東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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時間軸的にはラクーン事件後一週間以内、アンブレラ倒産前です。
今回は久しぶりに範人目線でお送りします。三人称と一人称が安定せず、すみません。


範人の過去話 デュークの救出

俺はモノリスを素材に新しい武器を作っていた。

 

加工方法を父さんから教えてもらったばかりの頃に比べたら、最近は大分上手くなったと思う。と言っても、実際に武器として作るのは初めてのことになるのだが……

まぁ、こんなに加工の難しいものを加工しているだけでも充分すごいのではないのだろうか?

 

熱して叩いて形を整えながら鍛える。こんな作業をかれこれ5時間もしているのだが、そろそろ完成である。

 

「うしっ!できた!」

 

出来上がった刀を持ち上げて、蛍光灯の光にかざす。その鋭い切っ先は光を反射して美しく輝く。先に作っておいた鞘に刀を収める。寸法をしっかりと調整した刀はぴったりと鞘に収まり、最後には鍔と鞘の当たるチャキンという心地よい音が響いた。

我ながら良い出来映えである。

 

「大変だー!」

 

「うわっ⁉︎」

 

俺が刀の出来映えに満足しているとレイジが作業場に飛び込んできた。驚いて刀を落としそうになってしまう。

 

騒がしいやつだ。作業のときくらいは静かにしていてもらいたい。モノリスはとても重いため床なんかに落としたら、床に穴が開くのはほぼ確定事項である。邪魔はしないでいただきたい。

 

俺が不機嫌な顔をして振り向くとさすがに反省したらしく、シュンとしてしまった。

そこまで怖い顔をしたつもりはないんだが……まぁいい。機嫌取るか。

 

「丁度良いところに来たね。今、レイジに頼まれた日本刀が出来たところなんだけど……欲しい?」

 

「え?マジで?サンキュ!大事にするぜ!」

 

「ちょ…おい!やめんか!」

 

つい先程まで暗かったレイジの表情が一気に明るくなり、俺の頭をガシガシと力強く撫でる。

 

本当に単純なやつだと呆れてしまうが、常に頭の中で色んなことを同時に、しかも冷静に考えているレイジの性質故だろう。

コロコロと表情が変わる彼を見ていると、こんなのが自分の双子の兄ということに少し納得がいかなくなるが、それが彼の良いところだとも思える。現に、そんな彼を見ていてもあまり悪い気分ではないし、大抵のことは許すことができる。

 

レイジは刀を鞘から抜くとその刀身に指を這わせた。指は刃の表面を滑らかに滑り、すぐに先まで到達してしまった。次に、彼は刀を構える。青を中心とした色合いのその刀はレイジの手に握られたことにより、さらに輝きを増したようにも見える。彼は満足したように頷き、刀を鞘に収めた。

 

「すごいでしょ?まだ、機能があるんだよ。」

 

「それは本当か?」

 

「うん。刀に血を吸収させてみなよ。」

 

「お、おう……」

 

レイジは自身の手首を刀で軽く切った。大量の血が流れ出てリストカットに見えてしまうが、生物兵器である彼にとっては大したことではない。レイジは冷静に血を刀に注いだ。刀は血を吸収し、青が一瞬だけ紫に染まり、すぐに青に戻る。

 

「すごいな。こんな機能があるなんて……」

 

「ふふふ、今度は刀から少し離れて、刀にこちらに来るように念じてみてよ。」

 

「なんでまた……」

 

ブツブツと愚痴をこぼしながらもレイジは俺に協力してくれる。彼は刀を床に突き立て、作業場の端まで移動した。刀に向けて手をかざす。すると、刀はひとりでに床から抜け、彼の手に向けて飛んでいった。

レイジはギョッとした表情を浮かべるが、そんな状態でも刀をしっかりとキャッチする。キャッチした後も表情が変わらない彼は実感が湧かないようだ。

 

「刀が思い通りに動く気分はどうかな?」

 

「……すげぇ……なんだよ…これ……」

 

「上手く扱えているよ。絶刀”蒼牙”はレイジに適合したみたいだね。」

 

「刀の名前くらい俺に決めさせてくれよ。」

 

「ダーメ、製作者は俺だもん。

ところで、何が大変なの?」

 

「あ、そうだ!すぐにテレビつけろ!」

 

レイジが急かすため、言われた通りにテレビをつける。そこには煙を上げる街の様子が映し出されていた。カメラがある建物を写した瞬間、俺はハッとした。そこは俺の知っている街ですぐ近くだった。

 

「ここ、隣街だよな……」

 

「うん、そうだね。」

 

カメラが写している街は俺が住んでいる街のすぐ隣の街だった。

 

カメラは街中を進んでいく。すると、あるところで立ち止まった。どうやら、生存者を見つけたらしい。

道路に倒れた生存者らしき者は手足がピクピクと動いている。カメラマンがそれに近づくとそれは上体を起こした。しかし、それは助けを求めることなく、彼の喉元に噛み付いた。彼の首から血が噴き出し、そいつは彼を一心不乱に食い始める。

そいつが顔を上げ、カメラの方を向いたとき、そいつの血塗れの顔と白濁した眼が写った。カメラのレンズに血が滴り落ち、カメラの映像はそこで途切れた。

 

俺はその映像にただ唖然とした。最近、他の場所でも起きたというのに、こんなに近くでもこれが起こるのだと思った。

 

「さっきのあいつ…ゾンビ……だよな。」

 

「ああ、そうだ。」

 

「バイオハザードが起きたってことはデュークが危ないんじゃ……」

 

「その通りだ。助けに行くぞ。」

 

「うん、わかった。」

 

俺たちは外出の許可を得るために父さんの元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは父さんに今起こっていることとデュークを助けたいということを話した。父さんはその意見を否定することもなく、最初から最後まで真剣に聞いてくれた。

 

「というわけなんだ。許可をくれない?」

 

「もちろんいいよ。」

 

「やった「そのかわり!」…え?」

 

「シオンも連れて行くこと。この救出だとシオンの力はきっと重要になってくる。」

 

「うん、わかった。」

 

「じゃあ、車に乗って。すぐに出発するよ。」

 

父さんは車庫に向かう。俺たちはもシオンを連れて車庫に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父さんが送ってくれたのは街の入り口まで。街の中に入ってしまうと、ゾンビたちが彷徨いていることは明白なため、ワクチンを持っているとしても、生身の人間である父さんにとっては危険すぎる。俺たちは車から飛び出すとデュークの家を目指して走り出した。

 

街に入って数十mほどで最初のゾンビに遭遇した。20歳くらいの男性である。

 

たった数十mで遭遇とは、父さんの判断は正しかった。まぁ、1匹くらいなら俺たちでどうにでもなる。でも、ここで1匹なんて、中心のほうではもっと多いんだろうな。気を引き締めて行かないと!

 

俺はゾンビの腹にパンチを1発打ち込んだ。俺の拳はゾンビの身体を最も簡単に貫通してしまった。腕に血のヌルヌルとした感触がまとわりつき気持ちが悪い。

俺が腕を振るとゾンビから腕が抜けて、ゾンビは飛んでいった。ゾンビはコンクリートの塀に頭から激突し、脳漿をぶちまけて絶命した。塀には素敵な赤い落書きが残る。

 

「赤い花が咲きました、っと。」

 

「もっと派手なものは咲かないのか?」

 

「ゾンビの数がもっと多くないと無理だね。」

 

「……噂をすれば、お出ましのようだな。」

 

見ると通りの500m程先に30匹くらいのゾンビたちが彷徨いているのが見えた。

この通りを直進するのが最も早くデュークの家に着く道筋のため奴らを殺すのは当然のことだ。1匹だけじゃ殺し足りなかったし、丁度良い。

 

俺は地面を蹴り、全力で走る。ゾンビの集団が目前に迫り、殴るために腕を構えたが、俺の拳がゾンビたちに当たることはなかった。

 

突如、俺の横を何かが駆け抜け、ゾンビの集団に突っ込んだ。そのあまりのスピードに衝撃波が発生し、通りに面した家々の窓ガラスがすべて割れた。

そのスピードはおそらく、光速を超えていただろう。ソニックブームまで発生し、木々は切り倒されていた。

ゾンビの集団に目を戻すとそこには一面に血をぶちまけられて赤く染まった道路があった。ところどころにゾンビだったと思われる肉の屑や砕けた骨が散らばっている。

 

その光景を見て、俺はため息を漏らす。これの犯人はわかりきっていた。

 

「レイジ、少しくらいは獲物を残してくれよ。」

 

レイジである。その彼は先ほどまでゾンビの集団がいた場所の先で蒼牙についた血を払っていた。

 

「は?なんでだ?こういうのは早いもん勝ちだろ?」

 

「早いもの勝ちって言ってもな……

お前の速さは光速を超えるんだからお前より速いやつなんてほとんどいないからな。」

 

「そういうハントも光速で動けるじゃねーか。」

 

「俺の場合は光の粒子だからいいの。

レイジの場合は光速に自分のスピードを上乗せして、そのままの状態で動き回るから危険なんだよ。

見ろ、通りの家々を。ガラスなんて粉々だ。」

 

「やっちゃったぜ!」

 

「まったく……やっちゃったぜ!じゃねーよ。」

 

俺は何故かドヤ顔になっているレイジの元まで光速で移動し、頭にチョップをお見舞いする。別に本気でぶつけたわけではなかったのだが、レイジは頭を押さえた。

 

弟にツッコミを入れられる兄とはいかがなものか?

……いや、俺も兄なのだが、しっかりしていると思う。というより、しっかりしていると願いたい。

 

ふと、シオンの方を見ると、シオンが此方に片手を向けているのがわかった。その変形した手には黒光りする銃口が見える。彼が目を動かした方向に俺は首を傾けた。

その瞬間、俺の耳元を銃弾が掠める。後ろを振り返ると、どこから現れたのかわからないゾンビが眉間から血を流して倒れていた。

 

「射的の腕上げたじゃないか。」

 

「へへへ、ありがとう。僕だって成長するんだよ。あれくらい簡単さ。

……お兄ちゃん、喧嘩はしないでよ。」

 

「悪い悪い。」

 

シオンは此方に向けていた片手を元の形に戻しながら言った。別に喧嘩していたつもりはないのだが、そう見えていたのなら仕方ない。素直に謝る。

 

……弟にツッコミを入れられる兄がいかがなものか?と思っていたが、それは俺も当てはまっていたらしい。少し恥ずかしい。

兄弟姉妹は年下になるとしっかり者になるのだろうか?よくわからないが、俺たち兄弟を見ているとそう思えてくる。

まぁ、兄弟の中で一番家事をするのは俺なのだが……

 

「早く行こうぜ!」

 

「ああ、うん。」

 

走るレイジのあとを俺は粒子化で、シオンはジェット噴射機能を使って追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから後はあっと言う間だった。2、3回ほどゾンビの集団に遭遇したが、研究所の資料で見慣れている俺たちは恐怖で怯むことなくゾンビたちを殺してデュークの家を目指した。

殺すことに躊躇いなど微塵もなかった。

 

今はデュークの家に着いたが大分マズイことになっている。

この街にタイラントが投入されていたのだ。しかも、6体。

ゾンビの群れを殲滅するなどと派手に暴れた俺たちがそいつらに見つからないわけがなかった。全力で逃げて、デュークの家の中に隠れたのだ。

 

「ウアァァー……」

 

「チッ……!」

 

「おい、嘘だろ⁉︎」

 

デュークの両親がそこにいた。しかし、既に人ではなく、ゾンビ化している。俺たちはこの街で初めて、殺しを躊躇った。それでも、殺らなければならない。生きるためには、死なないために殺さなければいけない。

 

「…ごめん。せめて、痛みは一瞬の内に……」

 

俺の拳は父親の頭を、レイジの拳は母親の頭をそれぞれ殴り、衝撃で破裂させた。

涙とともに怒りがこみ上げてくる。街をこんな風にしてしまった元凶が何かは知っている。ラクーンシティと同様、アンブレラだ。

そんなとき、近くのクローゼットから声が聞こえた。

 

「……グッ…ガハッ……ハント、レイジ…いるのか?」

 

「「デュークか?」」

 

俺とレイジはクローゼットの扉を開ける。そこには身体中至るところを噛みちぎられたデュークがいた。ところどころの皮膚が変色し、既に変異が始まっている。既に出遅れだと悟った俺はすぐにシオンを呼び、特殊な治療を始めさせた。

 

「今から、魂と身体を分離させる。姿は変わっちまうけど、中身はデュークのままだ。死ぬよりはよっぽどマシだろ?」

 

「ああ……早く治してくれ…」

 

「わかった。シオン、デュークを頼んだぞ。

俺とレイジはあいつらを相手にしてくる。」

 

俺は窓の外を指差す。そこには3体のタイラントがおり、俺たちを探していた。こんなに近いのだから、見つかってしまうのも時間の問題である。

 

俺もレイジも死ぬのは嫌だ。でも、こんな家の中で見つかってしまえば、4人とも死ぬのは確実だろう。それなら、誰かが犠牲になってでも誰かを生かした方が良い。今回は偶々死ぬ可能性の高い役を俺たちがするだけだ。

 

「デューク、待ってろよ。この地獄からすぐに助け出してやる。」

 

俺の声がデュークに届いたのかはわからない。だが、聞こえていたと信じたい。魂だけになった彼は目に見えなくとも、きっと、俺たちのことをすぐ近くで見ているはずだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺とレイジが庭に出た瞬間、1体のタイラントが此方に気づいて咆哮した。他のタイラントもその声に反応し、此方を振り向いた。

出し惜しみなんてしている場合ではない。俺とレイジは一番近くのタイラントに狙いを定め、跳躍した。左右から同時に頭を殴り、叩き潰す。頭の潰れたタイラントは地面に崩れ落ちた。

 

「ナイスタイミングだ!」

 

「お前もだろ?」

 

俺とレイジは全身に力を込める。俺の身体は黒い甲殻に覆われて炎を、レイジの身体は青と白の毛皮に覆われて冷気を噴き出す。

 

「しゃあぁぁー!ノってきたぜー!」

 

充電(たいりょく)が切れる前に片付けるぞ。」

 

俺は肩から生えた鎌を構えて、タイラントに突進した。タイラントの鉄拳が唸りを上げて迫ってくるが、俺は鎌で腕を切り飛ばし、首を刈り取った。鎌には炎を纏わせていたため、傷口が再接合することはない。

レイジは飛びかかってきたタイラントの両腕を掴んだ。タイラントの身体がだんだんと凍りついていき、最終的には完全に凍結してしまった。彼はそれを空中に放り投げ、落ちてきたところを尻尾の一振りでバラバラに叩き割った。

 

俺は手に持ったタイラントの頭を他のタイラントに投げつける。しかし、タイラントからは仲間意識など微塵も感じされず、飛んできた頭を叩き落として踏み潰した。

 

つくづく可哀想なアンブレラの子供である。感情など一つも持たず、ただ命令だけに忠実に従う。対象を壊すことだけに生きる意味を持つ悲しい悲しい子供たち。

 

今……殺し(楽にし)てあげる。だから、動かないで……動くと痛いから……

 

「レイジ!」

 

「おう!」

 

俺はレイジに向かってドロップキックをする。すると、彼は俺の足首を掴んで勢いを利用し、ジャイアントスイングを始めた。俺は身体をくの字に曲げ、鎌を目一杯伸ばす。十数回の回転の後、レイジは俺をタイラントに向けて投げ飛ばした。

俺の鎌は行きでタイラント2体の首を刈り取り、帰りで身体を真っ二つに切り裂いた。タイラントは血と肉と内臓をぶちまけて、その場に崩れ落ちた。

 

「決まったぜ!名付けて『クレイジーブーメラン』だ!」

 

「でも、まだ油断はできないみたいだよ。」

 

「ああ、そうみたいだ。」

 

遠くからタイラントが走ってくるのが見える。俺たちはそいつを殺そうと走り出したが、双方とも3歩目で異変が起きた。

変異が解除され、身体から力が抜ける。充電(パワー)切れだ。立っていることすらままならない。俺とレイジはその場に倒れ込んだ。

その間にもタイラントは走ってくる。感情の類いが感じられないその白い目からに俺は恐怖した。俺は無意識の中で蟻のように殺されるのだろうか、と。

タイラントは目の前で止まり、俺の頭を掴んで持ち上げた。その手には徐々に力が込められ頭蓋骨がミシミシという音を立てる。その痛みに悲鳴を上げてしまう。

 

「ガアァァー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウオォォー!ハントを放せー!」

 

突然、俺の背後から新しいタイラントが現れ、目の前のタイラントを殴り飛ばした。タイラントは顔面を崩壊させ、10m程吹っ飛んだ。しかし、顔面崩壊の大怪我にも関わらず、何事もなかったかのように立ち上がった。此方に向けて再び歩みを進めてくる。

 

「お兄ちゃんには近づけないよ。」

 

背後からレーザーが飛んできた。そのレーザーはタイラントの胴体を貫き、炎上させる。しかし、タイラントは構わず突進してきた。シオンが俺たちとタイラントの間に割り込み、前面の全砲門を開放する。そのわずか数十分の1秒後、シオンの身体から無数の弾丸が発射され、タイラントの身体を蜂の巣にした。

 

シオンが此方を振り向き、手を差し伸べてくる。

 

「無茶し過ぎだよ、お兄ちゃん。」

 

「ハハハ……悪いな。」

 

俺はその手を取り、立ち上がる。レイジは今さっき助けてくれたタイラントに手を貸してもらって立ち上がった。

そのタイラントにはボサボサの長い黒髪があり、目は白くなっていたものの表情がある。俺はその髪と表情に見覚えがあった。

 

「シオン…あいつって……」

 

「うん、デュークだよ。」

 

「助けてくれてサンキューな。」

 

「そうか。命だけでも助かって良かったよ。

まずは服を着ないとな。これを着てくれ。」

 

俺はバッグの中から黒緑色のトレンチコートを取り出した。普通の人間からすれば、大き過ぎてとても着れたものではないのだが、タイラントになったのならば、サイズはぴったりだろう。

デュークは文句を言わずにそのコートを着た。

 

「さあ、帰ろうか。」

 

「え?どこへ?僕の家はもう無いんだけど……」

 

「何言ってんだ?俺たちの家に決まってんだろ。そもそも、この街にはもう誰も住むことはできねーよ。結局、政府が滅菌作戦とか言って、核ミサイルは無いにしろ、空爆とかさせるために適当な軍隊は送ってくるんだろうし。」

 

「ねぇ、行こうよ。」

 

「みんな……ありがとう。」

 

「お礼はこの街から出て、安全が確保されてから言えよ。

さあ、回復したみたいだし、走るぞ!」

 

俺たちは街の出口を目指して走った。近づくゾンビたちは容赦なく捻り潰し、とにかくこの街から逃れることを考えながら走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父さんの車に辿り着き、全員が乗り込む。トラックを改造した父さんの車なら、デュークも軽々と乗ることができた。

 

数分後、家に着いてから、空を見上げると上空を多数の戦闘飛行機が飛んで行くのが見えた。そして、その翼には傘を広げたような忌々しいマークが描かれている。

 

名誉挽回しようとしているのだろう。哀れな奴らだ。

アンブレラがいくら人助けをしようと、それはもう手遅れでしかない。自分たちが実験で奪ってきた命と、漏れたウィルスで失われた命、そして、壊れた街はもう戻らないのだから。

実に素晴らしく愚かで醜いクソ野郎共だ。

 

空を見上げるデュークの目から一滴の涙が溢れ落ちた。太陽光の関係でその表情は見えない。

 

「Damn it!」

 

デュークのその呟きは哀しい囁きとなって、俺の耳の奥深くに強く残った。




今回のゲストはダブル火車です。

「どうも皆さん。矢骨です。」

「どうも、お燐だよ。」

「早速だが、作者。本文の中に冷仁(レイジ)と詩穏(シオン)の能力が書かれていなかったけど、どうなんだ?」

それはですね。本文の中に無理矢理突っ込んだら、文章が不自然になってしまうと思ったんです。説明は面白くないと思いましてね。

「へぇ〜、そうなんだ。じゃあ、ここに書くのかい?」

そうなりますね。と、いうわけで能力発表です。

冷仁(レイジ)の能力は
『限界を突破する程度の能力』です。
これは、物体の速さの限界である光速や低温の限界である絶対零度を自分のパラメータに上乗せするという能力です。つまり、様々な限界値の上乗せです。絶対零度の場合は絶対零度を下回る低温を作り出してしまいます。ただし、限界の無いものは上乗せ出来ません。ちなみに、絶刀"蒼牙"の移動もこの能力に関係しています。

詩穏(シオン)の能力は
『魂を操る程度の能力』です。
これは、単純に魂を操るという能力です。単純故にかなり強いです。ただし、自由に操れる魂は辺りを浮遊している死者の魂と同意を得た者の魂だけで、それ以外の魂は一応取り外しは出来てもそれだけでかなりの力を消費してしまいます。
特別な治療法とは、一時的に魂を取り外してウィルスの攻撃性の侵食から分断し、侵食が終わってから魂を戻すことで魂を守るという方法です。

「……チート?」

「チートだよね?」

確かにチートみたいな能力ですが、弱点が全くないわけではないため許してください。強いオリキャラにはこれくらいが丁度良いと思うんです。

「まぁ、いいや。俺はお父さんの車にびびったんだが……」

あれは生物研究者だからこそですね。サンプルの持ち帰りのとき、大きいものでも持ち帰ることができるようにらしいです。他にも、生きたまま持ち帰るときに重宝するとかなんとか。

「アタイは範人があの時点で武器を作っていたことに驚いたんだけど……」

範人はそういうやつです。1人で色々できるすごいやつなんです。蒼牙は範人が最初に作った武器です。

「冷仁の変異は名前の通り凍結なのか。」

そうです。ちなみに、見た目は狼です。敵を掴んで凍らせていましたが、決して「ウリィー」の人ではありません。

最近、自分は誤字脱字が多いような気がしています。極力、修正はしているのですが、直せていない場合もあります。誤字脱字があったら、教えてくださいお願いします。

『ではまた、次回お会いしましょう。』

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