOの関係者が突っ込まれた世界。
そして、菊岡さんも参戦です(笑)。
大規模魔法がUFOになったと聞いた時、「へぇ、面白い」と言ってたのが菊岡さんです。正確にはクリスハイトかな?あの人なら、言いそうなセリフですよね(笑)。
そして、料理ネタです!まさかの、《旧・神族》までも被害に合ってたとか……まあ、双夜が【組織】に来てからは割りと頻繁に《旧・神族》も巻き添えになる事がシバシバあるんだよね(原作?元ネタ?)。フレールくんが居るので、比較的簡単にスパイとか見付けられるんだよ(笑)。で、そのルートを使ってヤバいモノを流す双夜。結果、《旧・神族》方面でも被害が……(笑)。まあ、悪戯程度のモノなんだけど……そこそこ、大打撃を与えるのであんま叱れないという状況が出来上がる(笑)。そして、調子に乗った双夜は重力制御装置を送り込んでブラックホールで攻撃……なんて事もやらかしてます。
重力制御装置は、制御盤にナノマテリアルを使っていて……ナノマテリアルは空気に触れると水に変化するので、重力制御装置が動いたままだと暴走してブラックホールになる。そんなトラップが組み込まれた重力制御装置を送り込んで起爆させた訳だ。まあ、起爆させたのは《旧・神族》な訳だけど。
そんな感じで、攻撃して来るのでスパイも来なくなったんだよね(笑)。結果、大魔導師が怒ったんだよ(笑)。まさか、ワザとスパイを抱え込んでいたなんて思わないだろうからね。
全く、このぉ (*>ω<*)σ)Д`*)ゞ
神崎くんが居なければ、弄られ担当は【鮮血の】になります。
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれる方々に感謝を……