絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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魔法少女の世界です☆!

そして、いつの間にかvividが完結してた事実を知る!!
マジか(゚Д゚≡゚Д゚)゙!?
都築真紀先生、お疲れ様です!!
まあ、一番『お疲れ様でした!』は漫画担当の藤真拓哉先生ですが……これで、『Force』が進むんですかね!?

ではでは、私の作品も楽しんでやって下さい(笑)。


二四二話#

双夜

 

 

目が覚めると、見覚えがある様なない様な光景が目に映った。視界一面、白い布の様なものが天井を覆い隠し視界外へと広がっている。いや、布というよりレースとかカーテンとかいう物のようだ。それを、下から見上げていた。

 

「…………デジャヴ……?」

 

何時か、どこかで見た事がある様なない様な状況である。

通常であるならば、「知らない〇丼だ」という台詞を吐く場面なのだが……それは、一度だけのネタなので何度も使い回せるモノではないと神崎に注意されていた。

だがしかし、引っ張る事は出来るんだよ!!

とばかりに使い回す俺(笑)。

正に、酔っ払いギャグですね!!

 

「……………………」

 

自分のツッコミに、割りとショックを受けちゃった俺氏。

このまま、現実逃避に走りたかったのだが、笑い話しにすらならないそれを引っ張り続ける意味はない。

というか、なんでここにいるのだろう?

そもそも、ここはどこなのだろうか……と、疑問は尽きない。しばらく見上げていたが、どれだけ思い悩んでも答えはでない。確か、この間まではSAOモドキ世界に居たんだよなぁ……と思い当たった所で、大富豪クエストの好感度リセットされないよね?という不安に苛まれる。

ちょ、マジでリセットとか無しの方向で!!

世界を越えたくらいで、大富豪なオジサンの記憶リセットの好感度ロストとか勘弁してください。折角、プラス千の壁を突破したんですから、是非是非引き継ぎ状態で戻ったら楽させて下さい!と頭を抱えて悶絶する。

あの苦労をもう一度!なんて気力は、最早俺には存在しない。もし、リセットされていたら二度とあのクエストはやらないだろう。

それくらい、あのクエストには手こずらされていた。

 

「大丈夫?……苦しいのですか?」

 

フと、視界に影が射し、誰かが頭を抱える俺の額に手を当てる。そのヒヤリとした手が気持ち良くて、ついスリスリと額を押し付けてしまった。

だって、その手が何時かあったどこかで向けられた優しさの様な気がしたから。まるで、かつての母達に見守られていた時の様な感じがして視線を向ける。

しかし、その影はいずれの母達とは重ならず……でも、知っている人物ではあった。

 

「…………カリ姉?」

 

「はい、双夜。久しぶりですね?」

 

「…………あー、今度はカリ姉かぁ……って、カリ姉!?」

 

「きゃ!?」

 

ガバッと起き上がり、周囲を見回すと同時に風のフレールくんをばらまいて情報収集。しばらくして、そこが聖王教会の施設である事が知れた。

 

「にゃにゃ!?何時、《時渡り》を!?」

 

「落ち着いて下さい。ちゃんと、説明しますので……」

 

目の前には、落ち着いた様子のカリム・グラシアが微笑みを浮かべて俺を見ていた。説明すると言われたので、状況を確認しつつ情報収集を命じて手渡された暖かい物を口にする。それで、一息が付く。

未だ、自己紹介してないにも関わらず、カリ姉が俺を知っているという状況とカリ姉の様子から、ある程度の事が理解できた。きっと、幼い頃か最近で絶望に近い状況を得たと思われる。それで、()()()()のカリ姉が憑依?優遇?して『俺を知るカリ姉』が出来上がったのだと考えられた。という事は、今回のサポーターはカリム・グラシアで決まりだろう。そうか……カリ姉かぁ……シャ姉じゃ無いのかぁ……という思いが、ちょこっと無かった訳ではないけれど、そんな事を考えているなんておくびにも出さずににこやかほんわかとマッタリ茶を啜る。

そうか、カリ姉かぁ……とても、残念です。

 

「ここは、聖王教会だよね?」

 

「はい」

 

「という事は、第一世界ミッドチルダなんだね……」

 

「はい」

 

「そっかぁ……【魔法少女】の世界かぁ……」

 

「魔法少女?」

 

「ただ、なのはさん達が『少女』と呼べる年齢かは別として……」

 

「あー……そうですね……」

 

「うん。聖王のゆりがご、どうなった!?」

 

「まだ、そこまでは行ってませんよ?」

 

つまり、ジェィル・スカリエッティがまだテロを起こす前という事だ。成る程、成る程……また、アレ等と絡むのかぁ等と辟易とするとカリ姉がクスクスと笑っていた。

そんなカリ姉の笑顔を見つつ、俺はドンドン使える手駒を追加で出していく。指揮権は、もちろんアルカリアに丸投げにして周囲と他次元に潜伏している転生者の捜索を命じた。

それと、この場にはいない神崎についてもお願いするが、こっちはお願いして直ぐに見付かったので良しとする。

というか、同じく聖王教会に居てシャ姉と遊んでいるみたいなので問題はない。一瞬、シグナムの所に突撃してるんじゃないかと邪推しちゃったりしたけど……思ってたより、理性的だった様だ。

 

「じゃあ、とりあえず……カリ姉が、初見だった人員について教えて貰おうかな?居るでしょ?元居た世界とは別に、増えてる人員と減ってる人員……」

 

「ええ。もちろん、それについて貴方の意見を聞いてみたいと思ってました。この世界は、私達が生きたあの世界とかなり違う様でしたので……」

 

「へぇ……そんなに、違うんだ?また、どんな改変かましやがったのかねぇ……」

 

という訳で、カリ姉を事情聴取しつつ彼の世界との違いを検証していく。もちろん、カリ姉から得た情報の裏は最優先で調べますとも。

 

「後は、はやて達の周りにいる人達かしら?」

 

「はやて達って事は、幼馴染みズって事?」

 

「ええ。男性の方が多いのですけど……」

 

「うわぁ……テンプレだねぇ。OKOK、とりあえず聞くだけ聞くよ?裏取りは、任せて!まあ、十中八九転生者だろうけどねぇ……」

 

カリ姉の話は、八神はやてからの又聞きでしか無かった。

それによると、他の世界と然程変わらず彼等幼馴染みズは踏み台以上なお邪魔虫と化しているらしい。

 

「自己アピールで、魔法妨害……乙。それで良く、乗り切れたな!?数多の事件(笑)」

 

「大変だったみたいですよ?」

 

「そらぁ、大変だろう……」

 

特に、闇の書事件がヤバい!

下手していたら、第97管理外世界・地球がナハトヴァールに呑み込まれていたかも知れない程ヤバかった。

SLB集束失敗とか、何やってんの!?と聞きたくなる様な話がわんさかと聞こえて来る。何をどうしたら、そんな状況になるのかわからないがガチでお邪魔虫な存在だった。というか、原作崩壊寸前とか止めて欲しい限りである。

 

「良く、建て直せたな?SLBの集束失敗とか、ゾッとするわ……」

 

「ですね。下手をしたら、暴発の危険性すらあったらしいですから……」

 

「で?そんな奴等が、今や管理局を代表する魔導師ってか!?大丈夫なのか?管理局……」

 

「今の所は……」

 

「実は、管理局の崩壊って彼等のせいだったりして……」

 

「冗談でも、止めて下さい。洒落にもなりませんから……」

 

カリ姉は、真面目な顔で俺をメッ!してくる。

ああ、リアルに想像してしまったんだね。わかる、わかるよぉ?ウチにも、似た様な事をしそうな奴等が揃っているから。セイビアとか、【鮮血の】とか、セトイルドとか居るからねぇ。まあ、セトイルドに関してはロリ専門だけど。

 

「それで、《聖王のゆりがご》戦には双夜も参加されるんですか?もし、参加されるのであれば、はやてと場を持ちますが?」

 

「うーん……僕のデバイス、なにょはママのおさがりなんだよね。しかも、《こちら》の技術で魔改造されてるから調整に出せないし……」

 

「新しく作りましょうか?」

 

「あー……いや、今のままで十分だよ。とりあえず、参加はするけどはやての部隊とは別行動で。お邪魔虫の動向で動くかどうかを決めるよ……」

 

自己アピールに余念がないというのであれば、俺達はもしもの時の為の存在である様にせねばなるまい。彼等の介入で、はやての部隊がダメになった時のフォローは必要だろう。

それに、以前それの存在を仄めかしたのにお蔵入りしちゃったアレの出番もあるかも知れない。

なので、俺達の存在は隠したままはやて達には囮&本命であって貰わねばならない。タタタタッと、【船】に居る奴等にアレの使用許可を求めつつ『聖王のゆりがご』戦の作戦を立てて行く。

 

「では、身を隠す拠点はこちらで用意させましょう」

 

「ありがとう!家賃については、神崎に仕事を割り振って貰えば良いから……」

 

「そう言えば、彼は何者ですか?」

 

「カリ姉の居た世界で、時間軸的には僕が現れる大分前。悪玉転生者に殺された善玉転生者だよ。彼の知識は、とても良かったのでそのまま《こちら》に引き込んだんだ」

 

それだけ言って、俺はベットから降りた。

これから、忙しくなるんだから色々と用意しなければならない。人員に至っては、問題ないので……後は、『聖王のゆりがご』戦までの使用される物資等が思い浮かぶ。

これは、開戦までの日々を過ごす為の物資で……開戦後の物資とはまた別の使い回しとなるだろう。時間も然程ないので、スピーディーに用意をせねばならない。

 

「あ」

 

そう言えば、凍真と話してねぇや。

色々と立て込んでて、先送りにしてたからなぁ……とは言え、アイツもずっと【組織】の施設内だけじゃあストレス溜まりそうだしこのまま放置しておいてやるか(言い訳)。

次に、SAOモドキ世界に行った時にでも話をすれば良いし……問題があるとすれば、ウォーティの予定がどうなってるかだけだから最悪氷漬けにされるくらい。

それはそれで、色々と嫌なんだけれど。忘れちゃったモノは仕方がないし、世界を越えちゃってるから対話も出来そうもない。フム、このまま放置で良いや。

 

「何かありました?」

 

「んにゃ。何でもない」

 

どうせ、直ぐに対応出来るもんじゃないし……ウォーティが恐いけど……このまま放置の方向で置いとくしかない。

だって、仕方がないじゃないか!ちょっと、SAOモドキ世界に戻ってサクッと終わらせようとしたけれど、【魔法少女】の世界から出られないんだから。

まさか、閉じ込められる案件に成ろうとは思ってもいなかった。けれど、この世界から解放される為には、この世界の問題を解決する他にない。

まあ、力尽くで無理矢理押し通る事は出来るけれど、ウォーティの恐怖と魔力の消耗率を天秤に掛けたら後者に傾いたので、『仕方がない』と呟きながら《こちらの世界》の問題解決を優先する事にする。

何はともあれ、方針が決まればそれを貫き通すだけだ。

まあ、今はまだ情報が集まり切っていないので方針も糞も無いんだけれど。はてさて、どうなる事やら……。

 

 

 

……………………。

 

 

 

あの後も、カリ姉と色々話をしたのだが……憶測や推論ばかりで、実りが無かったので騎士達が訓練しているらしい聖王教会内の開けた広場にやって来ていた。

まあ、やって来たとたん視界に入って来るのは騎士見習いや正規騎士相手に無双する馬鹿の姿。アイツ、俺がカリ姉とお話している間に何やっているかと思えば……暇人か!?

ああ……いや、暇人そのものだった。

数人の騎士相手に大立回り。中には、シスター達の姿もあるから、シャ姉も混ざってると思われる。とは言え、カリ姉の話ではこの世界のシャ姉は《あの世界》のシャ姉とは別人らしいので呼び掛けても俺に笑い掛けてはくれない。

《とりあえず、騎士が使いモノにならなくなる事態は避けろよ?》と念話を飛ばしてカリ姉の後を追う。

ところで、カリ姉……教会内部の地図片手に案内を買って出るのは止めた方が良いよ?何度、さりげなく方向を修正した事か……俺が、フレールくんで情報収集していなければ今頃完全に迷子になっていただろう。まあ、指摘する気は一切ないけれど。次元航行艦でも、迷ってたものね?うん。覚えているよ?シャ姉が居ないと、出歩くのも難しいんだよね。せめて、教会内部くらい覚えようね?

とは思うものの、毎日同じ場所を行ったり来たりしているハズのカリ姉が内部を覚えてない時点で不可能に思えて来る。生前を合わせても、かなり長い間同じ場所に居るんですよね!?それでも、覚えられないのだとしたら……もう、どうにもならないって事なのかも知れない。

とりあえず、前言撤回。

 

「カリ姉……」

 

「はい?」

 

「記憶障害でも、患っているの?」

 

「はいぃ!?」

 

「だって、迷ってたよね?生前と合わせて、かなり長い期間ここにいるハズなのに……僕、カリ姉の案内……何度も修正したよ?」

 

「……うぅ……」

 

言われて、気まずくなったのか呻くカリ姉。

しかし、呻いた所でやらかした事は無くなりはせず、むしろ疑惑を確信へと導くだけとなる。まあ、【真実の瞳】が告げるには記憶障害とかではないらしいけど。

ド忘れにしては、ちょっと考えられない期間である。

 

「もしかして、案内して貰えるからとか……甘えてたりするの?シャ姉に寄りかかり過ぎ?」

 

「ち、違います!」

 

「じゃあ、どうして?」

 

おやおや、俺の【眼】については良くご存知なハズなのに『嘘』を言っちゃいますか?フフフ……なら、御子様らしく『どうして?どうして?』攻撃ですよ?ほらほら、ドンドン墓穴を掘り進めて下さいな(笑)。徹底的に追い詰めてやりますから。逃げ道なんて、開けてあげないよ?

てな感じで、カリ姉を追い詰めつつ広場に到着。

シャ姉をも巻き込んで、カリ姉を《詰んだ》状態へと追いやってみた。結果、『甘えてて、ごめんなさい』とブツブツ呟くカリ姉が広場の隅で落ち込んでいる。

 

「師匠、やり過ぎです……」

 

「いやぁ、一度は潰しておくべきかなぁ……と」

 

「お世話になるんですから、親しい間にも礼儀は必要かと」

 

「にゃ!?神崎に、説教された!?偉くなったもんだな?神崎。縮地も出来ない小童風情が……リリィ、オルタ、揉んでやりなさい」

 

「Yes. My Master!!」

 

「さあ、兄様。修行の時間だ!」

 

「ちょ!?勘弁してください!!」

 

こうして、神崎はリリィ達に連れられてドナドナされて行った。全く、小生意気にも口答えするからそんな目に遇うんだ。これに懲りたら、二度と口答えなんてするんじゃないぞ!?と送り出し、未だに拗ねているカリ姉のフォロー……と言うか、トドメを刺しに行く。

これでしばらくは、シャ姉の肩の荷も軽くなるだろう。

シャ姉の苦労性は、その大半をカリ姉の面倒で占めているからな。何時もの事だけど、少しでもシャ姉を休ませるのが俺とカリ姉達の関係だった。それは、きっと()も変わらないと考えている。

 

「二十○歳にも成っていながら甘えん坊とか……」

 

「くふっ!…………」

 

「生前を合わせたら、三十○歳だね!そろそろ、身を固めてみたら?」

 

「こはっ……くっ!……」

 

「独り身……三十○歳……見た目が若いと言っても、中身がおばさん。ア・ラ・フォーォ!!」

 

「くっ……殺せ……!」

 

騎士カリム・グラシアの『クッコロ』頂きました。

 

「そんなネタは良いから、恋人でも作ってみては?ああ、出会いが無いんだっけ……乙。マトモそうなのは、もう売り切れ状態だしなぁ……」

 

カリ姉は、その場で膝を突き自然と『orz』の状態へ成る。

それからは、【魔法少女世界】の原作ルールを使ったカリ姉の将来像をノミネートしていたら完全沈黙でグッタリと地面に寝転がり動かなくなってしまった。

ピクリとも動かないので、重力制御魔法で浮かせてカリ姉の執務室へと送っておく。さあ、机の上に積み上がっている書類の山を処理してねぇ?心へし折れて、やる気が出ないかもしれないけれど……仕事はやらないとね?←鬼。

白目を剥いて、ただ判子を押すだけの人形と化したカリ姉は、差し出される書類を確認もせずに判を押すだけの機械となった。なので、ワザと承認の判を押してはダメそうなのを選りすぐってカリ姉の目の前に書類を置く。カリ姉は、ほぼ無意識に判を押させつつ次のダメダメ案件を探す。

いやぁー、良い仕事をしたぜ!……( ゚д゚)ハッ!うっかり、悪戯気分でシャ姉の仕事を増やしてしまった!!

とりあえず、判は押されているけど処分文書の所に突っ込んで置いて残りの書類をカリ姉の目の前に。内容は、【眼】で確認済みなので問題はない。まあ、カリ姉の許容がないけど大丈夫だろう。押させちゃえ、押させちゃえ(笑)。

どうせ、費用を出すのは聖王教会かカリ姉の懐だ。

俺の懐が、痛む訳じゃないから問題無し!さあ、ジャンジャン押させちゃえ!後で、怒られるのはカリ姉であって俺じゃないからな。押したのはカリ姉で、俺は仕事をさせただけでしかない。全ての責任は、カリ姉にあり!!

という感じで、カリ姉に仕事?をさせて俺は訓練が行われている広場へと戻って来た。戻って来る途中、神崎の悲鳴と宙を舞う金色が見えた気がしたけれど、気のせい気のせい。

視線を逸らした先にシャ姉を発見。そのままの勢いで、シャ姉に突撃して周囲をクルッと一回り。

ヒャッフゥーと、飛び付いても良かったけれど……この世界のシャ姉とは、初対面なのでじゃれ付きは出来ない。

 

「カリ姉に仕事させて来た!今なら、どんな無茶でも書類を差し出すだけで判を押して貰えるぞ!!」

 

「なっ!?」

 

俺の叫びを聞いて、焦った様子のシャ姉は慌てて何処かに走って行った。きっと、向かう先はカリ姉の執務室。

正気に戻ったカリ姉とブチギレたシャ姉の正面対決が見られるであろう。だがしーかしぃ、見に行くのは禁止。

行ったら、巻き込まれるのは判りきっているのでそのまま訓練広場に残留。適当に柔軟運動しながら、シャ姉が戻って来るのを待つ。あの様子だと、俺が色々やったのは判っているだろうから文句を言いに戻って来るのもわかってる。

怒ったシャ姉は、そこそこ暴力的になるので軽くいなして退けなければならない。

物質通過跳躍魔法からの《ヴィンデルシャフト》はとても強力だ。本人も、旋迅疾駆とか何とか言っちゃってるし……何度か見た事はあるが、あのコンボとスピードはほとんど反則級である。というか、物質通過跳躍魔法はガチで最強。あの、前兆すらない隠密性と奇襲性は暗殺に持って来いである。アレと技のコンボは、神速対応でしか止められない。

 

「ただ、本人に相手を殺害するだけの気力が無いんだよなぁ。暗殺者とかに成れば、絶対成功するっていうのに……」

 

やってる事は、騎士とかそんな感じの職業。

本人は、シスターだ!とか言い張ってるけど……どう見ても、騎士道精神からか護衛とか周辺警護が似合うSPである。

 

「この世界のシスターって、かなり暴力的なんだよなぁ……」

 

スタン設定なんてモノがあるから、余計に暴力的に見えるという不思議。しかも、幼児虐待ッポイのにスタンモードだから安心安全を謳って子供でも平気で殴りやがる。

 

「ぶっちゃけ、端から見てるとただの幼児虐待……」

 

『躾』は、確かに必要だけど……万引きに、カートリッジロードまでして一撃を入れる必要性はないと思われる。

ベルカ自治領の中心市場で、実際にあったヒトコマ。

孤児の子達が、お店から万引きをしてシャ姉に見付かった時の話。

フレールくんが、集めて来た情報の中にそれはあった。

逃げる子供を、物質通過跳躍魔法で追い掛け回り込み驚いているところを《ヴィンデルシャフト》の一撃で沈めている。ぶっちゃけ、回り込んでるんだからそのまま素手で捕まえれば良いじゃん!カートリッジロードも、《ヴィンデルシャフト》要らないし!超余分だから!『これだから、暴力馬鹿の脳筋戦闘狂は……』と文句を言いながら訓練風景を流し見る。まあ、これと言って目を見張る様な人物は居ない上に雑魚ッポイ無双をやってる阿呆しか見掛けない。

ただ、万引きしてブチのめされたハズの幼児がチラホラ見え隠れしているけど……こちらに関わって来ないのであるなら目くじらを立てる必要もなかった。というか、彼女も原作に関わる人物なのだろうか?もし、そうだと言うのならあそこで無双している見目麗しい少年と関わらせるのは不味い気がする。なので、訓練用に立て掛けてある棒を手に取り騎士の真似をする御子様を装って近付き……

 

ーー《神速》

 

  ーー《金剛》

 

    ーー《豪腕》

 

ーー《穿ち》

 

  ーー《貫き》

 

    ーー《鎧通し》

 

      ーー《烈火の極意》

 

で、烈火流《凰我・芯・粉骨砕》を背骨に叩き込む。

結果、背骨を通る大きな神経が傷付き(潰れる)ビクン!と身体を跳ねさせた少年は崩れる様にその場に倒れた。

端から見た感じでは、子供の振るう棒が崩れ落ちた少年の背中を掠めた程度に見える様に調整。使い魔からは、バッチリ!のOKサインが伝わって来たので問題なし。

無双していた馬鹿は、今後下半身不随で一生を過ごす事になるだろう。とりあえず、棒が当たったという事になるので『ごめんなさい』してその場から離れた。

フレールくんを通して見る限り、少年は『疲れてるのかな?』と笑っているのでバレた様子はない。多少の痛みはあったハズなんだけれど……もしかして、鈍感なのかな?

まさか、小さな子供の行動ーー棒で背中を掠めたーーが人生を左右する事になろうとは思いもしていない様子だ。

ズブの素人ッポク、棒を振り回していたのが幸いしたのか……それとも、その辺でチョクチョク見掛ける転生者だとも思われなかったのか今一不明だけれど、不安要素は即排除なのが今の俺の方針なんだ。清廉潔白が証明されたら、サクッと治してやるのでもうしばらくは大人しく死んでなさい。

もしかすると、未だ見ぬ【主人公】だったかも知れないけれど、生前の身元確認と人格評価が終わるまでは何もしないで欲しいんだ。周囲の……原作に関わる人物達に、多大な影響を及ぼしそうな人物は監視ないし行動不能が好ましい。

そんな事を考えていると、背後に気配を感じた上に第六感が危機を告げていたので《神速》に入る。

振り返り見上げれば、憤怒の表情をしたシャ姉がデバイスを振り上げていた。なんでこんなに怒っているのかな?と思ったら、逆の手には判を押しちゃダメだった書類が握られている。ああ、それを見て怒っちゃったのか……一応、処分用の箱に入れたハズなんだけれど『採決』の判が押されていた事がダメだったらしい。

振り下ろされるトンファー。

身体を真っ直ぐに伸ばして、手で受け止めたトンファーの衝撃を《発勁》の逆パターンで足裏から地面へと逃がす。

 

ーー《硬気功》

 

  ーー《金剛》

 

    ーー《鋼の極意》

 

にて、《衝流・受け流し》が成立。

シャ姉が穿ち出した衝撃は、俺の身体を通して地面へと流された!所謂、振り子理論である。

与えられた衝撃が、肉体という伝導体を通して地面へと抜けたのだ。多少のダメージはあるが、本来与えられるダメージの十分の一もない。相手には、濡れたお布団を殴った様な感触を与えただろうけど、それに驚いた瞬間に生じた意識の空白を突いて《足払い》。手はデバイスを握ったままで、右回りに回して身体を半捻り。うつ伏せに倒れたところを、馬乗りになって腕を固めてみた。

 

「くっ……」

 

「残念でした♪ というか、破き捨てりゃ良いのに……」

 

「そういう訳には参りません!そもそもーーー」

 

「お説教は要らないし!判ってたから、処分の箱に入れておいたんでしょう?何なら、大きくばつ印付けりゃ良いじゃん。それで、その書類は受理されないよ?」

 

「ですから、そういう話ではないんです!!」

 

「あー、はいはい。部外者が、申し訳ないですね。でも、判を押したのはカリ姉であって僕じゃないし!責任は、カリ姉に押し付けて置いてね?」

 

「……貴方は、一体何者ですか!?騎士カリムの事を、その様に親しげに呼ぶなんて……それに、カリムも……」

 

「それはそれ、これはこれだよ?シャ姉……もし、知りたいならカリ姉に聞くと良い。カリ姉は、ちゃんと覚えてるからシャ姉の疑問に答えてくれると思うよ(笑)」

 

まあ、教えられて貰っても理解出来るかはシャ姉次第なので俺からはこれ以上詳しくは告げられない。後は、カリ姉にお任せして俺はこの世界の状況を確認する事に注視する事にした。

 

 

 

 

 




例に乗っ取って、月村邸……ではなく、聖王教会からのスタートです☆(笑)。始まりは、コピペで始めました(笑)。そして、カリ姉登場!後は、シャ姉とシャマル先生のみ!!この二人さえ終われば、同時登場が!?そうなれば、エンディングまで後半分だぜ!!まだ、半分にも至ってないとか(笑)。笑えてくるわぁ……因みに、本編がって意味で!そこへ、翼やSAOとか予定されてる?世界を含めると腐腐腐。死ねる!!誰だ!?こんな話考えたのは!?私か……辛いわぁ(笑)。組み合わせと、転生者の動向によってはストーリーの流れをブッタ切りな世界もある訳で……とても、大変です(笑)。
そして、《魔王(9歳)》が健康な身体で自身を鍛えつつ『ちょっと、頭を冷やそうか?』と指を突き付けて来るんですね?わかります。わあぁ、怖ぁい(笑)。
そして、シャ姉とのじゃれあい。
血界戦線みたく、技名が画面に打ち付けられる的なカッコイイのを再現してみたかったのだけれど……そんな機能はないので、適当にカットイン風に書いてみた。
それによって、転生者ッポイ無双少年の人生が終了。
本編には何も書いてないけれど、彼はギルガメッシュとリリィ、オルタに目が釘付けです(笑)。だから、双夜には気が付けませんでした!!

そして、双夜の混乱を煽る話し方(笑)。
撹乱大好き悪戯っ子ですねぇ(笑)。

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m(_ _)m

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いつも、読んでくれる方々に感謝を……。

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