絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一〇三話

双夜

 

 

500mlのペットボトル級カートリッジをロードして、ディバインバスターモドキを穿ち放った日の夜……ガジェットドローンが出現し、なのはママ、フェイトちゃん、ヴィータちゃんが出撃して行った。

その後、暇だった俺は偶々食堂で夕食をしていたデバイスマイスターのシャリオ・フィニーノにある事を質問する。

元々、それなりに知られている事なのでシャリオも『ま、良いか……』と教えてくれた。その話を聞いていると、スバルが寄って来てティアナやエリキャロまで来ちゃったのでみんなに教訓として語り聞かせて貰う事になる。

 

「じゃあ、なのはさん……魔力を完全には使いきれないんですか!?」

 

「うん。そうなんだ……それもね?」

 

PT事件や闇の書事件等の話を聞き、更にはなのは撃墜事件へと差し掛かると全員が静かに沈んでいく。

 

「ティアナ達、さっきの出撃の際連れてって貰えないって駄々捏ねてたけど……ホテル・アグスタ後だから、強制休養何じゃない?まだまだ、半人前扱い(笑)」

 

『ぐっ…………』

 

調度良い感じで、弄りネタをGETしたので即行で使ってみる。それに対して、ティアナ達の反応は悔しげだった。

 

「それで?なのは、何%落ちちゃってるのかな?」

 

「うん……大体、7%くらいかな?」

 

「7%!?ほとんど、一割じゃないですか!?」

 

「無理と無茶の代償かぁ……ティアナ達も気を付けろよ?特にスバっちは、突っ込み過ぎるきらいがあるからなぁ……」

 

「うっ……気を付ける……」

 

スバルが、少し反省した様子で落ち込む。

だが、今後の行動に変化が起こるような落ち込みではないので、俺は全力撃沈が必要かもと考えていた。

 

「それにしても、何でこんな事が気になったの?」

 

当然ではあるが、シャリオはそこら辺が疑問になったみたいだ。隠す事は隠すけど、差し当りの無いことは話す。

 

「うん?ああ。話事態は、無限書庫の記録で知ったんだけど……実際に何%かってのは記載されて無かったからかな?で、中途半端な情報だったんで完全にしとこうかと……」

 

「ああ、成る程ね……だったら、本人に直接聞けば良いじゃない?」

 

「本人を目の前にすると、弄りたくなるので……」

 

「…………前々から思ってたんだけど、双夜くんはなのはさんの事嫌いなの?」

 

「そんな事ないよー?ただ、近くで見てると彼女の欠点が色々目に付くから……例えば、ティアナ達ともっとお話しなきゃならないのに、コミュニティー障害でもないのに近くにいるからって放置しちゃってるしー?」

 

「例えば、どんな事を?」

 

シャリオは、苦笑いしてから例えを聞いてくる。

それを受けて、んー?と考えながらティアナ達の教導を見てわかる事だけを言ってみた。

 

「ティアナ達の最終到達地点に対する予定習得魔法技術とか?ティアナには、収束魔法を習得させてやるぜ☆!みたいな?」

 

「ムリムリムリムリ!!」

 

【スターライトブレイカー】習得を目論んでいるのでは?というと、ティアナが両手を前に突き出して頭も同時にブンブンと振り回して否定する。

だが、あの人の事だから考えている可能性は大だ。

 

「収束魔法なんて……絶対無理!!」

 

「いやいや、間違いなくティアナはブレイカー魔法を習得させられるね。ここ数年内には、確実に!」

 

「う、嘘よ!私が、収束砲!?」

 

「あの人の卒業式は、多分そんな感じ(笑)。頑張れ、ティアナ!僕は、応援しているよ!いやー、魔法が使えなくて良かったぁ……結構、無茶振りだからなぁ。管理局の白い悪魔の弟子はブレイカー使えないとダメとか(笑)」

 

「ちょっと、難易度上がってない!?私が、なのはさんの弟子!?ブレイカー魔法が、卒業の証!?」

 

食堂のテーブルに突っ伏して、ティアナがショートしてしまった。頭を抱えて、唸っている。

 

「次は、スバルなんだけど……スバルは、まず何をしたいかにもよるかな?今のところ、あの人の理想はどんな事にでも対応できる万能的ポジションにスバルを持って行きたいって感じじゃないかなぁ?」

 

「えっと……?」

 

ティアナの場合は、最初から執務官希望なので向かう先と習得させたい魔法技術が決まっているけれど、スバルは何になりたいとかの希望を言ってないので『どうするか』の段階で『とりあえず』的な意図しか感じれなかった。

 

「基本的に、教導ってのはそれを受ける側の将来的ビジョンに従って行われるモノだからさ……ティアナの場合は、執務官って本人も言っていたから明確なビジョンの元教導してる感じだけど……スバルは、何になりたい?」

 

「ええっ!?ちょ……じゃあ、本当に収束魔法を習得しないとイケない訳っ!?」

 

俺の言葉に反応したのは、ティアナだった。

真っ青な顔で、SLB習得が必須事項になってしまった事を嘆いている。

 

「大丈夫だよ。ちゃんと、言うことを聞いて訓練していれば……オレンジの悪夢なんて、言われるようになるから……」

 

「ちょっ!?」

 

ティアナが、本気で嫌そうな顔をして拒否をしてくるが、そういうのはなのはママに言って欲しい。

俺に言われても、どうにもできないから!

 

「楽しみだなぁ……管理局の白い悪魔と金色の死神に続いてオレンジの悪夢かぁ……順調に管理局が魔王の城になりつつあるんじゃないか?」

 

『嫌な話だ』

 

そりゃ、自分達が所属する組織が悪者扱いされるのは気分が悪いだろう。だが、うっかり納得してしまって二重の意味で気分が悪くなっているのが丸わかりなティアナ達。

まあ、その納得の理由には日々の教導が関わっているのは明白だろう。

 

「じゃあ、方向性を変えて……無限書庫には、勇者がいるらしい。ほら、ホテル・アグスタで考古学者な優男がいただろう?」

 

「ああ、なのはさんと仲が良さげだった……」

 

「そそ。僕の上司なんだけど……あの人が、白い悪魔に魔法を教えたらしいよ?とりあえず、ユーノ司書長には悪魔が暴走した時のストッパーでもして貰おうかな?生け贄的なポジションで……ブチギレ悪魔のSLBの餌食に……」

 

『本物の悪魔がいる……』

 

失敬な。ちゃんと、他の人達に被害が及ばないように避難誘導くらいはするよ!?実際問題、管理局が魔王の城である事は否定できない事柄ではあるけれど(笑)。

 

「兎も角、今からでも遅くないから将来のビジョンってものを考えてみたら?」

 

「双夜には、その将来のビジョンってのはあるの?」

 

「超広域次元犯罪者?悪戯のし過ぎで、ここにいるみんなから追い回されます……とか?」

 

『……可能性があり過ぎてヤヴァイ!!』

 

エリキャロまで、頭を抱えて悩み始めてしまった。

 

「もし、そうなった場合……君達で僕を捕まえられる確率は?」

 

「……無いわね。今の私達では……」

 

「瞬殺されるとしか……」

 

「ヴォルテールが食べられちゃう……」

 

「逆に壊滅させられそうです……」

 

「おいおい……」

 

とりあえず、彼女達にはまだまだ自信というモノが欠けているように思えた。これで、実は魔法が使えるんですとカミングアウトして蹂躙したらどうなる事やら……。

 

「貴重なお話……もとい、白い悪魔の黒歴史聞けたしお開きにするか!シャリオも悪かったな?折角の休み時間だったのに……」

 

「いえいえ。構いませんよ?あ、双夜くんの将来的ビジョンはなのはさん達にシッカリ伝えておきますからね?」

 

「にゃははは。その前に、ティアナがSLBの練習で誤爆とかしそうなんだけど……訓練場、大丈夫?」

 

「ぐっ!!ティ、ティアナさんは、そんな事しませんよね!?ねぇ!?」

 

「ユーノ司書長に聞いたんだけど、白い悪魔はSLBの誤爆やった事があるらしいよ?すんごい、被害になったってw」

 

「…………今度は、私を弄るつもり!?」

 

「さあ?なんの事かな?」

 

うふふふ。あははは。と、腹黒い交渉が開始される。

俺はティアナを使って、最新式の訓練施設を破壊すると提示して、シャリオはなのはママ達に通報すると言っている訳だ。通報された所で、痛くも痒くもないけれど面倒にはなるのでペットボトル級カートリッジを渡して今回は引き分けという事にしておいた。

 

 

閑話休題。冗談もそこそこにw

 

 

 

「それにしても、大きいですねぇ……」

 

シャリオが、両手でずっしりとした極太カートリッジを握っている。白い悪魔の話は、前振りだったので今は本題をぶつけてみた所。

即ち、カートリッジ型砲台の縮小化の相談である。

 

「その中に、エネルギー結晶体を突っ込もうかっていう案もあったんだけど……ロードしたら、間違いなく爆発するだろうなぁ~と思われたんで諦めた……」

 

「発想が恐ろしいなぁ……」

 

そりゃあもう、出来そうならやるっていうのが俺等の方針なので。あの【組織】でも、死な無きゃ問題にすらならないって風潮あったしなぁ……。

 

「死なない限り、何でもありだからな……リンカーコアを誰かから盗んで、突っ込むとか言った馬鹿もいたんだぜ?」

 

誰の発想かは、置いといて……そういう案が、あったのも事実なんだよね。ウチの奴等は、キチガイが多いから。

ただ、誰から盗んで来るのではなくリンカーコア精製魔法で造ったのを突っ込むという話だったけど。

 

「ちょっ!?そんな事、出来る訳無いでしょう!?」

 

「やる?なら、シャマル先生にシャマル特製印のポイズン☆クッキングを食べさせないと……で、倒れた所を洗脳して《旅の鏡》で適当な魔導師からリンカーコアを……」

 

「あー、可能レベルの話だったんだ。それ……って、犯罪ですよっ!!」

 

「大丈夫。足は、付かないようにするから!!」

 

「ちょ、ダメですからね!?絶対、ダメだからね!!」

 

はぁはぁと息を荒くして、シャリオは俺を止めに来る。

ちょっと面白かったので、そういう事件を起こしてみるのも一興だろう。

 

「調度、10年目だし……闇の書事件として、やってみようか☆あてっ!?」

 

「何の相談しとんや!?」

 

頭をさすりさすり振り返ると、激怒な八神はやてが俺の背後で仁王立ちして見下ろしていた。

どうやら、俺の頭をこついたのも八神はやてらしい。

 

「にゃ、にゃんでもにゃいよー?」

 

「嘘言うたらアカン!今、リンカーコアを盗む言うてたやろ!?しかも、闇の書事件にするとかって!!」

 

ここにいないのを、ちゃんと確認して言ったはずなんだけどなぁ……何で、筒抜けになってるのかなぁ?

 

「にゃ、にゃんの事かな?」

 

「ティアナが、通報してくれたんよ。せやから、全部わかっとんのやで?」

 

「にゃんだと!?」

 

グリン!とティアナ達の方を睨むと、『ひぃ!?』と小さな悲鳴が上がってキャロが逃げて行った。

 

「コラ!悪い事をしようとしたのは、双夜やろ!?」

 

「してないよ!?ちょっと、そういう案が出たって話だよ!!そう、世間話!世間話だよぉっ!!」

 

「シャーリー?」

 

「は、はいっ!!」

 

「ちょっと、双夜くん連れてくさかいな?構わへんやろ?」

 

「はい。ドーゾ、ドーゾ……」

 

シャリオの許可を貰って、八神はやては俺を引き摺って自室へと向かって行く。魔力で、腕力を強化しているらしくちょっとやそっとでは抜け出せなかった。

 

「にゃああああ……覚えテロよォー!?ティーアーナーァァァァ……ティーダァと毎日閉じ込めてやるぅー……」

 

「止めんか!!」

 

怨嗟の声を上げていると、またも八神はやてにこつかれた上に叱られる。しかし、今こそ俺の持つ情報網が役に立つ時だ。八神はやての急所を、ザックリ突き付けた。

 

「放せ変態!おっぱい星人!!彼女にしたくない女性No.1やからって……モテへんからって!こんなショタに唾付けて、逆源氏物語とかする気なんか!?」

 

大声で、食堂に聞こえるように叫ぶ。

それを八神はやては、慌てて止めにはいるが遅い。

 

「ちょ、止めて!私を貶める気かいな!?」

 

奴の腕を振り払って、俺は食堂に向かって尚も叫んだ。

 

「ああん!?貶めるも何も、ヴェロッサ・アコース引きいるワースト情報局壊滅させた頃……実際に計画してた話やないか!?もうこうなったら……って、自分好みの男に育て上げる逆源氏物語計画をーーー」

 

「止めてぇ!!な、な、ななな、何で知っとんねん!?」

 

「ふふふ。僕の情報網に引っ掛かったのが運の尽きさ!!モテない……結婚できない女性としては、至極真っ当な計画だったよね!!ただ、仕事が忙しくって男の子を探してる暇が無かったんだろう!?」

 

八神はやてが、あーあー張り裂けんばかりの声を出して俺の声を上書きしようとするがそうは行かない。

 

「んで、部隊を作った後……フェイトちゃんの養子のエリオを見付けて、この子で逆源氏物語計画をやろうとしたのも知ってるんだぞ!!」

 

「イーヤーアアァァ……ヤーメーテー!!」

 

「でもって、とある理由で断念したのもわかってるんだ!」

 

「ひぃいぃぃ……」

 

耳を塞ぎ、ギャーギャー騒ぎ始めた八神はやて。

そうしているだけで、十分恥ずかしい事にはまだ気が付いていない。黒歴史と暗黒計画を披露しつつ、八神はやてを追い詰めて行く。フレールくんに、拡声器を持ってきて貰ってそれを使い更に突っ込んでいった。

 

「…………ーーーそして、これがシグナムの胸でリアルパフパフをした時の八神はやてだあ!!」

 

そして、見せるのは……恍惚として、半開きになった口からヨダレを垂らす幼い感じの八神はやての映像。この世界軸のモノでは無いが、有効打に使えそうだったので使用。

言うまでもなく、八神はやては自身の変態画像に大混乱。

ついでに言うなれば、今俺達がいるのは局員が往来する機動六課のメイン通路である。

そこで俺は、八神はやてが日々ヴォルケンズに仕出かしている変態行為を事細かに来る人来る人に説明するのであった。八神はやても、心当たりがある為に反論できずに縮こまっている状態だ。なのに、もう一息で八神はやてにトドメを刺せたというのに、騒ぎを聞き付けてきたシグナムに俺は取り押さえられた。

 

「放せシグナムっ!!こいつだけは……コイツだけは、俺の手で…………!!」

 

「……………………」

 

「うふふ……よぉやった!シグナムっ!!……覚悟はええか!?この、糞餓鬼があぁ!!」

 

シグナムの援助を受けて、八神はやてが奮起。うっとうしいったらありゃしんない……って事で、彼女等的に最も気になるであろう事を言ってみる。

 

「そんな事ばっかしてっから、神林や黒織みたいな変態しか周囲にいなくなるんだよ!!君の将来は、アイツ等の誰かにめとられるんじゃないか?」

 

「グハッ!!」

 

八神はやては、ガックリと力が抜けたように膝を付き前のめりに両手を突いた。所謂、orzの形である。

 

「い、いややぁ……あんなののお嫁さんになんてなりとぉないんやぁ……!!」

 

「灰色の人生かぁ……毎日、あんな変態共の飯を作り夜の相手をしなきゃならないなんて……地獄だよなぁ!」

 

「止めてぇ!そんな未来、絶対こうへん……こうへんねやぁ!!」

 

如何に有利になったと思っても、相手に弱点を握られていれば有利不利関係ないって事が良くわかる瞬間だった。

 

「まあ、アイツ等の場合は恋愛系の認識阻害が掛かってて、現実が正しく認識出来ないだけなんだけどなぁ……」

 

「……………………なんやて!?それ、ホンマなんか!?」

 

「おやおや、僕をこんな風に捕まえて……その解除方法を聞けると思ってんのかな!?ねぇ、ねぇ、思っちゃっているのかな?」

 

「くっ……シグナム、放したり……」

 

解放された俺は、鼻で八神はやてを笑った後『教えてたまるものかぁ!!』と叫びながら走り去って行く。

一瞬、呆然としていた八神だったけれど……シグナムをけしかけて、追い掛けてきた。瞬動術と神速を駆使して、シグナムの手札を避け回っていたらあのバトルジャンキーが事もあろうにセットアップして魔法まで導入してくる始末。

 

「こっちも行くでぇ!フェイトちゃんのファランクスシフト……ファイヤー!!!」

 

何故か、八神もセットアップしていて大量の魔力弾を放って来た。自分に当たりそうな奴だけ受け止めて、他は気にせず放置。結果的に言うと、六課の隊舎が穴だらけとなっていた。

 

「あ!アカン!!クロノくん等に叱られるぅ!!」

 

「歩くロストロギアが御乱心だぁ!!つーか、下手くそぉ!!何処に向かって撃ってんの!?僕はこっちだよぉ?おーにさーんこーちらぁー手-の鳴るほぉおへぇー♪」

 

「こ、こんのぉ!!」

 

「あ、主……!?」

 

上下にたくさん、魔力弾が飛び交う中を適当に急緩つけて移動する。それだけで、八神の攻撃は当たらなかった。

 

「そんな、適当な照準で撃った所で当たんないよー?もういっそう、神林か黒織と寿退社した方が良いんじゃないーぃ?」

 

「するかあぁ!!響け、終演の笛ラグナ……」

 

ズゴゴゴゴゴ……と、白黒の光を杖にかき集めた所でピンクの極光が真横から八神を撃ち抜いた。

 

「やべっ!!」

 

「逃がさないよ!!」

 

即行で離脱して、逃げようとしたけどフェイトちゃんが目の前に回り込んで来る。しかも、瞬動術を使った直後だったので俺はフェイトちゃんの胸の中に飛び込む形で捕まってしまった。

 

「……っにょあママがよかったにょ~(泣)」

 

「え?」

 

フェイトちゃんが、俺の発言を聞き返しているがこのまま誤魔化しきる予定なので言い直したりはしない。

 

「神林や黒織に掛かってる認識阻害の話してたら、八神が力づくで聞き出しに掛かってきたのー!!」

 

「認識阻害?」

 

「そう。アイツ等、恋愛系の認識阻害が掛かってて、現実がちゃんと認識出来てないんだよ?って言ったら、八神が攻撃してきたんだよぉ……!!」

 

「……………………ちょっと、はやて!!」⬅怒

 

フェイトちゃんが、俺を胸に抱いたまま怒った様に八神はやてに詰め寄って行く。

 

「あ、フェイトちゃん!?」

 

「はやて、何で双夜を攻撃したの!?」

 

「へ?え!?ちょ、フェイトちゃん!?」

 

あるぇ!?フェイトちゃんの中で、一体どんな計算がされたのやら全くわからない。

だけど、先程の説明で助かるらしい。

 

「双夜は、尊や劔を何とか出来る方法を知っているかも知れないんだよ!?怖かったね?もう、大丈夫だから!!」

 

「にゃ?にゃにゃ???」

 

八神を置き去りにして、俺はフェイトちゃんに抱かれたまま訳もわからないままドナドナされて行く。

そして、行き着いた先はフェイトちゃんとなのはママの部屋。なのはママは、ティアナ達の方へ八神をドナドナしつつ行ってしまったらしい。多分、八神が側にいると俺が何も喋らないと思ったみたいだ。確かに、喋らないけど。

 

 

 

……………………。

 

 

 

俺は、ガラス張りのバルコニーがある側に設置されているソファーに連れて行かれて座らされた。

ココアで良い?と聞かれたので頷いたが、今フェイトちゃんは俺から離れてるんだから逃げれば良かった気もする。

兎も角、対面に座られてフェイトちゃんは聞く体制になった。尋問体制ではない。

 

「もう、ここには怖い人も邪魔する人もいないよ。さあ、その認識阻害について詳しく聞かせて貰おうかな?」

 

さて、どうしたものか……。なのはママと、同じ部屋で寝泊まりしている事は知っている。ここで、なのはママとの【愛の巣】繋がりで弄り倒しても良いのだけれど……それで、フェイトちゃんが解放してくれそうにもないのは目を見ればわかった。全く、あの転生者共はこの世界の住人に何してるんだろうか?

淹れて貰ったココアに口を付けながら、【真実の瞳】でココアの成分分析をする。まあ、毒が入っていても関係ないんだけど。つーか、この成分……媚薬?

 

「えっと……呪い?」

 

フレールくんを召喚して、フェイトちゃんに気が付かれないようにココアパウダーの入った袋を回収する。

適当に話ながら、別の使い魔に同じココアパウダーを注文して購入……フレールくん経由で、すり替えて何事も無かったかの様に振る舞うことにした。

 

「呪い?」

 

「呪いだよ。呪い。怨念とか、憎しみが凝り固まってある特定の方向性を得た術式に似たナニカ……」

 

神様特典に付いて来るのか、イケメンを願うと付いて来るのかはわからないが……いずれかを選ぶと付いて来る呪われた裏特典。まるで、自分に都合の良いように特定の女の子から好意を寄せられているかの様に見える事象。

全然全くヨクトメートルも心動かされてないのに、まるで自分に気があるかの様に見える呪いである。

 

「えっと、つまり……」

 

とりあえず、説明をしながらフレールくんを使って部屋の中を探索していく。バルディッシュには、気が付かれたくはないので数匹での探索になってしまった。

だけど、妥協はしないのがフレールくん達である。

 

「神林達から見たら、どれだけ嫌がって、嫌悪を露にしていても……まるで、自分に気があって、でも恥ずかしいから素直になれない恋する乙女風に見えてるんだよ……」

 

喋れば喋る程、フェイトちゃんが理解すればするほど、フェイトちゃんの様子が暗く落ち込んで行くような気がする。まあ、気がするのではなく本当に落ち込んでいるのだろうけど……段々、愉しくなってきてしまった。

 

「彼等からしてみれば、つつもたせみたいなものさ……」

 

「つつもたせ?」

 

しばらくすると、盗聴機発見の報せが入ってきた。

ヤヴァイ。六課は基本的に、セキュリティーが高い場所だったから後回しにしていたけれど……ここも、色々やらかされているみたいだ。

盗撮カメラ!盗撮カメラを探してっ!!

 

「気がある風を装って、ラブホテルに着いて行ったら怖ーいオジサン……この場合は、ヤクザ?が出てきて『おんどれ、わしの女に何さらしとんじゃ!?いてこますぞ!?』ってな感じで金品を巻き上げていくって犯罪w」

 

「してないよ!?そんな事!!」

 

「えっと、じゃあなのはん家のパパが『家の娘に手を出すのかい?』と小太刀二刀で脅してきた的な状態かな?」

 

「……………………調べたの?」

 

「ふふん。頑張ったよ?」

 

とっても、大人しくなったフェイトちゃん。

きっと、今言った様な事が昔あったんだね。

 

「ま、ぶっちゃけ……正しく、状況を認識できなくする為の呪いだからね。余程、イケメンに怨みがあったんじゃないかな?無差別に、イケメンの資質を持った者を呪いまくっていた訳だから……それを手にした者も、ブサメンだった可能性もあるんだよぉー……(捏造)」

 

「ある程度発達していて、遠くに瞬時に繋げられる通信的手段がある世界で……良い目を見ている者が、少なからずいる世界にはそういう怨念めいたロストロギアモドキがある可能性があるんだね!?」

 

違うけど。まあ、変態の情念はロストロギアと似たようなものでもあるから否定はしない。

 

「まあ、男共のそういった情念が希にそういう現象を引き起こすって話だよ?」

 

「それで?それを解除するには、どうしたら良いの!?」

 

フレールくんが、エアコンのセンサー部分に設置された盗撮用のカメラを発見したと報告してくる。

だから、どんなタイプなのかを調べて貰った。

電波型なのか、有線なのかをである。

 

「僕のレアスキルでバッサリ切り捨てれば良いんだよ」

 

「本当!?じゃあ、協力してくれるかな!?」

 

「……………………何で?」

 

ココアにもう一度口を付けてから、首を傾げて疑問を口にする。何故か驚いた様子で、フェイトちゃんが俺を見ていた。まるで、信じていたモノに裏切られたかの様である。

 

「今、僕ね?別の事で、手がいっぱいなんだ……」

 

この部屋を盗撮・盗聴していた輩を探すので手いっぱいなのである。だから、転生者のスキルをブレイクしている暇はない。犯人を見付け出して、必要なら記憶を……。

 

「ごめんだけど、他を当たってくれるかな?」

 

「ーーーちょっとの悪戯くらい、見逃してあげるよ!?」

 

瞬間、持ち上げ掛けていた腰をソファーに戻す。

 

「うーん。どうしようかなぁ……♪」

 

「あ、この前買い置きしておいたお菓子もあるんだよ!」

 

フェイトちゃんが、すくっと立ち上がって戸棚からクッキーの入った缶を持ち出してきた。

フレールくんは、もうこの部屋にはいない。

盗聴機や盗撮カメラが、電波式でしかも一キロ程度しか届かないモノだとわかったのでその辺りをローラー作戦で探して貰っているからだ。

部屋の中から、解き放たれたフレールくん達は数百匹。

円を描き、隊舎を中心にグルグル回って広がって行く。

しばらくして、不審な車を見付けたと報告があった。

直ぐ様、フレールくん達が殺到して中の様子やらを確認する。そこにいたのは、良くわからない特典を持つ黒織劔だった。ラッキースケベを表明し、それを免罪符に様々な女性のあられもない姿をデバイスに納めてきた変態である。

って言うか、完全な犯罪者だった。しかも、俺がフェイトちゃん達の部屋にいる事が大層お気に召さないらしい。

 

「ほらほら、キャンディーもあるんだよ!?」

 

「あーうんうん。つーか、フレールくん。足止めしといて……うん。神崎送り込むから!」

 

フェイトちゃんを放置して、俺は部屋を出ると神崎に付いているフレールくんの意識を乗っ取り神崎の馬鹿にお使いを頼む。神崎は『またぁ!?』とか言いながら、フレールくんの誘導に従って隊舎から出て行った。

俺はというと、なのはママ達がいる食堂に向かって走り、なのはママと八神の手を取る。二人が驚いていたけれど、とりあえずセットアップをお願いしてみた。

 

「ちょぉ待って、いきなりセットアップしろとか言われても……理由もないのに、セットアップはできへんよ?」

 

「ああクソッ!肝心な時に役立たずな奴だな……じゃあ、白い悪魔で良いからセットアップしてフレールくん!」

 

呼ぶと、ポン!と音を立てて蜥蜴をデフォルメしたようなヌイグルミ風の生き物?が出現する。

 

「この子の誘導に従って、ある場所に行って欲しいんだ!」

 

「待って、この子は!?」

 

「細かい事は良いから、早くしないと逃げられるんだよ!」

 

「逃げられるって、誰に?」

 

なのはママ、フェイトちゃん、八神がキョトンとした顔で首をコテンと傾げている。それを大きな溜め息を吐いて、馬鹿にしつつ起爆剤を投下した。

 

「悪魔と死神の愛の巣で、盗撮や盗聴をしている変態が逃げるって言ってんだよ!!!!」

 

「レイジングハート!」

「バルディッシュ!」

「リインフォース!」

 

『セットアップ!!!』

 

三人娘の声が揃い、セットアップが完了する。

フレールくんが、誘導して怒りの三人娘が飛んで行ったのを見送ってなのはママ達の部屋に戻り盗聴機と盗撮カメラを外していく。すると、地響きの様な振動と遠くで何かが爆発する音が聞こえて……黒織が、死んだ事を確認した。

 

「自業自得とは言え……反省も後悔もしない奴は、懲りないからなぁ……」

 

これはもう、トラウマになるくらいの地獄を見せる必要があると思われ。そう、オバチャンのタイムセールと暴徒と化したハーレムを何十回も体験させてやれば幻想も晴れるだろう。そうと決まれば、フレールくんを通して神崎にそれを捕まえて来るように頼んだ。

さあ、スキルブレイクで正常な認識力を取り戻した変態の意識改革を始めよう!!

 

 

 

 

 




多分、神崎の情報からシャリオに質問したと思われw
修正の一つだったのかもw
7%って数字は、作者の適当な数字ww本当の所は不明。
その後のティアナが、全力で弄られるという結果に。
ついでにいうと、新人達の双夜のイメージがヤヴァイw何で、こんな事になったのやらwフリードリヒにすら、危険視されてしまう双夜。でも、エリキャロとの仲は良好という訳のわからない状態にww
戦闘(敵)の時は、凄く嫌がられるんだけどねぇwww

さてと、タイムセールのおばちゃん×ハーレムのVR追憶体験をして貰おう!!トラウマになるまで♪

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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