絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一〇ニ話

神崎

 

 

地球から戻ってきて数日後、原作イベントである『ホテル・アグスタ警備』があった。

しかし、ティアナが無茶する事もなく普通に終了。

あ、いや……普通にというか……師匠が、はやてのドレス姿を見て『孫にも衣装!』とか言って散々弄り倒していた。

その他にも、シャマルの方が映えるだとか胸が大きいシグナムの方が綺麗になるだとか残酷無慈悲な事を永遠と。

それに対して、『なのはちゃん等は、どうなんや!?』とのたまるはやてに、ニッコリ邪悪な笑顔で神経を逆撫でし続ける師匠が恐かった。

その後、『彼の転生者共が、来てないと良いね』なんてフラグを建設。モノの見事に、そのフラグを回収していた。

原作三人娘、任務開始まで転生者に付き纏われ続ける。

それを見てて、コイツ等をホテル・アグスタに招待したのは師匠なんかじゃないかと推理する。

ま、証拠はないんだけどな。

更には、なのはとユーノが再会しているのを見て当然の様に『はのはさん、恋人いたんだぁ!』と弄りに行ってしまう始末。それには、フェイトが全力で止めに行っていた。

あの人は、本当に恐い者知らずである。

結局、そのすぐ後に転生者共が湧いてきて二人っ切りの時間はそうなかったみたいだけど。

ホテル・アグスタを襲撃した、ガジェットドローンだって一人激戦区に突っ込んで行ってバッサバッサと切り刻んでいた訳だし……。

最終的にナマクラソードは、ゴツイ金棒に変化していて……それを振り回す師匠の姿が、鬼神ッポクて全員にドン引きされていた。

それでなくても、地球に赴いた任務で色々とやらかした師匠が、みんなからどんな目で見られているのかもわかっていないらしい。いや、あの人の事だからわかっていてそれを更に煽っているのかもしれない。

その隣で、似たような戦いを繰り広げる俺自身の事も含めて『鬼神』とか『修羅』等と呼ばれている。

最近は、『狂戦士』の名前が追加された。

段々、人間扱いされなくなりつつあるんだが……師匠、個人で『ゆりかご』撃沈したりしないよな!?

本来であるならば、ティアナがスバルと秘密の特訓をしている頃なのだが……ティアナは、先程師匠に捕まってドナドナされて行ったし、スバルは必死に報告書を纏めている。

エリキャロは、フリードとフレールくんと仲良く日向ぼっこをしてーーフレールくん!?なんで、あれが現界しているんだろう!?

疑問に思ってジィーっと見ていると、師匠が戻ってきてエリキャロと共に日向ぼっこを開始。

フレールくんは、いつの間にか消えていた。

 

「あれ……場所取りだったのか!?」

 

現在は、中休み的な感じで20分程の時間がある。

ティアナは、多分ティーダさんと会って……あれは、会っていると言って良いのだろうか?幽霊(ティーダ)に怯えるティアナを薄暗い個室に閉じ込めて、《エタナモォト》を掛けてティーダさんと共に放置する残酷な拷問。

今となっては、誰も文句どころか反対意見すら言わなくなってしまったアレをどうしたら良いモノか。

下手をすれば、魑魅魍魎を召喚されて《エタナモォト》を掛けられるという恐怖が、隊長陣に二の足を踏ませているらしい。無敵の主人公チームなのに……アレは苦手分類か。

 

「……………………ふっ………………」

 

「ひぃ!?」⬅驚

 

師匠の日向ぼっこを見ていた為に、背後に立っていたはやての存在に気が付かなかった。

ホテル・アグスタ以来、影を薄くして黄昏た状態ではやては毎日真面目に仕事をしている。

 

「っ!?は、はやて、部隊長……あ、だ、大丈夫ですか?」

 

「……ふふふ。大丈夫やよぉ~……」

 

全く全然、大丈夫そうには見えないし思えない。

それ程、シャマルやシグナムより容姿が劣っていると弄り倒された事がショックだったのだろうか?

だからと言って、俺が慰める訳にもいかない事柄である。

まあ、あの踏み台達が今のはやてを慰められるかと言われると……不可能としか言いようがないんだが。それは、彼等の性質的な問題ではなく……神々に掛けられている、認識阻害が邪魔をするからである。存在的には、都合が良いんだけど……役には立たないのが、彼等踏み台転生者であった。

 

「なあ、アレに仕返しがしたいんやけど……」

 

「えっと……返り討ちにされるんじゃないですか?」

 

「なんかないんか!?」

 

「魑魅魍魎召喚。《エタナモォト》で、詰みます」

 

「…………な、生首の幽霊がああぁぁああぁ……」

 

地球での一時が思い起こされたのか、はやては突然頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。

 

『ご、ごめんなさい!ごめんなさいぃ、兄さんっ!ランスターの弾丸は、無辜の人々を護る為にあるんですよねっ!わかってます!わかってますからあぁーーー!!!!』

 

『…………ティアナ(涙目)…………』

 

ドンドンと扉を叩く音と共に、ティアナの悲痛な叫び声が聞こえて来た。

かつて、ティーダ・ランスターの上司によって、歪められてしまった兄の想いをああやって矯正されているのだと思われる。彼女の『ランスターの弾丸は~』というアレは、兄を侮辱した上官によって歪められた信念だ。

師匠は、ティーダ(幽霊)経由でそれが歪められたモノだという事を聞いていたらしく現在矯正しているらしい。

 

「最近は、自分自身を見直して……自身の能力をしっかり伸ばそうとしてるんやろ?」

 

ちょっと前までは、スバルやエリキャロの能力を見てはウジウジしていたのに……今では、全く気にした様子もなく日々自分の可能性を高めているという事だ。

 

「ティーダさんに、説教されてるみたいですから……」

 

「幽霊に説教……かぁ……」

 

遠い目をして、黄昏ているはやてを見ながら先日見たティーダさんの事を思い出す。全体的に黒ずんで、目を怪しく光らせ口が裂けるように笑うティーダさん。

見る者全員が、恐怖を感じざるを得ない容姿をしていて……師匠の弁では、長年に渡り外側内側から溢れ出た後悔に焼かれた結果、恐怖心を徹底的に煽る姿となっているらしい。だが、基本的に正気度が高く幽霊の中ではまともな分類なんだとか。

その為、会話が成立する程度の知能を持っていると師匠は言っていたが……重度のシスコンで、ティアナ第一主義があるから幽霊ストーカーと呼ばれている。

 

「ティアナが、不憫過ぎて泣けてしまう……」

 

「幽霊ストーカーかぁ……訴えてもどうにもできへんからなぁ……諦めるしかないとか、ホンマ泣けてくるわ……」

 

法的にも、物理的にも手も足も出ない幽霊状態のティーダさん。肉体から解放されているとはいえ、物欲とか無いにも関わらず妹の彼氏云々に反応し暴走を始める悪夢。

もう、許してやれよ。と、言いたくなるような状況下でもティアナに付き纏っている。

師匠の話では、ティアナの感情で縛られていたせいだろうという事だ。本当に、そうなのかはわからないけど。

現状を見る限り、全くそんな風には見えない。むしろ、早く成仏して欲しい的な感情も含まれていそうだ。

 

「新人達と、模擬戦させてみたらどうですか?案外、良い結果を引き出してくれそうですけど……」

 

「何や、変なトラウマとか植え付けそうやけどなぁ……」

 

「…………まあ、それもあるかもしれませんが……毎日毎日、なのはさんとだけじゃあ新鮮さもないでしょうし……」

 

ここら辺で、バリエーションをつけないと自分達の成長具合もわからないだろうから……師匠には、蹂躙しないように言っておけば問題はないと思われ。

 

「…………ほなら、もしもの時に隊長陣が手を出せる様にしておこか?」

 

「それやったら、蹂躙しに来ると思う……」

 

むしろ、そんな事をしたら新人達との戦闘なんて一瞬で終わらせて、隊長陣イジメに華を咲かせそうである。

 

「大丈夫ですって。師匠だって、模擬戦で悪戯仕掛けてくる事はないと思います。あの人、普段はあんな感じですが殺る時は殺る人ですから……」

 

微妙に、ティアナの強化をしているところを見ると、多分問題ないと思われ。今一、何がしたいのかわからない所があるけど……あの人が、手を抜く事は無かったはずだ。

 

「何か、字が違う気が……まあエエわ。自分達が、何処まで成長しとるか……新人等にもわかる戦いをして貰お!!」

 

 

……………………。

 

 

という訳で、新人達VS如月双夜の模擬が行われる事になる。師匠には、事前に新人達フォワードの訓練成果を見る為の模擬戦である事を伝え、手加減して貰える様に全力でお願いしておいた。ただし、どうなるかは不明。

なので、シャマルさんを模擬戦場まで連れてきての開始となった。で……開始前、師匠がシャマルさんを見て一言。

 

「模擬戦終わったら、シャマル先生の手料理食べたい!」

 

とか、言い出した。瞬間、シグナム達の表情が余りよろしくない状態に変化して行き、はやてが何故それを!?的な反応をしている。新人達も、拒絶して……しかし、ウチの師匠は問答無用で『負けたら、罰ゲームな?』と言った。

 

「これで、本気で殺らざるを得ないからな……いやー、楽しみだぜ☆!あ。ティアナは、お兄さんとまた二人っきりにしてあげるから……しっかり、頑張ろうな?」

 

「ひぃ!?」

 

今、ティーダさんはここにはいないらしい。

何でも、ティーダさんのいる部屋に結界(霊的な)を張って閉じ込めてあるとのこと。安眠妨害が、師匠に我慢の限界を越えさせた結果の事らしい。

 

「でもって、ティアナだけ罰ゲームは不公平なんで……みんなには、シャマル先生の手料理をプレゼント♡全力全開で、僕を落としに来ると良い!!」

 

そう言った師匠は、肩から掛けていたスポーツバックを降ろし、中からゴツゴツとしたでっかい重火器?を取り出した。それを左腕に装着して、グルグルと腕を回している。

 

「えっと……何ッスか、それ……?」

 

「ん?ああ。本当なら、訓練校の卒業式で使う予定だった秘密兵器♡。完成が間に合わなくって、陽の目をみないかと思ってたんだけどね。この間、漸くロールアウトしたんで、使わないとモッタイナイかなぁって(笑)」

 

「……見た感じ、質量兵器ッポイんですが……」

 

師匠の腕に装着されたそれは、いかにも質量兵器ッポクて……パッと見た感じでは、グレネードランチャーみたいに見える。もしかすると、パイルバンカーかもしれない。

 

「違うよ?なあ、ヴィータちゃん!」

 

「…………ああ。一応、質量兵器ではなかった……」

 

何故か、とても黄昏ているヴィータが師匠の言葉に頷いている。その上、『ヴィータちゃん』と師匠が呼んでも怒ったり反論したりはしなかった。

 

「ヴィータちゃん立ち会いのもと、試し撃ちもしたんだから!ねー♪」

 

「……………………」

 

スイッと視線が外されて、微妙に震えているようにも見えるその姿に俺達は言い様のない不安を持ってしまう。

兎も角、ヴィータちゃんが師匠の腕に装着されているアレで何かしらのトラウマを受けた事はわかった。

 

「あんた達、最初っから全力で行くわよ!!」

 

『はいっ!!』

 

「任せて、ティア!!」

 

そうこうしている内に、フォワードの達の作戦会議が終わり、それぞれの配置へと移動していく。

 

「殺る気だ。シャマルさんを連れてきたのは正解だった」

 

「それだけの為に、私をここへ?」

 

苦笑いしているシャマルさんが、とても悲しそうな声で問いかけて来た。だが、連れ出した時の理由も含まれるので問題ないと思われる。

 

「配置についたみたいやで?」

 

「それじゃあ、始めようか!」

 

サーチャーが映す画像を展開して、それぞれの様子を見ると……何故か、師匠を映すサーチャー画像だけが他の画面より暗くなって……師匠が、『クックックッ……』と笑っている様子が映し出されていた。

 

「こんな、特殊効果どうやって再現しているのやら……」

 

「…………これ、サーチャーの映像だよね!?」

 

「やたらと、恐怖心を煽ってくる師匠の細かい手法に脱帽です!さて、どうなる事やら……」

 

そして、模擬戦は開始された。

最初に突撃して行くのはスバルで、次に様々な支援を受けたエリオが師匠の背後へと回り込んで行く。

見た感じ、戦術的には小手調べ的な思惑が見て取れる。

スバルに師匠の気を向けておいて、背後からエリオの一撃で落とす作戦だろう。失敗しても、直ぐに離脱すれば立て直せるから相手の戦力を確認する目的もあると思われ。

 

「あー……これ、エリオかスバルが落とされるパターンです。総崩れにされますよ?」

 

『え゛!?』

 

言ってる間に、スバルが師匠に接触。

スバルが攻めるも、軽くあしらわれて流されている様子がありありとわかってしまう。そこへ、エリオが参戦。

だが、頭の後ろに目でも付いているかの様な対応でアッサリ逃げられている。それをエリオとスバルが追って、エリオが吹き飛ばされてしまった。

 

「ああ!?」

 

フェイトが、なのはの背後から画面に食い入るように見詰め、エリオが吹き飛ばされると悲鳴をあげる。

 

「大丈夫ッス。師匠が、ちゃんとヤバくなったら動けるように見てますから……あ!逃げろ、スバルっ!!」

 

エリオが、師匠に吹き飛ばされて視線を外さなかったのを隙と取ったスバルが更に追い討ちを掛けようとして……カートリッジを使用しての一撃を放つ。

しかし、それを読んでいたかの様に……至近距離での強撃を半歩後ろに踏み込み半回転する事で回避。

半回転しつつ、体重の乗った足に足を引っ掛けて払い体制を崩しに掛かる。前のめりに体制が崩れると、がら空きになった後ろ首を右肘で穿ち、意識が薄れた所へ左腕のデカ物でトドメとなった。

 

「なんじゃ!?アレ……」

 

「今の、砲撃魔法だよね!?」

 

「双夜くんて、リンカーコア無かったんじゃあ……」

 

そう、師匠の左腕のデカ物から放たれたのは間違いなく砲撃魔法だった。しかも、なのはが撃つレベルの極光クラスの砲撃魔法である。だが、驚くのはまだ早かった。

師匠が、砲撃を撃った後……その問題のデカ物から、吐き出されたソレを見て俺達は言葉を失った。

吐き出されたのは、カートリッジ。ただし、大きさが桁違いの巨大なカートリッジがあのデカ物から吐き出されたのである。実際に見た訳じゃないから、何とも言えないけれど大きさは500mlのペットボトル程。

まさかとは思うが、アレの中に込められていた魔力をそのまま砲撃として穿ち放ったとでも言うつもりだろうか?

いや、そもそも砲撃魔法の反動やその他諸々の問題はどうしたのだろうか!?最早、キチガイの産物だった。

 

「えー…………あ!?」

 

ハッ!として、師匠を探すが何処にもいない。

ヤられた!キチガイ武装に気を取られていた間に、師匠を見失ってしまっていた。

そしてそれは、俺達だけの話では無い。

 

「あ、終わってますね……」

 

サーチャーから送られてくる画像を見る限り、エリオ・キャロも既に討ち取られ残るは司令塔のティアナだけの状態に。その上、隊長陣も師匠を見失っているこの状況……最悪の展開だった。

直ぐ様、なのはから管制システムの主導権を奪い、通信をONにして呼び掛ける。これでは、蹂躙だと言われても仕方がないからだ。

 

「はいはーい!師匠。ちょっと、タンマして戻ってください……師匠の左腕のデカ物が、予想外過ぎてみんな固まってますからねー?」

 

『えー!でもでも、テロリストは何しでかすかわからないんだよ!?これくらいは、当然じゃないかな?』

 

案の定、師匠からはとても嫌そうな声が聞こえてくる。

だが、考えて欲しい。テロリストは、師匠みたいに突き抜けたキチガイ(修羅)ではない。そこそこ、常識外れな事はしてくるであろうが……それでも、右斜め上程度の事で、師匠の様な右斜め『遥か』上ではないのだ。

とりあえず、仕切り直しとして師匠の左腕のデカ物は外して貰ってやり直しをさせた。それでも、師匠の蹂躙ぷりは変わらず新人達を圧倒して模擬戦は終了。

その後、師匠込みで反省会をして貰う事になった。

師匠は、なのはから模擬戦中の映像を貰ってそれを見ながら新人達に質問をしている。何をどう思って、どう考え行動したかを事細かに聞きメモって、映像を確認して説明を開始した。

 

「それでは、ティアナは何が敗因だと思いますか?」

 

「アンタが、強すぎたんだと思うわ……」

 

要点が、見えてない人の感想文的な発言だった。

師匠の肩が、ガックリと下がる。

 

「じゃあ、スバルは?」

 

「ティアと同意見……」

 

「キャロは?」

 

「……………………恐かった……」

 

師匠の『ネタ過ぎたか……』という呟きが聞こえる。

ああ、やっぱりアレ……ネタだったんですね。

 

「エリオ……」

 

「良くわからないまま、撃沈されました……」

 

「小学生低学年レベルの感想文じゃねぇんだから……」

 

「まあまあ……」

 

師匠が、爆発する前に間に入って落ち着かせる。

大きな溜め息を吐いた師匠は、隊長陣も呼んでこの模擬戦の問題を聞く。

 

「何が、敗因だと思う?」

 

「これは、スバルッスね……」

 

首を傾げる新人&魔導師に代わり、正解を告げる俺。

なのは達は、質問の意図はわかるけどあんなクソ高等技術的格闘術に関しての知識がないだけだと……思いたい。

 

「だよね!良かった……神崎までわからないのなら、ちょっとレリック事件の元凶潰しに行こうかと思う所だったよ!」

 

「はいはい。兎も角、解説お願いします!」

 

「あーうん。これ、完全にスバルの判断ミスなんだよね」

 

「……………………」

 

隊長陣含む、全員が驚いた様な顔をしていた。

スバルに至っては、何が判断ミスだったのかわからないらしく、仕切りに首を捻っている。

 

「僕が、エリオに視線を向けているから攻撃したって事だったけれど……エリオの参戦の時に、気が付くべきだったんだ。僕が、普通に対応していた事にさ……」

 

相手が、有段者である事は訓練校時代にわかっている事なので、ティアナもスバルももっと慎重になるべきだった。

しかし、視線が自分に向いていないからと安心して攻撃をしたこと事態が判断ミスだったとは思わないだろう。

 

「師匠、頭の後ろに目でも付いているんッスか!?」

 

「神崎が言う通り、僕には頭の後ろに目が付いてる訳ではないけど、見なくても大体把握できるんだよね……」

 

不意討ちは基本不可能な師匠だ、背後への警戒レベルは生半可なモノでは無いだろう。

 

「そんな状態の僕に、攻撃を仕掛けるなんて普通は無いから(笑)。しかも、安心して攻撃ってバカですか!?」

 

「予想通り、返り討ちになりましたね(笑)」

 

超警戒している敵に、安心して攻撃とかw

反撃される事を考えて、ここは離脱が正解だ。

 

「そもそも、君達の当初の目的は小手調べでしょ?欲張らずに、サッサと離脱すれば蹂躙される事も無かったのに……」

 

欲張り過ぎると、破滅するという教訓だった。

その後、排出された異常に巨大なカートリッジに呆然としている状態もツッコまれる。

 

「復帰に掛かるであろう時間分は、待ってから行動してるからね?文句言われる謂れはないから!」

 

実際、師匠は巨大カートリッジが排出されてから4、5秒待って姿を消していた。これは確かに、それだけ待っても復帰出来なかったティアナ達が悪いと言えるだろう。

 

「エリオ撃破。キャロは……師匠を見て気絶!?」

 

サーチャーからは、死角になっていてわからないが師匠が何か顔芸でもしたのだろうと考える。フリードまで、落ちてるけど……それは、気にしたら負けだ。

 

「で、俺の管制通信で終了……と」

 

「まあ、確かにこれ以上やっても意味のない事だからな」

 

「全滅させられて、仕切り直しですもんね……」

 

師匠のキツい言葉をフォローしつつ、ティアナ達の反発を抑えていく。まあ、師匠の場合……その反発も、何かしらに取り入れる予定かもしれないけど、なのは達の手前出来るだけ穏便にしておいても困ることはない。

 

「ん?まあ、な。しかし、あの程度のカートリッジに驚いて動けなくなるとか……どうなんだろな?」

 

「そもそも、どうやって造ったんッスか!?」

 

まあ、魔力の方は大体想像がつくが、材料的な分が不明過ぎる。どう見たって、使い捨てではないだろうし……特化武装だろ?コレ……。

 

「ユーリに手伝って貰った(笑)」

 

「魔力の話じゃねぇよ!これの材料的な話だよ!!」

 

直径6㎝程のカートリッジを掴み上げ、師匠の目の前に提示する。どっから持ってきた、こんな代物!!

 

「…………ああ。廃材だよ?上手く行けば、レジアスがスポンサーになって低ランク魔導師に支給してくれるって言うから……魔力は、魔導炉で代用できるって言ったら乗り気になってたw」

 

「なんて無茶な事を……」

 

こんな、化け物級を造って支給なんてしたら怪我人が続出するに決まっている。

 

「コンセプトは、目指せ!エースオブエースレベルの砲撃……だ!やっぱり、殺るならとことん上を目指す!が、もっとーだからな!」

 

「破壊の化身目標かぁ……って、それじゃあ普通に撃てないっしょ!?」

 

言った後で、自分が波風を立てた事に気が付いた。

 

「破壊の化身……」

 

背後の隊長陣から、ゾッとする様な低く冷たい声が聞こえる。どうも、ヤバイスイッチを押してしまったみたいだ。

 

「なのは、落ち着いて!」

 

「落ち着くんや!なのはちゃん!!」

 

立ち上がろうとする、破壊の化身を両サイドにいたフェイトとはやてが止めに入る。何とか、破壊の化身は怒りを静め座り直した。ホッと一息ついて、師匠を見ると邪神の笑顔を見るはめになる。

あれは、ロクでもない事を思い付いた時の顔だ。

 

「ま、魔法を手にしたら砲撃魔になっちゃった人の事はどうでも良いんだよ「砲撃魔……」神崎が知りたいのは、これの反動を抑える方法だろう?」

 

「ええ。まあ……」

 

最高の笑顔で、猛毒を吐き始めた師匠が俺の背後にいる悪魔を刺激する。ちょっと、遠慮して欲しい所なんだが……もう、止まりそうになかった。

 

「要は簡単だ。砲撃魔は、帯状の魔法陣で抑えて吹き飛ばすけど……僕等みたいな非魔導師では、砲撃魔法の反動を抑える事はできない」

 

「……………………」

 

「だから、デカ物の後方にあるブースターから反動を抑える為の噴射が行われていた訳だ。それで、反動の大半が僕には伝わらない……♪」

 

ニコニコしながら、師匠がデカ物を入れていたスポーツバックから一冊の本を取り出す。それをおもむろに、ティアナへと差し出した。題名は、ミッド語に手書きで訳されている『猿でもわかる戦術教本』である。

 

「とりあえず、ティアナは一般的な戦術を学ぼうか?そこから、非魔導師対応の戦術を組み上げよう。でもって、広い視野と状況に対応できる人材の配置とか……そこら辺をもう少し頑張ろうね?」

 

「あー、要訳すると……魔導師としての戦術展開は完璧だけど、非魔導師や修羅に対する戦術が疎かになってるからそこら辺を強化しようと師匠は言ってる訳よ!!」

 

「…………確かに、修羅に対する専門知識はありませんが……別に、この人が敵に回る訳じゃないんですから必要ないんじゃ……」

 

ティアナの言う事は、最もッポイ事だったが……この人が、敵になる可能性は考えても無駄にはならないぞ?

むしろ、可能性としては大いにあると言えるレベル。

 

「何事も経験だよ。それに、そのレベルの犯罪者が必ずしも出て来ないなんて……可能性レベルで、言い切れるモノではないよ?人が考えられる事は、起きる可能性がある事柄なんだから対策は立てといた方が良い。無駄にはならないから……」

 

「…………何か、そういう事があったんですか?」

 

余りにも、現実味のある言葉に俺は質問を返していた。

 

「人質の幼い子供の腹の中に爆弾を突っ込んで……人間爆弾作った糞野郎がいたんだよ……マジ、ウザいよな!ああいうキチガイは……」

 

『……………………』

 

瞬間、その場にいた全員から言葉が無くなる。

まさに、絶句と言える状態となってしまった。

 

「オフォッ……やぶ蛇になった……」

 

「まあ、そういう事も実際にあった話だから……対策は、持っていても問題ないんだよ。さて、そういう場合もあるので長期間拉致・監禁されていた人質を助けた場合は、まずメディカルチェック優先!それから、親御さん達に引き合わせましょう!!人間が、木端微塵の肉片になる場面なんて見たく無いだろう?」

 

師匠は、そう締め括ってアルカリアさんから送られて来た資料に目を通していた。多分、ここで師匠にそういう経験があるのかと聞けば、ほぼ間違いなく『ある』と答えて来るだろう事は考えなくてもわかる。

その後の、胸糞展開も予想がついたので何も言わない事にした。それは、俺だけでなくフォワードの子達も気になった事柄であろうが……師匠が、ここまでと切り上げた以上何も聞けない様子である。この世界軸も、そういう結末にならないように祈るばかりであった。

 

 

 

 

 




地縛霊&ストーカーシスコン・ティーダ強えええぇぇぇ!!
その上、双夜が金棒でハッチャケてるwww
そして、新人達との模擬戦。小手調べで、スバル深追い撃沈wwその後が、イケない。500ml程のペットボトル級カートリッジに意識を凍らせて全滅し掛けるとか……経験値が足らない証拠。追い過ぎた結果が酷いwww

教訓と経験値稼ぎの為にチョクチョク行われる双夜との模擬戦。なのはさん、ニコニコ笑顔で許可ww
ーー安定の悪魔ぷりに脱帽ですww

ちょっとした、小話w
序章2話で、イケメン(踏み台転生者)慣れしたなのはが使い魔のアルカリアにキュンとしていた理由について。
アルカリアには、『インキュバス』の因子が組み込まれている!!!!これは、『ご愁○さま二○宮くん』から来てる設定だと思われるwwww

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。

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