絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一五三話

凍真

 

 

出戻りさせらた、禍焔凍真です。

あ、結婚とかではなくお仕事での出戻りです。

現在俺は、異世界に通じる門の部屋で呆れ顔のセイビアさんの目の前に正座をしていた。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

沈黙が……この、何とも言えない微妙な空気がザクザクと俺の心を突き刺してくる。

当初、気を失っていた俺が目を覚ました時には門がある部屋に誰もいなかった。なのに、もう一度門を使用しようとしたら突然現れたセイビアさんに止められ、無言の圧力で正座する事に。

その上、セイビアさんは黙ったままでずっと俺を呆れ顔で見詰めて来るのである。

ぶっちゃけ、意味がわからないまま俺は正座をしていた。

 

「はあ…………凍真、強制送還されたのわかってる?」

 

「え?強制送還!?」

 

強制送還と聞いて、ますます意味がわからなくなってしまった。ってか、強制送還って……誰に!?

 

「双夜から、連絡が来たよ。《堕ち神》程度に殺られる雑魚はいらないってな?」

 

「あ!…………アレは、周りに人がいて…………」

 

「言い訳はしない!例え、周囲に人間がいたとしても、それを護りきった上で敵を圧倒する。それが、俺達《神殺し》だ!!!」

 

「うっ……はい……」

 

「とりあえず……申請は、通しておいたから師匠の所に行ってこい。ああ、理由は話してあるから何も言わずに再修行だ。しっかり、鍛え直されておいで……」

 

それだけ言うとセイビアさんは、俺を師匠の女剣士さんの元へ転送する。

 

くっ……逃げられなかった……。

 

 

………………………………

 

 

……………………

 

 

…………。

 

 

 

「で、これを見てどー思います?」

 

「化け物に見えます……」

 

セイビアさんに修行場へ転送された俺は、女剣士さんにとある映像を見せられて感想を求められていた。

映像の内容は、チビッ子とその仲間が《堕ち神》を倒した場面。近くに俺が倒れている所を見ると、俺が気を失った後の出来事らしい。

チビッ子が、その青年ーーギルガメッシュ?ーーに「殺せ!」と言った直後その青年が拳を振りかぶり、ストレートパンチで《堕ち神》を木端微塵に消し飛ばしてしまった。

ぶっちゃけ、あの青年……ギルガメッシュのクセに、俺より圧倒的に強いんですけど!?

そんな光景を見せられて、俺は青年との差を様々と見せ付けられて凹む。

 

「因みに、この子も神様転生した転生者なんやて……わかっとる?この子は、まだ《神殺し》になって日が浅いんや。それでも、この強さ。あんさんが、ここで何年も過ごしたのにも関わらず、“内”で修練しつつ戦っとる子があのレベル……油断しとったにしても、酷過ぎるわ!!」

 

「全く、おっしゃる通りです……」

 

時間転移して、“過去”に戻った俺と違いあの青年は実施訓練のみであそこまで強くなったらしい。

 

『ーーー《堕ち神》程度に負ける《神殺し》は僕のパーティーにはいらないーーー』

 

まだ、流れ続けている画像からそんな批判が飛んでくる。

その内容が、ザクッと俺の心に突き刺さった。

 

ーー雑魚でごめんなさい。

 

ーー弱くてすみません。

 

『油断してなんてなかった!』なんて、言い訳をするつもりはないが……結果が出ている以上、何を言っても言い訳にしかならないのは理解できる。

だが、それでも言わせて貰いたい。

巻き添え敗北は、俺の過失ですか?

 

「お前の過失だな……」

 

「ええ!?」

 

「お前が、他の戦闘員より先に《堕ち神》を殺していれば問題なかっただろう?」

 

「oh……」

 

つまり、被害が出る前に叩けと言われてしまった。

『後から、駆け付けた』も言い訳になるらしい。

基本的に《神殺し》は、俺と同じ巻き込まれ体質の奴が多い。中には、それを利用して騒ぎの渦中に飛び込んで行く奴もいるという。

 

「巻き込まれ体質を利用?」

 

まさか、まさかの利用法であった。

それを聞いた時、俺は目から鱗が溢れる様な気持ちにさせられる。まさか、自分の体質を利用して騒ぎの渦中に飛び込んで行くなんて考えもしなかった。

いや、今までは出来るだけ巻き込まれない様に生活して来たが故に、巻き込まれる事に忌避感があったが……今は、それすら利用しなければならない状況なんだと再認識させられる。

 

「そんな方法が、あるんですね……」

 

「ヤり方は、万物千来。基本は、自分らしく自分にあった手法を時間を掛けて編み出して行くんだけど……君には、何百種類って例題を語り聞かせた方が良いみたいだね……」

 

「御手数をお掛けします……」

 

「ほなら、銀河はんは語り部を……ウチは、徹底的に刀術を仕込みますよって。覚悟しいや?」

 

「うっ……了解しました……」

 

こうして、俺の地獄の猛特訓が始まった。

 

 

 

目標は、あの映像の青年位に成る事で……技術も何もなく、ただ魔力を込めた拳で巨岩を打ち砕くレベルにならねばならない。全く、無茶も良い線逝っている。

 

「身体強化をしたとしても……こんな事出来るかっ!?」

 

身体を強化した所で、肉体的アドバンテージは得られるけど……巨岩を殴れば、骨が砕ける!ってか、砕けた。

それによって、現在俺は右手をギプスで固められて修行を一時中断している。

 

「だよな!普通は、当たって砕けるんだよ(笑)」

 

「…………それ、活用法が違いません?」

 

あの青年は、どうやってソレを実行したのか俺には理解出来ない。いずれ、その領域に至れるとしても……現段階では、至れるとは思えなかった。

 

「ガチ化け物……」

 

「あははは。まあ、要は工夫だ。どんな工夫をしているかはわからないけど……それさえ出来れば、君だってあのくらいは出来るようになるさ」

 

嘘だ。この人達は、それを知っていてわざと教えてくれない。どう考えても、自分で辿り着く様にしているとしか考えられなかった。まあ、それが以下に大事なのかはわかっているんだけど……それでも、ちょっと白々しかった。

 

「……ってか、回復魔法で治してくれないんですか?」

 

「ん?ああ、それでも良いけど……骨も頑丈にしたいだろう?なら、魔法で治すより自然回復で治した方が頑丈になるんだよ。ポアンも、修行中断を何も言ってないし……」

 

「…………ポアン?」

 

「…………自分の師の名前くらい覚えとけよ……」

 

師の名前と聞いて、最強の女剣士としか聞いてないような気がした。聞いたかも知れないが、別 の印象が強くて今一師の名前を覚えられていない。

見上げれば、微妙に銀河さんが呆れているようにも見えて少し恥ずかしくなる。

 

「ポアン・レイグ・アグレイだ」

 

「あ、はい。了解しました!」

 

銀河さんが言うには、ちゃんと名前で呼んでやらないと師が拗ねるらしいのだが……それは、銀河だけであって俺には関係ない事だと思われた。

 

「あ、それと……アイツ、味音痴だから手料理出されたら諦めてくれ……」

 

「そこは、逃げろ!ではないんですか?」

 

「逃げられるなら、逃げれば良いんじゃないか?」

 

そう聞いて、俺は師からは誰も逃げられなかったんだろうと推測した。

まあ、基本的にこの人達からは逃げられないんだけど。

 

「それで、ご飯とかは銀河さんが?」

 

「まあ……な。アイツが作るモノは、濃縮された味だ。100倍に薄めれば旨いんだぞ?」

 

原液!?薄めればと言っている時点で、もうダメダメなのは理解できた。ってか、100倍に薄めなければ飲めない味噌汁って何だ!?ドロッとしているらしい。

 

「塩分、超多目だ……」

 

塩分超多めとか、そういうレベルではないと思われる。

 

「飲んだことあるんですか?」

 

「転生して、初期の頃にちょくちょくね。寝惚け頭が、一口で目覚める衝撃だったよ」

 

「そ、そんなに!?」

 

どんだけ衝撃的だったのか、聞く度にゾッと背筋に冷たいモノが走る。是非、朝は早起きしてちょっと遠いけど2ブロック先の繁華街に向かうと誓った。

何たって、命あっての物種だ。銀河さんがいない日の翌日は、全力で回避しなければならないだろう。

 

「銀河さんの予定を教えて下さい!!」

 

「フッ……だが、断るっ!!」

 

「ええぇ!?ちょ……!!」

 

「一度は、通りたまえ。それもまた、経験だ(笑)」

 

「…………本音は?」

 

「僕達は、アレを無理矢理食べたのに君だけそれを回避するのは狡いと思う!!諦めて、食べたまえ!」

 

私怨だった。とっても、良い笑顔で告げられてしまう。

 

「いや、そこは……繰り返される悪夢を断ち切るべきでは?ってか、被害者を増やさないで下さい!」

 

「あははは。無理。ここは、そういう場所だからね」

 

「そういう場所?」

 

どういう場所だよ!?というツッコミは、出来なかった。

基本的に、《神殺し》という方々は平行世界の自分を巻き込んで組まれた組織らしい。中には、自分だからって理由で組織に引き込まれた方々もいるという。

つまり、組織に引き込まれたら……その時点で、巻き添えにされる事を諦めてしまわなければならないらしい。

 

「嫌だなぁ……諦めたくないなぁ……」

 

「最初、みんなそういうんだよ。でも、順応し始めると……無事な奴を巻き添えにするようになるから!」

 

そう、断言されてあのチビッ子がこの組織から離れた理由を理解してしまう。

きっと、巻き添えにされるのが嫌だったんだろう。

ぶっちゃけ、俺も嫌だ。よって、さっさと修行を終わらせて組織から出ようと心に誓う。しかし、俺は本格的に修行する事になったので、すぐには出て行けそうにない。

 

「ま、我慢も修行の内だ。頑張れ(笑)」

 

そう、笑っていた銀河さん。

 

 

 

その翌日、目の前に置かれたゲテモノ朝食に俺はドン引きするはめになった。昨日、あんな事を行っていた人(銀河さん)はいない。朝早くから、本店に出頭しているらしい。

まさか、アレが前振りでフラグだったなんて誰が思おう。

 

「堪忍な?ちょっと、寝坊してもうて……手抜きになってもうたけど、味は保証するで?」

 

「……………………」

 

味は保証されたが、それは100倍に薄めなければ飲めないという味噌汁とその他。だが、問題は味噌汁に入っている物体にあった。

 

「白蛇?」

 

そう、白蛇が一匹丸々味噌汁に入っているのである。

パッと見た感じ、蛇を捌く事なく丸焼きにして味噌汁にポンと入れたモノ。ぶっちゃけ、見た目が全く良くない。

話に聞いていた以上の味噌汁が、俺に警告を発して来る。

余りのインパクトに、俺は死を幻視してササッと退路の確認をした。チラッ、チラッと、開け放たれている表や裏手を確認する。イケるかもしれない。

ここは、《農業区》にある《田園畑》の中心……即ち、ただっ広いだけの広大な平地。その中にある、一軒の藁葺き屋根の家だ。表側は、そのまま《田園畑》へと至る道なのでそっちに逃げると捕まる可能性が大きい。

逆に裏手は、険しい山となっているのでそっちへ行った方が逃げ切れる可能性は高かった。

ソォッと師匠を見ると、何故か目をキラキラさせて待っている様に見える。まさかと思うが、これを食べて『美味しい』等という感想を貰えるとでも思っているのだろうか?

ぶっちゃけ、その可能性は一ミリたりともないだろう。

まだ、口にはしていないけど……どう見ても、『美味しい』と言えるモノではなさそうだ。ならば、ここは心を鬼にして現実を告げた方が良いだろう。

 

「見た目は、最悪ですね。蛇って……ゲテモノじゃないですか……口にするには、かなり勇気がいります……」

 

「あー……せやね。ちゃんと、捌いといた方が……」

 

箸で、蛇を摘まんで持ち上げて見る。

頭がしっかりと付いたままで、つぶらな瞳とバッチリ合ってしまった。アカン!これ、生や!!

 

「師匠、これ……火通しました?生ッポイんですけど……」

 

「…………大丈夫やて。腹に入れば、みんな同じや……」

 

「それ、今一番言っちゃイケない言葉ですよ!?」

 

余計に、口に出来なくなってしまう。

無理だ。俺には、これを食べるなんて勇気はない。

 

「もう少し、火を通していただけませんか?」

 

それはもう、俺が完全に逃げ切れるまで調理場から出て来ないで下さい。この時点で、俺は完全に逃げる方法を模索していた。

 

「そう言うて、逃げるんやあらへんで?」

 

グハッ!釘を刺して来やがった!!

 

「あははは……食べ物を粗末にはしませんて……(棒)」

 

師匠が、全部食べて下さい。という念を込めて、俺は乾いた笑い声を上げる。そして、師匠が調理場へ行ったのを見計らって俺は逃げ出した。

しかし、師匠はそれを見越していたのか回り込んで来る。

 

「なにぃ!?」

 

「やっぱり、逃げるつもりやったんやね!?」

 

「くっ……!」

 

「あ!!」

 

瞬動と神速を駆使して、何とか師匠を振り切った俺は一目散に山へと逃げ込んでいく。山には、そこそこ補整された心臓破りの山道があるのでそこを一気に駆け登って行く。

 

「逃がしまへんえ~~~!!」

 

地の底から、響いて来るような声を上げて師匠が追い掛けて来た。ヤバイ!かなり速い!!

 

「あんな、不味そうなモン食わねぇからなっ!?」

 

「食べてみたら、美味しいかもしれへんやろ!?」

 

「それに、白蛇はアカン!白蛇はっ!!」

 

「何でや!?白蛇の何処がアカンのや!?」

 

「白蛇は、俺等の住んでいた世界では八百万の神々の使いだ!祟られるぅ!!」

 

「安心しぃ!ウチ等はもう、《神殺し》や!祟られる事はあらへんて!!」

 

「それでも、精神的に忌避感があるって言ってんだよ!」

 

何でも間でも、《神殺し》と言えば許されると思うなよ!?それに神事は、精神的なモンだからそれを言い訳には出来ない。俺は、もう周りを気にする事なく全力で逃げた。

それはもう、全力でである。

そして、体力的に走れなくなった頃……目の前に立ち塞がる師匠が仁王立ちで待ち構えていた。

 

「な、なん、で……」

 

「そう言えば、凍真はんはまだ使うた事あらへんかったなぁ……この山道は、重力過重制御が可能なんや……」

 

「グハッ……な、な、な、んじゃ、そりゃぁ…………」

 

俺は、全身から力を抜いてガックリと脱力してしまう。

まさか、そんなシステムが組み込まれていたなんて知らなかった。前回も、裏山は使っていなかったから知りようもなかったのだが。

見上げれば、ニヤリと笑った師匠の顔。

その胸元にある御椀と、手に持つ箸で摘ままれた白蛇。

師匠が、地面に膝を付きゆっくりと近付いて来る。

そして、箸で摘ままれた白蛇がゆっくりと俺の口元にーーー。

 

「あ、こんな所にいたのか二人共……って、おい!ポアン……その白蛇…………」

 

「ああ、銀河はん。おかえりなさい」

 

口に入れられる前に、銀河さんが戻ってきてくれた。

何とか、助かった俺は今度こそグッタリと力を抜く。

しかし、銀河さんは白蛇を見て物凄く驚いた様子で慌てていた。

 

「おまっ!?それ、どうしたんだ!?」

 

「???銀河はんも、食べたいん?」

 

「ちげーよ!そうじゃなくてっ!お前が、箸で摘まんでるソレ……俺等の家を守ってる精霊だぞ!?」

 

「へ???」

 

「いや、へ?じゃなくて……風紀委員に言われただろう?八百万の神々の話を!!」

 

「せやから、神の祟りは《神殺し》には通用せえへんで?」

 

「じゃなくてっ!」

 

師匠は、先程俺に言った様な事を告げるが銀河さんは全く意を介さずに切り捨てる。

 

「八百万の神々は、精霊だから手を出すなって話だよ!聞いてなかったのか?たくさんいる神様系は、唯一神と違って特定の事しか出来ないから能力が強いんだよっ!!」

 

だから、例え《神殺し》であっても彼等『単逸神』の呪いにはあがなえないというらしい。

 

「……………………」

 

「専門職……って事か……」

 

「そうだ。出来る事が限られているから、その呪いも強いんだよ。専門を『家を守る』から、『殺した者を呪う』に変更するだけだからなぁ……」

 

一つの事しか出来ないが故に、呪われると解除するにもかなりの労力がいるらしい。

全知全能。唯一神と違って、広くある程度浸透ではなく……『単逸神』は、一点集中根源に至るまでなので能力が強い。だから、ズッ……ズズン!と遠くの方で何かが潰れる音が聞こえた。

 

「ほら!俺達のa……藁葺き屋根の家が、潰れちゃったじゃないか!!」

 

「……………………」

 

「……風紀委員を呼ぶから。しっかり、叱られてくれ!」

 

「ほな。ウチは、旅に出ますよって!!」

 

そう言って、師匠は俺の動体視力で追い切れないスピードで逃げて行く。銀河さんが、師匠の姿を追って視線を向けていたから辛うじてわかったものの。

 

「逃げましたよ?」

 

「逃げちゃったねぇ……まあ、すぐ捕まるよ……ポアンには、魔力が無いから魔法を使われたらそれで終りだ」

 

「……通報したんですか?」

 

「まあ、ね。どの道、家の修繕を頼めばわかる事だから……ま、いつもの事だよ」

 

軽やかに笑う銀河さんを見上げて、俺はこの人が一番凄いんじゃないかと思い始めていた。何故なら、あの師匠と共に何百年も居られる人なんだぞ!?

俺だったら、手料理を振る舞われた時点で逃げ出してる。

流石に、アレはないわー。

師匠が逃げ出して、僅か20分後程で捕まったらしい。

その後、師匠がどうなったのかは知らない。

ただ、戻ってきた時の師匠は真っ白に燃え尽きていた。

半分、魂が口から漏れ出ていたので、余程の目にあったのは理解出来る。

 

「風紀委員、こぇ……」

 

トン、カンカンカン……と鳴り響く、修繕中のトンカチ音を聞きながらランニングを終らせた俺は呟く。

何度思い返しても、幽鬼の如くユラユラと歩み寄ってくる恐怖の象徴が恐ろしい件。アレは、関わってはイケない系の人種だ。関わったが最後、生きてはいられないだろう。

 

「恐ろしいなぁ……セフィロト……」

 

この組織は、常識を何処かに置き忘れてしまった場所だ。

誰も彼もが、常識を逸脱し暴走している。

つい先日も、俺の腕の治療でセフィロトの総合病院に行った時、精神が病んだと思われる人を見掛けた。その人は、何故か傍らに毛むくじゃらの謎生物を連れていたのだ。

しかも、仲睦まじい恋人の様に二人(?)は振る舞っていた。「あははは。コイツゥ」とか言って、頬を赤く染め毛むくじゃらの額をツンツンしている男性。ツッコミ所満載の光景に俺は、一人悶々とさせられてしまう。

だって、毛むくじゃらじゃん!生物なの!?

何処が、可愛いの!?まあ、モフモフは出来そうだけど。

いや、フォローがしたい訳じゃないんだ!

だが事態は、この後に混迷を極める。

満を期して、複乳のエイリアン登場。

しかも、そのエイリアン……なんと、妊娠しているらしい。

ちょ、ヤバイじゃん!(←妊婦だから大丈夫だよ?)

ガトリングガンか、火炎放射機持って来て!!

更に、その旦那(?)さん(人間)がやって来てエイリアンと並んで待合室に座りやがったんだ!!(←普通だよ?)

そして、診察室から『エヴァさん、診察室に入ってください』と呼ぶ声が聞こえて……何故か、複乳のエイリアンが診察室へ。(←普通の事だから!)

エイリアンが、『エヴァ』!?

エヴァン○リオンを持って来てくれる話じゃないの!?

慌てて、周囲を見回せば……俺は、怪物共に囲まれていた。

悪魔や天使が、にこやかに談笑しているし……頭が二つある怪物に、妖怪と思しき小柄な男が小豆を洗っている。

何、このカオス……待合室が、混沌と化していた所で俺が呼ばれた。これ、診察室に行っても大丈夫なの!?

ドキドキ、ビクビクしながら診察室に入ると……そこにいたのは、赤い翼の天使(?)。

名前は、『ディスティア』って言うらしい。

名札にそう、書いてあった。優秀な医者ではなく、アルバイトだと本人は言っていたけど。

セフィロトでは、アルバイトが診察するらしい。

 

「全部、機械がヤってくれるんで問題はないですよ?資格さえあれば、何処でも働けます(笑)」

 

「はあ……」

 

「兎も角、経過は順調の様ですね。ギプスは、もう外しても構わないですが……無理は禁物です。特に、剣を持って戦うなんてもっての他です!出来るだけ、安静にしてて下さいね?」

 

「じゃあ、ギプスはそのままにしていてください。それなら、ランニングくらいなら出来るでしょう?」

 

「そうですね。では、そのままにしておきます」

 

それだけで、俺の診察は終了した。

もう一回来て、OKが出れば修行再開である。

そんな事を考えながら、俺はあの混沌に満ちた待合室に戻るのだった。常識人に、この待合室は鬼門だ!!

 

 

 

 

 

 




強制送還された後の凍真くんでした(笑)
女剣士との交流(一部)を紹介。
後、重力制御が可能な裏山も紹介w
下手に、神速を使うと体力だけを消費して力尽きてしまいますw その上、心臓破りの斜経45度の急な坂。頑張れ凍真!
負けるな、凍真! ま、それでも捕まっちゃった訳だけどw
銀河が来なければ、彼の味覚は死んでいた。
何たって、白蛇が生焼けだったからね(笑)!!
あの人は、トコトン家事が下手だから(笑)。
彼処での食事は、絶望的悪夢だ!どう足掻いても、味覚が終わる未来しかない!!

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m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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