絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一七五話

フェイト・テスタロッサ

 

 

「それじゃあ、殺ろうか?」

 

そう言ってなのはは、次元航行艦アースラの訓練室でニッコリとレイジングハートを構えた。なのはに対するは、アースラ所属の武装隊員レン・K・ヴォルフラムさん。

 

「えっと……あれ?なんで、こんな事に?」

 

ヴォルフラムさんは、対峙するなのはを見詰めながら何でこんな事になったのかと頭を抱えている。

なんで、こんな事になったのか私にもわからない。

だけど、なのはが言い出した事なので私はただ見守るだけだ。それに、この模擬戦はリンディさんの許可を得た正式なモノだからそこそこ無茶をやっても問題ないとのこと。

なのはは、それを聞いてニッコリ笑っていた。

 

《それじゃあ、初め!!》

 

「行くよー?ブラスターワン!!」

 

《Divine‥》

 

「ええ!?ブラスターモード!?」

 

「バスター!!!」

 

 

 

……………………。

 

 

 

事の始まりは、昨日の朝方くらいからなのはが『ソウニャくん』(?)という子供がいないと騒ぎ出したのが最初。

だけど、誰もその《ソウニャくん》という子の事を知らなかった。なのはの言葉の欠片から、聞き取ったところ『10年後の未来から来た《なのはの子供》』らしいのだけど……私達はそれに困惑するばかりだ。

だって、なのはが言うには私達もその子と会って会話して共に生活をしていたらしい。

だけど、私達にはその子の記憶が全く無かった。

だから、当初相談したリンディさんは何らかの記憶操作を受けているのでは?と言っていたんだけど……なのはと別室で『お話』をしたら、その子がいた可能性は高いと言い出す。突然の方向転換に、私達は驚いたけど理由を聞いたら納得せざるを得なかった。

それは、『自分が知らないハズの未来の事(知識)』を知っていたからだとクロノやエイミィを見ながらいう。

私自身も、それには心当たりがあった。

『転生者』とか《神殺し》……『神様転生』等という訳のわからない事を私も知っていたから。

それに、違和感みたいなモノを私は感じていた。

それは、私と母さんとアリシアに関しての事だ。

私の記憶では、『神崎さん』が全て何とかしてくれたとなっているのだけれど……その『神崎さん』が、それを全否定して『全ては、師匠がやらかした事だ』と笑っていた。

自分には、【死者蘇生】の魔法は使えないし……【闇の書】の基礎構造を記憶してもいないとも。

そして、それ等は『師匠さん』がこの世界から別の世界に転移したからだとも言っていた。

世界を越えただけなら、追い掛ければ良いと言ったんだけど……神崎さんは力なく首を横に振って、『私達の知らない‥行く事が出来ない別の世界へ転移した』と言う。

そこへは、通常の次元転移では行けず……また、行ったら戻って来れないかもと言っていた。

理由を聞いたら、『時間が』どうのとか『場所的ななにか』がおかしくなるとか良くわからない事を言い苦笑いして首を横に振るだけ。それに、望んだ世界に行けたとしてもその時間軸に師匠さんがいるとは到底思えないと彼は語る。

次元・時空・世界・場所、ありとあらゆるモノを超越しなければ私達を助けてくれた《師匠さん》には会えないらしい。まるで、その『師匠さん』っていう人が人間じゃないみたいに神崎さんは語っていた。それを聞くと、『事実、師匠は人間じゃないよ?ははは。あれは、否定するけど【神様】みたいな存在だから……人である君達とは、ホンの一時だけ共にいられる存在なんだ』と返答された。

その師匠さんは、神崎さんにとってもとても不思議な存在らしい。因みに、その『師匠さん』がなのはのいう『ソウニャくん』であると後で聞いて酷く驚く事となる。

まさか、同一人物だったなんて。なのはの語る感じでは、世話をしないとダメダメな幼い子って感じだったのに……神崎さんが語る《師匠さん》は完璧超人の様に聞こえた。

その疑問には、神崎さんが教えてくれたある情報で解決する。

それが、《幼児後退化》だ。

師匠さんは、女性の裸がとても苦手で複数いると過去のトラウマから精神を幼い頃のモノにして心の殻に籠ってしまうのだという。そうなると、能力の大半が使い物にならなくなったあげく、疑似人格である幼児(3~5歳)の心となり何も出来なくなってしまうんだとか。

そこを、なのはが預かってお世話していたらしい。

ただ、今回はストレスから幼児後退化したとも神崎さんは言っていた。私にはちょっとわからなかったけれど、神崎さんが懇切丁寧に説明してくれたので納得はしている。

でも、それをした人が納得行かない。あんなに優しい人なのに、小さな子にそんな意地悪をするのかな?と考えていると神崎さんは苦笑いしつつその疑問に答えてくれた。

なんでも師匠さんは、母性本能の高い女性にとってはとても構いたくなるお子様なんだとか。特に桃子さんは、母性本能の塊みたいなモノだから師匠さんを構いたくて構いたくてその欲望を抑え切れなかったのだろうとも。

そんな話をしてから、私が神崎さんと別れて翠屋に辿り着くと……何があったのか、なのはと困惑するレンさんが睨み合う様に対立していた。

その場にいたはやてに話を聞くと、なのはの琴線に引っ掛かるような事をレンさんが言ってしまったらしい。

それで、模擬戦で話を着けようという流れに……。

そして、現在へと戻る。

 

《Strike Stars!!》

 

バインドとシュートレーザーで相手を囲み、逃げられない様にしてから砲撃魔法で仕留める攻撃がレンさんに叩き込まれるところだった。私も、アレで仕留められたからわかるけど……アレは、一度でもくらうと直ぐには動けない。

でも、レンさんは回復魔法を持っているらしく自らを回復して直ぐに離脱してしまった。しかし、それを予想していたのかなのはは既に回り込んでいてディバインバスターでレンさんを吹き飛ばす。レンさんは堪らず、壁に叩き付けられていたけれど何とか立ち上がりなのはに反撃する。

だけど、レンさんはなのはの元に辿り着けない。

なのはが操るシューターや砲撃が、彼の行く手を完全に封じ押し返してしまう。接近戦主体の彼では、なのはとの相性は最悪だ。それでも、一撃を当てようと向かって行く。

 

「バスター!!!」

 

《Divine Buster!》

 

カションと何かを弾く様な音がして、なのはの持つレイジングハートから薬莢の様なモノが吐き出された。

すると、なのはの放つディバインバスターが巨大化する。

 

「!?!?!?」

 

「あれは!?」

 

「カートリッジシステム!?」

 

「でも、なのはちゃんのデバイスにそんなものは……」

 

クロノ達が、なのはの使っているデバイスに疑問の言葉を上げる。でも、あのデバイスはなのはのデバイスでは無い。なのはが、『ソウニャくん』が居ないと騒いでいたその日にベッドで見付けた『ソウニャくん』のデバイスだ。

神崎さんの話では、『ソウニャくん』が色々と魔改造を施した『未来のなのはが使っていた』デバイスなんだって。

詳細まではわからないけど、『ソウニャくん』が持つ異端技術をふんだんに使った逸品なんだそうだ。

なのはが持っている、初期型のデバイス以上に強力になっていると聞いてなのははとても喜んでいた。ちょっと、不穏な言葉が聞こえた様な気もしないでもないけど……でも、なのはが嬉しそうなので私は見守る事にする。

別に、なのはがとても恐く感じたからって訳じゃないよ?

ホントだよ?

なのはの周囲に、デバイスの先を型取ったモノが数機出現して飛び回っている。それを見たレンさんが、何かあり得ないモノを見るようになのはとそれを力なく見上げていた。なのはは、『いっくよー!』と掛け声を上げてからディバインバスターの乱射を始める。

それに堪らず、逃げ出すレンさん。

その気持ちはわかるので、私達は黙ってもう模擬戦とは言えなくなった一方的な蹂躙劇を眺めている。

 

『ブヘッ!?ゴホォ!?』

 

先程紹介したレイジングハートの先っぽを型取ったモノーービットというらしいーーが、大量の《Shooter》をバラ撒きレンさんの行動を阻害していく。

前に踏み込もうとして、《Shooter》でタイミングを阻害され怯んだところを《Divine Buster 》で吹き飛ばされる。

レンさんも負けじと、デバイスを振り回し……それらの魔法を弾いたり、切り裂いたりして何とか自分の間合いに持ち込もうと頑張っていたけど、なのはの方が何倍も上手く立ち回っていて思うように動けない様子だ。それは、私の時と同じ様な感じで、ほぼ一方的なリンチ状態だった。

そして、逃げ場がなくなったレンさんは覚悟を決めた顔をして、誰も予想していなかった巨大な魔力を解放する。

 

「なっ!?レン・K・ヴォルフラム、魔力急上昇!!信じられない……魔力ランク、SS……いえ、まだ上がる!?」

 

「バカな!?そんな魔力量を持つ人間がいるのか!?」

 

クロノ達が、驚愕の表情で何かを言っているけど……私は、それ以上になのはが無茶をしている事が気になっていた。

 

「あの子……無茶をするわね……」

 

「うん。大人モードだ……」

 

ピンクの魔力光に包まれた後、現れたなのはは大人の姿でレイジングハートを構えていた。ひ弱な肉体を、魔法の力でイメージ通りに強化して弱さを補う魔法。

それを使用して、なのはは一度息を整える。

 

『ブラスターツー!行くよ、レイジングハート!!』

 

《All right. Meister. Divine Buster!!》

 

《Sonic Move!》

 

なのはのレイジングハートとは別に、私のバルディッシュの声が聞こえた。多分、ソウニャくんが持っていたなのはのRHと一緒に見付かった『未来の私が使っていた』バルディッシュを使ったんだと思われる。

私の速度を得たなのはが、レンさんの攻撃を回避して零距離からディバインバスターをレンさんの脇腹に叩き込む。

防御も何もない所に、超魔力砲撃を受けたレンさんはなのはから大きく引き剥がされ……更にバインドで固定された。

 

《Starlight Breaker!!!!》

 

レイジングハートの音声と共に、帯状の魔法陣が巨大な円と成り、周囲に漂っている魔力を掻き集め始める。

集束砲……なのはが、準備しているのがその魔法だった。

確か……術者が、それまでに使用した魔力に加えて周囲の魔導師が使用した魔力をも集積する事で得た強大な魔力を一気に放出する攻撃魔法。

 

「くっ……この程度のバインドで……く、この……え?あれ?ちょ、これ、どうなってんの!?」

 

レンさんは、最初は余裕な顔をしていたけどバインドが全然外せない事に焦りの顔をし始める。

その気持ちが、痛い程にわかって私は視線を反らした。

『ソウニャくん』のデバイスが織り成すバインドは、どうあっても引き剥がせないバインドなんだ。何でも、作用反作用の法則を使った拘束魔法で作用と反作用の働きを反作用に極振りしてあるとかなんとか。説明は受けているけど、今一私には理解出来ないモノだった。

でも、その術式は私にでも使えるので問題はないらしい。

一応、バルディッシュにも登録されている。

何はともあれ。

状況は、レンさんが圧倒的に不利。

なのはの周囲を飛んでいたビットも、レンさんを取り囲んで周囲の魔力を集束している。逃げ場が無く、バインドを外せないレンさんはもう焦りを通り越して泣き出しそうな顔で暴れていた。防御に回していた魔力も全部、バインド破壊に費やして何とか拘束から逃れ様とするけどバインドはビクともしない。

そして、万端を期して集束砲が完成した。

なのはが、嬉々として『全力全開!』と気合いの声を叫ぶと、レンさんは良くわからない事を叫びながら恥も世間帯も無く喚き出した。

 

「スターライト……」

 

だけど、なのははニッコリ笑顔で集束砲を解き放つ。

一瞬、背後に般若のお面が見えた様な気がしたけど気のせいだと自分に言い聞かせる。そう、私は何も見なかった。

 

「ブレイカアアアアァァァ!!!!!」

 

《Starlight Breaker EX》が解き放たれ、ピンクの極光が管制室の画面を染め上げられトレーニングルームの様子を遮断し何もわからなくなる。次の瞬間、次元航行艦が強い衝撃と共に大きく揺れた。その直ぐ後、大きな揺れは収まったけれど微かな揺れが断続的に続く。

そして、ピンクの極光が消失して画面の向こう側がわかる様になるとクロノとエイミィさんの悲鳴を上げる。

見れば、トレーニングルームの壁に巨大な穴を開けてなのはが苦笑いと共に立ち竦んでいた。

 

『あ……にゃははは……はあ、やっちゃった……』

 

なのはのその呟きが、やけにハッキリと聞こえた。

肩を落とし、しょんぼりとした背中に哀愁漂っている。

それと同時に、トレーニングルーム内を確認していたなのはは居なくなったレンさんの捜索をお願いしていた。

 

 

 

……………………。

 

 

 

クロノは、大きく溜め息を吐き出すと武装隊員にトレーニングルームの応急処置とアースラ外壁の修復を指示する。

 

「全く、君は何を考えているんだ!?」

 

「あー、えっと……」

 

モードリリースしたなのはは、激怒なクロノの目の前で正座して説教を受けている。クロノは、なのはの目の前で腕を組み仁王立ちにておかんむり。たまに、溜め息を吐き出して頭を抱えているから、アースラの修理費とか支払いとかで色々頭が痛いのだろうと予測された。

そして、なのははレンさんを吹き飛ばしたそのーーアースラのトレーニングルームを消し飛ばしたーー理由を語る。

 

「えっとね。私、小さな子をイジメる人が嫌いなの……」

 

そう言いつつ、レイジングハートがとある画像を放映する。そこには、小さな男の子に暴力を振るうレンさんの姿が映っていた。音声までは拾えていなかったけれど、無抵抗な男の子をまるでボールを蹴るみたいに蹴っている。

それは、大悟さんの友人がなのはに渡していた証拠映像。

『ソウニャくん』が居なくなったと騒いでいたなのはが、神崎さん家に突撃し困惑する大悟さんに『ソウニャくん』の居場所を訪ねたのが切っ掛けだ。玄関先で、大悟さんに『ソウニャくん』が突然居なくなった事を説明していた時に、その後ろから現れたのが『大悟さんの友人』を名のるラヴォルフさん。その人が、なのはに落ち着くようにと幾つかの言葉を投げ掛けてそのデータを手渡す。

それを見たなのはは、今度はレンさんの元へ突撃してお話をしていたんだけど……何故か、段々言い争いになっていき売り言葉に買い言葉で模擬戦をする事になっていた。

会話の内容は、途中からしかわからないけど……確か、レンさんが『そんな餓鬼の事なんてどうでも良いだろう?』とか言った辺りからなのはの様子が一転していた様にも思える。

 

「これね、私の大事な子なんだよ。だから、この子の行方を聞きたかったんだけど……知らないっていうから……」

 

どう見ても、誰が見ても幼子行方不明はレンさんが関わっているってわかるモノ。なのに、『どうでも良いだろう』なんて言われたら私でも怒る。

私は、なのはの元に駆け寄り肩を抱いた。

 

「君は、馬鹿か!?もっと早く言いたまえ。エイミィ!」

 

「うん!任せて!!」

 

それを見て、唖然としていたクロノが唐突に怒り出してエイミィさんに指示を出す。それは、クロノとエイミィさんーーしいては、アースラに所属するクルー全員の協力体勢を宣言するモノだった。私も、抱き締める腕に力を入れてなのはの大事な子を探し出す事を告げる。

 

「この少年は、ちゃんと探し出すから大人しくしていてくれ……わかったな?」

 

「あー……うん。わかったよ……」

 

なのはは、少し困った顔をして視線を漂わせていたけど何を思ったのか、晴々とした表情を一瞬見せるとまた困った表情でクロノの提案を飲み込んだ。

その後の話だけど……発見されたレンさんは、アースラ・武装隊の任を一次解除されてクロノの取り調べを受けている。非魔導師への暴行と、幼児虐待が主な罪状だ。

レンさんは、証拠映像があるにも関わらず犯行を完全否認。その上、今一要領の得ない事を言っているらしい。

更には、はやての持つ魔導書が第一級封印指定の【闇の書】だとか無茶苦茶な事を言って話を反らしているとか……そんな、本題とは異なる話でクロノ達の手を煩わせ追求を避しているとのこと。

そんな事を、クロノがこの間ぼやいていた。

その後で、クロノ達は一応確認したいからと私達の案内でリハビリ帰りのはやての元へ。少し、いざこざはあったけれど……はやての持つ魔導書は、《古代ベルカ》発祥の魔導具である事が確認された。ただし、【闇の書】とは見た目が似ているだけの別物と判断される。

判断理由としては、暴走していないという事が第一。

その他にも、様々な理由が上げられたけど……主にはやてが、魔力収集の禁止を言い渡していた事が功を奏し危険なロストロギアに該当しないという事になった訳だ。まあ、ロストロギアである事には変わらないけど、ちゃんとした手続きの元で所有者名義を登録すれば問題ないという。

という事で、レン・K・ヴォルフラムの言い分は偽りだったという事になり、彼の信用は失墜する事になる。

その後は、そのまま身柄を本局に移されて本格的な取り調べが行われているらしい。そんな話を、私の住むマンションのお隣に引っ越してきたリンディさんから聞いた。

 

「観念して、素直に話してくれたら話は早いんだけど……彼、中々強情であまり進んで無いのが現状ね……」

 

「そうですか……」

 

なのはは、何故か余り気にした様子はなくリンディさんの話を聞いている。まるで、その『ソウニャくん』が無事である事を知っているかの様だ。いや、もしかすると知っているのだろう。でも、それだとおかしい話になる。

なのはの性格だと、知っているなら直ぐ様会いに行こうとするはずだ。ということは……なのはは、『ソウニャくん』が『無事である事』だけを知っている?って事?

 

「なのは……もしかして、ソウニャくんが無事だってこと……知っているの?」

 

「え?あー、うん。ソウニャくんが、ちょっとやそっとの事でへこたれない事はわかってるんだよ。多分、本当の人格に戻っているだろうから次元世界の何処かにいるとは思うんだけど……探しても、早々簡単には見付からないんだろうなぁとはわかってるんだよ……」

 

「…………そうなの?」

 

「うん。ただ、何をやっているのかまではわからないから……犯罪に巻き込まれていない事だけは願っているかな?」

 

そう言って、なのはは困った様な苦笑いで言葉を濁す。

それを聞いていたリンディさんが、私達の会話に割り込んで来た。確認する様に、内容を繰り返す。

 

「居場所までは、わからないのね?でも、生きてはいると?でも、あれだけの暴行を受けて無事とは考えられないのだけれど……」

 

「にゃははは。ソウニャくん、回復魔法が超得意だから……うん。とっても、得意なんだよ……」

 

自慢気に、胸を張って言い出したなのは。

なのに、後半は視線が泳ぎ出して段々あらぬ方向に。

作り笑いを浮かべて、何やらブツブツと呟いていた。

 

「……そう言えば、ソウニャくんのデバイス使ってたみたいだけど、体の方は大丈夫?」

 

「うぐっ……だ、だ、だだだ、大丈夫、だよ?うん。全然、問題ないかな?にゃはは……」

 

「ソウニャくんのデバイス?もしかして、報告にあったカートリッジ搭載型のデバイスかしら?出来れば、提出して欲しいのだけれど……」

 

「あ。でも……ソウニャくんのデバイスは、未来技術の塊だから調べるのダメなんじゃ……」

 

「……それは、ロストロギアって事かしら?」

 

「えっと……どうなんだろう、なのは?」

 

「あー……どうだろう?ソウニャくんの持つ技術は、多分ロストロギアとは別物だろうけど。……カートリッジロードの際のフィードバックもほとんど無かったし……」

 

「一応、調べて置きましょう。問題なければ、直ぐに返すから……」

 

「「問題があったら?」」

 

「厳重に保管して封印……でしょうね……」

 

「……………………」

 

リンディさんは、ニッコリ笑って手を差し出した。

なのはは、大分迷っていたけれどリンディさんの笑顔に押しきられソウニャくんのデバイスを提出する。

結果だけを言うなら、『ロストロギアでは無いだろう』という結論だけだった。

ただし、中身は完全なブラックボックスだらけ……というか、意味不明理解不能な技術満載で手も足も出なかったとのこと。手が付けられないので、ロストロギア反応があるかどうかだけを確認。結果は、白。なので、ロストロギアではないと結論付けられたらしい。

 

「それ、未来技術ではないわよ?完全に、全く異なる技術の塊だったわ……私も見せて貰ったけれど、どうして動いているのかさえわからない代物だったわ……」

 

リンディさんですら、そう言っていた訳だから余程とんでもない内容だったのだろうと予想する。

しかし、そんな未知の技術をソウニャくんは使えるのだろうか?

なのはに聞いてみると、『もちろん!』と胸を張って言い切っていた。その後は、うっかりなのはを放置してしまっていたから恒例の『ソウニャくん』自慢が始まってしまったので追求は終了。リンディさんも初参加で、なのはの子供自慢を聞く事となる。

なのはが、延々と『ソウニャくん』の話をしているところで、母さんが『私と同類なのね……』とか呟いていたけど……私は、延々と続くその苦行を無言で聞き続けなければならない。リンディさんは、途中から事態の重さを理解して苦笑い。

 

 

これが無ければ、とても良い子なんだけどなぁ……。

 

 

 

 




レンをボコるのは、双夜ではないんだよ(笑)。
ブチギレなのはさんでした(笑)。ブチギレなのはさん+ソウニャの魔改造デバイスRH&BD。蒼天の書は、はやてが所有中。現在のソウニャのデバイスは、未改造のクラールヴィントのみと来た(笑)。回収しなければっ!!

異世界転移モノで、クラス単位で転移した物語があるじゃないですか……それで、常々思うのが……『イジメ中心物語』が多過ぎる件。それを殺るなら、『何で、カルマ値を組み込まないの?』という疑問があります。サモンナイト的な?
カルマ値……要は、それの増減プラスマイナス補正で巻き込まれクラスメイトをイジメる勇者の是非等を決めれば良いと思うのです。非道勇者が暗黒面に堕ちたら、『光・聖の魔法』を喪失させて『闇・暗黒魔法』を修得させるとかやり様は幾らでもあるのに……即ち、外道勇者(笑)。
それだけで、イジメられる者の待遇が少し変化するっていうのに……あ、一つ物語が出来ますね(笑)。
『傲慢イジメっ子勇者達の異世界蹂躙闇堕ち物語』とかとか(笑)。書かないけどね!書きませんよぉー?
光の勇者→カルママイナス変化→外道勇者。
聖騎士→カルママイナス変化→暗黒騎士。
治癒魔法士→カルママイナス変化→暗黒司祭。
称号とかにも、カルマ補正が欲しいですね。
それで、天職も変化するとか(笑)。ウフフフ……。

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m(_ _)m
 
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いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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