絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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二一七話

双夜

 

 

神崎と別れた後、俺は認識阻害とステルス魔法(透明化)でグランツ研究所?の奥へと足を踏み入れていた。

薄暗く、人気のない場所をスイスイと進んで行く。

監視カメラが目立つが、低レベルなそれを気にする必要はないのでドンドン進んで行く訳だが……そんな強行軍にも、障害がない訳ではない。それは、チート魔法でも誤魔化しが効かない障害物というモノがある。

それが、部屋と部屋を区切る【扉】だ。

流石にこればかりは、どう足掻いても開ければセンサーでバレてしまう。しかも、破壊する訳にもいかないので誰かが開けてくれるのをひたすら待ち続けるだけしかない訳だ。まあ、扉の向こう側の様子さえわかればショートジャンプ(短距離転移)等で、誰にも気が付かれる事なく侵入する事が出来るのだけれど。生体感知魔法に反応があるので、転移等の強行突破も出来そうになかった。

なので、暇潰しと称してその辺の端末にナノマテリアル端子ーー万能端子。どんな型のPCにもアクセス権を得られる優れモノーーを突っ込んでグランツ研究所?のセキュリティーホールにアクセス中です☆♪。

そして、呼び出された情報は……開発中の【味覚エンジン】について。しかも、圧倒的に情報不足だった。

 

(あ゛あ゛あ゛……ウチのVR系データブチ込みてぇ!!)

 

未開発なシステムを見ていると、【鮮血の】が開発したフルダイブ型のVRシステムに組み込まれている味覚エンジンの一部を内緒で組み込みたくなる。

そして、驚かしたい!!

いつの間にか、増えてた味覚データ……実装してないのに実装されてる味覚エンジン。その上、誰がここまで造りきったのかという謎を残しつつ楽しんで貰いたい!!

 

(だけど、やったら色々勘ぐられるだろうな……)

 

それを、確認させるのは自分達自身で行って貰わなければならないからだ。

こっちから、言葉巧みな誘導は出来ない。

それをやると、『この膨大なデータをインストールした奴は誰だ!?』という驚きが薄くなってしまう。それならば、誰もがそれに気が付くまで黙って待つしかない。

 

(くぅ……ヤりたいけど、一つの事柄に入れ込む訳にも行かないからな。だが、方法はあるにはあるんだよ……)

 

コッソリ、インストール。

ちょこっと誘導は、推奨されないけれど。

それ以外の方法として、女性研究員を焚き付ける事は出来る。方法は簡単。研究員って事は、日々の生活の中で運動等……肉体を動かす行為が疎かになりがちになる事が多い。

なので、ダイエットがかなり大変だろうからそこを突いて味覚エンジンの開発を急がせる事が可能なのだ。

何故なら、VR系のシステムで人間が得られるモノは電気信号のみである。ならば、肉体を衰えさせない様に適度な運動をするのであれば、VRゲーム内で甘味をお腹一杯に食べて……現実では、そこそこの運動をすれば良い。

それを気が付かせれば、多くの女性がその希望に群がる事となるだろう。まあ、たまには本物の甘味を食べに行く事になるだろうけど。VR系のシステムは、様々な事に応用が効くから完成させれば、凄まじい財を築き上げられるだろう。だからと言って、ゲーム脳状態な彼等にそんな強欲はないかもしれないけれど。

 

(まあ、歴史干渉や歴史歪曲はやっちゃぁイケないとは言え……転生者の干渉によって、歪曲した流れは修正せざるを得ないからな。夜天の書の改善とか諸々だし……と、あー、ヤッパリS(シューター)&B(バスター)ビットは無いか。なら、設計図から完成図を引き出して来て幾つかのアクションを作成。上書き保存っと……でもって、《真・Sonic Move》はあるみたいだから、その内引き当てると信じて放置しておくか)

 

武具カードと、スキルカードの一覧から必要最低限の情報を得て、ちょこっとだけ追加の武装をインストールしておく。後は、前回の様に【運】を操作して黄金律で得られる()()()()金銭を対価にガチャを回せば問題なし。

あっという間に、己が手の内に欲しいモノを得られるだろうと思慮する。

そんな事をやっていると、背後に気配を感じて振り返れば小さな二頭身レヴィが座ってこっちを見ていた。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

なので、フレールくん経由で青色の飴を取り寄せて警戒される前に献上してみた。結果、見えていないハズ(機械系認識阻害)なのになつかれてしまう。でもまあ、これが本当に()()レヴィをモチーフに造られた存在ならこちらの事はその内忘れてしまうだろうと切り捨てる。

機械系認識阻害を展開しているが故に。

それでも、使えるモノは使うのが良いと……レヴィを扉の前にやって、次の部屋へと進んで行く事にした。

それ故に、俺の進行は順調に進みグランツ研究所の最奥にやって来て驚いたのはユーリに似た……もしくは、この世界軸のユーリと覚ぼしき少女がキーボードに向かっているその姿に。その手元と画面を覗き見れば、思った通り少女がシステムの調整をしている場面だった。

少女が見ているのは、先程自分が追加した武具の情報。

気が付かれてしまったのかと危惧したが、少女は気にした風もなく『Dr.Jが、追加したモノかも知れません』と呟いてスルーしてくれる。ホッとした所に、ディアーチェと思しき中学生の制服少女が慌てた様子で部屋に入って来た。

そして、その後ろから現れるのはこちら側のユーリ・エーベルヴァイン。使い魔と共に、この世界に幾年いられるかわからないけど、前回の事もあるからと小学校の下見に行かせたのだが……それが仇となったモヨウ。

きっと、見学中の彼女を連れて来たディアーチェ?は、近くにいた白衣の男性に事のあらましを説明して……男性の発言と共に俺の背後で作業しているユーリを見る。

なので、そそくさとその場を離れて様子を伺えばユーリとユーリ・エーベルヴァインの驚きに満ちた出会いと自己紹介が始まった。

 

(さて、どうすんだ?このカオス……)

 

収拾出来なさそうな状況と、とても冷静とは言いがたい様子でワタワタしている外野。本人達はほわほわしているが、その周囲で様子を傍で見て悩んでいるとユーリ・エーベルヴァインが()()を展開して悩んでいる時間も迷っている暇もなくなった。

『ひぃ』と声無き悲鳴を上げる内、ユーリ・エーベルヴァインは魄翼を巨大な手に変化させてニコニコと魄翼の説明をしている。周囲の状況は置いてけぼりで。

アレ程、異能ッポイ力は見せない様に言い聞かせていたと言うのに、とっても明け透けなユーリ・エーベルヴァインがそこにいた。

 

「こんな風に、出来るんですよー♪」

 

「ほぇ……」

 

ここまで、身を隠し潜めコッソリ潜り込んで来た手前、出るか……出るまいか……と一瞬迷ってしまうがユーリ・エーベルヴァインはアクセル全開。その内、混乱していた外野が正気に戻ってきて動き始めてしまったので、こちらも黙って見ている訳にはいかなくなってしまった。

スパーン!とスリッパ一閃。暴走する、天然ぽわぽわ娘を叩き乱入開始。唐突に現れた珍入者に、混乱から戻りつつあった周囲の人々はまた混乱する。

 

「こら!ユーリ、人前で魄翼展開しちゃダメって言っただろう!?」

 

「あ、双夜……今、どこから……」

 

「何処だって良いだろう!?何、警戒もなく()()をひけらかしているんだ!?変な人に捕まったりしたら、どうするつもりなの!?」

 

「変な人にって、私をどうこう出来る人なんていませんよ?」

 

そんな事は、百も承知であるが……ぽえぽえした様子で、可愛らしく首を傾げるユーリ・エーベルヴァインは今日も今日とて能天気な御子様だった。そりゃ、そんじょそこらの暴漢程度ではユーリ・エーベルヴァインに傷一つ付ける事は叶わぬだろう。しかし、だからと言って異能をひけらかして良い理由にはならない。

 

「えっと……貴方は?」

 

「……こっちもか!?」

 

突然現れた俺を、気にした様子もなく警戒無く話し掛けて来るこの世界軸のユーリ。さて、どう答えたモノかと悩むモノの異能をひけらかしてしまっているので選択肢は然程多くはない。とは言え、いきなり《神殺し》云々言ったところでゲームか何かの話としか捕らえられないだろうから、そっち方面は黙ってーー。

 

「私達は、平行世界を渡り行く《神殺し》なんですよ!」

 

「ゲーム脳な奴等に、その説明は物語扱いになるから意味がないんですけど!?そりゃ、証明方法はあるけど……面倒臭いんですけど!?」

 

ユーリ・エーベルヴァインが、全力全開で俺の計画を邪魔しに来ている!?おかげで、俺はフォローに回る事しか出来ない状態だ。お願いだから、ちょっと黙っててくれないかな!?かな!?

 

「大丈夫ですよ。双夜、私がいます。私という存在がいる以上、平行世界から来たって言う話は証明されているじゃないですか。初めまして、私はユーリ・エーベルヴァイン。紫天の書を媒体に存在しています、永遠結晶エグザミアの管制人格です!」

 

「あー……紫天の書よ、ここに……」

 

魔導書を呼ぶと、『おぉお!?』と驚愕的な声が上がったけれど、コイツ等みたいなゲーム脳の奴等に何処まで理解出来るかはわからない。

 

「これは、魔導の器。双夜は、魔法使いなんですよ?」

 

「あーー……マジ、勘弁して欲しい。せめて、《神殺し》の事は黙ってて欲しかった……」

 

「???何故ですか?」

 

「ゲームの設定的なモノに捕らえられるかもしれないから嫌なんだよ。こういう奴等って、神様信じてない奴等が多いから……。だから、オーバーテクノロジー辺りで翻弄しつつVR系の味覚エンジンをチラ付かせて取り入った方が良かったんじゃね?」

 

「それでも、正直に説明した方が信用されますよ?」

 

「信用と信頼は、別物だぞ?全てを正直に話したとて、それが信頼に繋がるとは言い難い。特に、平行世界系列で初見の者がいる場合だけど……ふぅ……」

 

ジロリ、とディアーチェが話し掛けていた男を睨み上げて数歩進み自己紹介を始めた。

 

「初めまして、グランツさん?僕は、次元の【外】からやって来ました。《神殺し》が一人、高次元精神生命体……セフィロト・アロザイド総長如月双夜だ。略式で悪いが、これを自己紹介とさせていただく。さて……此度、僕が【内側】の世界軸内にいるのは、【神々】の娯楽によって世界に生まれ落ちた【転生者】なる者を捜し出す為だ。この転生者なる者は、世界の史実……歴史を歪め根底を覆す可能性がある故、廃除または改定を持ってこれに当たっている。最悪の場合、世界の調整を施し世界が【外】に弾き出されない様にするのだが……間に合わなかった場合は、一時的に世界の【理】を歪めてでも止めるので安心して欲しい……」

 

「え、えっと……それは、何のゲームの話かな?」

 

「ゲームだったら、どれだけマッタリ出来た事か……残念ながら、現実に起こっている話だよ。実際、転生sビュッ……」

 

瞬間、後ろから?後頭部に凄まじい衝撃を受けて俺は一時目の前が真っ暗になる。多分、唐突に意識が落ちたから何だろうけれど……病気や意識障害なんて起こるハズがないから外的な要因だろう。そして、意味不明のまま気が付くと目の前には愕然としたグランツ?という研究者が立っていて然程時間が経った様子は無かった。だから、理解する。

先程の意識消失は、何者かの攻撃で頭をかち割られたからであると。

 

「誰だ!?人の頭をかち割った奴は!?」

 

「私だ!!」

 

振り返ると、仁王立ちでドヤ顔を決めている『オルタ』と名乗っているテオルグがいた。コイツ、また人の頭をかち割りやがったな!?

 

「物語の設定云々で、押し問答なぞしたくはないであろう?故に、視覚的に信じざるを得ない様にしてやった!!」

 

「アフォか!?余計な混乱と、グロ耐性のない者を阿鼻叫喚させるだけだろうがよ!?」

 

「ふふふ。既に、阿鼻叫喚は起きた後だ!見よ、この世界軸のユーリは気絶しているぞ!!(笑)」

 

この野郎……説明を省く為とは言え、グロ耐性のない者達の前で頭を消し飛ばしやがったな!?結果、大人な研究者達は何とか起きてはいるけど大混乱中で、ディアーチェは硬直して頭が動いているかは不明。ユーリは、見た通り気絶してしまっている。グランツ?さんは、瞬きしているから意識は戻って来ているみたいだけど……混乱の真最中の様だから、何を言っても聞こえる事はないと思われた。

 

「どーすんだよ……この大惨事……」

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

一時間後。

漸く、その場にいた全員の混乱が納まって話が出来る状態へとなった訳だが……テオルグを、省エネモードの子猫にしたらまた混乱が加速した様に思える。

 

「人を殺した子猫として、警察に突き出してみるか?」

 

「いやいや、無理だろう!?」

 

「まあ、人形(ヒトガタ)のままだと余計な混乱を煽ると思ったからコレにした訳だけど……余計に混乱しちゃったか……」

 

「…………本当の話なんだね?」

 

「何を持って、『本当の』なのかは知らんが……僕が、《神殺し》であるのは本当だよ?【転生者】の事も、彼等が歴史を歪め根底を覆せば世界が破滅する事も……ね?とは言え、僕はここにいて……そんな未来が来る可能性は、限りなくゼロになったけれど、完全なゼロではない。ほんの少しだけど、その可能性がある限り僕は戦わなければならない」

 

だからと言って、今回は【転生者】の殺害等という方法は取れないので心を完全にへし折る必要がある。

まあ、その方法は考えてあるので問題があるとすれば、この()の法律辺りだろう。

だが、平行世界を渡り跳ぶ俺達には関係のない話である。

 

「腐腐腐……彼等には、等しく絶望して貰わないとねぇ」

 

「えっと、双夜?何か、ゾクッてなったんですけど……」

 

「大丈夫だよ、ユーリ。僕が本気を出せば、馬鹿は変態するだけだから……腐腐腐……」

 

一番、手っ取り早いモノが『ふぁ!?いつの間にか女体化!?』で、その次が『私は誰?ここは何処?』と言う記憶封印術。強制的に、歴史を歪める事が出来ない様にするモノとしてはまあまあの方法だろう。

警戒しなければならないのは、原作人物との恋愛や結婚等ではない。それは、歴史上からの消失である。

その場で、存在していなければならない人物が()()()()()という状況にならなければ、何をされても問題ない。もしくは、その()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の代役がいるならば問題にもならない訳だ。

即ち、歴史を史実と同じ結果に導ける様ならば、別に主人公は【高町なのは】でなくても良いのである。

しかしそれは、【転生被害者】には不可能で……【踏み台転生者】にも実現不可なので、転生者による改訂を無かった事にして歴史を原作人物に回して貰っている訳だ。

もし、オリジナル主人公なる存在がいて【高町なのは】が不在だったとしても、その『オリ主』が歴史を史実通りに回してイケるならば俺達が介入する必要はない。

だが、歴史を史実通りに回せる様な人物に出会った事はないし、例え居たとしても俺は原作人物を推奨するだろう。

必要とあれば、()()()がその役割を担っても良い訳だ。期間縛りがあるけれど、それは出来うる限りその期間であれば好ましい……というだけで、絶対にその期間で終えなければならないという訳ではない。何故なら、世界の調整に()()()()掛かる場合もあるのだから。

短期間で……なんて、【真実の瞳】有りきの期間であって……“世界”が必要とすれば、何百年と縛られる期間である。

なので、短期間でなんて……《神殺し》の希望であって、“絶対のルール”という訳ではない訳だ。

そうであれば、好ましい……というだけのモノ。

 

「それで、どうするんだい?」

 

「転生者は、神様特典という絶対的なスキルが与えられているから……ゲームで、必ず勝つ!なんて事が出来る」

 

「なんだと!?」

 

「まあまあ、ディアーチェ、落ち着いて(困)」

 

「神様特典っていうのは、神様が仕事中のミスでうっかり転生者を殺してしまったから……とか、適当な理由をでっち上げて「おい!」……己の娯楽の為に、転生者が生きていた生前の世界とは異なる世界に転生させる際に、特典として三つだけ何でも願いを叶えてくれる「ちょ!?」ーーそれが、神様特典だ。っていうのは建前で、物語が面白おかしくなるならなんだって良いんだよ「こら!」。それに、ぶっちゃけ【転生者】なんて呼ばれているけど、彼等の大半がインスタント・ソウルっていう真新しい魂に人格と記憶をコピペされただけの人工魂だった……なんてザラだし?「おーい」完全に人間を玩具としか考えてないアホゥ共が多いんだよね。だからこそ、僕等っていう《神殺し》が存在している訳だ。娯楽なんて理由で、人の世に干渉しようだなんて許される訳がないだろう!?「おぉう……」それに【神】の領分は、世界の管理であって人間の管理じゃねぇんだよ!それは、誰にも許されていない事だし、何より聖母神も創造主も『人間の世には不干渉であれ』って言っているんだ!故に、人間は自由に文明を造り進化する事が出来る訳だな……ああ、因みに【聖母神】ってのは【神】の産みの親だ。あれがいないと、神を産み出せないから……つっても、今の管理職はアルバイトオンリーなんだけどね?専属にすると傲慢に増長して暴走する馬鹿が増えるから。定期的に入れ替えないと色々問題が……って、君達には関係ない話か。忘れて良いよ?」

 

「神様が、アルバイト……」

 

「世界の管理って、職業扱いなんだ……」

 

「建前……娯楽……インスタント・ソウル……」

 

「なんだか、耳の痛い話を聞かされた気分だよ……」

 

「悪い悪い。ちょっと、毒が溢れちゃった……まあ、そういう訳で神様特典を持った馬鹿がブレイブデュエルで、『俺TUEEE』やってるハズだからちょっと調べて見てよ?そしたら、公平に僕の《ルール・ブレイカー》でその特典をブチ壊してやるからさ。じゃないと、そんな卑怯者がディアーチェ達と恋仲になって将来的に結婚……なんて、お話になる訳だ。嫌だろう?そんな卑怯者と、一緒になるなんて……まあ、僕がここに来て暴露したからわかった話なんだけどね。普通は、気が付かないから……」

 

「フム……確かに、そんな訳のわからない力でこのゲームを遊ばないで欲しいかな?」

 

「とは言え、転生者の最終的な目的は……ハーレムを作る事にあるらしいけどね。「ハーレム!?」綺麗な女の子をはべらして、イチャイチャするのが目的!」

 

「なんだ……それは……」

 

「そういう奴は、基本的に生前は引きこもりのボッチでモテない君だった訳よ。現実が思い通りに行かなくて、世の中に拗ねてアニメや創作物に走り……ヲタクと呼ばれて、省かれてボッチ化。自分の都合の良い殻の中に引き込もって……そして、死んで転生するとなったら自己中化して来世では己の思い通りに過ごす馬鹿となる。そこに、自重とか何もないから(笑)。転生する意味をはき違え、己こそが転生後の世界の主人公だと思い込んで暴走しているのが【転生者】と呼ばれる存在だ。ハッキリ言おう……そんな、くだらない話に付き合う必要ないから!そして、先程から憤慨しているディアーチェ……君も彼等の攻略対象だから(笑)」

 

「なっ!?」

 

「そんな卑怯者に、惹かれたりするなよ?……後は、ユーリもそうだし……レヴィ、シュテル、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、アリシア・テスタロッサ、アリサ・バニングス、月村すずか、八神はやて……と他いっぱい。まあ、狙われている女の子はたくさんいるから。でもって、ある程度仲良くなったと判断されると攻略済みとされて、他の男性と一緒にいるところを見られたら裏切られたと逆恨みされて拉致監禁……なんて事も……とりあえず、仲良くはならない事だ。あれは、自分達の都合で生きている馬鹿だから!下手に関わると、訳のわからない恨みと妬みで暴走を始める爆弾だと思っていれば良い」

 

「どうにか出来ないのかい?」

 

「そもそも、彼等は転生をゲーム感覚で認識しているからなぁ……失敗したら、リセットしてやり直せると本気で思っているみたいだし……生前からの記憶がある分、来世である今を物語を読む様な……ゲームをしている感覚で、やっているから質が悪い。転生の意味をはき違えているっていうのは、そういう事を指しているんだよ……」

 

「ならば、理解させれば良いのではないか?」

 

「痛い目に遭えば、目が覚めるだろうね。人殺しでも、させてみる?それくらいの衝撃を与えないと、正気には戻らないよ?アレ……。まあ、人殺ししても正気に戻らない奴もいるけどね?いっそうの事、神様特典全部破壊してやれば良いのかもね?アレさえ無ければ、転生者と言えどもただの人になる訳だから……だけど、それをやるとまた引きこもりになるだけなんだよね」

 

人生をやり直せよ……と言いたいけれど、一度楽する事を覚えた馬鹿は自分の都合が悪くなると殻に閉じ籠る傾向が強い。ぶっちゃけ、妄想爆発乙!となる。その上、物理的にも閉じ籠るので関わろうとしても関われなくなってしまうのだ。ハッキリ言って、とても面倒臭い人種である。

 

「そうなったら、でぃばいんばすたーでマンション撃破コースかなぁ?その時は、結界なしのブラスターモード3ででぃばいんばすたーFull ChargeのEXだね!!」

 

それはもう!全力全開で、Bビット八機使って一点集中のフルカートリッジロードして穿ち抜いてあげないと♡。

 

「是非とも、引き込もって貰わないと……腐腐腐」

 

 

 

……………………。

 

 

 

さて、妄想はそこまでにして……ここから先は、グランツ研究所の手を借りての大捜索と相成った。しかし、試合結果やその内容までを記録する様なシステムが構築されておらず捜索は難航している。まあ、始動して一年も満たないモノではまだまだ不備も多いのは仕方がない。

故に、謝罪してくるグランツ博士を慰めつつ、俺は当初の方針通り仲間にした転生者と護衛の神崎を駆使して、問題の転生者を炙り出す事にした。

 

「最低でも、後一人。最悪は、それ以上いるとして……さてはて、どうしたモノかねぇ……?」

 

「何がだい?」

 

「お仕置き方法は、確立しているけれど……その罪が、軽度だったり……そもそも、罪を犯してない場合の接触方法かな?警戒されるだろうなぁ……」

 

「それこそ、ブレイブデュエルでお近付きになれば良いんじゃないのかい?」

 

「それが、僕には神様特典を無効にする《神殺し》の能力があるんだよ。《神殺し》だけに、()()()()()()()()()能力がね?だから、多分警戒されてしまうんだよ……」

 

「成る程。だったら、ワザと負けたら良いんじゃあ……?」

 

「ワザとは無理!僕達、《神殺し》が負けるって事は敵に屈するって事だよ!?意地でも、勝ちをモギ取りに行くね!!それは、過去の戦闘が物語ってるからねぇ……」

 

こちらから、身を引くというなら問題ないだろうけど……最後まで、戦闘を強制するゲームとなるとそこら辺の情緒が上手くいかない。

なら、叩き潰してしまえば良いのだが……仮に、その転生者の神様特典に【約束された勝利】等でもあれば、絶対に警戒されて避けられるのは目に見えている。

 

「途中で、リザイン出来れば良いのに……」

 

「……わかった。早急に、何とかしよう……」

 

「普通は、出来る様になっているんだけどね……?」

 

ブレイブデュエルには、プレイする楽しさに拘るばかりに抜けているシステムが幾つもあった。よって、今はその抜けている部分のシステムを急ピッチで取り揃えている段階だ。というか、手伝わされている。

 

「普通、部外者に手伝わさせるか?」

 

「ええい、新人は黙って手を動かせ!」

 

「僕、並列思考×48とブラインドタッチが出来るんで大丈夫です。後、IQ250あるんでパソ言語もわかりますよ?」

 

「ぐふっ……わ、我だって、それくらい……」

 

「わ、わ、わぁ……天才ですぅ!」

 

「後、馬鹿(【鮮血の】)の尻拭いとかもするんで……こういうのは、慣れてたりします。ホイッと、『リザイン』出来上がり!確認ヨロー」

 

「え、もう!?…………双夜くん。こっちにいる間、ウチでアルバイトしてみる気はないかい?」

 

「研究員の尻叩きなら、進んで引き受けますよ?VRゲーの汎用性と、ダイエットの下りで煽りますんで(笑)」

 

「VRゲーで、ダイエット?」

 

「ウム。味覚エンジン完成したら、間違いなくダイエットに使えますからねぇ。VRで得られるのは、電気信号のみでカロリーもたんぱく質もゼロなんですよ?栄養なんて、全く無し。なら、VRゲーで甘味をタラフク食らって現実では適度な運動。その結果……」

 

「「『痩せる!!!』」」

 

瞬間、その場にいた女性人が色めき立った。

いや、女性人だけではない。ちょっと、メタボなキライがあるダンディーな方々もザワッとしていた。

 

「あー、後……仮想世界で、満腹度が得られるなら、過食や拒食なんて病気も減りますし……」

 

過食であるなら、腹八分目まで現実で食べて仮想世界でガッツリ満腹感を得る方法を。拒食であるなら……そもそも、そのシステムを併用してダイエットするだけで拒食する必要も無くなるだろう。他にも色々と使える、仮想世界。

正に、夢の技術である訳だ。

 

「成る程。確かに、夢の技術だね……」

 

「味覚エンジンの完成、急ぐわよ!!」

 

『『『『はい!!!!』』』』

 

うっかり、研究者達のやる気にガソリンを注いでしまったらしい。まあ、概ね予定通りなので構わないが……ここで、『実は……』等と【鮮血の】が組み上げた『味覚エンジン』を持ち出したら……さて、彼等はいったいどんな顔をするのだろう?

 

 

 

 

 




という感じで、微妙に御都合主義な【鮮血の】の特殊オーバーテクノロジーが色々ヤバイ件について。まあ、双夜本人もそこそこオーバーテクノロジーに毒されていますが(笑)。
最初から、一貫して『味覚エンジン』についての話題。
基本、作者は仮想現実(VR)系の技術には、医療系の技術中心を期待してたりします。正に、夢の技術ですよね!!
ダイレクトに脳へ画像を入力出来るのなら、盲目の人々に世界を見せてあげる事が出来るし!!脳へ直接音を理解させれるのなら、難聴の人々を救える画期的な道具も出来そうです!!ダイエットの話は、SAOのVRを元に考えたモノだったりしますが……メッチャ、夢が広がります!!開発すら、されていないけれどな!!

なろうで、『令嬢』検索したら乙女ゲーム分類等という小説群が出てきたのですがーー翼のお嬢様言葉のネタ探しで検索を掛けたーー何故、乙女ゲームがヒットしたのやら!?
まあ、知りたいのはお嬢様言葉であるので間違いではないと読み始めたら……思い付いちゃう、厄介ネタ。BLじゃねぇよ!百合モノでもねぇよ!?全く、別物だよ!!
男性の出産率を低くして(神様特典)、転生したら……さて、その転生者は何%の確率で女児になるのかな?とか、思っただけだから!!つーか、ハーレム求めて男性の出産率を下げるまでは良いとして……転生する者が、男性として産まれる確率は、どれくらいだと思う?ってのを、乙女ゲー改変小説読んでて思い付く作者の頭は何なんでしょうね?というか、何処からそんな思考持ってきた!?と、逆に悩みましたよ(笑)。
どうせ、【魔法少女】の世界だしな!女児が増えた処で……問題にするのは、その世界軸のお偉いさんだけである。

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