ほのぼの、勘違い、日記調。
ヒロインはアリーナ。
【DQ4】名無しの旅日記
●一日目
記憶がない。知り合いもいないっぽい。よし、旅に出よう。
大体こんな感じで一人旅を始めてみたけど、結構物騒で大変だった。と言っても、身体が覚えていたのか、襲いかかってくるモンスター達は怪我することなく倒せたため、疲労しか無いんだけど。
何か近々地獄の帝王とやらが復活するらしい。で、それを倒すことが出来る唯一の存在である勇者が魔族に殺されたらしい。世界滅ぼされるじゃないですかーやーだー。いや、それ詰んでない? 結構詰んでない?
…………ま、あーだこーだここで書いても状況変わることは無いから近々世界が滅ぶことは記憶の彼方に放り投げておこう。
目下の目標は僕の記憶を取り戻すための自分探し。その一貫として、何か色々事情を知ってそうなデスピサロって人を探す、これにつきる。
取り敢えず、東にあるエンドールって大国によく当たると評判の占い師さんがいるみたいだから、明日早速エンドールに足を運ぶことにする。
●四日目
エンドールに辿り着くのにえらい時間がかかった。やっぱ地図無しに旅するもんじゃないね。
でも良いこともあった。
まず、使える呪文が三つも増えた。体力を回復させる効果があるホイミとその一つ上にあたるべホイミ、そして相手に小さな火球をぶつけて攻撃するメラだ。これで益々旅がしやすくなるよ。……ま、魔力切れの心配をしないといけないけどね。
次に、トンネル開通後千人目通過記念にとカジノのコインを百枚貰った。いやはやホント運が良い。遊んでみてねということなので、明日朝一で貰った分のコインで遊ぶことにする。今日はもう遅いし。
でも、カジノってどんな遊びをするところなんだろう? …………無難にジャンケンとかかな?
●五日目
今日は一日中カジノで遊んでた。モンスター格闘場、ポーカー、スロットと一通り遊んでみたけど、一番楽しかったのはポーカーだった。一番稼げたのはスロットだけど。モンスター格闘場はモンスターを見世物にしているみたいで何か嫌だった。あれの何処が楽しいんだろ?
ともあれもうすぐ百万枚に届くかといったところでカジノの責任者さんにもう止めてくれと泣き土下座されたので、何か申し訳なくなって遊ぶのを止めた。隼の剣と星降る腕輪を一つずつ交換したけど、まだ結構コインが余ってどうしようかと考えてたら、踊り子っぽい綺麗な女の人に絡まれた。何か物欲しそうにコインを見てたので全部あげたらすっごい喜んでくれた。
カジノから出て、そんなにお腹空いてなかったから手に入れた装備を持ってモンスターを狩りに行った。普段の二倍速く動けた上に、一度に二回攻撃する余裕があったからつい調子に乗って戦いすぎた。
おかげでご飯は食べそびれたけど、いっぱい遊んだし良いこともしたし良い装備品も手に入れたし、充実した一日を過ごせたと思う。
●六日目
どうやら僕は勇者らしい。うん、意味が分からない。今も書いていて混乱している。
今日は本来の目的である占い師さんの所に行った。タイミングが良かったのか並んでる人がほとんどいなくてすぐに占ってもらえたんだけど……その占いで、勇者だって言われた。
で、仲間にしてくれって占い師さんに懇願された。混乱してたら何か頷いてたっぽくて仲間になっちゃったけど。後、昨日会った踊り子っぽい人も仲間になった。占い師さんのお姉さんらしい。そう言われてみればすっごい似てるけど、二人の性格のせいか全く気付かなかった。
二人は父親の仇を討つために旅をしているらしい。地獄の帝王に打ち勝つ過程で敵討ちが果たせるから仲間になったんだそうだ。つまりそれって僕も敵討ちに協力しなくちゃいけないってことなのかなぁとは思ったけど、地獄の帝王に打ち勝つための仲間でもあるらしいから、別に問題はなさそうだ。
それにしても、勇者が僕なら何で勇者を仕止めたなんて言葉が聞こえてきたんだろう? 僕と誰かを間違えたのなら、間違えられて殺された人が可哀想だ。
それとも、敢えて間違わせたのかな? 目が覚めた時、僕隠し部屋みたいな場所にいたし。僕を護るためにあの部屋に隠して、僕を護るために身代りになったっていうのがしっくりくる。
でも、僕そっくりの見た目の人って存在するんだろうか?
正直見たことないよ、僕以外に新緑の髪を持つ人は。
●七日目
他人の姿形を完全に模倣できる、モシャスって呪文があるらしい。いや、ちょっと気になってミー姉に聞いてみたら、そう返答が来た。
あ、ミー姉っていうのは、昨日仲間になった姉妹の妹さんの方、占い師さんのミネアさんの愛称なんだ。心の中で勝手にそう呼んでる。表ではちゃんとミネアさんって呼んでる。や、流石に出会ったばかりでそんな気安く愛称で呼ばないよ、うん。因みにお姉さんの踊り子さんのマーニャさんのことは心の中では勝手にマー姉って呼んでる。表ではミー姉同様さん付けだけど。
いつかちゃんと表でも愛称で呼べるほど仲良くなれると良いなぁ。
ま、それはともかくとして、もうエンドールには用がないからブランカの西側に向かって旅立つことになった。サントハイムは旅の扉が閉鎖されていて、キングレオへは船の定期便があちら側の都合で無くなったからだ。ボンモールにも行けることは行けたけど、ミー姉いわくそっちに向かっても大した成果は得られないらしい。占いってそういうことも分かるんだって。凄いなぁって言ったら、何でかマー姉の方が威張ってた。
で、行きとは違って道は分かるしマー姉達はちゃんと地図を持っていたから、その日の内にブランカに辿り着けた。
前と一緒の宿に泊まろうかとも思ったけど、まだ時間もあるし木こりのじーちゃんにお礼を言ってから宿屋に言っても良いかと二人に尋ねたら了承を得たから、じーちゃんとこに行ったら悪態付かれながらも夕食を振る舞われた上に泊めてくれた。あ、早く寝ろって怒鳴られた。心配してくれてるんだなぁ。ホント、素直じゃないや。
●勇者(♂)
目を覚ましたら記憶喪失、周りに人がいない、良し旅に出よう。と、軽いノリで旅をすることに決めた青年。デスピサロという人の名前を手掛かりに旅していたら、地獄の帝王を倒す勇者だと言われ、流されるままに世界を救うことになる。
純粋で流されやすく、人懐っこい性格をしているが、常に無表情かつ口数が少ないこともあり勘違いされやすい。
名無し(nameless)からとってナムレスと名乗っている。
途中までは勇者(♂)の日記、それ以降は通常の小説形式になる予定。