東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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優が壁破りをします。苦手な方はご注意ください。


第四十八話 迷ひ家の猫叉

フハハ、ついに吹雪を抜けたぜ!あれは本当に面倒くさかった。周りが全然見えねーんだからよ。飛びづらいったらありゃしない。

 

「さーてさて、今回は誰に会うのかな?」

 

「何言ってんだ?」

 

「気にするな!」

 

フッフッフッ……これは主人公格にしかわからないものなのだよ、魔理沙君。そうは思いませんかね?画面の向こうの友達よ。

「いいんじゃない?」

「壁が破られた……。」

「お前に主人公は無理だ。」

あんまりだー!こうなったら、範人に勝ってやるぜ!オラァ!

 

「お?あんなところに家なんてあったっけ?」

 

魔理沙が指差す方を見ると確かに家があった。

俺はあまり遠出はしないし、家から出ることもあまりないからそんなことはよくわからない。

「この引きこもりが。」

「引きNEET。」

うるせえ!余計なお世話だ!俺はやるときはやる男なんだよ!そんなに言うなら依頼の1つや2つ持って来いや!この俺様がすぐに解決してやるぜ!

……と、魔理沙の質問に答えないといけないな。

 

「俺も知らないな。」

 

「引きこもりにはわからないか。」

 

「魔理沙もそう言うのかよ。」

 

「『も』って、他の誰かにも言われたのか?」

 

「あ、それはスルーしてくれ。」

 

ふふふ、やはりこれは俺の特権なのだよ。『壁を越える程度の能力』でもあったのかもしれないな。

「それはないだろ。」

「温泉で欲しいな。」

やっぱり、そんな能力あるはずないよね〜。あったら応用が強そうだけど。それと2人目、覗きは犯罪だ。お巡りさん呼ぶぞ、白狼天狗の。

 

「おい、寄っていこうぜ!」

 

「なんで?」

 

「お宝があるかもしれない。」

 

あ、やっぱりそうなるんですね。まあ、家を見たときからなんとなくわかってはいたけど……。これは借りてもこの作品中には返さないな。作者が魔理沙を生かすだろうから……。

 

「……わかった。行こう。」

 

俺たちは知らない家に降りた。

 

 

 

さーて、ここでは何が起きるかな?イベントの匂いがプンプンするぜぇ!

 

「おお!スゲェ!なんだこの料理は⁉︎」

 

違った。イベントの匂いじゃなくて飯の匂いだった。ていうか本当に美味そうだなオイ!でも、こういうのは食べちゃいけない……ってお婆ちゃんが言ってた。なんだっけな?確か帰れなくなるんだったっけ?とにかく、食=厄介事になる。

「お前の思い通りになると思うなよ。」

「それはフラグだろ?」

ああー!やっちまったー!自らフラグ建てちまったー!どうしよう……。これは終わったか?終わったのかー!

 

「優は食べないのか?」

 

「食べちゃダメだ!」

 

「なんでだ?」

 

「帰れなくなる。」

 

「……わかった。なら食べるのはやめるぜ。」

 

ふいー、危ないところだった……。下手に食っていたら間違いなく終わっていたぜ。魔理沙が確認で声をかけてくれて良かった。

「チッ……ここで食べてりゃ俺たちはメシウマだってのによ。」

「フラグブレイカーだ。」

こいつら……まあいい。さっさと異変解決に戻るか。

 

「魔理沙、異変解決に戻ろうぜ。」

 

「そうだな。」

 

俺たちは出口に向かう。

いやー良かった。面倒くさいことに巻き込まれずに済んだぜ。さあ、範人が帰ってくる前に異変解決して驚かしてやろう。

 

「侵入者発見でしゅ!」

 

……そんな簡単にいくはずがなくてね。目の前にはロリ猫ちゃんがいるんだよ。やっぱりこうなるのかー。なんか違う面倒くさいイベントに巻き込まれたらしい。

「フハハ、やっぱりお前はフラグ回収機。」

「ざまぁww」

コノヤロー!俺の扱いはどうなってやがるんだ!おい作者!どうなっている?

「知るか!とにかく頑張れ!」

俺に救いはないのか?

『ない。』

みんな口を揃えて言わなくてもいいじゃないか……。

 

「退いてくれ。俺たちは今から帰るところなんだ。」

 

「ダメでしゅ!何かを持ち去ろうとしている人がいましゅ。」

 

「何ィ⁉︎」

 

俺は反射的に魔理沙の方を向く。俺の中では泥棒=魔理沙になっているのだ。案の定、魔理沙の帽子から何かのアイテムが飛び出している。

 

「大丈夫、借りていくだけだぜ。」

 

「死ぬまで一生返さないでしょうが!」

 

「よくわかっているじゃないか。あばよ♪」

 

魔理沙は箒に乗って猛スピードで玄関から飛び出していった。今、『とっつぁん』と言いかけた人はいいセンスだ。

 

「逃げられちゃいました。」

 

「まあまあ、気を落とすな。」

 

「そうでしゅね。もう1人いましゅから。」

 

「へぇ⁉︎」

 

そう言った途端にロリ猫ちゃんは弾幕を放ってきた。この子危ない。俺はすぐに外へ逃げた。

 

 

 

ふぅ……外なら広いし、だいぶ安全に戦えるな。家の中で戦ったら、家が崩れて共に下敷きだよ。俺は能力で逃げられるけど、向こうが危ない。

 

「カモーン、ロリ猫ちゃん。」

 

「誰がロリ猫でしゅか!私には藍しゃまから貰った橙という大切な名前がありましゅ!」

 

「おおう、怖いね。じゃあ、橙ちゃん。Let's battle.」

 

「もうさっきから戦っていましゅ!」

 

なんてツッコミのセンスだ!一回一回的確に飛んできやがる。しかも、サ行の言葉の発音が……。

「超かわいい!」

「橙ちゃん……ハァハァ。」

ロリコンどもめ……その気持ち分からなくもないよ。男の俺が言うのもなんだけど、ああいう子は母性本能をくすぐるよね。守りたくなっちゃう。

 

「くらえー!」

 

ムムム!普通の弾幕……軽いわ。そんなものはシャッフルしてくれる。早速、スペル宣言だ。

 

「換符『ランダムバレット』」

 

弾幕を大量に放ち、俺の能力で視界の中にある全ての弾幕の位置を移し換える(シャッフル)する。換えるものは位置だけのため、向きは変わらない。弾幕は不規則な動きをし、橙を取り囲む。

 

「うわー!危ないでしゅ!」

 

おいおい、危ないとか言いながらかわすなよ。ギリギリだけど……。でも、そんなんじゃあ俺のスペルはかわしきれないよ。

避けたところに弾幕が配置されており、橙は被弾した。

 

「ニャアァー!」

 

はい、一発目の被弾。いやー軽いねー。

「そんなに余裕かましていると当たるぜ。」

「当たれ当たれ♪」

おやめください。フラグが建ってしまいます。

「もう建っているぜ。」

おーう……そういえば、ついさっき軽いって思っちゃったよ。これはフラグ成立ですね。……そんなもんへし折ってやる!

 

「仙符『鳳凰展翅』」

 

スペルカードの詠唱後、卵が現れた。

なんかこれスッゲー嫌な予感がする。スペルカードの名前からして卵から出てくるものってアレだよね。幻のアレだよね。

卵が孵化し、中から出てきたものはデカイ……鶏?だった。

 

「コケコッコー!」

 

「プハハ!なんだよそれ!アハハ……。」

 

「失敗したけど……被弾でしゅ。」

 

「え?……あーう。」

 

鶏?が炎の弾幕を吐き、見事に当たってしまった。

騙し討ちだと⁉︎ヤバいこいつ……できる!ていうか、鶏が火を吐くってなんだよ⁉︎化け物かよ⁉︎

「お前も十分化け物だ。」

「最近の鶏は怒ると襲いかかってくるんだぜ!」

そういえば、そうだったな。能力持ってる時点で俺も十分な化け物だよ。襲いかかってくる鶏って何ですか?某緑の勇者ですか?

 

「次で決める。」

 

「こちらもそのつもりでしゅ!」

 

俺も負けるわけにはいかないんだよ。勝手に戦うことになっちまったけど、人里じゃあみんなが困っている。困っているやつらがいるからこの異変を早く解決しないといけないんだよ。

 

「くらうのでしゅ!

翔符『飛翔韋駄天』」

 

「うわー!」

 

これは避けにくい。弾幕が波になって襲いかかってくる。間違いなく橙の右側で避け続けるのは無理だ。左寄りに左右に動いて避ける。だが、それでも避けきれず、弾幕の波が目の前に押し寄せる。

 

「ダアァ!面倒くせぇ!」

 

腕に弾幕を纏わせる。飛んできた弾幕を縦に一閃。俺の弾幕は剣のような形状の隊列になり、弾幕を相殺した。弾幕の波は縦に裂け、俺の横を流れていく。

 

「な⁉︎」

 

橙は怯み、弾幕を放つのを忘れてしまった。まだ残っている弾幕があるが十分に避けるスペースがある。それにこれなら余裕がある。

 

「よし!くらえ

言霊『発言実現』」

 

おい、誰かなんか言えよ。

「えー、面倒くせぇよ。」

「ラストアタックだ!」

「橙ちゃんお持ち帰りしたい。」

うん、ありがとう。こいつらがあれば十分だ。それと3人目よ。やめとけ。デューレスと藍のツインドライブが飛んでくるぞ。マジで死ぬぞ。

俺の周りには言葉が実体化して浮かんでいる。その内の1つを手に取る。

 

「くらえ!」

 

頭に向かって「橙ちゃんお持ち帰りしたい。」を振り下ろす。言葉は橙の頭に直撃した。橙は軽く脳震盪を起こし、スタンした。今使った言葉は溶けるように消えてなくなった。

 

「クゥ……。」

 

「よっしゃ、ラスト!」

 

「ラストアタックだ!」を手に持ち、橙が落下してくるであろう地点にテレポートした。橙が落ちてくるタイミングに合わせて一本足打法でフルスイング。橙に直撃し、ピチューンという音が出る。

 

「ニャアァー!」

 

あ、全力で振り抜いたはずなのに吹っ飛ばないんだね、これ。ていうか、ピチューンって……おかしくないかな?

『気にするな!』

あ、そう。それなら気にしないようにする。なんか、これを言ったら、『スカイフォール』が飛んできそう。気をつけないと……。

 

「うわーん!」

 

橙は泣きながら、どこかへ走り去っていった。

あ、逃げた。……まあ、いいか。

「なんで俺を使わなかった?」

だって、面倒くさいって言ったからね。使わなくてもいいのかな?って思ったんだ。

「チキショー!」

そんなことよりも異変解決だ。魔理沙はどこへ行った?

俺は特に当てもなく、魔理沙を探し始めた。

 

 

 

まさかこんなところにいるなんておもわなかったよ。スタート地点に戻っているなんてね。

 

「ん?どうした?」

 

「なんで、家にいるんだよ。」

 

「この宝物っぽいやつを調べるためだ。」

 

それはわからんでもないが……困るぜ、本当。せめて行き先くらいは教えてから逃げてくれ。敵を倒した後に俺が追えなくなる。

 

「大丈夫だ。もう終わった。それに次に誰のところに行くかは決めてある。」

 

「あ、そうですか。」

 

まあ、それならいい。こっちに戻ってきたのが無意味じゃないならそれでいい。俺の探索は無駄なことになったがな……。

 

「さあ、行こうぜ!」

 

「あ、おい待てよ!」

 

俺はもうスピードで飛び出した魔理沙を追った。




今日のゲストは火車コンビです。

「優!その技は⁉︎」

「優って、メタくない?」

すみません。調子に乗りました。

「優って、メタいよ。」

「どこぞのDから始まってLで終わる人が浮かんだんだが……」

今回は見逃してください。次回から元に戻りますので……

「範人は復活しないんだね。」

範人の出番はもうすぐです。次回はまだですがね。

「じゃあ、締めようか。」

『ではまた、次回お会いしましょう。』

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