ゼロの使い魔で割りとハードモード   作:しうか

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 ええ、やっちまいました。2話連続予約投稿のはずが1話フライングでやっちまいました。くっ、不慣れな自分が憎い!
 一応同じ日に2話投稿されているので前話まだお読みでない方はご注意ください。

 「コルベール先生へのアンチ・ヘイトが含まれます。ご注意ください。」とか、書いておいた方がいいのでしょうか。ちょっとよくわかりません。一応タグが付いていますので大丈夫だとは思うのですが少し心配です。

 あと胸糞注意かもしれません。ついでにちょっとグロ表現あるかも?
 R-15タグが輝く時がやっときたね! やったね! と思って読んでもらえれば幸いです。


5 初めての決闘

 フリッグの舞踏会から二週間ほど経った。あの後三日ほど寝込み、起きた後も何度か学院の水メイジが診療に来てくれた。シエスタはそれまで気が気じゃなかったらしい。起きるまで毎日ルーシア姉さんのところに通ったそうだ。ルーシア姉さんは「よくあることよ」と言っていたらしいが、確かによくあることだな。

 

 あと、ギーシュやマルコがお見舞いに来てくれたらしく、ドアの前までにしてもらったらしいが、あとで授業に出たときにお礼を言ったら、「心配したよ。虚弱というのは本当だったのだね。」と言われた。

 

 しかし、アレで死なないとは意外とこの体は頑丈なのではないだろうか。

 

 その後、本を燃やされたタバサ嬢とドレスを破かれたキュルケ嬢の決闘騒ぎがあり、キュルケ嬢が負けたのだそうだ。また決闘見逃したか……。

 

 そのすぐあと、この決闘を仕組んだ黒幕であるキュルケのドレスを破ったヴィリエとタバサの本を焼いて赤い髪を残してキュルケに罪をなすりつけた女子生徒数名がバレたらしく、彼らは学院中に大恥を晒し、自らの名誉を大いに傷つけたらしい。詳しい事はまぁ原作通りなら……。いやよそう。

 

 ちなみに昨日も授業中体調が悪くなり退席したので医務室のメイジに診察されて数日安静と言われ、部屋着兼寝間着で過ごしている。

 

 今はちょうどシエスタが遅めの昼食を取りに厨房へ行ってくれている。あまりすることも無いので、家から持ってきた本を何の気なしに読んでいると、部屋の外から女性の悲鳴と食器などが落ちたようなカランカランという音が聞こえた。

 

 シエスタか? 何があった? マントだけかぶって杖を持って外に出ると、転んでうずくまったシエスタと汚れた床とそれを見下す男子生徒が見えた。

 

 「シエスタ。大丈夫か? 怪我はないか? 何があった?」

 

 「クロア様、申し訳ありません。怪我はありません。突然後ろからぶつかられて……。」

 

 心配したが、怪我は無いようだ。しかし、シエスタの説明を途中でぶった切るように見下していた男子生徒が、

 

 「何を言いがかりを! 平民である貴様が貴族である俺の進路を邪魔したのであろうが! おいそこのお前! そのマントの色から一年だろう? どちらが悪いかわかるよなぁ?」

 

 と下卑た声で絡んできた。同じ貴族同士なら在籍年数よりも実家の爵位や繋がりだと思うのだが、彼は自分の家格に自信があるのだろうか。しかし、ここは学院だしな。関係ないし、あちらが悪いのは明白だ。

 

 「どなたかは存じませんが、どう見てもあなたの過失ですね。彼女への謝罪を要求します。」

 

 と言うと、いきなり激昂した。

 

 「ああん? 俺様をしらねぇのか? 三年の『激炎』のアレクシスだ。よく覚えとけ新入生!

 さぁ、そこの平民。俺の部屋でゆっくり謝罪をいただこうか?」

 

 そして、『激炎』のアレクシスがシエスタに近づいたので割って入ってシエスタに俺の部屋に入るように促す。

 

 「シエスタ怪我はないのだな? 怪我がないなら部屋に戻れ。

 彼女は俺が学院から借り受けているメイドだ、手を出すというのならば問題になるぞ? 激炎殿?」

 

 シエスタは「はい、怪我はありません。でも……」と言って立ち上がったのはいいがオロオロとして部屋に戻ろうとしない。

 

 『激炎』のアレクシスは身長が2mちかくあり短く切った赤髪を逆立てていて、体格もかなりいいためかなりでかく見える。顔は元々ハンサムっぽいのだが性格が表れているように下卑た感じに見える。

 

 しかし『激炎』という二つ名は聞いたことが無い。原作には絡まなかったのだろう。そういえば原作が始まる頃にはコイツは卒業していていないのか。シエスタの立場と平民相手とはいえ責任問題になると説明し、諭したのだが、なぜか更に怒り出した。

 

 「いいだろう。クソチビ野郎。決闘だ。ヴェストリの広場で待ってるぞ、着替えの時間くらいはくれてやる。」

 

 ふむ。着替えの時間をくれるらしい。しかし少し野次馬というかヤツの仲間と思わしきヤツが増えてきた。

 

 「逃げるなよ? クソチビ! さっさと着替えて来い、いや、新入生だからな、俺がヴェストリの広場まで案内してやる。」

 

 と、野次馬の一人がクソチビ呼ばわりしてきた。いや背が小さいのは認めるがね? それ君が言ったらほとんどの人はチビじゃね?

 

 「受けるとは言っていないのだがね? それに校則違反ではないのかね?」

 

 一応そう言うと、『激炎』殿は「そんなもんは関係ねぇ! さっさと着替えて来い。案内はお前に任せる。先に行ってるぞ? クソチビ!」と言て出て行った。

 まぁとりあえず着替えよう。「ふむ。では少々失礼。」と言ってシエスタと一緒に部屋に戻ろうとしたら、

 

 「おっと、コイツはお前が逃げないよう、こちらにいてもらうぞ? なぁに決闘が終わるまで手は出さないと誓おう。」と取り巻きに言われた。

 

 ちっ、何が誓おうだ。なんだかイライラしてきた。シエスタが心配なのでささっと入って着替えて部屋を出た。

 

 「さて、往こうか、先輩方。」そう言うと、俺とシエスタは前後を上級生に挟まれるようにしてヴェストリの広場に向かった。途中、小声でシエスタに話しかけられた。

 

 「クロア様。私なら大丈夫ですから、こんな危険な事おやめください。」

 

 「いや、それでは俺が大丈夫じゃない。手は出させないと誓ったはずだ。君は気にする必要はない。むしろ巻き込んでしまってすまないと思っている。」

 

 そう謝ると、「そんな……。」と言って黙ってうつむいてしまった。いや明るく振舞うのは無理があると思うけどね? 

 

 そしてヴェストリの広場に付くとすでにギャラリーが集まっている。『激炎』殿が宣伝でもして集めたのかね? 「やべぇぞあのチビ。相手が『激炎』ってしらねぇのか?」とか「先生呼んだ方がいいんじゃない?」とか「バカ、先生に言ったら俺たちまで巻き込まれるぞ?」とか色々聞こえてくる。『激炎』殿は普段から素行が悪いようだな。まぁ取り巻きまとめてそんな感じだが。

 

 空を見るとおあつらえ向きによく曇っている。これならまぶしくて目標を外すことも多分あるまい。軽く見回すと、マントの色から一年生も来ているようだ。シエスタから離れてぽっかり空いている空間に進み出る。

 

 「よく来たなクソチビ、さぁ諸君、決闘だ! 俺は『激炎』のアレクシス! そこの平民の女に貴族の名誉を傷つけられた! 当然の謝罪を要求したがそこの新入生はこの俺が悪いという! 当然俺が勝ったら二人からの誠意ある謝罪を要求する! 立会い人はそこのお前がやれ!」

 

 そんなものが貴族の名誉だと? トリステイン貴族でいるのがバカバカしくなるな。中には貴族らしくあろうとするいいヤツもいるというのに……。しかも立会人は取り巻きAか。

 

 「クロア・ド・カスティグリアだ。そうだな、貴族の名誉というからには自ら言いがかりをつけた上に決闘を仕掛け、更にその上負けて生き恥を晒すようなことはしたくはあるまい? お互い名誉に加えて命を懸けるというのであればその決闘受けよう。何なら貴様の取り巻きを含めても構わんぞ? 手間が一度で済んでこちらとしてはありがたい。」

 

 そういうと、『激炎』のアレクシスは「ああ、命を懸けよう。二言はないな? ここにいるみなが証人だ。」と怒りと共に言い放った。

 

 そして杖を抜き、お互い決闘前の礼をしようとしたところで、礼をしたのは俺だけだったようで、頭を上げた瞬間、目の前にファイアー・ボールが迫っていた。ギャラリーからは悲鳴が溢れ、ファイアー・ボールの向こう側には下卑た顔が視える(・・・)

 

 しかし、思っていたより遅い上に温い。やはり俺の魔法は原作とは少し違うようだ。適当につぶやきながら軽く杖を振って相手が放ったファイアー・ボールを極限まで小さくした防御用のラ・フォイエで打ち消す。

 

 ラ・フォイエと打ち消されたファイアー・ボールが目の前で一瞬キレイな炎の渦巻きを作り出し、それを見ながらファイアー・ボールの詠唱を始める。相手は驚愕の表情を作り、こちらが詠唱を始めたのを見て慌てて杖を構えて再び詠唱を始めようとしたがかなり反応が遅い。相手がワンフレーズ唱える前に着弾するだろう。

 

 ふむ。このまま水平に撃ったらギャラリーを巻き込みそうだな……。そう考え相手の(すね)を狙ってファイアー・ボールを放った。

 

 そして、放った瞬間にキレイな光の線を一瞬描いて着弾した。狙い通り相手のヒザから下を一瞬で消し炭にし、そのままヒザから上が燃え続ける。『激炎』殿は一瞬何が起きたのかわからなかったようで、少し硬直したあと、すさまじい悲鳴をあげ、杖を捨て、炭化して生の部分が半分の長さになった足を燃やす炎を必死に消そうとしながら転がり続けた。着弾地点は土が焼け、かなりの高温になっているようで赤黒くなっている。

 

 「ぎゃああああああああああ!!!!!」

 

 という、『激炎』殿の悲鳴と、ギャラリーの悲鳴と肉が焼け焦げて炭になる香りを嗅ぎながら今度はフレイムボールの詠唱を始める。

 

 さぁ決闘の宣誓どおり燃やそう。この下らない生き物を跡形も無く……。

 

 何かに取り憑かれたようにそう近づいたところで両腕を広げて杖を持った教師に割り込まれ、あっという間にその教師がアレクシスが纏っていた炎を消した。

 

 「そこまでです! 水系統のメイジは出来る限り彼の治療を! そこの君! 医務室に連絡と応援を!」

 

 そして、その教師は俺に振り向いた。このハゲ具合。コッパゲか? 黒い髪だが前頭部から頭頂部がハゲており、丸いメガネを掛けている。体格もよく背も高い。

 

 「君、名前は?」目つき鋭く尋ねられた。

 

 「クロア・ド・カスティグリア。初対面だと存じますが、人に名を尋ねるときは自分からと貴族である両親に教わりました。ここでは違うのですか。コッパゲール先生?」

 

 戦いの熱が冷めていないのか少し挑発的に笑みを浮かべそう言うとコッパゲは顔をしかめた。 

 

 「ジャン・コルベールだ。ここで火の系統魔法の教師をしている。それで、ミスタ・カスティグリア。なぜこのような……いや、このまま学院長室まで来てもらおう。」

 

 コルベールは俺を睨みながら簡単に自己紹介したあと、問い詰めようとし、周りに気づいたのか学院長室に来いと言った。周りを見ると青い顔をしながら治療に当たっている者もいれば、放心したり、吐いたり、泣きながらうずくまっている者もいる。意外と大惨事になったな。

 

 だが、残念ながらあそこまで登っていける自信が全くない。シエスタがいても難しいだろう。レビテーションで運ばれるのも階段で落とされたら怖いのでイヤだ。

 

 「お断りさせていただく。あいにくと俺は病弱でね、学院長室まで行ける自信がない。そのことは学院長殿もご存知のはずだ。失礼なのは重々承知だが、話は私の部屋で窺おう。生きている限りは逃げも隠れもせんよ?」

 

 そういうと、苦虫を噛み潰したような顔をして、「では部屋で待っていなさい。」と言ってどこかへ走っていった。

 

 振り返ってシエスタに近づくと彼女は立ったまま泣いていた。

 

 「すまない。怖かったね? 申し訳ついでに肩を貸してくれないか? 一人ではとても部屋まで戻れそうにない。」

 

 そう、謝ってからハンカチを取り出しながら苦笑いで頼むと、彼女は一歩下がった。ああ、怖かったのは俺かな? そう思い「本当にすまなかったね。この償いはいずれ……。」とだけ言って自力で戻ることにした。

 

 のろのろと歩きながらよく考えたら案内されただけで寮の方向がわからない。しかし、ここから振り返って戻るのはかなり恥ずかしい。いや、それどころじゃなさそうだけど恥ずかしい。そんなことを考えていると目の前に救世主が現れた。

 

 「タバサ、あの魔法はなに?」

 

 彼女は同じクラスでもあるが、原作のサブヒロインである。青い髪をショートヘアにして、青い目に赤い下縁フレームのメガネをかけ、身長は小さめの俺より低い。そして自分の身長と変わらないような長い杖を持った少女だ。少々複雑な過去を持っていて、タバサというのも偽名だ。この作品の中ではトップを争うほど危険なことに突っこんで、生と死の狭間で踊るプロダンサーである。―――大抵無傷だが。まぁ死への近さなら俺には劣るだろうがな!

 そして少し遠目にはキュルケと思われる赤い髪が見える。タバサが心配なのだろうか……。

 

 「クロアだ。その質問に答えるは(やぶさ)かではないが、二つ頼みたいことがある。」

 

 そういうと、ほとんど無表情な顔に少し疑問を浮かべて「何?」と聞き返した。

 

 「一つ。ここがどこだかわからん。男子寮の入り口まででいいから送ってくれ。二つ。今にも倒れそうで自力で歩くのがつらい。レビテーションで運ぶか肩を貸してくれ。」

 

 そう頼むと、「わかった。」と言ってレビテーションで軽く浮かせて運び始めてくれた。こちらの頼みを聞いてくれるのだからこちらも答えねばなるまい。ちょうどいいから移動中に答えてしまおう。

 

 「あの魔法はなに? という問だったな。使った魔法は2つだ。一つ目はオリジナルで恐らく俺にしか使えない。原理的にはそうだな……狙ったところに一気に大量の炎を見えないくらい凝縮させて一瞬で全て開放している。」

 

 驚いたようで少し高度がガクッと下がった。こわっ!

 

 ほんのちょっと怖かったが「おっと、落とさないでくれたまえよ?」そう苦笑いで言うと、タバサは俺の高度を戻して「ごめん。続き聞かせて。」と、言った。

 

 「初めて使ったときは広範囲でとてもじゃないが学院では使えない規模だったのでね。何かに役立つように改良し続けてできる限り小規模にしたものがアレだ。

 そうだな、もし風で例えるのであれば、まぁオリジナルだから何とも言えんが、一瞬で唱えたエアハンマーを更に圧縮して目標に当たる瞬間に炸裂させて相殺させる感じかな? 唱えたあと維持しておくのもいいかもな。まぁ要は使いようだ。」

 

 そういうと、タバサは難しい顔をした。まぁ難しいだろうね。でも練習次第では出来なくはないんじゃないかな?

 

 「そう。二つ目は?」

 

 「ああ、二つ目はただのファイアー・ボールだ。」

 

 ああ、多分あれが男子寮だな。タバサがんばれ、クロア君輸送任務終了まであとちょっとだよ!

 

 「それだけ?」

 

 「うん。特にタネも仕掛けもなし。詠唱も中身も本で読んだまま。」

 

 そういうと疑いの目を向けられ少し高度を落とされた。

 

 「いやいやいやいや、ホントにそれだけですよ!? 最後に近づいて撃とうとしたのはフレイム・ボールだけどアレは正真正銘ファイアー・ボールですよ!? 他の人が使ったのを見たことは――ついさっき初めて目の前であったけど、俺が使うとあんな感じなんですよ!?」

 

 必死で弁解すると「そう。」と言って高度を戻してくれた。レビテーションで脅すとは……タバサ実はドSですね? そういえば使い魔の頭をガスガス殴ってましたね。風韻竜が痛いって言っても殴ってましたね。ドS確定ですね。はい。

 

 男子寮の入り口に着くと「着いた。」と言ってそっと降ろしてくれた。

 

 「ああ、本当にありがとう。ミス・タバサ。」そういうと、「タバサでいい。」と言ってどこかへ去って行った。振り返る力も惜しいので見送るのは次回にしよう。しかし、ドSでクールですね。雪風の名は伊達じゃありませんね、さすがです。

 

 壁に手を付きながら自分の部屋を目指す。「こうして一人で歩いているとシエスタのありがたみが身に沁みるな……。」と誰もいないことをいいことに独り言をつぶやくと、まさかの返事があった。

 

 「そうですか? さっきはすいませんでした。クロア様。」

 

 といって、シエスタが俺の腕を担いでくれた。

 

 「ああ、構わないよ。気にしないでくれ。それと、ありがとう、シエスタ。」

 

 どうやらレビテーションで運ばれているのを後ろから見ていたようだ。そして、仕事を放棄することもなく戻ってきてくれたようだ。さすがシエスタ。肝が据わってますな。

 

 「いえ、元はと言えば私を守るための決闘でしたのに、その、怖くなってしまって……」

 

 「ああ、うん。いや、えーと……。そ、そう! あれは貴族の誇りを賭けたものだからね。平民のシエスタが気に負う必要はないし、俺はシエスタを他の貴族から守ると誓ったし!

 それに、いやなヤツとはいえ人が燃えて大怪我をしたんだ。誰でも怖くなるのは当然さ! むしろその恐怖から守れなかったことについては改めて謝罪するよ。すまなかった。

 でも俺はほら、貴族だから! なんていうかほら! 死ぬ覚悟とか出来まくりだし!?」

 

 あー、なんかよくわかんなくなっちゃった。シエスタの悲しそうな顔を見たら混乱してフォローしようとしたのか、はぐらかそうとしたのか、照れ隠ししようとしたのか、貴族としての仮面がはがれてしまった。そして部屋に入るといつもの安静香水の香りがした。

 

 「あ……」

 

 そして、この香りで気づいた。気づいてしまった……。あのファイアー・ボールが焼いたのは相手だけではなく、今までの俺に対する信頼と、貴族の仮面をかぶって作った友人との関係と仕事の義務感で戻ってきてくれたシエスタの信頼……。

 

 そして俺は人を殺そうとした。いや、コルベールに止められなければ確実に殺していた。

 

 すぐに俺の殺人未遂事件をモンモランシーやギーシュやマルコも知るだろう。いや、実際にあそこで見ていたかもしれない。俺が躊躇せずに人を焼く姿を……。

 

 そう考えたら体中が震えた。

 

 「クロア様!?」

 

 「だ、だいじょうぶ。大丈夫だから。」

 

 クソがっ、覚悟して殺すと決めたろう? 覚悟して命を賭けたろう? 覚悟して決闘に臨んだだろう? 覚悟して撃ったはずだろう? ああなることはわかっていてやったのだろう? いい加減にしろ、俺は震えていい立場じゃない! それにどうせ手に入らないものだったじゃないか! せめて貴族として生きろ! 

 

 自分を叱咤するが中々ふるえが止まらない。

 

 「わ、悪いシエスタ 椅子に座る。 から テーブルに お茶の用意を……。コルベールが来る から。」

 

 シエスタにベッドではなく椅子に座らせてもらうと、お茶の用意を頼んだ。最悪でもこの震えは他のヤツには見せたくない。必要なときにはカクッと力が抜ける癖に、中々震えが止まらない。しょうがないので手をヒザの上に載せてマントで体を覆う。

 

 お茶の用意が終わったようで、ワゴンにティーセットを載せてシエスタがテーブルの近くに運んだところでノックが響いた。シエスタにうなずくと彼女が出迎えてくれる。少し開けられたドアの先にいる人物はわからないが予定の人物ではなかったようでシエスタがこちらを窺った。首をかしげると、痺れを切らしたのかドアを開けて入ってきた。

 

 「すまないね。入らせてもらうよ。」

 

 そう言って入ってきたのはギーシュとマルコだった。入られてしまったのはしょうがない。これから始まる俺の処罰を彼らに見られるのは少々屈辱なのでオブラートに包んでご退場願おう。

 

 「ああ、ギーシュにマルコ。昨日ぶりだね。どうしたんだい? 尋ねて貰えてとても光栄だ。しかし、あいにくとこの後来客の予定があってね。話があるなら後日改めて欲しいのだがね?」

 

 そうかすかに震えながらおどけて言うと、ギーシュとマルコはあからさまに顔をしかめた。そしてギーシュが真面目な顔をして言葉を発した。

 

 「そうかい? でも僕もあの場にいたからね。この後教師が来てあの決闘の聞き取りだろう? 我が友のために微力ながら宣誓の証言をしようと思ってね。」

 

 「そうさ。我が友クロア。僕たちの友情がこんなチンケな決闘騒ぎで終わるはず無いだろう? 僕もあそこにいたんだ。宣誓の証言をさせてもらうよ。」

 

 ギーシュ、マルコ、かっこいいじゃないか。俺よりよほど貴族らしいじゃないか。そして何より君らのような友を持てて俺は幸せだよ。

 

 「ギーシュ、マルコ。ありがとう。」と少し震えた声でお礼を言うのが精一杯だった。止まれ! 俺の涙腺! 今は出番ではないのだよ! と思っていたらシエスタがそっと近づいて俺の襟や服やマントを整えるフリをしてそっとハンカチで涙をぬぐってくれた。

 

 そして少し落ち着いてから、気づいた。

 

 「ああ、我が友ギーシュ、マルコ。ここにいてくれるのはとても心強いのだがね? 生憎と空いてる椅子が1つしかないみたいだ。本当に俺は締まらないね?」

 

 そういうと、ギーシュは

 

 「ははは! 本当だね。それに君がよく言う“締まらない”はただの謙遜じゃないみたいだね。聞いたよ? この前のフリッグの舞踏会の日に倒れたのは君が言っていたようにただ運悪く体調が悪かっただけでなく、無理して参加しようとしたからなんだって? 普段女性について何でもないように考えていそうな君にもそういうところがあると知って逆に安心してしまったよ。

 まぁこれでも僕は軍人志望だからね、立っているのもいい訓練さ。」

 

 「そうさ! なに、椅子が無かったら立っていればいいだけさ。僕にとってはその方がダイエットにいいかもしれないね?」

 

 二人はそう言って俺の椅子の両側に立った。いや、いい友達を持ったものだ。二人ともカッコイイじゃないか。少し微笑んだシエスタが三人分の紅茶を入れてくれた。

 

 「ありがとう、シエスタ。そういえば二人とも、フリッグの舞踏会はどうだったんだい? どうせ俺の嘘もバレたんだ。よければ詳しく聞きたいね。」

 

 シエスタにお礼を言ってから紅茶に口をつけ、そう、二人に話を振ると、あの日の事を話してくれた。

 

 「ああ、女性陣はみな着飾っていてね。薔薇である僕に蝶のように吸い寄せられるのは仕方のないことなのだが、さすがの僕も目移りしてしまったよ。

 中でも特に美しかったのはモンモランシー嬢とルイズ嬢そしてキュルケ嬢かな。僕のところには来てくれなかったし、僕も慕ってくれる他の蝶達のお相手が忙しくてお誘いすることは出来なかったが、三人は特に目を引いていたね。」

 

 とギーシュが立ったまま左手でソーサーを持ち紅茶に口をつけながら語ってくれた。

 

 「そうだね。三人はそれぞれ違った美しさだったけど、ルイズ嬢の相手はどうも彼女の家柄と欠点しか見ていなかったようだね。

 彼女のドレス姿はそれらが関係ないほどの可憐さだと思ったのだが、僕から見て彼女の相手には少し嫌な感じがしたよ。僕はこんな見た目だから誘うことさえ失礼ではないかと躊躇われたがね……。

 モンモランシー嬢への誘いは多かったけどみんな断られていたね。逆にキュルケ嬢はある程度選んでいたみたいだが、かなりお誘いを受けていたよ。トゲはありそうだがギーシュに似ているんじゃないか?」

 

 そう、マルコが同じく立ったままソーサーを左手で持って紅茶に口をつけたあと言った。

 

 マルコ、実はルイズに惚れたか? そういえば原作ではルイズをよくからかっていたが、実は好きな女の子にいたずらするアレか? しかし、マルコの原作との乖離が半端ない。かなりいいヤツだと思うのだが、こんな感じだったっけ? これなら普通に恋人がいつ出来てもおかしくないと思うのだが……。

 

 それに、モンモランシー……ああ、俺が倒れて心配でそれどころじゃなかったのか? 本当に優しい子だな。しかし、せっかくなのだから将来の婿探しすればいいのに。ってギーシュも忙しかったのか。ギーシュ以外にお眼鏡に叶う人物もいなかったのだろう。それならしょうがない。

 

 「ははは!そうだね、ギーシュ。マルコの言うとおりかもしれないね。同じクラスに薔薇が二人か。大変興味深いね?」

 

 そう笑いながら薔薇の話をして、恐らく俺が一番聞きたいイベントの話をギーシュが始めようと「しかしアレには驚いたね。キュルケ嬢の」と言った瞬間ノックの音が部屋に響き、話が途切れた。

 

 あああああ! ここからが聞きたいところなのに! クソがあああ! 誰だ? 燃やすぞ?

 

 話を続けるわけにもいかず、みんな紅茶をテーブルに置きシエスタがドアの方へ行き出迎える。そして和やかな空気が霧散してみんな真面目な顔になる。

 

 「クロア様。オールドオスマン氏とミスタ・コルベール、ミス・ロングビルです。」そうシエスタが伝えたので「どうぞ、お入りください。」と入室を促した。

 

 「ほっほっほ、失礼するぞい。お主がクロア・ド・カスティグリアじゃな? オールドオスマンじゃ。学院長なぞやっとる。椅子借りるぞい?」

 

 そういってオールドオスマンはテーブルを挟んで向かい側の椅子に座った。学院長である彼は総白髪で髪と共に口ひげや顎ひげも白く腹の辺りまで筆のように伸ばしている。目の色は赤っぽい茶色だろうか。そして年齢は百歳とも三百歳とも言われている。人生経験が豊富なのだろう、飄々(ひょうひょう)としつつ好々爺と言った感じだ。

 

 カップの数の問題があるのでシエスタはオールドオスマンの前にだけ紅茶の入ったカップを置いた。オールドオスマンは「すまんのぅ」と言いながら一口だけ口をつけた。

 

 そして座った彼の斜め後ろに何か書類を抱えたミス・ロングビルとほのかに殺気漂うミスタ・コルベールが立つ。秘書と護衛かね? ミス・ロングビルはともかくコッパゲは一生徒にずいぶんと本気のようだ。

 

 ギーシュとマルコが来てくれたのは俺にとっては偶然だが、相対して同じような構図になった。

 

 「さて、今回の決闘騒ぎじゃが、一応コルベール君からは聞いておるし、君の決闘相手のミスタ・メンドルフは治療中で後で聞くことになっておる。双方の意見も聞いておこうと思っての。それで来たのじゃが、ミスタ・カスティグリア、何か申し開きはあるかの?」

 

 ふむ。申し開きときたか。罰はもう大体決まっているのか? ならば全て糾弾しよう。

 

 「申し開きですか? 行ってもいいので?」そう聞くとオールドオスマンは「うむ。それを聞きに来たのじゃからの。」と鷹揚にうなずきながら言った。

 

 「そうですね。申し開きは少し後にして、まずは決闘の経緯を私の視点から説明させていただきます。」そう言うとオールドオスマンはうなずいた。

 

 そして、決闘までの経緯を話した。まず、俺が昨日具合が悪くなりの学院の医務室にいるメイジの診療を受け数日安静を言い渡されたこと。そして少し遅い昼食をシエスタに取りに行ってもらったこと。突然悲鳴と物音がしたので廊下に出ると、食器やスープが散乱し、シエスタはうずくまっており、それを立ったまま見下している貴族がいたこと。

 

 学院から借り受けているシエスタの怪我の有無の確認後、シエスタから事情を聞くと「突然後ろからぶつかられた」と証言し、見下していた貴族から事情を聞くと「貴族の前を平民が歩いていてどかなかったのが悪い」と言ったので、シエスタが避けることが不可能な後ろからぶつかられたという事実からその貴族に謝罪を要求すると、逆に謝罪と称してシエスタをその貴族の部屋に連れ込もうとし、さらに彼の取り巻きが集まったこと。

 

 そこから無理やり決闘の運びとなり、決闘が校則で禁止されていることを告げたが関係ないと言われ、さらに取り巻き連中にシエスタが人質に取られ強制されたこと。決闘の場所へ取り巻き連中に前後を挟まれた形で連れて行かれ、ギャラリーから聞こえた内容から決闘相手の『激炎』殿が普段から素行の悪い人間だと最終的に判断し、決闘後に、彼や彼の取り巻きからの襲撃を防ぐために命を賭けたこと。

 

 そして決闘前の礼をこちらがしている時点で相手が先制したのでそれを防ぎ、ギャラリーへの誤射を防ぐため、相手の足元を燃やしたこと。貴族の宣誓での名誉と命を賭けた決闘であっため、トドメを刺そうとしたところ、ミスタ・コルベールに止められたこと。

 

 それらを事細かく説明すると、オールドオスマンに「ふむ。それが申し開きでよいか?」と言われた。

 目の前にある紅茶を飲みさらに言葉を重ねる。

 

 「いえ、今までのは決闘の経緯を私の視点から説明したまでで、ここからが申し開きですよ?」

 

 というと、オールドオスマンは飄々とした顔で「ふむ。続けなさい」と言った。コッパゲは相変わらず怖い顔をしている。ロングビルは目を伏せている。やる気ないんだろうなー。決闘現場とか見てないだろうしなー。

 

 「まず私が学院から借り受けているメイドのシエスタについてですが、彼女を借り受ける際、私が性的な意味で彼女に手を出さない事と他の貴族からの保護を誓っております。

 その場にミス・ロングビルや私の姉ルーシアも立ち会っていましたし、オールドオスマンを始め、彼女が男子寮に入ることで問題が起こらないよう、周知されているものだと思っておりました。これについてはいかがですか?」

 

 そう問うと、オールドオスマンは先を読んだのかほんの少し顔をしかめて「確かに聞いておる。ミスタ・コルベール、ミス・ロングビル。周知は行ったかね?」と言って二人に話を振った。

 

 「周知とまでは行きませんが、確かに授業でシエスタ嬢のことは知らせてあります。」

 「男子寮の入り口の掲示板に張り紙はしてあります。」

 

 とコルベールとロングビルは言ったが恐らく甘かったと感じているのだろう。しかし、まぁ二人とももはや貴族ではなくただのメイジだ。

 

 「なるほど、手を抜いたのですかね? それとも完全な周知は難しかった? 周知しても彼らにはそれが関係ないと思われたかもしれませんね? まぁそれがまず私の懸念の一つですね。

 そして今はそれが原因であるとは言いませんが、私が懸念していた問題は実際に起きました。それが申し開きの一つ目です。

 

 そして『激炎』殿自ら“その前にも同じようなことをしている”という事を仄めかされておりますし、彼の取り巻きも手馴れている印象を受けました。決闘を見物に訪れたギャラリーの声からも何度かこのような事を行っているという事実もあると考えられます。

 このような彼主導の決闘騒ぎは何度かあったのですかね? そしてそのたびに決闘の事情聴取や調査、そしてそれに伴う罰則の適用。その辺りは確認してますか?」

 

 そういうと、オールドオスマンはため息をついて、「ミス・ロングビル」と言った。

 

 「激炎を名乗るアレクシス・フォン・メンドルフは彼が入学してから確認されているだけで実際に決闘まで至った決闘騒ぎを六回起こしております。

 六回とも彼が勝利し、対戦相手は骨折、重度の焼けどなどの重症が四名。軽い焼けど、打撲などの軽傷が二名。学院の医務室で治療を受けた記録があります。罰則についてはオールドオスマンの承認で寮内の謹慎が四回。二週間の慈善奉仕活動が二回。

 相手への治療費の支払い命令や賠償金の支払い命令などは出されておりません。また、彼や彼との関係が疑われる人物の問題行動も生徒や学院職員から寄せられておりますが、特に処罰は行われておりません。」

 

 やはりですなー。やっぱまとめて焼き殺しておくべきでしたなー。そう思いながら紅茶を飲もうとしたらもう無かった。シエスタに目を向けると、新しく注いでくれたので少し微笑んでお礼を言ってから口をつける。

 

 ついでに聞いているだけのギーシュとマルコの分も注いでいた。証言のためにいるからなー。相手が証言を求めない限り出番なさそうだなー。ちなみに相手にはオールドオスマンにしか出してない。

 確かカップの数が一つ足りないし。

 

 「申し開きの二つ目はそれですね。なぜ彼が学院にい続けられたのか。罰を気にせず何度も行ったのか。それになぜ学院が対応しなかったのか。

 まぁ学院の事なかれ主義だとか、過去の賞罰に倣ったとか、外国人だったとか、身分の差があったとか、その辺りですかね? 私としてはそれも原因の一つだと考えます。

 

 そして三つ目ですが……。」

 

 と、続けようとしたら、オールドオスマンが疲れたような顔をして、「まだあるのかね?」と言った。ええ、申し開きを聞きに来たのでしょう? 

 

 「ええ、私がカスティグリアの名を名乗っている以上、カスティグリア家の名誉もかかっていますからね、こんなことで汚名を被せられては困りますので、平穏のために出来うる限りの弁明はさせていただきます。

 決闘の時に彼は姓や出身国を名乗りませんでしたが、もし外国人であった場合、国際問題ひいては戦争や紛争に発展する可能性もありますからね。せめて大儀を示すだけのものは必要でしょう?

 

 まぁ最後の一つですのでお聞きください。私は生まれつき病弱でここに来るまで数回しか屋敷の自室を出たことがありません。なのでどちらかというと、トリステイン王国に忠誠を誓う貴族ではなく……。」

 

 そう、俺はトリステイン王国に忠誠を誓う貴族では無かったのだろう。主人公達のいる国トリステインという幻想を抱いていただけだ。

 

 恐らく短い命だ。燃やす場所くらいは自分で選びたい。せめて罰を受けるなら、汚名を着るならばせめてカスティグリアの敵になるモノは全てを燃やし尽くそう―――跡形も無く。

 

 「俺はカスティグリア家の人間に養われ、愛され、カスティグリアに多大な恩と愛情を感じている貴族なのだよ、オスマン! 

 カスティグリアの名に謂れのない汚名をかぶせる部外者は誰一人として許さん! 例え相手が平民だろうが貴族だろうが教師だろうが王族だろうが国だろうが、命を賭してでも俺一人で! カスティグリアの名を捨ててでも俺一人で全て焼き尽くしてみせよう!」

 

と、本音と覚悟を混ぜた宣戦をしたところで「ごふっ」と口から血を大量に吐き、ガクッと力が抜けた。突然のことでテーブルに突っ伏しそうになったが、テーブルに載せていた腕で少し前傾だがなんとか姿勢を保つ。

 

 マジ格好つかないな。どうなってんだろうね。テーブルが揺れたせいで紅茶の入ったカップが「ガシャン」と鳴り、シャツとテーブルが俺の吐いた血で赤く染まっていく。カップとソーサーは無事割れなかったようだ。

 

 コルベールは一歩前へ出て杖を抜き、半分オスマンの守りに入る。ロングビルは青い顔をしてオスマンの後ろに下がった。誰かが息を呑んだ音が聞こえたが、オスマンから目を離さないようにしているのでシエスタとギーシュとマルコは今どこでどんな表情をしているかはわからない。

 

 「さぁ、あまり残された時間はないようだ。オールドオスマン、どうするんだ? 俺を反逆者にするか? 俺を切るか? 全て無かったことにするか? それとも飼い馴らすか? 俺を説得してみるか? 何も考えずに判例に倣って罰を下すか? 何もせず俺が死ぬのを待つか? 

 ――ああ、一つ忠告する。今このまま俺が死ぬのを待つようなら君たち教員三人仲良く道連れになるのを覚悟したまえ。俺にはそれが可能だしすでに覚悟は出来ている。さぁ、オールドオスマン選びたまえ。今なら好きなように選べるが残った時間は恐らくそれほど長くないぞ?」

 

 と意識して嗤って言うと、オスマンは今までの飄々とした顔から一転、真面目な顔をして手を挙げコルベールを下がらせた。

 

 「ミスタ・カスティグリア、申し開きは完全に承った。君は今すぐ医務室へ行きたまえ。コルベール君。くれぐれも彼に、君を含めて誰からも危害が加えられないよう誓い警護に付きたまえ。」

 

 オールドオスマンがそう言うと、コルベールは躊躇った顔を見せた。

 

 「ミスタ・コルベールだけでは不安です。微力ながら彼の友としてギーシュ・ド・グラモンはミスタ・カスティグリアの警護を志願します!」

 「同じく、マリコルヌ・ド・グランドプレ、志願します!」

 

 コルベールが躊躇ったのを見て後ろにいるギーシュとマルコが俺の警護を即座に志願してくれた。コルベールを信用していないのだろう。

 ―――あの三人の中で唯一杖を抜いたしな。

 

 「わかりました。私ジャン・コルベールはミスタ・カスティグリアに私を含めて誰からも危害を加えられないよう警護に尽力することを誓います。」

 

 そう苦々しくコルベールが言うのを聞いて安心したのか、俺は意識を失った。―――あ、カップとソーサー無事かな?

 

 

 




 ええ、前話予約投稿失敗して、今話予約投稿設定して前話確認して気づきました。「いつ終わるかわからない。そんなドキドキをあなたにも!」とか言いながら思いっきりネタバレ甚だしいですね。
 しかも前回と今回の間、少し開けるべきでしたね。

 ど、どうしたらいいんでしょうか。マジどうしたらいいんでしょうか。け、消すべきでしょうか!? でも消したらまっさらになって始めから書き直しとか無理ですよ? 怖くてできません。

 そんな感じですので本当にすいません。許してください。

では、次回。お楽しみにー!


してくれると嬉しいです。

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