絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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二六五話

Re:

 

 

なんで……なんで、こんな事になってしまったのだろう?

最早、夢も希望もないとは正にこの事なのだろう……だけど、俺は夢や希望を追いたいと願っている。もう、俺には【リリなの】のヒロインしか見えない。それ以外は、視界に入れないから助けて欲しい。というか、師匠があんな暴挙に出なければ俺達がこんな目に遇うこともなかったというのに。

元主である転生者は、それに気が付いた所で逃げて行ってしまった。クソォ!師匠、あの馬鹿を連れ戻して来てください。容赦なんてしなくて良いですから、フルボッコにして引き摺って来てください!!そう思って、アイコンタクトを送っているとおもむろに右腕を上げた師匠は指パッチンで馬鹿を召喚。ああ、既に補足してたあげく指パッチンで召喚ですか。そりゃぁ良い!!お前も、この苦行に強制参加だ(笑)!!

 

セイバー・オルタ降臨です!!

 

事の始まりは、師匠がセイバーのアホ毛に興味を持った所から。

俺が気が付いたのは、師匠がセイバーのビョンビョン跳ねるそのアホ毛に視線を向けている場面に遭遇してしまった。

最初は、セイバーに視線を向けているのだと思っていたのだけれど。

ちょっと、気になった俺はその視線の先を辿ってみた。

すると、危険度の高いセイバーのアホ毛にたどり着く。

それによって、師匠が何をしようとしているのかを悟った俺は慌てて止めに入ろうと動いたのだけれど、師匠のスピードに追い付ける訳がなく……敢えなく、セイバーはセイバー・オルタと化したのだった。真っ黒に染まったセイバーに、師匠は呆れた様子で『馬鹿?』とか言ってたけど……普段が、真っ白なセイバーは黒く染まると悪質な人物になるんですよ。

そして始まるのは、恐怖のセイバー・オルタ『腹減った』コールである。

精錬された熟練者の料理では満足されず、所謂ジャンクフード的な雑ッポイ料理にしか興味を示さない悪夢。

かつて、衛宮士郎達をバッサバッサと斬り伏せて泣かせた『悪魔の味覚』が降臨したのである。流石の師匠も、セイバー・オルタの前では料理人のプライドをへし折られること間違いないだろう。

とりあえず、《森の家》に居た全員を巻き込んでセイバー・オルタの胃を満足させる催しを始める。もしかすると、アスナの手料理は認められるかもしれない。何たって、ジャンクフードに近いモノだもんな!!

 

「不味い!!」

 

「くはっ……」

 

大丈夫だと思っていたのに、セイバー・オルタの言葉に崩れ落ちるアスナが居た。その様子からは、割りと自信作だったのが伺える。だがしかし、セイバー・オルタの口には合わなかったらしい。

逆に、キリトやクラインが作った料理は絶賛されている。要は、キリトやクラインの手料理は【不味い】という事なのだろう。

セイバー・オルタの味覚は、不味いモノの方が美味しく感じるという状態だからな。男所帯な彼等が作った手料理は、セイバー・オルタの味覚を満足させるモノ足り得る可能性がある。さあ、大味かつ大雑把な男飯はいかほどか!?

 

「不味い!!」

 

「グハッ……!」

 

「くっ……」

 

鉄は、轟沈。エギルは、予想していたのか軽傷だった。

つーか、鉄……お前、あれで自信があったのかよ!?

ほぼ、炭ッポかった物体X?。あれが?あれで!?

その後も、敢えなく轟沈したSAOヒロインズ。一人暮らしが、長かったハズのシノンも轟沈。リーファは、ノーコメントで。出来合いのモノって、そこそこ良い勝負になるんだな。

そして、真打ち登場!我等が、師匠が虹色のカレーをセイバー・オルタの目の前に。あ、アレって……シャマルさんのポイズン・クッキングなんじゃ!?

 

「モグモグ……バハアっ!?!!」

 

ドゴッ!と、セイバー・オルタがテーブルに沈む。まさかまさかの轟沈です。セイバー・オルタが、シャマル先生?のポイズン・クッキングを口に含んだ時点で『あ、死んだ』と思った。

流石、シャマル先生!パナイッスね!!あの……あの!セイバー・オルタを一撃ッスよ!!パナイッス!!

 

「あ、ごめん。こっちが、本命だった……」

 

そう言って、半死半生のセイバー・オルタに差し出すのはパッケージを削ってメーカーをわからなくしたカップラーメン。ピクピクしつつも、セイバー・オルタは師匠が差し出して来た次の品を口に。結果、一口啜って青冷めたセイバー・オルタはブヘッ!!と含んだモノを吐き出して逃げ出した。しかし、カップラーメンの容器を片手に掴んだ師匠に回り込まれて逃げれず、魔力抵抗を上回る操作系の魔法で拘束。ほぼ、無理矢理カップラーメンを口に捩じ込まれてセイバー・オルタは撃沈した。

 

「何、食わせたんですか!?」

 

あの、セイバー・オルタが逃げ出すなんて普通にはあり得ない。

だが、師匠であればあのセイバー・オルタを轟沈させれるエゲツナイモノを持っていそうだ。振り返った師匠は、それはそれはとても良い笑顔でハッキリと鬼畜かつ鬼な事を告げる。

 

「ゾンビラーメン食わせた!!」

 

「鬼か!!!!!」

 

そんなもん食わせたら、セイバー・オルタでなくても轟沈するわ!!つか、なんつーもんをセイバー・オルタに食わせてやがんだ!?死ぬぞ!?いや、病気になるぞ!マジで!!

こうして、色々な被害を出しつつセイバー・オルタ事変は終わりを告げた。ほぼ、師匠の鬼畜無双で終わった様な気がするけど……しばらくは、セイバーも大人しくなると思われる。

 

「つか、ゾンビラーメン……」

 

「そういえば、大分前にフラグ建ってったッスね……」

 

「鉄、あれはフラグとは言わないよ。てか、持ってたんですね……ゾンビラーメン……」

 

「んにゃ、この間【鮮血の】が『第二段!』って持って来た。なんでも、腐臭を抑え口に入れるまでは誰にも気が付かれないビックリアイテムとしたんだって!本当は、神崎に試す予定だった!」

 

「尚、悪いわ!!つーか、身代わりありがとうセイバー・オルタ!!君の勇姿は、忘れないよ!!!」

 

チャンチャン♪

 

 

 

……………………。

 

 

セイバー・オルタ事変から、一週間程経って畑の様子を見にアルンへ行ったら超広大な畑が広がっていた。つーか、アルンという都市の出入口を出たら見渡す限りの農地とか……どんだけですかね?そして、その農地にはチラホラと草刈りをしている転生者と妖精達の姿があった。頑張っているんだなぁ……と感慨深く思っていると、ヒョッコリ現れたギルガメッシュが物凄い形相で迫って来る。

 

「手伝えや!!」

 

「おう!リリィ、前にやったアレよろしくです!!さて、俺も魔法の訓練しておくかぁ……」

 

そう言いつつ、割りと広範囲な一角を任された俺は地面に両手を付いて魔力を流しイメージ通りの魔法を行使する。とはいえ、師範代みたいな範囲系の魔法は巧く使えないのでほぼランダムで吐き出される雑草を手作業で集めていく。

 

「あー……面倒臭せぇ……」

 

纏めて、ペッと吐き出せる魔法とかないかなぁ?つーか、今の俺って感覚で魔法を使うなのはさん(9歳)と同レベルな事やってるんだよなぁ。つまり、9歳程度の魔法しか使えないのか……。

 

「何か、低レベル過ぎて泣けてくる。もう、収束砲みたいに纏めて…………アレ?やっぱり、同レベルなんですかね?」

 

等と思いつつ、呟いていた思い付きを試してみる事に。

根っ子を丸めて、一ヶ所に集めて、ペイっと吐き出す……と、やってみたらアッサリ出来てしまった。雑草が、ウネウネと蠢く土の上を滑るように動く様は気持ち悪いけれど……一ヶ所にかき集められた雑草が、一気にペッと吐き出される光景はそれなりに気分が良い。むしろ、一本一本が吐き出されるよりかはスカッとする光景だった。今までの苦労は、一体何だったのかと後悔しつつも絶好調でそんな草抜きをやっていた俺は……しばらくして、消費魔力0を自覚した。

 

「やっぢまっだぁ……」

 

久々の魔力エンプティは、肉体の倦怠感と共に気分の減衰ップリに拍車を掛けて死滅させたかの様な状態へと俺を追い詰められていた。弱くてごめんなさい。雑魚でごめんなさい。踏み台な俺が、美女で見目麗しい【リリなの】のヒロインと恋人に成ろうとかどの口が言ってるんですかね?無理に決まってますよね!!

こんな感じは、あの世界では感じなかったのでこの世界特有の症状だろう。本来の見目に自信が無かったからって、物語のイケメンな容姿を借りるとかクズで卑怯者ですよね。中二病ですみません。本当、穴があったら頭から突っ込んで窒息したい。

もしかすると、師匠達が追加した機能性なのかもしれない。

師匠と、肩を並べたいとか……思って申し訳ありません。こんな、ウジ虫で卑怯者なゴミが《神殺し》の補佐とか超厚待遇とかーー(以下略)。

ゲームだった頃のアルヴヘイム・オンラインには無かった機能だから間違いはないと思うが……駄目だ、悲観というかマイナス思考が止まらない。マジもう、だめです。ごめんなさい。

 

「何、やっているのですか?兄様」

 

「…………エンプティ……」

 

「魔力の使い切りですか……ああ、ではこの世界の影響も受けているのですね?成る程……」

 

「……世界の影響……?」

 

「はい。魔力は、精神力と共に使われますので魔力を0にするという事は精神の元気さも減衰するという事になります。まあ、兄様は完全な魔力0ではなさそうなので自殺に至るという事はありませんが……中には、悪い方に堕ちて自害される方もいるらしいです」

 

「……マジかぁ…………」

 

完全な0でないのに、この……倦怠感。完全な0になると、この世の全ての悪い事が自分の責任の様に感じられて自害に至る者もいるらしい。

 

「全く、コレが私の“兄”ですか?」

 

あ、止めて……今、そんな事を言われたら……効く!!

 

「不精とか、愚兄とか付いたりするんじゃないですか?」

 

「や、やべて……」

 

「全く……物語のヒロインを恋人にするとか……他人の容姿を借りている時点で不可能なのはわかっているでしょう?」

 

「あ……あ、ああ……」

 

「自分に自信が持てないのなら、大人しく部屋の片袖で膝を抱えて引きこもって居れば良かったんです。ああ、でもそれですと御両親に多大な迷惑が掛かりますよね?ぶっちゃけ、死んでいただけます?」

 

「グフッ……」

 

という感じで、魔力がある程度回復するまで俺はラヴォルフ師範に散々小言を叩き付けられたのだった。生きていてごめんなさい。

 

 

閑話休題。

 

 

「し、死ぬかと思った……」

 

「そんな、大袈裟な……」

 

誰のセイだと思ってんだ!?

散々、ラヴォルフ師範に責められた俺は魔力が危機的状態を脱するまでイジメ抜かれた。そのせいで、ある程度回復したハズなのに気分は凹んだまま広大になった畑を眺めている。一応、師匠の無茶で容赦のないネタ食物で食糧難は脱したけれど、未だに細々とした問題が日々増え続けていた。

 

「……にしても、家一戸分程度の土地が見渡す限りとか……」

 

「大体、50戸くらいは建てられるみたいですよ?」

 

「マジか!?……50世帯分の土地……」

 

「ええ。一戸に庭付きで、50戸分の土地ですね」

 

「庭!?……反対側は、そうでもないのになぁ……」

 

「耕してませんからね……」

 

「今からでも、遅くはないかなぁ?」

 

「維持が、難しいので無理です」

 

「デスカー……」

 

確かに、クリエイターな転生者はクリエイター業優先だからな。

農業に興味を示したのは、結局のところ80人程の転生者のみだ。

妖精で、農業に興味を示したのは一人二人程度である。

所詮は、引き籠り体質の都会ッ子。アウトドアで、自力で農業をやってみたい等という妖精は少数派だった。

 

「使えねぇー餓鬼共め……」

 

「かく言う転生者も、農業に適した能力者のみの参加ですし……声を大にしては、言えない状況ですね……」

 

「《緑の手》だっけ?植物成長促進系のスキル……」

 

「はい。農業で、スローライフ等と言ってる転生者達です」

 

「その気持ちはわかるので、ノーコメント」

 

土系の魔法スキル持ちと、植物の成長促進系スキル持ちの転生者が名乗りを上げて、とても楽しそうに農業を営んでいる。

そんな転生者を中心に、数名の戦闘職が彼等を囲んでいるのだが……彼等は護衛。魔導具で、《モンスター避け》が展開されているとはいえ、それでも近付いて来る魔物はいる訳で……町の外で活動する以上、護衛は必須なのである。

因みに、モンスターと魔物は別物です。

ーーー【モンスター】と称されるモノは、所謂クリーチャーと呼ばれる系統の怪物で……【魔物】と称されるモノは、動物がなんらかの理由で凶暴化したモノを称する。ーーー

なので、《モンスター避け》は作れるけれど……《魔物避け》は、原因が判らず仕舞いで作れなかったらしい。

そして、モンスターは食えないけど魔物は食える!!

 

「つーか、モルボル食えそうなところ無かったんだよなぁ……」

 

師匠すら、断念するモルボル。モンスターは、基本的に食えない怪物です。その癖、一匹見掛けたら六十匹はいるGと同類。

駆除する者の身にもなって欲しい。

 

「やっぱり、外壁みたいなモノを作った方が良くない?」

 

「畑を囲むのか?なら、区切らないと逃げ場が無いんじゃね?」

 

「厚さ一メートル、高さ三メートルくらいの外壁で!」

 

「分厚いなぁ……材質は、石か……コンクリで?」

 

「鉄筋が良いなぁ……」

 

「何の要塞を作る気ですか……」

 

「【鮮血の】さん、呼んだ方が早くない?」

 

「ガチな要塞が出来ますね……」

 

「魔物避け程度なら、コンクリで十分じゃね?」

 

「とりあえず、アルン側はアルンの外壁で良いとして……南方面は、少し高さを調整しておくぞ?」

 

「何で!?」

 

「太陽の光加減かなぁ?もしくは、外壁を畑よりも広目に取るしかないか?ついでに、水路とかも行っちゃう?」

 

「風車は……もう、二・三個必要ですかね?」

 

「近場に川でもあれば……」

 

「「無い物ねだり禁止!」」

 

「わかってますよ!」

 

てな訳で、俺はちょっと広目に外壁を作る事にした。

護衛の数を減らして、経費を浮かせるべくちょっと大袈裟な守りを作ってしまう訳だ。やり過ぎると、要塞みたくなるのでちょっと立派な外壁程度に抑えて畑を囲んでしまう。ついでに、水路も作って現存の水路と繋げて終了。とは言え、未だ魔力が完全回復した訳ではないのでホンの一角だけを仕上げてしまう。

 

「呼んだ?」

 

魔力が、精神力を削るギリギリの所まで使ってから休んでいるとヒョッコリ【鮮血の】さんが現れる。呼んでません。呼んでませんので、お帰りください!ちょ、おい、こら!止め……ひぃ!?

止める暇もなく、【鮮血の】さんはもう一人のお連れさんと共に鉄筋コンクリ製の外壁をサクサク造り切って去って行った。

 

「おぉ?あの人が、まともな仕事をして去って行った!?」

 

「急いでいたんでしょうか?こう、何もないと逆に不安になります……まさか、発泡スチロール??」

 

「発泡スチロールじゃ、防御力が無いだろう?おい!ちょっと、見て回ってくれ!」

 

『『ウーッス!』』

 

一応、何かろくでもない事でもされているんじゃないかと見回ってみたが、どこもおかしな箇所はなく普通の外壁の様だった。

 

「まさか、何もしてこない事がここまで不安になろうとは……」

 

「フツー……普通なのに、そこはかとなく不安だ!!」

 

「クソッwwwあの人が関わると、いっつもろくでもない事になるけど……何もないと、余計に不安になるとか……最悪だ!!」

 

「こんな事なら、何かされた方がマシだった!!」

 

「おいおい。変なフラグ建てんなよ。むしろ、何もなかったと喜ぶ場面だろう?喜んどけよ……」

 

「手放しで、喜べません!!」

 

「師範代も、そんなに念入りに調べないで下さいよ!!」

 

「……………………」

 

しかし、半信半疑状態な彼等は【鮮血の】さんが作った外壁をしらみ潰しに調べ切っていた。やはり、あの人が関わると何もされなくても不安に苛まれるモヨウ。外壁は大丈夫だとしても、その周辺とかに地雷とか埋まってないよね?

 

「外壁は、囮だ!周辺も確認しろ!!」

 

「ハッ!?そ、そうか!!」

 

「盲点でした!!」

 

「後、下手な事は口にするな?」

 

「下手な閃きは、首を絞めるぞ!?」

 

そうそう、この世界の外観に合わないアスファルトな道路とか蒸気で走る機関車とか口走ったらアッサリ作られてしまう可能性がある。ここまで、世界が広がってしまうと移動も楽ではなくなるから馬鹿なアホが呟く事だってあるだろう。

しかし、移動には馬車を使えば良いだけだ。必要なら、サスペンションとかクッション使って振動を無くせば良い訳だしな。

 

「こういうのには、強いんだよな……転生者(笑)」

 

「デスネ。とりあえず、サスペンション使った馬車を発注してきます!!そして、馬車の中に椅子じゃなくてマットを……」

 

「そして、人が乗るところは小さく出来るだけ荷物の積載量を増やすとするならば!?あ、外壁は幌で!!」

 

「軽トラッスね!?見た目、軽トラで幅を二メートルにすれば…」

 

「バカ野郎!別に、幅二メートルでなくても良いんだよ!L字で、掘り炬燵みたく足を曲げれば良いんだから!!」

 

「当然、馬車を引くのはゴーレムッスよね!?」

 

「良いね、良いね!夢が、広がるねぇ!!」

 

うんうん。こういう時の転生者は、本当に水を得た魚の如く生き生きとしている。ここら辺が、ゲーヲタで引き籠り気質な妖精達との違いだ。妖精は、同族である妖精の待遇には行き過ぎなくらい過敏だけれど……それ以外は、とても鈍くて鈍感だ。天然とも言う。なので、大まかに『生産』というと転生者が中心になってしまう。みんな大好き、知識チートとNAISEIだからな(笑)。

 

「ゴーレム馬車……ゴーレムなぁ。確かに、便利そうではあるけど……【鮮血の】さんを刺激したりして……」

 

「「「ひぃ!?」」」

 

そして始まる、オーバーテクノロジーチート。

いや、まあ……オーバーテクノロジーだけでもチートなのに、知識に技術にNAISEI最強とか【鮮血の】さんがヤバ過ぎる。更には、《天地創造》能力者なんていう物質生産最強の創造主モドキが近くにいるし……最早、やりたい放題が出来る状況だった。

 

「兎も角、ゴーレム馬車はあの人達が居なくなってからにしよう。一応、今は休暇中で遊びに来てるだけのハズだから……」

 

多分、直ぐに居なくなると思い……たい。

まさか、何百年も休暇が続いたりしないよね?取れるとしても、数年程度で師匠みたく途中放棄したりはしないと思われる。

休暇の途中放棄とか、ワーカーホリックな師匠だけの悪癖であって欲しいのだけれど。

 

「大丈夫です。あの方は、キッチリ取る方ですから。むしろ、『もっと休ませろ!』と休暇の後に有給を使い切る方です」

 

「休暇って、有給を含むんじゃないのか!?」

 

「指定された強制休暇と自由休暇は別物です!」

 

「休暇に、指定とかあるんだ……」

 

「はい。長期の仕事後に、強制休暇(強制有給)があり……その後に、有給の残りを消化するか否かを選ぶ事が出来ます」

 

そして、今は《強制休暇》の時間なのだそうだ。

強制休暇の場合は、期間が仕事内容によるのでマチマチらしいが……大体、一週間から一ヶ月程が該当する。因みに師匠は、この強制休暇をスルーしてアレやコレやをしてから自由休暇。その後、申請していた期間を無視して仕事を始めるのだそうだ。

 

「休暇中に仕事……」

 

「申請期間無視……」

 

「紛れもなく、ワーカーホリック……」

 

「ブラックじゃないんだ……」

 

「ブラック企業(笑)」

 

「ハハ。原因、俺達転生者!!」

 

「「サーセン!!」」

 

「「マジ、すいません!!」」

 

「いえ、私に謝られても困ります……」

 

「《神殺し》なのに、雑用が多過ぎない?」

 

「別に、《神殺し》だからと言って【神】だけを殺していれば良いという訳ではありません。保護した者の救済なども含まれるのです。仕事は、多岐に渡りますので悪しからず……」

 

「……だ、そうだ」

 

何故か、物凄ーく納得出来ないという顔をしているが、これ以上ラヴォルフ師範に手を煩わせたくないのか誰もツッコミを入れない様だった。

 

「《神殺し》って、ブラックな仕事なんですか?」

 

「黒を通り越して、漆黒か奈落な仕事ですよ?」

 

「マジか……」

 

「その為の、【不老不死】。その為の、『人外』ですから。人間よりも頑丈で、ちょっとやそっとでは死なない肉体。便利でしょう?」

 

アカン。

これ、マジでアカン職業や……。

 

 

 

 

 




セイバー・オルタ降臨です!!
セイバー出て来て直ぐ、オルタ降臨とか(笑)。もっと、小出しにして行こうぜ!とか言われそう。
軽トラな馬車に関しては、作者の希望的なモノを垂れ流しにした一物だったりします。掘り炬燵に足を突っ込んだ状態で寝転がるみたいな?もちろん、密閉された小さな部屋モドキで。大型トラックの運転席の後ろにあるスペースと言えばわかるかな?一応、仮眠が取れるスペースがあるんだよね。ただ、足が伸ばせなくて膝を立ててなければならないけど。狭くて、長時間は居られない空間。それを出来るだけ快適にしたのが、軽トラな馬車かな?掘り炬燵式で、ベットというかクッションというモノが敷き詰められている空間。ゴロ寝可!!座高くらいあれば、カニ移動も出来るだろうから……野宿する時は行者はそこで寝る!!無駄に、危険な場所で寝なくても良い。行者、もしくは商人がそこで寝て外に冒険者が周囲を警戒しつつ野宿。昼間は、交代で仮眠室って所かな?
そして、そんな馬車を引くのは馬みたいなゴーレム!!みんな、【鮮血の】の介入を恐れているけどアレは仕方がないんだ!!だって、奴が関わると双夜とか守護者とか翼が怒ります。『世界観、ぶっ壊すなや!!』ってね。SFチートは、【組織】だけで十分。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれる方々に感謝を……

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