東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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どうも!四ツ葉 黒亮です。最近は朝早くに目が覚めてしまい困っています。
範人の精神年齢はそこそこ高いです。
では、本編をどうぞ。


第十五話 剣術勝負

まだ朝早いため、俺は剣の練習をすることにした。庭に出て覇剣クリムゾンを振っていると妖夢がやってきた。

 

「範人さんも剣士だったんですか?」

「ああ、剣が専門ってわけじゃないがな。おまえもか?」

「はい、私も剣士です。後で私と一本勝負してみませんか?」

「俺は別に構わないぞ。」

「ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

範人さんと剣で勝負することになった。

(楽しみだなぁ。)

範人さんの剣は大剣だった。非常に重いはずなのに彼は片手で軽々と振り回していた。とてつもない力である。

ひとまず、朝食を作ろう。もちろん、幽々子様と紫様の分は無しで。

 

 

 

 

 

俺がしばらく練習をしていると妖夢に呼ばれた。

 

「朝食ができました。」

「作ってくれたのか?」

「はい。デューレスさんも起きてきましたよ。」

「そうか。すぐに行くよ。」

 

 

 

「「「いただきます。」」」

 

俺、妖夢、デューレスの三人での食事である。自然と会話に花が咲く。

 

「妖夢の料理って美味いな。」

「そうですか。ありがとうございます。」

「昨日はあんまり味わえなかったからな。」

「そうですね。まあ、あの二人は朝食抜きですからゆっくり食べましょう。」

「二人とも昨日はご苦労様。俺も手伝ったほうが良かったか?」

「いや、手伝わなくても良かったよ。」

「デューレスさんも料理できるんですか?」

「一応な。」

 

デューも俺や妖夢ほどではないが料理ができる。

 

「今度は三人で作るか?」

「そうですね。次はそうしましょう。」

「それは楽しみだけど、昨日みたいなことはもうごめんだよ。」

「それは全くです。」

「あれだけの量を二人で作ったのか。すごいな。」

 

そこへ幽々子が起きてくる。

 

「あら、三人で食事しながら会話?私も混ぜて欲しいわ。妖夢、ごはんお願い。」

「幽々子様の分はないですよ。」

「え?」

「昨日の夜あれだけ食べたんだ。別に今日の朝は食べる必要ないだろう。」

「食べ盛りなの。」

(何言ってんだか。)

「なんで私と範人さんを同じ布団に寝かせたんですか?」

「面白いことになると思ったからよ。」

 

そんな理由で同じ部屋に寝かせたのか。自分からいっしょに寝るのはいいけどそれはやめてもらいたい。

 

「それに二人とも、お互いのことg「「黙れ、成仏させるぞ(させますよ)。」」はい!」

 

俺は妖夢のことが好きだということを言われそうになったため、幽々子を黙らせた。そういうことは自分の口から伝えたい。

 

 

 

 

 

私は目が覚め、幽々子の後をついていった。幽々子がみんなのいる部屋に入ると範人と妖夢の怒った声が聞こえた。

 

(やばい、範人と妖夢めっちゃ怒ってる。逃げなきゃ。)

 

私はスキマで白玉楼から逃げ出した。

 

 

 

 

 

何?二人とも超怖い。二人とも互いのこと好きなはずなのにおかしいわね。まさか、まだ相手の気持ちに気づいてないの?お互いに鈍すぎるでしょ。

これ以上刺激したらとんでもないことになりそうだったため謝まる。

 

「ごめんなさい。」

「わかればよろしい。」

「わかればいいですよ。」

「じゃあごはんは?」

「昼まで我慢してください。」

「そんなの嫌よ。三度のごはんは私にとって命と同じくらい大事なものなのよ。」

「「もう命ないだろ(ないですよね)。」」

 

しまったわ。地雷を踏んだ。こうなったらストレートに頼むしかないわね。

 

「頼むからごはん作ってちょうだい。」

「そんなに食べたいなら、私以外の人に頼めばいいでしょう?」

「範人。」

「……。」

 

駄目だ。すごい剣幕で睨まれた。

 

「それなら、俺が作りましょうか?」

「え、いいの?」

「はい。範人や妖夢みたいに上手くはないですが……。」

「お願いするわ。」

 

デューレスありがとう。もうはらぺこで倒れそう。

 

 

 

 

 

朝食も終わり、食器も片付けた。これから、妖夢と剣で勝負だ。俺が庭に出ると妖夢は既に待っていた。少し練習してから声をかける。

 

「さあ、勝負だ。」

「女だからと言って手を抜かないでくださいね。」

「それなら、本気で行こうか。」

 

 

 

「始めのかけ声は俺がかけるぞ。」

「おう、頼んだ。」

「では、両者構え……」

 

デューが声をかけ始めた。俺は覇剣クリムゾンを構える。妖夢も刀を構える。

 

「始め!」

 

妖夢はかけ声と同時に突っ込んできた。妖夢は刀を横に一閃させる。俺はバックステップでかわした。更に妖夢は斜めに斬り上げてくる。俺はそれを左にかわす。今度は刀を縦に振り下ろしてきた。俺はそれを剣で受け止める。

 

「いい太刀筋だ。」

「避けてばかりでは勝てませんよ。」

 

俺と妖夢は後ろに跳躍し、互いに距離をとった。今度はこちらから仕掛ける。俺は妖夢に突っ込んだ。

 

 

 

 

 

範人が突っ込んできた。大剣を残像が残るような速度で振るう。私はそれをすべて受け止めていく。範人の剣は非常に大きく、重そうに見える。しかし、範人はそれをまるでナイフでも振り回すかのように軽々と振り回す。範人の連撃は素早く、一撃一撃が重い。だが、一撃が軽くても剣士の戦いでは一発決まれば、ほぼ勝ちである。私は範人の剣をかわして後ろに跳躍、刀をもう一本抜いた。

 

 

 

 

 

二刀か、面白い。俺は剣を握る手に力を込めた。すると大剣が真ん中で分かれ、双剣になった。覇剣クリムゾンの特徴である変形機構だ。俺と妖夢は同時に突っ込み、先程よりも更に素早い斬り合いを開始した。俺も妖夢も全速力で剣と刀を振る。刃がぶつかり合うたびに火花が散る。しばらく打ち合っていると俺の腕に黒い甲殻が現れた。妖夢との戦いでテンションが上がったことにより身体が勝手に変異したのである。俺の攻撃速度は更に速くなり、ついに妖夢の刀を両方弾いた。俺は妖夢の首に剣を突きつける。

 

「そこまで!」

 

デューの声が響いた。

 

「勝者 旅行 範人。」

 

 

 

勝負が終わった。俺は妖夢に声をかける。

 

「妖夢、おつかれ。いい勝負だったよ。」

「範人さんは強いですね。」

「そりゃどうも。妖夢の太刀筋も良かったよ。」

「ありがとうございます。」

「でも、少し引っかかることがあるんだよな。」

「何ですか?」

「妖夢って対人練習してる?妖夢の攻撃、かなり避けやすかったんだけど。」

「そのことですか。実はもともと祖父が剣術を教えてくれていたんですが、祖父がいなくなってから対人練習の相手がいなくなってしまって、対人練習ができなかったんです。」

「そうか。なら、ここに来たときは剣術の練習相手もしようか?」

「いいんですか?」

「ああ、いいよ。ここに来てもすることが料理だけだと暇になるからね。」

「ありがとうございます。」

 

デューも会話に混ざってくる。

 

「二人ともすごい勝負だったね。最後なんて剣がほとんど見えなかったよ。疲れなかった?」

「疲れたよ。すごい汗だ。」

「私もです。」

 

俺も妖夢も汗だくである。当たり前か、冥界といっても季節は夏だし、あんな猛スピードで剣術勝負したんだから。

 

「二人ともいっしょにお風呂に入ってくれば?」

 

疲れている俺たちに向かって、幽々子がとんでもないことを言った。俺は顔が真っ赤になる。やめてくれ、出会って2日目でそんなことできるわけがないだろ。

 

「幽々子様。」

 

そうだ妖夢、何か言ってやれ。

 

「いいんですか?」

(何訊いちゃってるのー!)

「もちろんよ。」

「範人さん、いっしょに入りましょう。」

 

真っ赤だが嬉しそうな顔で妖夢もとんでもないことを言う。

 

(なんでそんな顔できるの?)

「はあ⁉︎」

「私とでは嫌ですか?」

「嫌じゃないんだけど……。」

 

嫌じゃないよ。むしろ、好きになった人といっしょに風呂入れるってすごく嬉しいよ。でもね、すごく恥ずかしいんだよ。ああ、そんな悲しそうな顔しないでくれ。はあ、もういいや。

 

「わかった、いっしょに入ろう。そのかわり、俺を気味悪がったり、嫌いになったりするなよ。」

「別に気味悪がることはないですし、嫌いにもなりませんよ。」

「そうか。」

 

ああ、大変なことになった。

 




この小説の妖夢は幽々子の許しがあれば結構なんでもしてしまいます。
ではまた、次回お会いしましょう。

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