絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一三一話

神崎

 

 

最近、この管制室にある施設のシステムを理解できる様になって来た。モニターを展開し、師匠が操る機体の状態やエネルギーの消費速度等を計測する事が何とか可能になってきた所である。一応、拙いながらも情報を纏めて報告書として師匠に提出するまでになっていた。

翼とフェイト達が来たのは、そういうデータをかき集めて纏めている時だ。まるで、不意を打ったかの様な登場に一瞬言葉を失ってしまった。

 

「観念なさい!!」

 

「手を上げて、キーボードには触れないで!!」

 

「……………………」

 

翼とフェイトを見て、顔の前で手を合わせている鉄を見て状況を把握する。とりあえず、問題なさそうだったので無視してデータを纏めて行く。

すると、目の前をフェイトの魔法弾が通過して行った。

 

「キーボードには、触れないでって言わなかった!?」

 

「はあ!?俺等、悪い事はしてないぞ?」

 

「ロストロギアの流用は、立派な犯罪だよ!!」

 

「…………ロストロギア?まさか、この施設の事を言っているのか?これは、ロストロギアではないよ……」

 

「でも、こんな技術……普通にあり得ないよ!!」

 

フェイトの言いたい事はわかるんだが、この施設の場合は流出さえしなければ問題ない施設だ。というか……流出させた所で、流出物に危険度あるかと聞かれたら『無い』と断言出来るレベル。解析も複製も出来ない物に意味はない。

 

「そりゃあ、師匠が所属している【組織】の技術だからな。管理局よりも、遥か上の技術を取り扱っているだろ」

 

「そうじゃない。そうじゃないよ!大悟、わかってて言っているよね?未来技術も逸脱した技術も、みんなロストロギアって呼ばれるモノなんだよ!危険な技術なんだよ?」

 

俺も、局員だったからわかっているとも。だけど、師匠を含めて考えるとそれ程危険な感じがしない。むしろ、この技術を管理局に取り上げられる方が危険だろう。

 

「…………じゃあ、この施設が何か危険なのか言ってみろよ。って言っても、存在事態が危険と言われりゃぁ……それまでなんだけどなぁ……」

 

そう言って、俺は師匠が訓練している室内に通信を繋げた。伝えるのは、フェイトが来ている事とこの施設の引き渡し要求を求められている事を……だ。

 

「とは言え……フェイト、師匠からここで使われている技術とこの施設を奪取出来る奴がどれだけいると思う?」

 

「………………うっ……」

 

ま……フェイトの状態は、見るからに冷静でない事がわかっている。きっと、今まで信じていたのに裏切られた気分なのだろう。よって、ロストロギア=危険物がフェイトの中で成り立っている様だ。

なので、そこら辺から崩してみよう。

 

「普通に考えて、あの人からこれ等を奪うのはかなり至難の技になるだろうな。むしろ、返り討ちにされて組織ごと壊滅させられるのがオチだと思うんだが。しかも、師匠の場合は世界を保護もしくは護るのが仕事だ。その文明を歪めてしまいかねない技術を流出させる可能性は……さて、何パーセントかな?」

 

「………………ううっ……」

 

ありゃ?まさか、この程度で根を上げるんですか?

フェイトが、チョロインなんですけど(笑)。まあ、良いや。冷静になって来たみたいなので畳み掛けてみよう。

 

「それじゃあ、冷静になって来たところで、これが時空管理局ならどうだろうという話をしようか?…………ジェイル・スカリエッティにジュエルシードを横流しして犯罪に使いまくっていたり……お偉いさんの欲望を満たす為に、裏組織を作って暗躍していたりする訳だが……管理局と師匠。どっちを信じる?」

 

「…………あ……あぅ……」

 

ジュエルシードとジェイル・スカリエッティに関しては、師匠が暴いたので公然たる事実だ。フェイトも、捜査に参加しているので良く御存じだろう。

まあ、参加というよりは無理矢理巻き込まれた感じだが。

 

「つーか、この施設もそうだけど……そもそも、技術にしろ何にしろ特殊な翻訳システムを使わないと解読出来ない文字や数式を含んで暗号化されていたからなぁ……流出した場合の対策はバッチリ何だよなぁ……ほら」

 

そう言って、フェイトの目の前にこの施設で使われている基本の文字や数式を展開してやる。

フェイトは、それを眉を潜めて見ていた。

ぶっちゃけ、何が書いてあるのかサッパリなアラビア文字(?)に似た訳のわからない文言。フェイトが、目をグルグルにしている事からわかる様に、何が書かれているのかさえわからない様子が見て取れる。

 

「ど?読めそう?」

 

「……………………」

 

「文字の形状は、地球のアラビア文字に似てるけど……使い方が、全然異なる方法みたいなんだ。まあ、文字はアラビア文字で、使い方は英語やそっち方面の文脈って感じ?」

 

「ううっ……」

 

論破出来そうなので、もう少し追い詰めてみる。

 

「見た目からして、精通していない相手を混乱させようとしている事がわかるから……解読も難解で糞面倒なモノだと推測している。それでも、フェイトはこれ等が危険だと思うかい?」

 

「……で、でも!翻訳システムがあるんだよね!?」

 

お、頑張って反撃してきた。でも、残念。

フェイトが持っていた情報は、秘密基地のシステムを潤滑に動かす為の翻訳であり、システムそのモノをどうにかする翻訳システムというモノではない。

 

「表面上のは、翻訳が可能だけど……システムの内側は、ロックが掛かってて……一定時間毎に200桁のパスコードを打ち込まないと解読出来ない様になっている。しかも、そのパスコードは今フェイトが見ているその文字と数字で入力しなければならない。さて、絶対に間違えることなく入力できるかな?」

 

フェイトに、トドメ刺しました(笑)。涙目です!涙目フェイト可愛い。なんていうか……エロい。グッと来る。

 

「ううっ……そんなぁ……」

 

古代ベルカの様に、中途半端ではあっても語源が伝わっていてある程度予測が出来るモノであるならばーーあわよくば、って事もあるとは思う。

だが、師匠が保有しているこの施設はちょっとでも間違えているとエラーになってしまう鬼畜仕様だ。

しかも、ここの施設は科学技術オンリーで構築されているので、魔法の様に起動さえしていればちょっと基礎構造を弄っても動き続ける何て事もなかった。多分、これを造った人物が意図的に流出しても解析出来ない様に造っているのだと思われる。それを、魔法の箱に納めて魔力で運用出来る様にしただけの代物なのでわかり辛い事この上ない。

師匠の魔法科学に至っては、解析どころか……それが、技術の集大成である事すら悟らせない物体になっているし。

例え流出しても、それが至高の技術であること事態を『気付かれない』……もしくは、バレても『解析出来ない』事に全力で気を使っているのだ。

 

「徹底的だもんなぁ……」

 

「呼んだか!?」

 

そこへ、師匠がボロボロの姿で入って来た。

半泣きになっているフェイトを見て、鉄を拳骨で沈めた後俺に非難の視線を向けて来るが……瞬時に、正解の状況把握する辺りが洒落になってない。

 

「何で、ボロボロなの?」

 

「【組織】からの依頼で、プロトタイプのテスターをやってたんだ。神崎達に給料を払わなきゃいけない立場なんで、その為のアルバイトだと思ってくれれば良い。他にも、幾つか掛け持ちしているから最近は忙しくてなぁ……」

 

「えっと、それはガジェットの事も含むのかな?」

 

フェイトが、少し怒った様子でそんな事を言い出した。

そう言えば、フェイトは何でここに来たのだろうか?

この施設の話ばかりで、聞きそびれていたが……フェイトが、ここに来ること事態が妙な話だった。

 

「ガジェット?ああ、ジュエルが造った玩具な?それが、どうかしたのか?」

 

「どうかしたのか?じゃないよ!!双夜のせいで、エリオが怪我までしたんだよ!?」

 

「はあ?なんで、僕のせいになるんだよ!?ジュエルが、造った玩具だろう!?」

 

「それで、犯罪を犯したのは双夜でしょう!?」

 

「待って、フェイト!話が、噛み合ってないわ。ねぇ、貴方……ジュエルの造った玩具に手を加えたりしなかった?」

 

いち早く、状況を把握した翼がフェイトと師匠を止めに入る。その上で、師匠に質問を開始した。

 

「なんで?僕が、そんな粗悪品に手を加えなきゃならないんだ?フレールくんがいるんだから、捜索が必要ならフレールくんに任せておけば良いじゃないか?」

 

「じゃあ、機動六課についてはどう思っているの?」

 

「遺失物対策係なんだろう?ロストロギア探ししてれば、良いんじゃないのか?」

 

「午前中、ここにいた時に六課の為にロストロギアを探すとか言って無かった?」

 

「いや、だから……フレールくんに探させているけど?」

 

「……………………不味いわ、フェイト。ガジェットに関して、チビッ子は白よ!!」

 

何故か、フェイトがショックを受けた様子で立ち尽くしている。翼も、師匠が関わっていると本気で思っていたらしく、宛が外れて半分投げ槍な感じだった。

 

「ガジェット?ああ、そう言えば……管理局の【影の査察官】共の残党が、まだ隠れ潜んでいるらしいよ?僕の方には、手を出して来なくなっちゃったんで現在は進展が微妙だけど……そっちには、手を出して来る可能性がある。彼等の目的の一つに、【フェイトちゃん達を手に入れる】があるだろうからね……」

 

「また、内輪揉めなのね……」

 

「あの組織、壊滅させたんじゃなかったの!?」

 

フェイトの驚いた様な一言に、俺達は苦笑いを溢してしまう。師匠の言葉のニュアンスには、転生者が関わっているという事も含まれているので俺達にも無関係な話ではなかった。まだ、隠れ潜んでいたのか【凌辱系転生者】が。

 

「大元は、叩いたよ?でも、完全には壊滅させられてない。流石に、ゴキブリ並みのしぶとさだよ……」

 

「つまり、『彼の王の翼』が翔ぶ可能性があるんですね?」

 

「あるだろうね。一応、あの場所の監視はしているけど……今のところは、問題無さそうだ……」

 

疑似聖王核も見付かっていないらしく、あちら側もこちら側もヴィヴィオ待ちになっているらしい。

 

「面倒な話ですね……」

 

「とは言え、一部の馬鹿はこちらの網に引っ掛ったみたいだけどな……翼にそれとなく匂わせておいて正解だったよ」

 

『はい?』

 

その場にいた、師匠以外の全員が首を傾げる。

その後、秘密基地の地下一階……広間へ戻ると、師匠が言っていた馬鹿と取り巻きと思われる局員が杖を構えて待っていた。そして、電子錠のある扉から出て来ると無抵抗なのにも関わらず押し倒され抑え付けられてしまう。

因みに、師匠は扉の中で仁王立ちで局員を牽制中。

見上げれば、リンディさんやユーリの姿もあった。

クロノはいない。まだ、巡回から戻っていないのだろう。

どうやら、この広間にクロノを除いた師匠の関係者を全員集めてあるみたいだった。

きっと、推理ショーみたく断罪する予定なのだろう。

その意図が、馬鹿の様子からありありと伺えた。

全く、悪玉転生者らしいやり方である。

 

「……………………?」

 

呆れて視線を反らすと、住居区に通じるはずの通路が無くなっていた。通路が壁になっていて、出入り口を塞ぎ家具と言える物が数点置かれている。慌てて広間の中を見回して見れば、他の扉も最初から何も無かったかの様に継ぎ目すら無い壁となってしまっていた。即ち、擬装は完璧?

何時でも、誰かを招き入れられる状態になっている。

 

「……まさか、噂に名高いハラオウン様方がこの様な背任行為をされていようとは思いもしませんでしたよ!」

 

そんな状況とは、いざ知らず……凌辱系転生者と思しき馬鹿が、歌うような声と役者の様な仕草でリンディさん達と師匠の背任行為の断罪を始めてしまう。

 

「もう、ダメだ……」

 

「神崎、五月蝿い!」

 

「フッ……お前のお仲間は、既に諦めた様だぞ?」

 

「逃げてぇ!今すぐ、逃げてぇ!!」

 

「!?」

 

「全ては、罠だ!今すぐ、逃げた方が良い!!」

 

「もう、遅い……捕まえろ!」

 

パチンと指を鳴らすと、馬鹿は後ろから押し倒されて抑え付けられてしまう。『馬鹿な!?』とか、『裏切るのか!?』とか言っているけど……多分、大分前から踊らされていたのだと思われる。

 

「残念だったな。既に、コイツらも買収済だ。君達が支払った10倍の金額で……な?」

 

「なん、だと…………じゅ、10倍!?」

 

「金で雇われる奴は、買収しやすいんだよね……残念だったね?坊や……さて、これで潜んでいた馬鹿共の根城も抑えられたし……漸く、管理局正常化も大詰めだ。所で神崎、さっきのはどういうつもりだ?」

 

「もう、アイツが逃げられない事はわかっていたので言うだけ言ってみました……」

 

「フム。一瞬、気でも狂ったのかと思ったぞ?」

 

いや、むしろ……いったい、何時から根回しをしていたのかがわからなくて困惑しっぱなしなんだけど。それに準備が済んだから、情報を漏らしてフェイトをここへ連れて来させたのだろうという推測は立つのに……その手法が、全くわからないってどういうこと!?

 

「連れて行け……」

 

『はっ!!』

 

「クソッ!コイツ等は、ロストロギアを流用しているんだぞ!?何で、それが許されて俺様が捕まるんだ!?」

 

「僕が持っている限り、流出する恐れがないからだろう?造る事はあれど、流用する事も流出する事もないんだ……それに、僕以上のガーディアンもいないからね……」

 

馬鹿の悪足掻きは、師匠の断言によってバッサリ切り捨てられてしまった。

 

「まあ、流用する気も……流出させる気もないから、安心すると良い。使用するのは僕だけだし……ねぇ?」

 

それが、暗に管理局……即ち、【凌辱系転生者】であるなら流用や流出させる可能性を含んでいる事をこの場にいる誰もが理解していた。

 

「ああ!?使えば、流出したって事だろう!?」

 

「解析も複製も、させる気の無い技術がどんなモノかわかって言っているのかい?ほら、この文字や数式が君達に理解出来るのならやってみろ!!」

 

提示されたそれを見て、馬鹿は愕然とした表情を浮かべた。周囲の局員も、想定外の言語に口を開けて呆然としている。もはや、暗号と化したそれを理解するにはとれだけの月日と時間を注げば良いのかわかったモノではない。

 

「ついでに言うとな……これの解読法は、数億通りあるんで正解の翻訳でないとどんな風にでも読める様になっているんだ……でも、正解の翻訳でない限り機械はまともに動かない。っていう、暗号化もされてるって訳(笑)」

 

つまり、師匠の持つ【真実の瞳】が無ければ解読一つまともに出来ない事を意味している。酷い話だった。まさか、解読にそんなスキルが必要だなんて洒落にもなってない。

 

「僕等の技術は、流出させない。解析させない。複製させない事を前提に造られているんだよ。所謂、『僕が考えた独自言語』って奴だ(笑)」

 

師匠が、笑い話的な感じで言っているけど……言われている方は、堪ったモノじゃなかった。『なんだそりゃ!?』と呟いたかと思えば、文句を大声で喚き始めてしまう。

とりあえず、グチャグチャ訳のわからない事を言っているので省略して訳すが、馬鹿は『俺の思い通りにならない世界なんていらない』と言っていた。

 

「何で、凌辱系転生者の殆どが世界を自分の思い通りに出来ると思っているんでしょうね?」

 

「知るか。アニメの世界ってのは、そういう世界なんだろうと思われているんだろう?物語ではあっても、その世界のルールが実在しているはずなんだがな……」

 

「デスヨネー……」

 

耳が痛くて敵わない。

大捕物が終わると、マッタリ雑談タイムとなってしまった。周囲を見回しても、普通に談笑している。まあ、師匠はリンディさんとフェイトに尋問されている様に見えるが。

 

「そう言えば、師匠って今までどんな世界を回って来たんですか?やっぱ、バリバリのファンタジー世界ッスか?」

 

少し、気になったので聞いてみる事にした。

 

「ーーんぁ?バリバリのファンタジー世界?」

 

「あー……ほら、ファンタジー小説とかにある……時代風景は、中世位の西洋みたいな感じで剣と魔法の世界的な?」

 

「中世?……あれか?イギリスのロンドン的な町並みみたいな?まあ、剣と魔法っていうなら僕の世界が該当するけど……でも、アレよりかは文明レベルが低い感じか……」

 

イギリス?ロンドン?そのキーワードで、パッと思い付いた風景ではちょっと違うような気がする。それと、師匠がいた世界と聞いて最初《神殺し》の世界を思い浮かべたけど……どうやら、師匠が生まれた世界の事だったらしい。

 

「あー……アルザスで見た感じの、ドラゴンとかモンスターが徘徊する世界ですかね?」

 

あれ?今、師匠がおかしな事を言っていた気がする。師匠の世界が、剣と魔法の世界だとかなんとか……俺達の生前の世界、それに魔法を突っ込んだ延長上にある世界ですよね?それが、どう間違ったら剣と魔法の世界になるんだ!?

 

「ドラゴン?モンスターが、ロンドンを徘徊するのか?」

 

師匠が、眉を八の字にして悩んでいる様だけどこちらの言うイメージに至っている様には思えない。

何だろう……予備知識の無い人と、RPGについて語り合っているような……はっ!そう言えば、師匠は俺達の知るアニメや漫画の知識が無かったんだった。

色々と話をしたが、どうしてもイメージの統一が出来なくて困っていると師匠は秘密基地のオーバーテクノロジーの力業で解決してしまう。それによりわかった師匠のイメージは、ロンドンの町並みにドラゴンとモンスターが描かれているモノだった。

とりあえず、こちらのイメージを映像化して伝えたところ何とかこちらの意図が伝わり事なき事を得る。

映像化が、とっても便利でした。

 

「あー……こういうのは、無いなぁ……」

 

一時間程掛けて、イメージを統一したところ……師匠は、バリバリのファンタジー世界への《時渡り》はしなかったらしい。それどころか、最初に渡った世界が俺の言う世界に該当するらしいのだが、例の【ハーレム事件】があった為にファンタジー世界の体験は即終了したとのこと。

 

「あー……トラウマになって、逃げ出したんですね?」

 

「その後、【組織】に戻って女性恐怖症の治療をすることになったからなぁ……」

 

「最初の世界で、トラウマを得ちゃった訳ですか……」

 

「うん。その時は、数ヵ月で克服したんだけどねぇ……」

 

「え?克服したんですか?」

 

あれ?なら、師匠の幼児後退はどういうモノなんだろう?

 

「したよ?その後で、魂の改竄を行われちゃったみたいで……嫌がらせされているもよう……」

 

嫌がらせ!?まさか、【組織】の方々にですか!?

つーか、何でそんな嫌がらせをする必要があったのか俺には疑問だった。それでなくても、幸薄い人生なのに……よっぽど、師匠に煮え湯でも飲まされていたのだろうか?

 

「それ、解除出来ない訳?」

 

「魂の改竄を出来る者が、二人以上必要なんだ。でも、現状では不可に近いだろうなぁ……」

 

翼は、大きく溜め息を吐き出して『そう……じゃ、仕方ないわね』と肩を竦めて首を横に振る。不可能に近い理由は、そのスキルを所有する者が【組織】から出払っているからだということらしい。そう言えば、そうだった。

そのトンデモ会話を、苦笑いで聞いているリンディさん達はまだ師匠に何かを言いたそうだった。

 

「じゃあ、どんな世界に行ったんですか?」

 

「んー?名も無き世界だよ。あー、でも名前のある世界にも行ったぞ?魔界とか神界とか……」

 

「……はあ。じゃあ、異世界チートとか無しですか?」

 

「異世界チート?んー……《時渡り》当初は、戦場を駆け抜けてたかな?チートは、あんまり出来なかったよ。当時は、魔力操作や色々未熟だったからな……」

 

「師匠が!?想像出来ないんですが……」

 

「誰にだって、弱い頃はあるさ。僕の場合は、最初に何を優先的に鍛えるかで迷ったからな。で、とりあえず防御系を重点的に回復に傾倒させた……」

 

「え?攻撃じゃ無かったの?」

 

あれだけ、攻撃力を見せ付けられた者としては微妙に身を引くしかない。翼も、少し拍子抜けした感じで首を傾げていた。

 

「僕は元々、研究者なんだ。それも、宇宙を開拓しようとしてた宇宙開発の魔工技師……」

 

「技術開発!?」

 

「ちょ、それって、前線に出てくるタイプじゃないじゃない!?なんで、前線にいるのよ!?」

 

それは、流石に俺も初耳だった。まさか、研究者だったとは……ちょっと、頭がおかしくなる様なチートレベルを見せ付けてくれるから前線系だと思い込んでいたよ。

つーか、研究者でその強さ……洒落にもならない。

 

「神崎、勘違いしてるぞ?僕の強さは、《神殺し》の中では下から数えた方が早いんだから……そりゃ、人間から見ればチートかもしれないが能力的には下の存在だぞ?僕がチートしていられるのは、特殊能力が異状なんだ……」

 

サラッと思考を読まれた気がするが、確かにそう聞いた様な気がする。でも、言ってる事と出来る事の差が開き過ぎていて今一ピンと来ない。

 

「つまり、腕っぷしが強いのは……」

 

「能力的に、低いからな……鍛えれば上がる技術は、徹底的に鍛えたよ?ザックリ、通算1500年位の鍛練で身に付く技術はそこそこゲットしている」

 

「あ、年代物だった……」

 

つまる所、師匠の戦闘能力は鍛練という名の時間の積み重ねらしい。師匠は、不老不死だから時間なんて腐るほどあるのだろう。仕事していない間は、暇潰しと称してひたすら鍛練するか……料理するか……遊ぶか……ゴロゴロするかを繰り返していたから、こんなチート状態になったらしい。

 

「それで、最終的に仕事に手を出す訳ね?このワーカーホリックが!!」

 

「もしくは、使い魔(省エネモードで)を呼び出してモフモフするかだな……部屋いっぱいに、猫が走り回る癒しの世界が出来上がるって訳さw」

 

そう言った師匠は、リンディさん達の方に視線を向けた。

 

「兎も角、リンディちゃんはそろそろ執務室に戻った方が良いよ?フェイトちゃんは、機動六課にかな?後、この施設は渡せないよ?こんな便利なGホイホイ……もとい、僕を危険視する馬鹿をホイホイする施設をそうそう簡単に引き渡すはずないじゃん!」

 

師匠にとって、この施設はクズな転生者をハントする為に必要不可欠なんだそうだ。その後も、師匠がリンディさんの執務室にコレを設置している訳やらを語り聞かせて、最終的にリンディさんとフェイトを丸め込んでしまった。

態と、付け入れる隙を開けて置いて漬け込んで来たら一網打尽にしてしまう為なんて言われたら何も言えなくなる。

まあ、リンディさんは最初からこの施設を取り上げられるとは思っていなかったらしいのでアッサリ身を引いてしまったが……フェイトは、最後まで粘っていたけれど。

師匠が、機動六課に襲撃して悪戯するとか言い出したらすぐに身を引いた。まあ、シャマルさんのポイズン☆クッキングのサンプル(?)をチラ付かされて脅されたら、誰でも身を引かざるを得ない。

 

しかも、何十種類も見せられて『どれが良い?』なんてニコやかに聞かれたら誰だって無言のまま身を引くだろう。

 

フェイトも、それの威力……料理に、威力もなにもあったモノでは無いんだけど……を知っているらしく青い顔をしていた。更には、俺の世界軸でのデザート1武道大会の様子を見せられてアリシアとプレシアに驚いていたけれど虹色に輝くカレー(シャマル作)を見てドン引き。

その後、行われた吐瀉物大会に口許を押さえていた。

因みに、模擬戦と吐瀉物大会の映像を見せたのは翼だ。

師匠は、終止様々な説明を分かりやすく説明していた。

最後は口止めをして、師匠は用があるからと先に部屋を後にする。

 

「はあ……平行世界の事は、聞いていたけど……実際に見せられると、納得するしかないわね。プレシアさんやアリシアさんが生きていたのは驚いたけれど……」

 

チラッと落ち込んでいるフェイトを見て、リンディさんが少し困った顔をしながら『俺達』を見てくる。翼が、リンディさんの視線に首を傾げるとリンディさんは小さく頭を横に振って秘密基地から出て行った。その後を追う形で、とても気落ちしたフェイトが秘密基地から出て行く。

 

「それじゃあ、私も次の仕事を貰いに行くわね?」

 

「ん?ああ。あ!仕事で思い出したけど、翼……局内で、サーチャー飛ばすなよ?」

 

「え?」

 

「お前が、支払えなかった罰金が俺や師匠の所まで来てるからな?リンディさんに師匠が一括で支払ってたけど……」

 

「……それ、二重取りでしょう!?私も支払ってるわよ!」

 

「違ーよ。正確には、お前が支払えなかった分をリンディさんが立て替えてくれて、それを師匠が支払ったんだ!」

 

「あ……ううっ……ごめんなさい……」

 

「まあ、師匠のは使い道がないから良いらしいけど……支払いが、滞るなら違反は控えてくれ……」

 

翼は、何故かショックを受けた様子で俯き消え入る様な声で『わかった』と了承してくれた。良くわからないが、翼はそれ以上何も言わずに秘密基地から出て行ってしまい……入れ替わる様に師匠が戻って来る。その際、師匠に『翼を泣かしたのはお前か?』なんて言ってくるから慌てて追い掛けたけど……翼は、近くにはいなかった。

 

「ヤバイ……また、やっちまった?」

 

何をやったかはわからないが、俺はまた翼を傷付ける様な事を言ってしまったらしい。

 

「えっと……罰金、立て替えたのが不味かったのか?」

 

普通なら、喜びそうなモンなんだが……全く、乙女心は複雑奇怪で理解出来そうに無かった。

 

 

 

 

 




ガイム、辞退してもOK?もう、知ってる人に丸投げしたくなってきたよ……フフフ(壊)。二個変身のパターンが多すぎて泣きそうだ。原作で無かったパターンは、諦めた方が良いかもしれない。もしくは、ヤっても変身できたよ的な感じで言葉を濁すやり方の方が良いのかな?つーか、言い出しっぺが書けば良いんだ(泣)!!超テキトーに、詳しくない人風に殺るか!?アイディアを出すから、変身パターンと必殺技パターンを助言してよ!?みたいな気分にwww諦めて、別のを追加しようぜ(大爆笑)ガイムは、手に負えないお話だったよ。諦めて、出来る範囲のお話を書くよwww
アハハハ(壊)!⬅ヤケクソw
やり方が、数パターンあるけど……詳しくない人が、書けるレベルのモノで掲載する予定で精度を諦めますwww
ヲタクレベルの精度を求めるのなら、専門の方々が書かれるコラボ系の方を読む事をオススメ致します。m(_ _)m

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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