絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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二五六話

Re:

 

 

ここは、ミッドチルダがある次元のとある星系。

人が、住める様な星系ではないんだけど……ここに、【神】の気配が高まっているという情報を得て俺達はやって来た。……やって来たんだけど、既に戦いが始まっているのかチラホラと爆発光や閃光の光が見えたりしている。広大な宇宙空間で、【神】と《神殺し》達が戦っているのだ。そして今、俺達は次元航行艦の中からその様子を伺っていた。

 

「フム……中々の光景だな」

 

「そんな、悠長な……」

 

「だが、この広大な空間内では早々には届かないんだぞ?」

 

目には見えていても、あの輝きは過去の光。今いる場所から、約半月くらいの場所で見習い達が戦っているのだ。

 

「今、全速力で向かってるからもう少し落ち着け……」

 

そう言われても、目に見える場所で戦いが始まっている状況では落ち着けそうにない。というか、そもそも落ち着けそうにない理由は他にもある。例えば、俺達が乗る船の横をL艦より二回り小さいスマートな船が数艦並走しているとか……ゴテゴテしている割に砲門が一つしかないのが不思議とか言いたい事が山程。

だけど、誰も気にした様子はないし……故に、アレが何なのか聞きたくても聞けなくてストレスになっていたりする。それと、フとした瞬間に聞こえてくる師匠の『新装備♪ 新装備♪』という歌?がとても嫌な予感を孕んでいて恐ろしく感じていた。

つーか、師匠の言う『新装備』って隣を並走している艦が関係してますよね!?じゃなかったら、おかしいですもんね!?つーか、どんだけデカイ新装備なんですか!?確か、アースラがL級戦艦だからそこから二回り小さいとしてもS級戦艦レベルの大きさですよ!?アレが、レイジングハートの新装備ですか!?っていう事は、S級戦艦大レベルのバスタービット!?ま、マジで!?ちょ、おま、なんつーもんを持ち出して来やがった!?

そりゃ、宇宙空間でディバインバスターを相手に届かせようと思ったらS級戦艦レベルの大きさくらいは必要だろうけど……だからって、本当に造る奴があるか!?てか、これを通常戦闘で使ったらヤバくね?どんだけ、でかいディバインバスターが出るのか予想出来ないけれど……フルチャージのSLBよりもでかいのが出そうだ。つーか、今SLBの所でとても恐ろしい妄想しちゃったんだけど……これ、SLBとか撃てちゃったりしないよね?

 

「ーーーーーーーーーー」

 

…………撃てそうな気がする。

これが本当に、バスタービットだとしたら通常のビットと同じ事が出来て当たり前の物体だ。しかも、《真・ソニックムーブ》でファン〇ル化した超スピードなバスタービットとか……かなり、ヤバそうなんですけど!?物理的にも、魔法的にも。

これ、俺の妄想で終わったりしないかな?

 

「無理だな」

 

「人の考えにツッコミいれんじゃねぇよ!?つーか、これ、バスタービットなのか!?」

 

「そうだよ?魔導炉搭載型のバスタービットだよ?」

 

「余計なモン付いて来たぁ!!!!」

 

ちょぉ待てや!?何故、魔導炉なんて余計な物まで付けてやがる!?カモフラージュ!?誰に対してのカモフラージュだ!?

え?時空管理局!?……そもそも、確認される訳でもない癖にそんなカモフラージュなんてする必要ないだろう!?というか、これから【神】を殺しに行くんだよな!?じゃあ、この世界の魔法なんて使わないだろう!?何で、こんなモン用意しやがった!?

 

「ただの起動実験と趣味だな……」

 

「誰だよ!?こんなモン造ったの!?」

 

「この間来てただろう?」

 

「【鮮血の】さんかあああぁぁぁぁ!!!!」

 

何処までも、果てしなく迷惑な物しか作らない人だなぁ(怒)!!

『暇潰し』と称して、ジグソーパズル組に急遽参加したあの人は『だったら、もうちょっと大きいの作ろうぜ!』と言ってS級戦艦大のビット製作に乗り出したのだそうだ。それで、出来ちゃったのが七機のS級戦艦大のバスタービットである。

 

「これ、造る必要あったんですか?」

 

「因みに、砲撃の部分には魔法と物理の技術が使われている。確か、フォーミュラとか言ったかな?何かの再現技術らしいよ?」

 

ガン。強かに、机に頭を打ち付ける。

『フォーミュラ』!?フォーミュラっつたか!?それ、完全にアレを想定した技術ッスよね!?まだ、出て来てもないのにどんだけ想定しているんですか!?

 

「劇場版のユーリ戦を想定しているのか……」

 

「んん!?ゲギジョウバン・ユーリ?」

 

「何でもないです……」

 

余計なフラグ建てて行きやがったよ!?あのクソッタレ!!

 

「ああ、後、フォーミュラモードとかレイジングハートに突っ込んでたみたいだけど……外装パーツとか無限エネルギー搭載型なんだって……それと、ストライクカノンとかフォーミュラカノンとか色々言われたんだけど……」

 

「ガチで、クソッタレか!?」

 

あの人、本当に余計な事しかしやがらねぇなぁ!!そんなもん、レイジングハートに組み込んだら確実に劇場版GODに行く事になるじゃないか!?ひぃ!と頭を抱えてしゃがみ込む事しか出来ない俺。そんな俺を、師匠は諦めたかの様な顔で遠い目をしていた。ああ、この人もアレの被害者なんですね?わかります。

 

「とりあえず、後で馬鹿はとっちめるとして……そのゲギジョウバンってのを話そうか?神崎」

 

「ですね。とりあえず、戦場に着くまでは暇ですしね……」

 

という訳で、師匠に劇場版GODの説明をする事にする。

それ以外に出来る、対策も思い付かないし……それが、一番の対策に思えたのも事実なので戦場に着くまでの間、延々と劇場版について師匠に語った。

 

 

……………………

 

 

……………………

 

 

……………………。

 

 

「《フォーミュラカノン・フルバースト》!!」

 

見た目の大きさも、然程変わらないフォーミュラカノンで師匠が全力の砲撃を撃ち放つ。青銀の魔力光を含んだ閃光が戦場を切り裂く様に走る。しかし、戦闘にはなんら影響も与えない攻撃なので敵味方共完全に師匠を無視して己の戦闘に集中していた。

と言うか、戦闘中に未使用機の起動実験をやってるだけの師匠だけど、《神殺し》のスキルは全開にしてあるらしく【神】の能力を著しく弱体化させてはいる。なので、無視はされても文句までは誰も言わないので問題にすら成っていなかった。

というか、時々【神】の邪魔をする様に当てに行くので一応援護には成ってたりする。余り、ダメージにはなってないみたいだけど大技の邪魔をされているので鬱陶しくは思われているモヨウ。

師匠の攻撃が当たる度、こちらを物凄い形相で睨んで来るので師匠の()()()()は有効の様だ。

 

「嫌な、嫌がらせ返しだな……」

 

他にも、S級戦艦大ビットからのディバインバスターもエゲツナイ程に相手の行動に制限を掛けていた。というか、幅百メートル単位のディバインバスターとか(笑)どんな砲撃魔法ですか(笑)。

【神】が放った、魔法をも巻き込んで何もかもを消し飛ばし宇宙空間に消えていく青銀の極光。これが、ピンクの極光だったらトラウマモノですよね!!そして、チュドーン!と【神】に当たるディバインバスター。殺気の籠った視線をこちらに投げ掛けて、他の《神殺し・見習い》達に追撃を許しちゃうお馬鹿さん。

ほらほら、こっちに気を取られてると存在が危ういですよ(笑)。

なーんつって、【神】に念話を飛ばせば……挑発に乗って、こちらに飛んで来ようとするお馬鹿さん。

だが、それもまた他の《神殺し・見習い》達に邪魔されて……ガチギレして暴れている、駄々っ子にしか見えないクズだった。

散々、俺達に嫌がらせをしていたクズは自分がその対象になると駄々っ子となってキレるらしい。なので、とってもウザいです。

 

「Divine Buster Extension!!」

 

高密度に圧縮された魔力が、S級戦艦大ビットから放出される。

その先に待つのは、高密度の魔法群が飛び交う戦場だ。

多少、味方に被害が出るけど誰も気にした様子がないのでこれが普通の《神殺し》の戦場なのだろう。味方の砲撃に巻き込まれつつも、【神】を殺すべく前へ前へ向かって行く戦闘集団。

ただ、それを見ているだけでも勉強になる戦闘が目の前で展開されている。俺だったら、味方の砲撃に巻き込まれた所で硬直して隙を見せていそうだけれど。だけど、誰もそんな様子もなくただただ【神】を殺す為だけに武器を奮っていた。

 

「これが、《神殺し》……これが、【神】を殺す戦い……」

 

《Starlight Breaker!!》

 

そして、レイジングハートが恐ろしい呪文を告げる。

ちょ!?ここで、SLBですか!?まだ、全然敵もピンピンしているみたいですが……ラストスパートなんて出来そうにないですよ!?振り返り、師匠を見れば何やら違う事をしていた。

 

「圧縮……」

 

圧縮!?え?SLBを圧縮するんですか!?

 

《Accelerate Charge System Driver!!》

 

「《Boost Up Acceleration!!》」

 

「は!?」

 

レイジングハートが、更にトンでもない事をブッ込んで来ましたよ!?そこで、A.C.S.ドライブッスか!?青銀の翼が、師匠の回りに六枚展開される。更に、バルディッシュの渋い声が聞こえた。

 

《Sonic Move!!》

 

ちょ、バルディッシュさん!?更にアクセル全開ですか!?

レイジングハートの矛先から、ジャキン!と飛び出した魔力刃が深紅に染まっている。あれか!?あれが、SLB込みの魔力刃なのか!?魔力刃+集束魔法+突撃とか、誰のネタですか!?

 

「A.C.S.ドライブ!……イグニッション!!」

 

つーか、アンタ等アクセル踏み過ぎだろ!?底が抜けるぞ!?等と思っている間に、準備を終えた師匠は戦場に突っ込んで行った。

師匠が通った道筋に、魔法による爆発の光が続く。きっと、アクセルシューターで弾幕展開しているのだと思われるが……これ、宇宙空間だから許される暴挙ですよね!?

もし、これが地上や空で行われていたとしたらトンでもない被害を出していた事だろう。いや、本当に宇宙空間で良かった。

そう言えば、この戦闘の後であの人が持ち込んだ『フォーミュラ』なんだが……実際には、『フォーミュラ』でない事が判明する。

きっと、開発元のエリトリアが見付からなかったと思われ。

だが、今までにないエネルギー運用と技術なので劇場版・ユーリとの戦闘は普通に可能の様だ。ただ、魔力と物理エネルギーを併用した魔法と科学の融合技術は洒落にならない。

アレは最早、禁断の技術である。

つか、星に当たったら一撃で吹き飛ばす攻撃とか洒落にならないんですが!?ガチで、【神】を殺しに行ってるよ!?あの人!!ほら、【神様】までもドン引きしてるじゃないですか!?

んん!?ドン引きしてる!?え?当たったら、死んじゃうんですか!?マジで!?至ってる訳ではなく、弱体化でその域まで落ち込んだのが原因だったが……この時の俺にそんな事を詳しく考える余裕はなくて『至ってる!【鮮血の】さん、至ってるよぉ!?』等と叫んでいた。

 

「【神】すら怯える技術とか……」

 

危険極まりない威力に、俺も《神殺し》達もドン引きですよ。

アレを見て、何の反応も無かったのは師匠くらいなモノ。後で聞いたら、リミットブレイクしたヤツよりかは弱かったから驚かなかったんだって。リミットブレイクってなんよ!?

 

「『自重しろぉ!!』」

 

「善処する」

 

「それ、しないヤツじゃん……」

 

「自重はしない。でも、善処はする!!」

 

「師匠が、何言ってるかわかんない……」

 

「神崎!戦うなら、セットアップしとけよ?」

 

「ちょ!?嫌ですよ!強制黒歴史とかガチ勘弁!!」

 

「そんなもん、笑って受け入れろ!」

 

他人事だと思って……いや、師匠の場合だと普通に笑って受け入れそうだ。しかも、ノリノリで黒歴史を量産してそうである。

それに、あの激戦区に飛び込むとしたら防具は必要だろう。

背に腹は変えられないっていうし、仕方がない!!

チャキッと、ダーティー・ニーズを抜いて『SET UP』と呟く。

 

 

 

 

 

・変

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・身

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔女っ娘、マジカル☆ギルちゃん!変身完了です♥きゃは☆♪」

《なんじゃこりゃあああぁあぁぁぁ!!!???》

 

そして、セットアップを完了した俺は余りの暴挙に叫ぶ事となった。金ぴか鎧のハズが、フリフリのミニスカゴシックロリータ白ドレスに。《ダーティ・ニーズ》は、剣じゃなくて可愛らしいピンクのステッキに大変身!声は、女の子のモノなのに見た目はそのまんまで筋肉質な大男。ぶっちゃけ、SAN値がゴリゴリ削られて行く。

 

「きゃは☆!悪い子は、お仕置きしちゃうぞ♥♪」

《ぎゃああああぁぁぁぁ!!!!!》

 

つーか、誰の趣味だよ!?

どこのブリッ娘だよぉ!?

 

「……………………」

 

「『……………………』」(見習い達)

 

【……………………】(敵)

 

俺のあんまりな惨状に、戦闘は一時中断して【神】ですらも言葉が無く唖然とした様子でこちらを棒立ちで見ているしかないレベル。しかも、その沈黙は長く続く事となった。

誰もが、何か言おうとして何も言えないという状況で沈黙が続く。皆が、それぞれの者達を牽制し合いただ沈黙に押し黙る。

 

「きゃは☆」σ(≧∀≦*)∂

《笑いたきゃ笑えぇぇーーーー!!!!》(泣)

 

「『ごめんなさい……』」

 

【すまん……】

 

全員が、ほぼ同時に視線を逸らす。

止めろ。同情的な視線より効いちゃうだろ!?

 

「神崎は、弄られキャラだからな……これは、仕方がない」

 

「んもう!そんな事言う子にはお仕置きだぞぉ?ぷんぷん!」

《…………死んで良いですか?》

 

「……………………」

 

「『…………もう、勘弁してあげて!』」

 

【誰か、助けてやらぬか!?】

 

誰かの悪戯だとわかっていても、敵にすら同情されるこの状況に俺の心はへし折れた。もう、良い。誰か、殺して下さい。

師匠が、微妙に遠い目をしてこちらを直視しない様にしつつレイジングハートの矛先を向けて来る。あ、やっぱ別の方法でお願いして良いですか!?流石に、青銀の極光にまでトラウマ持ちたくはないので……ちょ!?ヒィ!?と怯えていると、フラフラと矛先がブレて射線から外れて行く。ホッと息を吐くと、またレイジングハートの矛先がこちらに向いた。撃つんですか!?撃たないんですか!?ハッキリしてください!!

 

「これ、魔力ダメージでノックアウトしたとして戻ると思うか?」

 

「『思わなーい!!』」

 

【も、戻らないだと!?それを創った者は、鬼か!?】

 

「きゃは☆!皆、酷ーい♪ きゃるーん☆♥」

《誰だ!?こんなの創った奴は!?》

 

「多分、その仕様を組み込んだのは別人だと思うぞ?」

 

「『うん。心当たりはある!!』」

 

「多分、セットアップするとランダムで心へし折る強制黒歴史が展開されるんだろうな……」

 

【流石の私でも、ここまではしないぞ!?こんな、一生言われ続ける様な残酷な事……一体、誰が思い付くんだ!?】

 

「一貫性だからOKって訳でもないだろう?だから、僕達が出動してるんだから諦めて殺されろ!!」

 

【断る!神とて、死にたくはない!!】

 

「おい、見習い共……さっさと、殺っちまえ!」

 

師匠の渇で、正気に戻った見習い達が一斉に動き出す。呆然としていた【神】も、応戦するべく動き出すが動きは鈍く成っていた。

きっと、誰かさんが呆然としている間に弱体化魔法をこれでもかっと重ね掛けしていたのだろう。まさか、人に断りもなく囮にするとはなんたる鬼畜か!?謝れ!!

 

「《マジカル☆ホーリーアタック》!!」

 

《Divine…》

 

「バスター!」

 

「きゃあ☆!?」

《ぎゃああああぁぁぁぁ!!!???》

 

俺の放った魔法は、なんとも簡単に青銀の極光に呑まれ背後に消えて行く。恐ろしい……こっちの方が先に撃ったのに、まさか後の先で吹き飛ばされるとは。視線を戻すと、師匠の姿は無く首を傾げて周囲を見回していると頭上にピンクの光を感じた。

 

「きゃは☆♪ とっても、嫌なヨ☆カ☆ン♪」

 

見上げれば、S級戦艦大のビットが頭上の位置にあってディバインバスターをチャージ中だった。あ、死んだ。逃げようと思ったけれど、幅百メートルのディバインバスターからどうやって逃げ切れと!?《瞬動術》をと思ったけれど、虚空瞬動術なんて使えないし動けない。多少、背中から吹き出し魔法で何とか移動が出来る程度で今の俺はただの的だった。

 

「きゃは☆♪ 優しくしtーーーー」

 

言葉を言い切る前に、俺はピンクの極光に呑まれて意識を失った。もう、二度とセットアップなんてしない!という決意と共に。

 

 

……………………

 

 

……………………

 

 

……………………。

 

 

「ハッ!?」

 

目が覚めると、そこは師匠が用意した次元航行艦の中だった。

そうですよね。あんなモンを、この身で受けたんだから直ぐには目覚めませんよね。うんうん、わかってますよ。

つーか、何故なんちゃって魔法少女風!?しかも、『きゃは☆』って何時の時代のJKだよ!?コギャルか!?舐めてんのか!?ぐおおおぉおぉぉぉぉ!……トンでもない黒歴史を立ち上げてしまった!!

頭を抱えて、ベットの上をゴロンゴロンと悶絶に身悶えする。ギルガメッシュの金ぴかが、まだ可愛げのある悪戯に思えてくる程に今回のアレは俺の精神を蝕んでいた。

つか、マジ魔法少女は勘弁してください!!

あんな黒歴史立ち上げられてしまったら、立ち直れなくなる。

 

「ふおおおぉぉぉぉぉぉぉ……」

 

ダメだ。全然、ダメダメだ。こんなん、立ち直れない!!

ダメージが……ダメージが、デカ過ぎる!!

 

「あがががが……」

 

しかも、人に見られるという悪夢。

これが、一人で部屋の中だけでならまだ立ち直れたかもしれない。しかし、これはダメだ。無理です。全く、立ち直れそうにない。

 

「ぐぎぎぎぎ……」

 

しかも、しかも!『きゃは』とか『きゃるーん』とか何処のブリッ子だよ!?『そら〇おとしもの』のトモキか!?エンジェロイドカードで、超科学で女体化した訳じゃねぇんだぞ!?

 

「ふんぐぐぐ……」

 

ゴシックロリータなドレスで、JO☆SO☆U♥。

素敵なステッキ振るって、可愛くキュートに大変身♥。

きゃるーんと華麗に魔法で悪を退治するんだにょ?

 

「…グフッ…………」

 

余計なフレーズが頭を過って、更なる大ダメージに身体の力が抜けた。ああ……俺、このまま天に召されてしまいます。師匠、先立つ不幸を許して下さい。等と、立ち直れない俺は辞世の句を読み上げるのだった。だって、あんなの公開したらもう立ち直れないよ!魔女っ娘だぜ!?魔女っ娘!!魔法少女だぞ!?

しかも、大男の姿でフリフリのレースが一杯のゴシックロリータドレスで可愛らしいステッキ振るって『きゃるーん』とか!!

 

「き゛ゃ゛る゛ー ん゛!!」

 

助けて!誰か……過去に戻って、やり直しをさせて下さい!!

そうだ!聖杯だ!優秀な魔法使いが居れば、過去に戻ってやり直しが出来るハズだ!!って、これじゃ【セイバー】じゃないですか!?俺は何時、騎士王になったんですか!?

 

『きゃるーん☆♥♪』

 

「クピャッ……」

 

通信が開いて、まず俺の目に飛び込んで来たのはブッ壊れ強制黒歴史状態の俺。その直ぐ後に、師匠の姿が映って『よっ!』と声を掛けてきた。その瞬間、俺は奇声を上げて白目を剥いたらしい。というか、心停止までしたとか後で聞いた。その上で、あの映像は消去されて今は倉庫で眠っているらしい。

 

「全部、消しといて下さい」

 

「すまんな。後で、報告書と共に提出しなきゃならんのだよ……」

 

「人の黒歴史を拡散する気ですか!?」

 

「いや、閲覧制限が掛かるから……【組織】に所属してないけど所属してる事になってる以上、報告書は必須だろう?大丈夫、クレームと共にシッカリ武器開発部には抗議しておくから……」

 

という訳で、俺は俺が気絶した後の話を聞く事になった。

結論から言うと、あの場にいた【神】は断罪されたらしい。

ただ、その【神】が【神の分体】で本体では無かった事と……その後で、人質にされた不知火翼を助けられなかった事を師匠経由で謝罪された。俺が気絶した後、【神】は事もあろうに不知火翼の魂を人質にしてその場から逃げ様としたらしい。

だが、師匠の【真実の瞳】がその魂を『インスタント・ソウル』だと見抜き怒りのSLBを穿ち放ったという。その結果、【神】は見習いの一人に斬り捨てられ消滅。翼の《インスタント・ソウル》は、燃え尽きた様に消えて行ったと師匠は語った。

 

「オリジナルじゃなきゃ、大丈夫なんですよね!?」

 

「まあな。だが、翼の魂データが出回って居るのかもしれないから無闇矢鱈に追い掛け回すんじゃないぞ?弱味になるからな……」

 

「いや、あの、俺は……」

 

「恋愛感情じゃ無くとも、お前は不知火翼に特別な感情を持っているよ。それは、これまでの様子からも一目瞭然だ」

 

「うぐっ…………」

 

ギロリっと睨まれて、俺は何時もの言葉を飲み込んだ。

確かに俺は、不知火翼という少女に恋愛感情ではないけれど、特別な感情を抱いているかも知れない。

恋愛感情じゃ無いけれど!!

だが、それが俺の弱味となるなら俺はその感情を切り捨てなければならないのかも知れない。そう思った所で、俺は凄く嫌な気分になってしまう。翼に恋愛感情なんて、持っては居ないけれど彼女を気にするその感情を切り捨てるのは嫌らしい。まるで、それは俺の感情じゃないみたいに独りで動き回っている。

 

「切り捨てろとは言ってない。その感情は、もっと育むべき感情だよ。神崎……それが何であれ、感情ってのは切り捨てるモノなんかじゃない。そりゃ、僕みたいに一部感情が封印されているのなら兎も角、そうじゃないのなら育むべきだ……」

 

「恋愛感情じゃないってんなら、この感情は何なんですかね?」

 

「さあ?僕は、君じゃないからわからないよ」

 

「……………………」

 

「育めば、いずれそれが何なのかわかるよ。今は、わからずとも何時かはわかる時が来る。だから、未来を切り捨てるな……」

 

「ハッ!?」Σ(´Д` )!

 

「それは、僕には出来なかった事だから……ね?」

 

「……………………ウッス……」

 

そんな風に言われたら、俺は何も出来なくなるじゃないですか……未来を切り捨てられそうになった師匠に、未来を切り捨てるなと言われた以上俺はこの感情を切り捨てる事は出来なくなった。だから、その結果が出るまでは様子見する事にする。

 

「何時かは、師匠も幸せに成って下さいね?」

 

「何だ?藪から棒に……」

 

「師匠にだって、幸せになる権利はあるでしょう?」

 

「ふむ……どういう理屈で、その結論に至ったのかはわからないが……善処はしよう……」

 

「それ、ヤらないヤツですよね!?」

 

「さて……どうだろうな?」

 

 

 

 




キチガイ要素が、薄くなった気がしたのでキチガイ要素をブッ込んでみました。神崎くんが、今回も被害者です(笑)。
金ぴかの鎧が、セットアップされるのだろうと思っていた神崎くん。しかし、セットアップされたのは魔法少女ならぬ魔女っ娘だったというオチ!そして、積み重ねられるのは強制的な黒歴史!!セットアップの内容は、ランダムです☆(笑)
何が出るかは、セットアップしてみないとわからない(笑)。
正に、鬼畜な装備なんですよ(笑)(笑)。今回、神崎くんは立ち直れるのだろうか!?つーか、受け止められねぇwww!
後、作者はコレのせいでマリアージュ兵の事を完全に忘れてました(笑)。てか、コレは普通に忘れちゃう!!なので、ここでちょこっと説明。世界を賑わせていたマリアージュ兵ですが……【神】が居なくなったと同時に、世界の修正力で消滅してます。死体が、バラ撒かれたとは言ってない。元々の材料が、転生者達が無茶をして殺してしまったすずかとアリサのクローン体だったからな。なので、消滅したが正解。
まあ、三年後の本来あるべき時間軸へと戻ったと考えてOK。ただ、前哨戦で挙動六課の面々がマリアージュ兵と戦っているので三年後はもう少し楽になるんじゃないかな?経験が、ある訳だから。もしかすると、早まる可能性もあるけど……そこまで、双夜達が面倒を見る訳にも行かないので放置です。ーーー以上。

乙女ゲー要素抜いて、ハイファンタジーとするかローファンタジーとするかは置いといて251話であとがきに書いた双夜転生計画の別話……というか、本来のお話だね。元ネタとしては、大まかなあらすじは一緒で……国の守護者となった『双夜』こと『双葉』が戦場で活躍する物語だったんだよね。
【青薔薇の戦乙女】の名を欲しいままにした戦場の青き(髪とか装備が)戦乙女。まあ、群大(システム・アガシオ)を元手に他国の戦士達と戦う殺伐系成り上がり物語だったんだよ。
そこに、乙女ゲー要素を突っ込んだらああなったけれど……元々は、群大(使い魔)を用いた傭兵の話で戦争を想定した物語だった。で、昇爵されたらNAISEIして、現代チートでヒャッハーと荒稼ぎ☆!財団作って、投資とかを想定。
すると、他にも色々な話の幅が広がって……それなら、王権社会と想定して国に囲い込まれる事もあるんじゃね?等と想定してみて……それなら、傭兵団とその財力を欲しいと思った国王によって王太子と婚約させられるんじゃね?みたいな流れに。なら、ついでに国にも何かを吹っ掛けといた方が面白いかと思って……『じゃ、婚約破棄されたら白金貨3000枚ね?』みたいな賭けを王様に吹っ掛けてみようか?とも考えた訳だ(笑)。それが、巡り巡って国の借金になった訳だけど(笑)。話は戻って、10年後……実際に婚約破棄されて、だけど掛け金は貰えず、雇い金も踏み倒されて国外追放。ブチギレて、国落とし!そのついでの駄賃と、王太子切り捨てて世界へと旅立つのが本来の筋で……国の乗っ取りとか崩壊は、悪のりした作者の戯言です。本筋でも、滅んでるけどね(笑)。乗っ取た訳じゃないから問題なし(笑)。森と魔物で取り囲んで孤立させたろか!?とかも考えたりしたけど……それだと、前の奴と然程かわらないので切り捨て。代わりに王太子殺して、傭兵として適当にフラフラしてる話にしてやろうと目論んだ訳だ(笑)。つーか、そんな殺伐とした物語を想定しちゃうのが作者のクオリティー!ま、想定出来ちゃったんだから仕方がない!と、サクサクサクッと考えて構築したらそれらしい物語になったんじゃね?と判断出来ちゃった。臨機応変に、しかも変則まで可能とか良いネタ話になったよ!!(笑)(笑)。

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