東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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お久しぶりです。約3週間ぶりの投稿になってしまいましたね。遅れてしまって申し訳ないです。遅れた理由を順に書くと、部活の大会その一、テスト、修学旅行、部活の大会その二といった感じです。我ながら多忙な3週間でしたよ。こんな私をお許しください。

〔本当は昨日の時点で投稿できたんじゃないのか?〕
〈確か昨日はmarvelオールスターバトルと東方萃夢想をやってたよな〉

なんで言っちゃうのさ!あんたら私と同一人物でしょうが!

〈だって怒られるのあんただも〜ん〉

ぐっ…こいつめ……。

〔まぁ、反省しろよ〕

本当に申し訳ございませんでした。

〔反省してるみたいだから、読者の皆さんも許してやってほしい〕
〈早く本編行こうぜ!〉
〔お前は……まぁいい。
それでは、本編をどうぞ〕


第八十一話

タタタタタッ!グシャッ!バキッ!

 

調子良く響くサブマシンガンの発砲音と肉を叩き潰す湿った音が合わさり、戦場のリズムが完成する。

パッチとエレイはガナード達に囲まれた状態で戦っていた。

 

「パッチ、調子はどうだ?」

「大丈夫です。弱点さえわかれば、すぐに倒せます」

 

エレイがサブマシンガンで相手の膝を撃ち抜き、動けなくなったところでパッチが首と心臓の寄生虫を殴り潰す。確実性を求めた結果に出来上がった戦法である。

不意に1体のガナードが飛びかかった。しかし、パッチは冷静に身をかわす。ガナードにはパッチの身体の影になって見えていなかったのだろう。その胸と首にはアサルトライフルの照準がしっかりと向けられていた。銃口から弾が飛び出し、脊椎と心臓を数十分の一秒の差で撃ち抜いた。ガナードの身体から力が抜け、崩れ落ちる。

仲間が一定数死んだことで危機に気づいたのだろう。ガナード達の動きが変わった。ジワジワと包囲の輪を狭めることを止め、全員が一斉に飛びかかった。

 

「土人形『ゴーレム』!」

 

ガナード達は突如として地面から現れた土人形達に受け止められた。そのまま押し合いの力比べが始まる。

魔力によって仮の生命を吹き込まれた土人形と寄生虫によって化け物じみたパワーを手に入れ操り人形と化した人間達。どちらも決して弱者ではない。事実、パワーはどちらもほぼ互角であり、ゴーレムの身体が少し崩れると同時にガナードの骨が折れていく。

結果的に両者とも全滅だった。ゴーレムは吹き込まれた魔力が切れたことで土に還り、ガナードは全身の骨が限界を迎えて動けない。

エレイは動けないガナードに歩み寄ると、その口の中にショットガンの銃口を突っ込み、引き金を引いた。

 

ドガァン!

 

ショットガンの1発はガナードの上半身と寄生虫を粉々に吹き飛ばした。肉片がベチャベチャと飛び散り、周りに広がるが、エレイは全く気にしていない様子で全ての動けないガナードを同じ方法で始末した。ガナードの残骸はパッチが血液でしっかりと火葬する。

 

「こ、これはどういうことじゃー!」

 

突如、叫び声が響き渡った。その声量に驚いたパッチとエレイが声の出所を見れば、立派な顎髭を生やした50歳程の大男が灰と化したガナードを手にして泣いていた。

 

「骨も残さず…こんな灰にしてしまうなど……酷い、酷すぎるゥゥウ!あーんまりだぁぁぁ!」

 

どこかで聞いたような叫び声を上げて泣く大男を見て、エレイは呆れた顔をしているが、その隣に立つパッチは心が痛くなった。大男に近づこうとするパッチだったが、エレイに止められた。

しばらく泣き叫んだ大男は不意に静かになり、ムックリと立ち上がると鋭い眼光で周りを見回した。そして、パッチとエレイが視界に入ると同時にその身体からとてつもない殺気が噴き出した。

 

「儂の仲間達をこんなにしたのは貴様らかぁー!絶対に許さん!ぶっ殺してやーる!」

 

男は怒りに任せ、地面を殴りつけた。途轍も無い衝撃波が発生し、地面が割れる。さながら、某緑の巨人である。

咄嗟に跳び上がって衝撃波を回避するパッチとエレイだったが、パッチは動揺からか少しだけ遅れ、衝撃波が爪先を掠めた。直後、パッチの足首がゴキリという音と共にありえない方向へ曲がった。パッチの身体に衝撃が走る。あまりの衝撃に、掠めただけで骨が折れたのだ。

足首を砕かれたパッチは着地に失敗し、その場に倒れた。

 

「ぐっ…あぁぁ……」

「パッチィィィィイ!」

 

呻き声を上げるパッチと仲間の負傷に叫ぶエレイ。大男はそれを見て静かに笑みを浮かべ、ゆっくりと2人に近づく。

 

「貴様らがしたことは命を奪う行為だ。こんな痛みでは裁きとしてはまだまだ緩いだろう?死んだ仲間の分だけ痛めつけてくれるわぁ!」

 

瞬間、大男の姿が消えた。慌てて周りを見回すエレイだが、大男の姿はどこにも見当たらない。ひとまず、パッチを安全な場所まで運ぼうと、エレイはしゃがみこむ。そのとき、パッチが叫んだ。

 

「エレイさん危ない!」

 

パッチの声にエレイは顔を上げる。目の前には大男の拳が迫っていた。慌てて後ろに飛び退くエレイだったが、拳の方が速かった。エレイは顔を殴り抜かれ、よろけたところを更にアッパーで打ち上げられた。しかし、大男の攻撃は止まらない。

 

「これが儂のボクシングスタイルじゃァァァァァァァア!」

 

拳のスコールがエレイに襲いかかる。1発1発のパンチがエレイを吹っ飛ばすほどに重い。しかし、大男はそれ以上のスピードで動き、パンチを打ち続ける。全てがエレイに直撃、完全にサンドバッグ状態である。

ラストの1発、大男はエレイを大きく打ち上げ、腕を大きく振り被ると、落下してきたところに最大クラスのパンチを打ち込んだ。

エレイはまるで野球のボールのように一直線に吹っ飛び、岩に突っ込んだ。

パッチはエレイの元に向かおうとするが、砕けた足のせいで上手く動けない。更に、気が動転していたために蒸気噴出による移動も忘れていた。

ガクリガクリとからくり人形のように歩くパッチのことを大男が忘れているはずがなかった。大男はパッチに近づき、首を掴んで持ち上げると、首を握る手を力を入れた。パッチの気道が塞がり、呼吸ができなくなる。視界が暗くなっていく。その手を外そうと手首を全力で掴むパッチだったが、大男は表情を少し歪めただけで力を緩めない。それどころか、更に力を強めた。今度は呼吸だけでなく、血流まで止まる。見ている景色が遠くなる。

パッチが完全に意識を手放しかけた瞬間、大男はパッチを地面に投げつけた。気道が確保された直後に背中から叩きつけられ、肺から空気が押し出された。パッチは激しく、苦しげに咳き込む。そんなパッチを見下ろしながら、大男が話し始める。

 

「殺しはせんよ、貴様もあの赤い小僧もな。命が消えるのは辛い、儂にはそれがわかるでのぅ……今は生かしておいてやる。

じゃが、貴様らはやり過ぎた。これ以上無いくらいに痛めつけてぶっ殺してやるァ!」

 

大男はパッチを蹴り上げると、自身も高く跳び上がり、両手でハンマーを作って、振り下ろした。パッチは隕石のようなスピードで轟音を立てて地面にめり込む。更に、大男はパッチの上に着地し、踏みつけた。

 

「ア"ァ!ア"ァ!ア"ァァァァァア!」

 

大男は狂気染みた叫び声を上げながら、何度も何度もパッチを踏みつける。骨が折れ、砕ける音が響きわたる。パッチが意識を失ってもそれは続いた。

 

 

 

 

回復が追いつかず、パッチに死が近づく。エレイはそれを岩の中から見ていた。口からは血が流れ、全身が痛い。身体を動かそうにも、岩にぴったりとはまって指一本を動かすことがやっとである。それでも、仲間が傷つけられているところをただ黙って見ていることは性に合わなかった。

エレイは魔力を使い、自身がめり込んでいる岩から水分を奪った。岩は砂になり、エレイは岩から脱出する。脱出と同時に大男の足が踏み下ろされ、パッチが燃える血液を吐き出すが、大男は全く気にしていない。大男はゆっくりと振り返り、エレイを見つけるとニヤリと笑った。

 

「来たか小僧。ほれ、貴様のお仲間さんだぞ」

 

大男はボロボロになったパッチをエレイの方に蹴り飛ばした。

 

「生きているから安心しろ?生きてなきゃ痛めつける意味がねーからなぁ」

 

エレイは黙ったままパッチの胸に手を当てた。心臓は動いている。エレイは無言でパッチを木陰に移動させた。

大男に向き直ったエレイに表情は無い。それに違和感を覚える大男だったが、彼は恐れていなかった。なぜなら、彼もまたプラーガDの加護を受けた者。強大な力を手に入れたために既に恐怖という感情は無くなっていたのだ。

エレイが無表情ながらもはっきりと怒気がこもった声で話し始める。

 

「俺にあんたを殺す権利は無い。あんたも、俺達があんたの部下を殺さなければ、俺達と敵対することはなかった。それでも、幻想郷は俺の故郷だ。異世界の幻想郷であってもそれは変わらない。幻想郷最大クラスの勢力を潰そうなんざパワーバランスの崩壊につながりかねん。そもそも、仲間がこれほどまでボロボロにされても怒らないないほど、俺はクールじゃないんでなぁ。面倒だが、あんたを消すことにさせてもらう」

「ほぅ、儂を殺すのか。なかなか素晴らしい目標じゃないか。だがな……

儂を殺すなど、調子に乗ってんじゃねーぞ、小僧がぁぁぁあ!」

 

大男は額に青筋を浮かべ、エレイに殴りかかった。エレイはそれを片手で受け止める。辺りに衝撃波が発生し、地面が陥没するが、エレイはその場を動かなかった。拳を受け止められた大男は表情を変える。

 

「吸血鬼の筋力、なめるなよ?」

「ククク…アハハハハハ!

よかろう、第2ラウンドだ!」


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