東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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どうも!四ツ葉 黒亮です。
今回は範人の戦闘です。
では、本編をどうぞ。


第十八話 紅魔館の試練 2

「来ましたね。」

 

咲夜は紅魔館に入ってすぐの場所にいた。

 

「美鈴さんはデューが倒しました。今度は咲夜さんが相手ですね。」

 

「そうです。それと言葉遣いを普段通りにしてもいいですよ。私は仕事でこのような言葉遣いをしているだけですから。」

 

「じゃあ、お言葉に甘えさせていただこう。」

 

俺は言葉遣いを普段通りに戻す。向こうでの仕事でも敬語を使ってたから、自分は違和感なかったんだけどね。

 

「戦いを始める前にちょっといいかな?」

 

「何でしょう?」

 

「美鈴がデューとの戦いで動けなくなっちゃったみたいだから、どこかで休ませてあげてよ。」

 

「そうですか。では少々お待ちください。」

 

咲夜が消えた、と思ったらすぐに現れた。

 

「デューレスさんでしたね。美鈴をあちらの部屋に。」

 

デューは美鈴を咲夜に教えられた部屋に運んでいった。少しするとデューが戻ってきた。

 

「美鈴も安全になったようですし、戦いましょうか。」

 

「そうだな。」

 

咲夜はナイフを取り出す。俺は覇剣クリムゾンを構える。

 

「いきますよ。」

 

「Come on!」

 

咲夜がナイフを投げる。するとナイフの数が増えた。俺はナイフを剣で叩き落としていく。攻撃を受けるばかりでは戦う意味がないのでこちらも弾幕を放つ。ほとんどの弾幕はナイフを撃ち落としながら飛んでいく。それらが咲夜に掠る。

 

「なかなかお強いですね。」

 

「そりゃどうも。」

 

「しかし、紅魔館のメイド長として負けられません。

幻幽『ジャック・ザ・ルドビレ』」

 

咲夜がスペルカードを発動した。咲夜がナイフを投げる。すると突然、咲夜の手元に他にもナイフが出現し、こちらに飛んできた。俺はそれらを打ち落とす。量が増えてもこのくらいならまだどうにかなる。だが、突然現れるナイフにはうまく対処できずに数本が掠った。しばらくして、ナイフの数が元に戻った。スペルカードの効果時間が切れたようだ。

 

「そっちもなかなか強いじゃないか。」

 

「ありがとうございます。」

 

「まあ、負ける気はしないけどね。

粒符『パーティカルストーム』」

 

咲夜に向けて粒子の竜巻を撃つ。それらは咲夜の周りを回って弾幕を放つ。しばらくして、それらが消えた。俺は驚く。なんと咲夜はすべてをかわしきったのだ。咲夜が消える。

 

「私には当たりませんよ。」

 

「⁉︎」

 

なんと咲夜は俺のすぐ後ろにいた。咲夜は俺にナイフを突き出してくる。俺はそれを剣で弾き、斬りかかる。しかし咲夜がまた消え、離れた場所に現れた。

 

 

「幻世『ザ・ワールド』」

 

咲夜が新しいスペルカードを発動した。先程のスペルカードと同じようにナイフが出現するが、今度は俺の周りに出現した。俺は剣を高速で振り回すことによりなんとか対処する。

 

(どんな能力だよ?)

 

咲夜の攻撃について考え、観察する。すると、妙なことに気づいた。打ち落としたはずのナイフが消えているのだ。さらに、咲夜のナイフの数が圧倒的に多いことや咲夜やナイフが突然現れることもつなげて考えてみる。なるほど、咲夜の能力がわかった。

 

(『時間を操る程度の能力』か、もう少し本気に近づけたほうがよさそうだな。)

 

 

 

 

 

私はナイフを回収し、範人さんの周りにナイフを設置する。時間を止めているため彼は動かない。設置が完了したため、また時を動かす。ナイフは彼に向かって動き始める。しかし、時を動かした途端に彼の姿が消えた。

 

「一体何が⁉︎範人さんはどこへ?」

 

「俺はこっちだ。」

 

声がしたほうを向くとそこには肩から鎌を生やし全身に黒い甲殻を纏った不気味な生物がいた。

 

 

 

 

 

俺はナイフが出現した瞬間に全身を一瞬で変異させた。服が破け、黒い甲殻が体表に出現する。変異したことにより身体能力が上がり、瞬間移動のような速度でナイフの包囲から脱出した。

 

「一体何が⁉︎範人さんはどこへ?」

 

「俺はこっちだ。」

「……貴方は……範人さんですか?」

 

「ああ、そうだ。俺は生物兵器なんだ。これは変異したときの第一の姿だ。」

 

「そうでしたか。すぐに再開しましょう。」

 

咲夜が時間を止めて移動しようとする。しかし、遅い。時間を止められる前に近づき、拳を打つ。移動しようとしていた咲夜はそれをなんとかかわす。

 

「接近戦ですか。では、

メイド秘技『殺人ドール』」

 

咲夜は自身の周りに浮かせた大量のナイフで斬りかかってくる。俺はそれに防ぐために全身の甲殻の隙間から炎を噴き出した。咲夜に距離をとらせてからスペルカードを発動する。

 

「炎舞『紅蓮爪拳舞』」

 

俺は腕に炎を纏い咲夜に突撃した。俺は拳と鎌、咲夜はナイフで攻撃を行う。時折、咲夜が時間を止めて移動し、俺が追いかける。周りから見れば、間違いなく残像が見えるだろう。しばらくすると、咲夜のスピードが落ちてきた。俺が拳を打つとナイフが全て弾け飛んだ。すかさず、咲夜の首元に鎌を突きつける。互いの動きが止まった。

 

 

 

咲夜がナイフを落とし両手を上げる。

 

「まいりました。降参です。」

 

咲夜に勝利した。俺は変異を解除する。服は再生繊維のため変異を解除すれば一瞬で元に戻る。

 

「じゃあ、案内をお願いするよ。」

 

「かしこまりました。どうぞこちらへ。」

 

 

 

移動中、咲夜に話しかけられる。

 

「範人さん、貴方の能力は何ですか?」

 

「俺の能力は『粒子を操る程度の能力』だ。」

 

「では、変異したときのあの炎は何ですか?」

 

「あれは生物兵器としての能力だよ。甲殻の内側に可燃性のガスがあってね。それが常に燃えているんだ。それを噴き出しただけだよ。」

 

「なるほど、そうでしたか。つまり種族としての能力であって、個人での能力ではないということですか。」

 

「そう考えてもらっていいよ。でも、これは生物兵器の中でも俺だけなんだ。生物兵器にはいろいろいるんだけど、量産されてない場合は同じ能力を持つものがいないことが多いしね。」

 

「興味深いですね。他にもそのような生物兵器を見たことはありますか?」

 

「俺の双子の兄のレイジだね。いちおうデューも生物兵器で成り方は特殊だったんだけど、同じタイプのやつが存在するから違うかな。」

 

「そういえば、デューレスさんの能力は何ですか?」

「俺の能力は『つなぐ程度の能力』です。ものを物理的につないだり、心をつなぐことができます。」

 

「良い能力ですね。あ、到着しました。こちらがお嬢様のお部屋になります。」

 

館の主の部屋。そこには大きな扉があった。

 




範人は変異するタイプの生物兵器です。第一の姿と言っていましたが、もちろんこれ以外にも形態があります。
範人のスペルカード「炎舞『紅蓮爪拳舞』」の爪は鎌をあらわします。形態変化はスペルカードには含みません。
範人の双子の兄の名前が出てきました。
質問、ご希望があれば感想で書いていただけるとありがたいです。
ではまた、次回お会いしましょう。

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