絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一四九話

幸政

 

 

「うおっ!?」

 

突進してきた、赤黒い獣を避ける。チッ!と音がして、小さな火花が出ると表示されているストレージ形式でエネルギー値の3ポイント(以降『P』)が減った。

 

「ええっ!?3目盛りも減るのぉ!?」

 

基本、ロックシードに内包されているエネルギーを消費して変身、攻撃、必殺技を使用する。だが、変身中は常時エネルギーを消費するので出来るだけ相手を痛め付けた後、必殺技でトドメを刺す事になる訳。大体、ロックシードに内包されるエネルギーはストレージ形式表示で50P程。

何もなければ、5時間は変身し続けられる程度のエネルギーだ。激しい運動をしても、その消費値は常時消費されるエネルギーと同じで必殺技や武器等を使用しなければ何もない時と同等の変身時間になる。

それが、ちょっとカスっただけで3Pも持って行かれるって現状。俺の驚きが、わかっていただけただろうか!?

 

「直撃だったら、何目盛り持ってかれるんだよ!?」

 

こりゃヤバイと、戦極Dにもう一つ適当に取り出したロックシードをセットする。これで、変身すれば合計ポイントが消費した分を引いて87Pになるから少し安心して回避に集中出来るだろう。

(MAXであれば、100Pスタート)

そして、隙を見て必殺技を叩き込めれば幸いだ。

しかし、ロックシードをロックした所で邪魔をされる。

応戦するのが手一杯で、変身ブレードを降ろす事が出来ない。しかも、武器を使って応戦しているからガンガンエネルギー値が減っていく。ってか、速くないですか!?

まさか、武器攻撃エネルギープラス防御エネルギーも使用されてる!?ちょ、設定変えなきゃ!!

だが、現状からするとそんな事をしている暇はなかった。

攻撃や必殺技を使用して、変身していられる時間は大体一時間。そこに、防御フィールド分も含まれるなら大体30分が限界だろう。ダメージを受ければ、もっと早いかもしれない。正に、じり貧状態だった。

 

「うおおおぉぉぉ!?」

《メロン……Look On……SoiYa!メロンアームズ!!天・下・御・免!!》(残り76P)

 

運良く、剣の柄が当たってブレードが降りたらしく、俺は合成ライダーへと変身する。その際に、異次元から出現したアーマーで《堕ち神》を弾き飛ばすも変身後直ぐに間合いを詰められ再度攻撃ラッシュを受ける事に。どうあっても、こちらの手の内を封じるつもりの様だった。

自分と同じ転生者である以上、こちらの手の内が露見してしまうのは仕方がない。しかし、技を使うにしても必殺技を使うにしても、一度ブレードを降ろしてパワーを捻り出さない事にはどうしようもない。

 

「これは、アカンっ!!」(残り58P)

 

何れだけ、運が良かったとしても一動作が必要な仮面ライダーではかなり厳しい。何とかして、一度距離をおかないと換装すら叶いそうに無かった。このままでは、エネルギー切れで変身が解除されて俺はグチャグチャにすり潰されてしまうだろう。アリシア先輩と、恋人にすらなれていないっていうのにこんな所で死んでたまるかぁ!!

とは言え、敵は仮面ライダー以上の存在でちょっとやそっとの事では引き剥がす事も叶わない。

 

「くっ……」(残り31P)

 

これ以上の戦闘は、無理だと判断した俺は捨て身戦法を使う事にする。直撃でどれ程のエネルギー値を持って行かれるかはわからなかったけど、それも覚悟して間合いを離そうとバックステップを踏みブレードに手を伸ばした。

瞬間、待ってましたとばかりに奴は間合いを詰めて振り上げていた手を俺目掛けて降り下ろす。バヂィッ!!と大きな火花が散って俺は吹き飛ばされてしまう。

結果、エネルギー値が全損して変身が解けてしまった。

 

「グアッ!?……………………は!?」

 

いや、ちょっと待って!30P程あったエネルギーが、たった一撃で全損とかあり得なくない!?

赤黒い獣が、ニヤニヤ笑いながら激痛で悶える俺へとゆっくりゆっくりと歩いて来る。まるで、こちらの絶望を煽りつつトドメを刺そうとしている様だ。

 

「くっ…………」

 

こんなの、桁が違い過ぎる。普通は、対等に戦える……若しくは、倒せるレベルの敵だったはずなのに……これじゃあ、俺が踏み台だったみたいじゃないか!?

そりゃ、『俺が主人公だ』なんて口が裂けても言うつもりはないけれど……一矢報いる事すら出来ないなんて、こんな悪夢あるはずがない。

倒れ伏したまま、ガチャガチャとロックシードを付け替える。先程から、転がり倒れたままでの換装ばかりだけど実戦でカッコ良さ云々等と言っていてはいられない。

 

「…………もう一度だっ!!」

《グレープフルーツ……Look On……SoiYa! Grape Frutts Energy!!》

《スイカ……Lock On……スイカアームズ!!大玉ビッグバーン!!》

 

更にブレードを降ろし、スイカアームズの必殺技を解放する。確か、スイカアームズの武器はツインブレードだったはず。必殺技に必要なエネルギーは、一ストレージから俺が必要とする分だ。

 

《スイカスカッシュ!!》

 

悠長に外見の感想を述べている暇もなく、俺はグレープフルーツの機動力とスイカアームズのパワーを持って獣との距離を一気に詰め、スイカアームズのツインブレードで牽制の攻撃を開始した。こっちのターンだとばかりに、連続攻撃を繰り出し繰り返し斬りつける。

この時にはもう、コイツを倒そう等という感情はなくただ時間稼ぎのつもりで攻撃していた。願うは、浅上達魔導師組の到着だ。出来れば、先に結界とやらを展開して俺とコイツを《封次結界》なるモノに俺達を閉じ込めて欲しい。

ただし、俺だけを省くのは無しの方向で。

この状況下で、放置とかマジヤってられないから。

もし、省かれたら凹むどころか死ねるレベルだ。

相手のHP……そんな概念が、あるのかは不明……が、どれ程削れたのかはわからないが後どれだけ剣を振るえば良いのかある程度の目安が欲しい所。まあ、無い物ねだりであるのはわかってるので気にしなくて良いけどな。

それに、唐突にHPバーが出て来たら驚いて負ける可能性が大だし……ってか、早く誰か駆け付けて来いよ!?

俺一人に、どれだけ戦わせるつもりだ!?

攻撃と防御で、ガリガリ削られるエネルギーがもう残り少なくなって来ている。二個同時使用で、100ポイントあるはずのエネルギー値が、既に40を切っていた。

必殺技を使っている分、エネルギーの減り方が尋常じゃないスピードで消費されていく。

バジィッ!大きな火花が、目の前で散って行く。

エネルギー値に視線を向けた一瞬、その隙を突いて相手の攻撃を受けてしまう。それにより、40Pあったエネルギー値が残り5Pとなっていた。

それでも、敵の攻撃は止まらない。

 

「………っ!!」

 

残りのエネルギーが、ジリジリと削られていく。

赤黒い獣が、勝利を確信しニヤリと壮絶な笑みを浮かべ、最後の攻撃を俺に加えようと手を振り上げた。

 

ーーーも、もう……だ、ダメだっ!!

 

そう思って目を閉じた瞬間、赤黒い獣の呻き声と何か大きな塊を鈍器で殴ったかの様な音が聞こえた。

 

「お待たせ!」

 

声を掛けられて、恐る恐る目を開けると浅上兄が目の前にいる。まさか、あの化け物を浅上兄が吹き飛ばしたのだろうか!?視線を、浅上兄妹が向けている方向へと向けると、この間紹介されたトウマとかいう自称《神殺し》が赤黒い獣を圧倒していた。

その光景から、赤黒い獣を吹き飛ばしたのは浅上兄ではなく、現在進行形であの獣を圧倒しているあのトウマという奴が俺を助けてくれたんだと理解する。

 

「お?変身が、解けたぞ?」

 

「ああ……エネルギーが、尽きたんだろう……」

 

「エネルギー?もしかして、それ(ロックシード)ってエネルギー無限大とかじゃ無いわけ?」

 

「あ?ああ……神様にそう言われたけど……」

 

「ふーん……成る程。コーセも、《堕ち神》候補(予定)だったんだ……」

 

「…………だろうな……」

 

エネルギー問題とか言って、ライダー無双出来ない様にして俺の歪みを誘発しようとしたんだろうけど……何故か俺は助かった。理由は多々あるだろうけど……もし、俺が一人だったらどうなっていたかはわからない。だけど、俺にはたくさんの仲間と言える人達がいた。

それ故に俺は、“堕ち”たりはしなかったのだろう。

だが、その可能性は十分にあったという事だ。

もう一度、あの赤黒い獣に視線を向ける。

自分も、下手をすればああなっていたかも知れないかと思うとゾッとした。欲望にまみれた、知性のない怪物……それが、俺達【転生者】の最終的に行き着く未来だと言われたら俺は断固として否定する。

あんな、化け物なんかに成りたくはない!

 

「さて、何時までもトーマ一人に任せていられないね。お兄、先に行くよ!光ちゃん、ユニゾン、イン!!」

 

「いっくよー!」

 

「おう。行くぞ、ヤミ!ユニゾン、イン!!」

 

「はあ……面倒です……」

 

30センチ程の妖精と合体した二人は、共に赤黒い獣へと突っ込んでいく。姿が変化していたけど、今の俺にそれを説明している余裕は無かった。現在、戦極Dにセットしてあるロックシードを外し、別のロックシードをセットして今度はカッコ良く変身する。

 

《イチゴ……Lock On……イチゴアームズ!!シュシュッとスパーク!!》

 

まあ、誰も見てないけど。←(笑)

そして、もはや戦闘とは言えなくなった……ただのエネルギー浪費戦闘でごり押ししていく。

 

《バナナ……Look On……バナナアームズ!!Knight of spear!》

 

それが、どれ程の役に立っているのかわからないけど……ブレードをガンガン下ろして遠距離系の必殺技を連射する。

 

《チェリー……Lock On……チェリーエナジーアームズ!!》

 

そして、ある程度エネルギーを消費したら別のロックシードに換装。

 

《マツボックリ……Look On……マツボックリアームズ!! 一撃インザシャドウ!》

 

別のロックシードをセットして、近距離系・遠距離系必殺技の再乱射を開始する。近距離系の必殺技なら、赤黒い獣の背後まで近付いて。遠距離系の必殺技なら、ある程度距離を取っての攻撃だ。

 

《レモン……Lock On……レモンエナジーアームズ!! ファファファファファファファファファイ!!》

 

後は、泥臭い物量的消耗戦の開始だ。

 

《ブドウ……Look On……ブドウアームズ!! 龍砲ハッ!ハッ!ハッ!!》

 

メインをブドウに変えて、サブのロックシードをエネルギーを使い切ってドンドン換装していく。

 

《パインアームズ! 粉砕デストロイ!》

 

……。

 

《ドングリアームズ! ネバーギブアップ!》

 

……。

 

《ドリアンアームズ! ミスターデンジャラス!》

 

そして、カチドキと極とライダーシリーズのロックシードを省いた全てのロックシードを消費し終えたら、ゲネシスDにベルトを変更。

再度、オレンジロックシードから換装を開始した。

通常の戦極Dは、ブレードでザックザック切って行く訳だが、ゲネシスDはロックシードを搾ってそれをエネルギーに変換して変身する。よって、先に戦極Dでザックザク切ってエネルギーに。後は、ゲネシスDで搾ってエネルギーとする訳だ。ここら辺は、現実の果実と同じ扱いでOK。

ただ、戦極Dで使い切ったロックシードではゲネシスDで抽出出来るエネルギーは半分以下となる。

まあ、数字に変換すると10~20P前後となる訳だ。

それが一周したら、ドライバーを戦極Dに変更してカチドキロックシードをセット。それと、サブにライダーシリーズのロックシードをセット。ブレードを降ろして変身。

火縄大橙DJ銃を展開、ディスクを数回回して敵に狙いを付けて引き金を引いた。サブのエネルギーを使い切ったら、今度は別のライダーシリーズのロックシードを換装。

そのエネルギーで、射って、射って、撃ち捲る。

後は、その繰り返し。

ぶっちゃけ、こんな戦闘をするくらいなら仮面ライダーで無くても出来る戦い方だ。もっと、別の特典にするべきだったかもしれない。だけど、そんな弱音を言っていられる状況では無かった。浅上兄妹が、手も足も出せない様な存在に俺が攻撃を当てられるのは、あの《神殺し》を名乗る凍真とかいう人が赤黒い獣の行動を制限してくれているお陰だ。だけど、俺や浅上兄妹の攻撃があの獣に効いているのかと訊かれたらそうではないと言わざるを得ない。

無傷とは、考えたくないけれど……手応えからして、掠り傷程度にしかなってない様な気がする。

要するに、俺達はあの獣を攻めあぐねていた。このままでは、エネルギーが尽きて俺は負けてしまうかもしれない。

 

「…………くっ……仕方がないか……」

 

あまり、ヤりたくはない方法だが……一矢報いずに、ただジリ貧で負けるのは嫌だった。

だから、『五回』ブレードを下ろし、全エネルギーをその一撃に込めてブチかます。直ぐに、サブのロックシードを換装。変身終了後、ブレードを『五回』下ろして全エネルギーを一点集中で狙い撃つ。

必殺技は、一目盛りからエネルギーの消費度合いによってその威力が決定する。ならば、全エネルギーを一度の攻撃で消費すれば、最大の攻撃力を得られるはずだ。

うまく行けば、あの赤黒い獣に一矢報いる事が出来るかもしれない。そして、予想通りその一撃は赤黒い獣に致命的な大ダメージを与える事となった。

しかし、その代償は大きい。何度も全力で、ブッパーしたが為に火縄大橙DJ銃がオシャカになってしまった。

 

「これ……自動修復とか、されるのだろうか?」

 

心配事が、山々と積み上げられて行く。不安も一杯一杯。

最悪、修理という事になるが……何処に持って行けと?

更に悪い事に、赤黒い獣の標的が凍真から俺へと変更される。っというか、激怒ですか?

火縄大橙DJ銃の後の事を考えながら、フルーツバスケットを手に取り戦極Dへとセットした。メインには、カチドキロックシードが装着されている。カチドキのエネルギーは0だけどフルーツバスケットをセットする事によってエネルギー問題はある程度解決するはずだ。これで、俺は極アームズに変身出来る。ブレードを下ろすと同時に、俺の極アームズへの変身が完了した。

残された、エネルギー有りロックシードは零。

だけど、俺には最後の切り札が残っている。

使いたくは無いが、最悪アレの使用も視野に入れて俺は獣へと向かって行った。薙刀で、獣に斬りかかる。

凍真が、獣の邪魔をしてくれている間にがむしゃらに獣を斬り続けた。

 

《オレンジスカッシュ!!》

 

ブレードを二回下ろして、無双斬を何度も繰り返す。

しかし、ダメージが通っていない。

全く、一ミリたりとも、これっぽっちも。

 

「コーセ!トーマ!そこから、離れてっ!!」

 

「バインド!複重!!殺れ、美愛!!」

 

そう、浅上兄妹の声が聞こえた瞬間、何かを見たらしい凍真に掴まれてその場から凄い勢いで遠ざかって行く。

 

「いっくよー!!全力ぅ~全開ぃ~っ!!」

 

見上げれば、白い細かな光が一点に集まって巨大な光の塊を造り出していた。

 

「スターァ~ライトォ~……」

 

赤黒い獣は、地面から出現した黒い光のロープの様なモノに何重にもまとわり付かれて動けない様子。

 

「ブレイカーアアァァ!!!!!!」

 

そこへ、浅上妹が造り上げたとおぼしき巨大な光の塊から極光のビームが放たれる。赤黒い獣は、動けないままそれの直撃を受け、白い光の渦に呑み込まれて行った。

 

 

……………………………………………………

 

 

……………………………………

 

 

……………………。

 

 

赤黒い獣が、極光の渦に呑み込まれて行ってからしばらくして。奴を見送った俺達は、あの極光で出来たクレーターから少し離れた場所に集まっていた。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

そこで、クレーターの中心に目を向けながら誰かが口を開くのを待っている。だが、誰も口を開こうとしないので諦めて自分から促してみた。

 

「……………………何か、言えよ……」

 

「嫌だよ……フラグになるじゃん……」

 

全力警戒中の浅上妹。今は、ユニゾンアウトってのをして本来の姿で様子を伺っている。

 

「…………下手な事言って、ピンピンしてんのが出て来たら困るだろ?」

 

こちらも、嫌な予感があるのか何も言わずに言葉を濁して耐えている浅上兄。言いたいなら、言っちまえば良い。

 

「お前等なぁ……」

 

呆れた様子なのは、《神殺し》の凍真。

しかし、決定打を言う様子はない。

誰しもが、言いたい一言があるのに黙っている。

各言う俺も、その言葉を言いたくてウズウズしているがそれを飲み込んで黙っていた。だが、言ってしまった場合……後で、責められる事が目に見えてわかっているので誰もそれを言おうとしない。このメンバー……お笑い芸人がいる……では、それ……鬼言を言葉にする奴はいないだろう。

『フラグ』になると言って。

 

「皆で言うとか?」

 

「ちょ!?そんなん、許容出来ないよ!?」

 

「そこまでか!?」

 

「たった、一言だろう!?」

 

「嫌だ!誰が、テンプレなんてするか!?」

 

「そーだ!そーだ!そんなに言うなら、コーセが言えば良いじゃん!そしたら、後で弄り倒してあげるよ!!」

 

「それが嫌だから、提案しているんだろ!?」

 

「まあまあ……で、幸政。エネルギーの残ってるロックシードはどれだけある?」

 

「……………………零だ……」

 

火縄大橙DJ銃も、中破してしまったし……エネルギーがあっても、先程までの大攻撃はほぼ不可能である。

 

「………一つ、試したい事があるんだが……エネルギー切れのロックシードを一つ貸してくれないか?」

 

「別に構わないが……何をするんだ?」

 

言われるがままに、俺はエネルギー切れとなったロックシードを浅上兄に手渡した。すると、浅上兄は30センチ程の黒い妖精にロックシードを渡し何やら話をしている。

そして、黒い妖精が面倒臭そうに黒い光をロックシードに向かって放ち始めた。まあ、その程度の事でロックシードが壊れる事はないはずなので慌てたりはしないが……割りとハラハラしてしまう。

現状、戦力の一つであるロックシードを破壊する様な事はないと思いたいが……それでも、ドキドキモノだったのは否定しない。浅上兄が、何をしたかったのかはわからないがある程度してロックシードは俺の手の内に戻って来た。

 

「それで、変身してみろ……」

 

「は?エネルギー切れだって、言ってるだろう?」

 

何言ってんだ?コイツ……?

人の話、聞いてなかったのか?

 

「良いから、使って見てくれ……」

 

「……………………」

 

何時、奴が復活するかわからないっていうのにそんな事をして遊んでいる暇はない。しかし、あまりにも浅上兄が真剣な顔をしていたので、俺はそのロックシードを戦極Dにセットしてブレードを下ろした。

だが、一応開きはしたがうんともすんとも言わないロックシードがベルトの中央に鎮座している。

気が済んだか?とばかりに、浅上兄に視線を向けると小難しい顔をして唸っていた。

 

「言われた通りにしてみたぞ?」

 

「ん?あ、ああ。魔力が、動力エネルギーじゃないんだな……って事がわかった。これが、魔力で動いているっていうのなら話は早かったんだが……」

 

「って事は、やっぱり電池式なんだね。『Force』を意識しているのかなぁ?」

 

『Force』?何言ってんだ?と、思った所でクレーターの方から空気がピリピリとする怒気を感じる。チッと舌打ちをして、俺は『闇』シリーズのロックシードを手に取った。

 

「ちょ、それ……『闇』ロックシードじゃん!?」

 

「ちょ、おまっ……既に、闇堕ちしてたのか!?」

 

「してねぇーよ!ちょっと、根暗になって口が悪くなる程度の効果しかねぇよ!」

 

『それ、完全に闇堕ちしてるじゃん……』

 

まあ、そうとも言うが……ここは、背に腹は代えられない。

本来ならば、同一のロックシード何だけど……予備の特典を頼んだら、一緒に付いて来たって感じだ。

そして、これが俺の切り札その①である。数は少ないけれど、一つのロックシードに籠められたエネルギーは通常のロックシードより多い。つっても、50Pが70P程度になるだけだが。

それともう一つ、在るには在るんだけど……あれは、厳重に封印してあるしちょっとやそっとの事で使う訳には行かないモノだ。下手をすると、俺は人間ではなくなってしまうかも知れない代物だった。

アレは、本当の本当に最後の切り札だ。現状、『まだ』エネルギー的には何とかなるのでこれを使い切った時にでも使うとしよう。

 

「……変身!」

 

黒いロックシードを戦極Dにセットしてブレードを降ろす。瞬間、俺の中に黒いナニカが浸透してくるが気にしない方向で受け入れて目の前の敵に意識を集中させる。

ぶっちゃけ、目に付く何もかもをブチ壊したい衝動に駈られるがそれを抑えて俺は赤黒い獣に向かって行く。

あちらも俺に気が付いたのか、こちらに視線を向けて次の瞬間には目の前に接近していた。

大橙丸を展開して、接近して来た赤黒い獣に向かって振り降ろす。当然だが、当たっても火花は散らない。

明確なダメージエフェクトが無い分、腕に伝わる手応えだけが相手にダメージを与えているとわかる唯一の感覚だった。なのに、相手に与えていると感じる重さはかなり軽い。やはり、闇のロックシードでもそれはかわらなかった。

『闇のロックシード』と言われる分、攻撃力も向上していると思われるのだが……全く、そんな様子は見受けられない。完全に手詰まりだった。

 

「クソがっ!!」

 

それにしても、凍真は何してやがるんだ!?美愛も亮も、さっさと来て手伝えば良いものを。

そんな事を思いながら、振るう大橙丸が段々速くなっていく。怒りと憎しみで強化される『闇のロックシード』は、俺の感情(負の感情)でその能力を左右する。

だから、今の状態は好機ではあった訳だ。

だが、俺個人としてはマイナスの状況でしかない。

このまま、闇のロックシードに身を任せ続ければ、向かう先は破滅でしかないからだ。故に、助けてプリーズ!!と頭の隅(本心)で思いつつ、悪態を付きながら敵を斬る。

そこへ漸く、浅上兄妹が到着した。

 

「お待たせっ!」

 

「美愛、遅いっ!」

 

「ふぁっ!?よ、呼び捨て!?」

 

何故か、美愛が驚いているがこっちはそれ処ではなかった。つーか、来たのならコレの相手を代わって欲しい。

 

「……これが、闇堕ちした幸政か!!」

 

「凍真は、どうした!」

 

「こっちも!?……え、えと、連絡中っ!!」

 

「ああ!?」

 

この状況で、誰に連絡しているというのか……そんな悠長な事を言っていては、倒せるモノも倒せなくなる。

 

「亮!代われっ!!」

 

「お?お、おう!」

 

そう言って、亮は槍を取り出し赤黒い獣を吹き飛ばしてくれた。その間に、闇のオレンジロックシードを別の闇のレモンロックシードへと変更した俺は再度ブレードを降ろして変身する。変身後、無双ブレードを取り出し俺は再度獣へと接近した。亮と入れ替わり、再攻撃を開始した俺はやはり手詰まり感を感じてしまう。

亮達の攻撃も、俺の攻撃も全く届いてない様に思えてきた。その事への苛立ちが、『闇』に更なる力を与えるも……それすら、敵へのダメージに成らない。

 

「クソっ!何なんだ、この化け物は!?」

 

「《堕ち神》だよ!《神殺し》という仇敵を排除する為に神々が造り出した神造兵器!それが、《堕ち神》だ!!」

 

悪態を付く俺達の元に、漸く凍真の奴が駆け付けた。

同時攻撃を仕掛けつつ、その説明に耳を傾ける。

 

「はっ!神に反旗を翻す咎人か……面白れぇ!!」

 

ツッコミ所満載の話ではあったが、この時の俺にはとても面白い話に聞こえた。それと同時に、俺も《神殺し》の道をひた走りたいと願ってしまう。それだけの『力』があれば、護りたい人を守れる上に俺がずっと待ち望んでいた戦いへの日々に身を投じる事が出来る。

 

 

 

もっと、もっと、もっとーーーーー。

 

 

 

エネルギーが、尽き掛けたロックシードを酷使して戦線を離脱した俺は、禁じ手として封印してた木の箱を取り出し右手で握り潰した。中から出て来たのは、『黄金の果実』。

俺は、『黄金の果実』を天に向けて振り上げた。

 

 

 

 

 

ーー力を求め、俺は『禁断の果実』を使用する。

 

 

 

 

 

 




仮面ライダー鎧武の知識が無い者なりの簡単なお話の作り方w物語を語る人物に深く考えさせないw戦闘を中心にして、余り余裕を持たせない事で変身後の姿を語らせないって荒業ですw仮面ライダー鎧武をしっかり満足したい方は、専門の方のお話を読んでね?私は、途中で諦めたよw
後は、文字数を稼ぐ為にオリジナル設定の説明多目。
でもって、闇ロックシードで性格を変えて黄金リンゴを使用させて……???

遅筆しまくりです。
何の知識もない所から始めて書いているから……戦闘も、だけど武装も何もかもが適当であやふやに……w
やっぱり、専門の知識が無いともどかしい所まで手が届かなくて厳しい話となりました。まあ、勉強にはなるんだけどね?余りヤりたくは無かったけれど、こういう構築法を使わせて貰いました。申し訳ありませんm(_ _)m
本当は、もっと資料を集めてからとかするんですけど……ガチで資料が多過ぎて、覚え切れないという事態にw
ナニアレ!?wiki、洒落にならないくらいあるんですが!?
鎧武だけでなく、ロックシードや変身ベルトだけで……読むだけでも大変だった……。もう、無理って所までやったよw
あれは……原作最初から見ないと無理だね。まあ、そっちも多くて資金的に無理だったねwそれでなくても、懐具合が今ちょっと……ヤバイ(☆▽☆)!!だから、諦めたよw

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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