ゼロの使い魔で割りとハードモード   作:しうか

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やったね! ついに使い魔が出るよ!

「」普通の会話
『』使い魔の心の会話、強調、呪文

だと思ってくだせぇ


15 クロアの使い魔

 

 原作について考えた翌日、そろそろモンモランシーがカスティグリアに来るということでクラウスが俺の様子を見に来てくれた。資料ばかり書いていて体調を崩したらモンモランシーが来る意味が減ってしまって悪いので、彼女の予定を聞いて、彼女の来る1週間前からはかなりセーブして安静にしている。

 

 ちょうどいいところでクラウスが訪ねてきてくれたので、クラウスにカスティグリアとモンモランシ、そしてガリアの戦力を知っているか尋ねたところ、少し渋い顔をして、

 

 「カスティグリアとモンモランシに関しては全体を完全に把握しているけど、一応機密だからね。両方の竜部隊の規模や艦船の数くらいしか教えることはできない。あとガリアの戦力把握は完全ではない上に極秘だからトリスタニアしか知らない。ただ、今のところ父上が推測しているガリアの戦力との比較ならある程度教えて上げられるよ。」

 

 と、「ああ、それで充分だ」と言って俺が途中少し質問しつつ教えてもらった。現在カスティグリア、モンモランシ合わせて風竜の数は42、育成途中または訓練途中のモノは15で即時対応できるのは27だそうだ。また、火竜部隊を作っている途中らしく、そちらも訓練中のモノが21あるそうだ。

 

 か、かなり増えましたね。3匹から8匹になっていたので20匹くらいだと思ってたのですが、まさかの3倍でしたか。しかも火竜隊って……。火竜に関する俺の認識が正しいかクラウスに聞いたところ大体合ってるそうだ。

 

 一応あとで参考までに火竜に関しての戦術を資料にしておこう。恐らく機動性では風竜隊には劣るだろう。しかし火竜は風竜より強いブレスを持っている。記憶が確かならば、原作では火竜も主に空中戦をしていたはずだ。しかし、風竜から比べると機動性や速度が落ちるため、空戦技術を練りこんだカスティグリアの風竜相手だといくら熟練しても不利になりそうだ。

 

 そう考えると、空中戦も大事だが対地上戦を意識した方がいいのではないだろうか。攻撃機のように、対地上にブレスで攻撃を仕掛ければかなり相手にとって脅威になるだろう。少々重くなるかもしれないが、相手からの対空攻撃を防御するために火竜の下面に空中でも着脱可能な装甲をつけるのもいいかもしれない。また、ブレスまでの隙を狙われないよう、展開式のカバーもアリだろうか。その辺りは資料を作る時に詰めよう。

 

 一応クラウスに説明を中断してもらって考え付いたことを「思いつきメモ」にガリガリと書き込んでいく。あとで優先的に詳しい資料を作ろう。これは夢が広がりんぐ案件だ。メモが終わったところで一言軽くあやまってからクラウスの説明を再開してもらう。

 

 艦艇は大型の竜を運搬を目的とした空母のようなフネが4隻、対フネ用の戦列艦が1隻、戦闘艦が32隻で、順次建造中だそうだ。ただ、どのくらいでそのあたりが戦力になるかとか、その他、陸軍や兵站用の部隊は伏せられている。そのため継戦能力は不明だ。

 

 ガリアと比較した場合、空戦のみ、カスティグリア領内もしくはモンモランシ領内ならば迎撃可能な水準だそうだ。ただ、どちらかがかなり手薄になるため、防御陣地の構築を急いでいるらしい。

 

 となると、アルビオンは諦めた方が無難だろう。いや、無理をすれば取れるだろうが、その後の補給や防御が薄くなり、再び取られる可能性が高い。

 

 「変な事を聞いてすまんね、クラウス。安心したよ、ありがとう。カスティグリアとモンモランシは安全なようだね。」

 

 と、笑顔を作ってクラウスにお礼を言うと、クラウスは少しいぶかしげな顔をしたが、

 

 「そうかい? 兄さんが安心出来てよかったよ。」

 

 と笑った。まさかアルビオン戦役に積極加入することを少し考えていたとは言えず、その方針もなくなったことだし、「ちょっと心配してました。」みたいな空気を流すのが得策だろう。

 

 

 

 

 しかし、「タルブ村、名物料理」か……。ヨシェナベしか思いつかないのだが、一体なんだろう。交易関連か? いや、それならすでにある程度ミソやショーユを仕入れているはずだ。

 

 ううむ。と資料を作りつつ悩んだり、モンモランシーがお見舞いに来てくれたり、彼女に慣れるためのトレーニングに付き合ってもらったりすること早二ヶ月と少し。

 

 ええ、思い出しました。思い出してすっきりしました。ゼロ戦でしたね。ええ、なんか手遅れ感が半端ありません。

 

 こちらの世界に順応しすぎて「タルブ村=ヨシェナベ」のイメージしかなかったのか、それともゼロ戦の事を考えていた時にアクシデントがあってすっぽりと記憶から消去されたのかは不明ですが、確かにメモには残せませんからね。

 

 恐らくもう原作まで一ヶ月もありませんし、ゼロ戦が登場するまでにこちらがアレにコンタクトを取って怪しまれるのも少し不味い気がします。いや、最低限才人が召喚される前までならセーフでしょうか。

 

 いや、別に怪しまれたところであまり被害はないでしょうが、アレを回収するのは不味いでしょう。そして研究専門のメイジを派遣したところで彼らが回収しないという選択肢を取るはずがない気がしますし、偶然を装ってほんのり派遣および研究するには準備期間が少なすぎます。

 

 モンモランシーが来ない2週間を上手く使ってタルブに行ったとして……うーん、体調とかも考えるとかなりハードスケジュールな上、上手く接触できないと終わりますね。ここまで来たら諦め―――あああああ! やっぱ欲しい! 弾の十発、いや弾の一発でもいいから今欲しい! 

 

 そしてああでもない、こうでもないと考えをめぐらせていると、脳内だけで考えていた弊害が出たのか、その事を考えるたびに高熱が出るようになってしまった。そして、ちょうど最後のモンモランシーが来る二週間の最初の方で、彼女がとても心配してトレーニングも兼ねて食事も手伝ってもらうようになってしまった。

 

 ええ、「熱はまだある?」と言いながら額をあわせたり、「ふぅふぅ、はい、あーんして」と言うアレですね。恥ずかしすぎてほとんどトレーニングになりませんでした。

 

 弾とモンモランシーの狭間で揺れながら結局学院に早めに入る日が近づいて来て、時間切れで頓挫することになった。もはや原作通り彼の手に渡ったら弾を少しいただきましょう。むしろそれしか手はなくなりました。

 

 

 

 

 すっぱり諦めたことで高熱も全くでなくなり、学院の寮へ戻る日がやってきた。

 今回はちょうどモンモランシーもカスティグリアに滞在していたので、一緒に行く事になっている。というかそういう計画だったそうだ。モンモランシーがいるのでルーシア姉さんと今年入学するクラウスが第一陣ですでに向こうにいる。

 

 そして今回の入寮は以前と違うことが予定されている。―――って毎回変わってますね。

 とりあえず今回は風竜隊は学院の外の敷地で一泊訓練も兼ねて野営することになっている。もし、進級試験である使い魔召喚の日に体調が悪くなって参加できないと、後々予定がずれ込む可能性が大きいことと、学院から召喚するための広場までが少し遠い上に、俺がフライを使えないことからそこまでたどり着けるかわからないので風竜隊に送り迎えしてもらうことになった。

 

 ちなみにここで俺が体調を崩すと野営が無駄になり一度モンモランシに戻るそうなのでかなり慎重にならなくてはならない。

 

 一応監督してくれる教師はミスタ・コルベールらしい。いや、ミスタ・ギトーが良かったのだが、オールドオスマンがコルベール押しだったらしい。このことについてはルーシア姉さんが事前に交渉を行ってくれた。いや、俺は「イベント=体調悪い」というのがカスティグリア家での認識らしく、言われるまで気付かなかった。

 

 ふむ。ということはミス・ヴァリエールの公開ファーストキスは見れないのか。少し残念な気もする。いや、ここは極わずかな可能性で体調が悪かったとしても「みんなが心配だー」とか言って無理を押して参加すべきだろうか。

 

 いや、そうだな。うむ。公開ファーストキスは関係ないのだよ。あ、あれだ、えーっと、そう。才人が召喚されるかどうか確認せねばなるまいて。いや無理か。もはや風竜隊に送ってもらう事を考えると体調が良くても無理だな。ある意味退路をすでに断たれていた気分になるな。いや、ありがたいことなのだが。

 

 

 

 そして、風竜隊に学院に送ってもらった翌日、一足先に俺が使い魔を召喚する日がやってきた。立会人はコルベール先生にモンモランシーとルーシア姉さん。あと医務室の水メイジの方が来てくれた。ええ、今回は教師として立ち会ってもらいますからね。コルベール先生とお呼びするべきでしょう。

 

 竜の乗り降りや少しの移動はモンモランシーとルーシア姉さんの肩を借りた。

 少し皆から離れ、召喚の準備にかかる。と言ってもメモしたサモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントの詠唱内容の確認だけだが……。結構覚えるのに時間がかかったので少し不安が残っている。テスト前の確認みたいな気分だ。

 

 「ではミスタ・カスティグリア、気持ちを落ち着けて使い魔の召喚を開始してください。」

 

 というコルベール先生の指示のもと、一度深呼吸してから集中し、サモン・サーヴァントを始める。

 

 「行きます。『我が名はクロア・ド・カスティグリア。五つの力を司るペンタゴン。我の運命(さだめ)に従いし、使い魔を召還せよ』」

 

 確かアニメかなんかだと不思議な色の身長くらいの高さの縦に長い鏡のようなものが垂直に浮かんで現れたと思うのだが、少し離れた足元に20cmくらいの丸い鏡のようなものが地面に接する形で垂直に現れた。

 

 おお、成功した。しかも大物じゃなくて小物らしい。これは期待できる。大物だったら餌とか飼育関連も問題になりそうだし、相手次第では命がけの戦いに発展する可能性があり、どうしようかと考えていただけに結構嬉しい。やはり術者が望んだ、もしくはお互いに望んだ相手が引き寄せられるのだろうか。

 

 そして鏡を通過して出てきたのは10cmくらいの透明感のある赤白い羽を持った鳥だった。ピンクというより、白っぽい赤といった色でとてもキレイだ。最初は色彩と大きさからカナリアかと思ったのだが、それにしては赤黒い爪を持った足は太いし、羽とは違い真っ赤なプラスチックのような透明感を持ったクチバシもかなり鋭い。そして深い色のルビーのように赤い目がカナリアよりも頭の前にある気がする。色は別として猛禽類の鷹を10cmまで小型化するとこんな感じかもしれない。

 

 とりあえずコントラクト・サーヴァントを行おう。ちょうど向こうからこちらに近寄ってきてくれて、左の手のひらを差し出すと自ら歩いて乗ってくれた。思ってた感触と違って鳥の爪が刺さったりすることはなく、ちょっと硬いものが当ってる感じがするくらいだ。

 

 『我が名はクロア・ド・カスティグリア。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』

 

 呪文を唱えて鳥のクチバシにちょんとキスをすると鳥が羽ばたき始めた。やはり痛いのだろうか。大丈夫だろうか。頭や首元を指の先で軽く撫でながら我慢してもらうと、首の左側に小さな赤いルーンが浮かんだ。

 

 「無事終わりました。ルーンの確認をお願いします。」

 

 一つため息をついて、コルベール先生に確認してもらう。

 

 「見たことのない種類の鳥ですが、ずいぶんかわいらしい使い魔で安心しました。君なら火竜以上のものを召喚するかとも思って警戒していたのですが、杞憂だったようです。この使い魔が君を選び、君がこの使い魔を選んだのは私にとっても大変喜ばしいことです。」

 

 と言いながら彼もホッとしたのか、笑顔でこちらにきた。

 

 「これは共鳴のルーンですね。使い魔と意思の疎通を強く補助するといわれています。使い魔は君の生涯の友です。大事にしてくださいね。」

 

 今まであったコルベール先生の俺への警戒が霧散したようだ。聞きようによっては馬鹿にしているようにも聞こえるが、きっと彼の本心だろう。恐らく、ゴツイ二百万年ものの火竜などを呼び出していたら俺は彼の中の危険人物ランキングで上位になっていたに違いない。

 

 これからの事を考えると、俺が原作の彼と決闘後に話した内容で彼のことが気に入らないとしても、むやみに敵対関係にあるよりは良好な関係にあった方がいいだろう。接点は今のところ少ないし、これから衝突することもあるだろうが、その時に考えればいい。彼は恐らく召喚される才人の良き相談相手でもあるし、弾入手計画に必要になる相手だ。

 

 「はい、ありがとうございます」と笑顔で答え、共鳴を試すために使い魔にちょっと心の中で話しかける。

 

 『痛かったかい? 本当にすまなかった。でも君に契約してもらってとても感謝しているよ。』

 

 『構わないわ。これからよろしくね。ご主人様。』

 

 話しかけた瞬間かわいい人間の女性のような透明感と丸みのある、しかし少しツンとした感じの声が頭に響いた。

 なっ!? メ、メスでしたか。いえ、オスじゃなくて良かったと思った方がいいのでしょう。いや、変声期前か? というか鳥に変声期があるのか? むしろオスの方が声がキレイという話を聞いたことがある気がする。判断が難しい。しかし予想外にかわいい声でした。

 

 『な、名前はもうあるかい? あとできれば性別を教えてもらえるかい?』

 

 と心の中で伝えると

 

 『無いわ。メスよ。ご主人様。』

 

 と首をかわいくかしげながら答えたので名前を考えることにした。しかし鳥の種類がわからない。彼女に聞くわけにもいかないだろう。うーん。とりあえず後でゆっくり観察しよう。モンモランシーに肩を借りる必要があるので、心の声で話しかけて手のひらから肩に移ってもらった。あと突かれたら痛そうなので耳とか目とかクチバシで突かないように頼んでおいた。

 

 無事に使い魔召喚が終わったので寮に戻る事になった。集まってくれた方々には丁寧にお礼を言っておいた。いや、だって、この小鳥本当にキレイでかわいいし! いやはや貴族の仮面がスパーンと剥がれて顔の緩みが止まらない。

 

 

 

 

 寮の部屋に戻ってシエスタに紅茶を入れてもらった。モンモランシーは一度自分の部屋に戻り荷解き作業に入るらしい。ルーシア姉さんはクラウスの様子を見に行った。

 そういえば餌はなんだろう。やはり穀物とか虫とか肉だろうか。鳥の種類によってかなり違うからな。猛禽類なら肉なのだがカナリアなら木の実や穀物だろう。

 いや、話しかける前に名前を決めよう。呼びかけづらい。小鳥さんとか呼んでそれが名前だと思われたら困る。

 

 うーん。赤、鷹、鳥、カナリア、ルビー、ガーネット、思いつかない。真紅……は人形か。えーっと、フレイヤ……確かキュルケの使い魔がフレイムだった気がする。却下だな。

 

 「プリシラ。うん。『君の名前だけど、プリシラというのはどうだい?』」

 

 なんとなく思いついた名前を呼んでみると

 

 『プリシラ。気に入ったわ。ご主人様。ステキな名前をありがとう。私はプリシラ。』

 

 おお、気に入ってくれたようだ。自然と笑みがこぼれてしまう。

 

 「『よろしくね。プリシラ。』」と、声と心の声両方で言うと『よろしくね。ご主人様。』と、かわいい声で答えてくれた。プリシラは鳴かないようだ。とりあえず餌について聞いてみよう。

 

 『プリシラ。君のご飯を準備したいのだけど何がいいかな?』

 

 『私のご飯? 不思議な事を聞くのね。私は常に精霊を食べているわ。』

 

 餌について聞いてみると小首をかしげながらそのように答えられた。

 せ、精霊ですか!? だだだだいじょうぶなのだろうか。とりあえず普通の鳥ではなかったようだ。

 

 『せ、精霊食べても大丈夫なの? 特に俺や周りにいる生物の命の問題とか。』

 

 と、ちょっと引きつつ聞いてみると

 

 『大丈夫よ。私はいつも私より下位の精霊を食べているし、ご主人様に全く影響はないわ。私や餌のことでそんなに怖がらなくても大丈夫よ?』

 

 とプリシラは自分の羽根を繕いながらあっさり答えてくれた。もしかしてびびったのがバレたのだろうか。ううむ。しかし精霊か。餌が精霊なのか。もしかして竜よりすごいものを引き当ててしまったのだろうか。しかしまぁ、小さいし餌代がかからないし何よりかわいいし。問題はあるまいて。

 あ、もしかしたら幻獣やその上位にいるかもしれないので彼女に聞けば彼女の種族がわかるかもしれない。

 

 『プリシラ。君の種族だけど何かわかるかな? ええと、できれば俺が判断できる表現があればいいんだけど。』

 

 『私のことを私として呼んだのはご主人様が初めてだから、残念だけどそれはわからないわね。気になるなら適当に付けてみたら?』

 

 『いや、変なこと聞いて悪かったね。大丈夫だよ。プリシラはプリシラだからね。』

 

 『そう、なら構わないわ。』

 

 種族を聞いたら適当に付けてみたらといわれた。ううむ。いや、もはやプリシラはプリシラでいいだろう。あとで適当に幻獣図鑑かなんかを読んで該当するものがなかったら気にしないようにしよう。

 

 『そういえばプリシラは好きなものはあるかい?』

 

 なんとなく気になったので聞いてみた。

 

 『そうね。ご主人様と火の精霊かしら。他の精霊や火自体もおいしいと思うけど火の精霊は格別ね。』

 

 おおぅ。た、食べ物と同列!? 気のせいだよね? 怖がらなくても大丈夫って言ってたもんね? と、とりあえず好物は火の精霊でしたか。ということはやはり火属性なのだろうか。ん? 火自体もおいしいということは火も食べれるのか?

 

 『火自体って火も食べれるの?』

 

 『ええ、火も食べれるわ。ただ、生物なんかはあまりおいしくないの。』

 

 ほっほぅ。ということはもしかして俺の魔法の威力調節に役立つんですかね? 現状危険が大きいので教室や学院の敷地でポンポン撃てませんからね。広場は遠いですし。まぁ空に打ち上げればいいのでしょうが、目立ちますからね。後で魔法使うことがあれば実験しましょう。

 

 しかし、多分だが彼女は火属性でいいだろう。使い魔の召喚は別の目的もあり、使い魔の種類でメイジの属性が固定されるらしい。一応授業でやったのをマルコが教えてくれた。つまり、系統魔法を使うに当って、一番得意な系統が固定されるわけだが、ここで俺が水属性とかになったら今までのは一体なんだったのだということになる。

 

 

 

 その後ちょっと五感の共有が出来るか試したり、プリシラが空を飛べるか試してみた。結果はそこそこ良好だった。

 

 プリシラは飛んでも音が全くしない上にかなり素早い。そして、どれだけ離れてもプリシラとの心の中での会話ができた。と、いってもプリシラが言うには学院の外あたりまでで、高度も雲の下だったが問題ないだろう。いや、ちょっと離れすぎると不安だからごく短時間で試したのだけど、『そんなに心配しなくても大丈夫よ』とプリシラに言われてしまった。

 

 しかし、聴覚と視界の共有に関しては今のところプリシラと接していないと無理だった。一応今のところと結論を延ばしたのは原作で才人がルイズに危険が迫ったときに彼女との視界を共有したエピソードがあったからだ。あと、触覚、嗅覚、味覚の共有は無理だった。いや、共有したところで使いどころは全然思いつかないからいいのだが。

 

 そして、召喚される以前は普段ずっと空を飛んでいたらしいが、俺の近くでも同じくらい精霊がいるので基本的に側にいてくれるらしい。ただ、時々遊びに行ったりするが、呼んだらすぐ来てくれるそうだ。あ、巣というかケージみたいの用意した方がいいのだろうか。

 

 『プリシラ。巣とか寝床とかベッドみたいの用意した方がいいかな?』

 

 と、聞いてみると彼女は基本的に眠らないらしい。とりあえず後でゆっくりと室内でのお気に入りの場所を探すそうだ。一応、地面やベッドの上は危険かもしれないのでやめてもらった。間違えて踏んだらショックが大きそうだ。もしかしたら止まり木とかベッドとか用意した方が楽かもしれない。

 

 ただ、まぁ精霊に関しては全然わからないし、彼女がそれで良いと言うのだからあまり気にしないようにしよう。とりあえず、名前も決まって生態に関する大体のことがわかったので同居人で俺の介助をしてくれるシエスタにプリシラを紹介する。

 

 「シエスタ。まだ種類というか種族はわからないけど、俺の使い魔になってくれたプリシラだよ。餌はいらないみたい。一緒に暮らすことになるからよろしくね。」

 

 と、シエスタに紹介すると、

 

 「はい。プリシラさん、シエスタと申します。クロア様のお側に置いてもらっています。よろしくお願いしますね。」

 

 と笑顔でプリシラに挨拶して丁寧にカーテシーをした。

 

 『シエスタ。ご主人様の持ち物かしら? 大事にするわ。』

 

 『いや、持ち物ではないけど大事にしてくれると嬉しい。あと、君が来た時にいた金髪の女性二人、わかるかな? 後で紹介するけど彼女達も大事にしてくれるとありがたいのだけど。』

 

 も、持ち物って。いや、まぁ似たようなものなのか? うーん。とりあえず、プリシラにお願いしてみると、『わかるわ。彼女たちも大事にするわ。』と答えてくれた。

 

 「シエスタ。プリシラと俺は心の声で話ができるんだ。彼女はシエスタを大事にしてくれるって言ってるよ。」

 

 と、シエスタに笑顔で伝えると、彼女も「まぁ! ありがとうございます。プリシラさん。」と笑顔で言いながらそっとプリシラの頭を撫でた。プリシラも気持ち良さそうに目を細めて首をクリクリしてとてもかわいい。

 そういえばシエスタが言っていることは伝わっているのかと聞いてみたら、それはわかるらしい。ただ、音を出すことができないので俺としか会話ができないそうだ。プリシラが他の人に YES NO だけでも意思表示できるように板でも用意しよう。思いつきメモに書いておいた。

 

 

 

 そのあと、荷解きが終わったモンモランシーが尋ねてきた。シエスタに招き入れられ、彼女の前にも紅茶が用意される。簡単な挨拶をして、プリシラに彼女を紹介する。

 

 『プリシラ、彼女はモンモランシーという名前で、俺の婚約者なんだけど、婚約者ってわかるかな?』

 

 『ええ、つがい(・・・)の予約よね? わかるわ。でも私もご主人様とつがい(・・・)だから忘れちゃだめよ?』

 

 あっれー? いつの間につがい(・・・)だったのでしょうか。いえ、使い魔ですから……あれ? コッパゲ先生は生涯の友って言ってませんでしたっけ? いつの間に……まぁいいか。きっとプリシラはモンモランシーとも仲良くなってくれるだろう。お互いに嫉妬しないよう気をつけよう。

 

 『う、うん。わかった。ええと、君と彼女は俺と、えーと、夫婦(つがい)になると思うんだけど、彼女とも仲良く、お互い大事にしてくれると嬉しいんだけど、大丈夫かな?』

 

 『ええ、構わないわ。そんなに怯えなくても大丈夫よ。ご主人様。彼女も大事にするわ。』

 

 ええ、共鳴のルーンなのでしょうか。こちらの感情がダダ漏れていそうで少し怖いです。いつの間にかつがいになっていたのをモンモランシーに話すべきだろうか。うーん。そういえばクラウスに未来の夫婦に隠し事は良くないと言われた気がする。正直に話そう。

 

 「モンモランシー。彼女は俺の使い魔になってくれたプリシラだよ。えーと、その、お、怒らないで聞いて欲しいんだけど、そのですね。契約したときに彼女の認識では俺は彼女のつがいなのだそうです。ええ、その、えーっと……。」

 

 と、何と伝えるか迷いつつ隣に座るモンモランシーを見ながらなんとか言葉を紡ぎ出すと、彼女は俺が言いにくそうなことを不思議そうに見ていたがつがいの話が出たところで察したらしく、

 

 「あら、あなた。使い魔とはパートナーよ? あなたと彼女がつがいでも構わないわ。彼女があなたを独占しようとしない限り私は大丈夫だから安心して? 私の全てをあげた人。」

 

 と不安を取り除くように微笑んでくれた。プリシラも話が聞こえるらしく、俺に心の声で『独占しようとしないから安心して? ご主人様。』と言っている。こ、怖かった。

 

 「ああ、プリシラもそう言ってくれている。彼女も俺を独占しようとしないし、君を大事にしてくれると言ってくれた。モンモランシーありがとう。愛してるよ。俺の人生を捧げた人。」

 

 と、不安からの反動があったのか、照れながら言うと、モンモランシーも照れたのか顔を真っ赤にして

 

 「ええ、私も愛してるわ。プリシラ、これからよろしくね?」

 

 と言いながらプリシラの頭をそっと撫でた。プリシラも目を細めて頭を動かしながらモンモランシーの手にお返しをしていた。

 

 

 

 

 そのあとルーシア姉さんやクラウス、少し余裕を持って入寮したマルコやギーシュが来て使い魔を紹介したのだが、全員の感想は大体「俺にしてはかわいい使い魔」という評価だった。

 火竜でも期待されてましたかね? いや、呼び出しても乗れませんし餌代も馬鹿になりませんからね。

 

 ちょっと気になってルーシア姉さんにジャックのルーンはなんだったのか聞いてみたら、同じく共鳴だったらしい。呼べば来るのは共通してるのか。一応ジャックの事もプリシラに紹介しておいた。

 

 そしてルーシア姉さんに幻獣図鑑を借りてきてもらってプリシラに似たような生態や見た目のものがないか探したが全くなかった。うん、プリシラはプリシラでいいだろう。

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。
ええ、見た目だけで中身はきm……んんっ、きまtt
いや、大体決まってるんですがまだ能力を出すつもりはありません。鷹だけに!(爆

声だけは決まってます。ええ。決まってます。
書こうか迷ってあえて書きませんでしたがry

次回、原作突入しまーす!

ええ、きっと。

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