絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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八〇話

双夜

 

 

俺達は拠点の神社を出た後、翠屋の前で今回の主催者と落ち合った。まあ、言うまでもなく高町夫妻だ。

まだ、眠そうななのはママ達に挨拶とディアーチェ達の紹介をして、士朗には『パパ~♪』と猫撫で声で抱き付いてみる。瞬間、モモちゃんの身に纏っている空気がヒンヤリとしたモノに変わり、士朗や恭にぃをビビらせていた。

モモちゃんには、『おばちゃん、こんにちわ~♪』で通し切り、まずまずの滑り出しである。それはもう、士朗の慌てっプリがモモちゃんの反応次第で、何処までも際限無く落ちて行くのだから俺としてはとっても面白かった。

その後、全力で寝ているフェイトちゃんと既に元気いっぱいのアリシアがプレシア達を連れてきて合流。何故かプレシアが、鼻血を流しているけど気にしてはイケない事らしい。

アリシアが、見ちゃダメだと言っていたので間違いない。

続いて、八神家とバニングス家が到着して、賑かさが増してきた頃に忍達が来て準備OKと相成った。

子供組は、二手に別れて車に乗る。

ディアーチェは、八神はやてとなのはママ・フェイトちゃん達と一緒に恭にぃが運転する車に。オマケで、アリシアとアルフが付いて行った。

ユーリと俺は、何故かこちらに振り分けられたヴィータとアリちゃママ・すずかママと一緒におじいちゃんが運転するリムジンに乗り込んで行く。

テスタロッサ家は、高町家の車へ乗り込んで……残りのヴォルケンリッターは、月村家の車に乗り込んで行った。

そして、一行はバニングス家が保有するプライベートビーチに向けて走り出す。

 

「とりあえず、自己紹介?知ってると思うけど、如月双夜です!テスタロッサ家にお世話になってるのー♪」

 

「ユーリ・エーベルヴァインです。ちょっと前まで、双夜と暮らしていました。双夜の家族(?)です……」

 

「八神ヴィータだ。ってか、何で私はここにいるんだ!?」 

 

「月村すずかです。人数合わせだよ、ヴィータちゃん」

 

「アリサ・バニングスよ。まあ、別荘に着くまでだから我慢しなさい!」

 

「つーか、何甘えた声を出してやがんだ!?テメェはよ!」 

 

「あ?知らねー奴がいるから、猫被ってんだよ!気が付け、ゲートボール娘……」

 

『!?』

 

唐突に着ぐるみ脱いだら、すずかママとアリちゃママが驚いた表情で固まった。まあ、仕方のない事だけど今は気にしない。

 

「いきなり、着ぐるみが抜け落ちてますよ!?双夜!!」

 

「別に良いよ。つーか、ダリぃ……帰りたい……」

 

「あんた、猫被ってた訳!?っていうか、まだ着いてもいないでしょう!?」

 

「双夜が、海に行きたくない理由は……桃子や美由希でしょうね……後、ヴォルケンリッターやプレシア達も含まれるんじゃないですか?」

 

「……………………なんでさ?」

 

「……女性の裸に近い姿見たくないからだよ!」

 

「双夜にとって、女性の裸は恐怖の対象でしかありませんから……水着姿でも、怖いんですよね?」

 

「あははは。何だそりゃ!?弱点か?弱点なんだな!?なら、私の水着姿タップリ見せてやるよ!!」

 

「あ、ヴィータみたいな寸胴娘の水着姿見たところで問題はないから……」

 

「舐めてんのか!?テメェ……」

 

「舐めてねぇよ……そういう、トラウマがあるんだよ!!」

 

ヴィータと自分の額を突き合わせて、ガンを合わせてにらみ会う。段々、ヴィータの目付きがヤヴァ気になっているが気にしない。むしろ、俺の殺気がヴィータの本能に消えないトラウマを植え付けそうだ。

 

「うぅ~~~~~~…………!!」ギロッ!

 

「……………………」ギン!!

 

「ううぅっ…………」

 

「はいはい。大人げない事は、止めましょうね?双夜……」

 

「……………………」

(ヴィータ……見た目小学生。推定約300歳)

 

「……………………」

(如月双夜……見た目幼児。約14000歳)

 

「双夜!トランプしましょう!!ね?」

 

「…………まあ、ユーリがそこまで言うなら仕方がない」

 

「………チッ。後で、覚えてろよ……」

 

「負け犬の遠吠え……」

 

「ああ!?アイゼンの落ちない汚れにしてやろうか!?」

 

「シャマル先生のポイズン☆クッキング地獄に浸してやろうか!?ゴーレム操作で身体乗っ取って、無理矢理食べさせるぞ!?」

 

「…………それは、勘弁して、ください……」

 

「シャマル先生の事だから、晩御飯の時に自作の手料理を振る舞うサプライズでも用意してそうだよな?さて、誰が犠牲になるか……賭けるか?それとも……ヴィータが一人で食べきるかい?」

 

「……………………」

 

「双夜、もう!ヴィータちゃんをイジメるのは止めてください!!じゃないと……」

 

「魄翼は出しちゃダメだよ!?」

 

小声で、魔法関係だけは耳打した。

 

「ちょっと、自分達だけで盛り上がるんじゃ無いわよ!!」 

 

「トランプするんだよね?ほら、仲良く遊ぼう?」

 

アリちゃママ達に呼ばれて、俺達はビーチに着くまでトランプで遊ぶ。その際、俺はヴィータと賭け事をしていた。

まあ、賭け事を口にするとユーリがうるさいので、コッソリリンカーコアをシンクロインして念話で会話する。

 

〔僕が保有しているシャマル先生のPKを賭けて勝負!!〕 

 

〔良いぜ!罰ゲームがあった方が盛り上がるってもんだ!〕 

 

しかし、回数を重ねる毎にヴィータの旗色が悪くなっていく。特に、頭脳戦や腹黒戦になると途端に弱くなるのである。

ぶっちゃけ、頭脳派のすずかママとアリちゃママが無双してて次に運任せ(スキル・太陽の化身)で俺の独壇場。

ババ抜きになると、運だけで切り抜ける始末。

 

「ええっ!?ちょ、何でまだスタートもしてないのにその前に上がってるのよ!?」

 

「カードが、綺麗に揃ってたんだよ!」

 

「双夜は、カードゲームに向かないですよね……」

 

「強運のみで、切り抜けられるからな……」

 

「何よ……それ!反則級じゃないっ!!」

 

「そりゃ、反則級だからな。僕達が本気になったら、日本の経済を崩壊させる事すらできるから……やらないけど(笑)」

 

「そういえば……この間、神崎さんが数秒で数千万円GETしたとか言ってましたね……」

 

「はぁ!?数秒で、数千万円!?」

 

「アイツの金運……今、おかしいことになってるからなぁ……安定するまでは、ちょっとキチガってるよ?」

 

黄金律EXは、伊達ではない。

安定すれば、黄金律A~S位にはなるんだろうけど……今は、フルバースト状態が続いていた。

 

「えっと……本当に日本の経済が崩壊するかも……」

 

「軍資金はいっぱい。楽しい夏休みになりそうだね!!」

 

「全く。んな事ある訳ないでしょう!?冗談も休み休み言いなさいよね!!」

 

「ほうほう。大富豪やったら、大惨事になりそうだな……」

 

「ならないわよ!!」

 

「なら、食後のデザートを賭けてやるか!?」

 

「食後のデザートですか!?」

 

「良いわよ!やったろーじゃない!!」

 

という訳で、ババ抜きは大貧民へと変化した。

大貧民が行われた回数は2回。

それだけで、すずかママとアリちゃママを圧倒して終了。

理由は簡単。【真実の瞳】が大活躍。相手の手札が、フルオープン状態なのでそれに沿ったゲームの展開をしてやればいい。その後は、ママ達の一騎討ち。ほぼ、腹黒なすずかママがアリちゃママを出し抜いて終わった。

 

「何よ……この差……」

 

「食後のデザートGETです!」

 

「お前ら……マジで、容赦ないよな……」

 

「勝負の世界は、無情なのだよ……」

 

全力で勝ち誇っている間に、一行はパーキングエリアに入って行く。そして、おじいちゃん達は休憩へ。

俺達イレギュラー組は、一ヶ所に集まっていた。

 

「どうだった?」

 

「ウム。快適であったぞ?」

 

「双夜が聞いているのは、そういう事ではないと思いますよ?きっと、はやてさんとの関係を聞いているんじゃないかと」

 

「フム……問題ないと思うがな?」

 

「本当に?……同一存在なのに、顔を合わせて嫌悪感すら浮かばないとかおかしいんだけど……」

 

「そんな事、我に言われても……問題ないのだから、良いではないか!」

 

「それは……そうなんだが……」

 

腑に落ちないことは、それだけでは無いのだが……。

その後、他の子供組とも落ち合い、移動を再開する為にまた車に乗り込んで行く。それを見送って、バイバイと手を振っていると車の扉が開きユーリが出て来てこちらに勢い良く走って来る。慌てて逃げ出すが、魄翼にて捕まった。

認識阻害と視線避けの結界展開。それと、画像障害系の魔法を瞬時展開。ついでに、記憶封鎖系の魔法も使用。

何とか、人目にも防犯カメラにも写らないようにして、ユーリの無茶をもみ消し、確認の為にフレールくんをその場に残した所で車に詰められる。フレールくんの遠隔操作で、防犯カメラの映像を記録する事務所まで行き、画像のチェックをしたがホンの一瞬映っただけで問題無さそうだった。

アリちゃママ達も、気にした風が無いので確認はしない。

ホッと、一安心である。

 

「全く、女性の水着が見たくないからってあんな事をしたら、皆さんに迷惑が掛かるんですよ!?」

 

「僕は今全力で、ユーリに迷惑を掛けられているよ……」

 

〔うしっ!防犯カメラのチェック終了!問題なし!!〕

 

〔大変だな……お前も……〕

 

〔あ、見えちゃった?〕

 

〔魔導師なら、みんな見えたんじゃないか?〕

 

〔あー……じゃあ、なのはちゃんにも見えちゃった感じかぁ……模擬戦とか言い出さないよねぇ?〕

 

〔シグナムからなら、模擬戦したいオファーが来てるぞ?〕 

 

〔…………シグナムが負けるの確定事項だけど、それでも良いならって返答しといて……〕

 

〔はぁ!?ベルカの騎士が、一対一で負けるはずがないだろう!?舐めてんのか!?〕

 

〔これだから、現実を知らないお子ちゃまは……ヤればわかる事だから敢えて言わないけど……ユーリ舐めてると死ぬよ?〕

 

〔上等だ!おい、シグナム。良いってよ!!〕

 

〔わかった……では、後で一戦頼む……〕

 

〔良いですよ~♪〕

 

ユーリがOKを出して、模擬戦の話は一度棚の上に。

しばらくの間、急に静かになった俺達に妙な視線を向けるアリちゃママ達だったが……俺が、たった一言ポツリと呟いたら誤魔化されてくれたようだった。

何を言ったかと言うと……ヒント、海に行きたくない俺。

あ、このヒントだと即結論出ちゃうよね(笑)。

即ち、『逃げれなかった……』である。

 

「全く、アンタはそこまでして女の人の水着姿を見たくい訳?ってか、男なら見たいと思うモンでしょう?普通……」

 

「……僕が、君達と知り合う事になった理由も女性の水着だからねぇ。複数の水着姿の女性に囲まれると、精神が幼児後退化します」

 

「何でそんな事になってるのかな?」

 

「……………………複数の裸の女性に追い回された結果?まあ、俗に言うと……虐待?」

 

「どんな虐待よ!?想像も出来ないわよ!!」

 

「別に、ただ追い回すんじゃねえよ?暴力含む、虐待系の追い回しだよ?一年くらい続けられたのかなぁ?昼夜関係なく、出入り口を溶接して逃げられないようにしたらスタート。問答無用の暴動級と化した裸の女性達が、将来の利権を賭けて襲って来ます?」

 

「何でそんな事になるのよ!?」

 

「僕から、あるモノを奪えば一生遊んで暮らせる権利が得られるっていうゲームだよ。あ、因みに僕は強制参加だったから…………目が血走って、狂気に染まった女性達が我先にと襲いかかって来るんだよ……恐かった……」

 

「……………………確かに、それは恐いわ……」

 

「何だよ、そのゲーム?何を守ってたんだよ!?お前……」

 

「…………ノーコメント。……まあ、それ以来女性の裸がトラウマになっちゃって……ぶっちゃけ、水着姿も見たくないかな?」

 

「でも、それなら来なければ良かったんじゃない?」

 

「それは、ダメです!それだと、私達まで来られなくなるじゃないですか!!」

 

「…………という訳で、ユーリ達の為に強制参加です……(泣)」 

 

『あー…………お疲れ様(だ)です……』

 

その後は、UNOをしている間にバニングス家所有の別荘に到着。別荘に着いた瞬間、元気な子供組は早速海へと駆けて行く。引率として、美由ねぇと恭にぃが忍と腕を組んで子供達の後を追う。それを見送って、俺は車から荷物を下ろす士朗達に混じってお手伝い。

しばらく、荷物下ろしを手伝っているとプレシアの友人を名乗る人達がやって来た。見れば、大きな荷物を持ってラフなワンピースとその上からシースルーのガーディガンを着た時空管理局次元航行艦艦長リンディ・ハラオウンと黒っぽい半袖とジーンズという普段着を着たクロノ・ハラオウン。

それから、白いワンピース姿に麦わら帽子のエイミィ・リミエッタがいた。何でコイツらが?と思っていると、その後ろから人間の姿に変身したリーゼ姉妹が姿を現す。

 

「……また、イジメられに来たのか!?」

 

「ぅんな訳あるか!お父様のお願いだから来たんだ!!」

 

「リンディ達は、護衛よ。前回、テスタロッサを襲った局員がいたらしくてね?犯人が捕まるまでの間、テスタロッサ家の護衛をする事になったのよ……私達は、八神はやての謝罪ついでに休暇よ!」

 

「ふーん。はやてに、呼ばれたんだ……交流もかねてって所かな?……はぁ、シャマル先生のPKの犠牲者が増えちゃった……」

 

『え゛!?』

 

リーゼ姉妹の反応を楽しんだ後、士朗を熟女達の色気ネタで全力挑発。今回は、リーゼ姉妹は予定外なので放置。

今は、全力全開である人物を俺のペースに巻き込もうと尽くす。即ち、高町士朗に宣戦布告した上で、勝負して一回でも勝てばモモちゃんに本当の事を話しても良いよ?と海に誘い出した。士朗が、砂浜で仁王立ちをしている間に俺も流木を腕で抱えて仁王立ち。それを見ていた、恭にぃもついでに誘って俺達の隣に並んだ。

 

「それでは、勝負の説明をしよう!ルールは簡単。沖のブイを回って先に戻って来た奴の勝ちだ!!野郎共、それで文句はないな!?」

 

「もちろんだ!一切の手加減はないと思え!!」

 

「桃子の誤解を解く為だ!この勝負、勝ちに行かせて貰うよ !?」

 

「では、始めようではないか!!如月双夜と高町家男児の『大人げない戦い』をっ!!」

 

「…………確かに、大人げない戦いだなっ!!」

 

「全く一切、反論できないが……その通りだ!!」

 

「では、八神はやて!開始の合図を!!」

 

「了解や!ほな、行くでぇ…………よーい、スタート!!」

 

『ぅおおおおおおおおおおお!!!!!!!』

 

大人げない二人の大人が、雄叫びを上げながら海へと走って行く。そして、士朗はバタフライで泳ぎ……恭にぃは、クロールで泳ぎ進んで行く。俺はと言うと、両腕で抱えていた流木を海に投げ入れると士朗達の様に海目掛けて走って行った。しかし、俺は士朗達の様に泳ぐ事無く流木を足場に海の上を走って行く。その内、流木が無くなるも勢いが付いているので問答無用で水の上を走って横断していく。

理論は簡単。足の裏にプロテクションを展開しているのだ。

大体、足のサイズの約三倍程度でOK。

後は、神速を使って波の角度やらを即席計算。

足を水面に付けるタイミングと、沈んだ足を水から引き抜くタイミングを見極めて神速で対応するだけで、この水上走りが完成する。体重が軽いから出来る無茶であった。

 

「なっ!?何だとぉ!?」

 

「ば……バカなぁ!?」

 

高町家の男児二人を置き去りにして、俺一人が先にゴールイン!!未だに、泳いでいる二人に振り返って勝ち誇る。

 

「にゃ~はっはっはっ!!身体が大きくて重い二人には、出来ない芸当だなっ!!ザマァ!!」

 

ただ、体重が軽いだけで出来る芸当ではないが負ける訳には行かない勝負。それこそ本気で、全力を尽くすのが俺の使命とばかりに『大人げない行為』を繰り返す。

それからの勝負は、本当に誰もが『大人げない』と呟いてしまうような勝負が続いた。士朗が、体力勝負に出れば魔力強化を総動員して士朗と恭にぃを下し、忍が知能戦に出ればIQ250をフルに使って、恭にぃが武力に打って出れば砂浜に突き刺してやった。結果、とうてい5歳児とは思えない化け物級の幼児に負けた大人二人が力尽きていた。

 

「情けない。体力自慢もそこまでかい?」

 

「いやいや、ありえないでしょ!?どんな体力してたら、恭也や士朗さん達をここまで追い詰める事が出来るのよ!?」

 

水着姿だと、俺が怯えるという理由で薄手のパーカーとパレオを着て巻いた忍が呆れた風に首を横に振る。

アリちゃママ達も集まってきていて、力尽きた恭にぃ達を介抱していた。

 

「だって、僕……化け物だからっ!!」

 

「っ!?」⬅(;ΟДο)ドキッ!!

 

自分が言われた訳でも無いのに、『化け物』という言葉に敏感に反応するすずかママ。もう、そんなんじゃあ……自分から、化け物だと言っているようなモノである。

 

「…………いや、その理由じゃあ納得出来ないから……」

 

「いやいや、ガチだからっ!その気になれば、スターライトブレイカーで町すら消し飛ばせるからっ!!」

 

「っ!?」⬅(;ΟДο)ドキッ!?

 

「!?」

 

なのはママも、すずかママと似たような反応をする。

もう、そんな風に反応されたら嬉しくなるじゃない。

ただ、フェイトちゃんとプレシアが微妙そうな反応をしている。フェイトちゃんに限っては、SLBを受けた時の記憶でも思い出しているのかも知れない。

 

「もう!嘘ばかり言ってたら、誰にも信じて貰えなくなるよ!?」

 

「そうだよ!狼少年の話を知らないのかな?」

 

なのはママとすずかママが、とっても必死に訴え掛けてくる。だからと言って、ここで引かないのが俺の主義だ。

 

「嘘!?一体、誰が嘘付きだってぇ!?」

 

妖精魔法の起動式をスタンバイ。

そして、すずかママに《ニューア》……獣耳魔法を掛けた。

その結果、すずかママに猫耳が生えて周囲を驚かせる。

しかし、何故か頭から獣耳が生えたすずかママは、それに気が付いた時点で悲鳴を上げて別荘へと走り去ってしまった。

 

「ちょ、すずか!?」

 

「猫耳、気に入らなかったのかにゃ?」

 

「猫耳……?」

 

「妖精魔法《ニューア》。獣耳を生やす魔法でーす!その人の性格や性質によって、何が生えてくるかは不明!!にゃーはははは!!」

 

「妖精魔法?」

 

「という訳で、ヴィータに《リックフロー》!!」

 

ボムッ!という音と共に煙に巻かれたヴィータが、悪態を付きながら煙が晴れると大人の女性に。

それを放置して……八神はやて、なのはママ、フェイトちゃん、アリシア、アリちゃママ、ユーリ、ディアーチェ、士朗、恭にぃには、すずかママと同じ《ニューア》。

ついでに、シグナム、リニス、アルフ、美由ねぇには《ハーヴェ・スキート》……精神ダウン。

おまけで、シャマル、忍、モモちゃん、プレシア、エイミィ、リンディには《リヴゥフロー》。

混乱するその場から離れて、すずかママが走り去ってしまった方向へと俺は走っていく。

【真実の瞳】から、流れてくる情報を元にすずかママが向かった方向へと進んだ。しばらく行くと、林の中でうずくまり、猫耳を押さえて震えるすずかママを発見。

 

「見付けたのー♪」

 

「ひぃっ!?嫌っ!見ないでぇっ!!」

 

「えー?何でぇ……猫耳、嫌い?」

 

「……………………?ねこ、耳???」

 

「妖精魔法《ニューア》。獣耳を生やす魔法だよ?」

 

「……………………よ、よう、せい、ま、ほう?」

 

「うん♪ 妖精魔法なのー♪」

 

「えっと…………え?あ、私の早とちり?」

 

「にゅ?早とちりって?」

 

「……/////」

 

人狼化したとでも思ったのだろうか?

だったら、悪い事をしたなぁ……と、思うけど、ここで謝ると吸血鬼云々の話が出て来るので却下。面倒な事に成りかねないので、黙ってやり過ごす事にする。

 

「どうしたの?どこか、痛い?」

 

「あ、ううぅん。何でもないの……何でも……」

 

「じゃあ、戻ろう?みんな、とっても大混乱しているだろうから、きっと面白いよ?」

 

「…………心配してるとかじゃ、無いんだね……(苦笑)」

 

「心配?なんで?」

 

「なんでって……私、突然いなくなったんだよ?」

 

「突然?こんな風に?」

 

そこで、フッと神速を使って消えて見せる。

そのまま、隠蔽術式と認識阻害の魔法を使ってかくれんぼ。

すずかママの様子を伺いつつ、浜辺の方の様子もフレールくんの目を通して見た。

大人になったヴィータが、狸耳の生えた八神はやてに揉み落とされてマウントポジションを取られている。

なのはママには…………虎かな?の虎縞の耳が生えていて、犬耳が生えたフェイトちゃんを押さえ込んでいた。微妙にフェイトちゃんが、なのはママに怯えている事から虎の性質に犬のフェイトちゃんが怯えちゃっているらしい。アリシアは猫耳で、アリちゃママは犬耳。ユーリはわからなくて、ディアーチェは八神はやてと同じ狸耳だった。

因みに、士朗は熊耳で……恭にぃは狼ッポイ耳だ。どちらも補食者だから、周りから距離を置かれて警戒されているもよう。もう少し時間が経てば、もっとハッキリとした食物連鎖のグループに別れるんだろうけど、今のところは人間の意識が強いからグダグダ状態だった。

 

「……ソウニャくん?何処に行ったの!?」

 

そこで、耳に入ってきたのは唐突に消えた俺を心配するすずかママの声。下を見れば、キョロキョロと周囲を見回して俺を探すすずかママの姿があった。ついうっかり、浜辺の様子が面白くって時間を忘れて見入ってしまっていたみたいだ。

ヒョイっと、木の上から飛び降りてすずかママの目の前に姿を現せる。地面に降り立った瞬間、すずかママを驚かせちゃったみたいで小さな悲鳴が聞こえた。

 

「ごめんごめん。驚いた?」

 

「もう!心配したんだよ!?突然いなくなって、全然出て来ないからっ!!」

 

「えー……『突然いなくなった』を実践して見せただけなのに……何で、怒られなきゃならないの?」

 

「うぅっ……と、兎に角、一緒にいて!ほら、手を繋いでてあげるから!!」

 

理不尽な話ではあったけれど、機嫌も治ったみたいなので手を引かれるままみんなの所に戻る。だがしかし、すずかママは早くも戻って来なければ良かったと後悔している様だった。何故ならば、自分と同い年くらいになった忍に出迎えられたからである。周囲を見渡せば、様々な獣耳を生やした友人達と精神後退した知り合い達。おまけに、幼い姿になった大人達が良くわからない事を呟きながら、自分の身体を抱き締めて良い感じに大混乱中だったからだ。

 

「ど、ど、どど、ど、どうなってるの!?」

 

「あ、ユーリはライオンだったかぁ……補食者、多いなぁ。恭にぃとチローはわかるとしても……なのはちゃんとユーリ、かぁ……」

 

「え、えっと?」

 

「んー……獣耳魔法はね、その人の性格や性質に合った獣耳が出て来る魔法なの。それで、フェイトちゃんとアリちゃが犬化して……ディアーチェと八神はやてが狸。なのはちゃんとユーリが補食者最強の虎とライオン。アリシアは、すずかと同じ猫で……恭にぃが、狼?チローは熊かな?」

 

「つまり、獣耳に応じた性質を引き継いでいるってこと?」 

 

「まあ、そうなるねぇ……」

 

「でも……なのはちゃんやユーリちゃんは、間違いじゃないの?どう考えたって、なのはちゃんは虎じゃないよね?」

 

「さあ?それは、すずかがまだ知らないだけでなのはちゃんには、虎みたいな補食する側の性質があるのかもよ?」

 

何たって、管理局のエースオブエースらしいからね。

俺的には、管理局の『白い悪魔』って言った方がシックリ来るけど……流石に魔法云々の事は、なのはママの口から直接言い出させたいので黙っておく。その方が、なのはママにとってもアリちゃママ達にとっても良いだろう。

そして、ユーリの方は永遠結晶エグサミア関係でそうなってしまったのだろうと予測できた。まあ、神崎に言わせると『ラスボスだから』とか言い出しそうだけど。

因みに、俺の場合は獣耳ではなく角が生えてきた。

何の角かは、現在も不明。【鮮血の】は、ドラゴンじゃないかと言っていたけど龍族の鑑定結果は龍でもドラゴンではなかった。

幻獣ではあるらしいので、怪物ではあるという事だ。

 

「すずかは、猫……ま、まあ、なのはちゃんより性質上可愛らしいって事なんだよ!良かったじゃん!!」

 

「…………納得行かない……」

 

「この魔法に納得を求められてもなぁ……妖精の悪戯から始まった魔法だから、納得行かないのが常だし……」

 

「むぅ…………」

 

「さて、シグナム達は……あー、うん。精神弱体は、引きこもりを量産しちゃうのかぁ……」

 

暗い顔のシグナムが、美由ねぇと共に波打ち際で体育座りをして黄昏ていた。リニスとアルフは、獣の姿に戻り身を寄せあっている。精神弱体化が、どんな風に影響したかはわからないがあれはあれで良いって事にした。恐怖の対象が、ほぼいなくなった事により……ある意味、とっても平和だ。

幼児化した大人達は、プレシアはそうでもないけどリンディ辺りは完全に頭を抱えている。クロノ・ハラオウンは、そんな落ち込んでいるリンディを励ましていて大変そうだった。

 

「大きくても小さくても、息子に迷惑掛けまくりのリンディさんでした……と。最悪だな……」

 

「えっと……」

 

「モモちゃんは……チローと見詰め合っているし……狼と化したくせに、忍に怯えている恭にぃはどうした!?」

 

「あー……」

 

本能で、自分を追い詰める危険な存在だとわかるんだろうと結論付けて知らんぷり。ゆず子ちゃんとエイミィが、自分の状態を確認して呆然としているが……慣れれば問題無さそうなので放って置くことにする。

 

「えっと、これどうするの?」

 

「どう……って、僕的には恐怖の対象が減ってラッキーなんだけど……それじゃあ、ダメぇ?」

 

「……………………ああ!成る程!!」

 

すずかママが、一人納得したように大きく頷いている。

納得して貰えた様なので、このまま24時間程放置出来そうだ。なんて思っていると、ガシッ!と肩を掴まれてグイッと身体を反転させられた。そして、目の前には良い笑顔のすずかママが俺の両肩を掴んでズイッと迫ってくる。

 

「つまり、これはソウニャくんの仕業なんだね?」

 

「あー……うん。そだね……」

 

「じゃあ、みんなを元に戻せるよね?」

 

「…………24時間は、無理かなぁ?」

 

「そっか、24時間は無理なんだ……」

 

スッと離してくれたので、ビクビクしながら俯いたすずかママの顔を覗き込む。すると、薄く笑っていた。

瞬間、記憶の底から掘り起こされる黒化すずかママになる前兆の兆し。全力で、後方にバックステップしてすずかママから離れる。何故かすずかママは、キョトンとした顔で俺を見ていた。本の少しだけ、見間違いかな?とも思ったが……だからと言って、ここで近付く訳には行かない。

あの、『すずかママ』と同一の魂と心を持つ少女だぞ!?

何度、騙されたと思っているんだ!?

とりあえず、全力警戒で近付かない様にしながらジリジリと間合いを離して行く。ついでに、周囲にも気を配りディアーチェやヴィータがこちらに気が付かないかビクビクしながら隠蔽術式やなんやらを展開して行った。

 

「……モード《ステルス》……光の翼……《エイル》」

 

「させるかぁ!!」

 

透明化の魔法で、姿を消し翼を展開して逃げ様とした瞬間、ヴィータが飛び掛かって来た。いつ、小狸の魔の手から逃げ出したのかは不明だが、必死の形相で小さくなった水着が破れて申し訳ない程度に身体を隠している状態で、彼女(ヴィータ)が俺に手を伸ばして来ているのだ。

その全ての状況が、俺のトラウマを刺激しないはずがなく……俺の意識は、彼女の手が肩を掴んだ時点で一度フィードアウトした。

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

「ーーーーー?」

 

夕刻。

オレンジ色に染まる部屋の中で、理由は不明だが目覚めた俺は屍類々と化した別荘の一室を目撃する事となった。

周囲を見回せば、誰彼もがグッタリと床に倒れて(?)いる。

一人フラフラと立ち上がって、足元から周囲に視線を移して見回す。何故か、足元には酒瓶が散乱していて……しかし、コップが存在していない。幼児化した大人達は、みんな顔を青くしてうつ伏せの状態で気を失っている。

 

「急性アルコール中毒?」

 

ふと思い付いたが、流石にそれはないだろう。

肉体を持っているならまだしも、高次魔力の質量体である俺がここに散乱している程度のお酒で酔っ払ったりはしない。

即ち、急性アルコール中毒は無いという結論に至った。

 

「さて、自然と幼児後退化から戻るイコール死亡って方程式が持ち上がって来ているが……最近、死に過ぎだよなぁ」

 

まあ、仕方がないと言えば仕方がない。

この【魔法少女リリカルなのは】の世界に来た当初、散々問答無用で人類を大量虐殺してしまったんだ。この程度の代償で、済んでいるんだから『儲けモノ』と言っておくべきなんだろう。酷い時は、徹底的に酷い目に遭うのだから今は気にする所ではない。

 

「…………子供の体重では、酒瓶に足を取られて後頭部を打ち付けた事による脳挫傷にはならんだろうしなぁ……まあ、精々脳内出血……かな?そして、みんなはシャマル先生のPKで沈んだって事にしておこう。」

 

憶測を口にしている間に、何となくそれッポクなったので推理終了。倒れている人達を乗り越えて、俺は台所へと向かって原因を確認した。

固形物ッポイが、得体の知れない物体Xがフライパンの上に転がっている。明かりを付けて確認するが、元ネタが何であるのかわからなかった。

 

「せめて、肉なのか野菜なのかわかるモノを作ろうか?シャマル……もとい、ゆず子ちゃん……」

 

多分、俺もこれで殺られたんだろうと納得する。

お酒の席で、おつまみとしてコレが出された結果があの屍類々なのだろう。一種のダークマタみたいなので、サンプルを取ってから残りをゴミ箱に叩き込む。そのついでに、洗い物も済ませて夕食の準備に入った。もしかすると、朝食かも知れないが手軽に食べれそうなモノを作って行く。

シャマル先生のおつまみの後で、俺(幼児)が作った手料理を彼等が食べるかは不明だが食べてくれないのなら恥を捨てて泣き叫んでも問題は無いだろう。

 

 

さて、今日は何して遊ぼうか?

 

 

 

 




夏の海でのお話。本当は、行ってきたよ!ただいまー程度で済ませるつもりだったのに……なんで、長文に!?
全く、海に行くまでを書いたら止まらなくなってしまったよ……。はあ⤵

双夜、遊んでるけどもう少ししたら仕事三昧に戻るから放って置いてください。彼は、やらなければならない事に気が付いていません。リーゼ姉妹は、リンディさん達を出す上で登場させたんだけど……普通に水着を着て、バカンスを楽しんでいます。まあ、フレールくんの監視付きでw

最後のオチは、シャマル先生のPKで〆。
双夜すら、一撃必殺です☆!!

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