ゼロの使い魔で割りとハードモード   作:しうか

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みんなの日曜日が……吸われてゆくっ;;

ええっと、はい、お昼寝したら夜でした(爆
後半はこれから突入する原作についての説明と対策案です。

原作のことも書いた方がいいというお言葉を前にいただいたので、書いてみました。


14 マルコのことと原作について

 

 数日経ってマルコも訪ねてくれた、「けしからん、けしからんよ、キミ!」とやはり言われた。いや、女子寮もそうだけどむしろこの若さでモンモランシーが幸せそうにしている婚約がけしからんらしい。婚約式のパーティの時にモンモランシーが浮かれていた様子が彼の類稀な観察眼に察知されたようだ。

 そのあとギーシュと同じようなことを言っていたため、俺も彼の時と同じようなことを言ってから、そっとあの羊皮紙を渡した。

 

 「こ、こここここれは!? キミ! これは! これをもしかして!?」

 

 と、顔を真っ青にして汗をダラダラ流し、ガクガク震えながらひたすらに驚愕するというすばらしいリアクションを見せていただいた。そして、それをモンモランシーや家族に見られ、突きつけられたときの状況を説明すると、

 

 「と、友よ。キミはなんという壮絶な戦場を抜けてきたのだ。とても僕にはマネのできないことだよ。友よ。本当にすまなかった。」

 

 と震えながら泣いていた。な、泣いてくれるのか、友よ。マルコはもしかして自分に重ねてしまったのだろうか。しかし、俺はあの戦場を駆け抜けたことであまりこのことに関しては恥ずかしくなくなった気がする。むしろこれは今現在勲章になりつつある。

 

 「泣いてくれるのか、友よ。さぁこのハンカチを使いたまえ。君はこのような戦場を抜けずともきっと君のその優しい心と包容力を分かってくれる人が現れるさ。そして、その時が来たとき、よろしければこれを役立てていただきたい。」

 

 と言って、ハンカチを渡し、汎用口説き文句語彙強化対策資料を渡した。マルコはハンカチで涙を拭いたあとざっと羊皮紙に目を通すと目を見開いて驚愕した。

 

 「こ、これは!? 友よ! 君の心遣いに報いるためにもぜひ役立たせていただこう!」 

 

 マルコは笑顔で受け取ってくれた。うむ。作った甲斐があったというものだ。

 

 

 マルコは長期休暇中、基本的に魔法の練習をしていたそうだ。何とドットからラインに昇格したため少し早めに学院に戻り、ミスタ・ギトーの個人レッスンを受けていたらしい。

 

 うおおおお! マジか! いいなー。というかマルコはドットだったのか。いや、ギーシュもドットだが、原作知識から考えるとアレはなんか呪いでドットに固定されていそうで怖い。いや、単なる勘だから全くあてにならんが、彼がラインになったら心から祝福しよう。

 

 「それでキミにもアドバイスを求めてみてはどうかと、ミスタ・ギトーもおっしゃってね。それでキミに聞きに来てみたというわけさ。よければ助言をもらえないだろうか。」

 

 マルコの相談内容を詳しく聞いてみると、ミスタ・ギトーは風の魔法を教えたり単純に使うことは得意だが、以前あった俺への襲撃騒ぎで自分自身が戦うことに関しては一歩自信が後退したそうだ。

 

 よほど、コルベールの動きが良かったのだろうか。いや、ヤツは元プロだし!

 

 「ふむ。友よ。簡単に教えることが出来るのは恐らくだが何に使うかということだけだね。まずそのスペルの特性を知ることが重要だろう。例えばこの、エア・ハンマーは単純に使えば相手への打撃をメインにしている。しかし、相手の攻撃に合わせることが出来れば防御にも使えるかもしれない。

 そしてこのライトニング、見たことはないが名前からして恐らく攻撃は一瞬だろう。避けることも防御も難しいと思えるが、事前に対策をされると恐らくどうしようもない。」

 

 と、一つ一つ、丁寧に利点と欠点、俺が考え付く他の活用法や戦術をマルコに語っていく。

 

 「もし戦いを想定するのであれば、まず防御用の魔法と攻撃用の魔法を一つずつ選んで、それをを素早く詠唱、発動できるよう錬度を上げてみてはどうだろう。とっさの時にまずそれを使えれば時間を作ることができると思うのだが……。」

 

 と、まずは絞り込んでみることを提案してみた。いや、手段が多いことはいいんだけど、その場その場で対応するには恐らくかなりの訓練が必要だろう。学生なんだから二種類あればいいかなと……。決して、そう決して俺の使える魔法がマルコより少ないからとかそういった理由ではない。

 

 「おお、友よ。何か見えてきた気がするよ。ありがとう。」

 

 と言って、マルコは紅茶を飲み、アドバイスを聞く真面目な顔から力を抜いて明るい笑顔を見せてくれた。うむ。友達冥利に尽きますな。一応追加で攻撃防御関係なくライトニングもオススメしておいた。なんか原作で使ってた記憶が……あったっけ? まぁいいか。きっと我が友なら使いこなしてくれるだろう。アレは確かトライアングルだし、間にライトニングクラウドがありそうだが問題ない、ラインではあるのだ。どうせトライアングルに挑戦するならそちらもやらねばなるまいて。

 

 

 

 

 

 

 授業が始まったのだが、以前と変化したことがある。俺が休んだ日や途中退出した日、まぁほとんど毎日なのだが、マルコが代わりにメモを取ってくれて、ある程度貯まると俺の部屋で授業の内容を二人で復習をしたり、理解を深めるために話し合うことが多くなった。

 

 マ、マルコがどんどん真面目で優しいヤツに! 

 

 しかし、マルコはなんでこんないいヤツになったんだろうか。原作とはなんだったのだろうか。いや、元々いいヤツだったのだろう。マルコが来る日はモンモランシーも一緒に勉強するようになり、ギーシュもたまに顔を見せたりと、何か勉強会in俺の部屋みたいになってしまった。

 

 いや、こちらとしてはありがたいのだが、君達社交とか恋人探しはどうなったんだい?

 

 

 

 そしてある日、モンモランシーとマルコの三人で勉強会をしていると、ルーシア姉さんが尋ねてきた。シエスタが出迎え、俺とモンモランシーに軽く挨拶をしたあと、マルコに気付いたのか、

 

 「あら、マルコ。お久しぶりね。お元気だったかしら。」

 

 と、姉さんは輝くような笑顔を見せ、マルコも真っ赤になりながら……、

 

 「ああ、ルーシアさん、お久しぶりです。その光り輝く髪を見た瞬間まさに天使が降臨したのかと錯覚してしまいました。」

 

 あれ? なんかどこかで聞いたような……? 髪の色なら俺も同じだと思うのだが、きっと彼にとってはかなり見え方が違うのだろう。というかお二人ともお知り合いだったのですね。

 しかし、我が友マルコよ。ルーシア姉さんのことが好きなのかい? ルイズのことはもういいのかい? でも彼女はグラモン家のハンサム達を袖にするような―――

 

 「ふふっ、お世辞ばっかり。あら、お勉強しているの? 私も教えてさしあげるわ。」

 

 あれあれ? も、もしかして姉さん脈アリですか? 

 

 ルーシア姉さんはマルコの肩に手を置いて対面にいるマルコの隣に座った。ふむ。何か怪奇現象がおきているのかもしれない。ついにこの“条件が合わないとほとんど見えない赤い目”が幻影を写すようになったのかもしれない。自分の目を信じられないことが恐ろしい。

 

 そっと隣に座るモンモランシーを見ると、マルコたちを見ながら何度か眉をピクッとさせてから、こちらを向き俺の肩にそっと手を置いて「ねぇ、あなた。ここなんだけど」と真面目な顔で勉強について聞いてきた。柔らかい手と腕の感触が彼女の制服越しに俺の背中に伝わった。

 

 くっ、た、耐えろ。モンモランシーは俺の様子を見つつ、たまにテーブルの下からこっそり俺にヒーリングをかけている。

 

 しかし、幻影だと思ったが幻影ではなかったようだ。そしてなぜかモンモランシーが対抗心を持っているような気がする。いや、それはそれで嬉しいのだがね。目の前に大きな問題がだね。いや、物理的に目の前だが。

 

 「モ、モンモランシー、もしかして姉さんとマルコはその……。」

 

 手元にある羊皮紙に目を落としつつ、あちらに聞こえないようにかすかな声でコソコソとモンモランシーに姉さんとマルコの事を尋ねると、俺とモンモランシーの婚約式でマルコが来たときに知り合って以来、ルーシア姉さんがアプローチを掛けているらしい。マルコはそれに気付いていないが、マルコも姉さんに好意を持っているようだ。

 

 え、いいの? いいんですかね? ク、クラウス、コレは一体どうなってるんだ?

 

 「ルーシアさんがマルコに一目惚れしたんですって。あ、クラウスさんとご両親は二人を応援するそうよ。私もよければ協力して欲しいと頼まれたわ。」

 

 「え、クラウスも知ってるのか。ならいいのか。しかし、マルコが理想だったのか。そういえばマルコはジャックに雰囲気が―――」

 

 と、コソコソ話しているうちにモンモランシーの髪が俺の肩にかかり、耳元に彼女の息が感じられるようになり、俺の服の袖が腕にかすかに触り始めると、マルコと姉さんのことを考えている暇がなくなってきた。

 

 「んんっ、キ、キミたち少し近すぎではないかね?」

 

 ハッとして前を見ると、マルコが真面目な顔をしており、モンモランシーもスッと離れた。

 「いや、原因はキミなのだがね?」と言いたいところだが、ルーシア姉さんの笑みから見えないプレッシャーが感じられる。これはきっと「言ったら殺す」みたいな感じだろう。エアーリーディングに関してあまり自信はないが、姉さんの効果範囲を特定したエアーライティング能力には恐れ入る。

 

 「あら、失礼。少しはしたなかったわね。」

 

 と、モンモランシーがツンとしてそっけなく返すと、マルコは小声で「けしからん」を連発し始めた。ルーシア姉さんもマルコの肩から手を外し、ほんの少し距離を空けた。

 

 あれ? もしかして、ルーシア姉さんは彼が自分にも「けしからん」と言っていると思ったのだろうか。マルコが完璧紳士だからそう言っていると思ったのだろうか。

 いや……け、けしからんのはだな……。まぁいいか、俺はクラウスに特に頼まれていないからな。きっと俺はこのことに関しては戦力外で俺がこの戦場に手を出すのはとても危険なことなのだろう。ここはプロ達に任せよう。すまんが君はそのまま存分に自分の首を絞めたまへ。俺は後方へ下がらせていただく。

 

 

 

 

 

 一度姉さんとマルコが俺の部屋で再会してからルーシア姉さんは三回に一回くらい参加するようになった。

 恐らく最初からシエスタやモンモランシーからマルコの情報が姉さんに伝わっており、初回のマルコとの再会も綿密に計算されていたのだろう。姉さんが来る頻度もじわじわとそれとなく上げられており、マルコが気付いた様子はなく、自然にルーシア姉さんがたまに来るという状況になっている。いや、マルコも最近はそちらを目的にしている気がしなくもないが……。

 

 お、恐ろしい。外から見るとわかるが俺もああやって完全に管理されていたのだろうか。マルコが早めに気付き、あの戦場へ導かれることのないよう祈ろう。いや、導かれるようなら俺もぜひ観戦したいが……。

 

 たまにギーシュも来るのだが、狙ったようにギーシュと姉さんが鉢合わせたことがない。もしかしてギーシュの行動も管理されていたりするのだろうか。

 

 ど、どうなっているんでしょうね? ぐ、偶然ですよね? カスティグリアの管理能力はばけものか! むしろ学院にカスティグリアの特殊工作機関がかなりの割合で入り込んでいて常に作戦が遂行されていると考えてもおかしくないレベルだと思うのだが……。いやよそう。むしろ知ってしまったら危険な気がする。偶然ということにしておこう。いやきっと偶然に違いない!

 

 

 

 

 学院の後期の日程が終わるころ、なんとモンモランシーとルーシア姉さんはトライアングルに昇格したそうだ。いや、ヒーリングばっかり使ってますからね。ええ、なんというか賞賛よりも申し訳ないという念がですね……。ちなみに俺が使える魔法は全く増えていない。

 

 後期の終わりの辺りには筆記や実技の進級テストがあり、俺はたまに体調のいい日にまとめて受けた。最終的な進級テストは来年行われる使い魔の召喚だが、大体成績がコレで決まるらしい。ちなみに使い魔の召喚を失敗しない限り大抵実技で進級テストを合格する。その実技もドットスペルやコモンスペルで通過可能である。

 

 今のところ爆発魔法しか使えないルイズ、いやミス・ヴァリエールは実技を捨て、筆記に賭けてオスマンとの交渉で進級を勝ち取ったらしい。

 進級を決められるくらい成績がよかったのだろう。そういえば、テストの成績順とかってわかるのかね? と思ってマルコに聞いてみたら、筆記の成績上位の人は結果が出たときに口頭で晒されるらしい。

 

 ちなみに筆記のトップはミス・ヴァリエールとマルコ、続いてモンモランシーの三人が上位だったそうだ。俺はあの、ええ、記憶力弱補正がですね。……二人と一緒に勉強してたはずなのだがね。

 実技は特に細かい順位はないそうだが、大体トライアングル=上位という感じらしい。そうなると実技も簡単に合格していそうなマルコやモンモランシーが総合首位争いとかになるのだろうか。キュルケやタバサも筆記はイマイチだったらしいし、もしかしたらありうる。

 

 俺は実技もいまいちだった。火しかマトモに使えませんからね。ええ、コモンスペルも少し忘れてました。普段あまり使いませんからね。

 

 

 しかし誰かね? 俺の友人であるマルコをこんなに魔改造したのは! ルーシア姉さんが裏でマルコを自分好みに魔改造しているのだろうか……。いや、よそう。この想像は危険だ。しかし、マルコの成長の糧になっているのであれば問題はあるまいて。

 

 ちなみに俺はやってない。彼は最初からいいヤツだったし、特にコレと言って手を出した記憶はない。むしろ積極的に俺が手を貸したのはギーシュだが、彼は未だにドットだし、恋愛も群がる蝶たちを引き寄せるだけで、特定の相手はまだいないようだ。そのことから考えても俺が原因ではないはずだ。

 

 モンモランシーは恐らく、実家の借金がなくなり仕送りがくるようになって、自由に使えるお金を作るための香水に掛ける時間が減ったからだろう。恐らく趣味の香水で取られる時間くらいならば彼女の負担にならないと思われる。

 

 

 

 

 そして後期の学院生活も終わり、カスティグリアに戻った。モンモランシーは二週間ごとこちらで生活するらしい。いや、長期休暇中に元に戻ったらヒーリングの嵐ですからね。ええ。

 

 しかし、あと三ヶ月で原作が始まる。そろそろ本格的に原作について考える時が来たようだ。ただ、これを無意識にでも羊皮紙に書くのは危険なのでベッドの中で寝たフリをしながら考えている。

 

 たしか、日本の秋葉原と思われる場所で修理に出していたノートパソコンを持った平賀才人が出会い系サイトに夢を膨らませてたところでミス・ヴァリエールのコントラクト・サーヴァントに捕まり強制召喚、強制的に平民兼使い魔として学院生活を送ることになる。

 

 そして、初日から躾と称した虐待が始まる。寝床は藁で食事はスープとパン。……あれ? パンが付いてるだけ俺よりマシじゃね? いや、そういえば俺のスープにはパンとか麦も入っていたか。ついでに肉も野菜も結構入っていた気がする。

 

 まぁ俺の場合体調が悪いときちゃんと噛めなくて嚥下するときに詰まったら困るからそうなってるらしいが、あまり食にこだわりが無いので特に苦かったり辛かったり不味いのでなければ不自由はない。ハシバミ草が体にいいとかでたまに入っていてすごく苦くてきついが、タバサはアレが好物なんだよね。恐るべし雪風。

 

 そして、基本的にスープで固形物はホロホロになるまで煮込まれたものだし、それほど量が多いというわけではないがこの体は低燃費設計だから問題ない。いや、そもそも設計上仕方なく低燃費になったのか? ふむ。興味深い。って逸れたな。

 

 しかし、そう考えるとヨシェナベは俺のためにあるような料理かもしれない。あれは普通においしい。ぶっちゃけ毎日でもいける気がする。いや、前々から普通にタルブ村の名物料理だから全く俺のためというわけではないな。って更に逸れたな……。いや、タルブ村? 名物料理? な、何か忘れている気がする……。一応思いついたことメモに後で書いておこう。

 

 

 と、とりあえず、その後才人はシエスタに餌付けされ、お礼に彼女の給仕の仕事を手伝っているときにギーシュに絡み、ギーシュといざこざがあって決闘騒ぎになる。才人はボロボロになりつつも油断したギーシュに勝利するが怪我の影響で数日寝込むことになる。

 

 ふむ。確か落とした香水がきっかけで二股がバレ、二人の女生徒に連続で振られ、それを才人に馬鹿にされて決闘だっけ? 二股というよりキュルケと競う様に股を増やしているとは思うが、いや、そういえばギーシュは紳士だからキスまで行ってない可能性の方が高いか? どうなんだろう。

 確か原作では手を繋いだとか遠乗りに一緒に出かけたとかその程度だった気がする。今度聞いてみるべきだろうか。いや、行っていてもあまり関係はないな。しかし、香水に代わるものでバレるのだろうか。まぁあまりそこは気にしないようにしよう。

 

 問題はそのあとなのだが、あのギーシュが才人をあそこまで(けな)すだろうか。いや、平民相手だし才人は男だ、やりかねん。むしろアレは確かギーシュは才人が“ミス・ヴァリエールの平民の使い魔”だとわかって解放したのだが、才人が貴族と平民の格差を理解しておらず、日本の価値観のまま、気持ちの赴くままギーシュに噛み付いたと言っていいだろう。

 そして、問題はワルキューレだ。もしギーシュの魔改造されているかもしれないワルキューレに才人が簡単に負けたらどうしよう。ううむ。このあたり計画を練る必要があるかもしれない。

 

 確かこの件があってキュルケが才人に惚れて、ミス・ヴァリエールが才人を少し認めて剣を買い与えるというのが重要なところだろう。キュルケの支援というか援護は後々まで続くので出来れば惚れて欲しいところだが、厳しいようならこちらで援護しよう。

 

 そのあとはきっとそれなりに間が空くはずだ。とりあえずシエスタの配置と才人の手に剣が渡るかさえ最低限気をつければ問題ないだろう。あとは適当にギーシュやマルコに「平民にしてはやるではないかー。平民にしておくのは惜しいかもねー。」とか適当に言っておけばいける気がする。

 

 

 そして現時点で最大の問題はフーケだ。手を出すなら今から考えても遅いくらいかもしれない。確かトリステインの貴族を対象にお宝を盗みまくる怪盗で二つ名は「土くれ」。巨大なゴーレムを操り、あとには土しか残らないらしい。

 

 まぁ正体は学院秘書のミス・ロングビルなわけだが、原作を遵守するならば彼女に手を出さなければ問題はない。勝手に才人とミス・ヴァリエールが仲良くなって破壊の杖という名のロケットランチャーでフーケのゴーレムを吹き飛ばし、油断したフーケを捕まえてくれるだろう。

 

 しかし、もしフーケを保護するというのであればかなり難易度が変わってくる上に今後の方針を変える必要がある。彼女はフーケになる前はマチルダ・オブ・サウスゴータというサウスゴータの太守の娘だった。彼女の父は処刑されたモード大公の直臣で、処刑される本当の理由であるハーフエルフのティファニアとその母親のエルフを匿ったため家名を取り潰された。

 

 もしレコン・キスタが現アルビオン王家を完全に潰すとハーフエルフのティファニアが一番王家に近い存在になる。この世界ではブリミル教により、「エルフは悪魔」―――だっけ? として拒絶されているため、ティファニアが王位に就くのは難しいように見えるが、彼女は虚無の属性を持っているため恐らく問題は無い。むしろハーフエルフに虚無が生まれる事自体ブリミル教の教えが間違っているのだが、その辺りを追求するとカスティグリアに対して聖戦を起こされそうなのでやめておこう。

 

 そう、もしアルビオンが欲しいのであれば、最後においしいところをカスティグリアが掠め取ればいいのだ。その下準備にまずフーケとティファニアを確保したい。彼女達をうまく丸めこ……いや、説得してティファニアをアルビオンの王位に就かせ、フーケをサウスゴータ姓に戻させ宰相とし、カスティグリアからアルビオン防衛の戦力を出して誰か一人元帥あたりに就ければ上手くカスティグリア、モンモランシに住む領民の避難地域を作れるかもしれない。

 

 アルビオン戦役でのいざこざを理由にロマリアの影響を反らせられれば聖戦にも参加せず、物理的にも高みの見物ができるだろう。ただ、問題はガリアとロマリアである。まず、おいしいところを持っていくのに本来最後においしいところを持っていくために配置されるガリアの艦隊をカスティグリアだけで押し返す必要が出てくる。

 

 それだけの戦力をカスティグリアが持っていたとしても全戦力を対レコン・キスタに向けると領地が危ないかもしれない。それに、それだけの戦力を事前にカスティグリアとモンモランシから抽出していれば初戦から終戦まで対レコン・キスタ戦闘時にトリスタニアから任命された最高指令官や参謀あたりに使い潰される危険性もある。それだと戦争終了直後まで戦力を完全に保持し続けるのは難しいだろう。

 

 逆に目立たないよう、少数に絞り、少数精鋭で押し返し、モード朝アルビオンが樹立したらカスティグリアやモンモランシと同盟を結び、戦力を補給すればよいのだが、それでも少数精鋭で初戦を乗り切ってガリアを押し返すには不安が残る。

 

 そして、うまく行ったとしても高みの見物を決め込んだ途端、ロマリアが牙を剥くかもしれない。その辺りはまぁ今後の展開次第だが、そうなると恐らくガリアも追従してくるだろう。あの王様ならこちらを先に潰して戦争ごっこを続けられるのだから願ったり叶ったりかもしれない。いや、むしろロマリアを焚き付ける可能性すらある。

 

 かなりハイリスクだがリターンもかなり望める。問題は現在のカスティグリアの戦力とガリアの艦隊の数か? 最終的に五分五分ならば辞めるべきだろう。原作ではトリステインがかなり領地を切り取り、副王をトリステインとゲルマニアからそれぞれ出して共同統治といった形に収まったので、ある程度ならこちらに回ってくる可能性もある。

 

 それを考えると、後々のリスクが高すぎる。初戦である対レコン・キスタ戦での消耗を勘案しても、最後に来るであろうガリアの艦隊が損耗を恐れて戦うことを選択しないくらいの戦力が欲しい。

 

 大分まとまってきたようだ。とりあえず判断するための基準は見えた気がする。あとはクラウス辺りに聞こう。恐らく知っているだろう。まぁ知らなかったら父上に彼から尋ねてもらおう。

 

 まぁ全ては才人がミス・ヴァリエールに召喚されるという前提で組み立てているので、彼が召喚されなかった場合は様子を見ながらカスティグリアが戦力を埋める形になるとは思うが、その時はその時で考えよう。才人の代わりにスペシャルチートな生物が召喚されたらそれこそ高みの見物でいい気がする。

 

 思いついたことメモに「カスティグリアの戦力とガリア艦隊の戦力確認、タルブ村、名物料理」とだけ書いてベッドに入り、今度は本格的に眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初の方を書いていたときに思いついたおまけ。

 

くろクロアが あらわれた

 

マルコは けしからんをとなえた

くろクロアにはこうかがない!

マルコは489のダメージをうけた

ルーシアは1のダメージをうけた

モンモンはひらりとかわした!

 

ルーシアは エアーメイキングをとなえた

くろクロアはひるんだ

 

モンモンはターンで くろクロアをこうげきした

かいしんのいちげき!

くろクロアはそくしした!

 

くろクロアをたおした!




いかがでしたでしょうか。
ええ、前に予測されていた方がいらっしゃいましたね。

マルコ魔改造は一体だれがやってるのでしょうね(遠い目


あ、最後のはネタです。後書きに書こうとも思ったのですが忘れたら悔しいので書いておきました(ぇ


次回! 主人公が使い魔を召喚する! 
次回をおたのしみにー!

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