絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一二八話

Re:

 

 

《神威》を解除して、通常の時間へと戻ると周囲から疑問と罵りの声が聞こえ始める。それは、段々ヒートアップして行って聞くに堪えない罵詈雑言が出始めると、切れた八神はやての怒鳴り声で静かになった。

 

「何で、はやてがここにいるんだ!?」

 

「僕が、連れて来たからだよ。お前達の真実を見せる為と、カレルとリエラを助ける為でもある……」

 

「お前は……俺達の邪魔をしている無限書庫の糞餓鬼か!?」

 

「邪魔をしているのは、お前達だろう?僕は、時空管理局を真っ当な組織にしたいだけだ。君等みたいに、自分達の都合の良い組織にする為じゃない……」

 

「ウルセェ!俺達は、似非神に騙された被害者だぞ!?だったら、少しでも良い思いをしたって許されるだろう!?それが、ダメだって言うのならーー俺達の思い通りにならない世界なんて滅んでしまえば良いんだ!!」

 

「……………………それを知っているという事は、裏特典にも気が付いているな?自分達が、主人公でない事も……この転生が、神々の遊びなんてモノでは無いことも……」

 

「ああ!ある天使が、教えてくれたよ……俺達が転生した理由も!何れだけ頑張っても、ハーレムなんて作れない事もだ!!」

 

「成る程。“天使”ね……認識阻害、もしくは神様特典を封じるスキルを持っている奴がいるんだな?それで、君は現実をしったのか?」

 

いずれにしろ、黄泉岸航は現実を知り【凌辱系転生者】の仲間入りをしたという事だろう。世界を無茶苦茶にする為に、その先駆けとして時空管理局を私物化しようとしていたんだと考えられる。そこへ、俺達がやって来てしらみ潰しを始めて計画が頓挫。しかも、自分達の足元まで迫って来る勢いで情報を掻き集められて……雲隠れしようにも行く先々に追っ手の影がチラホラ。逃げたくても、周囲を囲まれていて……最後の悪足掻きが、クロノ・ハラオウンの子供達を誘拐するという暴挙だった。

 

「残念だが、如何なる世界も誰か個人の私物にはならない。それは、誰もが知ってる真理だ。君達の我が儘で、世界を砕かれても困るのだよ……」

 

「そんなの俺達が知るか!?自由に出来る世界に、転生させてくれるっていうから転生したんだ!!それなのに、こんなの……詐欺だろう!?」

 

「そんな、夢みたいな世界がある訳無いだろうが?そういう話は、ゲームだけにするんだな……さて、君達の処遇だが【魂】の回収をさせて貰う……」

 

「魂の回収!?…………お前、《神殺し》なのか!?」

 

「ほぉう。“天使”というのは、ずいぶんお喋りなんだな……それで?『俺』を退治したら、何をくれると言っていたんだ?最強の『能力』か?それとも、新たな世界へのキップかい?ま、何にせよ『俺達』を【神様特典】で退治するのは不可能だぞ?何故なら、『俺達』は《神殺し》だからな。神々の神通力は、通用しない……」

 

「……くっ……化け物めっ!!」

 

八神はやての前だったけれど、黄泉岸航達との会話は終了。次の瞬間には、俺の足元を中心に部屋全体に及ぶ魔法陣を展開した。そして、一息に転生者達の【魂】を回収して残った脱け殻は八神はやてに引き渡す。

その内の何人かが、光の粒子となって消滅した。

 

「なんや、今の……人が、光に溶けてった!?」

 

「【魂】を回収したからな。残ってるのは、脱け殻だが間違いなく本人だ。……任せるよ」

 

「殺したって事か!?」

 

また、その話になるのか……。面倒なんで、それでも構わないのだが……回収された彼等は、新たな命を与えられ生前の記憶を封印されて転生しただけである。

それを、『殺した』と言われるのは心外だった。

 

「違う。これが、『俺』に課せられた任務だ。世界を歪ませ破壊しようとする者達の回収……だ」

 

「せやけど、本当に消えた人物もおるやんか!?」

 

「……だが、消えた者達は特殊な方法でこの世界に割り込んでいた奴等だ。消えても、支障はない……それに、そんな存在に好き勝手に人生を狂わされる者達がいた事を考えたら殺すも糞もへったくれもないよ……」

 

実際、この世界の住人に被害が出ているのは事実で、本来ならば死んでいないはずの人がいなくなっているんだ。

それが、どれだけの影響を世界にもたらしているのかわかっているのだろうか?

 

「…………そんなん……せやけど……」

 

「ギル・グレアム……彼もまた、その被害者だ。本来なら、まだ生きて生活していたはずなんだがな……」

 

「グレアム叔父さんが!?」

 

三年前の段階で、ギル・グレアムが高町なのは撃沈事件直後に死亡している事がわかっている。その分だけ、八神はやて……君達が、苦労したのは周知の事実だろう。

 

「未来を奪われた者がいたんだ。得体の知れない、人の姿をした怪物に……な?納得しろとは言わないが、僕の邪魔だけはしないでくれ……僕は、人類を護るのが仕事なんだ!」

 

「人類を護るのが仕事……」

 

「人類全体を護る為であるならば、人の一人や二人……殺してどうにかなるなら、殺すよ?それで、何万、何千、何億の人々が助かるんだ……考慮する必要も感じない……」

 

「そんなん!そんな事……せやけど……こんな……」

 

「免罪符にする気もないよ……いずれ、罰は下る。でも、それは今じゃない。今は、世界の歪みを取り除くのが先だ!」

 

「…………覚悟があるんやね?」

 

「……この存在になる時に、覚悟なんて決めたさ。お嬢ちゃん……君は、どんな覚悟で戦っているんだい?」

 

「ーーーせやったなぁ……ええよ。せやけど、アンタを許すことは出来へん。出来へんけど、今はそれで納得しといたる!間違っても、この世界の住人に手は出させへんで?」

 

なんか、余分な覚悟もしているみたいだけど……気にしない事にした。これ以上、こんな事に時間を裂いている暇はない。ウィンドを開いて、俺は管制通信を開いた。

 

「【凌辱系転生者】を一掃する!関係者各位を速やかに排除、または逮捕しろ!!派手に暴れて構わない。殺れ!!」

 

「ちょぉ、待ち!?今、何したん!?」

 

「時空管理局、及び地上管理局にメスを入れた。影の査察官及び、影の執務官の一斉摘発だ……元々、準備されていたモノだよ。三提督の許可は、貰っているから大丈夫」

 

「何処まで、用意周到やねん!?一体、何時からそんな事を準備しとったん!?」

 

「三年前から、コツコツと積み重ねて何とかこぎ着けた。大変だった。管理局の闇に気が付かれない様に動いて……証拠を掻き集めて、裏取りして、無限書庫の通常業務に加えて、執務官達の補佐までして、犯罪者の抑止や予防策の作成やら何やら…………疲れた……」

 

「おおぅ……」

 

裏工作等もしていたから、それはもう拡げられるだけ拡げてそこそこ根深く浸透していますとも。これが終わったら、しばらくはのんびりしたいところである。だが、事後処理もあるのでもうしばらくは忙しい日々が続くだろう。

 

「この後は、事後処理と……出来れば、新人の教育と司法取引で再更正プログラムを受けた馬鹿共の再教育等をして……ストライキ出来たら、したい……」

 

「え、えっと……それが、アンタの罪の償い方なん?」

 

「ああ!?別件に決まってるだろう!?その後、ちゃんと自首するよ?殺人は、重罪だからな!当たり前だろう?」

 

「あー、アカン。私が、思っとったよりちゃんと考えてた……え、えっと、十分やと思うんやけどなぁ……」

 

「お前と話す事はこれ以上何もない。捕まえたな?時空管理局に戻るぞ?ロォートに連絡、エイミィさんを時空管理局に連れて来い。戻って、先ずはカレルとリエラのメディカルチェックだ!」

 

『はいっ!!』

 

 

……………………。

 

 

妖精転移で、直接時空管理局に戻った俺達は、慌ただしく荒れる管理局内を移動して医療施設にやって来た。

シャマル先生にカレルとリエラを託して、一度診察室の前でエイミィさんを待つ。

しばらくして、エイミィさんがロォートと共に到着。

 

「双夜くん、ありがとう!!」

 

そう言って、飛び付いて来たのには驚いたけど……落ち着かせて、二人がメディカルチェックを受けている事を説明した。一応、念の為に再会は待って貰ってクロノんの事を聞きながら二人が出て来るのを待っている。

 

「って事は、どっかの次元空間にいるのか?」

 

「うん。直ぐには、戻って来られないんだよ……」

 

「いっそ、浮気していた事にして……男の気配をチラ付かせてみたら?思いっきり、慌てそうだけど……?」

 

「……フムフム。成る程……」

 

「ちょ、エイミィさん!?成る程や、あらへんで!?」

 

「あははは。冗談だよ……まあ、あんまり放置されるなら考えるかもだけど……今のところは、予定は無いかな?」

 

「残念。それじゃあ、『この人が、パパなんだよ教育』は?してるのかい?」

 

「あー……ノーコメントで…………」

 

スイッと視線をあらぬ方向に向けるエイミィさん。

それを見た八神は、焦った様子で何やら呟いていた。

 

「クロノくんに、ちょっとは有給を取った方がエエよって言うとかな……ホンマにっ!!」

 

俺とエイミィさんの黒い会話に、八神がついに耐えられなくなってきた模様。その後、メディカルチェックを終えた二人がエイミィさんに引き渡されて、仕事を切り上げてやって来たリンディちゃんと共に地球へ戻って行った。

リンディちゃんには、レティ提督と相談して纏まった休暇を(一週間程だけど)あげてリフレッシュしてくるように言って、その空いた穴には優秀な使い魔を割り当てておく。

今回の一斉摘発で、管理局の機能が一時停止してしまったので、その分を俺の使い魔と【鮮血の】が余ったからと送って来た自動人形でカバーする。

今回、導入された自動人形はザッと一千万体。

時空管理局の約四割が逮捕されたので、その穴埋めとして民間企業人材派遣団体という事にした俺達の配下が埋める形である。とは言え、これは一時的な処理であり……永久的な処置ではない事をあげた上で、人材の育成と更正プログラムを受けて戻って来た人材の再教育を終えたら、手を引く事を公約として宣言した。

 

「ぶっちゃけ、後二年で終わらせる予定……」

 

「早いわね……っていうか、二年で大丈夫なのかしら?」

 

「早く、のんびりしたい。牢獄で、マッタリお茶していたい……つーか、今からでも可!レティ提督……(チラッ)」

 

「拒否します。今、貴方を失ったら過労死する自信があるわ!だから、ちゃんと手伝ってね?」

 

「そんな自信、要らねぇー……つーか、遊びに行きたい……」

 

レティ提督を弄りながら、仕事をこなして行く。

今は、地上管理局を担当した使い魔からの報告書を読んでいた。それで、判明した事だが……地上管理局の地下に隠れていた最高評議会の脳ミソ共が既に死んでいた事が新たに判明する。どうやら、転生者達によって始末されていたらしい。それ以来、最高評議会は転生者が成り代わりレジアスを使って好き勝手したい放題していたらしかった。

その為、別方向の事件が大量に勃発していて、中々カオス的な犯罪が多数ある事がわかってしまう。

 

「あー……バイオハザードが、計画されてたんだ……」

 

翼やユーリが、また泣きそうな事件である。

それを研究していた世界は、住民や生物を避難させた後立ち入り禁止世界にする事になった。ちゃんと、メディカルチェックをクリアさせましたとも!

それによって、やりたくもない関係者各位に事情説明と、それの危険性を知らしめるマウス実験の報告などを提出するはめになる。中々、理解してくれなくて難儀したが……何とか、立ち入り禁止世界に指定する事が決まってホッとしたのも束の間、今度は別の世界で死霊軍団が発見された。

不死で、リビングデットで、ゾンビで、スケルトンな集団が、町で暴れているらしいというので出向いて行って、浄化魔法と爆炎系の魔法で焼き払い事なき事を得る。

そんな感じで、訳のわからない転生者が残した負の遺産と格闘すること二年。

その場のノリと勢い余って、ジェイル・スカリエッティも捕まえた俺は、偶々遊びに来ていた神崎にお叱りを受けていた。もちろん、正座させられて奴は仁王立ちである。

 

「何やってんですか!?勢い余ったって……ジェイル・スカリエッティまでも捕まえて……」

 

「あれは……ジェイルが、イケないんだ。僕の情報網に引っ掛かるから。段々、目障りになって来て……邪魔になったんで捕まえただけだよ!!」

 

「わかりますけど、やり過ぎです!」

 

「もう、原作とかどうでも良い。転生者がいるだけで、改編されている様なモノなんだから気にしない事にしよう!」

 

「俺の存在理由を、否定しないで下さい……」

 

「このワーカーホリックは、幼児後退化させといた方が良いんじゃない?」

 

翼がそう言った瞬間、ザワッ!?と無限書庫一般公開用の資料室内がザワめき立つ。何人かが、席から立ち上がり資料室から逃げ出して行った。

 

「翼。局員が怯えるから、そういう事は言うな……」

 

「凄い反応ね。貴方、何をしたの?」

 

「この二年間で、幼児後退化が二回程あったからな……」

 

「二回もあったのね……幼児後退化が……」

 

「恐怖の24時間が、二回もあったんだ……」

 

「そりゃ、怯えるわね……」

 

周囲に女性しかいないという環境は、油断していると幼児後退化する可能性が高い事を意味している。

そんな悩みをぶちまけていると、そこへフェイトの使い魔で幼い姿のアルフが通り掛かった。

翼は、アルフを見て調度良い所にとこちらへ呼んだ。

 

「何か、用かい?」

 

「ちょっと、双夜を幼児ーーー」

 

「ゴメンよ!急用を思い出したんだ!!」

 

アルフは、俺が幼児とだけ聞いて即刻逃げ出した。

それはもう、転がるように人の姿から獣の姿へと変身して、無限書庫一般公開用の資料室から走り去って行く。

 

「……………………」

 

「何したのよ……アルフに……」

 

「かじった。お腹空いた~って、ガブッと……」

 

『……………………』

 

それはもう、全力全開で怯えられている状態だ。

アレ以来、挨拶すら出来なくなるくらい避けられている。

謝る事も拒否られているので、現状を維持したままでなんの変化もない。全く、仕様がないので暇な時に弄る予定。

それと、もう一つ……最悪の存在が、覚醒した。

 

「ソウニャクン……ハァハァ……ソウニャクン、ワタシノダイスキナソウニャクン……」

 

黒化すじゅかママ降臨。

 

「何で、黒化してるんッスか!?」

 

「ユーリと僕が、デキてるって噂を信じ込んだ結果だよ……二年以上前に、無限書庫でからかった事があって……それが再黒化現象を引き起こす結果に……」

 

しかも、何故か男と女の関係を迫ってくるので困っているというのが現状だった。

 

「ペロペロ……ペロペロシタイナァ……イッショニ、オトナノカイダンノボッチャオウ?」

 

「スゲー……ヤバイ事、呟いているんですが?」

 

「神崎、タスケテ……」

 

「ヤバイわね……何で、こんな事になってるのよ!?」

 

「治らないんですか?」

 

「にゃおらにゃいんです……」

 

「幼児化しているわよ!?《ガタ、ガタタッ!!》みんな、素早く逃げて行ったわ……貴方の事だから、楽しいんじゃなくて?」

 

翼の『幼児化』と言う言葉に反応して、数人の局員が席を立ち逃げて行った。それを見送って、翼を見上げるが今の状況では楽しい訳がない。

 

「…………アリちゃ……」

 

「ゴメン。私には無理よ!」

 

ユーノ司書長に用事があったアリちゃに助けを求めるが、流石にこのアリちゃでは対応が出来ないと断られる。

だから、その隣にいた『なのは』に助けを求めてみた。

 

「……なにょはママ……」

 

「ディバインバスター、一発で戻るかな?」

 

『……………………』

 

『なのは』の一言に、誰もが言葉を失った。

そのまま、すじゅかママは『なのは』にドナドナされて行ってちょこっと本気の模擬戦をする事になる。正気に戻り、半泣きで抱き付かれたけど……もう、仕様がないと言うしかなかった。兎も角、『なのは』の洗礼を受けたすじゅかママはしばらくは問題無いだろうと思われる。

その後、はやて・フェイトちゃんと合流して管理局の施設を使って地球に転移した俺達は『鳴宮海沙姫』に会わせて貰った。彼女は、現在地球で普通に高校に通っている17歳の女子高生だ。自分が、【転生者】と呼ばれる存在である事を理解していて魔法も使えるという事だったが、戦いとかは嫌いな性分で『空を飛んでみたかった』と平和的な事を告げられた時のママ達の顔と来たら(笑)。

とても、困った表情で複雑そうな顔をしていた。

 

「それじゃあ、関わる気にはならないんだね?」

 

「ええ。そちらには、関わる予定はないわ……」

 

出来る事なら、ある程度距離を置いて避けていたいらしい。なら、中学の時にママ達に近付いた理由を聞いたら……下手に距離を置いて、逆にそれがトリガーになって時空管理局に引き込まれても困るからという事だった。

彼女は、二次創作系の話を知っていて……転生者が、何故か原作に絡まれる補整力みたいなモノを警戒していたと言う。神崎に聞いてみた所、そういう話は幾つかあったらしい。オリ主が、幾ら原作を拒んでもなんだかんだで巻き込まれて時空管理局に就職させられていたとかなんとか。

今のところ、大学までは進学したいらしいから無理な勧誘は避ける様にママ達には言い聞かせていた。神崎が。

 

「大丈夫だよ。管理局は、人権とその人の意思を尊重する組織だ。人手不足だからと言って無理な勧誘はしないよ」

 

神崎の言い含めの後に、トドメも刺して置いたから問題ないと思われる。八神はやても、同意していたしな。

 

「そう。だったら、安心ね……私は、これからも普通に生きて行くわ。まあ、空は時々飛びたいから見逃してくれてると有り難いわね……」

 

「あー……誰にも見付からんかったらエエやろう」

 

「簡易結界の術式を渡しといたら?そしたら、絶対見付からないよ?」

 

「あら……貴方は、とても好意的ね。もしかして、管理局の人じゃ無いでしょう?」

 

「無限書庫の住人と言えば、わかる?」

 

「ああ、成る程ね……学者か、探究家だったのね……」

 

「いや。無限書庫で、悪人共の弱味を握って脅かすのが僕の役割かな?さあ、罪を償って再教育だ!みたいな?」

 

「あー……そっちね。でも、歪んだ人達が簡単にまともになるのかしら?」

 

「そこら辺は、僕が持つアーティファクトの出番かな?」

 

「ビックリマンの十字架天使みたいな能力って言ったらわかるか?」

 

「誰でも、良い子になる弓矢でしょ?……え?そんなレベルのアーティファクトを持ってるの!?無敵じゃない……」

 

神崎の発言に、付いて行けるって事はそれなりにお歳を召していないとわからないんじゃ無いだろうか?

それを聞いたら、ネットで配信されていたとのこと。

そしたら、何故か話題が彼等の前世の話から俺の生まれた世界へとシフトした。神崎や翼、それに鳴宮の生前の世界は今いるこの世界に近い歴史と文明を持っていたという事だった。魔法や魔術は無し。

 

「それで、今よりちょっと前に魔法が介入しちゃった世界なのね?しかも、ごく自然に……」

 

「で、混乱治まる前に悪人が魔法を超利用か……最悪だな」

 

「混乱が、加速するだけして行ってるんも問題やな……」

 

混乱が治まっても、次々起こる怪奇現象や次元世界からの飛来物を上げて行くと、時空管理局みたいな世界は無かったのかという話題になった。

なので、エイスラミリオとマナ=命の話をしたらドン引きされる事に。ついでに、精霊憑依現象や寿命の長寿化等も芋づる式に説明するはめになる。

ハッキリ言って、面倒臭い事この上無かった。

 

「はあ……完全に、別世界ね……」

 

説明が終わると、涙目のすじゅかママに抱き付かれたり他の原作人物に哀れまれたりした。そのついでみたいに、神崎が俺の生まれと両親の事を大暴露してみんなが怒ったり呆れたりする事に。その後、使い魔の一人がやって来てアレまで公開されて、俺がブチ切れたらお開きになった。

 

「【愛を叫ぶ魔王】……ぷ、ぷぷっ……」

 

「管理局の【白い悪魔】よりかはマシだろう!?」

 

「ちょ、それどういう意味かな?」

 

「うっせぇ!この砲撃魔!!」

 

「別に、砲撃が好きで撃ってる訳じゃないよ!?」

 

『え?』

 

「え?」

 

『なのは』と周囲の認識が、異なっていたりとそこそこ楽しい時間を過ごし、鳴宮は『またね』と言って去って行った。今後、会えるかは不明だけど。

 

「善良な転生者でしたね……」

 

「善良というか、転生そのモノを楽しんでいる子だった」

 

「ああいう人もいるんやね……」

 

それは、黄泉岸航と比べての発言だろう。

あれは、悪辣過ぎた転生者だったからな。

ついでなので、彼等のその後も語っておく。

黄泉岸航は、転生者の魂が抜けて本来の人格が浮き彫りに。まあ、そこそこ自己中だけど悪人では無いのが出てきてしまった感が否めない。今は、更正施設に入っている。

リンカーコアがあるので、再度管理局に勤める事になりそうだ。他の一般転生者二人は、記憶有りの180度性格が反転して素直に犯行を認め裁判待ちをしている。

俺が取り押さえた奴は、ある程度の知識はあるけど経験関係がリセットされて赤ん坊状態になった。

赤ん坊状態と言っても、世間の一般的な常識は備えているので普通に生活出来る状態ではあるらしい。けど、エピソード記憶がゴソッと抜けた上に経験が無くなったので、何をしてもまず驚く。状態や状況を確かめたりと、色々してから動き出すのである。だから、あの様子では就職とかは厳しいと思われた。何せ、経験値が空っぽなのだ。

まずは、経験値を稼ぐ事から始めなければ就職先も何もあったものじゃない。リンカーコアはあるので、保護施設で幼児に混じって遊び方から始めているらしい。

 

「言語の問題は無いんだよな……経験と知識が、ちぐはぐだからその辺がどうにかなれば、直ぐに局員化するかも……」

 

とは言え、それが出来るようになるまではもう少し掛かると思われる。

その後も、事後処理に追われる日々の中、神崎経由で地上管理局に呼ばれた。ジェイル・スカリエッティ一味で、反抗的な態度をとる者達の処遇に対して俺のアーティファクトを使いたいと打診があったのだ。

手始めに、ジェイル・スカリエッティでその効力を試してみたところ……ジェイルが、ロリコン化した。

 

「何故だ!何故私は、幼女から造らなかったのだああぁぁ……そうすれば、愛らしい娘達をこの手に抱けたのにっ!!YESロリータNOタァーッチ!!」

 

抱いたら、NOタッチにはならないと思うのだが。

気が付いていないみたいなので放置する。

 

「とまぁ……あんな感じになります?」

 

「嫌ですわぁ~。あんな風にはぁ~なりたくありませんのぉ~。って言うかぁ~、下等なチビッ子にぃ用はありませんわぁ~」

 

とりあえず、ムカついたので蹴り上げて殴り飛ばして置いた。一撃で、腕や脚がお釈迦になっていたけどそれは耐久度が低すぎると、散々馬鹿にしてもう片方の腕を適当に握り潰して『ね?』と同意を求めてみた。

四番はその後、泣き叫んで悶絶して五月蝿かったので肩と下半身の痛覚神経を切って黙らせる。それ以降、四番は何も言わなくなった。いや、違うな。その場にいた、『ナンバーズ』全員が大人しくなったというのが正解だ。

兎も角、その場にいた『ナンバーズ』と一通り模擬戦をして何体か潰した後で、アーティファクト浄化を実行。

その結果、ウーノが大人しくおどおどした感じのおっとりお姉さんに。ドゥーエが、しっかり者だけど剽軽なお姉さんに。トーレは、そのままバトルジャンキーに。

セッテは、無口だけど素直で明るい子になった。

そして、クアットロは……ナンバーズのバトルスーツを着せたまま吊るし上げて写真撮影となる。

 

「止めて!!お願いだから、この姿の私を撮るのは止めてぇ~!!」

 

「ピチッピチのボディースーツ……黒歴史撃写!!最大にまで引き延ばして、プレゼントしてあげるね?あ、因みに請求書はジェイルに送っておくね?」

 

「いやぁ~~~~!!!!」

 

「私と戦いたい奴はいるかぁ!?」

 

「あらぁ~?そこの、イケメンさん。私と付き合わない?」

 

「……………………(オロオロ)」

 

「くぅうぅぅぅ……幼女……幼女が、良いんだぁ!!!」

 

「何だ?このカオス……………………」

 

その呟きは、混沌に呑まれて消えて行った。

 

 

 

 

 




ジェイル一味のイメージは、イノセンツのジェイル家族を元にしています。ジェイルは、ロリコンにしたけど……ww
その方が、とても平和だなぁ……って思ってww伏……。
それじゃあ、stsを始めようか?

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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