東方戻界録 〜Return of progeny〜 作:四ツ兵衛
矢骨「あまりはしゃぐなよ。」
細川「いいんじゃないかなぁ?」
栗里「大丈夫だ。問題ない。」
矢骨「作者ー!助けてくれーい。突っ込みが追いつかない。」
十二指腸潰瘍の私に何をしろと?ピクピク……
矢骨「ギェアー!そうだった。作者は今入院中だった。……そうだ。こんなときはあの言葉だ。
では、本編をどうぞ。」
足跡は森の中につながっていた。これでは空を飛んで追跡することができない。歩いて森の中を追跡するしかないだろう。俺とフランは地面に降りた。
「フラン、森の中を進むから、迷子になるなよ。」
「お兄様こそ。」
俺たちは森の中に入った。あいつは絶対に救い出す。
森に入って数分。俺は自分たちを観察する視線に気を配っていた。森に入った瞬間からずっと見張られている。
「お兄様。」
「ああ、何かいるな。」
フランも視線に気づいたらしい。突然、木の上から大きな緑色の生物が落ちてきた。
「ギエァー!」
そいつはかつてミッションでも何回か見かけたことのある生物兵器、ハンターだった。
ハンターはt-ウィルスの力で人間とトカゲの遺伝子を合わせて作り出された生物兵器である。生物兵器としてはかなり成功の部類に当たり、今では多くの品種が作られている。見た目は尻尾が短く大きな爪を生やした二本足で立つ全身緑色をした大きなトカゲである。このハンターは見た感じ原種に近いようだ。
ハンターはこちらを爪で切り裂こうと飛びかかってきた。
「遅い。」
俺はハンターの攻撃を躱し、変異した腕をハンターの頭に降り下ろした。グシャリという湿った音を立ててハンターの頭が潰れた。ハンターの身体が落ちた場所にはハンターの形をした穴ができた。フランはそれを見て気分が悪くなってしまったようだ。
「お兄様、スキマの中に入っていてもいい?」
「戦いたくないならそうしろ。フランに死んでもらいたくない。」
「じゃあ、スキマの中にいるね。」
フランはそう言って俺が開いたスキマに入った。フランが見えなくなってからハンターたちに声をかける。
「さて、まだいるんだろ。まとめてかかってこいよ。」
『ギエオァー!ギエオァー!』
周りのあちらこちらからハンターの声が聞こえて、大量のハンターが飛びかかってきた。
俺は全身を変異させる。ハンターたちは俺の身体に爪を降り下ろすが強固な甲殻によって弾き返される。俺は身体を高速回転させてハンターたちを弾き飛ばす。
『グギャア。』
ハンターたちは吹き飛び、悲鳴をあげる。しかし、起き上がるとまた飛びかかってきた。今度は一頭ずつにパンチを加えていく。ハンターたちはそれぞれ一撃で絶命した。このハンターたちはウィルスは保有していないようだ。死んだ瞬間から身体が溶けて消えていく。珍しく優しい改造がしてある。
「まだ居そうだな。もう少し探そう。」
ハンターにはいろんな種類がいる。そのため複数の種類のハンターが同時に同じ場所に放たれることが多いのだ。
しばらく歩いていると風を切る音が聞こえたため、後ろに跳ぶ。鋭い何かが掠め頰が切れて血が流れた。
「何だ?」
粒子を周りに漂わせるとハンターたちの姿が浮かび上がった。目には見えない。インビジブルだ。ハンターたちは気づかれていることも知らずに飛びかかってきた。脚を変異させて、顔面にキックを打ち込む。キックが当たり、ハンターたちの姿が一瞬だけ見えた。体色は黒っぽかった。おそらくヴェルトロの作った新型だろう。名前は確か……ファルファレルロだったはずだ。
「また面倒くさい生物兵器だ。」
俺はまた全身を変異させて鎌を構える。ハンターの動きは漂う粒子の動きから読み取る。
「!、そこだ。」
今度はより殺傷力のある鎌で攻撃する。鎌はハンターの身体をきれいに両断し、周りに血が飛び散った。血が付いたことにより、インビジブルをしてもハンターの位置がわかるようになった。身体をスピンさせながらハンターたちに突っ込むとハンターたちは細切れになった。思った通り、数種類のハンターがいた。
「よし、ハンターの駆除は完了だ。後は子供とあいつか。」
正直、戦いたくない。あいつは強いから普段の戦いよりも疲れる。ただ、子供を助けないわけにはいかないため足跡を追う。
足跡を辿っていくと洞窟を発見した。子供はこの中に閉じ込められているのだろう。子供の血の匂いがしないため無事なようだ。中を見ると、洞窟はあまり広くなく子供もすぐに見つかった。
「大丈夫か?」
猿ぐつわを外し、縄を解きながら尋ねる。子供は俺が助けに来たことに驚いているようだ。
「なんで範人が助けに来たんだよ!俺はお前にひどいことを言ったんだぞ。」
「もう怒ってねーよ。人里のみんなにとって、お前は大切な存在だからな。みんな心配していたぞ。まったく、迷惑かけやがって。」
俺が縄を解き終わると、子供は安心したのか泣き出してしまった。
「うわぁぁ。怖がっだー!」
「お前は早く人里に帰れ。みんなが待っているぞ。フラン。」
スキマからフランを呼び出す。
「なーに?」
「その子と一緒に人里に行け。俺も少ししたら行く。」
「わかったよ。一緒に帰ろ?」
「グスッ、うん。ありがとう。」
子供は足跡を辿って、走っていった。子供のほうはもう大丈夫だろう。俺は洞窟の奥に目を向ける。
そこにはゴリラに似た生物兵器がいた。背中には多数の触手、四本の巨大な爪の付いた太い腕、尻尾のように身体から伸びた背骨、青い身体。俺の思っていた通りの生物兵器だ。
「さて、なんでこんなことをしたかは知らないが、ここでお前を処分する。」
「ゴアァァー!」
その生物兵器の名はテイロス。テイロスは雄叫びを上げ、殴りかかってきた。
存山「てなわけで答えはテイロスだぜ!」
栗里「いきなりのラスボスクラスだ。」
細川「でも、作者的には案外弱いほうらしいよ。」
栗里「マジで⁉︎」
そうなんです。テイロスってコンピューターの正確さがなくなって暴走してしまえば、スーパータイラント並みではないのかなと思っています。力はテイロスのほうが強いと思いますけど。
栗里「なるほど〜。」
矢骨「作者が疲れるからそろそろ切るぞ。」
『ではまた、次回お会いしましょう。」