東方戻界録 〜Return of progeny〜 作:四ツ兵衛
言いたいことはすべて言った。みんなが俺をどう見ているかは知らない。だが、誰がなんと言おうと俺は人間だ。みんなが俺を人間として見てくれるなら、もっと嬉しいが…。
「人間でいいじゃないか。」
「えっ?」
「完全な人間じゃなくたって、人間でいいじゃないか。」
「そうね。」
「そうだな。」
「ここは幻想郷だぜ。人間じゃないやつだって普通に生活している。完全な人間かどうかなんて小さいことどうでもいいじゃないか。」
「俺を……人間として見てくれるのか?」
「当たり前だ。お前が頼めば、神としても化け物としてもゴミとしても見てやるよ。」
((ゴミはないだろ。))
「ありがとう。」
「別にいいって、私たち友達だろ。」
魔理沙がかけてくれた言葉は俺にとって最も嬉しいものだった。
「私も友達よ。」
「俺だってお前が人間じゃなくても友達だぜ。」
(そうか、ここは幻想郷、気にする必要はないよな。)
俺の心の中のモヤモヤが少し消えた。
「突然、完全に人間か?なんて質問して悪かったわね。」
「別にいいよ。俺も、自分が人間でいいのか、って悩んでいたから。」
俺は人間として生きていいことが分かりとても嬉しかった。
俺は、幻想郷での生活について考えている。
「範人〜。」
「うわっ!て、なんだ姉さんか。」
突然スキマが開き、姉さんが飛び出してきた。
「なんだ、って何よ。」
姉さんは少し不機嫌そうだ。
「ごめんごめん。で、何。」
「実は人里に行くことなんだけど」
「ちょうど良かった。そのことで話があったんだ。」
「ごめんね。今日いっしょに行けなくなっちゃったわ。」
「別にいいさ。俺も少し疲れたから行く気なくなったし。明日、いっしょに人里に行けばいいだろ。」
「そうね。明日は特に用事もないからいいわよ。」
「ありがとう、姉さん。」
「じゃあ、私は戻るわね。」
そう言うと姉さんはスキマに戻っていった。
「範人、お前って紫の弟だったのか?」
(霊夢と魔理沙は話してくれなかったのか。)
霊夢と魔理沙に目を向けると二人は目で、ごめん伝え忘れてた、と返してくる。
「俺は実の弟じゃない。小さい頃から面識があったからそう呼んでいるだけだ。」
「なんだ、びっくりした。」
「そういえば、なんでみんな驚くんだ?」
「そりゃあ、紫がBB「魔理沙、O☆HA☆NA☆SI☆しようよ。」え⁈」
どこからともなく姉さんの声が聞こえ、魔理沙はスキマに落ちていった。
「紫はこの幻想郷の創設者なのよ。」
「なるほどな。」
かなりの年齢ってことは知ってたけど、姉さんってすごいな。
「そうだ霊夢。でかくて力のあるやつが働けそうなところあるか?」
俺はデューの働く場所について考えていたため訊いてみた。
「そうねぇ。あっ、紅魔館はどう?」
「紅魔館?どこだよ?」
「霧の湖のところにある紅い館よ。そこの門番なんてどう?既に1人いるけどいつも居眠りしているから。」
「門番か、良いね。そこに行ってみる。」
俺は外へ向かう。
「じゃあな、霊夢。ありがとな。」
「またいつでも賽銭入れに来なさいよー。」
「気が向いたらな。」
俺は博麗神社から飛び立つ、目指す場所は紅魔館だ。
「あれ、なんでだ?」
姉さんからもらった地図が下手なものから上手なものに変わっていた。
博麗神社は今回で一旦終わります。次からは、紅魔郷の1、2面と日常です。皆様は、範人の言葉遣いの変化に気づいたでしょうか。これからは、範人の言葉遣いを優しくしていこうと思います。ではまた、次回お会いしましょう。