絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一四七話

幸政

 

 

修業を始めて半年が経ったある日、俺……いや、俺達は禍焔凍真という平行世界から来た《神殺し》に出会った。

紹介してきたのは、時空管理局のクロノ・ハラオウンというイケメン。既に既婚者らしいので、敵意は向けなかったが……アリシア先輩に近付く変態は、俺がブチ殺す!!っとと、危ない危ない。最近、どうしてか危険思考に陥り安くなっている気がする。プレシア様から、殺してOKとの言葉をいただいているので見付けたら悪即斬の精神で『敵』は排除する予定だ。(洗脳済)

そして今は、禍焔凍真と軽い雑談を主人公達がしている。

内容は、平行世界であった事件とその結果。ただし、未来のは除く。これは、禍焔凍真自身が未来を語るのを拒否した結果だ。未来は、自分達の手で掴むモノだと……全く、良い事を言ってくれる。そう、アリシア先輩は俺自身の手で落として見せるぜ!!

 

「ええっ!?じゃあアンタ、すずかの旦那な訳!?」

 

「ちょ、アリサちゃん!声が大きいよっ!!」(恥)

 

唐突に、金髪のお嬢様が驚愕の声を上げた。

 

「ああ。積極的に落とされたよ……」

 

「……告白したんじゃのうて、すずかちゃんに落とされたんか!?……すずかちゃん、大胆やなぁ……」

 

「私じゃない!私じゃないよぉっ!!」

 

黒髪お嬢様を中心に、ニヤニヤしたお嬢さん達が楽しそうに話をしている。当然、アリシア先輩も参加していてとても楽しそうに黒髪のお嬢様を弄っていた。

 

「それにしても、アンタ……すずかファンだったのか?」

 

「いや……原作知らねぇよ。ただ、巻き込まれ体質なんで苦労した。ああ、色んな意味合いで巻き込まれ捲ったよ……」

 

「うわっ!?地雷だった……すまねぇ……」

 

巻き込まれ体質……なんて、羨ましい体質なんだ。

俺もそんな体質だったら、今こうしているのが普通だったはずなのに……残念無念。そう考えて、少し落ち込む。

彼は、浅上兄妹が『無印』と呼んでいる一期からの参戦だったらしい。青い宝石型のロストロギアに関わって、アリシア先輩達を救おうと頑張ったらしい。

けど、様々な妨害によって心を折られ日々を怠惰に過ごしていたら《神殺し》を名乗るチビッ子が現れたという。

 

「ちょぉ待って!私を助けられんかったってどういう事や!?……へ?闇の書と共に凍結封印?あ、ギル・グレアム叔父さんか!?」

 

地味な美少女である関西弁少女が、色々言っているけど俺にはほとんど理解出来ない。原作を知らないからか、この蚊帳の外感が洒落にもならない件。ぶっちゃけ、寂しい。

 

「で、《神殺し》のチビッ子が来て盤上をひっくり返したんだね?もしかして、過去に戻ってやり直しでもさせられた?」

 

「ああ。あのチビッ子、ムッチャ強い上に反則的な能力でやりたい放題されて……みんな、ハッピーエンドにしやがったよ……」

 

「アハハ……アレはもう、理不尽の塊だから気にしない方が良いよ?下手に関わると、別の意味で不幸になるから……」

 

「えっと……君達が、アレを知っているのは何故?」

 

「……きっと、私達はチビッ子と知り合った後の存在を元に造られた《インスタント・ソウル》なんだと思うよ?」

 

「ーーーーー」

 

何故か、禍焔は目を見開いた状態で浅上妹を見たまま固まった。何故、彼はそんな目で浅上兄妹を見るのか……俺には、全く訳がわからない。そりゃ、毒舌なのは認めるが。

 

「俺達は、チビッ子と知り合った後……死んだ記憶も二度目の転生をした事も覚えがない。気が付いたら、この世界にいたんだ……本当に、目を閉じて開けたらここって感じ?」

 

「だからって、自分の存在を否定する様な事をいう奴があるか!?正気を疑われるぞ!?」

 

「俺達自身が、自分の存在を認めて無いのさ。例えば、アリシアやリインフォースを存続する為だけに俺達はここに連れて来られたって可能性も否定出来ないんだ」

 

「その場合、私達がここにいる理由は幸政なんだろうね」

 

唐突に話を振られて、俺はビクッと肩を跳ねさせた。

え?何々!?なんで、注目されてんの!?

どういう状況なのかわからず、辺りを見回し少しビクビクする。その様子を見ていたのか、浅上妹が大きな溜め息を吐いて苦笑いした。そして、何でもないと言った風に手を振って集めた視線を解散させる。

とりあえず、俺はアリシア先輩達の会話に戻った。

因みに、アリシア先輩達は今度行く旅行の話で盛り上がっている。季節的には、スキーシーズンなのでどこのスキー場に行くかを悩んでいた。

 

「アンタは、連れて行かないわよ?」

 

金髪令嬢が、話に加わっていた俺を見てそう宣言する。

 

「安心しろ。その日付辺りは、プレシア様と局でとある実験をする事になっている。まあ、その後はフリーなんだが……この際なんで、ミッドチルダで観光してくるよ」

 

「……………………」

 

「アリシアちゃん……」

 

「ごめん。家のママ、自重を知らなくて……」

 

「???」

 

アリシア先輩が、とても悲しそうな顔をして肩を落とす。

何はともあれ、アリシア先輩達のスキー旅行計画は淡々と進み、俺は安心した気持ちでそれをプレシア様に報告するのだった。そして、報酬の寝顔なアリシア先輩をいただいて保存する。ホクホク気分で、アリシア先輩コレクションの充実分を眺めていると視界の端に見覚えのある人物を捉えた。まあ、俺には関係のない人物なので無視して会話に戻ろうとしたのだが、唐突に凄まじい殺気を向けられて視線が自動的にその人物を捉える。

 

「き、貴様あぁ!自分は、関係ないって言ってたろう!?」

 

顔に大きな傷を負ったイケメン(?)が、大声を上げて突進してくる。俺は、怒鳴られる理由がわからなくて混乱していると、胸ぐらを捕まれて無理矢理座っていた席から引き摺り下ろされた。その上、脇腹と背中に強打を受ける。

脇腹は拳で、背中は蹴りでの攻撃だった。

 

「お、俺のよ、嫁達にて、手を出しやがって……こ、殺して……殺してやるっ!!」

 

『俺の嫁』というフレーズで、俺はコイツが誰なのかを思い出す。しかし、あの顔の傷は見覚えが無い。

見れば、スカーフェイスの手には大きな剣が握られていた。ソレは、大きく振りかぶられていて今にも俺の首に振り下ろされようとしている。

 

「おっと!危ないじゃないか……」

 

しかし、その剣は俺の首に振り下ろされる事はなかった。

何故なら、浅上兄がスカーフェイスの剣を反らしてくれたからだ。いや、本当に助かった。あのままだったら、頭と胴体がバイバイするハメになるところだ。

ここは、浅上兄を後で拝み倒す必要があるだろう。

 

「い、今、コイツ等のま、魔の手からた、助けてやるからな?お、俺のよ、嫁達っ!!」

 

「うっさいっ!馴れ馴れしく、嫁なんて呼ばないでよ!この犯罪者!!」

 

「金剛大地!貴方を時空管理法違反の容疑で逮捕します!」

 

「な、な、何を言って……そ、そうかっ!お、お前……お前が、お、俺の嫁達をせ、洗脳し、したんだなっ!?」

 

大地と呼ばれたスカーフェイスは、事もあろうに俺を睨み付けて訳のわからない事を喚き散らす。そして、凄まじい殺気と共にフツフツと沸き上がる赤黒いオーラに身を包み黒い存在へと変化していく。

 

「え?ちょ、な、何よこれぇ……」

 

「え?ちょ、なのは、結界をっ!!」

 

「あ、う、うん。レイジングハートって、私じゃ結界張れないよぉ!?」

 

「え?ええっ!?あ、え、と……」(固)

 

「そんな時は、私にお任せや!!」

 

『『はやて(ちゃん)っ!!』』

 

瞬間、金髪令嬢と黒髪令嬢……そして、俺とアリシア先輩を残して魔導師達は消えて行った。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「ここで、ハブにされる俺……ハハ。一応、戦えるんだけどなぁ……」(チーン)

 

自分の非巻き込まれ体質に茫然。

ここまで、戦闘に関われないとか超ウケる。

 

「…………えっと……ドンマイ……」

 

「……だ、大丈夫だよ。次は……多分……」

 

「そ、そうよ!次、頑張れば良いじゃない!!」

 

下手な慰めが、更に俺の傷付いた心に塩を塗り込んで行く。アリシア先輩にまで、そんな微妙な反応をされて俺の心はへし折れた。何で俺は、ここまで原作に関われないのだろうか!?マジ、凹む。

目の前に、これまでにない最高の機会が巡って来ていたのに……この仕打ち、俺は呪われているのだろうか?

まあ、アリシア先輩がいるので半分は救われた気分だけれど……それにしたって、これはあんまりだと思う。

 

「そ、そうだな!つ、次があるよなっ!!」

 

「そ、そうだよ!その意気だよ。きっと、次は良い事があるはずだよ!!」

 

もう、この時点で俺は泣いても良いと思う。

この不確か過ぎる会話が、次も参加出来ないフラグになってしまっている。下手をすれば、ミッドチルダ行きも立ち消えになったりしたりしないよね?という不安がフツフツと沸き上がって来るのだった。

 

 

 

……………………。

 

 

 

その後、一時間程して魔導師組が戻って来た。結論から言うと、スカーフェイスに逃げられてしまったらしい。

 

「空が割れたら、結界も壊れて……逃げられた」

 

「あれは、空間事態を壊したんだろうな。それと、あの黒い靄……何か、悪いモノの様にも感じた。たぶん、あれが《堕ち神の元》なんだろう」

 

「あの、NAR○TO初期の九尾化もどきが……《堕ち神化》?」

 

赤黒いオーラ?のようなモノに呑まれ、まるで悪魔の様なシルエットとなった奴は浅上達の攻撃も制止をも振り切って逃げ出してしまったらしい。その姿は、まるでNAR○TO初期の九尾化の様にも見えたという。

 

「…………そういえば、浅上兄妹は《堕ち神》を知っているのか?」

 

「詳しくは……でも、対神殺し兵器だとは聞いてるよ?例によって、何時聞いたかは覚えてないけど……」

 

「確か、俺達【転生者】の歪みが最大になったら堕ちて怪物になるらしい。俺が、知っているのはこの程度だ」

 

「まさか、あんな風になるなんて思わなかったけどね……」

 

浅上妹の一言に魔導師組が、悲痛な表情を浮かべる。

何を見たのかは知らないけれど、繰り返し腕や二の腕を擦っていた辺り、身の毛もよだつ体験をした様子だった。

普段なら、男勝りな主人公も《堕ち神》を見た後では弱々しい乙女の様だ。うん、今の主人公なら俺の琴線をビンビン弾いてくれるだろう。俺の保護欲に触れてくる主人公。

何時もそうなら、良かったのに……しかし、俺は知っている。こんな乙女な少女が、極太のピンクなレーザー穿ち楽しそうに模擬戦をする勇ましい少女だって。

 

「可愛く見えるのに……残念無念……」

 

「んん!?それは、どういう意味かな?」

 

俺の呟きを、目ざとく聞き付けた浅上妹が嬉々として訊いてくる。流石に当人を目の前にして、極太のピンクレーザーを穿つ戦闘狂とは言いにくい。

 

「……何も言ってねぇよ……」

 

「美愛、そこら辺にしておけ……下手にあやふやにしておくと、怪我人所じゃねぇから先に言っておくぞ?」

 

「チッ……しようがねぇ。見逃してやんよ!」

 

そう言って、浅上妹は悔しそうに引き下がり離れて行った。危ない危ない。下手なツッコミをされていたら、浅上兄妹の二の舞になっていただろう。そう、あの《スターライトブレイカー》とかいう極太のピンクレーザーをこの身で体験するハメになるところだった。

 

「それで?怪我人どころじゃないってのは?」

 

「何でか知らんが、金剛大地はお前を狙っているらしい」

 

「……金剛って、《堕ち神》とかいうのになったっていう人物の事か?…………何で俺?」

 

「たぶん、最後に憎しみを抱いた相手がお前だったからだろう?俺の嫁を奪った、憎い相手っていう認識なんだろう」

 

「はあ!?それ、勘違いじゃん!!」

 

「だから、警告しておこうと思ったんだ。アイツが襲って来るのは確定事項だから、周りを巻き込んだり派手な事をするんじゃねぇぞ?」

 

「え!?まさかの無抵抗命令!?」

 

「いやいや!抵抗しても良いが、派手に暴れて周囲を巻き込んだりするなって言っているんだ!」

 

「…………仮面ライダーに、どんだけ無茶な要求をしてるかわかっているのか!?」

 

「まあ……さっきの、『封時結界』に巻き込めなかった時点で、俺がどんな無茶を言っているかは良くわかっている。それでも、せめて俺達が駆け付けるまでは変身もしないで欲しい……」

 

《封時結界》ってのが、どんなモノかはわからないが……どんだけ、無茶な要求をするつもりなんだ!?戦闘で、周囲の被害を考えて抵抗らしい抵抗をせずにじゃねぇだろう?

それ、俺に『死ね!』と言ってるのと変わらねぇんだけど。そもそも、その《堕ち神》ってのはお前達が束になって掛かっても逃げられるくらい強い固体なんだろう!?

 

「出来るだけで良いんだ。もし、ダメそうなら変身しても良いから……だけど、出来れば人目には付かないようにして欲しい……」

 

「無茶苦茶だ!」

 

「無茶を言っているのはわかっている。だけど、魔法やロストロギアという『異常』を隠す為には、そうでも言わないと駄目だ!」

 

「…………相手は、容赦なく能力を振りかざし……俺は使っちゃ駄目ってどんな縛りプレイだよ!?」

 

「すまない」

 

「謝って済む問題じゃねぇだろう!?」

 

さて、困った。

名前からして、かなりヤバ気な存在が俺を狙っているというのに人目が付くところでの変身はダメ。派手な攻撃手段を使うのもダメと来たら詰んでいるとしか言いようがない。しかも、身体一つで魔導師組が集うのを待ち隠蔽処置を施してからしか戦ってはならないとはどんな無理ゲーだ!?そんな要求、聞いてやる義理なんて……あるなぁ(泣)

アリシア先輩を紹介して貰った手前、ちょっと言い返す事が出来ない俺がいる。ここで、そんな事関係ないと言えるのであれば問題ないのだけど……生憎俺は、そんな恩知らずではない。

 

「言っておくが、死にそうになったら速攻で変身するからな!?」

 

「ああ……それは、自己防衛だ。仕方がない……」

 

「じゃあ、人目も憚らず派手に変身するからな!?」

 

「え!?ちょ、それは……」

 

「隠れて、変身出来るなんて考えるんじゃねぇぞ?そこら辺は、現場で判断するしかないからな?」

 

「無茶言った俺への当て付けか?」

 

わかっている癖に。仮面ライダーが、社会の影で悪と戦っていた訳じゃない事くらい知っているだろう?人目を憚らず、敵を排除する為に即変身は物語上でも語られていた部分だ。それをこの世界でも、適応させると言っているだけなのだが……と、我が儘を言っているのは俺か(苦笑)。

 

「兎に角、出来うる限りの隠蔽はするが……バレた時は、よろしく?」

 

「なんで、そこで疑問系なんだ!?」

 

「記憶操作系の魔法があるのか……わからなかったからだ」

 

「……………………」

 

とりあえず、記憶操作系の魔法は一応あるらしい。

それを聞いて、少しホッとするが完璧ではないらしいので出来るだけ派手な事はしない事を約束させられた。

《堕ち神》が、どれ程の戦闘力を有するかわからないっていうのに周囲云々等言ってはいられない。浅上兄も、それを理解しながら『周囲を見ろ』と言ってくるのだから逝ってやがる。とは言え、俺達みたいな異常存在を公に出せない理由もちゃんと弁えていた。

少しだけ、神様特典に仮面ライダーを願った事を悔やんでしまう。これが、皆と同じ魔法であったら……例の《封時結界》という奴が上手く機能したというのに。

だけど、過ぎた事をとやかく言っても始まらないので、今ある手段で何とかするしかあるまい。

 

「ロックシードの森への出入りが可能なら、こんな事で悩んだりしないっていうのに……」

 

全てのロックシードを得ている事が理由なのか、俺はロックシードの森への出入りが制限されている。ぶっちゃけ、俺はこれまで一度もあの森へ行った事が無いのだ。

戦闘になったら、きっと周囲を巻き込む形での戦闘になるのは間違いない。その時、どれだけ被害を最小限に抑えられるかが俺の役割となるだろう。

 

「全く……厄介な事になったぜ……」

 

その日は、それで解散という事になった。

俺は、一応という事で浅上兄に護衛をされて家に帰る。

そのお陰もあってか、襲撃されるような事はなかった。

もしかすると、別の要因があったのかもしれないけど俺的には少しだけ不満が残る日となる。

その後、数日に渡り普通の生活をするが……奴の襲撃もなく、ただただ緩慢な日々を繰り返していた。

 

「…………襲撃、無いんだけど……」

 

『…………油断していると、寝首かかれるぞ?』

 

浅上兄は、そういうが俺は巡って来たまたとないチャンスに是非とも遭遇したくてウズウズしていた。

毎日毎日、フル装備で人目のない所をウロウロしているというのに……一行に襲撃される様子もなく、ストレスの溜まる日々が続いている。それだけ、時間が空いてくると……もしかして、チャンスは無くなりましたとか言われるんじゃないか……とか、先に時空管理局が金剛大地を逮捕しましたと言われるんじゃないか……等と不安になってしまう。

そうなれば、仮面ライダーとして戦いたいと考えている俺の目的が全てパァだ。よって、俺は毎日のように浅上兄携帯に連絡を入れ続けている。

 

『…………どうせ、もうヤっているとは思うが……一人、ウロウロと裏路地とかに出向いたりするなよ?』

 

「えー……」

 

『えー……じゃねぇよ!?何考えてるんだ!?相手は、対《神殺し》用の生体兵器なんだぞ!?』

 

「そんな風に言われても、実際に殺り合った事ねぇからわからねぇよお……」

 

今まで通りの退屈さに、俺の方は限界に達しているというのにまだお預けをする気か!?等と大きな溜め息と共に退屈な思いを吐き出した。

因みに俺は今、翠屋に向かって人ゴミの中を歩いている。

もう少しで、浅上兄妹と待ち合わせ場所にしている翠屋に着くのだが……俺の気分は陰鬱なモノだった。

何せ、今日はアリシア先輩はいないからだ。他の原作人物達も、習い事だったり仕事だったりと忙しく来てはいない。まあ、翠屋の食べ物は極上のモノばかりなので、それ程鬱って訳ではないんだけど……あの二人に会わなければ成らないかと思うと胃が痛かった。と、その時、視界の端に赤黒く動くモノが入る。まあ、気にはしなかったんだけど……次の瞬間、俺の危機感知が警告を放ち俺は立ち止まった。

 

目の前を、赤黒い光が通り抜ける。

 

それを見て、俺はその光が来た方向を恐る恐る見た。

視界の先には、黒のペンキをブチ撒けた様に空間を切り取ったかのような異世界が鎮座している。その中心に、人である事を捨て人外と成り果てた赤黒い人形のソレは居た。

俺は、首のチョーカーに手を添えてベルトを展開しようとした瞬間、先程の赤黒い光が進んだ先で巨大な爆発が起こる。一息を置いて、爆音が俺に届き……次に、その爆発の規模を含む衝撃波が襲ってきた。

 

「ぐっ!?……な、なん、だ、と……!?」

 

目の前に、『敵』がいるっていうのに俺は爆発の元を探していた。そして、俺は真っ黒な爆煙が立ち上がっているのを見てしまう。山が……無くなっていた。

 

「は?いやいや、これ、どうやって隠蔽する気だよ!?」

 

俺はその時、あまりの状況に混乱していて戦いとか戦闘とか考えられる状態では無くなってしまう。

だけど、『敵』がそれを見逃してくれるはずもなく、危機感を得た瞬間背中に感じた衝撃と共に俺は空を飛んで……気が付いた時には、地面に叩き付けられて後から来た衝撃の痛みと地面に叩き付けられた痛みに悶絶していた。

 

「……ガッ…………うっぐうぅ……」

 

初めての戦闘と、それによって起こる痛み。

何もかもが初体験だった。まさか、戦闘がこんなにもとんでもない事だったなんて!!と激痛の中で知る。

それを得て、俺は一つの後悔をしていた。浅上兄妹に、原作人物達との模擬戦に誘われた事があったのだが……それに、参加しておくべきだったと。こんな状況になって、初めて俺は『戦闘』を他人事として捉えていた事を理解した。

当たり前の話なのに、戦闘になればオートモードで戦えるモノだろうという、どこか他人事的な思いがあった事は否めない。

 

「……ど……ライ、ブッ!!」

 

首のチョーカーに付けてある、銀色の小さなロックシードがキーを得てベルトへと変化する。そのベルトに、寝転がり悶絶したまま震える手でオレンジのロックシードセットしてガチャッとロックを下ろした。俺が考えていた、カッコイイ変身方法とはかけ離れた状態……イメージしていたソレと違う、泥臭いグダグダのセットでロックだけど、戦闘を他人事の様に見ていた奴にはお似合いだ。

フラフラになりながら立ち上がって、俺はこちらを見て首を傾げている『敵』をシッカリと見据えた。

 

「変身っ!」

《Orange……Lock On……Orange Arms!! 花道オンステージ!!》

 

 

ベルトに添えていた手で、ブレードを降ろしてロックシードを斬る。瞬間、頭上の空間にジッパーが現れ開いた場所からオレンジの果実が出現した。

まだ痛む所はあったけど、無理矢理背筋を伸ばして出現した果実を被る。果実は、鎧へと変化して俺は仮面ライダー鎧武へと変身した。

 

「行くぞっ!!《堕ち神》っ!!」

 

 

 

 

 

 




作者:『……………………』

あー!!結界無しで、山が……リインフォース消滅の高台が……まあ、この世界のリインフォースは生存してるけど。
現実に、消し飛んじゃった☆(笑)。管理局、仕事しろよー。
え!?堕ち神と戦わせるの!?と思った、そこの貴方!!
はい。堕ち神と対戦です☆!www
当初の予定は、踏み台転生者と対戦させるはずだったんですが……それなら、踏み台転生者強化しようぜ!って事になりましてw 何故か、堕ち神化してしまいました。結論だけ言うなら、一対一の場合……間違いなく負けますw
地力が違い過ぎますから……勝てる要素がないwww
単体では、瞬殺される堕ち神ですが……複数体なら、単体の《神殺し》を行動不能に出来る戦闘力があります。
それを仮面ライダーで?ムリムリ(ヾノ・∀・`)
時間稼ぎは出来ても、討ち取りは不可能。
せめて、トウマがいれば何とかなるかも?ってレベル。
それでも、負けフラグだな。頑張れー(棒)w
双夜達いたら?楽勝ですw リアル・ラカン(神崎)と、リアル・バグ・ラカン(双夜)が参戦するんだよ?負けるはず無いじゃんw つーか、負け要素が無いんですけどwww

さて、コレで双夜達が来たら……幸政のアリシア攻略が、あやふやな状態でなあなあになる可能性大なので……まだ、双夜達は来ません!!!!
あくまで、このお話しは幸政君がアリシアをGETするまでのお話しなのでアリシア攻略が済むまで奴等の出現は……無いと思いたいっ!!無い方が良いんだけどなぁ……途中半端で攻略なあなあとか、あり得ないだろう!?
奴等には、もう少しSAOモドキ世界に居て貰わないと…。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

……………………3

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