平行歩行者(一時凍結)   作:kotono

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設定の説明回です。
どうぞー


非日常?いいえ、異常な日常です

1時間ごとに世界が入れ替わる。

物心つく前からずっとそれを繰り返してきた。

 

朝が弱いオレは決まって片方の世界で妹の涼那に眠気を消し飛ばされる。

そして、1日のうちで最初にくる《48分》に入れ替わり、もう一方の世界で爽やかな朝を迎える。

なので、こちら側の世界でのオレは目覚ましなしで5時48分に起きることができる。それも精密機械並の正確な時刻で。

............まぁ、それも全ては、あちら側の世界で妹から受けるアグレッシブなおはようのおかげなんだが。

 

 

さて、今までこの生活を続けてきたわけだが、

この入れ替わり現象にはいくつかの特徴がみられる。

 まず1つめ、この現象は異常なものであるということ。

物心ついたときには既にこの現象が日常だったオレにとってそのことは信じ難く、そのせいで幼少期には孤立してしまったときもあった。

 

 2つめ、2つの世界を行き来できるのはオレのみ、さらに言えば、オレの意識、記憶などの内面のみというコト。

1つの物を2つの世界で共有することはできず、

身に付けているものは勿論のこと、自分の肉体までもまったく別のものになるのだ。確かに顔立ちや身長、体格は同じであるが、こちら側の世界のほうが運動量が多いため筋力などが圧倒的に強い。

そのため、体を動かしている最中に入れ替わりが起きたりすると強烈な違和感に襲われる。

 

 3つめ、先に述べた通り、1時間ごとに世界が入れ替わるというコト。

しかし、今いるほうの逆の世界はオレにとって時間が止まっているようなものであり、気づいたら1時間過ぎてた....ということにはならない。

なので、オレにとって1日とは48時間あることになる。

先に言った2つも重要な特徴ではあるが、何年も繰り返してきたので流石に慣れてしまっており、それにあまり危険性はないのだが、この3つめは気を抜くと普通に危ないのである。

例えば、あちらの世界でキャッチボールをしている時に入れ替わったとする。

そうするとオレは、あちらの世界では目の前にそれなりの速度で硬いボールが迫っているという状況で、こちらの世界で1時間過ぎなければならず。さらに1時間後にはまた入れ替わるので、すぐ目の前からボールが現れるように感じるのだ。

これでもしオレが間の1時間でキャッチボールのことを忘れてしまっていたら確実に直撃してしまうだろう。

実際、過去にそのようなことが数回起きている。

そのため、いつでもどんなことがあっても時間をみれるように時計を常に複数個持ち歩いている。

まぁ、それも長い年月によって馴れてきたのか、今では意識せずとも体内時計で1時間をほぼ正確に計れるのだが。

 

《48分》 これがオレにとっての2つの世界の始まりと終わりの合図である。

どうしてこんな中途半端な時間なのか今でもさっぱりわからない。

もしかしたら、誰か他にこの現象が起きている人がいるかもしれないと思い色々と調べてきたのだが、

未だに経験者も経験談も見つからない。

 

 

 

 

さて、そんな現象も日常となってしまった今日

2回目の朝を迎えたオレは手早く朝食と身支度を済ませて

武装の点検をしている。

 

刃こぼれや錆びがないことを確認して

腰のベルトにナイフやダガーを複数まきつけて、背中の鞘に直剣を装備する。

準備が完了した。あとは外にでるのみである。

 

はぁ...........

 

最後にため息をついて、金を稼ぎに行くのであった。

 

 

 

 


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