絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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ニ〇七話

神崎

 

 

俺達は今、UーDとの最終決戦場へ続く海沿いの公園に来ていた。そこから、師匠が海の方を視て『あれか……』と呟いていたのでUーDの出現場所を特定したのだろうと考える。そう思っていたら、いつの間にかこの世界軸の転生者達に囲まれていた。

サッと、周囲を見回して状況を確認する。

人数は五人。タマ無しと、マッチョの姿も確認出来る。

それと、正規転生者とまだ見た事もない転生者が二人。

 

「チッ。本当に、俺達を出し抜いてユーリを確保した新人が居やがった……おい!ユーリは、俺達の女なんだ。サッサと返せ!!」

 

「テメェみたいなモブには、過ぎた存在なんだよ!」

 

「…………神崎。踏み台が、何か喚いているぞ?」

 

「ははは。分不相応って言葉を知らないバカの集団です。負け犬は、負け犬らしく原作人物を諦めてモブ少女にでも走れば良いモノを……ああ!こんなクズだと、モブ少女にすら相手にされないでしょうけどね!!」

 

「「「「「てっ……テメェ……」」」」」

 

「神崎。構わないから、徹底的に潰してヤりな。僕も、大人モードで参戦するわ!」

 

言って、師匠は12歳程の少年へと変化した。

 

「ああ、殺さない程度で構わん。痛め付けてやれ」

 

「「「「「ブッ殺すっ!!!!!」」」」」

 

「喰らえ!《フォトン・バレット》!!」

 

瞬間、セットアップしたタマ無しが唐突に直射系の魔法で攻撃を開始。回避せずに、放置して見送った直後別の魔力弾が直撃コースで俺達に向かって来た。どうやら、タマ無しの魔法を目眩ましとして使い別の転生者が本命を撃ち込む作戦だったらしい。なかなか、上手いやり方だ。

俺と師匠&ユーリは、何とかーー師匠は、違うかも知れないがーー散開してそれを回避した。

そうして、タマ無しと向き合えば俺の目の前には二人の敵が……師匠の方にも二人相対している。もう一人はというと、戦えないが故に、既に戦域から離脱をしていて目の届く範囲には居なかった。逃げ足だけは、一流らしい。

 

「たくっ……言っとくけどなぁ。あのユーリは、俺達が神様特典(建前)で得たユーリだからな!?」

 

「はっ!何を言い出すかと思えば……だったら、もう一人のユーリもGETして二倍楽しむだけなんだよ!!」

 

「全く、頭悪いなぁ!」

 

「うわぁ……どうしょうもない程に、クズだな……」

 

「はっ!ギルガメッシュに転生した、慢心王が抜かせ!」

 

そう言った、名前のわからない転生者がハンドガンタイプの銃剣を抜いて向かって来た。ハンドガンから、飛び出して来るのは魔力弾で、それ程威力がある様には思えない。

なので、バレットを壊さない様に受け止めてそのまま投げ返した。所謂、『なんちゃって覇王・旋掌波』である。

 

「い゛!?」

 

「一応、未来から来た師匠に着いて来たんで……俺達は、未来組と考えられなくもない。師匠は、技術とスピードタイプだし……俺は、パワーファイターなんでヴィヴィオとアインハルトの代わりが出来るっちゃぁ出来るんだよな……」

 

なので、師匠をヴィヴィオとするなら俺はアインハルトに該当する……なので、『なんちゃって』ではあるが見よう見まねの『覇王流』を使えれば良い訳だ。とは言え、師匠仕込みの『なんちゃって覇王流』なので完全な再現は出来ないけれど……それなりに戦う事は出来る。

 

「大地には、龍が住んでいる……」

 

思想は、中国系の陰陽道に通じるモノに近いが……微妙に風水的なモノも混じっているので、それに起因するモノが発祥なんだろうけど。どこかで、聞いた事のある台詞を俺は口ずさむ。龍脈から地上へ。地面から、己の身を通して相手に大地の力を叩き込む。それが、師匠が使う拳闘術だ。

その思想を元に、師匠達から仕込まれた技があるにはあった。しかし、まだそれを使って良いとは言われていない。

だけど、『なんちゃって』であるならば問題ないのでは?と思っているので、ちょっと使ってみる事にした。

構えは、『覇王流』と同じモノ。彼等が、転生者であるなら俺のその構えが『覇王流』のモノである事に気が付けるだろう。だが、師匠仕込みの技術は『覇王流』のそれはアインハルトが言う『覇王流』とは少し異なった。

肩幅に開いた足の裏を、爪先だけではなく地面にしっかりと縫い付ける様に踏ん張る。少し、腰を落として()()()を地中深くへと伸ばす。その()を龍脈に接続するイメージで、()()()()を昇って来る感覚を得る。

正確には、()()的なエネルギーらしいのだが……詳しい説明は、意味不明過ぎて忘れた。なので、抽象的なイメージのみをここでは紹介するだけに留める。

()は、円を描く様に昇ってくるので、大地へ伸ばした()諸とも()と同じ様に捻り……それにより、生じたエネルギーを足裏から受け取って、足、太股、腰、胸、腕へと円を描くイメージで伝達させていく。

そして、腕へと伝達された()を拳に乗せて敵を穿つのだ。結果、師匠程ではないが地面が割れて……拳に乗せられた()と共に、捻り込む様に穿つ事でその破壊力を満遍なく相手に浸透させる。鎧通しの様に、防御を突き抜けて内蔵にダメージを与えるのではなく……防御の上から、肉体の表層面を押し込み内蔵にまでダメージを浸透させるのがこの強打の特徴だ。ただし、流石に師匠レベルの技術は無いので、俺の場合はただの強打しか撃てない。

よって、瞬動術で間合いを殺し下から救い上げる様に拳を撃ち込むだけとなった。なのに、当たった瞬間……『あ、これ殺っちまった!?』みたいな手応えがあって、見ればタマ無しは吐血して沈んでしまう。

 

「ふぁ!?」

 

「ひぃ!?」

 

「……………………」

 

「もしかして、コイツ……装甲が、薄いのか!?」

 

「コクコク……」

 

「フム……殺っちまった……」

 

「つ、つーか、ギルガメッシュなんだろう!?なのに、なんでそんなに強いんだよ!?」

 

「努力の結果だ。ちょっと、ギルガメッシュを真剣に鍛えたらどんな化け物になるのか……気になったもんで……」

 

「……………………」

 

冗談で、そう言ってみたら得たいの知れないモノを見る様な視線を向けられてしまった。ちょっとした、冗談だったのに本気にされてしまったモヨウ。

てか、無努力で『俺TUEEEE!!』はない。

そりゃ、神様特典に胡座を掻きたくなるのはわかるけど……そもそも、この転生事態が神々の罠なので努力無しでは『俺TUEEEE』はあり得ない。

 

「神崎。こっちは、終わったぞ?」

 

「え?」

 

師匠の声がして、振り返ってみるとマッチョと名も知らぬ転生者が二人積み上げられていた。その下敷きになっている、マッチョの片腕と両足が本来なら曲がらない方向に曲がり……マッチョが、のたうち回りつつ呻き悶えている。

 

「ーーーーー」

 

「うわぁ……」

 

何をどうしたら、そんな状態になるのか不明だけれど……師匠は、逃げ出した非戦闘員を含めた三人を潰してしまったらしい。しかも、マッチョに至っては魔法で治療してもまともに歩けるのかかなり怪しい。もし、日常生活に支障がなくても、二度と戦闘等は出来ないかもしれなかった。

 

「……………………」

 

とりあえず、見なかった……気が付かなかった事にして、視線を俺の敵対している転生者に戻すと何故かモードリリースした転生者が、ペイッとデバイスを投げ捨てて膝を付き両手を上げて降伏してきた。

 

「負け!俺の負けで良い!!だから、こ、殺さないで……」

 

「……………………」

 

なんというか、こんな風に脅えられながら降伏されるとちょっぴり傷付くんですけど。まるで、自分が理性のない化け物になった様な気がして……余り、よろしくない気分になった。

 

「OK。師匠、こちらも制圧しました……」

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

「ん。じゃあ、治療するから持ってきて!」

 

「ウィース」

 

言って、吐血しているタマ無しを担ぎ師匠の元へ送り届ける。師匠は、壊れたマッチョをある程度治療して……だけど、完治はさせず次の転生者を治療していた。

 

「うん、こんなもんだろう……さてと、君等に聞きたい事があるんだけど……答えてくれるかな?」

 

「「「「「……………………」」」」」

 

完全に怯え切った者の目をした転生者達が、ビクビクしつつも師匠の要請に従いコクコクと首を縦に振る。

 

「えっと……答えられるモノなら……」

 

「OK。何、難しい話じゃない。君達が、この世界をどんな風に認識しているのかが聞きたいだけなんだ……」

 

「俺達が、この世界をどんな風に認識しているか?」

 

「そうだ……」

 

「…………それに、何の意味が……」

 

今一、意味がわかっていないみたいだけど……結論が、出る頃には考え方も認識も大きく変わってしまうだろうから、今はのんびりと見守る事とする。

 

「まあまあ、とりあえず答えてくれるだけで良いんだ。じゃ、質問だ。この世界のタイトルは?」

 

「……えっと、【魔法少女リリカルなのは】だけど……」

 

「【魔法少女リリカルなのは】だろ?」

 

「【魔法少女リリカルなのは】じゃん!?」

 

「【魔法少女リリカルなのは】だ!」

 

「【魔法少女リリカルなのは】」

 

そうそう。魔法()()の世界な(笑)。

だが、その意味をちゃんと理解しているかは……それぞれの個性によって異なって来る。まあ、たいていの転生者はその意味を理解しないまま転生して生活しているんだけど。

 

「フムフム。ちゃんと、この世界が物語の世界だと言うことを知っている。しかし、その意味を全く理解出来ていないと見た。じゃなかったら、自分こそが【オリジナル主人公】だなんて言えないもんなぁ……」

 

「「「「「???」」」」」

 

ですね。自ら、この世界が【魔法少女】の世界だと言っているのに、その意味を全く理解していないコイツ等を見て『浮かれているんだろうなぁ……』という感想を得た。

 

「自分こそが、オリジナル主人公だと思ってる人ぉー手ぇ上げて!!」

 

(*>∇<)ノ

 

(* ̄∇ ̄)ノ

 

(。・ω・)ノ

 

(*゚ω゚)ノ

 

ヽ( `・ω・)ノ

 

師匠の質問に、全員が手を上げる。

素直なのは良い事だが、ここまで神々の手の平の上だと悲しくなって来た。本当に、転生者という奴はどうしてこうも愚かなのだろうか?まあ、人の事は言えないけれど。

 

「残念ながら、君達の中にオリジナル主人公は居ない様だ。だからと言って、僕や神崎もオリジナル主人公じゃあ無いからな?僕に至っては、モブ以下の存在だから(笑)」

 

「えっと……モブ以下?」

 

「ウンム。僕は、一応……世界という舞台を調整する、所謂【黒子】と呼ばれる存在だから。裏方とか、大道具とか……役者である君達を引き立てるのが僕の役割ね?ああ、だからと言って特定の誰かを引き立てる事はしないよ?この世界に生きる()()を引き立てるのが僕の仕事なんだから!」

 

師匠は、自分の胸に手を当て……胸を思いっきり張って断言してしまう。『黒子』……役者、イコール登場人物達の『引き立て役』とは上手い例えだ。事実、その在り方は『引き立て役』そのものだったりする。

 

「黒子……裏方……」

 

「なら、誰が主人公なんだよ!?」

 

「そりゃ、【高町なのは】だろう?」

 

「はあ!?んな訳あるか!俺達がいるんだぞ!?なら、俺達の中の誰かじゃないのか!?」

 

師匠が、バッサリと現主人公を言い当てた。

まあ、【魔法少女リリカルなのは】ってタイトルにもなっているくらいだから、彼女が主人公でまず間違いないだろう。なのに、コイツ等と来たら師匠の言葉を半信半疑で聞いてやがる。なかなか、手強い馬鹿共だった。

 

「いんや。ってか、そもそも君達はこの世界のルールを知らないだろう?だからこそ、神様特典を持つ自分達こそが主人公だと思っていた訳だし……」

 

「この世界のルール……」

 

「そのルールってのは、何なんだよ!?」

 

「…………君達がさっき、答えを言ってたんだけど……気が付かなかった?」

 

「俺達が、答えを言ってた?」

 

「うん。じゃあ、もう一度この世界のタイトルを言ってごらんよ?わからないのなら、何度でも……」

 

「……そうか。タイトルに、【なのは】の名前が組み込まれているんだ!!つまり、俺達はサブ主人公な訳だな!!」

 

惜しい!つーか、そこまでして主人公に拘るとか……まあ、主人公でありたい気持ちはわかるけど、どう足掻いても男である君達が主人公にはなり得ない。

この世界は、【魔法()()】の世界だから。

 

「惜しい!わからないのなら、もう一回!」

 

「……【魔法少女リリカルなのは】。【魔法少女リリカルなのは】。【魔法少女リリカルなのは】。【魔法少女リリカルなのは】。【魔法少女リリカルなのは】……なんだって、言うんだよ。全く、わからないんだけど……」

 

「全力で、答えを言ってるのにわからないとか……そんなんだから、神様の手の平の上で踊る事になるんだ。だ~か~ら~、君達はこの世界のルールを自分の口で言ってるんだよ。【魔法()()】の世界だとね……」

 

「「「「「……魔法、少女……???」」」」」

 

あ、師匠が答えを言っちゃった(笑)。

なのに、転生者達は首を傾げたまま固まっている。

 

「ここまで言われて、まだ理解出来ないとか(笑)。だから、お前等は踏み台だって言われるんだよ。『少女』だよ、し・ょ・う・じ・ょ!!つまり、女の子でないと主人公にはなれないって事さ……」

 

そう言うと同時に、馬鹿な転生者達の顔が呆然としたモノから驚愕の表情へと変化していった。漸く、理解出来たらしい。ただ、最後までわかっていないのはタマ無しだ。

今尚、( ゚д゚)ポカーンとした顔をしたまま首を傾げている。

 

「そう。この世界は、魔法()()の世界なんだ!つまり、君達が男である以上【主人公】には成れないって言ってるんだよ!!」

 

「え?ちょ、ちょっと待て!じゃ、何か?俺達は、()だから主人公には成れないって事なのか!?」

 

「だから、そう言ってるじゃん……」

 

正に、阿鼻叫喚。頭を抱えて悶絶する馬鹿もいれば、苦悶の表情を浮かべ声無き声で叫ぶ奴もいる。ただし、タマ無しだけは悶絶している奴等を(゜ρ゜)ボケーと見ていた。

 

「一人、わかってないみたいですが……」

 

「はぁ。中卒か?まあ、良いが……へい!中二病諸君。君達の事だ、神様特典を三つ付けられると聞いて、しっかり三つ付けているんだろうけど……そこにも、罠が隠されてるって知ってた?実は、神様特典って三つではなく一つしか付けられないんだよ?もし、後二つ付けているならデメリット特典も付いてると思うんだが……」

 

「まだ、何かあるのか!?」

 

「あるんだな……これが!師匠が言う通り、神様特典は基本的に一人に付き一つだけ付与する事が出来るんだが……それを超える数の特典を得ようとすると……等価交換の原則の元、デメリット特典を得てしまう様になっているんだ……」

 

「えっと……つまり?」

 

「つまり、神様特典を三つ得ている者はデメリット特典を二つは持っている事になる。例えば、タマ無し。お前の攻撃が、敵に当たらないのはデメリット特典に命中率マイナス100%というデメリット特典が組み込まれている……って感じ?」

 

「ーーーーー」

 

「なら、俺の【神威の拳】が使いにくいのもデメリット特典が邪魔しているって事なのか!?」

 

「つーかお前の場合、呼吸法からして駄目ダメだね……」

 

「……呼吸法?呼吸法を、特典で得てはないの?」

 

「……呼吸法も特典じゃないとダメなんですか!?」

 

「使えてない所を見ると、そうだったんじゃない?」

 

「じゃあ、『南雲慶一郎並の女性運』は!?」

 

「『南雲慶一郎』って、そんなにモテるの?」

 

「あー、はい。モテモテですね……」

 

「それなのに、この世界では踏み台扱い……って事は、特典の物語適正が不適合になってるんじゃないかな?」

 

「おい!物語適正って何だよ!?」

 

「その言葉通りだよ。この魔法少女の世界では、使えない特典の事さ……特定の適正ある世界でないと機能不全を起こす特典の事だね。つまり、その南雲慶一郎と呼ばれた人物が生まれ育った世界でないとちゃんと機能しないんじゃないかな?」

 

「…………って事は、ニコポ・ナデポも?」

 

「多分ね。とは言え、その魅了特典……発動条件が限られてないから、判定が曖昧になってる気もする。つまり、【人間のクズ】って称号を得るだけで魅了を発動するには訓練が必要なんじゃないかなぁ?」

 

「「「「マジか!?」」」」

 

「訓練って、どんな?」

 

「顔全体に、魔力を行き渡らせるとか?」

 

「「「「マジか……」」」」

 

「……………………」

 

タマ無しを抜いた四人は、愕然とした表情で神様特典の機能不全を嘆いていた。しかし、タマ無しは今一理解が追い付いていないらしくポカーンとした表情のまま突っ立っている。それを見兼ねたのか、他の転生者がタマ無しのデメリット特典について質問をしてきた。

 

「じゃあ、タマ無しはデメリット特典のせいで魔法が敵に当たらないって事なのか!?」

 

「んー……正確には、タイミングがズレるんだよ。例えば、直射砲撃を撃とうとしたとしよう。その場合、最高のタイミングで撃てば直撃するってわかっていても、実際には一テンポ遅れたタイミングで魔法が発動して当たらない……とかね?そんな風になってるんだよ……彼の魔法は……」

 

「何!?そのハードモード……」

 

「ぶっちゃけ、君達がこの世界に転生した理由の大半は……神々が楽しく観ていられる様にする為なんだ。つまり、神々を楽しませるのが君達の役割だ……」

 

「ま、そこに君達が主人公の云々はないから……」

 

「「「「そんなぁ……」」」」

 

転生者達は、心底残念そうにその言葉上げて項垂れた。

これで、この世界軸の歪みは取り除けた……と考えても良いのかな?そう、思いつつも何かしっくり来ない感ががある。とは言え、この【砕け得ぬ闇事件】は転生者達が引き起こした事件だから、転生者達を排除し終えれば事件は解決だ。そう考えて、俺はある事が気になった。

 

「そう言えば、師匠。そこのマッチョの右腕をへし折っていましたけど……そんなに彼が、ウザかったんですか?」

 

「ん?いんや、そんな事はないが……ただ、掌底で打ったら簡単にへし折れたんだ……」

 

「…………簡単に?」

 

「うん。右ストレートが来たんで、右に一歩避けて……右頬を抜けて行った腕を、右手で甲を押さえる様に掴み……左掌底で、肘を打ち上げたらペキッと行った」

 

中々に痛々しい発言を、こんなにも簡単に言われるとちょっと引いてしまう。つーか、当たらなかったんならサッサと腕を引けよ!?いつまでも、残心を残すからへし折られるんだ。ってか、そんなに簡単に折れたとなると両足も似た様な感じで折れたのだろうか?

 

「……………………」

 

「足は、ローキックで折れた」

 

「ローキックで、折れる程度の足。君の筋肉は、見せ掛けなのか!?……何となく、ボディービルダーと同じ感じがするぞ?」

 

ボディービルダー……筋肉をより美しく魅せたい人々。

そこに実用性はなく、ただの筋肉達磨……なだけとか。

それを維持する為だけに、高い買い物をして散財している可能性も否定出来ない。ジトーとした視線を向けると、肯定するかの様に視線があらぬ方向に向けられた。

 

「おいおい……南雲慶一郎の神威の拳を特典にしたんだろうが?なら、ちゃんと実のある筋肉にしておけよ……」

 

「持久力もないみたいだし……本当に、見せ掛けだけの筋肉なんだね。僕も、ビックリだよ……」

 

「Master……時間の様です」

 

「「え……もう!?」」

 

いつの間にか、背後に控えていた見た事の無い使い魔がU-D出現を告知してくる。てか、もうそんな時間なんだ……と思ってしまったのも仕方がない。なので、その日は様々な問題を抱えたまま最終決戦へと赴く事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。

 

「……と、その前に一言良い?」

 

「はいぃ?」

 

「「「「「???」」」」」

 

決戦場に飛び立とうとした瞬間、何かに気が付いた師匠が邪悪な笑顔で転生者達の方に向き直った

 

「てかさぁ、いくら【砕け得ぬ闇事件】で忙しいからといっても……ピンチの君達を、原作人物達が救援に来ない時点でどう思われているかわかるよね?」

 

「そう言えば、我々って管理局に監視されてませんでした?って事は、今この状況って筒抜けって事ですよね?」

 

「「「「……………………」」」」

 

その事実を告げられた転生者達は、今度こそ完全に自分達の置かれた現状を理解し(一人除く)、顔を青冷め少々涙目だった。憐れ、踏み台転生者。君達の未来は、暗雲立ち込める絶望の未来だよ。まあ、今まで我が儘したい放題だったんだから仕方がないっちゃあ……仕方がない。

 

 

 

 

 




二名程、魔導師だったけど……省き。面倒なので、適当に潰れていただきました。マッチョとタマ無しは、転生者被害者なのに救われないってオチ。タマ無しに至っては、頭が弱いって事になっちゃいました(笑)。演算は速いんだけどね……それ以外がダメダメなんだよ。勉強が出来る馬鹿って奴だね。
それでいて、女好きでロリコン。原作人物達を己のハーレムにと野心を募らせ、我が儘のしたい放題やりたい放題と……そう聞くと、クズ臭がする。だけど、思慮が足りないだけでクズじゃないんだよ。転生をVR系のゲーム認識してるだけで……馬鹿なのは否定しないけど!

マッチョは、魅了系の特典があるからと胡座をかいて我が儘をしていた馬鹿だよ。女にだらしがなく、魅了特典が世界違いで不適合だったがばかりに踏み台化しちゃった馬鹿。
つーか、神威の拳とか願わなければ魅了系の特典のみで半ば強制的に発動していた可能性もあったかもしれない。

神様特典で、能力を願うとするなら……あやふやな願いの方が強くなれる感じになってます。例えば、『○○系の能力!』とか。前に、『アーチャー系の能力』と願ってえらい高能力となったキャラが居たけれど……。で、特定の誰かの能力と限定するとデメリット特典が強化されるみたいにしても面白いかもしれません(笑)。未定事項ですけどね(笑)。

ローキック……と言いつつ、作者は『コレ、ヤ○○キックじゃね?』と思ってた(笑)( ^艸^)##

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