絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一一九話

神崎

 

 

師匠達が、親を名乗るすずかの話を聞き終えた頃、テオルグさんとラヴォルフさんの扱きを終えて俺は戻って来た。

師匠達が、歓談しているところに割り込んで話に加わる。

 

「あ、お疲れ様です……」

 

すると、秘密基地・住居区の奥から一人の男が広間の方へと出て来た。この世界軸の何軸か前に、使い魔達に捕まって秘密基地内の住居区に放置されていた転生者だ。

名を、『鉄翼刀』という。

彼は、元いた世界に戻る事も他の世界に移住する事も出来ずに師匠が保有する秘密基地内で生活している。

当初、ヴィヴィオを誘拐したと思われていた彼は……裏特典による被害者で、何時も迷子になっているんだそうだ。

正常な特典は、まあ良いとして……それによって、派生した裏特典が散々なモノであるが故、翼に似た不幸な人生を生きる転生被害者の一人である。

負の裏特典の一つは、先程も述べた【迷い子】という特典。日常生活からして、まともに生活出来ないレベルの負の特典だ。ただ、本人の資質に悪運A+があった為に何とか生存しているという状況だが……師匠曰く、それがなかったら何処かでの垂れ死んでいたとのこと。

それと、もう一つが【受難S+】。

それはもう、様々な事件の巻き添えになるんだそうだ。

多分、ここに移住する事になった理由もそれが絡んでいると思われる。もう、彼を見ているだけで涙が溢れて仕方がなかった。

 

「…………ヤバイ。また、泣けてきた……」

 

「何で、俺を見て泣き出すんですか!?」

 

「だってなぁ……不憫過ぎる……」

 

「だな。次元漂流者として、ミッドチルダに流してやろうとしたら虚数空間に落ちるとか……」

 

「いつの間にか、姿が見えないと思ったら……下水で、巨大ワニに襲われてるとか……普通に、泣きそうだよ……」

 

「元の世界軸から、二番目の世界は……アレだったし……」

 

「止めて。思い出したくも無いわ……」

 

「ああ、俺がいる事にビックリしてた世界ですね?外は、リアル・バイオハザードだったし……あれは、ヤバかったです」

 

まあ、見た目的なモノは全然問題でも無かったんだけど……ゲームとかで、見慣れていたモノだったから。

だけど、リアル・バイオハザードは生理的な理由と嗅覚的な理由でダメだった。それはもう、常時精神攻撃状態で……特に、斬ったり殴ったりが完全に出来なかったのだ。

何故なら、斬ろうモノなら汚物が吹き出して周囲が腐臭で充満し……殴ろうモノなら、幾ら洗っても数日は腐臭が匂うという地獄が続くのである。

 

「アカン……気持ち悪くなってきた……」

 

「思い出すからよ。さっさと、忘れなさい……」

 

無理です。殴った時のビチャビチャ感が、どんなに忘れようとしても拳にこびり付いて消えて無くならない。

最終的に、師匠がSLBで町ごと薙ぎ払い処理。

リアル・バイオハザードが、起きる前の時間軸に行って元凶を排除し事なきことを得た訳だ。

原因は、時空管理局。ロストロギアではなく、ウィルスだというのに感染者を次元航行艦に連れ込んで、病院に連れて行き……そこで、爆発的に広がってしまったというオチ。

ウィルスなのに、ロストロギアだと勘違いしてしまったのが原因だった。更には、ウィルスに感染していながら次元を越えて避難しようとしてウィルスを別の世界へ持ち込み……そこでも、爆発拡散。

それの、繰り返しをした結果がリアル・バイオハザードという訳だ。危機管理が、成ってないと言えばその通りなのだが……なまじ、技術が発展しているが故に、ロストロギアとウィルスの区別が付かなかったと思われる。

 

「人命も大事だけどさあ……切り捨てる覚悟も、持って欲しいよね?まさかの人命救助拡散だなんて……」

 

「止めれ。思い出させんな……」

 

しかも、溜まったツケを払わされるかの様にループに次ぐループ。何度、RETAKEを潜ったか思い出すのも億劫だ。

特に女性陣は、途中から紫天の書に引き籠って出て来なくなるし……最後は、師匠と二人だけで事に当たった。

 

「そんなに、ダメな世界があったの?」

 

「ああ。兎も角、今度こそノンビリマッタリ過ごしたい気分だよね!!」

 

すずかの言葉を半分聞き流して、師匠は適当にカップ麺の蓋を開けていた。思い出した上で、カップ麺を食べようとする師匠に驚愕の視線を送りながらその挙動を見守る。

壁に設置されているポット……というか、湯沸し器にカップをセットして『注ぐ』のボタンを押す。

 

「あ、お湯注いじゃった……」

 

「流石ね……真似は、出来ないわ……」

 

流石、【鮮血の小悪魔】の研究所に涌き出したゾンビを処理した方である。何億という、動く死体を焼き払いながら目的のモノを回収して戻った事があると聞いた。

 

「双夜。そんなモノ食べなくても、家で食べれば良いじゃない。なんなら、私が作っても良いんだよ?」

 

「んー……それは、また今度でお願い。今は、【組織】が開発した新商品の方を試したいかな?食べて感想を報告するだけで、報償金を貰える逸品だ!」

 

「へぇ……そんな、アルバイトがあるんですか?」

 

「まあ、な。当たりのもあるけど……ハズレが多い上に、ヤバ気な商品が9割を占めてるけどなw」

 

「例えば?」

 

「リビングデッドの肉で、だし汁取ってみました!ゾンビラーメン!!とか……これが本当の触手ー麺とか?」

 

「いらないです。絶対、口にはしません!!」

 

「まあ、ネタ物が多いんだよ。不死なんで、死ぬ事は無いからな。やりたい放題出来るからな♪」

 

先程の話題からのこのチョイス、冗談だったとしてももう俺達に対しての精神攻撃をしているとしか考えられない。

翼なんか、顔を青くして口を押さえると自室へと走り去って行った。流石に、リアル・バイオハザードを体験した事のある良いとこのお嬢様の前でする話ではない。

 

「あー……まあ、食った事は無いんだけどな。そんなモノが、有ったのは事実で……食った馬鹿もいた訳だし……」

 

「いたんですか!?」

 

「報償が良かったんだよ。それを作った奴も、ネタだとハッキリ言っていたからな……」

 

「あ、ネタだったんだ……で?どんな味がしたんですか?」

 

鉄が、ゾンビラーメンに食い付いた。

それはもう、興味津々である。

 

「お?食い付くねぇ……まあ、僕がいなかった頃の話なんでデータ残って無くて……でも、気になったんで調べたw」

 

「フムフム。そ、それで!?」

 

「食中毒で、三人病院に搬送された事がわかって……w」

 

「三人!?三人も、挑戦してたんですか!?」

 

師匠の前振りに、全力で食い付いて行く鉄。

あんな風に食い付かれたら、楽しいだろうなぁ……と、師匠を見ると、邪悪な笑顔でそれはもうとても楽しそうに語っていた。

 

「ちゃんと調べて、本人達に話を聞いたよw」

 

「おおっ!!そ、それで、どうなったんですか!?」

 

「全体的に腐食臭多。汁・麺、いずれも食えなかったって。汁を口に含んだ所で、鼻に突き抜ける腐食臭に生理的嫌悪感を刺激されて吐き出し嘔吐。麺も似たような感じで飲み込め無かったという報告を上げたそうだ……」

 

「ぶぁははは!馬鹿だ!馬鹿過ぎるっ!!あははは!!」

 

聞いているだけで吐き気を催して来て、翼と同じ様に口を押さえて自室に戻りたいという欲求が大きくなる。

 

「牛乳入れたら、マイルドになったんじゃないですか?」

 

「止めれ。そんな事言ったら、本当にやる可能性があるんだぞ?ああいう没ネタは、封印させるのが一番だ……」

 

「えー?そうですか?」

 

「……そんなに言うなら、お前食ってみるか?」

 

「ごめんなさい。それだけは、勘弁してください……」

 

興味津々だった鉄が、師匠の質問にペコリと頭を下げて断る。それで、その話は終了となり今度は師匠が手に持つ新商品へと変わって行く。それで、その商品の名前は?

 

「ジャジャン!万人に受けないシャッキリポン!な味……」

 

「わからねぇよ!?」

 

「妖怪小豆洗いが、端正込めて作りました!」

 

「妖怪が作ったんだ……」

 

「面白そうね……ねえ、それ私達にも頂けるかしら?」

 

「ちょ、お姉ちゃん!?」

 

「お嬢様!……とは言え、確かに興味はあります……」

 

「師匠。俺も、良いですか?」

 

「あ、俺も俺も!」

 

「…………まあ、材料も人間が食べられるヤツ使っているみたいだし……大丈夫みたいだけど、本当に?」

 

『是非!!』

 

という訳で、俺達は妖怪が作ったというソレを試食する事になった。で、出来立てホヤホヤをみんなで試食する。

ユーリは、先程のゾンビラーメンの話がまだ影響しているらしくソレの試食を拒否。見ているだけとなった。

そして、俺達はほぼ同時にソレを試食する。

 

「……………………不味い?」

 

「そうね。万人に受けないってのは、間違いないわ……」

 

「はい。味も形容しがたいモノで間違いありません……」

 

「無理矢理表現するなら、シャッキリポン!って感じですかね?これが、妖怪の味覚なのか……」

 

全員が全員、それぞれの感想を言う中、師匠は真剣に商品の価値を評価し始めた。

 

「結論、不味い!以上。リピーターは無いけど、度胸試しの逸品となるだろう。製造もそこそこで切り上げ、一発モノにして一般からの声があれば少しずつ追加する、かな?」

 

『おおっ!?』

 

「師匠が、ガチな意見を言ってる……」

 

うっかり、口を突いて出てきたのはそんな感想。

しかし、師匠は気にした様子もなくコンソールを呼び出すと軽い様子で報告書を纏めてしまった。

 

「大体、そんなものだよ。そりゃ、超高級品でだし汁取った成金ラーメンの時なんか、『売れる!!』って意気込んで作ったのに全く売れず……全部、棄てる事になったからなぁ……カップラー麺一つ、500クレジット。あっちは、物価が高いから日本円で三千円強から四千円弱掛かる」

 

『高っ!!』

 

高いってか、【組織】は一体何を求めてそんな商品を開発しているのだろうか?まず、俺はそこが知りたかった。

 

「成金ラーメン……ヤバイ!!」

 

「あるよ?食べてみる……って言っても、人間が食べられる内容物であれば良いんだけど……」

 

そう言って師匠は自室に戻り、しばらくして一つのカップラーメンを手に出てきた。

 

「問題ないみたいなんで、お湯入れるな?」

 

「おふぉっ!ヤッター゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚!!」

 

師匠の言葉に、大喜びの鉄翼刀。

まあ、俺も似たような心境なので何も言わないでおく。

そんな感じで、俺達はフレールくん達が情報を集めて来るまでノンビリまったり過ごす。

成金ラーメン、大変美味しゅうございました。

 

閑話休題。

 

 

 

「さて、フレールくんは職務を全うしてくれたので……僕は僕の職務を全うしてくるよ。即ち、転生者の情報を最後を僕が補完します。転生前の名前とか、能力とか性格とかwまあ。多岐に渡りますが……」

 

そう言って、師匠は研究室に籠り……フレールくん情報にある穴を埋めて行く作業に入った。

そして、出来たのが一つのファイル。

その内容は、鉄がドン引きして人権侵害を訴え出す様なモノ。しかし、師匠の鶴の一声で鉄は黙り込んでしまう。

それには、俺も沈黙。師匠は、ニッコリ笑顔で『死ぬ前なら、人権侵害だね?』と言い切った。

死んで、転生したら別人なので関係ないらしい。

なら、今の分だけでも訴えてみようかと言ってみると。

 

「君達、一体何処に訴えるつもりなのさ?僕達に、この世界の住民権は無いんだよ?訴えたら、不法入国って事で逮捕されるだけだと思うんだけど……」

 

『なん、だと!?』

 

鉄と共に、似たようなリアクションを取って最終的にorzの形に持っていく。本当に、ノリが良い青年だった。

 

「神通力で、無理矢理権利を捏造している訳だから、ガチで調べられたら不具合が生じるのが転生者だ。両親がいて、そのお腹の中から出たと言う通過儀礼を行っているならまだしも……ここに書いてあるだろう?突然出現って、これ結構ヤバイ方法で無理矢理捩じ込んでいるんだよね……」

 

「あ、俺も突然出現だ……残念無念……」

 

「ご都合主義で、何とかなっているんですね……」

 

「いや……ご都合主義じゃなくて、未成年だから何とかなっているんだよ。日本は、厳しい国ではあるけれど人情に溢れた国でもあるからね……」

 

『そっち!?』

 

俺達が子供で、身寄りがないから見逃されていた事なんだと師匠は語った。それに、税金も律儀に納めていたのなら文句も言われないんだそうだ。

 

「アルバイトして、収入を得ている訳じゃないからね。何処から、お金が涌いて来るのかには不思議に思うだろうけど……支払うモノを、ちゃんと支払っているなら行政は何も言っては来ないよ。通報が、あったりすると別だけどwどれだけ不思議でも、一人暮らしで頑張っている子供を通報する奴はいないよ?」

 

「知らんかった……」

 

「薄氷一枚の世界だったのか……」

 

「うん。それに、成人したら晴れて正式に日本人だ。まあ、その前にミッドチルダに移住する奴もいるから問題にもならないし……」

 

「なんか、色々すいません……」

 

鉄が、とても素直に謝った。踏み台だった俺は、彼よりももっと罪悪感が大きい。色々思い返してみて、自分の行いを鑑みると、やらかし過ぎていて本当に死にたくなった。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 

溢れ出てくる言葉は、謝罪の言葉のみ。

俺、もう……行政を馬鹿に出来ない。

 

「……過ぎた事だし、もう時効だよね!とは、言わないんだな……」

 

『どんな、畜生だ!?』

 

「もう、俺は踏み台じゃないんですよ!?」

 

「え!?神崎さん、踏み台だったんですか!?」

 

『踏み台(よ)だ』

 

「ちょ、月村さんまでぇ!?」

 

師匠は良いけど、月村さんに言われると心が折れる。

そりゃ、まだ踏み台で師匠に会ってはいない別軸の俺の事を言っているんだろうけど……それが、俺である事は間違いないので仕方がない事なんだろうけど。というか、あるぇ?だったら、師匠と俺が会ったのはTAKE3からと言うことになりません?

 

「師匠。師匠と俺が、初めて会ったのって……TAKE2からでしたか?」

 

「……………………ああ。僕が、切り捨てた世界は完全に消滅したから数には入れてないだけだよ?正確には、TAKE3だね。でも、無い世界は数に入れない方が良い」

 

「TAKE1や2は?消滅したんですよね?」

 

「厳密に言うと、完全には無くなってはいない。空間や次元という、単体であるなら残っているよ?」

 

「……………………」

 

残りカスは、残っているとのことだった。

人が住める世界は無くて、宇宙や空間といったモノはあるんだ。時間さえあれば、元に戻って行くのだろうか?

 

「戻らないよ?僕達が、手を加えたなら別の世界を創れるだろうけど……そうだね。空のフォルダみたいなモノだよ」

 

すごく、わかりやすい例えが来た。

成る程。空の、フォルダみたいな感じになるのか。

 

「じゃあ、切り捨てた世界は完全に削除されたフォルダなんですね……恐いなぁ……」

 

「まあ、師匠だし……仕方ない」

 

「うっかり、納得しそうになった……」

 

「師匠だから、仕方ない」

 

「反則ですよね……神様事態が、参戦してるなんて……」

 

「神様じゃないよ?」

 

「似たようなモンでしょう?」

 

「違うよ?僕、高次元から来た訳じゃないし……」

 

「…………でも、高次元精神生命体なんじゃ……」

 

「その上に、超・極・伝説・無限と次元があってね?僕は、極次元の存在なんだよ……」

 

高次元の上があるのか……つーか、スーパー・ウルトラ・レジェンド・インフィニティ-の順らしい。

カードのレアレベルみたいなモノがあるんだそうだ。

 

「何処のカードゲームだよ!?」

 

「君等が、ノーマルやレアで争っている所へ……突然、ウルトラレアカードが攻めて来た感じ?薙ぎ払うぜ!!」

 

『止めてください!!』

 

「もう、良いんじゃない?そんな話、私としてはそのファイルが気になるんだけど……」

 

月村姉の指摘で、俺達は本来の目的に戻ってファイルの中身を確認する。鉄には、何か気になっても後にして貰えるように言ってから俺も確認した。

 

「あ!スリーサイズまであるんですね!!」

 

「ちょっと、黙ってろよ……お、巨乳だ……」

 

「クズめ……兎も角、アリサと話をする必要があるだろうな。とは言え、僕はまずヤらないとイケない事があるからアリサは後回しにする必要があるかな?」

 

「ヤること?」

 

「時空管理局に話を付けて来る。じゃないと、犯罪者としてブツかっちゃう可能性があるから……」

 

とりあえず、師匠の方針は俺等が何をしても管理局には不干渉でいて貰いたい的な条約を結んでから行動すると言う事だった。それは、俺達にも関係のない話ではないので願ったり叶ったりだ。

 

「じゃあ、師匠は管理局の方をお願いします。俺は、このお金を増やして来ますので……ちょっと、街に出ますね?」

 

「うん。わかった……くれぐれも、変なことするなよ?」

 

「しませんよ!?」

 

師匠の心配事は、わかっている。俺が、原作人物に会ってナンパみたいな事をすると思っているのだろう。

 

「…………あのぉ、増やすって……どうやって?」

 

鉄の質問。まあ、お金を持って出掛けるのに『お金を増やして来る』何て言われたら……誰でも疑問に思うだろう。

だがしかし、俺ならばお金を持って出掛けるだけでお金を増やす事が可能なのだ。

 

「簡単だよ。黄金律で、ウッハウッハ(笑)。面白いくらい、儲かるぜ?」

 

「着いて行っても!?」

 

「邪魔すんなよ?」

 

という訳で、俺と鉄は街に出掛ける事になった。

月村家の紹介で、リンディさん宅に向かう師匠達と別れて俺達は街へ向かう。目的地は、パチンコ屋だ。あそこが、一番効率が良い。その後で、競馬や競輪等をしてガッツリ儲ける。

 

「そんな金額、当てた事無いですよ!?」

 

「ふふん。楽勝楽勝~♪」

 

過去の栄光を語り聞かせながら、俺達は最近オープンした所ではなく長年溜め込んでいそうな所に絞って入っていく。要は、頬に傷がありそうな人がヤってる店。

上手く行けば、更に大きな額になるのである。

俺は兎も角、鉄もそれなりに戦えるそうなのでセットアップしても衣服が変わらないBJにして貰ってから突入した。【ヤ】が付くお仕事をしている方々は、潰して良いと師匠から太鼓判を貰っているので気兼ね無く殺りやすい。

社会貢献にも繋がるし、アカン方の至れり尽くせりだ。

そして、俺達はアカンヤツの方に辿り着いた。

 

「アカンヤツだな……」

 

「アカンヤツですね……」

 

「じゃ、行こか!」

 

「はい、いきましょう!」

 

店の前に、高級自動車と頬に傷のある厳ついおっさんがアロハシャツにタバコ加えて立っているのを確認して、俺達は店に入って行った。二時間後、店が傾くくらい玉やコインを出し尽くして今は怖いアンちゃん達に囲まれている。

 

「ふ、不正行為はしてないぞ!?」

 

「そ、そうだ!これは、正当な報酬だ!」

 

ちょっと、ビビってる風を装いながらお金に換金した後でアンちゃん達と対峙する。アンちゃん達は、慣れた感じで俺達の羽振りが良いから、ご相伴に預かりたいという旨を伝えてきた。即ち、かつ上げ。

馬鹿さ加減が、良い線逝っていて逆に好感を持ってしまう。すると、隣の鉄が小さな声で『セットアップ』と言ったので臨戦体制は整ったと考える。

 

「すいません。頭の悪そうな、クズにくれてやる金は無いので帰って貰えますか?」

 

「ああっ!?」

 

「イケる?」

 

「殺さなければ良いんですよね?」

 

「にぃちゃん達、何生意気な事言ってんのy……」

 

下から上に向かって、一人目の顎を撃ち抜いた。

体重が軽かったのか、一人目は割りと高く打ち上がる。

それが、合図になって俺と鉄は【ヤ】の付く商売の方々(?)を蹴散らした。

 

「雑魚でしたね!」

 

「ただの粋がっているゴミだったな?」

 

兎も角、その場に居続けると警察の厄介に成りかねないので、そそくさと逃げ出して次のお店へハシゴする。ここら辺のシマは、さっきの奴等と同系の元がやってる店みたいなので……ここでも、荒稼ぎして舎弟を蹴散らし別の店へ。

 

「ヤバイ!楽しくなってきた!!」

 

「スリル満点で、お金も稼げる……しかも、一回のみの荒稼ぎだからな!手配が回って来るまでは、ヤりたい放題だ」

 

その後は、出来るだけヒャッハーして資金をかき集めた後、【ヤ】が付くお仕事の大本をプチッとしてから帰宅した。ちゃんと、人をダメにする薬を扱っているのかも確認してから潰しましたよ?古い体制というか、カタギの方々に迷惑を掛けていない系の【ヤ】さんには手を出してはイケない事になっているので。白いのや葉っぱを扱っている所は、問答無用で吹き飛ばしても良いらしい。理由を聞くと、抑止力的な存在になっている事もあるらしいから。

兎も角、【ヤ】の付くお仕事を潰したは良いけど、白い粉の処分に困ったので師匠に必要かどうかを聞いたら【阿片】なら欲しいと言われる。どうも、睡眠薬とか麻酔薬が作りたかったもよう。何に使うのかは不明だけど、ストックがかなり前から心許くなっているそうだ。

白いのに関しては、焼き捨てるか埋めろという指示を貰ったので富士山の火口に投げ捨てた。誰もすき好んで、火口の中に取りに行く馬鹿はいないだろうという予想の元の行動だ。因みに、そんな右斜め上の事を言い出したのは鉄。

コイツも、割りと正気度が薄いので俺達向きではある。

秘密基地に戻る前、少し気になったので師匠がいた【組織】にはそういう人をダメにする薬を扱っていたのか聞いてみた。すると、だいぶ沈黙した上で師匠は【ハワー】なるモノがあると言った。ただし、人をダメにするのかはわからないそうだ。お香というか、アロマテラピーに近い使い方をするらしい。良くわからないが、【ブラック・ハワー】という種類と混ぜて使用すると効能が上がるとか何とか。

現物を見ていないので、ハッキリした事は言葉では理解不能のモノだった。

【ヤ】の付くお仕事を潰した際の鉄の実力だが……確認した限りでは、可でもなく不可でもなく《神殺し》である俺等の中では最弱と言われるレベルだったと報告しておく。

魔導師としては、中の上程度だろうか?師匠が、訓練校に入れられた時に育成していた『小修羅』達よりも少し下のレベル。師匠に鉄を育成する気があるなら、陸戦で敵なしレベルには成れると思われる。本人のやる気と、師匠のやる気次第だが今から頑張れば一流には届くだろう。

ただ、本人がどの世界軸で残るのかが不明なので断定は避けておく事とする。まあ、微妙に『不幸だ……』を口癖にしていた某ツンツン頭に似た感じなので、もう少し俺達と行動を共にすることになるかもしれない。

 

「いやー、これでお礼参りとかされたら洒落にならないですよねー?」

 

「そこら辺は、認識阻害で顔をわからなくしていたんだ。問題は無いだろう……」

 

「え!?認識阻害……き、聞いてないですよ!?」

 

「そうか……しばらくは、出歩けないな……」

 

真面目な顔をして、彼の肩をポンと叩きその場から離れていく。つーか、俺も認識阻害していないのでほとぼりが冷めるまで外を出歩かない予定。

ヤベェ……完全に忘れていたよ。認識阻害!!

月村さんに頼み込んで、庭で修行をさせて貰えるか聞いてみないといけなくなった。秘密基地の迷宮区で、鍛練しても良いけど……下手をすると、食事時に戻って来られなくなる可能性が高い。本当にどうしたものか……。

背後から、聞こえてくる悲痛な叫びを聞きながら俺は自室へと戻って行くのだった。

 

 

 

 

 




連れて来ちゃってた!『鉄 翼刀』!wwww
秘密基地に放り込まれてたから、気が付かずに別の平行世界にwwwあーあ、ついに行方不明者が出ちゃったwww
【受難S+】つったって、限度があるだろうに……。
兎も角、神様転生の被害者で裏特典に悩む青年です。
バイオ・ハザードネタは、うん……書きたく無くなったので、止めた。このネタは、ヤバイww 後、【組織】のネタモノがアレ過ぎるwwww成金ラーメンは、食べてみたいかな?
神崎の資金集めは、いつもあんな感じww作者は、パチンコしませんが……競馬も競輪もモータースポーツもしませんがw
こんな風に、資金を集めてるんだよー?という風景を書いてみた訳ですww

ここ数日、アホな事をしていた私w
久しぶりに、本屋に行ってライトノベルコーナーを物色。
面白そうな小説を見付けるけど、全部二巻からしか置いてない状況。私は、一巻から読むのが礼儀だと考えているので諦める事に……まあ、そこで『あ、コレ……原文がネットで読めるんじゃねぇ?』みたいな思い付きをした訳よw
で、探してみたらあったからお試し感覚で読む事に……。
しかし、私には悪い癖があって……一度、読み始めると続きが気になって読み続けるという悪癖が……w
結果、一つ目の物語を1日程徹夜して読み終えた後、もう別物語に手を出し再度徹夜を実行w(2日徹夜)……力尽きるまで読み続けてました。
もちろん、GWだからお休ーーな訳もなく、仕事ありで徹夜ですwww死ぬかと思いましたwwwww

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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