WarLines 日本皇国海軍士官奮闘録   作:佐藤五十六

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VOYAGE.23

竹島防備独立混成団第一中隊第一小隊本部

《先行している一小隊は、万難を排した上で、漁船に突入、制圧せよ》

《了解》

中隊本部からの指示を受けて、1個小隊50名は移動を開始している。

音をたてずに移動するそのさまは合同演習に参加したアメリカ海兵隊員よりニンジャと呼ばれたほどのものだ。

部隊は広範囲に散らばるように展開しており、小隊長の持つタブレットの画面に逐一その状況が映し出される。

《ブービートラップがあるやもしれん。

慎重にな?》

《了解》

89式小銃2型、つまりカービンモデルに改造された小銃を肩にかけて指示を聞く。

この銃は第6空挺旅団、第4水陸両用旅団、第10空中機動旅団、そして竹島防備独立混成団の一部にしか配備されていない特別な銃である。

《第一分隊より小隊本部へ

漁船を視認、状況を送る

漁船に銃で武装した人間を確認

所持しているのは、ヘッケラー&コッホ社製のMP-5シリーズと思われる

なお、人数は2名

残りは山中に潜伏の模様

送れ》

小隊長の通信機の画面には、第一分隊からの報告文が映る。

《小隊本部、了解

マイクとスピーカーを装着し、適宜状況を報告せよ

また第一分隊は、第二分隊の到着を待たずに突入、制圧せよ

以上、小隊本部》

『こちら第一分隊、小隊本部へ。

繋がってますか?』

「小隊本部より、繋がってます」

『了解。

これより漁船を制圧します』

「小隊本部、了解。

終わり」

通信を終えると、第二と第三、第四分隊に通信を繋ぐ。

「小隊本部より各分隊。

一分隊が突入する。

残りの分隊は、第一分隊の援護に回れ。

送れ」

『二分隊、了解』

『三分隊、了解』

『四分隊、了解。

山側より接近中の人影あり。

射撃許可求む。

送れ』

「小隊本部、了解。

小隊隷下の全部隊に告げる。

任務遂行に必要な限り、射撃を許可する。

終わり」

 

「これより第一分隊は漁船に突入し、制圧する。

なお、事前の偵察等の情報から、該船内には爆弾等は仕掛けられていない。

以上だ。

質問はあるか?」

分隊長は、周りに集めた部下たちを見回して、言った。

「無いなら、行くぞ」

分隊長の言葉に、部下たちは一斉に銃を担ぐ。

「柴田、ここから援護してくれ。

斎藤、船内に突入せよ。

無論、私も直ぐに行く」

「「了解」」

柴田軍曹は射撃で特級評価を数回連続で受けており、来月には富士学校の狙撃兵養成課程への参加が認められていた。

斎藤兵曹は、特殊作戦群からの転属者であり、特殊作戦徽章の保有者である。

近接戦闘なら中隊最強と言えるのだ。

「米田、中嶋、山田は斎藤に続け。

田原、相良、川崎は柴田を援護せよ。

田原は擲弾筒を指示あり次第、撃て。

私と大島、村上、舩倉は斎藤隊の後続に位置、斎藤隊を援護する」

分隊長の指示を受け、全員が散開する。

쏘아(ッソア)!(撃て!)」

こちらに気づいた敵の韓国語の短い号令と共に、MP-5のサブマシンガンにしては、重い銃声が響く。

ヘッケラー&コッホ社製のこのサブマシンガンはフルオート射撃の精度が高いことが特徴で、近接戦闘を重視する軍そして警察の特殊部隊、さらには混雑している施設を警備する警察官などにも採用されている。

後継となる銃も開発されているが、未だに売れ続けているベストセラー製品である。

「第一分隊より小隊本部へ。

我、敵よりの攻撃を受く。

報告終わり」

通信を切ると、分隊長は部下たちに指示を出す。

しかし、分隊長は口を動かしただけで、特別な操作は行っていない。

ヘルメットに後付けされた脳波感知システムによる自動回線選択により、部隊間の通信を整理できているのだ。

「各員、射撃せよ」

89式小銃が猛然と火を噴く。

5.56㎜×45NATO弾を使用する89式小銃はアメリカのM-16シリーズとの互換性を重視しており、89式小銃の見た目は、M-16A2にそっくりである。

ただ、そっくりなのは見た目だけで、M-16のトラブル続きだった作動方式を独自開発したものに変更している。

そういった経緯もあり、89式小銃の開発元である豊和(とよわ)工業とM-16の生産元であるコルト社で特許やその他の権利を巡っての法廷闘争が繰り広げられた。

結果は、日米ともに豊和工業の条件付き勝訴であった。

日米双方の裁判所は、日本政府の性能要求により、十分なM-16との互換性を持たせたために、形状が似てしまっていることは認めたものの、コルト社が保有する商標特許(パテント)を侵害していないとし、一切の賠償金を認めずに、その代わりに89式小銃の輸出は認めず、それに違約した場合のみに豊和工業側に賠償金支払いの義務が生じるとした痛み分け的な判決が下った。

豊和工業と日本政府としても、輸出は考えていなかったので、大いに喜んだという。

「軍服は着ているか?」

敵からの反撃に、銃撃戦の最中ではあるが、分隊長は聞いた。

軍人であっても、軍服を着ていなくては、ジュネーブ陸戦協定の保護対象外である。

また、過大な火力で民間人を射殺したと見なされると、刑法の戦時下条項にも記載のある過剰防衛が適用される可能性もあるので、軍服の有無は重要なポイントの1つである。

「私服です。

階級章すら見えません」

部下からの報告に、分隊長は考え込むものの、すぐに指示を出す。

今回は過剰防衛ではないのだと判断した。

「構わん。

責任は俺がとる。

擲弾筒で撃て」

擲弾筒とは、陸軍が採用している84ミリ無反動砲(カールグスタフ)のことで、用途からして旧軍の擲弾筒とは違うのだが、竹島防備独立混成団の指導教官である旧陸軍兵士が無反動砲を擲弾筒と呼んだので、竹島防備独立混成団の将兵はそれに倣って、擲弾筒と呼んでいるのだ。

『後方安全確認よし。

発射準備用意よし』

射手に指定された兵士が、後ろに振り返って確認してから言って来る。

「撃て」

轟音と共に、84ミリ砲弾が飛翔する。

漁船に着弾してから1拍おいて対戦車榴弾が爆発して、漁船が炎上する。

「敵沈黙」

「突入せよ」

部下の報告を聞いた分隊長の指示に兵士たちが船へと侵入する。

少数精鋭をモットーとする日本皇国陸軍は、平の兵士すらもレンジャーに近い能力を発揮する。

そしてその一瞬に、狙撃兵として残した柴田軍曹は必要なかった。

「クリアー」

ものの10秒で漁船を制圧した第一分隊 は、敵兵を小隊本部へ連行してくる。

「1つ言っておくが、貴官はジュネーブ陸戦協定の捕虜としての権利はない。

その点は理解しているな?

それで所属部隊は?」

小隊長の質問に、男は答えを返した。

「Republic of Korea Naval Special Warfare Flotilla(大韓民国海軍特殊戦旅団)」

そう言うなり、男は歯を食い縛る。

そのまま男は呻き声をあげながら、体を痙攣させ絶命した。

「病院へ担ぎ込め」

一人の兵士が男を担いだものの、脈をとった兵士が首を横に振る。

「もう遅い。

手遅れだ」

「敵襲に備えよ」

ざわつく兵士を小隊長が一喝する。

あわてて小銃を構えた将兵が、森の中に逃げ込む。

開けた場所にいては、射撃の的になるだけだからだ。

「既に他の分隊は敵兵の捜索に入っている。

第一分隊もそれに加わってくれ」

「了解」

漁船は既に破壊しており、それを踏まえての判断だ。

「敵兵の数は推定で20名から30名。

すべての兵士が韓国軍コマンド部隊の所属であろうと推測される」

「海軍は何をやっていたんだ?」

「中国船籍の漁船だったんだ。

下手に拿捕してみろ。

野党の餌食だ。

だから手を出せなかったんだろう」

「やっぱり中国か?」

度々、竹島の紛争を引き起こす韓国政府の背後の黒幕を日本政府としても調べていた。

その度に浮かぶのが、中華人民共和国(赤い隣国)の存在である。

日本政府と政治的、軍事的に敵対しつつある中国政府にとって、韓国政府は都合のいい駒であった。

「そうだろうな」

油断なく周囲に視線を送りながら、兵士たちは雑談を交わす。

広い山中を散開して捜索する。

ある兵士の「敵兵!」の叫び声と共に、銃撃戦が開始される。

2、3発の味方の銃声のあとには、シンとした嫌な静寂が耳を襲う。

鬱蒼とした森の中では、何かしらの音がよく通る。

鳥の鳴き声、羽ばたく音、兵士が枝を踏む音、銃とマガジンがぶつかってカチカチ鳴る音、森のなかを進む兵士の耳に届く音はそれだけだ。

そんなとき、兵士たちの腰につけた通信機が振動した。

上空を飛行中のUAVが収集した敵性情報を受信したようだ。

「直近の敵、南南東方面、数10」

通信機を取り出した兵士が言う。

その兵士の周りには、数名の兵士が駆け寄って、援護している。

分隊長のハンドサインは、GOだ。

指示通りに、森の中を進む。

「いたぞ」

「各員、撃てぇ」

兵士たちの声と、敵味方両方の数発の銃声がこだまする。

「あっちに逃げたぞ」

「追え」

足音が遠ざかる中、分隊長は足元の死体を検分する。

「胸と頭に1発ずつ、エグいねぇ」

足元に倒れている死体は、防弾チョッキといった防護衣を着用していない。

だから、胸を撃たれただけで、そのまま致命傷である。

それでも止めに頭を撃っている。

たまに、生きた状態でうめく人物もいるが、そこは分隊長が自衛用のピストルで止めを刺す。

日本皇国陸軍は、捕虜をとる前に敵兵を全滅させる。

なぜなら、旧陸軍の舩坂弘軍曹のように捕虜になったあとに、何かしらの破壊活動をされることを警戒しているからだ。

人道云々の議論はあろうが、特に特殊部隊員であれば、回復してしまったら一般の兵士では太刀打ちできないからだ。

「今で、5人目か。

比べて味方の死傷者は、少しで済んだか」

『二中隊より一中隊。

たった今、敵兵を10名ほど掃討中。

支援求む』

『こちらも敵兵数名を追撃中だ。

出来るだけ、支援は寄越す。

奴らを生きて帰すなよ』

『分かってる。

支援感謝する』

『じゃあな』

それだけ言うと、互いの通信は切れた。

『無線で聞いただろうが、第二中隊より支援の要請があった。

手空きの部隊は応援に向かえ』

『三小隊向かいます』

『二小隊も同件』

敵兵を追撃中の第一小隊を除いた2個小隊が、中隊を離れ第二中隊の支援に回った。

第一小隊は上空からの情報を得ながら、慎重に進む。

待ち伏せがあっても、その事を分かっている将兵たちによって回避される。

その事も韓国兵たちにとっての悪夢であった。

高い目的意識に支えられた士気も、ここまで来るとがた落ちだ。

島の端に追い詰められた韓国兵たちの取る手は1つだった。

「降伏の意思があるなら、ゆっくり両手を頭の後ろにつけて膝をつけ」

小銃を向けたまま、警告する。

追い続けた兵士たちが見たものは、林の中に立っていた武器を捨てた韓国兵たちであった。

ツーマン・セルで近づく将兵に油断の色は見られない。

しかし、油断はしていなくても緊張の糸は緩む。

将兵の指示通りに、ゆっくりと手を後頭部に置く兵士の数が、追っていた人数よりも少ないことに気づくまでは。

そしてその気の緩みは、致命的な隙を生む。

「各員、気を付けろ」

そう叫んだ兵士が、銃声と同時に倒れる。

「銃撃の地点を確認しろ」

銃撃戦の最中、ある兵士は叫ぶ。

武器を捨てたはずの連中すらも銃を手に取り、撃ち返してくる。

1個小隊50人の将兵対6から7人の敵兵という構図であっても、不利なのは十字銃火を浴びる側である将兵たちの方である。

体を撃たれて戦えなくなる将兵は増える一方だ。

「一小隊より中隊本部、二小隊、三小隊へ。

現在、敵兵と交戦中。

負傷者多数あり。

至急、戻れ」

『中隊本部より二小隊、三小隊へ。

三小隊戻る。

二小隊は二中隊の支援を継続せよ』

『三小隊、了解』

『二小隊、了解』

分隊長は通信を切れると、正面の敵兵を見つめる。

「田原ァ。

擲弾筒を撃て。

目標は、正面のどこでもいい」

敵の攻撃を受け止めるには、火力が足りない。

少人数同士の軍事衝突の場合は、火力のごり押しが勝利の常道だ。

「了解。

後方安全確認よし。

発射準備用意よし」

敵の猛攻のなかを生き延びていた田原上等兵が、84ミリ無反動砲を抱える。

「各員は田原を援護。

擲弾を使って構わん。

撃てぇ」

銃を持てる兵士は、銃を構え乱射する。

敵に頭を上げさせない、そのための制圧射撃である。

30発のマガジンを1つ、2つと撃ち尽くす。

その間に、田原上等兵の持つ84ミリ無反動砲は次々に砲弾を撃ち込み、歩兵火力としては絶大な火力で、敵兵を沈黙させる。

さらにそこに小銃擲弾が次々に撃ち込まれる。

それでも、敵兵の銃撃は止まらなかった。

互いの射撃は、互いに命中しない。

将兵たちの射撃は、銃弾の飛んでくる方向に対して、簡単な照準で行うからであり、敵兵の側は、数に頼った射撃に正確な照準が行えないからであった。

「負傷兵は、這ってでも後退しろ。

何人か、動けない者を介助してやれ」

分隊長は指示を出す。

倒れている兵士も、飛び交う銃弾の雨のなかを匍匐前進の要領で下がる。

動かない兵士は無事な兵士が駆け寄って引き摺って後退する。

「一分隊は制圧射撃を継続しつつ、後退せよ」

「二分隊も後退だ」

遠くでは、第二分隊も後退するようだ。

分隊長の声が聞こえてくる。

『三分隊は後退を援護せよ』

『四分隊も同じだ』

通信機越しに第三分隊、第四分隊の指示が聞こえてくる。

日本皇国陸軍歩兵科では、4個小銃分隊と小隊本部からなる1個歩兵小隊を3個集めて、それと中隊本部で1個の歩兵中隊を構成し、1個の歩兵中隊は、2個と大隊本部で大隊を、3個から6個集まって、連隊司令部やその他の直轄部隊を合わせて連隊を構成する。

主に連隊はそれ単体で編成を完結するか、旅団の指揮下にあり、機動防衛力の主力を担うものである。

対して、大隊は旅団の指揮下に編成された支援兵科部隊、もしくは方面軍麾下に編成された通信団や工兵団などの団で、兵科の専門的な作戦行動を担う。

話は逸れたが、十数人からなる分隊が、この周辺には4個展開しており、敵兵は一時的に30以上の小銃、軽機関銃、84ミリ無反動砲から狙われる結果となっている。

だから第一分隊の離脱を阻止するものはない。

「負傷兵を後送せよ」

戦線離脱を離脱した第一分隊は、分隊長と分隊付き衛生兵の相良軍曹のトリアージによって重篤な負傷兵を衛生隊に引き渡す。

負傷兵を分離した1個の小銃分隊は定数の6割ほどだ。

それでも、負傷兵以外の撤退は許されないし、軍人が上からの命令もなしに後退するなどあり得ない。

「敵主力は竹島だ。

後方であるここにそこまでの大戦力をあてがわないだろう」

そう言って、分隊長はミントのタブレットを噛み砕いた。

もともと、ヘビースモーカーである分隊長は、タバコの代用品として、戦闘中はミントのタブレットを使用している。

「タバコの代わりになるんですか?」

「さあな。

まあ、吸う量は減ったかな。

くっちゃっべってないで、前線に戻るぞ」

第一分隊が前線に戻ると、2個の分隊が苛烈な攻撃を加えていた。

『三分隊、着剣。

総員突撃』

突然にそう言うなり、第三分隊員は敵兵に突撃していく。

「あんの脳筋共。

各員、撃てぇ」

状況は第一分隊が戻った直後に、変化した。

脳筋の集まりと言える第三分隊が突撃したのだ。

距離をとっての撃ち合いだったこともあり、歯痒かったのだろう。

肉弾戦ともなると、日本皇国陸軍の徹底した格闘訓練と鉄の精神と敵兵の格闘戦技術と鋼の意志のぶつかり合いだ。

「斎藤、行け」

「了解」

分隊長は第三分隊が勝てるとは思っていない。

格闘戦では一人で一般歩兵1個中隊分の戦闘力を持つと評価されるのが特殊部隊員である。

たかだか十数人が束になったところで、勝てるわけもないのだ。

だからこそ、特殊部隊上がりの兵士を支援に回したのだ。

狙撃兵には狙撃兵を、同じく特殊部隊には特殊部隊を送り込む、これは陸戦の基本である。

『二中隊より一中隊へ』

普段の部隊間の交信は、分隊付き通信兵が担当するが、今はスクランブル交信に設定されており、中隊間や小隊間の通信すらも聞こえてくる。

『敵兵全ての掃討を完了。

残存兵を捜索中』

『一中隊、了解』

「一分隊より小隊本部、中隊本部、二中隊へ

こちらも敵兵に突撃す。

状況が変化し次第、連絡する」

『小隊本部、了解』

『中隊本部、了解』

『二中隊、了解』

一時は膠着状態に陥ったものの、第三分隊の突撃で突破口が開いた。

「敵兵の状況が更新されました。

三分隊と交戦中の敵兵が最後です」

散発的に銃声も聞こえる。

おそらく、中距離から第四分隊が射撃しているのだ。

正確に目標を捉えた、その射撃は敵兵を沈黙させるには十分だった。

その事と合わせて考えると、第三分隊の突撃は考えなしに行われたものではないということだろう。

そこでまた一人、反撃のために立ち上がって撃ち倒された。

それを最後に、通信機から特殊なリズムの音楽が流れる。

「射撃やめ」

それを聞いた分隊長は怒鳴る。

「敵兵の完全沈黙を確認。

各隊は戦場掃除を開始しろ」

「了解」

上空を飛行中のUAVの高感度赤外線センサーは、人間の吐息といった少しの温度変化すらも見逃さない。

そこには既に、味方以外の影は存在しなかった。

「第一分隊より小隊本部へ。

敵兵の殲滅を確認。

戦場掃除を終え次第、帰還します」

携帯式のスコップを片手に地面を掘る兵士や、敵兵や味方の兵士の死体を運搬する兵士、不発弾を捜索・回収する兵士など、やることは各自たくさんある。

『小隊本部、了解。

警戒態勢を継続せよ』

「了解」

 

『第一中隊より団司令部。

敵兵の殲滅を確認。

戦場掃除を終え次第、帰還します』

「団司令部、了解」

前線に出動した中隊からの報告を聞き、団司令部の兵士は、ほっと一息をついた。

「弾薬庫も、ここも無事ですみましたね」

兵士が言うのへ保田少将も言う。

「各員の薫陶努力があったからだよ。

ここが崩れなかったのはな」

負傷者が多数出たとはいえ、第一中隊・第二中隊の2個中隊は敵兵を殲滅することができた。

これが第三次竹島紛争の大きな節目になるとは、このときの誰も思わなかった。

 


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