絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一五六話

Re:

 

 

なにょはママに関する『大体』を語り終えた俺は、今度は高町なのはが『なにょはママ』になった理由を説明して行く。まあ、神崎大悟(幼い)に殺されたからだと語った訳だが、本人が生きているからと信じて貰えない始末。

仕方がないので、俺達がこの世界に降り立ってから死者蘇生をするまでの記録映像を上映する事に。その結果……。

神崎(幼)が、高町士朗に殴られて盛大に吹き飛んで行く。

追い討ちに、アリサ・バニングスが鳩尾を狙うように蹴りを入れて、痛かったのか足を抱えて跳び跳ねた。

しばらく、悶絶していた神崎(幼)は何とか起き上がると、また土下座をして謝罪体制へとシフトする。

 

「あんたの顔なんて見たくもないっ!出て行けっ!!」

 

アリちゃが、そう怒鳴るがここでの決定権は高町士朗が持っているので神崎(幼)は土下座したまま動かない。

 

「そうだね。神崎くん、もう二度と私達の前には現れないでくれるかな?ハッキリ言って、不愉快だよ……」

 

「存在事態が、不愉快とか言われちゃいましたね(笑)」

 

「容赦ねぇな……」

 

付け足した俺の一言に、神崎(大)が苦笑いしつつ神崎(幼)へと視線を向けた。だが、前もって謝罪する者の礼儀を叩き込まれている神崎(幼)は土下座を保ったまま無言を貫く。

 

「因みに、コイツの目的は『ハーレム』を築く事。そのメンバーには、アリちゃ。すじゅか。なにょはママ。はにゃて。で、ヘイトねぇが組み込まれてる。手段としては、婚姻届を出さずに恋人止まりで一つ屋根の下で暮らす事……だって。そして、爛れた日々を過ごすのがこのクズの目的だった訳だ。不誠実極まりないよね!」(カミカミw)

 

「「最低ェ……」」

 

神崎(幼)の目的を告げて、アリちゃ達の反応を恋愛系認識阻害が無効状態になっている馬鹿に見せ付ける。結果、馬鹿は何も言わなかったけれど小刻みに震えて嗚咽を上げている事から、ハートをブレイクされて絶望的感情からか泣き出しているみたいだった。

 

「バッカじゃないの!?この日本で、一夫多妻が実現出来る訳無いでしょう!?」

 

「ところがどっこい、ミッドチルダでは可能だったりするんだな。将来的になにょはママ達が、そちらに移住する事を踏まえての計画だったらしいよ?」

 

「……本当、私達を何処までも馬鹿にしてるとしか思えない話だよね。貴方が、以前いた世界で私達がどんな風に語られていたかなんて知らないけど……ちょっと、馬鹿にし過ぎじゃないかな?」

 

「そもそも、最初から破綻している計画だもん。現実を見ていない時点で、所詮はただの妄想止まりだよ……」

 

「相変わらず、切れっ切れですね……ってか、もっと殺れぇ!猛毒でもOKですよ!?」

 

「にゃははは。お前のソレは、理想なんてモノでも無ければ夢なんてモノでもない。ぶっちゃけ、ただの『戯れ事』だ。そんな事もわからないから、つま付くんだ……」

 

「特典を魅了系の能力にせずに、ハーレム体質にしておけば何とかなったものを……馬鹿め……」

 

「あ、それ……裏特典が、ヒロインの病んデレ化なので二人目に手を出した時点で刺される事が決定するから意味ないよ?」

 

『『え゛!?』』

 

その場にいた、ほぼ全員が低めの野太い声を上げる。

事実なので、それ以上は語らず沈黙を保つ。

それが、真実である事は直ぐに理解された。

 

「それで、あんたは本当に私達の未来の子供な訳?」

 

「そーだよー?何なら、証拠見せようか?」

 

そう言って、おもむろにコンソールを呼び出した俺は異世界……SAOモドキ世界にいるすじゅかママを呼び出した。

 

「すじゅかママぁー!」

 

『はーい。どうしたの?何かあった?』

 

「なにょはママに会えたの~♪」

 

『え?なのはちゃんに!?』

 

「うん!」

 

「えっと……すずかちゃん?」

 

『わぁ……なのはちゃん、ちっちゃくなったんだね。まあ、私も経験あるからわかるけど最初は混乱するよね……』

 

「あ、すずかちゃんもちっちゃくなった事あるんだ?私だけかと思ったよ~」

 

見た目、9歳ななにょはママと……見た目、19歳なすじゅかママが離ればなれだった歳月を感じさせない会話を始めた。それを周囲の者達が、怪訝な顔で見詰めている。

まあ、そりゃそうだろう。

だって、ここにも『すずか』がいるんだ。

本人達からしてみれば、『すずか』が二人いる事になる。

 

「あ、お話し中すみません……すじゅかママ、ここにちっちゃい『すずか』がいるんだよ。お話ししてみる?」

 

『…………えっと、危険じゃないのかな?パラドックス的なあれこれとか……』

 

「世界が違うし……僕も側にいるから、大丈夫だよ……」

 

それはきっと、大丈夫だと思われる。

世界を跨いでいるし、何よりすじゅかママがいるのはSAOモドキ世界だ。【リリなの】の世界ではない。

という訳で、すじゅかママとすずかの対話が始まる。

 

「え、えっと……は、初めましてで良いのかな?」

 

『ふふふ。初めましてだね、幼い私?』

 

すじゅかママが、大人の余裕を見せ付けつつ幼いすずかを翻弄している。最初こそ、オズオズした感じのすずかだったけれど、段々話が弾んで来るとあっという間に馴染んでしまった。同一存在による嫌悪感とかは、今の所ある様子はない。まあ、実際に目の前に現れない限りそういう事は起きないと思っていたが……その通りになった。

まあ、片や小学生で……片やモンスター退治で生活するパワフルママ。存在の在り方的に言えば、完全に別人と化している状態だ。嫌悪感が、生まれるはずもない。これが、似たような境遇の状況だったら話は変わったのだけれど。

 

「どう?自分だと思えるかい?」

 

「え?あー、えっと……少し、感じが違うように思えるけど……うん。『私』だと思うよ?」

 

「アリちゃも話してみる?」

 

「えっと……良いの?」

 

「多くの証言があった方が、僕的には有利なので……」

 

そう言って、すじゅかママと対話させてみたら……こっちは、持ち前の強気もあってか一瞬で長年の友人的会話を成し遂げてしまった。アリちゃ、肝っ玉な小学生。

他にも、チロウやモモちゃん達も挑戦してみんなすじゅかママを『すずか』と認識。という訳で、俺が彼女達の未来の子供だと証明されたのだった。

 

「まあ、あんたが未来で私達の子供だったっていうのはわかったわ。でも、だったら何でここにいる訳?」

 

「神様転生は、《旧・神族》と呼ばれる存在が神々に娯楽と称して広めた犯罪だ。僕達は、それを取り締まる存在だと思ってくれれば良い。神様転生を見逃すと、世界の理を歪め【最悪】を呼び込む鍵になる芽を摘む為だよ」

 

「…………【最悪】ってのは、なんだい?」

 

ここで漸く、高町士朗が話題に入ってきた。

しかも、ピンポイントでの質問である。まあ、親としては【最悪】と名の付くモノが何であるかくらいは把握しておきたいのだろう。

 

「転生者ってのは……『我こそは、【唯一絶対神】の正当たる後継者だ!!』を名乗っている《旧・神族》が“内側”の世界に入り込む為に生み出した“鍵”だ。固く閉ざされた扉を、“外側”から無理矢理開いて中に入って来ようとしている。即ち、【最悪】とは《旧・神族》を指す……」

 

「神様なんやろ?問題あらへんのとちゃうん?」

 

「八神はやて。僕は、その話題で君と押し問答する気はない。君の『神様は絶対善』という主張を聞きたくない……」

 

八神はやてが、微妙そうな顔をするが俺は取り合わなかった。その押し問答は、これまでも何度もやっている事柄である。今更、繰り返した所で主張が変わるとも思わない。

 

「つまり、【神様】が敵なんだね?」

 

「神様が、善人だなんて誰が確認したよ?……そう、誰も確認していない。だから、真実を知る者はいないから……それを良い事に、神々が散々悪さをするんだよ。自らの信仰を集める為だけに、信託を与え信じぬ者に裁きと言う名の虐殺をしたり……人間を捕まえて、改造を施し兵器として運用するとか……ちょぉーっと、目に余る行為を繰り返すんで僕達《神殺し》が生まれたんだ……」

 

「《神殺し》か…………」

 

鸚鵡返しに、高町士朗が呟く。

その目は、冷静に物事を見極めようとする者の目だった。

 

「僕は、先程も言った通り……歴史に魔法が混ざって、大きく変化した『地球』の600年後の未来から来てるから、神崎達【転生者】が知るアニメとか良くわからないんだよね。だから、知識的な意味合いで神崎……カッコ大人カッコトジ……には、僕の補佐をして貰っている。ああ、既に人格を矯正済みだから、幼いのと同じだと思わないでね?」

 

そう言いはしたが、感情的に許せないのかギロリと敵意含む視線を神崎(大)に向ける原作人物達。ここで、僕が庇う事を言っても意味がないので黙っておく。

 

「君は、彼の将来の姿と言って良いのかな?」

 

「…………いえ。俺は、アレの辿るかも知れなかった未来の一つに過ぎません。ましてや、高町なのはを殺すなんて暴挙に出た以上、同一と言えるモノでもない……」

 

「…………つまり、君は彼が辿るはずだった【無限の可能性】の一つだと?」

 

「まあ、だからと言ってその可能性があった以上、彼の罪を否定する気も肯定する気もありませんが……」

 

「…………成る程。同じ存在である故に、その罪も一緒に背負うと?」

 

「……………………」

 

高町士朗の問いに、神崎(大)は沈黙で答える。

いやー、昔と比べたら大きく成長したモノだ。

普段は、お調子者的な言動が多くて成長していないように感じるけど……神崎(大)も、ちゃんと成長しているんだな。

 

「神崎ズの後見人として、馬鹿の教育は僕が担当するつもりだよ?既に、一番大きな交差部分は回避したし……だけど、なにょはママには少し自重して貰う必要があるかな?例えば、八神はやてとか……神崎(大)、この時期にはやてがここにいる何て事は……」

 

問いつつ、神崎(大)に視線を向ける。

全員の視線が、神崎(大)に集中した。

少し、居心地悪そうに神崎(大)は視線をさ迷わせた後、物語の流れを汲んで答えて行く。

 

「無いですね。彼女は、物語的には二期の主人公です。膝に乗っている鎖の付いた本……ロストロギア、【闇の書】を巡った物語ですから……今、ここにいるのは問題かと……」

 

「【闇の書】だって!?」

 

ユーノくんが、【闇の書】に超反応。

でも、スルーして八神はやてに視線を向ける。大きなため息と共に、諦めの境地で最良たる未来を模作した。

 

「とは言え、もう巡り会っちゃった状態だし……「え?」今更、他人の振りを求めてもどうにもならんからなぁ……「あの…」未来の変化は必至だな……」

 

「【闇の書】なんですよ!?」

 

「ユーノくん、ちょっと黙ろうか?」

 

なにょはママに、ユーノくんはドナドナされて行った。

 

「師匠の母君……なのはさんのフットワークを舐めていた我々の落ち度です。その上で、修正をした方が良いのでは?」

 

「だよね~……なにょはママ、絶対にフェイトちゃんの名前を呼んじゃ駄目だよ?」

 

「えー……何でぇ~……」

 

当然のお願いに、なにょはママから文句の声が上がった。

既に、自分が体験した事のはずなんだけど……昔過ぎて、忘れている様だ。確か……五歳の頃の話だったっけ?

 

「そりゃ、不審者だからじゃん!はやてだって、知らない人から電話で呼び出された時、不審に思わなかった?」

 

「……せやなぁ……確かに、なのはちゃんとは会った事も電話番号を交換した事もなかったから不審に思ったよ?けど……」

 

「興味心に負けたんだな?」

 

「くっ……せや。興味津々で、ここに来たわ……」

 

「はやてなら、それは有りうるけど……この時期のフェイトちゃんが、はやてみたいに興味心で関心を寄せる何て事は……ある?」

 

「…………ないなぁ……」

 

「う、うん……無理だと思う……」

 

なにょはママ自身も、この時期のフェイトねぇが興味を持ってくれる事はないと断言してくれたので、フェイトねぇから直接名前を聞き出すまでは名前を呼ばないという約束を取り付けた。

 

「これで、なにょはママが不審者扱いされる事は無くなった訳だね!そして、友人フラグがへし折れなくて良かったぁ……最悪、僕がフェイトねぇの友達になったりするところだったよ。そうすると、神崎(大)がフェイトねぇを恋人にしちゃったりする可能性が……」

 

『『え!?』』

 

俺の一言に、原作人物達が超反応を見せる。全員の視線を感じた神崎(大)は、慌てて言い訳を口にし始めた。

先程の潔い姿が、一瞬で泡と消える。

 

「し、しませんよ!?」

 

「お前には、前科があるからなぁ……忘れたとは言わせないぞ?僕に関する記憶が、保持されないのを良い事にフェイトねぇの恋人に収まった事がある神崎大悟(大)くぅん?」

 

「くっ……あ、あれは、フェイトに押し切られただけで……俺が、望んだ訳では……」

 

「付き合っちゃった以上、同じ事だろう?ロリコン!!」

 

「グハッ……」

 

神崎(大)は、精神ダメージを受けてパタリと倒れてしまった。そこへ、更なる追い討ちを掛けてみる。

 

「そんなんだから、踏み台人生が板に付いちゃうんだよ」

 

「…………酷い(泣)……」

 

そのまま、床に泣き崩れた神崎(大)を放置して俺は未だに土下座している神崎(幼)を見た。確かに、高町士朗に「良い」とか「帰れ」と言われるまでそうしてろと言い含めていたが。無言で、高町士朗に『何か言って』とお願いすると彼は神崎(幼)にこの家から出て行く様に言った。

 

「本当に、申し訳ございませんでした……失礼します……」

 

そう言って、神崎(幼)は俯いたまま部屋を出ていく。

 

「……………………」

 

俺は、この場を少し空ける旨を高町士朗に告げて、神崎(幼)の後を追って話しかける。

 

「これから、どうするつもりだ?」

 

「…………そうだな……先ずは、転校の手続きをするかな?」

 

「転校?学校を変えるのか?」

 

「いや……そのまま、行方を眩まして修行でもするよ……」

 

「修行?」

 

玄関にたどり着き、神崎(幼)が靴を履く。

そして、立ち上がり様に振り返り、影のある笑顔で俺に弟子入りする事を告げて来た。

 

「俺が変わらなきゃ、許して貰えそうにないし……許して貰えなかったとしても、このまま何もせずに日々を謳歌は出来ないだろう?」

 

「…………そうか、わかった。その弟子入りを許可する」

 

「はは。ありがとう……じゃ、また後で……」

 

それだけ言うと、彼は高町家から去って行った。

振り返れば、こちらの様子を覗く影がチラホラ。

気になるなら、出てくれば良いものを……まあ、あんな風に言った手前出にくいのはわかるけど。

リビングに戻れば、何人かの位置が若干ズレていた。

それを指摘したりはせずに、俺はレイジングハートを取り出してセットアップ。隔離領域から、二つのジュエルシードを取り出して見せた。

 

《Good Morning. Meister》

 

「あ……私のデバイス……」

 

「なにょはママが亡くなった後、僕が引き継いだんだよ……だから、このレイジングハートは僕のレイジングハートだから!魔改造もして、更に威力向上!!」

 

「うぅ~~~」

 

なにょはママは、自分の胸元から未改造のレイジングハートを取り出し、自分のと俺のとの間で視線を行ったり来たりしている。魔改造品だと、告げたのがなにょはママの琴線に触れたらしい。

 

「うぅ~~……私のも、お願い出来ないかな?」

 

「カートリッジシステム導入で、過労になり戦闘中に倒れて生死の境をさ迷った事のあるなにょはママにそれを言う資格はないかと……それに、何処までもアクセル全開で頼みの綱であるレイジングハートもアクセルを踏み込むから拒否させていただきます」

 

「カートリッジシステムってなんだい?」

 

「魔力的、ドーピングシステムかな?とりあえず、身体に負担が掛かるシステムだね。出来るなら、身体が出来てから導入して欲しいシステムだよ?」

 

「フム……なのは、諦めなさい。聞いた感じでは、かなり危険なシステムじゃないか。私は、反対だよ……」

 

「えぇ~~~……」

 

そりゃ、親としては子供の健康第一なので当たり前である。こうして、俺はなにょはママの撃沈イベントを潰した。

まあ、なにょはママの事だから『闇の書事件』が起きたら、嬉々としてカートリッジシステムを搭載する可能性があるので、そっちのフラグも潰しておく。

 

「フフフ……身体は、大事にするモノだよ?なにょはママ」

 

「そうだぞ!身体が、健康でなければ出来る事も出来ないからな。そうだ!恭也、美由希、なのはのお手伝いをしてあげなさい」

 

「……わかった」

 

「りょ~かい!」

 

「最悪、僕もいるし……ユーリもいるからねぇ……ジュエルシード封印の手は多いよ?って訳で、僕達も協力させて貰うね?ユーノくん」

 

「…………えっと、お願いします……」

 

今まで、空気と化していた人間の姿のユーノくんが頷いた。まあ、高町家に突撃した後ユーノくんを捕まえて魔法を解き、人間の姿に戻したのは俺だ。

後の事を考えたら、鼬姿でなにょはママと同棲はマズイ。

それを放置していたら、なにょはママと恋人関係には成れないだろうと思ったからの行動だ。

なにょはママを、転生者に渡すつもりはない。

是非とも、ユーノくんみたいな原作人物に娶って貰わないと。イケメンの顔に、泥を塗ってやるつもりで転生者の恋愛フラグは尽く排除する予定。楽しみだなぁー♪(棒)

 

「じゃ、ユーノくんはお願いしますねー(笑)」

 

「師匠が、絶好調だ……明日は、隕石でも降るかな?」

 

「メテオスォーム!って、なんでやねん!!」

 

「だって、核兵器とか言ったら実現しそうですもん……」

 

「エクスプロージョン!で、一緒だろう?まあ、放射能は撒き散らさないので地球にはクリーンだけどね!」

 

「まあ、なのはさんに比べれば序の口ですが……」

 

「見よ!これが、未来で『魔王』と恐れられたなにょはママの真実だ!!」

 

言って放映するのは、スターライトブレイカーを展開し解き放つなにょはママを記録したモノ。結果、友人達どころか家族にまでドン引きされるなにょはママがいた。

 

「ちゃ、ちゃんと、非殺傷設定になってるんだよ!?」

 

「非殺傷設定ってのは、どんな殺力がある魔法でもスタン程度に抑える謎術式である……」

 

「師匠、説明乙です……それでも、これを友人達に向けて穿つなのはさんは……鬼です……」

 

「非殺傷設定が無かったらと思うと、ゾッとするよね……」

 

「町なんかに穿たれたら、蒸発は必至ですからね……見た目は、こんなにも愛らしいのに……破壊力は満点です!」

 

「怒るとすぐ、指先に魔力を集めて『ちょっと、黙ろうか?』とか脅しまくりだからなぁ……」

 

「犯罪者には、効果覿面なんですけどね……」

 

「アウアウアウ……(泣)」

 

反論は、未来映像で黙らせて俺達はアリちゃ達や家族に告げ口をしていく。その結果、なにょはママが俺を睨んでいる。だから、今度は現実的な問題点を上げてみた。

 

「現段階で、なにょはママのスタミナって初期値だよ?平均的9歳の体力を下回っているんだよ?19歳のバッチリ鍛えた身体って訳じゃないんだから戦うにしても最初からやり直しなんだよ!?」

 

「うっ…………」

 

言葉を無くしたなにょはママは、それでも諦め切れないのか必死ですがり付いて来る。それを、バッサリ切り捨てる鬼畜な俺。いやー、楽しいなぁ……。

 

「19歳の時の感覚で、ぶっつけ本番な戦闘をしたら……まず間違いなく、直ぐに動けなくなるから!それでなくても、圧倒的に筋力が足らないっていうのにどうするつもりなの!?何もない所で、転んじゃうような状態なんだよ!?」

 

「あう…………でもでも、頑張れば……」

 

まだ、食いついて来るか!?

全く、現実というモノをわかっていらっしゃらない『なにょはママ』に最凶の事実を突き付ける。それは、現段階の肉体では『運動神経が切れている』と言われていた事と同じだという事だ。

 

「まずは、その身体に慣れようか?ぶっちゃけ、19歳の肉体イメージとのギャップが激しいから、スッゴい大変だと思うよ?それこそ、事故で意識不明になって数年後に目覚めた人レベルの肉体をイメージするとOK!」

 

「えぇ……そ、そんなに?」

 

「そうだね……リハビリ、頑張って?と言ったらわかりやすい?撃沈時に、やったよね?リハビリ。あれくらいのレベルだから……」

 

「ああ……あれかぁ……」

 

何かを思い出すかの様に、遠い目をしてあらぬ方向に視線を向ける。その時の、苦労も思い起こされたらしく少し顔が青くなっていた。

 

「わかった?寝たきり状態のなにょはママ?」

 

「ムゥ~~~っ!!」

 

「わかっていただけた様で何より。それじゃあ、頑張って簡単な筋トレから始めようか?」

 

それを告げて、俺は神崎(大)に視線を向ける。

俺の用事は、これで十分なので後は神崎(幼)の家に帰るだけだ。あまり、高町家に長居はしたくないので早々に切り上げて貰う。

 

「では、師匠……そろそろ……」

 

「そうだね。じゃあ、なにょはママ?僕は、帰るけど……何か質問はあるかい?「うぅん、無いよ?」じゃ、帰るぞ?」

 

それだけ告げて、手土産のケーキを手に立ち上がった。

俺が告げたかった事は、十分伝え切ったので神崎(幼)の家に戻る事にする。

 

「え?家に泊まるんじゃないの?」

 

「転生者を監視するのも仕事なんだ。あの馬鹿……何仕出かすかわかったもんじゃないからな……」

 

「えぇ……一緒に居ようよぉ~!親子なんだから~!!」

 

「にゃははは。自分の外見、考えて言ってる?良くて、姉弟が限界だ。それくらい、縮んじゃって……諦めて?」

 

「一緒にいるのぉ~!!」

 

ガシッ!と、しがみ付かれて身動きが取れなくなる。

このままでは、下手をすると恐怖のお時間が……俺は、妖精魔法を駆使しなにょはママを麻痺状態にして逃げ出した。

 

「フッフッフゥ……どうだい?手足に麻痺の状態異常!ゲームとかでは、定番だろう?ここで、幼児化すると色々面倒なので逃げさせて貰うっ!!」

 

そのまま、神崎(大)の手を取って俺は高町家から逃げ出した。どうせ、2~3分程度の麻痺だ。直ぐに回復する。

 

 

………………………………

 

 

……………………

 

 

…………。

 

 

「ふぅ……逃げ切れたか……」

 

なんとなく、捕まるフラグを建てた気もしないでもないが、今はももちゃんや美由ねぇから逃げれた事を喜んでおく。背後を確認して、神崎(幼)の家に入った。

 

「とりあえず、神崎(大)に相談なんだが……都合の良い、修行の場所を用意する必要がある。何かないか?」

 

「都合の良い修行の場所って……造るんですか?」

 

「うん。でも、明確なイメージがあった方が良いだろう?」

 

「明確なイメージ……っても、師匠が知ってるって条件も含むんですよね?……なら、『精神と時の部屋』とかが良いんじゃないですか?」

 

「…………ああ!ドラゴン○ールのアレか!!」

 

「はい。でも、流石に一日で一年の差はヤバイんで、一時間に一日程度にしておいた方が良いかと……」

 

「まあ、成長云々があるもんなぁ……OK」

 

「無闇に外に出すと高町家とニアミスしそうですし……修行させるなら、別の場所が良いでしょ?」

 

「うんうん。後、そのままんまを使う訳には行かないから、砂漠ベースで創るね?」

 

「何故、砂漠!?」

 

「歩くだけで、足が取られて体力を大きく消耗するから。それと、真っ白な空間より絶望感が半端ないんで……」

 

「絶望感?」

 

「ベース部分が消えたら、戻れないかもっていう絶望感が重圧としてのし掛かって来るんだよ。軟弱であればある程、のし掛かる重圧はうなぎ登り!」

 

「鬼か!?」

 

「フフフ……」

 

さてはて、神崎(幼)大悟の魔改造を始めるとしよう。

まずは、基礎体力から付けさせないとな。それには、不馴れな場所(足場的な)でのトレーニングが適している。

 

「何はともあれ、僕は『精神と時の部屋』モドキを創るから、適当に同類の相手でもしてて……」

 

「うーす!」

 

そう告げて、俺は階段下の用具室の中身を出して特殊な魔法具を組み込むと異空間に繋げる魔法を発動するのだった。

 

 

 

 

 

 




なにょはママに関する事情説明に《神殺し》や裏話的なのは含まれてません。面倒だったので、省略。と言っても、『こちらの精神、未来から来た高町なにょはさんです!』でOK(笑)。それでも、神崎(幼)が辛辣に責められるのは当たり前。
いつもの事とスルーしてください。

そして、ユーノくんもスルーされる(笑)。
闇の書の危険度を訴えたいのに、完全にスルー。
しかも、なのはさんにドナドナされてギャグ扱い(笑)。

SAOモドキ世界に残された様々な謎をそのまま放置して、新たな世界軸でお仕事をする……作者は良いけど、読者はイライラしているんだろうなぁ……。わかってます。でも、強制召喚されたのでSAOモドキ世界には戻れません!!
翼達に期待しておいて下さい!!

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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